IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本ケミコン株式会社の特許一覧

特開2024-85726電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法
<>
  • 特開-電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法 図1
  • 特開-電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法 図2
  • 特開-電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法 図3
  • 特開-電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法 図4
  • 特開-電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085726
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/00 20060101AFI20240620BHJP
   H01G 9/055 20060101ALI20240620BHJP
   H01G 9/15 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01G9/00 290D
H01G9/00 290E
H01G9/055
H01G9/15
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200411
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】長原 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小関 良弥
(72)【発明者】
【氏名】川島 毅
(57)【要約】
【課題】切断などで生じる箔の耐電圧低下を抑制すること、切断などで箔に生じた酸化皮膜の欠損部を蓄電素子の形成後に修復し、蓄電素子ないし蓄電デバイスの耐電圧を改善する。
【解決手段】弁金属からなる箔に拡面処理を施す工程と、前記拡面処理が施された前記箔に酸化皮膜層(26)を形成する工程と、前記酸化皮膜層が形成された前記箔を切断する工程と、前記箔の切断面に前記酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ樹脂層を形成する工程とを含んでいる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁金属からなる箔に拡面処理を施す工程と、
前記拡面処理が施された前記箔に酸化皮膜層を形成する工程と、
前記酸化皮膜層が形成された前記箔を切断する工程と、
前記箔の切断面に前記酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ樹脂層を形成する工程と、を含む、電極箔の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂層の形成は、電気泳動電着による工程を含む、請求項1に記載の電極箔の製造方法。
【請求項3】
電気泳動電着膜の形成の後、修復化成処理によって酸化皮膜を形成する工程を含む、請求項1または請求項2に記載の電極箔の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電極箔を用いて蓄電素子を形成する工程と、
前記蓄電素子に導電性高分子層の形成する工程と、
を含む、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記蓄電素子に修復化成を施し、前記箔に酸化皮膜の形成する工程を含む、請求項4に記載の蓄電デバイスの製造方法。
【請求項6】
弁金属からなる箔と、
前記箔に形成された拡面処理層と、
前記拡面処理層に形成された酸化皮膜層と、
前記箔の少なくとも切断面に形成された樹脂層と、
を含み、前記樹脂層は、前記切断面に露出する地金部で厚く、箔面に向かって漸次に薄く形成されている、電極箔。
【請求項7】
請求項6に記載の電極箔を用いた蓄電素子を含み、この蓄電素子が導電性高分子層を含む、蓄電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はたとえば、酸化皮膜層などの絶縁皮膜層を含む電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電デバイスの一例である固体電解コンデンサにおいて、電極箔に形成する酸化皮膜としてアモルファス性の皮膜を形成し、この電極箔を用いてコンデンサを形成すること(たとえば、特許文献1)は既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2022/044932公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体電解コンデンサの耐電圧は、電極箔に形成される酸化皮膜で決定される最も低い耐電圧に依存する。電極箔の表面に形成する酸化皮膜の耐電圧を高圧化したとしても、この耐電圧域より低い電圧領域が存在する場合、固体電解コンデンサの製品耐電圧には電極箔の表面に形成される酸化皮膜の耐電圧の上昇効果は反映されない。
【0005】
一般的にコンデンサ素子を形成する上で、酸化皮膜を備える箔が所定形状に裁断される。このため、裁断で生じた切断面には箔の地金が露出する。このため、固体電解コンデンサにおいて、露出した地金に皮膜を形成し、電極箔から露出した基材箔である地金と固体電解質との電気的な接触を防止するために化成処理を行う素子化成工程が必要となる。
【0006】
ところで、電極箔に酸化皮膜を備えた固体電解コンデンサについて、図5は、電極箔の切断面に固体電解質が接触しないように作製した固体電解コンデンサの耐電圧を例示している。横軸に電極箔の皮膜形成電圧、縦軸に固体電解コンデンサの耐電圧を取り、皮膜形成電圧に対する耐電圧をプロット(黒丸)している。
【0007】
この例示によれば、電極箔の切断面に固体電解質が接触しないように酸化皮膜が形成された固体電解コンデンサは、素子化成工程により形成する酸化皮膜の耐電圧の限界値である約450V以上の高電圧域においても、固体電解コンデンサの耐電圧が電極箔の皮膜形成電圧に依存して増加している。一方で、電極箔の切断面に素子化成工程で酸化皮膜を形成した固体電解コンデンサでは、酸化皮膜の耐電圧が450〔V〕を超えても、固体電解コンデンサの耐電圧は約450〔V〕に留まっている。これは、素子化成工程で形成される酸化皮膜の耐電圧の限界値が、固体電解コンデンサの耐電圧の限界となることを示すものである。
【0008】
つまり、電極箔表面の酸化皮膜の耐電圧と素子化成の工程で電極箔の切断面に形成される皮膜(以下、素子化成皮膜)の耐電圧とを比較すると、
酸化皮膜の耐電圧>素子化成皮膜の耐電圧
の関係である。斯かる関係から、固体電解コンデンサの耐電圧は素子化成皮膜の耐電圧に依存することが理解される。
【0009】
本開示の発明者は、コンデンサ素子や最終製品の耐電圧が箔の耐電圧に依存しているから、裁断で箔の切断面に露出した地金部の処理方法によっては箔の耐電圧を低下させ、ひいてはコンデンサ素子のみならず、製品の耐電圧を低下させる原因になるとの知見を得た。そして、箔の製造段階、素子の形成段階など、適宜の段階で酸化皮膜の修復や補完処理を行うことが電極箔ないし製品耐電圧の高耐電圧化など、電極箔、コンデンサ素子または最終製品の電気的特性を高める上で不可欠であるとの知見を得た。
【0010】
そこで、本開示の目的は、上記課題および上記知見に鑑み、切断などで生じる酸化皮膜の欠損部に起因する箔の耐電圧低下を抑制することにある。
【0011】
また、本開示の他の目的は、切断などで箔に生じた酸化皮膜の欠損部を蓄電素子の形成後に修復し、蓄電素子ないし蓄電デバイスの耐電圧を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本開示の電極箔の製造方法の一側面によれば、弁金属からなる箔に拡面処理を施す工程と、前記拡面処理が施された前記箔に酸化皮膜層を形成する工程と、前記酸化皮膜層が形成された前記箔を切断する工程と、前記箔の切断面に前記酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ樹脂層を形成する工程とを含む。
【0013】
この電極箔の製造方法において、前記樹脂層の形成は、電気泳動電着による工程を含んでもよい。
【0014】
この電極箔の製造方法において、電気泳動電着膜の形成の後、修復化成処理によって酸化皮膜を形成する工程を含んでもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電デバイスの製造方法の一側面によれば、前記電極箔を用いて蓄電素子を形成する工程と、前記蓄電素子に導電性高分子層の形成する工程とを含む。
【0016】
この蓄電デバイスの製造方法において、前記蓄電素子に修復化成を施し、前記箔に酸化皮膜の形成する工程を含んでもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本開示の電極箔の一側面によれば、弁金属からなる箔と、前記箔に形成された拡面処理層と、前記拡面処理層に形成された酸化皮膜層と、前記箔の少なくとも切断面に形成された樹脂層と、を含み、前記樹脂層は、前記切断面に露出する地金部で厚く、箔面に向かって漸次に薄く形成されている。
【0018】
上記目的を達成するため、本開示の蓄電デバイスの一側面によれば、前記電極箔を用いた蓄電素子を含み、この蓄電素子が導電性高分子層を含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 本開示の電極箔の製造方法によれば、箔の少なくとも切断面を絶縁皮膜層で修復するので、箔の切断面に依存する箔の耐電圧低下を防止でき、耐電圧の高耐電圧化を図った電極箔を製造できる。
【0020】
(2) 本開示の蓄電デバイスの製造方法によれば、電極箔の製造段階で箔の切断面を修復するので、蓄電デバイスの耐電圧を高耐電圧化できる。また、酸化皮膜層に欠損部が生じた電極箔を用いた場合にも、蓄電素子の形成後に、酸化皮膜層に欠損部の修復処理を行うので同様に蓄電デバイスの耐電圧を高耐電圧化することができる。
【0021】
(3) 本開示の電極箔によれば、製造途上で箔に生じた箔の切断面に酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ絶縁皮膜層が形成され、電極箔全体の耐電圧が高耐電圧化されるので、この電極箔を用いた素子の耐電圧を高耐電圧化できる。
【0022】
(4) 本開示の蓄電デバイスによれば、電極箔の製造段階で欠損部が修復された電極箔を用いるので、耐電圧を高耐電圧化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1のAは、蓄電素子の形成工程を示す斜視図であり、図1のBは、蓄電素子を示す斜視図である。
図2図2は、実施例1、実施例2、比較例6、比較例7、比較例9および比較例11の実験結果を示す図である。
図3図3のAは、箔の切断面を示す断面図であり、図3のBは、箔の電気泳動電着処理後の切断面を示す断面図である。
図4図4は、電気泳動電着処理を経た箔に対する修復化成処理前の状態を説明するための図である。
図5図5は、電極箔の皮膜形成電圧に対する固体電解コンデンサの耐電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第一の実施の形態〕
第一の実施の形態に係る蓄電デバイスの製造工程は、本開示の電極箔、蓄電デバイスおよびこれらの製造方法の一例である。
【0025】
この蓄電デバイスの製造工程には、弁金属箔(以下単に「箔」と称する)の形成、拡面処理、酸化皮膜層の形成、箔の裁断、裁断した箔の切断面の修復、蓄電素子の形成などが含まれる。この製造工程において、箔の形成から箔の切断面の修復に至る工程および生成される箔が本開示の電極箔およびその製造方法の一例である。
【0026】
箔の形成では、原材料に弁金属(Valve metal :バルブ金属)を用いて箔を形成する。この箔の形態は、蓄電デバイスや蓄電素子の形態に応じてたとえば、板状や帯状などである。
【0027】
この箔に表面積を拡大する拡面処理を行う。この拡面処理はたとえば、化学エッチングなどによって行われる。この化学エッチングは化成液に箔を浸漬し、その表面にエッチング処理を施し、静電容量を拡大するために箔表面に凹凸を形成し、箔の表面積を拡張させる処理である。凹凸面は、たとえば多孔質構造を有している。凹凸面の形成は、直流による直流エッチング、交流による交流エッチングで形成し、または弁金属箔への金属粒子などの蒸着もしくは焼結によっても形成される。直流エッチングや交流エッチングはたとえば、塩酸などのハロゲンイオンを含む酸性水溶液中に弁金属箔を浸漬し、この酸性水溶液中で弁金属箔に直流電流または交流電流を流し、その金属表面を凹凸面にして拡面化させる。
【0028】
次に、拡面処理で拡面化された箔に酸化皮膜層を形成する。酸化皮膜層としては、酸化皮膜層の非晶化処理により、非晶化構造(アモルファス)を持つアモルファス酸化皮膜層を形成する。この酸化皮膜層は周知のように、強靱性や耐腐食性を備える。
【0029】
酸化皮膜層を形成した箔から所定形状の箔に切断し、切り出す裁断処理を行う。箔は、酸化皮膜層が形成された任意の形状から蓄電デバイスの素子に必要な定型の箔片に成形される。
【0030】
酸化皮膜層の形成後の箔に切出し処理を施すと、原型箔から得られた所定形の箔には切断面が形成される。この切断面には弁金属である、その地金部が露出する。この地金部は、拡面処理を受けておらず、酸化皮膜層で覆われていない部分である。この箔の切断面は、酸化皮膜層を形成しても、既述したように、耐電圧の最も低い部分であり、結果として箔の耐電圧低下を引き起こす原因部である。
【0031】
裁断後の箔には、箔の切断面の修復を行う。たとえば、電気泳動電着処理を施し、箔の切断面に絶縁皮膜層を形成し、この絶縁皮膜層で少なくとも地金部を覆う。この絶縁皮膜層は絶縁性を持つ樹脂層で良く、より詳細に述べれば、酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ絶縁皮膜層を形成することが好ましい。つまり、修復または再生によって形成された絶縁皮膜層が既存の酸化皮膜層と同等以上の耐電圧があれば、箔の切断面に形成された酸化皮膜層の耐電圧による箔の耐電圧の依存性を改善できることになる。
【0032】
この箔の切断面を修復した箔を用いて素子の形成を行う。素子の形成は、固体電解コンデンサ素子などの蓄電素子の形成である。蓄電素子はたとえば、セパレータを挟んで陽極側の電極箔と陰極側の電極箔が対向するサンドイッチ構造である。この対向面積に蓄電デバイスの静電容量が依存することになる。
【0033】
この蓄電素子は、電解質を含浸されて電解コンデンサ素子を構成する。この電解質としては、固体電解質が用いられる。固体電解質には導電性高分子が含まれる。導電性高分子は、ドーパントとして酸成分がドーピングされた共役系高分子である。共役系高分子は、π共役二重結合を有するモノマーまたはその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られる。共役系高分子にドープ反応を行うことで導電性高分子は高い導電性を発現する。共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、共役系高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。導電性高分子として、代表的には、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたPEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。酸により成るドーパントは、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ホウ酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコット酸、酒石酸、スクアリン酸、ロジゾン酸、クロコン酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロジサリチル酸、ビスオキサレートボレート酸、スルホニルイミド酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。また、ドーパントとしては、ポリアニオンを用いることができ、ポリアニオンとしては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などが挙げられる。ドーパントは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、高分子または単量体を用いてもよい。また、電解質として、固体電解質に加えて電解液を併用してもよい。
【0034】
<第一の実施の形態の効果>
この第一の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 箔は、酸化皮膜層が形成された後、裁断などによって箔の切断面に酸化皮膜層が形成されていない箔の地金部が露出する。この地金部は、裁断後の修復処理によって絶縁皮膜層が形成される。これにより、箔の切断面による耐電圧低下を改善できる。よって、高耐電圧化された電極箔を製造できる。
【0035】
(2) 裁断によって箔に切断面が生じ、耐電圧低下の原因が生じるのであれば、原因である裁断を回避すれば箔の耐電圧低下を回避できる。しかし、電極箔の製造工程上、箔の裁断は不可欠であり、その省略は不可能である。したがって、裁断によって箔の切断面が修復できるのであれば、箔の裁断の自由度を拡大することができ、原型箔の形状やデバイスに応じた箔の成形を自由に行うことができ、有益である。
【0036】
(3) 箔に生じた箔の切断面の修復には、電気泳動電着、化成処理などを利用でき、この修復は電極箔の製造工程で行うことができる。
【0037】
(4) 裁断で箔に生じた箔の切断面修復処理で修復でき、箔の切断面に露出した地金部による耐電圧低下を改善し、高耐電圧化された電極箔を製造することができる。
【0038】
(5) 箔の切断面に露出した地金部による耐電圧低下を改善し、高耐電圧化された電極箔を用いて固定電解コンデンサなどの蓄電デバイスを製造でき、耐電圧にばらつきのない電気的特性に優れた蓄電デバイスの製造に寄与することができる。
【0039】
<箔の切断面の修復による箔の耐電圧改善のメカニズム>
箔には既述のように、拡面処理の後、箔表面に酸化皮膜層が形成されている。この酸化皮膜層は裁断によって損傷を受け、箔の切断端面には酸化皮膜層が存在しない箔の地金部が露出する。この地金部に絶縁皮膜層を形成すれば、箔の切断面を修復し、箔の当初の酸化皮膜層と同等の耐電圧に修復させることができる。
【0040】
箔の地金部を覆う材質には、絶縁物を用いればよく、この絶縁皮膜層は絶縁性を持つ樹脂層で良く、酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ絶縁皮膜層を形成することが有効である。修復または再生によって地金部を覆う絶縁皮膜層は、既存の酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を実現できる。したがって、酸化皮膜層の欠陥部の耐電圧を改善でき、この欠陥部の修復を以て箔全体の耐電圧を高めることができる。
【0041】
〔第二の実施の形態〕
この蓄電デバイスの製造工程には、箔の形成、拡面処理、酸化皮膜層の形成、箔の裁断、箔の切断面を修復する第一修復、酸化皮膜層を修復する第二修復、素子の形成などが含まれる。この製造工程において、箔の形成から酸化皮膜層の修復に至る工程および生成される箔が本開示の電極箔およびその製造工程の一例である。
【0042】
箔の形成、拡面処理、酸化皮膜層の形成、箔の裁断は、第一の実施の形態と同一であるので、これらの説明を割愛する。
【0043】
第一の実施の形態と同様に、箔の裁断まで行った電極箔に対して、箔の切断面を修復する第一修復として、箔の切断面の修復処理ないし再生処理を行う。この第二の実施の形態では、裁断後の箔にたとえば、電気泳動電着処理を施し、箔の切断面に絶縁皮膜層を形成する。したがって、この箔の切断面を修復する第一修復は、第一の実施の形態の箔の切断面の修復と共通した処理を行う。
【0044】
箔の切断面を修復する第一修復の処理の後に行う第一修復の補完処理として、酸化皮膜層を修復する第二修復を行う。この実施の形態では、箔の切断面を修復する第一修復と第一修復とは異なる第二修復とを以て二段階で箔の切断面を修復する処理を行う。つまり、第一修復をたとえば、電気泳動電着処理で行えば、酸化皮膜層に残留する欠陥部を第二修復にたとえば、化成処理を施す。
【0045】
この酸化皮膜層の第二修復した箔を用いて素子の形成を行う。この素子の形成は、第一の実施の形態と同様であるので、その説明を割愛する。
【0046】
<第二の実施の形態の効果>
この第二の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 第一の実施の形態と共通する箔の切断面を修復する第一修復を行うので、この第一修復により箔の切断面の修復が行われ、第一の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0047】
(2) 箔の切断面を修復する第一修復がたとえば、電気泳動電着処理で行われた場合、電気泳動電着では酸化皮膜層の欠陥部が残留する場合、第一修復の後、第二修復にたとえば、化成処理を以て欠陥部を修復すれば、第一修復の処理が第二修復で補完され、欠陥部の修復精度を高めることができる。
【0048】
<電気泳動電着処理後の化成処理による耐電圧改善のメカニズム>
第一修復の処理でたとえば、電気泳動電着処理を行い、第二修復の処理で化成処理を行えば、電気泳動電着による修復効果に化成処理の修復効果が加わる。つまり、酸化皮膜層の再修復による効果が加わり、酸化皮膜層の耐電圧改善を図ることができる。したがって、酸化皮膜層の欠陥部の修復精度が高まる結果、箔の高耐電圧化が図られる。
【0049】
<電気泳動電着処理後の化成処理による酸化皮膜層の再修復のメリット>
ア)酸化皮膜層の欠陥部の修復を化成処理によって補うことができ、電気泳動電着処理による第一修復の処理時間を短縮できる。
【0050】
イ)化成による補完処理を前提とすれば、電気泳動電着処理と化成処理の修復機能を分担させることができ、電気泳動電着の処理時間を短縮でき、結果として修復処理の時間を短縮できる。
【0051】
<電気泳動電着処理の先行処理のメリット>
裁断によって箔に生じた地金部の露出部分に対して電気泳動電着を行えば、絶縁皮膜層を迅速に成長させ、露出部分を覆う絶縁皮膜層を形成することができる。つまり、この先行処理によって箔の切断面の耐電圧が高められる。
【0052】
〔第三の実施の形態〕
この蓄電デバイスの製造工程は、箔の形成、拡面処理、酸化皮膜層の形成、箔の裁断、素子の形成、酸化皮膜層の修復などが含まれる。この製造工程において、箔の形成から箔の裁断に至る工程に箔の切断面の修復を加えた工程および生成される箔が本開示の電極箔およびその製造工程の一例である。
【0053】
箔の形成、拡面処理、酸化皮膜層の形成、箔の裁断、素子の形成は第一の実施の形態と同一であるので、これらの説明を割愛する。
【0054】
第一の実施の形態および第二の実施の形態では、箔の切断面の修復を素子の形成前に行ったが、第三の実施の形態では、箔の切断面の修復は、素子の形成後に、電気泳動電着処理によって行う。
【0055】
<第三の実施の形態の効果>
この第三の実施の形態によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 素子の形成を先行させて箔の切断面に存在する欠陥部を素子の形成後に修復することができる。
【0056】
(2) 中間製品である蓄電素子に対して修復処理を行うので、箔の製造から素子の形成に迅速に移行させることができ、素子段階での修復処理の後、耐電圧改善の効果を素子形成後に確認できる。
【実施例0057】
この実施例には実施例1~実施例3と対比のための比較例1ないし比較例11が含まれる。
【0058】
<実施例1>
実施例1の製造工程には、アモルファス酸化皮膜層の形成、箔の切り出し、電気泳動電着処理、素子の形成などが含まれる。
【0059】
アモルファス酸化皮膜層の形成は、既述の基材(弁金属)による箔の形成、箔の拡面処理の後に実施される。このアモルファス酸化皮膜層は、本開示の酸化皮膜層の一例であり、箔に形成された酸化皮膜層を非晶化処理によって生成したものである。
【0060】
箔は、弁金属で形成されている。この箔には、表面のエッチングによる拡面処理の後、アモルファス酸化皮膜層が形成される。このアモルファス酸化皮膜層は本開示の酸化皮膜層の一例である。このアモルファス酸化皮膜層の形成工程にはポーラス皮膜層の形成工程、化成工程が含まれる。
【0061】
たとえば、一定の温度25〔℃〕に維持されたシュウ酸水溶液中に箔を浸漬し、定電流による陽極酸化を行う。この陽極酸化により、箔の表面にポーラス皮膜層が形成される。
ポーラス皮膜層が形成された箔を、たとえば、一定の温度85〔℃〕に維持されたホウ酸水溶液中に浸漬し、このホウ酸水溶液中で一定の電流密度25〔mA/cm2 〕で通電して化成する。この化成では、化成電圧が所定値(たとえば、700〔V〕)に到達後、一定時間たとえば、10分間継続(=保持)される。これにより、箔のポーラス皮膜層の内部にアモルファス酸化皮膜層(以下単に「酸化皮膜層」または「アモルファス酸化皮膜層」と称する)を形成できる。この酸化皮膜層は本開示の酸化皮膜層の一例である。
【0062】
アモルファス酸化皮膜層を形成した箔の切り出しは、本開示の箔の裁断の一例である。この工程では、基材箔から蓄電素子に必要な形状の箔が切り出される。この切り出しにより基材箔から所定形状の箔に形成されるが、切り出しによって箔の切断面から地金(基材=弁金属)が露出する。つまり、この切断面に露出した地金部には酸化皮膜層が存在していない。
【0063】
実施例1では、アモルファス酸化皮膜層が形成された箔に箔片を切り出す裁断手段としてたとえば、レーザー加工機が用いられる。レーザー加工により箔から切り出された箔片には既述したように、切り出しにより切断面には基材の地金部(弁金属)が露出する。箔片はたとえば、図1に示すように、正方形の陽極部、この陽極部の一辺から突出するリード部(陽極リード部14)を有する。この陽極部は、蓄電素子の陽極として機能させる機能部の一例である。この陽極部の一辺は、1.0〔cm〕とする。リード部の幅は、陽極部の一辺より狭い。実施例1では、リード部の幅を0.5〔cm〕である。
【0064】
次に、蓄電素子に必要な形状に切り出した箔に電気泳動電着処理を行う。電気泳動電着処理は、第一の実施の形態の箔の切断面の修復の一例である。電気泳動電着処理により箔の切断面に絶縁皮膜層である絶縁物としての樹脂が電気泳動電着によって形成され、箔の切断面の樹脂による修復が行われる。電気泳動電着は、この電気泳動電着装置を用いて行う。この電気泳動電着装置はたとえば、ステンレス(SUS)などの導電性金属で形成された処理容器を備えている。この処理容器には樹脂分散液が充填される。この樹脂分散液には溶媒に樹脂を分散させた処理液が用いられる。この樹脂分散液は、処理容器に正方形の陽極部の全部およびリード部の大半を浸漬させる程度に設定される。
【0065】
箔片および処理容器には箔片側を陽極、処理容器側を陰極として直流電源および電圧計がスイッチを介して接続されている。直流電源は箔片側を陽極、樹脂分散液が充填された処理容器を陰極に設定して一定の直流電圧たとえば、100〔V〕を印加し、箔片に対する電気泳動処理の駆動源を構成する。そして、電気泳動電着装置に設けられたタイマーによって電気泳動電着の処理時間を規制する。実施例1では、一定時間120〔秒〕だけ電気泳動電着処理し、箔片の箔の切断面に樹脂20を電着させる。電気泳動電着工程を経た箔片を樹脂分散液から取り出し、洗浄によって樹脂分散液を除去する。洗浄後、箔片を乾燥させる。この乾燥は、一定温度たとえば、60〔℃〕の温度下で一定時間たとえば、10〔分〕の放置によって行う。乾燥後、箔片を加熱し、電気泳動電着膜の架橋処理を行う。この加熱は、一定温度たとえば、180〔℃〕下で一定時間たとえば、40〔分〕で行う。
【0066】
電気泳動電着処理を施した箔を用いて素子の形成を行う。素子の形成は、第一の実施の形態の素子の形成と同様である。具体的には、以下のように工程で素子を形成した。
【0067】
図1のAは、蓄電素子2の形成工程の一例を示している。この形成工程は、本開示の電極箔、蓄電デバイスおよびこれらの製造方法の一例である。
【0068】
この蓄電素子2は一例として1枚の陽極箔4、2枚の陰極箔6およびセパレータ8を備え、2枚の支持板10、12が付属している。陽極箔4は、既述の処理を施した箔片を用いる。この陽極箔4には、正方形の陽極部に対し、陽極リード部14が形成されている。
【0069】
陰極箔6には陽極箔4と同形状の箔を用いる。この陰極箔6には、陽極部に対向する陰極部が形成され、陰極リード部16が形成されている。この陰極部は蓄電素子2の陰極として機能させる機能部である。
【0070】
セパレータ8はたとえば、再生セルロース系材料で形成されたシートであり、この実施の形態では陽極箔4の陽極部より大きいたとえば、正方形のセパレータ部を単位につづら折りに加工されている。セパレータ8は、たとえば、再生セルロース系材料を用いて陽極箔4の陽極部を覆う幅の帯状シートで形成する。したがって、蓄電素子2は、つづら折りのセパレータ8を挟んで一枚の陽極箔4の表裏面に二枚の陰極箔6を対向させて形成される。
【0071】
蓄電素子2の形成後、陽極箔4および陰極箔6に導電性高分子層を形成する。この導電性高分子層の形成工程には、樹脂分散液の含浸および蓄電素子2の乾燥が含まれる。この樹脂分散液は、PEDOT微粒子とポリスチレンスルホン酸をエチレングリコールの5%含有水溶液に分散させたものである。PEDOT微粒子は本開示の導電性高分子の一例である。含浸条件としてたとえば、50〔kPa〕の減圧下で一定の含浸時間たとえば、5〔分〕を設定し、蓄電素子2に分散液を含浸させる。分散液の含浸後、蓄電素子2を乾燥させる。この乾燥条件としてたとえば、一定温度110〔℃〕下に蓄電素子2を置き、一定の乾燥時間としてたとえば、30〔分〕を設定し、蓄電素子2を乾燥させる。
【0072】
図1のBは、支持板10、12に配置された蓄電素子2を示している。支持板10、12には強靱な絶縁材料であるたとえば、スライドガラス板を用いればよい。この蓄電素子2は、セパレータ8を挟み込んで一枚の陽極箔4に対して二枚の陰極箔6を配置させ、支持板10、12の間に把持している。支持板10、12は、蓄電素子2を保持する支持部材の一例であり、この支持板10、12はたとえば、クリップ18によって強固に保持されている。
【0073】
<実施例2>
実施例2は、電気泳動電着処理の後、修復化成処理を実施する点で、実施例1とは異なる。つまり、電気泳動電着処理の後、修復化成処理を実施する以外は、陽極箔の製造工程および素子の形成工程は、実施例1と同様に作成しており、また、電気泳動電着処理の条件は実施例1と同様であり、これらの説明を割愛する。電気泳動電着処理は、第二の実施の形態の箔の切断面を修復する第一修復に相当し、修復化成処理は、第二の実施の形態の酸化皮膜層の第二修復に相当する。つまり、酸化皮膜層の欠陥部は、電気泳動電着処理、修復化成処理の二段階処理で修復される。
【0074】
<アモルファス酸化皮膜層の修復(修復化成)>
このアモルファス酸化皮膜層の修復が修復化成処理によって行われる。この修復化成処理は、箔をホウ酸水溶液浴で通電する処理である。この処理では、一定温度たとえば、85〔℃〕のホウ酸水溶液中に箔を浸漬し、この箔に電流密度0.4〔mA/cm2〕で通電し、所定電圧たとえば、630〔V〕に到達させた後、この電圧630〔V〕で一定時間たとえば、10〔分〕だけ保持する。これにより、酸化皮膜層の欠陥部を修復させた。このようにアモルファス酸化皮膜層の修復を電気泳動電着処理の後、修復化成処理の二段階処理を以て行うので、アモルファス酸化皮膜層に生じている欠陥部の修復精度を高めることができる。
【0075】
<実施例3>
この実施例3は、第三の実施の形態に対応し、既述したように、蓄電素子2の形成後に化成処理を施し、蓄電素子2の陽極箔4に導電性高分子層を形成する。これによって、蓄電素子2の陽極箔4の酸化皮膜層に生じている欠陥部を蓄電素子2の形成段階でも修復することができる。
【0076】
<比較例1>
比較例1は、電気泳動電着処理に先行して、修復化成処理を実施する点で、実施例2とは異なる。つまり、修復化成処理を行った後、電気泳動電着処理を実施する以外、具体的には、箔片を切り出すまでの工程と、素子を形成する工程以降の工程は、実施例2と同様に作成しており、また、電気泳動電着処理および修復化成処理の条件も実施例2と共通し、これらの説明を割愛する。
【0077】
<比較例2>
比較例2は、アモルファス酸化皮膜層の形成に先行して、箔の切り出しを実施する点で、実施例2とは異なる。つまり、箔の切り出し後に、その箔片にアモルファス酸化皮膜層を形成した後の工程は、実施例2と同様に作成しており、また、各工程の条件は実施例2と同様であり、これらの説明を割愛する。
【0078】
このアモルファス酸化皮膜層の形成は、実施例1のアモルファス酸化皮膜層の形成と同一処理であるが、箔の表面だけではなく、切り出された箔の切断面を含め、箔全体にアモルファス酸化皮膜層が一様に形成される筈である。箔の切り出しはアモルファス酸化皮膜層の形成前であるから、箔の切り出しによる箔の地金部の露出はないが、箔の切り出しによって生じた切断面にアモルファス酸化皮膜層の形成が不完全になるおそれがある。これも酸化皮膜層の欠陥部であり、箔の耐電圧低下の原因になる。
【0079】
<比較例3>
比較例3は、アモルファス酸化皮膜層の形成に先行して、箔の切り出しを実施する点で、比較例1とは異なる。つまり、箔から切り出した箔片にアモルファス酸化皮膜層を形成した後の工程、具体的には、修復化成処理する工程以降の工程は、比較例1と同様に作成しており、また、各工程の条件は、比較例1と共通し、これらの説明を割愛する。
【0080】
<比較例4>
比較例4は、比較例3から、修復化成処理を省略した以外は、工程順および各工程の条件は、比較例3と共通し、これらの説明を割愛する。
【0081】
<比較例5>
比較例5は、実施例2の電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行った。また、端面レジスト処理を行うにあたり、箔片の切断面を覆うレジスト樹脂の印刷幅=0.1〔cm〕を確保するため、一辺の長さを1.2〔cm〕に設定した。箔片の大きさおよび、電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行う以外は、工程順および各工程の条件は、実施例2と共通し、これらの説明を割愛する。
【0082】
<端面レジスト処理>
この端面レジスト処理は切り出された箔たとえば、箔片の切断端面に露出した地金部をソルダーレジスト樹脂で覆い、地金の露出部を絶縁する処理である。この端面レジスト処理には、印刷工程、第一乾燥工程および第二乾燥工程が含まれる。
【0083】
印刷工程は、箔の切断端面にソルダーレジスト樹脂を印刷する工程である。この印刷にはたとえば、スクリーン印刷機を使用し、箔片の一定幅たとえば、0.1〔cm〕幅を印刷部とし、この印刷部にソルダーレジスト樹脂を印刷する。つまり、ソルダーレジスト樹脂は、切断端面を覆うとともに、この切断端面に隣接する箔面にソルダーレジスト樹脂層を延長させ、ソルダーレジスト樹脂層の覆い強度を高める。
【0084】
第一乾燥工程は、箔に形成したソルダーレジスト樹脂層の片面を乾燥させる処理である。この処理は、箔とともにソルダーレジスト樹脂層を一定の加熱温度たとえば、150〔℃〕で一定の乾燥時間たとえば、10〔分〕間を設定し、ソルダーレジスト樹脂を乾燥させる。次に、第二乾燥工程を行う。第二乾燥工程は、ソルダーレジスト樹脂層の他面を乾燥させる処理である。この処理は、箔とともにソルダーレジスト樹脂層の他面を同様に一定の加熱温度たとえば、150〔℃〕で片面より長い一定の乾燥時間たとえば、30〔分〕間を設定し、ソルダーレジスト樹脂を乾燥させる。これにより、ソルダーレジスト樹脂層が箔端面に端面レジスト層として定着する。
【0085】
<比較例6>
比較例6は、比較例1の電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行った。また、端面レジスト処理を行うにあたり、箔片の切断面を覆うレジスト樹脂の印刷幅=0.1〔cm〕を確保するため、一辺の長さを1.2〔cm〕に設定した。箔片の大きさおよび、電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行う以外は、工程順および各工程の条件は、比較例1と共通し、これらの説明を割愛する。
【0086】
<比較例7>
比較例7は、比較例5から、修復化成処理を省略した以外は、工程順および各工程の条件は、比較例5と共通し、これらの説明を割愛する。
【0087】
<比較例8>
比較例8は、比較例2の電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行った。また、端面レジスト処理を行うにあたり、箔片の切断面を覆うレジスト樹脂の印刷幅=0.1〔cm〕を確保するため、一辺の長さを1.2〔cm〕に設定した。箔片の大きさおよび、電気泳動電着処理に代えて、端面レジスト処理を行う以外は、工程順および各工程の条件は、比較例2と共通し、これらの説明を割愛する。
【0088】
<比較例9>
比較例9は、比較例1から、電気泳動電着処理を省略した以外は、工程順および各工程の条件は、比較例1と共通し、これらの説明を割愛する。
【0089】
<比較例10>
比較例10は、比較例1から、修復化成処理および電気泳動電着処理を省略した以外は、工程順および各工程の条件は、比較例1と共通し、これらの説明を割愛する。
【0090】
比較例10は、アモルファス酸化皮膜層の形成の後、箔の切り出し、素子の形成を実施する。この比較例10では、箔の切り出しによる箔の切断面は未修復の状態である。
【0091】
<比較例11>
比較例11は、比較例2から、電気泳動電着処理および修復化成処理を省略した以外は、工程順および各工程の条件は、比較例2と共通し、これらの説明を割愛する。
【0092】
比較例11は、箔の切り出しの後、アモルファス酸化皮膜層の形成を行い、素子の形成を行っている。この比較例11では、箔の切り出しによる切断端面にはアモルファス酸化皮膜層の形成によってアモルファス酸化皮膜層が形成される。
【0093】
<実施例1、2および比較例1~11に係る蓄電素子2の作成結果>
実施例1は、アモルファス皮膜が形成された箔の切り出しの後、箔の切断面に電気泳動電着により絶縁皮膜層を形成し、蓄電素子2を作成した。
【0094】
実施例2は、アモルファス皮膜が形成された箔の切り出しの後、箔の切断面に電気泳動電着により絶縁皮膜層を形成し、更に修復化成処理を施し、蓄電素子2を作成した。
【0095】
比較例1は、アモルファス皮膜が形成された箔片の切断面に修復化成を行い、修復化成皮膜上に電気泳動電着を試みたが、電気泳動電着膜を形成できなかった。
【0096】
比較例2は、アモルファス皮膜が形成されていない箔から切り出された箔片にアモルファス皮膜を形成した後、電気泳動電着処理を行い、この後に修復化成を行った。比較例2は電気泳動電着膜を形成できなかった。
【0097】
比較例3は、アモルファス皮膜が形成されていない箔から切り出された箔片にアモルファス皮膜を形成した後、修復化成を行い、この化成処理の後、電気泳動電着処理を行った。比較例3でも電気泳動電着膜が形成できなかった。
【0098】
比較例4は、アモルファス皮膜が形成されていない箔から切り出された箔片にアモルファス皮膜を形成した後、電気泳動電着処理を試みた。比較例4も電気泳動電着膜が形成できなかった。
【0099】
比較例5は、アモルファス皮膜を形成した箔から箔片を切り出し、その切断面に端面レジスト処理を行い、修復化成処理を行った。比較例5は陽極部が変形するなど、蓄電素子2に不適であった。
【0100】
比較例6は、箔片の切断面を修復化成の後、端面レジストで被覆し、蓄電素子2を形成した。比較例6は、修復化成によって得られた酸化皮膜層に端面レジストが積層されているので、コンデンサとして機能させることができた。
【0101】
比較例7は、箔片の切断面を端面レジストで被覆し、蓄電素子2を形成した。箔片の切断面が端面レジストで絶縁される。比較例7は、コンデンサとして機能させることができた。
【0102】
比較例8は、アモルファス皮膜を形成した箔から箔片を切り出し、アモルファス皮膜を形成した後、その切断面に端面レジスト処理を行い、修復化成処理を行った。この比較例8は陽極部が変形するなど、蓄電素子2に不適であった。
【0103】
比較例9は、箔片の切断面に修復化成処理を行い、蓄電素子2を形成した。比較例9は、コンデンサとして機能させることができた。
【0104】
比較例10は、アモルファス皮膜の形成後の箔から箔片を切り出し、蓄電素子2を形成した。箔片の切断面には地金部が露出状態である。この比較例10は、この地金部が陰極と短絡してしまうため、コンデンサとして機能しない。
【0105】
比較例11は、アモルファス皮膜の形成前の箔片にアモルファス皮膜の形成処理を行い、蓄電素子2を形成した。比較例11は、コンデンサとして機能させることができた。
【0106】
<実施例1、2および比較例1~11に係る蓄電素子2の実験結果>
図2は、実施例1、2および比較例6、7、9、11に係る蓄電素子2の耐電圧の計測結果を示している。
【0107】
実施例1、2、比較例6、7、9、11は、耐電圧を測定することができ、その他の比較例1~5、8、10は耐電圧計測ができなかった。
【0108】
実施例1では耐電圧=575〔V〕、実施例2では耐電圧=671〔V〕、比較例6では耐電圧=609〔V〕、比較例7では耐電圧=586〔V〕、比較例9では耐電圧=514〔V〕、比較例11では耐電圧=484〔V〕が得られた。
【0109】
実施例1の耐電圧と実施例2の耐電圧を比較すると、実施例2の耐電圧が上昇している。これは、実施例1では箔の切り出しの後、電気泳動電着のみであるのに対し、実施例2では実施例1の電気泳動電着の後、修復化成処理を行っている。このため、修復化成処理によって欠陥部の修復が更に進み、耐電圧が向上したものと推定できる。
【0110】
実施例1の耐電圧と比較例9の耐電圧を比較すると、実施例1の耐電圧が比較例9の耐電圧より高い。実施例1では箔の切り出しの後、電気泳動電着を実施しているのに対し、比較例9では箔の切り出しの後、修復化成処理を行っており、修復処理が電気泳動電着か修復化成処理かで相違している。したがって、電気泳動電着は、蓄電素子2の耐電圧を上昇させる要因であると推定できる。つまり、比較例9は、修復化成のみであるため、耐電圧が低くなっている。
【0111】
<電気泳動電着による箔の切断面修復および蓄電素子2の耐電圧>
箔片を切り出す前の箔には拡面処理の後に酸化皮膜層が形成されている。
【0112】
箔の切り出しは既述したように、酸化皮膜層の形成後、レーザー照射により切断される。
【0113】
箔の切り出しにより生じた切断面には箔の外面側から酸化皮膜層、エッチング層および地金部の積層状態が露出する。この切断面において、エッチング層は弁金属箔に形成された拡面部分であり、地金部と同等の導電性を有する。ここで、地金部は、エッチングが及んでいない金属部分を指している。酸化皮膜層はエッチング層の表面に形成されたアモルファス酸化皮膜層であり、エッチング層は地金部に対して拡面処理で形成された粗面化層である。地金部は基材である弁金属部分である。
【0114】
この切断面の修復には既述したように、電気泳動電着による成膜方法が用いられる。この電気泳動電着は既述したように、樹脂分散液に箔を浸漬し、電位差によって樹脂分散液中の樹脂を地金部22に析出(電着)させ、樹脂層を形成する。
【0115】
図3のAは、電気泳動電着前の箔の切断面20を拡大して示している。この拡大図は電子顕微鏡写真のスケッチである。この切断面20には、地金部22の表裏面側にエッチング層24が形成されており、各エッチング層24の外面側には酸化皮膜層26が形成されている。
【0116】
図3のBは、電気泳動電着後の箔の切断面20を拡大して示している。この拡大図も同様に電子顕微鏡写真のスケッチである。地金部22の露出面には電気泳動電着によって形成された電気泳動電着膜28が形成されている。この電気泳動電着膜28は、電気泳動電着によって地金部22およびエッチング層24を覆う樹脂層ないし絶縁層である。
【0117】
この電気泳動電着膜28は、本開示の絶縁皮膜層であって、膜厚を地金部22で厚く、箔面側に向かって漸次に薄く形成された絶縁皮膜層である。
【0118】
この電気泳動電着膜28による箔の切断面修復(成膜)処理には、樹脂の析出、電気分解、樹脂の付着、箔片の耐電圧向上が含まれる。
【0119】
樹脂分散液に浸漬された箔片に直流電源の陽極、樹脂分散液が充填された処理容器に陰極が接続されて所定電圧を印加すると、樹脂分散液の樹脂に泳動が生じる。この樹脂は、pHの低下により樹脂分散液中に析出する
【0120】
弁金属の基材がたとえば、アルミニウム(Al)の場合、Alが陽極化すると、樹脂分散液中の水の電気分解が生じ、電気分解が生じた部分でpHが低下するつまり、以下の化学反応式(1)および(2)で表される反応が生じている。
【0121】
水の電気分解 :2H2O→4H++O2↑+4e-…(1)
【0122】
Alの陽極酸化:Al3++3H2O→Al23+6H++6e-…(2)
【0123】
電流集中が箔片の地金部22にて生じ、樹脂分散液中で析出している樹脂が付着する。
【0124】
酸化皮膜層26の未形成部分に樹脂が付着する。つまり、切断面20に露出する地金部22に樹脂が付着し、この樹脂による成膜によって電気泳動電着膜28が形成され、箔の切断面が修復される。これにより、樹脂皮膜によって箔片の耐電圧が向上する。
【0125】
<電気泳動電着処理および修復化成処理の併用>
実施例2では、蓄電素子2に用いられる箔片に対し、電気泳動電着処理の後、修復化成処理を行い、箔の切断面の修復が電気泳動電着処理および修復化成処理の二段階処理で行われている。
【0126】
図4は、電気泳動電着処理の後、修復化成処理前の箔片の拡大断面を示している。この図4において、図3と同一部分には同一符号を付してある。
【0127】
この箔片の断面には、地金部22を挟んでエッチング層24が形成され、エッチング層24の外面には酸化皮膜層26が形成されている。エッチング層24の凹凸形状は無数のエッチングピットを模式的に表示したものである。この箔片の地金部22には電気泳動電着処理によって形成された電気泳動電着膜28が形成されている。つまり、箔片の地金部22の露出部分が箔片の耐電圧を低下させる原因になるので、電気泳動電着膜28を形成し、既述の樹脂によって絶縁が図られ、箔片の耐電圧低下の原因を排除している。
【0128】
エッチング層24の表面には酸化皮膜層26が形成されているが、この酸化皮膜層26には複数の欠陥部が生じている。この欠陥部は、たとえば、酸化皮膜層26がなく、弁金属のアルミニウムが表出されている状態だけではなく、他の酸化皮膜層26より厚みが薄い場合をいう。この欠陥部は微細欠陥を表し、この微細欠陥では樹脂分散液中で電流が流れる箇所が小さいため、電気泳動電着では樹脂を付着させることが不可能である。このような微細な欠陥部を残留させると、酸化皮膜層26の耐電圧低下の原因になり、箔片の耐電圧低下ひいては蓄電素子2の耐電圧低下を引き起こす原因になる。
【0129】
電気泳動電着処理の後、箔片に修復化成処理を施すと、欠陥部に化成液が浸透するので、化成液による修復化成皮膜が形成され、この修復化成皮膜で欠陥部が修復される。
【0130】
電気泳動電着膜28には電気泳動電着膜28の形成中に発生する酸素ガスでボイド(気泡)が電気泳動電着膜28中に発生するおそれがある。このボイドを残留させることは耐電圧を維持する上で好ましくない。
【0131】
電気泳動電着後の箔片を修復化成液に浸漬すると、修復化成液が電気泳動電着膜28中に浸透し、ボイドを通過して箔片の地金部22に到達し、ボイドに対向する地金部22に修復化成膜が形成される。これにより、電気泳動電着後の箔片の耐電圧をより向上させることができる。
【0132】
このように、電気泳動電着処理で酸化皮膜層26の欠陥部を電気泳動電着膜28で耐電圧を向上させた後、電気泳動電着処理で修復しきれなかった欠陥部を修復化成膜で修復することができる。つまり、二段階の修復処理で耐電圧低下要因を排除し、蓄電素子2の耐電圧向上を図ることができる。
【0133】
<修復化成のみによる酸化皮膜層の修復(比較例9)と耐電圧>
比較例9はアモルファス酸化皮膜層が形成された箔から箔片を切り出し、その切断面に修復化成処理を行い、蓄電素子2を作成している。この蓄電素子2の耐電圧は実施例1の耐電圧より低くなっている。比較例9の耐電圧が低いのは、修復化成による酸化皮膜層が切断面に露出した地金部22に形成されにくいことに起因する。
【0134】
地金部22の修復化成による酸化皮膜層の耐電圧と欠陥部の修復化成による酸化皮膜層の耐電圧(修復化成により想定している酸化皮膜の耐電圧)の大小関係は、
地金部22の修復化成による酸化皮膜層の耐電圧<酸化皮膜の欠陥部の修復化成による酸化皮膜層の耐電圧(修復化成により想定している酸化皮膜の耐電圧)
である。蓄電素子2の耐電圧は各端面の酸化皮膜の耐電圧に依存するので、修復化成によって酸化皮膜層が修復されても、この酸化皮膜層の修復ではその耐電圧を高めることができない。
【0135】
<修復化成による酸化皮膜層が地金部22に形成されにくい理由>
ア)箔片の切断面には、通常の化成前処理のように、欠陥の少ない良質な皮膜を形成するための下地となる前処理層を付与することができない。このため、欠陥の少ない酸化皮膜を形成することが困難である。
【0136】
イ)箔片は切断時の加工傷や表面酸化物が付着しており、不純物やバリなどの因子によって欠陥のない良質な酸化皮膜層の形成が困難である。箔片の切断面に不純物が存在する場合には、酸化皮膜から漏れ電流が多くなる。また、箔片の切断面にバリが存在する場合には、バリに酸化皮膜層が形成されても、バリの形態によっては酸化皮膜層への応力集中などで欠陥を生じる恐れがある。よって、良質な酸化皮膜層の形成が困難である。
【0137】
<修復化成後の電気泳動電着処理(比較例1ないし4)>
先行する修復化成処理で、箔片の切断端面に露出する地金部に酸化皮膜層が形成される。ここで、既述したように、箔片の切断端面に露出する地金部に形成される酸化皮膜層は絶縁性物質であることに変わりはない。したがって、酸化皮膜層が形成された地金部は、酸化皮膜層によって絶縁性が高くなり、電流が流れにくい状態となる。このため、修復化成処理の後、電気泳動電着を試みても、樹脂の泳動が妨げられ、地金部に樹脂が付着しない。
【0138】
<実施例の効果>
本開示に係る実施例によれば、次の何れかの効果が得られる。
(1) 箔片の少なくとも箔の切断面に露出した地金部22を絶縁皮膜層である樹脂層で修復でき、この地金部22に依存する酸化皮膜層の耐電圧低下を防止できる。したがって、耐電圧の高圧化を図った電極箔を製造できる。
【0139】
(2) 箔片の製造段階で箔の切断面を修復するので、蓄電デバイスの耐電圧を高耐電圧化でき、また、酸化皮膜層に欠損部が生じた電極箔を用いた場合にも、蓄電素子2の形成後に、酸化皮膜層に欠損部の修復処理を行うので同様に蓄電デバイスの耐電圧を高耐電圧化できる。
【0140】
(3) 製造途上で箔片に生じた酸化皮膜層の少なくとも欠損部に酸化皮膜層と同等以上の耐電圧を持つ皮膜層が形成され、電極箔全体の耐電圧が高耐電圧化されるので、この電極箔を用いた素子の耐電圧を高耐電圧化できる。
【0141】
(4) 電極箔の製造段階で欠損部が修復された電極箔を用いるので、耐電圧を高耐電圧化できる。
【0142】
〔他の実施の形態〕
(1) 既述の導電性高分子の処理について、PSSと称されるポリスチレンスルホン酸がドープされたPEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。固体電解質は、固体電解質が溶媒中に分散して成る分散液にコンデンサ素子を浸漬して乾燥させることにより形成される。陽極箔、陰極箔およびセパレータを組立て前に別々に分散液に浸漬してもよいし、滴下塗布をしてもよいし、またスプレー塗布等の処理でもよい。
【0143】
(2) 蓄電素子に対する電解液の含浸処理について、固体電解質層を形成した蓄電素子に電解液を含浸させてもよい。
【0144】
(3) 電気泳動電着処理後の酸化皮膜層の修復を箔片の状態で行ったが、素子の形成処理の固体電解質層形成の前に、素子の状態で修復化成を行ってもよい。このようにすることで、素子の形成工程で損傷した酸化皮膜層も同時に修復できる。
【0145】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本開示の電極箔、蓄電デバイスおよびその製造方法によれば、箔の切断端面に露出する地金部を電気泳動電着処理、修復化成処理の何れかまたは双方によって形成される絶縁皮膜層で覆うので、電極箔、蓄電素子または蓄電デバイスの耐電圧を高め、蓄電デバイスの信頼性向上に寄与することができ、有用である。
【符号の説明】
【0147】
2 蓄電素子
4 陽極箔
6 陰極箔
8 セパレータ
10、12 支持板
14 陽極リード部
16 陰極リード部
18 クリップ
20 切断面
22 地金部
24 エッチング層
26 酸化皮膜層
28 電気泳動電着膜
図1
図2
図3
図4
図5