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  • 特開-Ni基合金の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085717
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】Ni基合金の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22F 1/10 20060101AFI20240620BHJP
   B21J 5/00 20060101ALI20240620BHJP
   C22F 1/00 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
C22F1/10 K
B21J5/00 B
C22F1/10 H
C22F1/00 682
C22F1/00 691B
C22F1/00 691C
C22F1/00 683
C22F1/00 694B
C22F1/00 604
C22F1/00 602
C22F1/00 684C
C22F1/00 640A
C22F1/00 630C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200391
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003713
【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大竹 拓至
【テーマコード(参考)】
4E087
【Fターム(参考)】
4E087BA03
4E087BA14
4E087CA01
4E087CB01
4E087DB15
4E087DB24
(57)【要約】
【課題】 自由鍛造での異常結晶粒成長を抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造する方法の提供。
【解決手段】 粗鍛造工程と、δ相粒子を析出させる析出熱処理工程と、δ相粒子のピンニングにより最大結晶粒径を所定以下としつつ所定形状の半製品へ熱間鍛造する仕上げ鍛造工程と、再結晶化温度よりも高い温度に加熱し固溶化処理するとともに再結晶化させて細粒化組織とする固溶化熱処理工程と、をこの順で含む。仕上げ鍛造工程では固溶化熱処理工程での目標最大結晶粒径よりも細かい最大結晶粒径となるように熱間鍛造するとともに、仕上げ鍛造工程と固溶化熱処理工程との間で再結晶化温度よりも低い温度に加熱し、目標最大結晶粒径を上限として最大結晶粒径を大きくしつつひずみを除去するひずみ除去熱処理工程を与え、固溶化熱処理工程後に目標最大結晶粒径よりも大きな結晶粒を生じる異常結晶粒成長を抑制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NiNbの準安定相であるγ”相粒子による析出強化型のNi基合金の製造方法であって、
ビレットに熱間鍛造する粗鍛造工程と、
前記ビレットを加熱しNiNbの安定相からなるδ相粒子を析出させる析出熱処理工程と、
前記δ相粒子のピンニングにより最大結晶粒径を所定以下としつつ前記ビレットを所定形状の半製品へ熱間鍛造する仕上げ鍛造工程と、
再結晶化温度よりも高い温度に加熱し固溶化処理するとともに再結晶化させて細粒化組織とする固溶化熱処理工程と、をこの順で含み、
前記仕上げ鍛造工程では前記固溶化熱処理工程での目標最大結晶粒径よりも細かい最大結晶粒径となるように熱間鍛造するとともに、前記仕上げ鍛造工程と前記固溶化熱処理工程との間で前記再結晶化温度よりも低い温度に加熱し、前記目標最大結晶粒径を上限として最大結晶粒径を大きくしつつひずみを除去するひずみ除去熱処理工程を与えることで、前記固溶化熱処理工程後に前記目標最大結晶粒径よりも大きな結晶粒を生じる異常結晶粒成長を抑制することを特徴とするNi基合金の製造方法。
【請求項2】
前記固溶化熱処理工程では970℃以上の温度に加熱し固溶化処理するとともに、ひずみ除去熱処理工程では820~960℃の温度で加熱しひずみを除去することを特徴とする請求項1記載のNi基合金の製造方法。
【請求項3】
前記粗鍛造工程では結晶粒度番号で0番以上の結晶粒組織とすることを特徴とする請求項1記載のNi基合金の製造方法。
【請求項4】
前記析出熱処理工程では、断面面積率で3%以上のδ相を析出させることを特徴とする請求項1記載のNi基合金の製造方法。
【請求項5】
前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程での加熱炉にて加熱を行うとともに、ひずみを除去後に室温まで冷却する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のNi基合金の製造方法。
【請求項6】
前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程後の前記半製品を室温まで冷却した後に、前記固溶化熱処理工程での加熱炉にて加熱を行うことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のNi基合金の製造方法。
【請求項7】
前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程後の前記半製品を室温まで冷却した後に加熱を行うとともに、ひずみを除去後に室温まで冷却する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のうちの1つに記載のNi基合金の製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自由鍛造によるNi基合金の製造方法に関し、特に、NiNbの準安定相であるγ”相粒子による析出強化型のNi基合金の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Ni基合金の製造方法として、ビレットにひずみを導入し再結晶化を促進させて結晶粒の細かい内部組織を作り込む方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。一方で、外部から変形を与える鍛造工程では、ひずみの導入が十分でなく、特に、外部から与えるひずみが導入されづらい大型のビレットなどでは、再結晶化を均一に得られず部分的に結晶粒を粗大化させてしまう、いわゆる「異常結晶粒成長」が問題となった。かかる異常結晶粒成長は、CrやFeとともに、Nb、Mo、AlやTiなどを含む析出硬化型のNi基合金である718合金(Alloy 718)において顕著である。
【0003】
特許文献2では、718合金からなるビレットを1段階又は多段階で据え込み鍛造して所要の最終形状に加工する大形鍛造品の製造方法として、異常結晶粒成長を生じさせる加工条件(加工ウィンドウ)を避けて加工を行うことを述べている。かかる加工条件は、初期結晶粒度、鍛造温度、鍛造ひずみ、鍛造ひずみ速度、据え込み回数、及び溶体化処理の各パラメータに依存するが、ここでは、容体化熱処理前のビレットの各据え込み作業ごとに部品の全領域で0.125の最小ひずみを与えておくようにするとしている。なお、鍛造温度及び溶体化処理温度を下げると、最大ひずみ値が低下し、異常結晶粒成長の可能性が減る一方、ひずみ速度は、最大ひずみ値に対してほとんど影響を与えず、異常結晶粒成長の発生量にはほとんど影響しないとも述べている。
【0004】
また、特許文献3では、特許文献2を引用し、低歪速度の条件では、上記したような0.125程度の歪を与えても異常結晶粒成長を十分に抑制できないとした上で、型打ち鍛造やリング圧延などの種々の歪速度も加工ウィンドウからはずれるようにすることを述べている。ここで、950~1000℃程度での固溶化処理の前に、γ’やγ’’といった析出物を積極的に析出させて蓄積した歪エネルギーを除去するように600~930℃の範囲で5~60時間の予備加熱をすることで、固溶化処理時の異常粒成長のリスクを低減できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-8660号
【特許文献2】特開2001-123257号公報
【特許文献3】国際公開第2015/151808号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数回の押し込みを行う自由鍛造(多段鍛造)において、異常結晶粒成長を発生させるひずみエネルギーの蓄積状況が異なると、上記したような加工条件(加工ウィンドウ)が異なることになる。例えば、自由鍛造において、トータルで0.8以上といった大きなひずみを与えても超音波検査での異常(概ね、結晶粒度#2相当以上の粗大粒の発生)が観察されることもある。
【0007】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、自由鍛造での異常結晶粒成長を抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による製造方法は、NiNbの準安定相であるγ”相粒子による析出強化型のNi基合金の製造方法であって、ビレットに熱間鍛造する粗鍛造工程と、前記ビレットを加熱しNiNbの安定相からなるδ相粒子を析出させる析出熱処理工程と、前記δ相粒子のピンニングにより最大結晶粒径を所定以下としつつ前記ビレットを所定形状の半製品へ熱間鍛造する仕上げ鍛造工程と、再結晶化温度よりも高い温度に加熱し固溶化処理するとともに再結晶化させて細粒化組織とする固溶化熱処理工程と、をこの順で含み、前記仕上げ鍛造工程では前記固溶化熱処理工程での目標最大結晶粒径よりも細かい最大結晶粒径となるように熱間鍛造するとともに、前記仕上げ鍛造工程と前記固溶化熱処理工程との間で前記再結晶化温度よりも低い温度に加熱し、前記目標最大結晶粒径を上限として最大結晶粒径を大きくしつつひずみを除去するひずみ除去熱処理工程を与えることで、前記固溶化熱処理工程後に前記目標最大結晶粒径よりも大きな結晶粒を生じる異常結晶粒成長を抑制することを特徴とする。
【0009】
かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0010】
上記した発明において、前記固溶化熱処理工程では970℃以上の温度に加熱し固溶化処理するとともに、ひずみ除去熱処理工程では820~960℃の温度で加熱しひずみを除去することを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0011】
上記した発明において、前記粗鍛造工程では結晶粒度番号で0番以上の結晶粒組織とすることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0012】
上記した発明において、前記析出熱処理工程では、断面面積率で3%以上のδ相を析出させることを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0013】
上記した発明において、前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程での加熱炉にて加熱を行うとともに、ひずみを除去後に室温まで冷却する工程を含むことを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0014】
上記した発明において、前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程後の前記半製品を室温まで冷却した後に、前記固溶化熱処理工程での加熱炉にて加熱を行うことを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【0015】
上記した発明において、前記ひずみ除去熱処理工程は、前記仕上げ鍛造工程後の前記半製品を室温まで冷却した後に加熱を行うとともに、ひずみを除去後に室温まで冷却する工程を含むことを特徴としてもよい。かかる特徴によれば、自由鍛造での異常結晶粒成長を確実に抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による実施例におけるNi基合金の製造方法を示す熱処理線図である。
図2】ひずみ除去熱処理工程の無い場合の結晶粒の成長についての推定原理図である。
図3】ひずみ除去熱処理工程の有る場合の結晶粒の成長についての推定原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による1つの実施例としてNi基合金の製造方法について、図1に沿って説明する。
【0018】
ここで用いられる合金は、NiNbの準安定相であるγ”相粒子による析出強化型のNi基合金である。典型的な合金の例として、Alloy718合金が挙げられるが、以降の説明において温度は同合金の場合についてのものである。
【0019】
図1に示すように、まず、分塊鍛造して得た合金塊に固溶化熱処理を行う(S1)。ここで、固溶化熱処理は、合金全体をγ相とするように保持する。典型的には、1050℃×4hの保持とし得る。
【0020】
次いで、合金塊をビレット形状に熱間鍛造する(S2:粗鍛造工程)。鍛造温度はδ相を固溶させる温度以上の温度で行う。例えば、鍛造開始温度:1120℃、鍛造終了温度:1050℃とし、据え込みと鍛伸とを繰り返し与える工程とし得る。粗鍛造工程(S2)では、結晶粒度番号で0番以上の結晶粒組織とすることも好ましい。比較的小さな結晶粒とすることで、後の工程において微細な結晶粒とすることが容易となる。
【0021】
さらに、ビレットを加熱してNiNbの安定相からなるδ相粒子を析出させる(S3:析出熱処理工程)。つまり、δ相の析出するノーズ温度で保持する。例えば、915℃×36hの保持とし得る。δ相粒子を細かく多数析出させることで、この後の工程において結晶粒の成長を抑制するピン止め粒子として機能させる。ここでは、断面面積率で3%以上のδ相を析出させることが好ましい。なお、この析出熱処理工程(S3)の前半をγ”相粒子を析出させる処理とすることもできる。この場合、例えば、870℃×10hのγ”相粒子析出処理を行った後、915℃×10hのδ相粒子析出処理を行うなどのように2段階の熱処理とされる。
【0022】
続いて、仕上げ鍛造を行う(S4:仕上げ鍛造工程)。ここでは、δ相粒子のピンニングにより最大結晶粒径を所定以下としつつビレットを熱間鍛造して所定形状の半製品を得る。δ相粒子を球状化させてピンニングの効果を高めるよう、δ相を固溶させる温度以下の温度で熱間鍛造を行う。また、併せて再結晶も促し、結晶粒を微細化させる。例えば、加工温度は980℃とし得る。特に、後述する固溶化熱処理工程(S6)での目標最大結晶粒径よりも細かい最大結晶粒径となるように熱間鍛造を行う。
【0023】
仕上げ鍛造(S4)の後は、一般的には、固溶化熱処理工程(S6)であるが、本実施例においては両工程の間にひずみ除去熱処理工程(S5)が設けられる。ひずみ除去熱処理工程(S5)では、再結晶化温度よりも低い温度に加熱し、目標最大結晶粒径を上限として、それ以下の範囲で最大結晶粒径を大きくしつつひずみを除去する。例えば、加熱温度は820~960℃、好ましくは820~940℃とし得る。また、保持時間は1時間以上とすることが好ましい。
【0024】
続いて、固溶化熱処理工程(S6)では、再結晶化温度よりも高い温度に加熱して粒界などに析出した炭化物を母相内に固溶させて耐腐食性の向上を図る固溶化処理が行われる。併せて、組織を再結晶化させて細粒化組織とする。ここで、本実施例においては、ひずみ除去熱処理工程(S5)によってひずみが除去されているため、目標最大結晶粒径よりも大きな粒径の結晶粒を生じるような異常結晶粒径成長を抑制することができる。保持温度としては、970℃以上、例えば、980℃とし得る。
【0025】
以上によって、自由鍛造での異常結晶粒成長を抑制し機械的性状に優れたNi基合金を製造することができる。なお、同Ni基合金は、この後、機械加工されるなどして、最終的に時効熱処理(S7)によってγ”相粒子を析出させて、時効硬化される。例えば、保持温度を720℃、620℃とする二段時効処理とすることができる。
【0026】
このような、異常結晶粒成長の抑制されたNi基合金を製造できる原理について、以下のように推定される。
【0027】
図2を参照すると、例えば、仕上げ鍛造工程(S4)後において、結晶粒度番号で8番相当の最大結晶粒径を得ることができる(同図(a)参照)。このとき、従来のように、仕上げ鍛造工程(S4)に続いて固溶化熱処理を行うと合金内部にひずみが多く残った高ひずみの状態となっており、異常結晶粒成長に発展し得る急速な粒成長を部分的に生じる。急速な粒成長を生じた結晶粒は、δ相粒子によるピンニングによってもその成長を止めることはできず、例えば、目標最大結晶粒径である結晶粒度番号で6番相当の粒径となる(同図(b)参照)。そして、高温、高ひずみによって結晶粒の急速な成長が続き、同じ結晶粒が結晶粒度番号で4番相当の粒径となる(同図(c)参照)。つまり、異常結晶粒成長を生じて目標最大結晶粒径よりも大きな結晶粒を生成する。
【0028】
一方、図3に示すように、本実施例においては、上記したように仕上げ鍛造工程(S4)に続いてひずみ除去熱処理工程(S5)が与えられる。この場合、まず、仕上げ鍛造工程(S4)において、同様に、結晶粒度番号で8番相当の最大結晶粒径を得る(同図(a)参照)。そして、ひずみ除去熱処理工程の序盤では、仕上げ鍛造後の高ひずみ状態であり、上記と同様に急速な粒成長を部分的に生じる。そして、急速な粒成長を生じた結晶粒は、例えば、目標最大結晶粒径である結晶粒度番号で6番相当の粒径とされる(同図(b)参照)。そのままひずみ除去熱処理を続けると、比較的低温であるために他の部分において急速な粒成長を生じ、同様に結晶粒度番号で6番相当の粒径となる。低温であるためこれ以上の粒径には成長しない。これらの粒成長に伴ってひずみが開放され、低ひずみの状態となる(同図(c)参照)。続いて、固溶化熱処理(S5)を行うと、高温ではあるもののひずみが小さく混粒度も低いために、さらにはδ相粒子によるピンニングの効果もあり、急成長した結晶粒はこれ以上成長しない。そして、目標最大結晶粒径である結晶粒度番号で6番相当の最大結晶粒径が維持される(同図(d)参照)。つまり、目標最大結晶粒径である結晶粒度番号で6番相当の粒径よりも大きな異常結晶粒成長の発生を抑制できる。
【0029】
なお、ひずみ除去熱処理工程(S5)は、以下のような方法で実施し得る。
【0030】
例えば、仕上げ鍛造工程(S4)で用いた加熱炉に戻して(炉戻し)加熱を行ってひずみ除去熱処理工程(S5)とすることができる。この場合、ひずみを除去した後に室温まで冷却し、ひずみ除去後の半製品を固溶化熱処理工程(S6)を行う熱処理炉に運搬することになる。加熱された炉に戻すので製造コストの上昇を抑えることができる。
【0031】
また、例えば、仕上げ鍛造工程(S4)後の半製品を室温まで冷却した後に、固溶化熱処理工程(S6)を行う熱処理炉にて加熱を行ってひずみ除去熱処理工程(S5)とすることもできる。この場合、ひずみ除去後に冷却せずに、そのまま加熱して固溶化熱処理工程(S6)を行うことができる。
【0032】
また、例えば、仕上げ鍛造工程(S4)後の半製品を室温まで冷却した後に加熱を行ってひずみ除去熱処理工程(S5)とし、その後室温まで冷却することもできる。この場合、ひずみ除去熱処理工程(S5)に用いる炉を自由に選択することができる。
【0033】
以上、本発明の代表的な実施例及びこれに基づく改変例を説明したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0034】
S2 粗鍛造工程
S3 析出熱処理工程
S4 仕上げ鍛造工程
S5 ひずみ除去熱処理工程
S6 固溶化熱処理工程
図1
図2
図3