(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085687
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】連鎖端子
(51)【国際特許分類】
H01R 43/16 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
H01R43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200350
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英一
【テーマコード(参考)】
5E063
【Fターム(参考)】
5E063GA03
5E063XA02
5E063XA20
(57)【要約】
【課題】端子が変形するのを効果的に防止できる連鎖端子を提供する。
【解決手段】連鎖端子10は、複数の端子12、第1保護部13および第2保護部14を備える。第1保護部13は、キャリア11の一側縁15から前方に突出する第1基端突出部24、第1基端突出部24の前端から上方に起立する第1起立部25および第1起立部25の上端から前方に突出する第1先端突出部26を有する。第1先端突出部26は、端子12のキャリア11に近い側の部位に隣接して配置される。第2保護部14は、キャリア11の一側縁15から前方に第1基端突出部よりも長く突出する第2基端突出部27、第2基端突出部27の前端から上方に起立する第2起立部28および第2起立部28の上端から前方に突出する第2先端突出部29を有する。第2先端突出部29は、端子12のキャリア11から遠い側の部位に隣接して配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に延びる一側縁を有する帯状のキャリアと、
前記一側縁に間隔を置いて連結され、前記一側縁から前記キャリアの帯面に沿った前方に突出する複数の端子と、
前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に突出する第1基端突出部、前記第1基端突出部の前端から上方に起立する第1起立部および前記第1起立部の上端から前方に突出する第1先端突出部を有し、前記第1先端突出部を前記端子の前記キャリアに近い側の部位に隣接して配置させる第1保護部と、
前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に前記第1基端突出部よりも長く突出する第2基端突出部、前記第2基端突出部の前端から上方に起立する第2起立部および前記第2起立部の上端から前方に突出する第2先端突出部を有し、前記第2先端突出部を前記端子の前記キャリアから遠い側の部位に隣接して配置させる第2保護部と、を備える連鎖端子。
【請求項2】
前記第2基端突出部の少なくとも前記キャリアに連結される連結端寄りの部分は、前記第1基端突出部よりも幅広に形成されている、請求項1に記載の連鎖端子。
【請求項3】
前記端子は、前記キャリアから遠い側に、筒状の本体部を有し、前記本体部は、前記キャリアよりも上方に配置され、前記第2先端突出部は、前記本体部よりも上方に配置されている、請求項1に記載の連鎖端子。
【請求項4】
前記第2先端突出部は、前記第1先端突出部よりも前後方向に長く形成されている、請求項3に記載の連鎖端子。
【請求項5】
前記第2起立部は、上方に向けて前傾している、請求項3に記載の連鎖端子。
【請求項6】
前記端子、前記第1保護部および前記第2保護部の展開状態において、前記第1保護部は、前記本体部よりも後方で且つ前記キャリアの前方に形成されたデッドスペースに配置されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の連鎖端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連鎖端子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は開示された連鎖端子は、帯状に延びるキャリアと、キャリアの一側縁から前方に並んで突出する複数の端子(コネクタ用接触端子)と、を備えている。また、連鎖端子は、キャリアの一側縁から前方に突出する連結部と、連結部から起立する端子変形防止片と、を備えている。端子変形防止片は、端子に形成された突片の高さ以上の高さを有している。特許文献1によれば、突片の変形が端子変形防止片によって防止できる、とのことである。このような端子の変形を防止する技術は、特許文献2-4にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-129347号公報
【特許文献2】特開2000-164317号公報
【特許文献3】特開2010-118183号公報
【特許文献4】特開2021-77511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、連鎖端子がリールに巻かれた状態で、上下方向に配置された両端子の平行状態が維持できないことがあった。例えば、上側の端子が下側の端子に対して傾斜姿勢をとり、上側の端子の前端側が下側の端子の前端側に近づくように傾くことがあった(
図4の状態を参照)。そうすると、下側の端子の前端側が両端子間に介在する層間紙(
図4の符号60を参照)と干渉して変形する可能性があった。これに対し、特許文献1の端子変形防止片は、端子の後端側に対応して配置されているので、端子の後端側の変位を抑えることができるものの、端子の前端側の変位を効果的に抑えることができないという問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、端子が変形するのを効果的に防止できる連鎖端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の連鎖端子は、幅方向に延びる一側縁を有する帯状のキャリアと、前記一側縁に間隔を置いて連結され、前記一側縁から前記キャリアの帯面に沿った前方に突出する複数の端子と、前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に突出する第1基端突出部、前記第1基端突出部の前端から上方に起立する第1起立部および前記第1起立部の上端から前方に突出する第1先端突出部を有し、前記第1先端突出部を前記端子の前記キャリアに近い側の部位に隣接して配置させる第1保護部と、前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に前記第1基端突出部よりも長く突出する第2基端突出部、前記第2基端突出部の前端から上方に起立する第2起立部および前記第2起立部の上端から前方に突出する第2先端突出部を有し、前記第2先端突出部を前記端子の前記キャリアから遠い側の部位に隣接して配置させる第2保護部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子が変形するのを効果的に防止できる連鎖端子を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る連鎖端子の斜視図である。
【
図3】
図3は、リールに巻かれた連鎖端子において、上下の端子を拡大して示す側面図である。
【
図4】
図4は、リールに巻かれた連鎖端子の正面図である。
【
図5】
図5は、比較例の一の態様を示す側面図である。
【
図6】
図6は、比較例の他の態様を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の連鎖端子は、
(1)幅方向に延びる一側縁を有する帯状のキャリアと、前記一側縁に間隔を置いて連結され、前記一側縁から前記キャリアの帯面に沿った前方に突出する複数の端子と、前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に突出する第1基端突出部、前記第1基端突出部の前端から上方に起立する第1起立部および前記第1起立部の上端から前方に突出する第1先端突出部を有し、前記第1先端突出部を前記端子の前記キャリアに近い側の部位に隣接して配置させる第1保護部と、前記一側縁に前記端子と並んで連結され、前記一側縁から前方に前記第1基端突出部よりも長く突出する第2基端突出部、前記第2基端突出部の前端から上方に起立する第2起立部および前記第2起立部の上端から前方に突出する第2先端突出部を有し、前記第2先端突出部を前記端子の前記キャリアから遠い側の部位に隣接して配置させる第2保護部と、を備える。
【0010】
連鎖端子がリールに巻かれた状態で、上下方向に配置された両端子の一方が他方に対して傾斜姿勢をとることがある。仮に、一方の端子の前端側が他方の端子の前端側に近づくように傾いた場合には、両端子間に介在する層間紙が他方の端子に隣接する第2保護部の第2先端突出部と接触できるので、他方の端子の前端側が層間紙と干渉して変形するのを回避できる。また、一方の端子の後端側が他方の端子の後端側に近づくように傾いた場合には、層間紙が他方の端子に隣接する第1保護部の第1先端突出部と接触できるので、他方の端子の後端側が層間紙と干渉して変形するのを回避できる。したがって、上記構成によれば、連鎖端子がリールに巻かれた状態で、端子が変形するのを効果的に防止できる。
【0011】
(2)上記(1)において、前記第2基端突出部の少なくとも前記キャリアに連結される連結端寄りの部分は、前記第1基端突出部よりも幅広に形成されていると良い。
【0012】
上記構成によれば、前後方向に長い形状になる第2基端突出部が変形しにくく、第2基端突出部の剛性を確保できる。
【0013】
(3)上記(1)または(2)において、前記端子は、前記キャリアから遠い側に、筒状の本体部を有し、前記本体部は、前記キャリアよりも上方に配置され、前記第2先端突出部は、前記本体部よりも上方に配置されていると良い。
【0014】
上記構成によれば、キャリアから遠い側に位置する本体部に層間紙が接触するのを第2先端突出部によって信頼性良く回避することができる。
【0015】
(4)上記(3)において、前記第2先端突出部は、前記第1先端突出部よりも前後方向に長く形成されていると良い。
【0016】
上記構成によれば、上下方向に配置された端子の一方が他方に対して傾斜姿勢をとる場合に、層間紙が他方の端子に隣接する第2保護部の第2先端突出部に接触しやすくなるので、他方の端子の本体部に層間紙が接触するのをより確実に回避することができる。
【0017】
(5)上記(3)または(4)において、前記第2起立部は、上方に向けて前傾していると良い。
【0018】
上記構成によれば、第2起立部が上方に垂直に起立する場合と比べ、第2基端突出部、第2起立部および第2先端突出部と連続する第2保護部の全長を短くできるので、材料取りの無駄を省くことができる。
【0019】
(6)上記(3)から(5)のいずれかにおいて、前記端子、前記第1保護部および前記第2保護部の展開状態において、前記第1保護部は、前記本体部よりも後方で且つ前記キャリアの前方に形成されたデッドスペースに配置されていると良い。
【0020】
上記構成によれば、連鎖端子の展開状態で、本体部よりも後方で且つキャリアの前方に形成されたデッドスペースに、第1保護部を効率良く配置させることができるので、材料取りの無駄を省くことができる。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
本開示の実施形態1に係る連鎖端子10は、
図1および
図2に示すように、キャリア11と、キャリア11から突出する複数の端子12と、キャリア11から突出する複数の第1保護部13と、キャリア11から突出する複数の第2保護部14と、を備えている。連鎖端子10は、図示しないリールに巻かれた状態で、キャリア11から端子12を切り離す工程等を行う作業現場に搬送される。なお、以下の説明において、幅方向は、キャリア11が延びる方向であって、
図2の左右方向に相当する。前後方向については、キャリア11から端子12が突出する方向を前方とする。
図3の左方が前方になる。上下方向は、
図3の上下方向を基準とする。
図1において、幅方向を矢印Wで示し、前方を矢印Fで示し、上方を符号Uで示す。
【0023】
(連鎖端子の構造)
連鎖端子10は、導電性の金属板を打ち抜いた後、端子12、第1保護部13および第2保護部14を曲げ加工等して形成される。
図1および
図2に示すように、端子12、第1保護部13および第2保護部14は、キャリア11に順次並んで連結されている。
【0024】
キャリア11は、幅方向に帯状に延び、前端に、幅方向に延びる一側縁15を有している。キャリア11には、幅方向に間隔を置いて複数の送り孔16が貫通して形成されている。送り孔16は、端子12を製造する図示しないプレス機等に端子12をガイドするパイロット孔である。
【0025】
各端子12は、キャリア11の一側縁15に一定の間隔を置いて連結され、キャリア11の一側縁15から前方に突出して配置されている。本明細書において、端子12は、キャリア11の一側縁15に直接連結される端子素片に相当する。
図1および
図3に示すように、端子12は、前側に配置される角筒状の本体部17と、後側において本体部17よりも一段低く配置される帯板状の延出部18と、延出部18から本体部17にかけて上方に傾斜する湾曲板状の繋ぎ部19と、を有している。
【0026】
図1に示すように、延出部18は、キャリア11の送り孔16と対応する位置に配置されている。延出部18は、キャリア11に対し、キャリア11の板面(帯面)に沿ってキャリア11に段差無く連続している。
【0027】
本体部17は、
図2から
図1にかけて示すように、幅方向に複数回折り曲げて形成され、
図1に示すように、上壁の幅方向中央部に、凹凸に噛み合う合わせ縁21を有している。本体部17は、上壁、下壁および幅方向両側の側壁に、それぞれ弾性変形可能な弾性部22を有している。各弾性部22は、本体部17の前端側において前後方向に延びる両持ち梁状をなし、外側へ山型に屈曲する接点部23を有している。
【0028】
この端子12は、キャリア11から切り離され、図示しないシールドコネクタの外導体を構成する部分になる。各弾性部22は、接続相手となる図示しない相手外導体に接点部23を接触させることで、相手外導体と電気的に接続される。延出部18は、図示しないカバーに圧着され、カバーを介して図示しないシールド電線の編組線等のシールド部に電気的に接続される。
【0029】
図1および
図2に示すように、各第1保護部13は、キャリア11の一側縁15における隣接する端子12間に一定の間隔を置いて連結され、キャリア11の一側縁15から前方に突出して配置されている。第1保護部13は、全体として、前後方向に一定の幅寸法をもって延びる帯板状をなし、
図2に示す展開状態において、本体部17とキャリア11との間に形成されたデッドスペース34に配置されている。
【0030】
第1保護部13は、
図2に示す展開状態から板厚方向に折り曲げられる。これにより、第1保護部13は、
図1に示すように、キャリア11の一側縁15から前方に突出する第1基端突出部24と、第1基端突出部24の前端から上方に起立する第1起立部25と、第1起立部25の上端から前方に突出する第1先端突出部26と、を連続して有する形態になる。第1基端突出部24は、キャリア11の板面に沿ってキャリア11に段差無く連続している。
【0031】
第1基端突出部24および第1先端突出部26は、それぞれ第1起立部25よりも短い長さで形成されている。
図3に示すように、第1起立部25は、板面を前後方向に向けて垂直に起立している。第1起立部25の下端は第1基端突出部24の前端と直交し、第1起立部25の上端は第1先端突出部26の後端と直交している。第1保護部13は、全体として、隣接する端子12の延出部18側であるキャリア11に近い側の部位に配置されている。
【0032】
図2に示すように、各第2保護部14は、キャリア11の一側縁15における隣接する端子12間に一定の間隔を置いて連結され、キャリア11の一側縁15から前方に突出して配置されている。
【0033】
第2保護部14は、
図2に示す展開状態から板厚方向に折り曲げられる。これにより、第2保護部14は、
図1に示すように、キャリア11の一側縁15から前方に突出する第2基端突出部27と、第2基端突出部27の前端から上方に起立する第2起立部28と、第2起立部28の上端から前方に突出する第2先端突出部29と、を連続して有する形態になる。
【0034】
第2基端突出部27は、キャリア11に近い側に幅広の幅広部31を有し、キャリア11から遠い側に幅狭の幅狭部32を有している。
図2に示すように、幅広部31は、第1保護部13と幅方向に隣接して配置されている。幅狭部32は、幅広部31の前端における第1保護部13側の縁部から前方に突出している。
図2に示す展開状態において、幅広部31と第1保護部13との間には、前後方向に延びて前方に開放されるスリット33が形成されている。幅広部31は、第1保護部13側とは反対側に張り出す部分を、隣接する他の端子12(第1保護部13側とは反対側の端子)の本体部17とキャリア11との間に形成されたデッドスペース35に配置させている。また、
図2に示す展開状態において、幅狭部32、第2起立部28および第2先端突出部29は、幅方向に隣接する端子12(上記した端子12と他の端子12)の本体部17間のピッチ空間36に配置されている。
【0035】
第2起立部28および第2先端突出部29は、幅狭部32と同じ幅寸法で形成されている。第2起立部28は、板面を前後方向に向けて配置されている。
図3に示すように、第2起立部28は、幅狭部32の前端から上方へ前斜しつつ起立する形態になっている。第2基端突出部27からの第2起立部28の起立寸法(高さ寸法)は、第1基端突出部24からの第1起立部25の起立寸法(高さ寸法)よりも大きい。第2起立部28は、隣接する端子12の本体部17の前後中間側と幅方向に並んで配置されている。
【0036】
図3に示すように、第2先端突出部29は、第2起立部28の上端から前方に第1先端突出部26よりも長く水平に延びる形状になっている。第2先端突出部29は、隣接する端子12の本体部17の前端側と幅方向に並んで配置され、且つ第2起立部28の起立寸法に対応し、本体部17の前端側の上面よりも上方に配置されている。第2先端突出部29の上端面を上端とした第2保護部14の高さ寸法は、全体として、端子12の高さ寸法よりも大きい。第2先端突出部29の前端は、端子12の本体部17の前端よりも前方に配置されている。端子12の各弾性部22は、前後方向に関して、第2先端突出部29の形成範囲内に配置されている。
【0037】
(連鎖端子の作用)
図4に示すように、連鎖端子10は、前述した作業現場への搬送に際し、図示しないリールに巻き付けられる。リールに巻かれた状態で、連鎖端子10の各層間になる上下方向に配置された端子12間には、
図3に示すように、層間紙60が介在している。
【0038】
連鎖端子10がリールに巻かれた状態で、上下の端子(以下、上側の端子12A、下側の端子12Bという)同士は、
図3に示すように、通常、前後方向に関して互いに平行に配置されている。しかし、搬送時の振動等によって、上下の端子12A,12Bのうちの一方が他方に対して傾く方向に力を受けることがある。仮に、本実施形態1と異なり、連鎖端子10に第1保護部13および第2保護部14が備わっていない場合に、上側の端子12Aに対し、本体部17の前端側を下向きに変位させるような力が加わると、
図5に示すように、上側の端子12Aに押圧された層間紙60が下側の端子12Bにおける本体部17の前端側と接触する懸念がある。また、仮に、本実施形態1と異なり、連鎖端子10に第1保護部13および第2保護部14が備わっていない場合に、上側の端子12Aに対し、本体部17の後端側を下向きに変位させるような力が加わると、
図6に示すように、上側の端子12Aに押圧された層間紙60が下側の端子12Bにおける本体部17の後端側と接触する懸念がある。
【0039】
これに対し、本実施形態1の場合、
図3に示す状態において、上側の端子12Aに対し、本体部17の前端側を下向きに変位させるような力が加わると、上側の端子12Aに押圧された層間紙60が下側の端子12Bに隣接する第2保護部14の第2先端突出部29と干渉する。このため、層間紙60が下側の端子12Bの前端側に接触するのを回避することができる。また、上側の端子12Aに対し、本体部17の後端側を下向きに変位させるような力が加わると、上側の端子12Aに押圧された層間紙60が下側の端子12Bに隣接する第1保護部13の第1先端突出部26と干渉する。このため、層間紙60が下側の端子12Bの後端側に接触するのを回避することができる。
【0040】
このように、本実施形態1によれば、連鎖端子10がリールに巻かれた状態で、端子12を傾かせる力が作用したときに、第1先端突出部26と第2先端突出部29の少なくとも一方が層間紙60と干渉するため、端子12が層間紙60と干渉して変形するのを効果的に防止できる。
【0041】
特に、本実施形態1の場合、本体部17がキャリア11よりも上方に配置され、第2先端突出部29が本体部17よりも上方に配置されており、さらに、第2先端突出部29が第1先端突出部26よりも前後方向に長く形成されている。このため、本体部17がキャリア11から遠い側に配置されているという事情があっても、本体部17が変形するのを第2先端突出部29によって信頼性良く回避することができる。
【0042】
また、第2基端突出部27の幅広部31が第1基端突出部24よりも幅広に形成されているため、第2基端突出部27が前後方向に長く延びる形状であっても変形しにくく、第2基端突出部27の剛性を確保することができる。
【0043】
さらに、第2起立部28が上方に向けて前傾しているため、第2起立部28が上方に垂直に起立する場合と比べ、第2基端突出部27、第2起立部28および第2先端突出部29と連続する第2保護部14の全長を短くできる。このため、
図2の展開状態において、第2先端突出部29の前端側が端子12の前端よりも無駄に長く突出することがなく、材料取りの無駄を省くことができる。
【0044】
さらにまた、第1保護部13は、
図2に示す展開形状において、本体部17よりも後方で且つキャリア11の前方に形成されたデッドスペース34に配置されている。このため、第1保護部13をデッドスペース34に効率良く配置させることができ、材料取りの無駄をより良好に省くことができる。
【0045】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された上記実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態1の場合、第1基端突出部と第2基端突出部との間にスリットが形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第1基端突出部と第2基端突出部との間にスリットが形成されておらず、第1基端突出部と第2基端突出部とが一体に連結された形状になっていても良い。
上記実施形態1の場合、端子が傾いたときに、第1先端突出部と第2先端突出部の少なくとも一方が層間紙と干渉するように設定されていた。これに対し、他の実施形態によれば、端子が傾いたときに、第1先端突出部と第2先端突出部の少なくとも一方が相手側の端子または他の異物と干渉するように設定されていても良い。
上記実施形態1の場合、第1起立部が垂直に起立し、第2起立部が上向きに前傾する形状であった。これに対し、他の実施形態によれば、第1起立部が上向きに前傾していても良く、また、第2起立部が垂直に起立していても良い。
上記実施形態1の場合、第2先端突出部は、第1先端突出部よりも前後方向に長く形成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、第2先端突出部は、第1先端突出部と同じ前後寸法で形成されていても良く、あるいは第1先端突出部よりも前後方向に短く形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、第2基端突出部は、後端側に第1基端突出部よりも幅広の幅広部を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、第2基端突出部は、全体が第1基端突出部よりも幅広に形成されていても良い。
上記実施形態1の場合、端子は、外導体端子として構成されていた。これに対し、他の実施形態によれば、端子は、相手端子に接続可能な接続部(本体部に相当する部分)と、一般電線(非シールド電線)に圧着して接続されるバレル部と、を備えた、通常の雄端子または雌端子であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
10…連鎖端子
11…キャリア
12…端子
12A…上側の端子
12B…下側の端子
13…第1保護部
14…第2保護部
15…一側縁
16…送り孔
17…本体部
18…延出部
19…繋ぎ部
21…合わせ縁
22…弾性部
23…接点部
24…第1基端突出部
25…第1起立部
26…第1先端突出部
27…第2基端突出部
28…第2起立部
29…第2先端突出部
31…幅広部
32…幅狭部
33…スリット
34,35…デッドスペース
36…ピッチ空間
60…層間紙