(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085719
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び作業車両
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04858 20160101AFI20240620BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240620BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240620BHJP
B60L 50/75 20190101ALI20240620BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240620BHJP
B60L 58/40 20190101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
B60L50/60
B60L50/75
B60L58/10
B60L58/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200398
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 哲夫
【テーマコード(参考)】
5H125
5H127
【Fターム(参考)】
5H125AA12
5H125AC07
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC05
5H125BD14
5H125CD06
5H125EE33
5H125FF26
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB07
5H127BB12
5H127BB37
5H127DC90
5H127DC96
5H127EE04
5H127FF04
(57)【要約】
【課題】燃料電池システムの効率の低下を抑制すること。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池と、蓄電装置と、燃料電池からの電力及び蓄電装置からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する電動モータと、燃料電池を作動させるための電動補機と、燃料電池から電動補機への電力の供給と蓄電装置から電動補機への電力の供給とを切り換えるスイッチ動作を実施するスイッチ装置と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
蓄電装置と、
前記燃料電池からの電力及び前記蓄電装置からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する電動モータと、
前記燃料電池を作動させるための電動補機と、
前記燃料電池から前記電動補機への電力の供給と前記蓄電装置から前記電動補機への電力の供給とを切り換えるスイッチ動作を実施するスイッチ装置と、を備える、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記スイッチ装置は、前記燃料電池の負荷率に基づいて前記スイッチ動作を実施する、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記スイッチ装置は、前記燃料電池の負荷率が閾値以上である場合、前記蓄電装置から前記電動補機へ電力が供給されるようにスイッチ動作を実施する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記スイッチ装置は、前記燃料電池の負荷率が閾値未満である場合、前記燃料電池から前記電動補機へ電力が供給されるようにスイッチ動作を実施する、
請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記電動モータに対して前記燃料電池と前記蓄電装置とは並列接続され、
前記電動補機は、前記燃料電池及び前記蓄電装置に並列接続される、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記電動補機は、前記燃料電池に空気を供給するエアコンプレッサ、及び前記燃料電池に冷媒を供給する冷媒ポンプの少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システムを備える、
作業車両。
【請求項8】
車輪を備え、
前記電動モータは、車輪を回転させる、
請求項7に記載の作業車両。
【請求項9】
油圧シリンダと、
前記油圧シリンダに供給される作動油を吐出する油圧ポンプと、を備え、
前記電動モータは、前記油圧ポンプを駆動させる、
請求項7に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料電池システム及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムに係る技術分野において、特許文献1に開示されているような、燃料電池の電機システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池の特性として、燃料電池の負荷率が上昇するほど燃料電池の効率が低下することが知られている。また、燃料電池システムは、燃料電池を作動させるための電動補機を有する。燃料電池が発電した電力が電動補機に使用されると、燃料電池の効率の更なる低下が懸念される。
【0005】
本開示は、燃料電池システムの効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、燃料電池と、蓄電装置と、燃料電池からの電力及び蓄電装置からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する電動モータと、燃料電池を作動させるための電動補機と、燃料電池から電動補機への電力の供給と蓄電装置から電動補機への電力の供給とを切り換えるスイッチ動作を実施するスイッチ装置と、を備える、燃料電池システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、燃料電池システムの効率の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業車両を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る作業車両の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る燃料電池の特性を説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る燃料電池システムの一部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業車両]
図1は、実施形態に係る作業車両2を模式的に示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る作業車両2の構成を模式的に示す図である。作業車両2とは、作業現場で作業する車両をいう。作業現場として、鉱山又は採石場が例示される。実施形態において、作業車両2は、作業現場で積荷を運搬する運搬作業を実施する運搬車両である。作業車両2は、作業車両2に搭乗した運転者による運転操作に基づいて稼働する有人車両でもよいし、運転者による運転操作によらずに無人で稼働する無人車両でもよい。実施形態においては、作業車両2を適宜、ダンプトラック2、と称する。
【0011】
図1及び
図2に示すように、ダンプトラック2は、燃料電池システム3と、電動モータ4と、パワーテイクオフ6と、油圧ポンプ5と、バルブ装置7と、前輪8Aと、後輪8Bと、走行モータ4Bと、ステアリングシリンダ9と、車体10と、ダンプボディ12と、ホイストシリンダ13とを備える。
【0012】
電動モータ4は、燃料電池システム3が発電した電力に基づいて駆動する。実施形態において、電動モータ4は、駆動モータ4A及び走行モータ4Bを含む。
【0013】
油圧ポンプ5は、パワーテイクオフ6を介して駆動モータ4Aに接続される。駆動モータ4Aは、油圧ポンプ5を駆動させる。油圧ポンプ5は、ステアリングシリンダ9及びホイストシリンダ13のそれぞれに供給される作動油を吐出する。油圧ポンプ5から吐出された作動油は、バルブ装置7を介して、ステアリングシリンダ9及びホイストシリンダ13のそれぞれに供給される。
【0014】
前輪8A及び後輪8Bのそれぞれは、車体10を支持する。前輪8Aに前タイヤ11Aが装着される。後輪8Bに後タイヤ11Bが装着される。前輪8Aは、ステアリングシリンダ9により操舵される操舵輪である。後輪8Bは、走行モータ4Bが発生する動力により回転する駆動輪である。走行モータ4Bは、後輪8Bを回転させる。後輪8Bに装着された後タイヤ11Bが回転することにより、ダンプトラック2が走行する。
【0015】
ステアリングシリンダ9は、油圧アクチュエータの一種である油圧シリンダである。ステアリングシリンダ9は、油圧ポンプ5から吐出された作動油に基づいて駆動する。バルブ装置7は、油圧ポンプ5からステアリングシリンダ9に供給される作動油の方向及び流量を調整する。ステアリングシリンダ9は、前輪8Aを操舵する動力を発生する。
【0016】
車体10は、前輪8A及び後輪8Bのそれぞれに支持される。ダンプボディ12は、車体10に支持される。ダンプボディ12は、積荷が積み込まれる部材である。ダンプボディ12は、ホイストシリンダ13により回動される。ダンプボディ12は、リアダンプ方式である。ホイストシリンダ13によりダンプボディ12が後方に回動することにより、ダンプボディ12から積荷が排出される。
【0017】
ホイストシリンダ13は、油圧アクチュエータの一種である油圧シリンダである。ホイストシリンダ13は、油圧ポンプ5から吐出された作動油に基づいて駆動する。バルブ装置7は、油圧ポンプ5からホイストシリンダ13に供給される作動油の方向及び流量を調整する。ホイストシリンダ13は、ダンプボディ12を回動させる動力を発生する。
【0018】
[燃料電池システム]
燃料電池システム3は、ダンプトラック2に搭載される。
図2に示すように、燃料電池システム3は、燃料電池20と、酸化ガス供給装置30と、燃料ガス供給装置40と、ガス排出装置50と、電力調整装置60と、冷媒供給装置70とを有する。
【0019】
燃料電池20は、燃料ガスである水素と酸化ガスである酸素とを化学反応させて発電する。燃料電池20は、複数の単位セルが積層されたスタック構造を有する。
【0020】
酸化ガス供給装置30は、燃料電池20のカソードに酸素を含む空気を供給する。酸化ガス供給装置30は、エアコンプレッサ31と、酸素富化膜32と、タービン33と、給気ライン34と、給気ライン35と、給気ライン36とを有する。エアコンプレッサ31は、ダンプトラック2の外部の空気を吸引して燃料電池20に供給する。タービン33は、エアコンプレッサ31に接続される。給気ライン34は、エアコンプレッサ31と酸素富化膜32とを接続する。エアコンプレッサ31により吸引された空気は、給気ライン34を介して酸素富化膜32に供給される。酸素富化膜32は、空気から酸素濃度が増大した酸素富化空気と酸素濃度が低下した窒素富化空気とを生成する。給気ライン35は、酸素富化膜32と燃料電池20のカソード入口とを接続する。酸素富化膜32において生成された酸素富化空気は、給気ライン35を介して燃料電池20のカソードに供給される。給気ライン36は、酸素富化膜32とタービン33とを接続する。酸素富化膜32において生成された窒素富化空気は、給気ライン36を介してタービン33に供給される。窒素富化空気は、タービン33を回転させる。タービン33は、エアコンプレッサ31に回転力を与える。
【0021】
燃料ガス供給装置40は、燃料電池20のアノードに水素を供給する。燃料ガス供給装置40は、水素タンク41と、燃料ガス供給ライン42とを有する。水素タンク41は、水素を収容する。水素は、水素タンク41に充填される。燃料ガス供給ライン42は、水素タンク41と燃料電池20のアノード入口とを接続する。水素タンク41から送出された水素は、燃料ガス供給ライン42を介して燃料電池20のアノードに供給される。なお、燃料ガス供給ライン42に、水素タンク41の水素を燃料電池20に供給する水素ポンプが配置されてもよい。
【0022】
ガス排出装置50は、燃料電池20から排出されたガスをダンプトラック2の周囲の大気空間に排出する。ガス排出装置50は、排気ライン51と、タービン52とを有する。排気ライン51は、燃料電池20のカソード出口とタービン52とを接続する。タービン52は、燃料電池20から排出されたガスにより回転する。
【0023】
電力調整装置60は、DC/DCコンバータ61と、インバータ62と、DC/DCコンバータ63と、蓄電装置64とを有する。電力調整装置60は、燃料電池20が発電した電力及び蓄電装置64に蓄えられている電力の少なくとも一方を電動モータ4(4A,4B)に供給する。電動モータ4は、燃料電池20からの電力及び蓄電装置64からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する。
【0024】
DC/DCコンバータ61は、燃料電池20で発電された電圧を昇圧する。DC/DCコンバータ61は、燃料電池20で発電された直流電流をインバータ62に供給する。蓄電装置64は、燃料電池20が発電した電力により充電される。蓄電装置64は、ダンプトラック2の外部に設けられた充電装置により充電されてもよい。蓄電装置64は、電動モータ4の回生エネルギーにより充電されてもよい。蓄電装置64は、二次電池(蓄電池)を含む。実施形態において、蓄電装置64は、リチウムイオンバッテリ(LiB:Lithium ion Battery)を含む。なお、蓄電装置64は、リチウムイオンキャパシタ(LiC:Lithium ion Capacitor)を含んでもよいし、電気二重層キャパシタ(EDLC:Electric Double Layer Capacitor)を含んでもよい。DC/DCコンバータ63は、蓄電装置64が燃料電池20と一体となってインバータ62へ電力を供給できるように、蓄電装置64の充放電を制御する。インバータ62は、DC/DCコンバータ61及びDC/DCコンバータ63の少なくとも一方からの直流電流を三相交流電流に変換して電動モータ4(4A,4B)に供給する。電動モータ4(4A,4B)は、インバータ62から供給された三相交流電流に基づいて駆動される。
【0025】
冷媒供給装置70は、燃料電池20を冷却するために燃料電池20に冷媒を供給する。冷媒として、水が例示される。冷媒供給装置70は、供給ライン71と、排出ライン72と、ラジエータ73と、冷媒ポンプ74とを有する。供給ライン71は、燃料電池20の冷媒入口に接続される。排出ライン72は、燃料電池20の冷媒出口に接続される。ラジエータ73は、供給ライン71と排出ライン72とに接続される。冷媒ポンプ74は、供給ライン71に配置される。冷媒ポンプ74は、燃料電池20に冷媒を供給する。冷媒ポンプ74は、供給ライン71、燃料電池20、排出ライン72、及びラジエータ73を含む循環経路において冷媒が循環するように駆動する。ラジエータ73は、燃料電池20から排出された冷媒とダンプトラック2の外部の空気とを熱交換して冷媒を冷却する。
【0026】
[燃料電池の特性]
図3は、実施形態に係る燃料電池20の特性を説明するための図である。
図3は、燃料電池20の負荷率と効率との関係を示す。燃料電池20の負荷率とは、燃料電池20が定格能力(設計上の100%能力)で作動したときの発電量のうち実際に使用された電力量の割合をいう。燃料電池20の効率(発電効率)とは、燃料電池20に投入された再生可能エネルギー(水素)が電気エネルギーに変換される割合をいう。
図3において、効率は、燃料電池20単体での効率である。
図3に示すように、燃料電池20の負荷率が上昇するほど燃料電池20の効率が低下する。すなわち、燃料電池20が発生した電力が多量に使用されるほど燃料電池20の効率が低下する。
図3に示すように、燃料電池20の負荷率が20%以上30%以下である場合、燃料電池20の効率が高くなる。燃料電池20の負荷率が30%よりも高くなるほど燃料電池20の効率が徐々に低下する。また、燃料電池20の負荷率が10%を下回ると、燃料電池20の効率が急激に低下する。
【0027】
燃料電池システム3は、燃料電池20を作動させるための電動補機を有する。
図2に示した例において、電動補機は、燃料電池20に空気を供給するエアコンプレッサ31、及び燃料電池20に冷媒を供給する冷媒ポンプ74の少なくとも一方を含む。なお、水素タンク41の水素を燃料電池20に供給する水素ポンプが燃料ガス供給ライン42に配置されている場合、電動補機は、水素ポンプを含んでもよい。燃料電池20が発生した電力が電動モータ4のみならず電動補機にも使用されると、燃料電池20の負荷率が上昇することとなる。燃料電池20の負荷率か上昇すると、燃料電池20の効率が低下する。
【0028】
実施形態において、燃料電池システム3は、燃料電池20から電動補機への電力の供給と蓄電装置64から電動補機への電力の供給とを切り換えることによって、燃料電池20が発生した電力が電動補機に使用されることを抑制する。燃料電池20が発生した電力が電動補機に使用されることが抑制されることにより、燃料電池20の負荷率の上昇が抑制されるので、燃料電池20の効率の低下が抑制される。
【0029】
[スイッチ装置]
図4は、実施形態に係る燃料電池システム3の一部を模式的に示す図である。
図4に示すように、燃料電池システム3は、燃料電池20と、蓄電装置64と、電動モータ4と、電動補機25と、DC/DCコンバータ61と、DC/DCコンバータ63と、インバータ62と、スイッチ装置80と、コントローラ90とを備える。
【0030】
電動モータ4は、燃料電池20からの電力及び蓄電装置64からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する。上述のように、電動モータ4は、油圧ポンプ5を駆動させる駆動モータ4A及び後輪8Bを回転させる走行モータ4Bを含む。
【0031】
DC/DCコンバータ61は、燃料電池20で発電された電圧を昇圧する。DC/DCコンバータ63は、蓄電装置64が燃料電池20と一体となってインバータ62へ電力を供給できるように、蓄電装置64の充放電を制御する。インバータ62は、DC/DCコンバータ61及びDC/DCコンバータ63の少なくとも一方からの直流電流を三相交流電流に変換して電動モータ4に供給する。電動モータ4は、インバータ62から供給された三相交流電流に基づいて駆動される。
【0032】
電動補機25は、燃料電池20を作動させるために駆動する。電動補機25は、燃料電池20からの電力及び蓄電装置64からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する。
【0033】
電動モータ4に対して、燃料電池20と蓄電装置64とは、並列接続される。電動補機25は、燃料電池20及び蓄電装置64に並列接続される。
【0034】
スイッチ装置80は、燃料電池20から電動補機25への電力の供給と蓄電装置64から電動補機25への電力の供給とを切り換えるスイッチ動作を実施する。スイッチ装置80は、燃料電池20と電動補機25との間に配置される第1スイッチ81と、蓄電装置64と電動補機25との間に配置される第2スイッチ82とを有する。コントローラ90は、スイッチ装置80を制御する。第1スイッチ81がオンされ、燃料電池20と電動補機25とが接続されることにより、燃料電池20から電動補機25へ電力が供給される。第1スイッチ81がオフされ、燃料電池20と電動補機25との接続が解除されることにより、燃料電池20から電動補機25への電力の供給が遮断される。第2スイッチ82がオンされ、蓄電装置64と電動補機25とが接続されることにより、蓄電装置64から電動補機25へ電力が供給される。第2スイッチ82がオフされ、蓄電装置64と電動補機25との接続が解除されることにより、蓄電装置64から電動補機25への電力の供給が遮断される。
【0035】
コントローラ90は、燃料電池20の負荷率に基づいて、スイッチ装置80のスイッチ動作を実施する。コントローラ90は、DC/DCコンバータ61の作動状態に基づいて、燃料電池20の負荷率を監視することができる。
【0036】
コントローラ90は、燃料電池20の負荷率が予め定められた閾値以上である場合、蓄電装置64から電動補機25へ電力が供給され、燃料電池20から電動補機25へ電力が供給されないように、スイッチ装置80のスイッチ動作を実施する。一例として、負荷率に係る閾値を60%とした場合、コントローラ90は、燃料電池20の負荷率が60%以上100%以下であるときに、第1スイッチ81をオフし、第2スイッチ82をONする。燃料電池20の負荷率が高い場合、燃料電池20から電動補機25に電力が供給されないので、燃料電池20が発生した電力は、電動補機25に使用されず、電動モータ4に使用される。電動補機25は、蓄電装置64から供給された電力に基づいて駆動する。燃料電池20が発生した電力が電動補機25に使用されないので、燃料電池20の負荷率の上昇が抑制される。燃料電池20の負荷率の上昇が抑制されるので、燃料電池20の効率の低下が抑制される。
【0037】
コントローラ90は、燃料電池20の負荷率が予め定められた閾値未満である場合、燃料電池20から電動補機25へ電力が供給され、蓄電装置64から電動補機25へ電力が供給されないように、スイッチ装置80のスイッチ動作を実施する。コントローラ90は、燃料電池20の負荷率が0%以上60%未満であるときに、第1スイッチ81をオンし、第2スイッチ82をオフする。燃料電池20の負荷率が低い場合、蓄電装置64から電動補機25に電力が供給されないので、蓄電装置64に充電されている電力の消費が抑制される。電動補機25は、燃料電池20から供給された電力に基づいて駆動する。
【0038】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、燃料電池システム3は、燃料電池20と、蓄電装置64と、燃料電池20からの電力及び蓄電装置64からの電力の少なくとも一方に基づいて駆動する電動モータ4と、燃料電池20を作動させるための電動補機25と、燃料電池20から電動補機25への電力の供給と蓄電装置64から電動補機25への電力の供給とを切り換えるスイッチ動作を実施するスイッチ装置80と、を備える。
【0039】
実施形態によれば、燃料電池20が発生した電力が電動補機25に常時使用されないので、燃料電池20の負荷率の上昇が抑制される。燃料電池20の負荷率の上昇が抑制されるので、燃料電池20の効率の低下が抑制される。燃料電池20の効率の低下が抑制されるので、燃料電池システム3の効率の低下が抑制される。
【0040】
スイッチ装置80は、燃料電池20の負荷率に基づいてスイッチ動作を実施する。燃料電池20の負荷率が閾値以上である場合、蓄電装置64から電動補機25へ電力が供給されるようにスイッチ動作が実施されることにより、燃料電池20の負荷率が更に高くなることが抑制される。燃料電池20の負荷率が閾値未満である場合、燃料電池20から電動補機25へ電力が供給されるようにスイッチ動作が実施されることにより、蓄電装置64に充電されている電力の消費が抑制される。
【0041】
電動補機25と燃料電池20と蓄電装置64とは、並列接続される。これにより、燃料電池システム3の構造の複雑化を招くことなく、スイッチ動作が円滑に実施される。
【符号の説明】
【0042】
2…ダンプトラック(作業車両)、3…燃料電池システム、4…電動モータ、4A…駆動モータ、4B…走行モータ、5…油圧ポンプ、6…パワーテイクオフ、7…バルブ装置、8A…前輪、8B…後輪、9…ステアリングシリンダ、10…車体、11A…前タイヤ、11B…後タイヤ、12…ダンプボディ、13…ホイストシリンダ、20…燃料電池、25…電動補機、30…酸化ガス供給装置、31…エアコンプレッサ、32…酸素富化膜、33…タービン、34…給気ライン、35…給気ライン、36…給気ライン、40…燃料ガス供給装置、41…水素タンク、42…燃料ガス供給ライン、50…ガス排出装置、51…排気ライン、52…タービン、60…電力調整装置、61…DC/DCコンバータ、62…インバータ、63…DC/DCコンバータ、64…蓄電装置、70…冷媒供給装置、71…供給ライン、72…排出ライン、73…ラジエータ、74…冷媒ポンプ、80…スイッチ装置、81…第1スイッチ、82…第2スイッチ、90…コントローラ。