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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085701
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】プロテクタ及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240620BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240620BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20240620BHJP
   F16L 3/12 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H02G3/04 087
B60R16/02 623V
F16L57/00 A
F16L3/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200368
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堀 謙太
【テーマコード(参考)】
3H023
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H023AA04
3H023AB01
3H023AC08
3H023AC31
3H023AD18
3H023AD31
3H024AA02
3H024AB07
3H024AC03
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE03
5G357DE05
5G357DE08
5G357DG04
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】組付作業性を向上させることを可能にしたプロテクタ及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】プロテクタ12は、電線束11が通る入口33と、第1電線束21が通る第1出口通路31と、第2電線束22が通り、第1出口通路31に隣接する第2出口通路32と、を備えている。第2出口通路32は、入口33に対して第1出口通路31よりも離れた位置に設けられている。第1出口通路31は、第1出口通路31の長さ方向の一端において、第1電線束21を外部に引き出す第1出口34を有している。第2出口通路32は、第2出口通路32の長さ方向の一端において、第2電線束22を外部に引き出す第2出口35を有している。そして、入口33の軸線Laから第1出口34までの第1の距離D1と、入口33の軸線Laから第2出口35までの第2の距離D2とは、互いに異なる長さに設定されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電線束及び第2電線束が内部を通るプロテクタであって、
前記第1電線束及び前記第2電線束の双方が通る入口と、
前記第1電線束が通る第1出口通路と、
前記第2電線束が通り、前記第1出口通路に隣接する第2出口通路と、を備え、
前記第2出口通路は、前記入口に対して前記第1出口通路よりも離れた位置に設けられ、
前記第1出口通路は、前記第1出口通路の長さ方向の一端において、前記第1電線束を外部に引き出す第1出口を有し、
前記第2出口通路は、前記第2出口通路の長さ方向の一端において、前記第2電線束を外部に引き出す第2出口を有し、
前記入口の軸線から前記第1出口における当該第1出口の軸線上の位置までの第1の距離と、前記入口の軸線から前記第2出口における当該第2出口の軸線上の位置までの第2の距離とは、互いに異なる長さに設定されている、
プロテクタ。
【請求項2】
前記第1出口の軸線と前記第2出口の軸線とは、互いに平行をなしている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記第2電線束は、導体断面積が5平方ミリメートル以上の太物電線を含んでおり、
前記第2の距離は、前記第1の距離よりも短い、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項4】
前記プロテクタの平面視において、前記入口の軸線と前記第1出口の軸線とがなす第1の角度、及び、前記入口の軸線と前記第2出口の軸線とがなす第2の角度は、それぞれ鋭角に設定されている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項5】
前記第1の角度と前記第2の角度とは、互いに同角度である、
請求項4に記載のプロテクタ。
【請求項6】
前記プロテクタの平面視において、前記第1出口から段差を経由して前記第2出口が設けられている、
請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロテクタと、
前記プロテクタの内部を通る第1電線束及び第2電線束と、を備えるワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロテクタ及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電線束と、同電線束が内部を通るプロテクタとを備えるワイヤハーネスが記載されている。同ワイヤハーネスにおいて、電線束は、第1電線束及び第2電線束を含んでいる。プロテクタは、第1電線束が引き出される第1出口と、第2電線束が引き出される第2出口とを有する。第1出口と第2出口とは、互いに隣り合うように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-78173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記のようなワイヤハーネスにおいて、車両等の取付対象に対する組付作業性を如何にして向上させるかを検討していた。
本開示の目的は、組付作業性を向上させることを可能にしたプロテクタ及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のプロテクタは、第1電線束及び第2電線束が内部を通るプロテクタであって、前記第1電線束及び前記第2電線束の双方が通る入口と、前記第1電線束が通る第1出口通路と、前記第2電線束が通り、前記第1出口通路に隣接する第2出口通路と、を備え、前記第2出口通路は、前記入口に対して前記第1出口通路よりも離れた位置に設けられ、前記第1出口通路は、前記第1出口通路の長さ方向の一端において、前記第1電線束を外部に引き出す第1出口を有し、前記第2出口通路は、前記第2出口通路の長さ方向の一端において、前記第2電線束を外部に引き出す第2出口を有し、前記入口の軸線から前記第1出口における当該第1出口の軸線上の位置までの第1の距離と、前記入口の軸線から前記第2出口における当該第2出口の軸線上の位置までの第2の距離とは、互いに異なる長さに設定されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示のプロテクタ及びワイヤハーネスによれば、組付作業性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態のワイヤハーネスを示す斜視図である。
図2図2は、同形態におけるワイヤハーネスを示す分解斜視図である。
図3図3は、プロテクタのカバーを外した状態におけるワイヤハーネスを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のプロテクタは、
[1]第1電線束及び第2電線束が内部を通るプロテクタであって、前記第1電線束及び前記第2電線束の双方が通る入口と、前記第1電線束が通る第1出口通路と、前記第2電線束が通り、前記第1出口通路に隣接する第2出口通路と、を備え、前記第2出口通路は、前記入口に対して前記第1出口通路よりも離れた位置に設けられ、前記第1出口通路は、前記第1出口通路の長さ方向の一端において、前記第1電線束を外部に引き出す第1出口を有し、前記第2出口通路は、前記第2出口通路の長さ方向の一端において、前記第2電線束を外部に引き出す第2出口を有し、前記入口の軸線から前記第1出口における当該第1出口の軸線上の位置までの第1の距離と、前記入口の軸線から前記第2出口における当該第2出口の軸線上の位置までの第2の距離とは、互いに異なる長さに設定されている。
【0009】
この構成によれば、各電線束の経路に沿った方向において、第1出口の位置と第2出口の位置とを互いに異ならせることが可能となる。したがって、第1電線束及び第2電線束の各々の外部固定位置に応じた適切な第1出口及び第2出口の位置を設定することが可能となる。ここでいう外部固定位置とは、第1電線束及び第2電線束の各々において、第1出口または第2出口から出た後に固定される位置のことである。第1出口及び第2出口の位置が外部固定位置に応じて適切に設定されることで、第1電線束及び第2電線束の各々において、第1出口または第2出口から外部固定位置までの長さ(以下、固定ストロークと言う)が適切となる。したがって、プロテクタ及び電線束を含むワイヤハーネスの組付作業性を向上させることが可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記第1出口の軸線と前記第2出口の軸線とは、互いに平行をなしていてもよい。
この構成によれば、第1電線束と第2電線束とをほぼ同方向に引き出すことが可能なプロテクタにおいて、組付作業性を向上させることが可能となる。
【0011】
[3]上記[1]または[2]において、前記第2電線束は、導体断面積が5平方ミリメートル以上の太物電線を含んでおり、前記第2の距離は、前記第1の距離よりも短い構成であってもよい。
【0012】
この構成によれば、太物電線を含む第2電線束は、第1電線束に比べて剛性が高くなりやすいため、曲げにくくなる。したがって、第2電線束の固定ストロークは、第1電線束の固定ストロークよりも長く確保することが望ましい。そこで、上記第2の距離を上記第1の距離よりも短くすることで、第2電線束における固定ストロークを確保しやすくなる。その結果、組付作業性のより一層の向上に寄与できる。
【0013】
[4]上記[1]から[3]のいずれか1つにおいて、前記プロテクタの平面視において、前記入口の軸線と前記第1出口の軸線とがなす第1の角度、及び、前記入口の軸線と前記第2出口の軸線とがなす第2の角度は、それぞれ鋭角に設定されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、プロテクタ内において第1電線束及び第2電線束を鋭角に曲げる必要がある構成において、組付作業性を向上させることが可能となる。
[5]上記[4]において、前記第1の角度と前記第2の角度とは、互いに同角度であってもよい。
【0015】
この構成によれば、第1の角度と第2の角度とが互いに同角度である構成において、組付作業性を向上させることが可能となる。
[6]上記[1]から[5]のいずれか1つにおいて、前記プロテクタの平面視において、前記第1出口から段差を経由して前記第2出口が設けられていてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1出口の位置と第2出口の位置とを容易に異ならせることが可能となる。
[7]本開示のワイヤハーネスは、上記[1]から[6]のいずれか1つに記載のプロテクタと、前記プロテクタの内部を通る第1電線束及び第2電線束と、を備える。
【0017】
この構成によれば、上記のプロテクタと同様の作用効果を奏することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のプロテクタ及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「平行」や「垂直」は、厳密に平行や垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね平行や垂直の場合も含まれる。
【0018】
(ワイヤハーネス10の構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、自動車等の車両に搭載される。ワイヤハーネス10は、車両に搭載された図示しない電気機器同士を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、電線束11と、電線束11が内部を通るプロテクタ12とを備える。
【0019】
図2及び図3に示すように、電線束11は、第1電線束21と第2電線束22とを含む。第1電線束21を構成する各電線は、導体断面積が小さい細物電線である。なお、本明細書における「細物電線」とは、導体断面積が5平方ミリメートル未満の電線である。本実施形態の第1電線束21を構成する各細物電線には、導体断面積が1平方ミリメートル未満の電線が用いられることが好ましい。
【0020】
第2電線束22は、太物電線23を含む。太物電線23は、導体断面積が5平方ミリメートル以上の電線である。第2電線束22には、太物電線23が1本、または複数本含まれる。また、第2電線束22は、太物電線23以外に細物電線も含んでいる。
【0021】
(プロテクタ12の構成)
プロテクタ12は、例えば、電線束11の経路を規制するとともに、電線束11を保護する。プロテクタ12は、例えば合成樹脂にて形成されている。プロテクタ12は、車体パネル等の取付対象に固定される。
【0022】
図2及び図3に示すように、プロテクタ12は、主通路30と、第1出口通路31と、第2出口通路32とを有している。第1出口通路31及び第2出口通路32は、主通路30から分岐した通路である。
【0023】
プロテクタ12は、主通路30の長さ方向の一端に入口33を有している。すなわち、主通路30の長さ方向の一端がプロテクタ12の入口33をなしている。入口33は、入口33の中心軸線である軸線Laを有している。軸線Laは、例えば、主通路30の長さ方向に沿っている。
【0024】
図3に示すように、プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laによって区画される一方側の領域を第1領域A1とし、他方側の領域を第2領域A2とする。なお、本明細書におけるプロテクタ12の平面視とは、プロテクタ12をその高さ方向Hに沿う方向から見ることを意味している。すなわち、図3におけるプロテクタ12の高さ方向Hは、紙面直交方向である。第1出口通路31及び第2出口通路32の各々は、第1領域A1に位置している。そして、第1出口通路31及び第2出口通路32は、互いに隣接している。また、第1出口通路31及び第2出口通路32の各々は、例えば、高さ方向Hと直交する同一平面上に位置している。第2出口通路32は、入口33に対して第1出口通路31よりも離れた位置に設けられている。すなわち、第1出口通路31は、第2出口通路32よりも入口33に近い位置に設けられている。
【0025】
プロテクタ12は、第1出口通路31の先端に第1出口34を有している。すなわち、第1出口通路31の先端がプロテクタ12の第1出口34をなしている。第1出口通路31の先端は、第1出口通路31の長さ方向の一端である。第1出口通路31の基端は、主通路30に繋がっている。第1出口34は、第1出口34の中心軸線である軸線L1を有している。軸線L1は、例えば、第1出口通路31の長さ方向に沿っている。プロテクタ12の平面視において、第1出口34の端面は、例えば、軸線L1に対して垂直をなしている。第1出口34の中心C1は、軸線L1上に位置している。プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laと第1出口34の軸線L1とがなす第1の角度θ1は、例えば、鋭角に設定されている。
【0026】
プロテクタ12は、第2出口通路32の先端に第2出口35を有している。すなわち、第2出口通路32の長さ方向の一端がプロテクタ12の第2出口35をなしている。第2出口通路32の先端は、第2出口通路32の長さ方向の一端である。第2出口通路32の基端は、主通路30に繋がっている。第2出口35は、第2出口35の中心軸線である軸線L2を有している。軸線L2は、例えば、第2出口通路32の長さ方向に沿っている。プロテクタ12の平面視において、第2出口35の端面は、例えば、軸線L2に対して垂直をなしている。第2出口35の中心C2は、軸線L2上に位置している。プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laと第2出口35の軸線L2とがなす第2の角度θ2は、例えば、鋭角に設定されている。本実施形態では、第2の角度θ2は、前記第1の角度θ1と同角度に設定されている。
【0027】
プロテクタ12の平面視において、第1出口34の軸線L1と第2出口35の軸線L2とは、互いに平行をなしている。すなわち、本実施形態では、プロテクタ12の平面視において、第1出口34の端面と第2出口35の端面とは、互いに平行をなしている。また、プロテクタ12の平面視において、第1出口34の端面と第2出口35の端面とは、同一直線上に揃っていない。すなわち、プロテクタ12の平面視において、第1出口34の端面と第2出口35の端面との間には段差Xが存在している。換言すると、第1出口34の端面と第2出口35の端面とは、同一平面上に位置していない。また、プロテクタ12の平面視において、第1出口34から段差Xを経由して第2出口35が設けられている。
【0028】
(第1の距離D1及び第2の距離D2について)
図3に示すように、プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laから第1出口34の中心C1までの距離を第1の距離D1とする。第1の距離D1は、プロテクタ12の平面視において、軸線Laと第1出口34の中心C1との間の最短距離である。すなわち、第1の距離D1は、軸線Laに対して直交する方向における、軸線Laから第1出口34の中心C1までの距離である。
【0029】
また、プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laから第2出口35の中心C2までの距離を第2の距離D2とする。第2の距離D2は、プロテクタ12の平面視において、軸線Laと第2出口35の中心C2との間の最短距離である。すなわち、第2の距離D2は、軸線Laに対して直交する方向における、軸線Laから第2出口35の中心C2までの距離である。そして、第1の距離D1と第2の距離D2とは、互いに異なる長さに設定されている。より詳しくは、第2の距離D2は、第1の距離D1よりも短く設定されている。
【0030】
(電線束11の配置について)
プロテクタ12において、主通路30、第1出口通路31及び第2出口通路32には、電線束11が通っている。そして、入口33、第1出口34及び第2出口35からは、電線束11がプロテクタ12の外部にそれぞれ引き出される。
【0031】
詳しくは、電線束11に含まれる第1電線束21は、主通路30及び第1出口通路31を通っている。そして、第1電線束21は、第1出口34からプロテクタ12の外部に引き出される。
【0032】
電線束11に含まれる第2電線束22は、主通路30及び第2出口通路32を通っている。そして、第2電線束22は、第2出口35からプロテクタ12の外部に引き出される。本実施形態では、入口33を通る電線束11が、プロテクタ12の内部で第1電線束21及び第2電線束22に分岐している。
【0033】
第1出口通路31は、第1電線束21を第1出口通路31に固定するための第1固定部材36が取り付けられる第1取付部37を有している。また、第2出口通路32は、第2電線束22を第2出口通路32に固定するための第2固定部材38が取り付けられる第2取付部39を有している。第1固定部材36及び第2固定部材38は、例えば結束バンドである。
【0034】
なお、ワイヤハーネス10は、入口33から引き出される電線束11の外周を覆う図示しない外装部材を備えていてもよい。同外装部材としては、例えば、蛇腹構造を有するコルゲートチューブ等を用いることができる。また、第1出口34から引き出される第1電線束21、及び、第2出口35から引き出される第2電線束22の各々は、例えば、外周がテープ巻きされることでそれぞれ束ねられている。
【0035】
(プロテクタ本体40及びカバー50の構成)
図2に示すように、プロテクタ12は、例えば、プロテクタ本体40と、プロテクタ本体40に組み付けられるカバー50とを有している。カバー50は、例えば、プロテクタ本体40とは別体をなしている。カバー50は、プロテクタ本体40を高さ方向Hの上方から覆うように取り付けられる。
【0036】
図2及び図3に示すように、プロテクタ本体40は、底壁41と、底壁41に立設された側壁42とを有している。側壁42は、底壁41からプロテクタ12の高さ方向Hに沿って延びている。側壁42は、例えば、底壁41に対して垂直をなしている。
【0037】
側壁42は、電線束11の通路を形成する。詳しくは、側壁42は、例えば、主通路30を形成する一対の第1壁部43と、第1出口通路31及び第2出口通路32を形成する第2壁部44、第3壁部45及び第4壁部46と、を含んでいる。一対の第1壁部43は、入口33の軸線Laに沿った方向に延在している。
【0038】
プロテクタ12の平面視において、第2壁部44、第3壁部45及び第4壁部46は、第1出口34の軸線L1及び第2出口35の軸線L2に直交する方向に順に並んでいる。すなわち、第3壁部45は、第2壁部44と第4壁部46との間に位置している。第2壁部44及び第3壁部45は、第1出口通路31を形成している。第4壁部46及び第3壁部45は、第2出口通路32を形成している。すなわち、第3壁部45は、第1出口通路31を形成する壁部と、第2出口通路32を形成する壁部とを兼ねている。したがって、第3壁部45の一側面は第1出口通路31に面し、第3壁部45の他側面は第2出口通路32に面している。なお、第2壁部44及び第3壁部45は、例えば、軸線L1,L2に沿った方向に延在している。
【0039】
(作用)
次に、プロテクタ12及び電線束11を含むワイヤハーネス10を車体パネル等の取付対象に取り付ける際の態様について説明する。
【0040】
まず、電線束11に取り付けられた状態のプロテクタ12を取付対象に固定する。
その後、プロテクタ12からそれぞれ引き出された第1電線束21及び第2電線束22を、図3に示す外部固定位置P1,P2にそれぞれ固定する。外部固定位置P1は、第1出口34から引き出された第1電線束21が取付対象に固定される固定位置のうち、第1出口34から最も近い固定位置である。第1出口34から外部固定位置P1までの長さを、第1電線束21の固定ストロークという。また、外部固定位置P2は、第2出口35から引き出された第1電線束21が取付対象に固定される固定位置のうち、第2出口35から最も近い固定位置である。第2出口35から外部固定位置P2までの長さを、第2電線束22の固定ストロークという。
【0041】
本実施形態のワイヤハーネス10では、入口33の軸線Laから第1出口34の中心C1までの距離である第1の距離D1と、入口33の軸線Laから第2出口35の中心C2までの距離である第2の距離D2とが互いに異なっている。これにより、電線束11の経路に沿った方向において、第1出口34の位置と第2出口35の位置とを互いに異ならせることが可能となる。したがって、第1出口34の位置と第2出口35の位置を外部固定位置P1,P2に応じた適切な位置に設定することが可能となる。その結果、第1電線束21及び第2電線束22の各々において、固定ストロークを適切に設定可能となる。これにより、例えば、プロテクタ12を取付対象に固定した後、第1電線束21及び第2電線束22をそれぞれ外部固定位置P1,P2において取付対象に固定する際の作業が容易となる。
【0042】
本実施形態の効果について説明する。
(1)入口33の軸線Laから第1出口34における軸線L1上の位置までの第1の距離D1と、入口33の軸線Laから第2出口35における軸線L2上の位置までの第2の距離D2とは、互いに異なる長さに設定されている。この構成によれば、電線束11の経路に沿った方向において、第1出口34の位置と第2出口35の位置とを互いに異ならせることが可能となる。これにより、外部固定位置P1,P2に応じた適切な第1出口34及び第2出口35の位置を設定することが可能となる。その結果、プロテクタ12及び電線束11を含むワイヤハーネス10の組付作業性を向上させることが可能となる。
【0043】
(2)第1出口34の軸線L1と、第2出口35の軸線L2とは、互いに平行をなしている。この構成によれば、第1電線束21と第2電線束22とをほぼ同方向に引き出すことが可能なプロテクタ12において、組付作業性を向上させることが可能となる。また、第1出口34の軸線L1と第2出口35の軸線L2とが互いに平行をなすことで、軸線L1,L2が互いに非平行である場合と比べて、第1出口通路31及び第2出口通路32の部分におけるプロテクタ12の小型化に寄与できる。
【0044】
(3)第2電線束22は、導体断面積が5平方ミリメートル以上の太物電線23を含んでいる。そして、第2の距離D2は、第1の距離D1よりも短い。この構成によれば、太物電線23を含む第2電線束22は、第1電線束21に比べて剛性が高くなりやすいため、曲げにくくなる。したがって、第2電線束22の固定ストロークは、第1電線束21の固定ストロークよりも長く確保することが望ましい。そこで、第2の距離D2を第1の距離D1よりも短くすることで、第2電線束22における固定ストロークを確保しやすくなる。その結果、組付作業性のより一層の向上に寄与できる。
【0045】
(4)プロテクタ12の平面視において、入口33の軸線Laと第1出口34の軸線L1とがなす第1の角度θ1、及び、入口33の軸線Laと第2出口35の軸線L2とがなす第2の角度θ2は、それぞれ鋭角に設定されている。この構成によれば、プロテクタ12内において第1電線束21及び第2電線束22を鋭角に曲げる必要がある構成において、組付作業性を向上させることが可能となる。
【0046】
(5)第1の角度θ1と第2の角度θ2とは、互いに同角度である。この構成によれば、第1の角度θ1と第2の角度θ2とが互いに同角度である構成において、組付作業性を向上させることが可能となる。
【0047】
(6)プロテクタ12の平面視において、第1出口34から段差Xを経由して第2出口35が設けられている。この構成によれば、電線束11の経路に沿った方向において、第1出口34の位置と第2出口35の位置とを容易に異ならせることが可能となる。
【0048】
(7)第3壁部45は、第1出口通路31を形成する壁部と、第2出口通路32を形成する壁部とを兼ねている。これにより、プロテクタ12の構成の簡素化、及び、第1出口通路31及び第2出口通路32の部分におけるプロテクタ12の小型化に寄与できる。
【0049】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・第2電線束22が太物電線23を含んでいなくてもよい。また、導体断面積が5平方ミリメートル以上の太物電線が第1電線束21に含まれていてもよい。
・プロテクタ12の平面視において、第1出口34の軸線L1と第2出口35の軸線L2とが互いに非平行であってもよい。すなわち、プロテクタ12の平面視において、第1出口34の端面と第2出口35の端面とが、互いに非平行であってもよい。
【0051】
・入口33の軸線Laと第1出口34の軸線L1とがなす第1の角度θ1、及び、入口33の軸線Laと第2出口35の軸線L2とがなす第2の角度θ2は、90°または鈍角に設定されてもよい。
【0052】
・第2の距離D2が第1の距離D1がよりも長い構成であってもよい。
・上記実施形態におけるプロテクタ12の出口の数は、第1出口34及び第2出口35がそれぞれ1つで計2つであるが、これに限らず、プロテクタ12の出口の数を3つ以上としてもよい。
【0053】
・上記実施形態のプロテクタ12において、カバー50がプロテクタ本体40に対して一体に形成されていてもよい。この場合、カバー50は、例えば、プロテクタ本体40に対しヒンジ部を介して回動可能に連結されていてもよい。
【0054】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
第1電線束及び第2電線束が内部を通るプロテクタであって、
前記第1電線束及び前記第2電線束の双方が通る入口と、
前記第1電線束が通る第1出口通路と、
前記第2電線束が通り、前記第1出口通路に隣接する第2出口通路と、を備え、
前記第2出口通路は、前記入口に対して前記第1出口通路よりも離れた位置に設けられ、
前記第1出口通路は、前記第1出口通路の長さ方向の一端において、前記第1電線束を外部に引き出す第1出口を有し、
前記第2出口通路は、前記第2出口通路の長さ方向の一端において、前記第2電線束を外部に引き出す第2出口を有し、
前記第1出口と前記第2出口とは、同一平面上に位置していない、
プロテクタ。
【0056】
この構成によれば、電線束の経路に沿った方向において、第1出口の位置と第2出口の位置とを互いに異ならせることが可能となる。これにより、外部固定位置に応じた適切な第1出口及び第2出口の位置を設定することが可能となる。その結果、プロテクタ及び電線束を含むワイヤハーネスの組付作業性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
10 ワイヤハーネス
11 電線束
12 プロテクタ
21 第1電線束
22 第2電線束
23 太物電線
30 主通路
31 第1出口通路
32 第2出口通路
33 入口
34 第1出口
35 第2出口
36 第1固定部材
37 第1取付部
38 第2固定部材
39 第2取付部
40 プロテクタ本体
41 底壁
42 側壁
43 第1壁部
44 第2壁部
45 第3壁部
46 第4壁部
50 カバー
θ1 第1の角度
θ2 第2の角度
A1 第1領域
A2 第2領域
C1 第1出口の中心
C2 第2出口の中心
D1 第1の距離
D2 第2の距離
H 高さ方向
L1 第1出口の軸線
L2 第2出口の軸線
La 入口の軸線
P1,P2 外部固定位置
X 段差
図1
図2
図3