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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085733
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】採暖装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A47C7/74 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200420
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(71)【出願人】
【識別番号】511133163
【氏名又は名称】ピーエス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆矢
(72)【発明者】
【氏名】和田 一
(72)【発明者】
【氏名】中山 和樹
(72)【発明者】
【氏名】平山 禎久
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 聡
(72)【発明者】
【氏名】大野 奈津
【テーマコード(参考)】
3B084
【Fターム(参考)】
3B084JA07
(57)【要約】
【課題】半屋外空間において採暖効果を得られる採暖装置を提供することである。
【解決手段】半屋外空間2に設置される採暖装置1であって、座面11を有するベンチ10と、座面11の下方に空間18を区画形成する隔壁17と、空間18の内部に配置されたヒーター20と、を有し、座面11が前記空間の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されるとともに、空間18を外部に連通させる複数列の吹出し口11bを備えていることを特徴とする採暖装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半屋外空間に設置される採暖装置であって、
座面を有するベンチと、
前記座面の下方に空間を区画形成する隔壁と、
前記空間の内部に配置されたヒーターと、を有し、
前記座面が前記空間の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されるとともに、前記空間を外部に連通させる複数列の吹出し口を備えていることを特徴とする採暖装置。
【請求項2】
前記ベンチが背もたれを有し、
前記隔壁が、前記座面の下方と前記背もたれの後方とに前記空間を区画形成するよう構成されており、
前記背もたれが前記空間の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されている、請求項1に記載の採暖装置。
【請求項3】
複数列の前記吹出し口が、それぞれ前記座面の長手方向または短手方向に沿うスリット状である、請求項1または2に記載の採暖装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半屋外空間に設置される採暖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球場のダッグアウト、商業施設等のテラスなどの半屋外空間においても、暖房装置を設けることが要求されている。しかし、半屋外空間は、屋根を有するが外部に対して密閉されていないため、その空間全体を暖房装置によって効果的に暖房することは困難である。
【0003】
そこで、従来、半屋外空間に用いられる暖房装置として、壁、天井あるいは床から起立するポール等に設置された赤外線ヒーターを備え、例えば人が座るベンチの周りの温熱環境を、赤外線ヒーターにより局所的に改善する構成のものが用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002-510381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の暖房装置では、半屋外空間内の人に対して十分な暖房効果を与えることができないという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半屋外空間において採暖効果を得られる採暖装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の採暖装置は、半屋外空間に設置される採暖装置であって、座面を有するベンチと、前記座面の下方に空間を区画形成する隔壁と、前記空間の内部に配置されたヒーターと、を有し、前記座面が前記空間の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されるとともに、前記空間を外部に連通させる複数列の吹出し口を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明の採暖装置は、上記構成において、前記ベンチが背もたれを有し、前記隔壁が、前記座面の下方と前記背もたれの後方とに前記空間を区画形成するよう構成されており、前記背もたれが前記空間の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されているのが好ましい。
【0009】
本発明の採暖装置は、上記構成において、複数列の前記吹出し口が、それぞれ前記座面の長手方向または短手方向に沿うスリット状であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半屋外空間において採暖効果を得られる採暖装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る採暖装置が設置された半屋外空間の正面図である。
図2図1におけるA-A線に沿う断面図である。
図3図1に示す採暖装置の平面図である。
図4図1に示す採暖装置の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る採暖装置1について詳細に例示説明する。
【0013】
図1に示す本発明の一実施形態に係る採暖装置1は、半屋外空間2に設置されて使用されるものである。本実施形態では、採暖装置1が設置される半屋外空間2は、建築物である野球場の、フィールド脇に設けられたダッグアウト(プレイヤーズベンチ)である。半屋外空間2は、三方が壁3で囲われるとともに天井4を有することで日射や雨を遮ることができるが、フィールドに面する部分が外部に開放された構成となっている。
【0014】
本実施形態では、採暖装置1を、野球場のダッグアウトに設置した場合を示しているが、屋根を有して日射や雨を遮ることができるが外部に対して密閉されていない半屋外空間であれば、例えば商業施設のテラスなどの他の半屋外空間に採暖装置1を設置するようにしてもよい。
【0015】
採暖装置1はベンチ10を有している。すなわち、採暖装置1は、ベンチ10をその一部とした構成となっている。本実施形態では、採暖装置1は、横並びに配置された複数のベンチ10を備えた構成とされている。なお、採暖装置1は、少なくとも1つのベンチ10が設けられた構成であればよい。
【0016】
図1図3に示すように、それぞれのベンチ10は座面11を有している。座面11は、使用者が腰かける部分である。ベンチ10は半屋外空間2の床5に固定支持されたフレーム12を有しており、座面11はフレーム12の上部に固定されて所定の高さに設置されている。
【0017】
本実施形態では、座面11は、複数枚(図示する場合は3枚)の長尺の板材11aを、長手方向に対して直交する方向に隙間を空けて並べて配置した構成となっている。隣り合う板材11aの間の隙間は、長手方向に沿うスリット状の吹出し口11bとなっている。すなわち、座面11には、長手方向に沿って延びる2列の吹出し口11bが設けられている。
【0018】
なお、座面11は、複数列の吹き出し口11bが設けられた1枚の板材で構成されたものとしてもよい。
【0019】
また、複数列の吹出し口11bは、座面11の長手方向に沿って連続的に延びるスリット状に限らず、例えば、座面11の長手方向に沿って断続的に並べて設けられた複数の貫通孔からなる構成としてもよい。さらに、複数列の吹出し口11bは、短手方向に沿うスリット状であってもよい。
【0020】
実施形態では、ベンチ10は座面11に加えて背もたれ13を有している。ベンチ10はフレーム12に連なるサブフレーム14を有しており、背もたれ13はサブフレーム14に固定されて座面11の後端から斜め上方に向けて傾斜して設置されている。本実施形態では、背もたれ13は、複数枚(図示する場合は3枚)の長尺の板材13aを長手方向に対して直交する方向に隙間を空けずに並べて配置して構成されている。
【0021】
なお、背もたれ13は、1枚の板材で構成されたものとしてもよい。
【0022】
ベンチ10は、座面11の前端から下方に向けて延びるスカート部分15を備えた構成とすることもできる。また、ベンチ10は、背もたれ13の上端から後方に向けて延びる台部分16を備えた構成とすることもできる。スカート部分15及び台部分16は、何れも、座面11ないし背もたれ13と同様に、複数枚の長尺の板材で構成されたものとしてもよく、1枚の板材で構成されたものとしてもよい。
【0023】
図2に示すように、座面11の下方には、隔壁17a、17b、17cにより空間18が区画形成されている。本実施形態では、隔壁17a、17b、17cはスチール製の板材で形成されており、フレーム12ないしサブフレーム14に固定されて座面11の下方に空間18を区画形している。より具体的には、隔壁17aはフレーム12の前面に固定され、空間18の前面側を覆っている。隔壁17bはサブフレーム14に固定されて床5から台部分16に向けて延びて設けられており、空間18の後方部分を閉塞して背もたれ13の後方に空間18を区画形成している。隔壁17cはベンチ10の側面に設けられ、フレーム12ないしサブフレーム14に固定されて空間18の側方部分を閉塞している。なお、空間18の下方は床5で仕切られ、上方は座面11で仕切られている。
【0024】
空間18は、座面11に設けられた複数列の吹出し口11bにより空間18の外部すなわち半屋外空間2に連通している。また、図1に示すように、隔壁17aの下端と床5との間には隙間19が設けられており、空間18は、当該隙間19により空間18の外部すなわち半屋外空間2に連通している。
【0025】
図1図2に示すように、空間18の内部にはヒーター20が配置されている。ヒーター20は、空間18の内部の空気を所定の温度にまで加熱することができる。
【0026】
なお、ヒーター20としては、空間18の内部の空気を所定の温度にまで加熱することができるものであれば、例えば電気式の遠赤外線ヒーター、金属製の放熱器が熱伝導性を有するケースの内部に収納された構成のものなど、種々の構成のものを用いることができる。また、ヒーター20は、空間18の内部の空気を所定の温度に加熱することができるように、適宜の発熱量のものを適宜の数だけ空間18に配置すればよい。
【0027】
ヒーター20の作動を制御するスイッチを、例えばベンチ10の側面などの適宜の箇所に設けた構成とすることもできる。
【0028】
前方側の隔壁17aに、点検扉30を設けた構成とすることもできる。点検扉30は、扉本体31と取っ手32とを有しており、取っ手32を手前に引くことで、ヒンジ33を中心として扉本体31を回動させて開くことができる。点検扉30を開くことで隔壁17aに開口が生じるので、当該開口を通して、空間18の内部に配置されたヒーター20の点検、保守整備などを容易に行うことができる。詳細は図示しないが、点検扉30は、ヒンジ33とは反対側に設けられたマグネットに扉本体31が吸着されることで閉じた状態に保持される。
【0029】
座面11は、空間18の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されている。より具体的には、座面11は、例えば木材、スチール、アルミニウム合金、合成樹脂、人工木などでパネル状に形成され、ヒーター20で温められた空間18の内部の空気によって温められて空気から熱を吸収し、当該熱を赤外線として外部に向けて発することができる構成となっている。本実施形態では、座面11は木材により形成されており、空間18の内部の空気を介して空間18に配置されたヒーター20の熱を吸収して加熱され、当該熱を空間18の外部に輻射として放出するように構成されている。
【0030】
本実施形態では、座面11と同様に、背もたれ13も空間18の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されている。より具体的には、背もたれ13は、例えば木材、スチール、アルミニウム合金、合成樹脂、人工木などでパネル状に形成され、ヒーター20で温められた空間18の内部の空気によって温められて空気から熱を吸収し、当該熱を赤外線として外部に向けて発することができる構成となっている。本実施形態では、背もたれ13は木材により形成されており、空間18の内部の空気を介して空間18に配置されたヒーター20の熱を吸収して加熱され、当該熱を空間18の外部に輻射として放出するように構成されている。
【0031】
また、上記のように、座面11には、複数列の吹出し口11bが設けられているので、ヒーター20により空間18の内部の空気が加熱されると、当該加熱された空気は上昇気流を生じて複数列の吹出し口11bから空間18の外部に向けて放出される。このとき、ヒーター20により加熱された空気すなわち温風は、その加熱により生じる上昇気流によって吹出し口11bから空間18の外部に向けて微気流となって放出される。複数列の吹出し口11bから空間18の外部に向けて加熱された空気が放出されると、その分の空気が、隔壁17aの下端と床5との間の隙間19から空間18の内部に導入される。これにより、ヒーター20が作動すると、複数列の吹出し口11bから連続して加熱された空気が外部に微気流として放出される。
【0032】
上記の通り、本実施形態の採暖装置1は、座面11を有するベンチ10と、座面11の下方に空間18を区画形成する隔壁17と、空間18の内部に配置されたヒーター20と、を有し、座面11を空間18の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されたものとするとともに、空間18を外部に連通させる複数列の吹出し口11bを備えた構成としたので、ヒーター20の熱が座面11から輻射されるとともに空間18の内部においてヒーター20により加熱された空気が座面11に設けた吹出し口11bから外部に吹き出されるようにして、半屋外空間2の内部やベンチ10に座る人を輻射と温風とによって効果的に温めることができる。このとき、座面11は、複数人が座れる横長の広い表面積を有するので、座面11から半屋外空間2の内部に向けて効果的に熱を輻射することができる。また、複数列の吹出し口11bから噴き出される温風は微気流であるので、温風を受けた人が当該温風により寒さを感じることが抑制される。さらに、ベンチ10に人が座れば座るほど、複数列の吹出し口11bの多くが塞がれて吹出し口11bから吹き出される気流が大きくなるので、ベンチ10に多くの人が座った場合でも高い採暖効果を発揮することができる。このように、本実施形態の採暖装置1によれば、半屋外空間2における暖房効果を高めることができる。
【0033】
また、本実施形態では、ベンチ10を背もたれ13を有するものとし、隔壁17を、座面11の下方と背もたれ13の後方とに空間18を区画形成するよう構成されたものとし、背もたれ13を空間18の内部の空気によって温められる輻射パネルで構成されたものとしたので、ヒーター20の熱が座面11に加えて背もたれ13からも輻射されるようにして、半屋外空間2の内部やベンチ10に座る人をさらに効果的に温めることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、複数列の吹出し口11bを、それぞれ座面11の長手方向または短手方向に沿うスリット状としたので、ベンチ10に座る複数人に対して満遍なく温風が当たるようにして、ベンチ10に座る人をさらに効果的に温めることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、空間18を区画形成する隔壁17がスチール製となっているので、ヒーター20の熱が隔壁17からも輻射される。したがって、ベンチ10の全体から熱が輻射されることで、半屋外空間2の内部やベンチ10に座る人をさらに効果的に温めることができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、座面11が木製であるのに対し、前面の隔壁17aは木材よりも熱伝達率のよいスチール製となっているので、隔壁17aから座面11よりも強く熱が輻射されることになる。したがって、ベンチ10に座った人の足元を、隔壁17aからの輻射により効果的に温めることができる。
【0037】
図4に変形例として示すように、ベンチ10は、背もたれ13を有していない構成とすることもできる。この変形例の構成においても、ヒーター20の熱が座面11から輻射されるとともに空間18の内部においてヒーター20により加熱された空気が座面11に設けた吹出し口11bから外部に吹き出されるようにして、半屋外空間2の内部やベンチ10に座る人を輻射と温風とによって効果的に温めることができる。
【0038】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0039】
例えば、前記実施形態では、ベンチ10は、座面11が長手方向に真っ直ぐに延びる形態とされているが、例えば、座面11がくの字状、コの字状ないしロの字状に曲げられた形態とするなど、その形態は種々変更可能である。
【0040】
また、前記実施形態では、座面11に2列の吹出し口11bを設けるようにしているが、3列以上の吹出し口11bを設けるようにしてもよい。さらに、ベンチ10が背もたれ13を有する場合には、座面11に加えて背もたれ13にも吹出し口を設けるようにしてもよい。この場合、背もたれ13に1列のみ吹出し口を設けてもよく、複数列の吹出し口を設けてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 採暖装置
2 半屋外空間
3 壁
4 天井
5 床
10 ベンチ
11 座面
11a 板材
11b 吹出し口
12 フレーム
13 背もたれ
13a 板材
14 サブフレーム
15 スカート部分
16 台部分
17 隔壁
17a 隔壁
17b 隔壁
17c 隔壁
18 空間
19 隙間
20 ヒーター
30 点検扉
31 扉本体
32 取っ手
33 ヒンジ
図1
図2
図3
図4