(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085736
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】移動装置、移動システム、点検システム、及び、点検方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/92 20060101AFI20240620BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240620BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20240620BHJP
【FI】
E04B1/92
G03B15/00 T
G03B15/00 P
G03B17/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200424
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】505466295
【氏名又は名称】株式会社イクシス
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高志
(72)【発明者】
【氏名】中塚 康夫
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 綾乃
【テーマコード(参考)】
2E001
2H105
【Fターム(参考)】
2E001DH26
2E001FA24
2E001GA77
2E001HB01
2E001KA05
2H105AA11
2H105EE08
2H105EE11
(57)【要約】
【課題】移動装置自体に自走装置を設けることを必ずしも必要とすることなく移動可能な移動装置、移動システム、点検システム、及び、点検方法を提供するものである。
【解決手段】移動装置200は、構造物300内に張られている第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を備える移動機構15を用いて構造物300に対して相対移動可能な移動装置であり、移動装置200は、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40により牽引されることによって移動する移動装置本体部10と、移動装置本体部10を第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部70と、を備え、移動装置本体部10が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引される際に、移動装置本体部10と本体保持部70とが第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、移動装置本体部10は本体保持部70に対して第1方向に相対移動可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを備える移動機構を用いて前記構造物に対して相対移動可能な移動装置であって、
装置を搭載可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結可能であり、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにより牽引されることによって移動する移動装置本体部と、
第1方向に沿って延在するとともに、前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを介して取り付けられて、前記移動装置本体部を前記第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部と、
を備え、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記移動装置本体部と前記本体保持部とが前記第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、前記移動装置本体部は前記本体保持部に対して前記第1方向に相対移動可能である、
移動装置。
【請求項2】
前記本体保持部は、前記第1方向における当該本体保持部の一端側に配置される第1移動部と、前記第1方向における当該本体保持部の他端側に配置される第2移動部と、前記第1移動部と前記第2移動部との間に架設されているガイド部と、を有し、
前記移動装置本体部は、前記第1方向において、前記第1移動部と前記第2移動部との間に配置されており、
前記ガイド部は、前記移動装置本体部が前記第1方向に沿って移動するようにガイド可能である、
請求項1に記載の移動装置。
【請求項3】
前記本体保持部は、互いに平行に配置されている複数の前記ガイド部を有する、
請求項2に記載の移動装置。
【請求項4】
構造物に取り付け可能な移動システムであって、
移動装置と、
前記構造物に対して前記移動装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを有し、
前記移動装置は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結されており、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は移動可能である、
移動システム。
【請求項5】
前記移動装置は、
装置を搭載可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとが連結されており、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにより牽引されることによって移動する移動装置本体部と、
第1方向に沿って延在するとともに、前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを介して取り付けられて、前記移動装置本体部を前記第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部と、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記移動装置本体部と前記本体保持部とが前記第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、前記移動装置本体部は前記本体保持部に対して前記第1方向に相対移動可能である、
請求項4に記載の移動システム。
【請求項6】
前記本体保持部は、前記第1方向における当該本体保持部の一端側に配置される第1移動部と、前記第1方向における当該本体保持部の他端側に配置される第2移動部と、前記第1移動部と前記第2移動部との間に架設されているガイド部と、を有し、
前記移動装置本体部は、前記第1方向において、前記第1移動部と前記第2移動部との間に配置されており、
前記ガイド部は、前記移動装置本体部が前記第1方向に沿って移動するようにガイド可能である、
請求項5に記載の移動システム。
【請求項7】
前記移動機構は、前記構造物内に前記第2方向に沿って架け渡される第2方向一方側ガイド部及び第2方向他方側ガイド部を更に有し、
前記第2方向一方側ガイド部と前記第2方向他方側ガイド部とは、前記第1方向において互いに離隔しており、
前記第1移動部は、前記第2方向一方側ガイド部の延在方向に沿って前記第2方向一方側ガイド部に対して相対移動可能に係合しており、
前記第2移動部は、前記第2方向他方側ガイド部の延在方向に沿って前記第2方向他方側ガイド部に対して相対移動可能に係合しており、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記第2方向一方側ガイド部と前記第2方向他方側ガイド部とは、前記本体保持部が前記第2方向に沿って移動するようにガイド可能である、
請求項6に記載の移動システム。
【請求項8】
前記移動装置本体部は、前記第1ワイヤの一端と連結する第1連結部と、前記第1ワイヤの他端と連結する第2連結部と、前記第2ワイヤの一端と連結する第3連結部と、前記第2ワイヤの他端と連結する第4連結部と、を有し、
前記第1移動部は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々に対して接触可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々の延在方向を転換する第1方向一方側係合部を有し、
前記第2移動部は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々に対して接触可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々の延在方向を転換する第1方向他方側係合部を有し、
前記第1ワイヤは、前記第1連結部から、前記第1方向一方側係合部と前記第1方向他方側係合部とをこの順に経由して、前記第2連結部に亘って張られており、
前記第2ワイヤは、前記第4連結部から、前記第1方向一方側係合部と前記第1方向他方側係合部とをこの順に経由して、前記第3連結部に亘って張られている、
請求項7に記載の移動システム。
【請求項9】
前記移動機構は、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を更に有する、
請求項5から8のいずれか一項に記載の移動システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記移動装置本体部の所望の移動位置に応じて、前記第1ワイヤを送る方向及び距離と、前記第2ワイヤを送る方向及び距離と、を演算する、
請求項9に記載の移動システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1ワイヤを送る方向及び距離と前記第2ワイヤを送る方向及び距離とに基づく演算によって前記移動装置本体部の位置を判定する請求項9に記載の移動システム。
【請求項12】
前記駆動装置は、
前記第1ワイヤを当該第1ワイヤの延在方向における一方側又は他方側に送る第1アクチュエータと、
前記第2ワイヤを当該第2ワイヤの延在方向における一方側又は他方側に送る第2アクチュエータと、
を有し、
前記制御部は、前記第1アクチュエータが前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向を制御するとともに、前記第2アクチュエータが前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向を制御する、
請求項9に記載の移動システム。
【請求項13】
前記移動機構は、前記構造物に取り付けられる第1筐体及び第2筐体を有し、
前記第1筐体は、前記第1ワイヤが貫通する第1貫通孔を有するとともに前記第1アクチュエータを収容しており、
前記第2筐体は、前記第2ワイヤが貫通する第2貫通孔を有するとともに前記第2アクチュエータを収容しており、
前記第1筐体と前記第2筐体とは、防爆構造を有する、
請求項12に記載の移動システム。
【請求項14】
点検対象物を点検するための点検システムであって、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能である、
点検システム。
【請求項15】
前記構造物は、金属製のラックと、前記ラックに支持される金属製の配管と、を含み、
前記点検対象物は、前記構造物であり、
請求項14に記載の点検システム。
【請求項16】
前記構造物は、水平方向において相互に離隔して配置されている第1の前記ラック、第2の前記ラック及び第3の前記ラックを含み、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記第1のラックから前記第3のラックに亘って張られているとともに、前記第1のラックと前記第3のラックとの間において前記第2のラックをくぐり抜けており、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、前記第2のラックをくぐり抜けて、前記第1のラック側又は前記第3のラック側へ移動可能である、
請求項15に記載の点検システム。
【請求項17】
前記点検装置は、前記撮像装置を有し、
前記撮像装置の視野は下向きとなっている、
請求項16に記載の点検システム。
【請求項18】
前記配管と前記ラックとの接触部における電触の有無を点検する
請求項15から17のいずれか一項に記載の点検システム。
【請求項19】
前記制御部は非防爆エリアに配置され、
前記移動点検装置は防爆エリアに配置される、
請求項15から17のいずれか一項に記載の点検システム。
【請求項20】
点検システムを用いて点検対象物から点検情報を取得する点検方法であって、
前記点検システムは、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能し、前記撮像装置、前記測定装置または前記センサにより前記点検対象物から前記点検情報を取得する、
点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動装置、移動システム、点検システム、及び、点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動装置本体部を備え、当該移動装置本体部を移動可能に支持する移動機構を用いて、装置本体部を第1方向と第1方向に対して直交する第2方向とに移動させることが可能な移動装置としては、特許文献1に記載されたものがある。
特許文献1の移動装置(同文献の移動作業装置)は、互いに並列に配置される一対のレールと、このうち一方のレールに沿って移動可能な第1移動部(同文献の自走装置)と、他方のレールに沿って移動可能な第2移動部(同文献の自走装置)と、第1移動部から第2移動部に亘って架設されている第1方向ガイド部(同文献のトラス)と、第1方向ガイド部に沿って左右に移動可能な移動装置本体部(同文献の第2自走装置)と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移動装置では、移動装置を移動させるために、移動装置自体に自走装置を設ける必要がある。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、移動装置自体に自走装置を設けることを必ずしも必要とすることなく移動可能な移動装置、移動システム、点検システム、及び、点検方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを備える移動機構を用いて前記構造物に対して相対移動可能な移動装置であって、
装置を搭載可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結可能であり、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにより牽引されることによって移動する移動装置本体部と、
第1方向に沿って延在するとともに、前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを介して取り付けられて、前記移動装置本体部を前記第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部と、
を備え、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記移動装置本体部と前記本体保持部とが前記第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、前記移動装置本体部は前記本体保持部に対して前記第1方向に相対移動可能である、
移動装置が提供される。
【0007】
また、本開示によれば、構造物に取り付け可能な移動システムであって、
移動装置と、
前記構造物に対して前記移動装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを有し、
前記移動装置は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結されており、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は移動可能である、
移動システムが提供される。
【0008】
また、本開示によれば、点検対象物を点検するための点検システムであって、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能である、
点検システムが提供される。
【0009】
また、本開示によれば、上記の発明に係る点検システムを用いて点検対象物から点検情報を取得する点検方法であって、
前記点検システムは、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能し、前記撮像装置、前記測定装置または前記センサにより前記点検対象物から前記点検情報を取得する、
点検方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、移動装置は、当該移動装置自体に自走装置を設けることを必ずしも必要とすることなく移動可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る移動装置の模式的な平面図であり、構造物に取り付けられた状態を示す。
【
図2】実施形態に係る移動装置の模式的な側面図であり、構造物に取り付けられた状態を示す。
【
図3】実施形態に係る移動装置のブロック図である。
【
図4】実施形態に係る移動装置の模式的な平面図であり、
図1に示す状態から移動装置本体部が第2方向における一方に移動した状態を示す。
【
図5】実施形態に係る移動装置の模式的な平面図であり、
図1に示す状態から移動装置本体部が第2方向における他方に移動した状態を示す。
【
図6】実施形態に係る移動装置の模式的な平面図であり、
図1に示す状態から移動装置本体部が第1方向における一方に移動した状態を示す。
【
図7】実施形態に係る移動装置の模式的な平面図であり、
図1に示す状態から移動装置本体部が第1方向における他方に移動した状態を示す。
【
図8】実施形態の変形例に係る移動装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、
図1から
図7を用いて説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。なお、各図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。各図面において、各構成の形状や寸法比率は、説明を容易にするために便宜上設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。本明細書または請求項における「平行」や「直交」は、厳密に平行や直交の場合のみでなく、実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交の場合も含まれる。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る移動装置200は、構造物300内に張られている第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を備える移動機構15を用いて構造物300に対して相対移動可能な移動装置である。
移動装置200は、装置(例えば、後述する撮像装置410)を搭載可能であるとともに第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とに連結可能であり、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40により牽引されることによって移動する移動装置本体部10と、第1方向(
図1に示すX方向)に沿って延在するとともに、移動装置本体部10が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を介して取り付けられて、移動装置本体部10を第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部70と、を備えている。
移動装置本体部10が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引される際に、移動装置本体部10と本体保持部70とが第1方向に対して交差する第2方向(
図1に示すY方向)に移動可能であり、移動装置本体部10は本体保持部70に対して第1方向に相対移動可能である。
【0014】
また、本実施形態に係る移動システムは、構造物300に取り付け可能な移動システムであって、移動装置200と、構造物300に対して移動装置200を相対移動可能にする移動機構15と、を備えている。
移動機構15は、構造物300内に張られている第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を有し、移動装置200は、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とに連結されており、移動装置200が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引されることで、移動装置200は移動可能である。
【0015】
構造物300とは、例えば、人工的な建造物である。ただし、本開示において、構造物300は建造物に限定されず、自然に存在するものであってもよい。
建造物としては、後述のように、配管設備や橋梁等の上空に架設された架設部分(例えば、後述する配管350)を含む建造物を挙げられる。
移動装置200は、例えば、地上から直に撮影したり点検したりすることが困難な構造物300の上記架設部分の点検に用いられる。
【0016】
本実施形態によれば、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を備える移動機構15を用いて、移動装置本体部10と本体保持部70とが第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、移動装置本体部10は本体保持部70に対して第1方向に相対移動可能である。
より詳細には、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に送る方向の選択と、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に送る方向の選択と、第1ワイヤ30を送る距離と第2ワイヤ40を送る距離との比率の選択と、の組み合わせに応じて、移動装置本体部10を第1方向及び第2方向における所望の位置に移動させることが可能である。
すなわち、移動装置200自体に自走装置を搭載することなく、移動装置200が移動可能となる。
更には、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々の長さ寸法を調整することによって、構造物300の大きさ等に応じて移動装置本体部10の移動可能な範囲を適宜調整することができる。
【0017】
以下では、移動装置200の各構成要素同士の位置関係などを説明するに際し、
図1における左右方向を第1方向(X方向)と称し、
図1における上下方向を第2方向(Y方向)と称する。また、第1方向(X方向)における一方(
図1における右方)を右(右方)と称し、他方(
図1における左方)を左(左方)と称し、Y方向における一方(
図1における下方)を前(前方)と称し、他方(
図1における上方)を後(後方)と称する場合がある。また、X方向及びY方向の各々を水平方向と称し、X方向及びY方向の各々に直交する方向を鉛直方向と称する場合がある。
【0018】
移動装置200は、例えば、点検対象物を点検するための点検システムに用いられる。
より詳細には、本開示は、点検対象物を点検するための点検システムを含む。点検システムは、移動点検装置400と、構造物300に対して移動点検装置400を相対移動可能にする移動機構15と、を備えている。
移動機構15は、構造物300内に張られている第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40と、構造物300に取り付けられるとともに、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を送るための駆動装置と、駆動装置を制御することで第1ワイヤ30を送る量及び第1ワイヤ30を送る方向と第2ワイヤ40を送る量及び第2ワイヤ40を送る方向とを制御する制御部130と、を有する。
移動点検装置400は、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が連結される移動装置200と、移動装置200に搭載される点検装置と、を有し、点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、移動装置200が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引されることで、移動装置200は、第1方向と第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能である。
【0019】
また、本開示は、点検システムを用いて点検対象物から点検情報を取得する点検方法(以下、本方法と称する場合がある)を含む。本方法の点検システムは、移動点検装置400と、構造物300に対して移動点検装置400を相対移動可能にする移動機構15と、を備えている。
移動機構15は、構造物300内に張られている第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40と、構造物300に取り付けられるとともに、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を送るための駆動装置と、駆動装置を制御することで第1ワイヤ30を送る量及び第1ワイヤ30を送る方向と第2ワイヤ40を送る量及び第2ワイヤ40を送る方向とを制御する制御部130と、を有する。
移動点検装置400は、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が連結される移動装置200と、移動装置200に搭載される点検装置と、を有し、点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有する。
移動装置200が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引されることで、移動装置200は、第1方向と第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能し、撮像装置、測定装置またはセンサにより点検対象物から点検情報を取得する。
【0020】
本実施形態の場合、一例として、構造物300は、金属製のラック310と、ラック310に支持される金属製の配管350と、を含む。そして、点検対象物は構造物300であり、上記の点検システムは構造物300を点検するために用いられる。
より詳細には、移動装置200は、例えば、製油所内の配管設備(
図2参照)の点検に用いられる。すなわち、本実施形態の場合、構造物300は配管設備であり、移動機構15は当該配管設備に架設される。製油所内において、配管設備の配置領域は防爆エリアとなっている。
後述するように、本実施形態の場合、移動機構15は、駆動装置として、アクチュエータを備えており、当該アクチュエータの駆動によって、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40をその延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る動作が行われる。よって、移動装置200によれば、防爆エリア内の配管設備を安全且つ効率的に点検することができる。
また、制御部130は非防爆エリアに配置され、移動点検装置400は防爆エリアに配置される。
このため、構造物300が防爆エリア内に配置される配管設備であっても、オペレータは、制御部130によって安全に移動点検装置400を防爆エリア内において移動させ点検作業を行うことができる。
【0021】
配管設備は、例えば、互いに上下に離間して配置された複数段の配管350を含む(複数の配管層360を含む)。これらの複数段の配管350は、例えば、互いに並列に延在する複数のラック310によって支持されている。
本実施形態の場合、構造物300は、複数のラック310として、水平方向において相互に離隔して配置されている第1のラック321、第2のラック322及び第3のラック323を含む。なお、
図1において、配管350(配管層360)、第1のラック321、第2のラック322及び第3のラック323の各々を二点鎖線で図示している。
移動機構15は、例えば、移動装置本体部10が配管350に沿って水平に移動するように架設されることが好ましい。この場合、第1方向及び第2方向の各々は、水平方向となる。ただし、本開示において、第1方向及び第2方向の各々は、水平方向に限定されない。
本実施形態の場合、
図1及び
図2に示すように、移動機構15は、複数のラック310のうちの第1のラック321及び第3のラック323どうしの間に架設される。
これにより、上下に隣接する配管350(配管層360)どうしの間隙が狭い場合であっても、各配管350を良好に点検することができる。
より詳細には、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40は、第1のラック321から第3のラック323に亘って張られているとともに、第1のラック321と第3のラック323との間において第2のラック322をくぐり抜けている。
また、点検対象物の配管350の上方又は下方に移動装置本体部10及び移動機構15が配置されるように、移動機構15を取り付けるラック310(第1のラック321及び第3のラック323)を選択し、当該ラック310に対する移動機構15の取り付け位置を調整する。
図4及び
図5に示すように、移動装置200が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引されることで、移動装置200は、第2のラック322をくぐり抜けて、第1のラック321側又は第3のラック323側へ移動可能である。
【0022】
本実施形態の場合、点検装置は、撮像装置410を有する。より詳細には、移動装置本体部10には、一例として、撮像装置410が搭載されている。移動装置本体部10を第2方向及び第1方向に移動させ、点検対象物(本実施形態の場合、配管350)の写真を順次撮影する。撮影された写真データは、後述するように無線通信中継装置450を中継して遠隔操作用端末440に送信される。
本実施形態の場合、撮像装置410は、防爆構造となっている。これにより、防爆エリア内の各配管層360を安全に点検することができる。撮像装置410としては、例えば、防爆仕様のスマートフォンを用いることができる。
本実施形態の場合、一例として、撮像装置410の視野は下向きとなっている。この場合、移動装置本体部10及び移動機構15は、例えば、点検対象物の配管350の上方に配置される。
ただし、本開示において、移動装置本体部10における撮像装置410の配置は、当該撮像装置410の視野方向が上向きの配置でもよい。この場合、移動装置本体部10及び移動機構15は点検対象物の配管350の下方に配置される。
また、本開示において、複数の撮像装置410が移動装置本体部10に搭載されていてもよい。この場合、例えば、移動装置本体部10には、視野方向が上向きの撮像装置410と、視野方向が下向きの撮像装置410と、の双方が搭載されていてもよい。
また、移動装置本体部10における撮像装置410の視野方向は、上下方向以外の方向であってもよい。
【0023】
本実施形態の場合、点検システムを用いて点検対象物から取得する点検情報は、例えば、配管350の外表面や配管350の外装材等における変色、キズの有無などといった外観の異常の有無である。
より詳細には、点検システムは、一例として、配管350とラック310との接触部315における電触の有無を点検する。
上述のように、移動装置200は、第2のラック322をくぐり抜けて、第1のラック321側又は第3のラック323側へ移動可能である。このため、第1のラック321~第3のラック323の各々と対応する配管350との接触部315における電触の有無を点検することが容易となる。
より詳細には、撮像装置410によって、各接触部315の写真を順次撮影し撮影された写真データは、上述のように遠隔操作用端末440に送信される。そして、遠隔操作用端末440に送信された写真データをオペレータが確認することによって電触の有無を点検することができる。
【0024】
なお、本開示において、点検システムの用途や構造物300の種類に応じて、移動装置本体部10は、上述のように撮像装置410と、測定装置(不図示)と、センサ(不図示)と、のうち少なくともいずれか1つ以上を搭載していてもよい。
【0025】
図1に示すように、移動装置200は、移動装置本体部10を基準として、第1方向における一方側の位置に配置される第1方向一方側係合部80と、第1方向における一方側の位置に配置される第1方向他方側係合部90と、を備えている。
第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90の各々には、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が係合する。
図6及び
図7に示すように、移動機構15は、第1ワイヤ30を送る方向及びその送り量と、第2ワイヤ40を送る方向及びその送り量と、の選択により、第1方向一方側係合部80と第1方向他方側係合部90との間において、移動装置本体部10を第1方向における一方又は他方に移動させることが可能である。
また、このような構成によって本体保持部70は、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって支持された状態で構造物300に架設される。
同様に、移動装置200は、例えば、移動装置本体部10を基準として、第2方向における一方側の位置において構造物300に取り付けられる第2方向一方側係合部50と、第2方向における他方側の位置において構造物300に取り付けられる第2方向他方側係合部60と、を備えている。
第2方向一方側係合部50及び第2方向他方側係合部60の各々には、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が係合する。
図4及び
図5に示すように、移動機構15は、第1ワイヤ30を送る方向及びその送り量と、第2ワイヤ40を送る方向及びその送り量と、の選択により、第2方向一方側係合部50と第2方向他方側係合部60との間において、移動装置本体部10を第2方向における一方又は他方に移動させることが可能である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態の場合、移動装置本体部10は、第1ワイヤ30の一端31と連結する第1連結部11と、第1ワイヤ30の他端32と連結する第2連結部12と、第2ワイヤ40の一端41と連結する第3連結部13と、第2ワイヤ40の他端42と連結する第4連結部14と、を有する。
第1連結部11及び第4連結部14の各々は、第1方向における移動装置本体部10の一端部(左側端部)に設けられている。第2連結部12及び第3連結部13の各々は、第1方向における移動装置本体部10の一端部(右側端部)に設けられている。
第1方向において、第1連結部11と第3連結部13とが互いに対向して配置されており、第2連結部12と第4連結部14とが互いに対向して配置されている。
【0027】
本体保持部70は、例えば、第1方向における当該本体保持部70の一端側(例えば、右側)に配置される第1移動部71と、第1方向における当該本体保持部70の他端側(例えば、左側)に配置される第2移動部73と、第1移動部71と第2移動部73との間に架設されているガイド部75と、を有する。
移動装置本体部10は、第1方向において、第1移動部71と第2移動部73との間に配置されており、ガイド部75は、移動装置本体部10が第1方向に沿って移動するようにガイド可能である。
【0028】
本実施形態の場合、本体保持部70は、互いに平行に配置されている複数のガイド部75を有する。
より詳細には、本体保持部70は、例えば、複数のガイド部75として、互いに並列に延在する一対のガイド部75a、75bを有する。
一対のガイド部75a、75bがそれぞれ移動装置本体部10を第1方向にガイドする。
より詳細には、一対のガイド部75a、75bの各々は、例えば、第1方向に延在する棒状体である。
一対のガイド部75a、75bの各々の一端部(本実施形態の場合、左端部)には、第1移動部71が固定されており、一対のガイド部75a、75bの各々の他端部(本実施形態の場合、右端部)には、第2移動部73が固定されている。
移動装置本体部10は、一対のガイド部75a、75bの各々に対して、第1方向に摺動可能に取り付けられている。移動装置本体部10は、第1移動部71と第2移動部73との間を第1方向に移動可能(摺動可能)となっている。
図1に示すように、第1移動部71及び第2移動部73の各々は、例えば、平面視略矩形状の平板状に形成されている。第1移動部71及び第2移動部73の各々の板面は、例えば、水平に配置されている。
ただし、本開示において、ガイド部75は、例えば、第1方向に延在する1又は複数の溝部であってもよい。
また、本開示において、移動装置本体部10がガイド部75に対して第1方向に摺動する形態に限定されず、移動装置本体部10は、例えば、ガイド部75から浮上した状態を維持しつつ第1方向に移動するように構成されていてもよい。
【0029】
図1に示すように、本実施形態の場合、移動機構15は、構造物300内に第2方向に沿って架け渡される第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26を有する。
第2方向一方側ガイド部21と第2方向他方側ガイド部26とは、第1方向において互いに離隔している。
第1移動部71は、第2方向一方側ガイド部21の延在方向に沿って第2方向一方側ガイド部21に対して相対移動可能に係合している。
同様に、第2移動部73は、第2方向他方側ガイド部26の延在方向に沿って第2方向他方側ガイド部26に対して相対移動可能に係合している。
移動装置本体部10が第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって牽引される際に、第2方向一方側ガイド部21と第2方向他方側ガイド部26とは、本体保持部70が第2方向に沿って移動するようにガイド可能である。
このような構成によれば、第1移動部71が第2方向一方側ガイド部21によって支持され、第2移動部73が第2方向他方側ガイド部26によって支持されることにより、本体保持部70は、第2方向一方側ガイド部21と第2方向他方側ガイド部26との間に架設される。すなわち、本体保持部70が、第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26を介して構造物300によって支持された状態とすることができる。
【0030】
第2方向一方側ガイド部21は、例えば、第1移動部71を第2方向にガイドするとともに第1移動部71の荷重を支える第1ガイドワイヤ24を有する。
同様に、第2方向他方側ガイド部26は、例えば、第2移動部73を第2方向にガイドするとともに第2移動部73の荷重を支える第2ガイドワイヤ29を有する。
これにより、本体保持部70は、第2方向一方側ガイド部21と第2方向他方側ガイド部26との間に架設されるとともに、当該第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26の各々によって支持される。
また、本実施形態の場合、第1移動部71は、第1ガイドワイヤ24に沿って第2方向に摺動可能となっており、第2移動部73は、第2ガイドワイヤ29に沿って第2方向に摺動可能となっている。これにより、本体保持部70は、第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29の各々に沿って第2方向に摺動可能となる。また、上述のように本体保持部70には移動装置本体部10が取り付けられているので、当該本体保持部70が第2方向に摺動するのに伴って、移動装置本体部10も第2方向に移動する。
【0031】
より詳細には、第2方向一方側ガイド部21は、例えば、当該第2方向一方側ガイド部21の一端部を構成している第1固定部22と、当該第2方向一方側ガイド部21の他端部を構成している第2固定部23と、を有する。
第1固定部22は、第1移動部71を基準として第2方向における一方側において構造物300に取り付けられ、第2固定部23は、第1移動部71を基準として第2方向における他方側において構造物300に取り付けられる。そして、第1ガイドワイヤ24は、第1固定部22と第2固定部23との間に架設される。
同様に、第2方向他方側ガイド部26は、例えば、当該第2方向他方側ガイド部26の一端部を構成している第3固定部27と、当該第2方向他方側ガイド部26の他端部を構成している第4固定部28と、を有する。
第3固定部27は、第2移動部73を基準として第2方向における一方側において構造物300に取り付けられ、第4固定部28は、第2移動部73を基準として第2方向における他方側において構造物300に取り付けられる。そして、第2ガイドワイヤ29は、第3固定部27と第4固定部28との間に架設される。
このような構成によれば、第1ガイドワイヤ24と第2ガイドワイヤ29とによって、第1移動部71及び第2移動部73、ひいては本体保持部70の全体を良好に支持することができる。
第1固定部22に対して第1ガイドワイヤ24の一端部が固定され、第2固定部23に対して第1ガイドワイヤ24の他端部が固定される。第3固定部27に対して第2ガイドワイヤ29の一端部が固定され、第4固定部28に対して第2ガイドワイヤ29の他端部が固定される。
図1に示すように、第1固定部22及び第2固定部23は、第1方向における位置が互いに等しい。このため、第1ガイドワイヤ24は、緊張状態となって、平面視において第2方向に延在する直線状に架設される。
第3固定部27及び第4固定部28は、第1方向における位置が互いに等しい。このため、第2ガイドワイヤ29は、緊張状態となって、平面視において第2方向に延在する直線状に架設される。
【0032】
また、
図1に示すように、本実施形態の場合、第1のラック321に第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26の各々の一端部が取り付けられ、第3のラック323に第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26の各々の他端部が取り付けられる。
より詳細には、第1のラック321は、移動装置本体部10を基準として、第2方向における一方側に配置されており、第3のラック323は、第2方向における他方側に配置されている。
第1のラック321~第3のラック323の各々は、例えば、第1方向に延在している。
第1ガイドワイヤ24の第1固定部22は、第1のラック321に取り付けられ、第2固定部23は、第3のラック323に取り付けられる。同様に、第2ガイドワイヤ29の第3固定部27は、第1のラック321に取り付けられ、第4固定部28は、第3のラック323に取り付けられる。
このようにして、第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29の各々は、第1のラック321と第3のラック323との間に架設される。そして、移動装置本体部10と本体保持部70とは、第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29の各々に沿って、第2のラック322をくぐり抜けて、第2方向において第1のラック321と第3のラック323との間を移動可能となっている。
【0033】
移動機構15の設置範囲及び移動機構15の移動可能な範囲は、例えば、第2方向において1m以上50m以下であり、第1方向において1m以上10m以下である。ただし、移動機構15の移動可能な範囲は、移動機構15の設置範囲の周縁部を除く部分であり、当該範囲よりも狭い。
本実施形態の場合、一例として、移動機構15の設置範囲及び移動機構15の移動可能な範囲は、第2方向において約20m、横方向において5mである。
より詳細には、第2方向における第2方向一方側係合部50と第2方向他方側係合部60との離間距離は、例えば、20mである。また、第1方向における本体保持部70の長さ寸法は、例えば、5mである。
なお、本開示において、構造物300に対する第2方向一方側ガイド部21及び第2方向他方側ガイド部26の取り付け位置や、第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29の各々の長さ寸法を調整することによって、第2方向における本体保持部70及び移動装置本体部10の移動可能な範囲を適宜設定することができる。
同様に、本開示において、本体保持部70の第1方向における寸法(ガイド部75の長さ寸法)を適宜変更することによって、第1方向における移動機構15の設置範囲を適宜設定することができる。
【0034】
ここで、本実施形態の場合、
図1等に示すように、第1移動部71が、例えば、第1方向一方側係合部80を有する。第1方向一方側係合部80は、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40との各々に対して接触可能であるとともに第1ワイヤ30と第2ワイヤ40との各々の延在方向を転換する。
同様に、第2移動部73が、例えば、第1方向他方側係合部90を有する。第1方向他方側係合部90は、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40との各々に対して接触可能であるとともに第1ワイヤ30と第2ワイヤ40との各々の延在方向を転換する。
第1ワイヤ30は、第1連結部11から、第1方向一方側係合部80と第1方向他方側係合部90とをこの順に経由して、第2連結部12に亘って張られている。
第2ワイヤ40は、第4連結部14から、第1方向一方側係合部80と第1方向他方側係合部90とをこの順に経由して、第3連結部13に亘って張られている。
【0035】
より詳細には、移動装置200は、例えば、第1ワイヤ30における一端部から他端部までの中間部分が順次に係合する第1係合部81、第2係合部51、第3係合部83、第4係合部91、第5係合部61及び第6係合部93と、を備える。
また、移動装置200は、例えば、第2ワイヤ40における一端部から他端部までの中間部分が順次に係合する第7係合部95、第8係合部53、第9係合部97、第10係合部85、第11係合部63及び第12係合部87と、を備えている。
以下の説明において、第1ワイヤ30に対応している係合部とは、当該第1ワイヤ30に係合している係合部であり、第2ワイヤ40に対応している係合部とは、当該第2ワイヤ40に係合している係合部である。
第1方向一方側係合部80は、例えば、第1係合部81、第3係合部83、第10係合部85及び第12係合部87を含む。
第1方向他方側係合部90は、例えば、第4係合部91、第6係合部93、第7係合部95及び第9係合部97を含む。
第2方向一方側係合部50は、例えば、第2係合部51及び第8係合部53を含む。
第2方向他方側係合部60は、例えば、第5係合部61及び第11係合部63を含む。
すなわち、本実施形態の場合、第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90の各々は、複数の係合部によって構成されている。ただし、本開示はこの例に限定されず、第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90の各々は、1つの係合部によって構成されていてもよい。
同様に、本実施形態の場合、第2方向一方側係合部50及び第2方向他方側係合部60の各々は、複数の係合部によって構成されている。ただし、本開示はこの例に限定されず、第2方向一方側係合部50及び第2方向他方側係合部60の各々は、1つの係合部によって構成されていてもよい。
【0036】
図1に示すように、第1ワイヤ30は、例えば、第1係合部81、第2係合部51、第3係合部83、第4係合部91、第5係合部61及び第6係合部93の各々に係合する部位が各々の延在方向において可変となるようにこれらの各係合部にそれぞれ係合する。
同様に、第2ワイヤ40は、例えば、第7係合部95、第8係合部53、第9係合部97、第10係合部85、第11係合部63及び第12係合部87の各々に係合する部位が各々の延在方向において可変となるようにこれらの各係合部にそれぞれ係合する。
【0037】
本実施形態の場合、一例として、第1係合部81、第2係合部51、第3係合部83、第4係合部91、第5係合部61、第6係合部93、第7係合部95、第8係合部53、第9係合部97、第10係合部85、第11係合部63及び第12係合部87の各々は、鉛直に延在する回転軸により回転可能に軸支されているプーリである。
第1係合部81~第12係合部87の各々は、対応するワイヤを当該ワイヤの延在方向における一方側又は他方側に送る動作と連動して一方向又は逆方向に回転する。これにより、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、その延在方向における一方側又は他方側に送られる。すなわち、プーリが回転することによって、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40において、対応する各係合部に係合する部位が各々の延在方向において可変となっている。
ただし、本開示において、各係合部は必ずしもプーリでなくてもよく、例えば、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は対応する係合部に対して摺動することによって各々の延在方向において可変となっていてもよい。
また、本開示において、各係合部は、例えば、複数のプーリによって構成されていてもよい。
【0038】
本実施形態の場合、
図1に示すように、移動装置本体部10を基準として、第2係合部51及び第8係合部53(第2方向一方側係合部50)は、第2方向における一方側の位置において構造物300に取り付けられ、第5係合部61及び第11係合部63(第2方向他方側係合部60)は、第2方向における他方側の位置において構造物300に取り付けられる。
より詳細には、第2係合部51及び第8係合部53は、例えば、第1方向において互いに離間した状態で、第1のラック321に対して個別に取り付けられる。第5係合部61及び第11係合部63は、例えば、第1方向において互いに離間した状態で、第3のラック323に対して個別に取り付けられる。
第1方向において、第2係合部51及び第5係合部61の各々の位置は互いに等しい。同様に、第1方向において、第8係合部53及び第11係合部63の各々の位置は、互いに等しい。
【0039】
また、
図1に示すように、第1係合部81、第3係合部83、第10係合部85及び第12係合部87は、第1移動部71にそれぞれ取り付けられている。一方、第4係合部91、第6係合部93、第7係合部95及び第9係合部97は、第2移動部73にそれぞれ取り付けられる。すなわち、移動装置本体部10を基準として、第1係合部81、第3係合部83、第10係合部85及び第12係合部87(第1方向一方側係合部80)は、第1方向における一方の位置に配置されており、第4係合部91、第6係合部93、第7係合部95及び第9係合部97(第1方向他方側係合部90)は、第1方向における他方の位置に配置されている。
第1移動部71において、第1係合部81から第2係合部51を経由して第3係合部83に至る第1ワイヤ30の経路と、第12係合部87から第11係合部63を経由して第10係合部85に至る第2ワイヤ40の経路と、が互いに干渉しないように、各係合部は互いにオフセットした位置に配置されている。
より詳細には、第1係合部81及び第3係合部83は、第12係合部87及び第10係合部85と前後対称に配置されている。第3係合部83は、第1係合部81に対して左側且つ前側にオフセットした位置に配置されており、第10係合部85は、第12係合部87に対して左側且つ後側にオフセットした位置に配置されている。
また、第1方向において、第1係合部81と第12係合部87とは互いに同等の位置に配置されており、第3係合部83と第10係合部85とは互いに同等の位置に配置されている。
同様に、第2移動部73において、第7係合部95から第8係合部53を経由して第7係合部95に至る第2ワイヤ40の経路と、第6係合部93から第5係合部61を経由して第4係合部91に至る第1ワイヤ30の経路と、が互いに干渉しないように、第2移動部73において各係合部は互いにオフセットした位置に配置されている。
より詳細には、第7係合部95及び第9係合部97は、第6係合部93及び第4係合部91と前後対称に配置されている。第9係合部97は、第10係合部85に対して右側且つ前側にオフセットした位置に配置されており、第4係合部91は、第6係合部93に対して右側且つ後側にオフセットした位置に配置されている。
また、第1方向において、第9係合部97と第4係合部91とは互いに同等の位置に配置されており、第7係合部95と第6係合部93とは互いに同等の位置に配置されている。
また、第2移動部73に配置されている各係合部は、第1移動部71に配置されている各係合部と左右対称に配置されている。
【0040】
第1方向において、第2係合部51と第8係合部53との離間距離は、例えば、第5係合部61と第11係合部63との離間距離と等しい。
同様に、第1方向において、第1係合部81と第7係合部95との離間距離は、例えば、第12係合部87と第6係合部93との離間距離と等しい。また、第3係合部83と第9係合部97との離間距離は、例えば、第10係合部85と第4係合部91との離間距離と等しい。
【0041】
図1に示すように、第2方向において、第1方向一方側係合部80(第1係合部81、第3係合部83、第12係合部87及び第10係合部85)が取り付けられている第1移動部71は、第2係合部51と第11係合部63との間に配置される。
同様に、第2方向において、第1方向他方側係合部90(第4係合部91、第6係合部93、第7係合部95及び第9係合部97)が取り付けられている第2移動部73は、第8係合部53と第5係合部61との間に配置される。
移動装置本体部10が第2方向において移動する際には、第1移動部71は、第2方向一方側ガイド部21に沿って第2係合部51と第11係合部63との間を移動し、第2移動部73は、第2方向他方側ガイド部26に沿って第8係合部53と第5係合部61との間を移動する。
【0042】
図1に示すように、第1ワイヤ30は、緊張状態となって対応する各係合部を構成するプーリに係合する。
より詳細には、第1ワイヤ30は、例えば、移動装置本体部10の第1連結部11から第1係合部81を経由して第2係合部51に向かい、当該第2係合部51にて第3係合部83に向けて方向転換したのちに当該第3係合部83及び第4係合部91をこの順に経由して第5係合部61に向かい、当該第5係合部61にて第6係合部93に向けて方向転換したのちに当該第6係合部93を経由して移動装置本体部10の第2連結部12に至る経路で配置される。更に詳細には、一例として、第1ワイヤ30は、例えば、第2係合部51にて第3係合部83に向けてUターンし方向転換するとともに、第5係合部61においても第6係合部93に向けてUターンし方向転換する。
同様に、第2ワイヤ40は、緊張状態となって対応する各係合部を構成するプーリに係合する。
より詳細には、第2ワイヤ40は、例えば、移動装置本体部10の第3連結部13から第7係合部95を経由して第8係合部53に向かい、当該第8係合部53にて第9係合部97に向けて方向転換したのち当該第9係合部97及び第10係合部85をこの順に経由して第11係合部63に向かい、当該第11係合部63にて第12係合部87に向けて方向転換したのちに当該第12係合部87を経由して移動装置本体部10の第4連結部14に至る経路で配置される。更に詳細には、一例として、第2ワイヤ40は、例えば、第8係合部53にて第9係合部97に向けてUターンし方向転換するとともに、第11係合部63においても第12係合部87に向けてUターンし方向転換する。
【0043】
図1に示すように、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とは、例えば、移動装置本体部10の下方において互いに交差する一方で、それ以外の部分においては互いに離間して架設される。
また、第1ワイヤ30の一部分どうしは互いに離間して架設され、第2ワイヤ40の一部分どうしも互いに離間して架設される。
【0044】
このように、本実施形態の場合、第1ワイヤ30の一端部及び他端部は、それぞれ移動装置本体部10に固定され、第2ワイヤ40の一端部及び他端部は、それぞれ移動装置本体部10に固定され、移動装置200は、移動装置本体部10を基準として第2方向における一方側の位置において構造物300に取り付けられ、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が係合する第2方向一方側係合部50と、移動装置本体部10を基準として第2方向における他方側の位置において構造物300に取り付けられ、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が係合する第2方向他方側係合部60と、を更に備えている。
第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第2方向一方側係合部50に係合する部位が各々の延在方向において可変となるように第2方向一方側係合部50に係合するとともに、第2方向一方側係合部50においてUターンする。
第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第2方向他方側係合部60に係合する部位が各々の延在方向において可変となるように第2方向他方側係合部60に係合するとともに、第2方向他方側係合部60においてUターンする。
【0045】
また、本体保持部70は、第1方向における当該本体保持部70の一端部である第1移動部71と、第1方向における当該本体保持部70の他端部である第2移動部73と、を含み、第1移動部71は第1方向一方側係合部80を有し、第2移動部73は第1方向他方側係合部90を有する。
第1ワイヤ30は、移動装置本体部10から第1方向一方側係合部80を経由して第2方向一方側係合部50に向かい、当該第2方向一方側係合部50にてUターンしたのち第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90をこの順に経由して第2方向他方側係合部60に向かい、当該第2方向他方側係合部60にてUターンしたのち第1方向他方側係合部90を経由して移動装置本体部10に戻る経路で配置される。
第1ワイヤ30において第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90に対してそれぞれ係合している部位が、当該第1ワイヤ30の延在方向において可変となるように、当該第1ワイヤ30が第1方向一方側係合部80及び第1方向他方側係合部90に対してそれぞれ係合する。
第2ワイヤ40は、移動装置本体部10から第1方向他方側係合部90を経由して第2方向一方側係合部50に向かい、当該第2方向一方側係合部50にてUターンしたのち第1方向他方側係合部90及び第1方向一方側係合部80をこの順に経由して第2方向他方側係合部60に向かい、当該第2方向他方側係合部60にてUターンしたのち第1方向一方側係合部80を経由して移動装置本体部10に戻る経路で配置される。
第2ワイヤ40において第1方向他方側係合部90及び第1方向一方側係合部80に対してそれぞれ係合している部位が、当該第2ワイヤ40の延在方向において可変となるように、当該第2ワイヤ40が第1方向他方側係合部90及び第1方向一方側係合部80に対してそれぞれ係合する。
【0046】
また、本実施形態の場合、上述のように、第1ワイヤ30の一端部及び他端部は、それぞれ移動装置本体部10に固定され、第1ワイヤ30における一端部から他端部までの中間部分は、第1移動部71に設けられている第1係合部81と、第1移動部71を基準として第2方向における一方側において構造物300に取り付けられる第2係合部51と、第1移動部71に設けられている第3係合部83と、第2移動部73に設けられている第4係合部91と、第2移動部73を基準として第2方向における他方側において構造物300に取り付けられる第5係合部61と、第2移動部73に設けられている第6係合部93と、に順次に係合する。
第1ワイヤ30の中間部分において、第1係合部81、第2係合部51、第3係合部83、第4係合部91、第5係合部61及び第6係合部93に対してそれぞれ係合している部位が、当該中間部の延在方向において可変となるように、当該中間部分が第1係合部81、第2係合部51、第3係合部83、第4係合部91、第5係合部61及び第6係合部93に対してそれぞれ係合する。
第2ワイヤ40の一端部及び他端部は、それぞれ移動装置本体部10に固定され、第2ワイヤ40における一端部から他端部までの中間部分は、第2移動部73に設けられている第7係合部95と、第2移動部73を基準として第2方向における一方側において構造物300に取り付けられる第8係合部53と、第2移動部73に設けられている第9係合部97と、第1移動部71に設けられている第10係合部85と、第1移動部71を基準として第2方向における他方側において構造物300に取り付けられる第11係合部63と、第1移動部71に設けられている第12係合部87と、に順次に係合する。
第2ワイヤ40の中間部分において、第7係合部95、第8係合部53、第9係合部97、第10係合部85、第11係合部63及び第12係合部87に対してそれぞれ係合する部位が、当該中間部の延在方向において可変となるように、当該中間部分が第7係合部95、第8係合部53、第9係合部97、第10係合部85、第11係合部63及び第12係合部87に対してそれぞれ係合する。
【0047】
また、上述のように、第2係合部51と第8係合部53とは、例えば、第1方向において互いに離間した位置において個別に構造物300に取り付けられる。同様に、第5係合部61と第11係合部63とは、例えば、第1方向において互いに離間した位置において個別に構造物300に取り付けられる。
これにより、第2係合部51及び第8係合部53(第2方向一方側係合部50)と第5係合部61及び第11係合部63(第2方向他方側係合部60)とによって、移動機構15及び移動装置本体部10を水平に支持することができる。
【0048】
ここで、上述のように、移動機構15は、例えば、構造物300に取り付けられるとともに、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40を送るための駆動装置を有する。
本実施形態の場合、駆動装置は、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に送る第1アクチュエータ(本実施形態の場合、後述する第1モータ110)と、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に送る第2アクチュエータ(本実施形態の場合、後述する第2モータ120)と、を有する。
そして、上述の制御部130は、第1アクチュエータが第1ワイヤ30を送る量及び第1ワイヤ30を送る方向を制御するとともに、第2アクチュエータが第2ワイヤ40を送る量及び第2ワイヤ40を送る方向を制御する。
このような構成によれば、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る動作と、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る動作と、をアクチュエータ(第1アクチュエータ及び第2アクチュエータ)の動力を用いてそれぞれ行うことができる。このため、上述のように、構造物300が防爆エリア内に配置される配管設備であっても、移動装置200によって安全且つ効率的に点検作業を行うことができる。
【0049】
上述のように、第5係合部61及び第11係合部63の各々は、第1方向及び第2方向に対して直交する方向に延在する回転軸により回転可能に軸支されているプーリである。
そして、第1アクチュエータは、第5係合部61を構成するプーリを一方向又は逆方向に回転させることにより、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る。同様に、第2アクチュエータは、第11係合部63を構成するプーリを一方向又は逆方向に回転させることにより、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る。
このような構成によれば、第5係合部61の回転方向を選択することによって、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に送る方向の選択をすることができる。同様に、第11係合部63の回転方向を選択することによって、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に送る方向の選択をすることができる。
すなわち、第5係合部61及び第11係合部63の各々の回転量及びその回転方向の選択によって、移動装置本体部10を第1方向及び第2方向における所望の位置に移動させることが可能である。
より詳細には、第1ワイヤ30と対応する各係合部のうち、第5係合部61が駆動プーリであり、その他の係合部は第1ワイヤ30の動きに伴って回転する従動プーリである。同様に、第2ワイヤ40と対応する各係合部のうち、第11係合部63が駆動プーリであり、その他の係合部は第2ワイヤ40の動きに伴って回転する従動プーリである。
【0050】
本実施形態の場合、第1アクチュエータは、一例として、第1モータ110であり、第2アクチュエータは、一例として、第2モータ120である。
より詳細には、
図3に示すように、駆動装置は、例えば、第5係合部61を回転させる第1モータ110と、第1モータ110を駆動及び制御する第1モータドライバ114と、第1モータドライバ114に電力を供給する第1コンバータ116と、を備えている。
同様に、駆動装置は、例えば、第11係合部63を回転させる第2モータ120と、第2モータ120を駆動及び制御する第2モータドライバ124と、第2モータドライバ124に直流電流を供給する第2コンバータ126と、を備えている。
本実施形態の場合、第1モータ110の回転軸は、第5係合部61を構成するプーリの回転軸と同軸に固定されており、当該第1モータ110の回転に伴って第5係合部61も軸回りに回転する。すなわち、第1モータ110の回転方向及び回転量に応じた回転方向及び回転量で第5係合部61も回転する。
同様に、第2モータ120の回転軸は、第11係合部63を構成するプーリの回転軸と同軸に固定されており、第2モータ120の回転に伴って第11係合部63も軸回りに回転する。すなわち、第2モータ120の回転方向及び回転量に応じた回転方向及び回転量で第11係合部63も回転する。
より詳細には、第5係合部61は、当該第5係合部61の中心軸を回転軸として、軸周りにおける一方向(本実施形態の場合、
図1における時計回り)又は逆方向(本実施形態の場合、
図1における反時計回り)に選択的に回転する。
同様に、第11係合部63は、当該第11係合部63の中心軸を回転軸として、軸周りにおける一方向(本実施形態の場合、
図1における時計回り)又は逆方向(本実施形態の場合、
図1における反時計回り)に選択的に回転する。
なお、各モータと対応する係合部との間には、不図示の駆動伝達機構が介在していてもよい。
第1モータドライバ114は、制御部130の制御下で、第1モータ110の回転方向及び回転量を制御する。同様に、第2モータドライバ124は、制御部130の制御下で、第2モータ120の回転方向及び回転量を制御する。第1モータ110の回転方向を制御することによって、第1ワイヤ30の送り方向を選択することができ、第1モータ110の回転量を制御することによって、第1ワイヤ30の送り量を選択することができる。第2モータ120の回転方向を制御することによって、第2ワイヤ40の送り方向を選択することができ、第2モータ120の回転量を制御することによって、第2ワイヤ40の送り量を選択することができる。
また、第1コンバータ116及び第2コンバータ126の各々は、後述する制御部130の電源部134から供給される交流電流を直流電流に変換し、対応する第1モータドライバ114及び第2モータドライバ124にそれぞれ供給する。
【0051】
また、本実施形態の場合、移動機構15は、構造物300に取り付けられる第1筐体141及び第2筐体142を有する。
第1筐体141は、第1ワイヤ30が貫通する第1貫通孔(不図示)を有するとともに第1アクチュエータを収容している。
同様に、第2筐体142は、第2ワイヤ40が貫通する第2貫通孔(不図示)を有するとともに第2アクチュエータを収容している。
そして、第1筐体141と第2筐体142とは、防爆構造を有する。
このような構成によれば、移動機構15が架設される防爆エリア内において、第1モータ110、第2モータ120及びその周辺構造をそれぞれ安全に設置することができる。
第1筐体141及び第2筐体142の各々は,一例として、第3のラック323に取り付けられる。
より詳細には、第1筐体141内には、第1モータ110と、第1モータドライバ114と、第1コンバータ116と、が収容されている。
第2筐体142内には、第2モータ120と、第2モータドライバ124と、第2コンバータ126と、が収容されている。
【0052】
制御部130は、例えば、制御用プログラムを記憶保持しているROM(Read Only Memory)と、この制御用プログラムに従って制御動作を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域などとして機能するRAM(Random Access Memory)とを備えて構成されている。
制御部130は、第1モータドライバ114及び第2モータドライバ124の各々の動作を制御する。制御部130が第1モータドライバ114の動作制御を行うことによって、第5係合部61が回転する。同様に、制御部130が第2モータドライバ124の動作制御を行うことによって、第11係合部63が回転する。
また、制御部130は、例えば、第1コンバータ116及び第2コンバータ126の各々に交流電流を供給する電源部134を備えている。
電源部134から供給される交流電流は、第1コンバータ116及び第2コンバータ126にとって直流電流に変換され、対応するモータドライバにそれぞれ供給される。
電源部134は、特に限定されないが、一例として、充電式バッテリである。
本実施形態の場合、制御部130と第1筐体141とは、例えば、LANケーブルと電源コネクタとによって互いに有線接続されている。同様に、制御部130と第2筐体142とは、例えば、LANケーブルと電源コネクタとによって互いに有線接続されている。
【0053】
更に、
図3に示すように、制御部130は、位置判定部138として機能し、移動後の移動装置本体部10の位置を判定することができる。すなわち、制御部130は、第1ワイヤ30を送る方向及び距離と第2ワイヤ40を送る方向及び距離とに基づく演算によって移動装置本体部10の位置を判定する。
ここで、第1ワイヤ30を送る方向及び距離は、第1モータ110の回転方向及び回転量に応じて一義に定まる。同様に、第2ワイヤ40を送る方向及び距離は、第2モータ120の回転方向及び回転量に応じて一義に定まる。
移動装置200は、第1モータ110の回転量を検出するエンコーダ(不図示)と、第2モータ120の回転量を検出するエンコーダ(不図示)と、を備えている。各エンコーダによる検出結果は、制御部130に入力される。
制御部130は、第1モータ110と対応するエンコーダによる検出結果に基づいて、第1モータ110の回転量を認識し、第1モータ110の回転量と回転方向とに基づいて、第1ワイヤ30を送る方向及び距離を求める。同様に、第2モータ120と対応するエンコーダによる検出結果に基づいて、第2モータ120の回転量を認識し、第2モータ120の回転量と回転方向とに基づいて、第2ワイヤ40を送る方向及び距離を求める。移動後の移動装置本体部10の位置は、第1ワイヤ30を送る方向及び距離と、第2ワイヤ40を送る方向及び距離と、に応じて一義に定まるため、制御部130は、第1ワイヤ30を送る方向及び距離と、第2ワイヤ40を送る方向及び距離と、に基づいて、移動装置本体部10の位置を判定することができる。
例えば、オペレータが移動装置本体部10を目視しながら、或いは、撮像装置410により撮像される画像を確認しながら、後述する遠隔操作用端末440に対するマニュアル操作によって、第2方向及び第1方向の各々の方向へ所望の移動操作を行う場合などに、位置判定部138による判定動作が行われる。
制御部130は、判定された移動装置本体部10の位置と、その位置で撮像装置410により撮像された画像と、を対応付けて記憶保持する。これにより、収集された画像の各々が、どの位置で撮像された画像であるかが分かるようにできる。
【0054】
また、制御部130は、演算部136として機能し、移動装置本体部10の所望の移動位置に応じて、第1ワイヤ30を送る方向及び距離と、第2ワイヤ40を送る方向及び距離と、を演算する。換言すれば、制御部130は、移動装置本体部10を所望の位置へ移動させるのに必要な第1モータ110の回転方向及び回転量と第2モータ120の回転方向及び回転量と、を演算する。
その演算結果に応じて、第1モータ110の回転方向及び回転量と第2モータ120の回転方向及び回転量を制御することによって、移動装置本体部10の所望の移動位置に移動させることができる。例えば、オペレータが移動装置本体部10の移動の方向及び距離を数値入力するなどによって所望の移動位置を指定した場合に、指定された位置へと制御部130が移動装置本体部10を移動させる場合などに、演算部136による演算が行われる。
【0055】
また、本実施形態の場合、
図3に示すように、移動装置200は、例えば、オペレータにより操作される遠隔操作用端末440と、遠隔操作用端末440と制御部130との間の無線通信の中継や遠隔操作用端末440と撮像装置410と間の無線通信の中継を行う無線通信中継装置450と、を備えている。
遠隔操作用端末440は、例えば、移動装置本体部10の移動方向及び移動距離の指定などの各種の操作が可能な操作部(不図示)を備えている。オペレータが操作部に対して入力操作を行うことにより、上記の各種操作を行うことができる。
遠隔操作用端末440に入力された入力信号は、無線通信中継装置450を介して制御部130に送信される。
また、上記の測定装置420によって撮影された写真データは、例えば、無線通信中継装置450を介して遠隔操作用端末440に送信される。
遠隔操作用端末440は、例えば、液晶表示装置などの表示部を有しており、撮像装置410から受信した画像を当該表示部に表示可能となっている。
なお、
図3に示す例では、無線通信中継装置450は、制御部130とは個別に設けられているが、本開示はこの例に限定されず、制御部130が遠隔操作用端末440や撮像装置410との間で無線通信を行う無線通信部を備えていてもよい。
【0056】
一例として、製油所内において、撮像装置410(移動装置本体部10)、移動機構15、第1筐体141及び第2筐体142の各々が、防爆エリアに配置される一方で、制御部130及び無線通信中継装置450は、非防爆エリアに配置される。
なお、
図3では、遠隔操作用端末440が非防爆エリアにおいて使用される例を示しているが、当該遠隔操作用端末440は、例えば、防爆エリア内に持ち込まれてもよい。この場合、遠隔操作用端末440は、防爆構造であることが好ましい。
【0057】
以下、
図1、
図4、
図5、
図6及び
図7を用いて移動装置200の動作の例を説明する。なお、以下では、1度の移動操作における第1ワイヤ30の送り量(すなわち第1モータ110の回転量)と第2ワイヤ40の送り量(すなわち第2モータ120の回転量)とが互いに等しい例を具体的に説明する。また、説明の便宜上、移動装置本体部10の初期位置(移動装置本体部10の移動操作が行われる前の位置)は、
図1に示す移動装置本体部10の位置であるものとする。
【0058】
第5係合部61が
図1における時計回りに回転すると、第1ワイヤ30は、当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側に選択的に送られる。すなわち、第1ワイヤ30は、
図1に矢印Aで示すように第5係合部61から第6係合部93に向けて送られるとともに、第4係合部91から第5係合部61に向けて牽引される。一方、第5係合部61が
図1における反時計回りに回転すると、第1ワイヤ30は当該第1ワイヤ30の延在方向における他方側に選択的に送られる。すなわち、第1ワイヤ30は、第5係合部61から第4係合部91に向けて送られるとともに、
図1に矢印Bで示すように第6係合部93から第5係合部61に向けて牽引される。
また、第11係合部63が
図1における反時計回りに回転すると、第2ワイヤ40は当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側に選択的に送られる。すなわち、第2ワイヤ40は、
図1に矢印Cで示すように第11係合部63から第12係合部87に向けて送られるとともに、第10係合部85から第11係合部63に向けて牽引される。一方、第11係合部63が
図1における時計回りに回転すると、第2ワイヤ40は当該第2ワイヤ40の延在方向における他方側に選択的に送り出される。すなわち、第2ワイヤ40は、第11係合部63から第10係合部85に向けて送られるとともに、
図1に矢印Dで示すように第12係合部87から第11係合部63に向けて牽引される。
第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に送る方向及び送り量の選択と、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に送る方向及び送り量の選択と、の組み合わせに応じて、移動装置本体部10を第2方向(本実施形態の場合、前後方向)及び第1方向(本実施形態の場合、左右方向)における所望の位置に移動させることができる。
【0059】
ここで、以下の説明において、第1ワイヤ30の他端32から(第6係合部93を経由して)第5係合部61に至るまでの第1ワイヤ30の経路長を第1経路長と称する。また、第5係合部61から(第4係合部91及び第3係合部83をこの順に経由して)第2係合部51に至るまでの第1ワイヤ30の経路長を第2経路長と称し、第2係合部51から(第1係合部81を経由して)第1ワイヤ30の一端31に至るまでの第1ワイヤ30の経路長を第3経路長と称する。
同様に、第2ワイヤ40の他端42から(第12係合部87を経由して)第11係合部63に至るまでの第2ワイヤ40の経路長を第4経路長と称し、第11係合部63から(第10係合部85及び第9係合部97をこの順に経由して)第8係合部53に至るまでの第2ワイヤ40の経路長を第5経路長と称し、第8係合部53から(第7係合部95を経由して)第2ワイヤ40の一端41に至るまでの第2ワイヤ40の経路長を第6経路長と称する。第1ワイヤ30の第2経路長は、移動装置本体部10の位置に拘わらず、実質的に一定である。これに対し、第1ワイヤ30の第1経路長と第3経路長とは互いに取り合いの関係にある。第1経路長が長くなると第3経路長が短くなり、第1経路長が短くなると第3経路長が長くなり、第1経路長の変化量と第3経路長の変化量とは互いに等しい。
同様に、第2ワイヤの第5経路長は、移動装置本体部10の位置に拘わらず、実質的に一定である。これに対し、第2ワイヤ40の第4経路長と第6経路長とは互いに取り合いの関係にある。第4経路長が長くなると第6経路長が短くなり、第4経路長が短くなると第6経路長が長くなり、第4経路長の変化量と第6経路長の変化量とは互いに等しい。
【0060】
先ず、移動装置本体部10を後方に移動させる動作を説明する。
図4に示すように、第1ワイヤ30を矢印Aの方向に送るとともに、第1ワイヤ30と同量だけ第2ワイヤ40を矢印Cの方向に送ると、移動装置本体部10は後方に移動する。
つまり、第1ワイヤ30については、第2経路長は実質的に変化しないが、第1経路長は長くなり第3経路長は短くなる。一方、第2ワイヤ40については、第5経路長は実質的に変化しないが、第4経路長は長くなり第6経路長は短くなる。また、第1ワイヤ30の送り量と第2ワイヤ40の送り量とが互いに等しいため、第1経路長の変化量と第4経路長の変化量とは互いに等しい(第3経路長の変化量と第6経路長の変化量についても、互いに等しい)。このため、移動装置本体部10は、左右には移動せず、第1移動部71が第2係合部51側に移動するとともに第2移動部73が第8係合部53側に移動するのに伴って後方にのみ移動する。
なお、第1モータ110及び第2モータ120の回転量をそれぞれ調節することによって、後方への移動装置本体部10の移動距離を調節することができる。
【0061】
次に、移動装置本体部10を前方に移動させる動作を説明する。
図5に示すように、第1ワイヤ30を矢印Bの方向に送るとともに、第1ワイヤ30と同量だけ第2ワイヤ40を矢印Dの方向に送ると、移動装置本体部10は前方に移動する。
つまり、第1ワイヤ30については、第2経路長は実質的に変化しないが、第1経路長は短くなり第3経路長は長くなる。一方、第2ワイヤ40については、第5経路長は実質的に変化しないが、第4経路長は短くなり第6経路長は長くなる。また、第1ワイヤ30の送り量と第2ワイヤ40の送り量とが互いに等しいため、第1経路長の変化量と第4経路長の変化量とは互いに等しい(第3経路長の変化量と第6経路長の変化量についても、互いに等しい)。このため、移動装置本体部10は、左右には移動せず、第1移動部71が第11係合部63側に移動するとともに第2移動部73が第5係合部61側に移動するのに伴って前方にのみ移動する。
この場合も、第1モータ110及び第2モータ120の回転量をそれぞれ調節することによって、前方への移動装置本体部10の移動距離を調節することができる。
【0062】
次に、移動装置本体部10を右方に移動させる動作を説明する。
図6に示すように、第1ワイヤ30を矢印Bの方向に送るとともに、第1ワイヤ30と同量だけ第2ワイヤ40を矢印C方向に送ると、移動装置本体部10は右方に移動する。
つまり、第1ワイヤ30については、第2経路長は実質的に変化しないが、第1経路長は短くなり第3経路長は長くなる。一方、第2ワイヤ40については、第5経路長は実質的に変化しないが、第4経路長は長くなり第6経路長は短くなる。また、第1ワイヤ30の送り量と第2ワイヤ40の送り量とが互いに等しいため、第1経路長の変化量と第4経路長の変化量とは互いに等しい(第3経路長の変化量と第6経路長の変化量についても、互いに等しい)。このため、移動装置本体部10は、前後には移動せず、右方(第2移動部73側)にのみ移動する。
この場合も、第1モータ110及び第2モータ120の回転量をそれぞれ調節することによって、右方への移動装置本体部10の移動距離を調節することができる。
【0063】
次に、移動装置本体部10を左方に移動させる動作を説明する。
図7に示すように、第1ワイヤ30を矢印Aの方向に送るとともに、第1ワイヤ30と同量だけ第2ワイヤ40を矢印Dの方向に送ると、移動装置本体部10は左方に移動する。
つまり、第1ワイヤ30については、第2経路長は実質的に変化しないが、第1経路長は長くなり第3経路長は短くなる。一方、第2ワイヤ40については、第5経路長は実質的に変化しないが、第4経路長は短くなり第6経路長は長くなる。また、第1ワイヤ30の送り量と第2ワイヤ40の送り量とが互いに等しいため、第1経路長の変化量と第4経路長の変化量とは互いに等しい(第3経路長の変化量と第6経路長の変化量についても、互いに等しい)。このため、移動装置本体部10は、前後には移動せず、左方(第1移動部71側)にのみ移動する。
この場合も、第1モータ110及び第2モータ120の回転量をそれぞれ調節することによって、左方への移動装置本体部10の移動距離を調節することができる。
【0064】
図4から
図7を用いた上記の動作説明では、第1ワイヤ30の送り量(第5係合部61の回転量)と第2ワイヤ40の送り量(第11係合部63の回転量)とが互いに等しく、1度の動作で移動装置本体部10が後、前、右、左のうちのいずれか一方にのみ移動する例を説明した。
ただし、第1ワイヤ30の送り量と第2ワイヤ40の送り量との比率を調整することによって、1度の動作で移動装置本体部10を第2方向と第1方向との双方に同時に移動させることができる。つまり、移動装置本体部10を斜めに移動させることも可能である。
より詳細には、
図4を用いて説明した動作と比べて、第1ワイヤ30の送り量を増加させるか、又は、第2ワイヤ40の送り量を減少させることにより、移動装置本体部10は左後方に移動する。また、
図4を用いて説明した動作と比べて、第1ワイヤ30の送り量を減少させるか、又は、第2ワイヤ40の送り量を増加させることにより、移動装置本体部10は右後方に移動する。
同様に、
図5を用いて説明した動作と比べて、第1ワイヤ30の送り量を増加させるか、又は、第2ワイヤ40の送り量を減少させることにより、移動装置本体部10は右前方に移動する。また、
図5を用いて説明した動作と比べて、第1ワイヤ30の送り量を減少させるか、又は、第2ワイヤ40の送り量を増加させることにより、移動装置本体部10は左前方に移動する。
【0065】
以上、図面を参照して実施形態を説明したが、これらは本開示の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。すなわち、以下に示す変形例は、技術的に矛盾しない範囲で、上記で説明した実施形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0066】
例えば、上記においては、第2方向一方側係合部50が第2係合部51と第8係合部53とを含み、第1ワイヤ30は第2係合部51に係合し、第2ワイヤ40は第8係合部53に係合する例を説明した。ただし、本開示において、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とは、互いに共通の第2方向一方側係合部50(すなわち、一の係合部)に係合してもよい。
同様に、上記においては、第2方向他方側係合部60が第5係合部61と第11係合部63とを含み、第1ワイヤ30は第5係合部61に係合し、第2ワイヤ40は第11係合部63に係合する例を説明した。ただし、本開示において、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とは、互いに共通の第2方向他方側係合部60(すなわち、一の係合部)に係合してもよい。
この場合、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第2方向一方側係合部50に対して個別に摺動可能に係合する。同様に、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第2方向他方側係合部60に対して個別に摺動可能に係合する。
【0067】
また、上記においては、第1方向一方側係合部80は、第1係合部81、第3係合部83、第10係合部85及び第12係合部87を含み、第1ワイヤ30は第1係合部81及び第3係合部83に係合し、第2ワイヤ40は第10係合部85及び第12係合部87に係合する例を説明した。ただし、本開示において、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とは、互いに共通の第1方向一方側係合部80(すなわち、一の係合部)に係合してもよい。
同様に、上記においては、第1方向他方側係合部90は、例えば、第4係合部91、第6係合部93、第7係合部95及び第9係合部97を含み、第1ワイヤ30は第4係合部91及び第6係合部93に係合し、第2ワイヤ40は第7係合部95及び第9係合部97に係合する例を説明した。ただし、本開示において、第1ワイヤ30と第2ワイヤ40とは、互いに共通の第1方向他方側係合部90(すなわち、一の係合部)に係合してもよい。
この場合、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第1方向一方側係合部80に対して個別に摺動可能に係合する。同様に、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40の各々は、第1方向一方側係合部80に対して個別に摺動可能に係合する。
【0068】
上記の例では、移動機構15が第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29を備えている例を説明したが、本開示において、移動機構15は第1ガイドワイヤ24及び第2ガイドワイヤ29を備えていなくてもよい。この場合、本体保持部70は、第2方向一方側係合部50、第2方向他方側係合部60、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40によって支持される。
【0069】
また、上記においては、移動機構15が、第1係合部81~第12係合部87を備えている例を説明したが、本開示において、移動機構15が備える係合部の数はこの例に限定されない。
より詳細には、
図8に示すように、移動機構15は、例えば、少なくとも、第2方向一方側係合部50として1つの係合部(係合部54)と、第2方向他方側係合部60として1つの係合部(係合部65)と、第1方向一方側係合部80として1つの係合部(係合部88)と、第1方向他方側係合部90として1つの係合部(係合部98)と、を備えていればよい。
係合部54、65は、例えば、構造物300に取り付けられ、係合部88、98は本体保持部70に取り付けられる。
この場合、第1ワイヤ30は、例えば、ループ状に形成されているとともに、係合部54、65に対してそれぞれ係合する。また、本体保持部70の一端部は、例えば、第1ワイヤ30に固定されており、第1ワイヤ30によって第2方向における一方側又他方側に移動する。
また、第2ワイヤ40は、例えば、ループ状に形成されているとともに、係合部88、98に対してそれぞれ係合する。移動装置本体部10は、例えば、第2ワイヤ40に固定されており、第2ワイヤ40によって第1方向における一方側又は他方側に移動する。
また、図示を省略しているが、本体保持部70の他端部にも、ループ状のワイヤが固定されており、当該ワイヤに対して第2方向一方側係合部50及び第2方向他方側係合部60がそれぞれ係合していてもよい。
また、
図8に示すように、ガイド部75は、第2方向に延在する溝部であってもよい。
【0070】
また、上記においては、移動機構15が第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを備える例を説明したが、本開示において、移動機構15は、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを備えていなくてもよい。この場合、例えば、第1ワイヤ30を当該第1ワイヤ30の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る動作と、第2ワイヤ40を当該第2ワイヤ40の延在方向における一方側又は他方側に選択的に送る動作と、は手動によってそれぞれ行われる。
また、本開示において、制御部130による動作制御と、オペレータの手動による動作制御とが組み合わされてもよい。
【0071】
また、上記においては、第2係合部51及び第8係合部53が、共通のラック310(第1のラック321)に取り付けられ、第5係合部61及び第11係合部63が、共通のラック310(第3のラック323)に取り付けられる例を説明した。ただし、本開示において、第2係合部51と第8係合部53とが、別個のラック310に取り付けられ、第5係合部61と第11係合部63とが、別個のラック310に取り付けられてもよい。
【0072】
また、上記においては、第5係合部61に第1モータ110が固定され、第11係合部63に第2モータ120が固定される例を説明したが、本開示はこの例に限定されず、第1モータ110が第8係合部53に固定され、第2モータ120が第2係合部51に固定されてもよい。
更には、移動機構15が、第2方向他方側係合部60として、2つの駆動プーリ(第5係合部61及び第11係合部63)を備える例を説明したが、本開示において、移動機構15が備える駆動プーリの数はこの例に限定されない。
より詳細には、例えば、移動機構15は、第1ワイヤ30が係合する一対の駆動プーリ(一対の係合部(不図示))と、第2ワイヤ40が係合する一対の駆動プーリ(一対の係合部(不図示))と、を備えていてもよい。この場合、第1ワイヤ30を対応する一対の駆動プーリによって挟持し、第2ワイヤ40を対応する一対の駆動プーリによって挟持することによって、第1ワイヤ30及び第2ワイヤ40が各係合部に係合した状態を良好に維持することができる。
【0073】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを備える移動機構を用いて前記構造物に対して相対移動可能な移動装置であって、
装置を搭載可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結可能であり、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにより牽引されることによって移動する移動装置本体部と、
第1方向に沿って延在するとともに、前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを介して取り付けられて、前記移動装置本体部を前記第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部と、
を備え、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記移動装置本体部と前記本体保持部とが前記第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、前記移動装置本体部は前記本体保持部に対して前記第1方向に相対移動可能である、
移動装置。
(2)前記本体保持部は、前記第1方向における当該本体保持部の一端側に配置される第1移動部と、前記第1方向における当該本体保持部の他端側に配置される第2移動部と、前記第1移動部と前記第2移動部との間に架設されているガイド部と、を有し、
前記移動装置本体部は、前記第1方向において、前記第1移動部と前記第2移動部との間に配置されており、
前記ガイド部は、前記移動装置本体部が前記第1方向に沿って移動するようにガイド可能である、
(1)に記載の移動装置。
(3)前記本体保持部は、互いに平行に配置されている複数の前記ガイド部を有する、
(2)に記載の移動装置。
(4)構造物に取り付け可能な移動システムであって、
移動装置と、
前記構造物に対して前記移動装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤを有し、
前記移動装置は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとに連結されており、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は移動可能である、
移動システム。
(5)前記移動装置は、
装置を搭載可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとが連結されており、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤにより牽引されることによって移動する移動装置本体部と、
第1方向に沿って延在するとともに、前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを介して取り付けられて、前記移動装置本体部を前記第1方向に相対移動可能に保持する本体保持部と、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記移動装置本体部と前記本体保持部とが前記第1方向に対して交差する第2方向に移動可能であり、前記移動装置本体部は前記本体保持部に対して前記第1方向に相対移動可能である、
(4)に記載の移動システム。
(6)前記本体保持部は、前記第1方向における当該本体保持部の一端側に配置される第1移動部と、前記第1方向における当該本体保持部の他端側に配置される第2移動部と、前記第1移動部と前記第2移動部との間に架設されているガイド部と、を有し、
前記移動装置本体部は、前記第1方向において、前記第1移動部と前記第2移動部との間に配置されており、
前記ガイド部は、前記移動装置本体部が前記第1方向に沿って移動するようにガイド可能である、
(5)に記載の移動システム。
(7)前記移動機構は、前記構造物内に前記第2方向に沿って架け渡される第2方向一方側ガイド部及び第2方向他方側ガイド部を更に有し、
前記第2方向一方側ガイド部と前記第2方向他方側ガイド部とは、前記第1方向において互いに離隔しており、
前記第1移動部は、前記第2方向一方側ガイド部の延在方向に沿って前記第2方向一方側ガイド部に対して相対移動可能に係合しており、
前記第2移動部は、前記第2方向他方側ガイド部の延在方向に沿って前記第2方向他方側ガイド部に対して相対移動可能に係合しており、
前記移動装置本体部が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引される際に、前記第2方向一方側ガイド部と前記第2方向他方側ガイド部とは、前記本体保持部が前記第2方向に沿って移動するようにガイド可能である、
(6)に記載の移動システム。
(8)前記移動装置本体部は、前記第1ワイヤの一端と連結する第1連結部と、前記第1ワイヤの他端と連結する第2連結部と、前記第2ワイヤの一端と連結する第3連結部と、前記第2ワイヤの他端と連結する第4連結部と、を有し、
前記第1移動部は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々に対して接触可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々の延在方向を転換する第1方向一方側係合部を有し、
前記第2移動部は、前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々に対して接触可能であるとともに前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとの各々の延在方向を転換する第1方向他方側係合部を有し、
前記第1ワイヤは、前記第1連結部から、前記第1方向一方側係合部と前記第1方向他方側係合部とをこの順に経由して、前記第2連結部に亘って張られており、
前記第2ワイヤは、前記第4連結部から、前記第1方向一方側係合部と前記第1方向他方側係合部とをこの順に経由して、前記第3連結部に亘って張られている、
(7)に記載の移動システム。
(9)前記移動機構は、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を更に有する、
(5)から(8)のいずれか一項に記載の移動システム。
(10)前記制御部は、前記移動装置本体部の所望の移動位置に応じて、前記第1ワイヤを送る方向及び距離と、前記第2ワイヤを送る方向及び距離と、を演算する、
(9)に記載の移動システム。
(11)前記制御部は、前記第1ワイヤを送る方向及び距離と前記第2ワイヤを送る方向及び距離とに基づく演算によって前記移動装置本体部の位置を判定する(9)に記載の移動システム。
(12)前記駆動装置は、
前記第1ワイヤを当該第1ワイヤの延在方向における一方側又は他方側に送る第1アクチュエータと、
前記第2ワイヤを当該第2ワイヤの延在方向における一方側又は他方側に送る第2アクチュエータと、
を有し、
前記制御部は、前記第1アクチュエータが前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向を制御するとともに、前記第2アクチュエータが前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向を制御する、
(9)に記載の移動システム。
(13)前記移動機構は、前記構造物に取り付けられる第1筐体及び第2筐体を有し、
前記第1筐体は、前記第1ワイヤが貫通する第1貫通孔を有するとともに前記第1アクチュエータを収容しており、
前記第2筐体は、前記第2ワイヤが貫通する第2貫通孔を有するとともに前記第2アクチュエータを収容しており、
前記第1筐体と前記第2筐体とは、防爆構造を有する、
(12)に記載の移動システム。
(14)点検対象物を点検するための点検システムであって、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能である、
点検システム。
(15)前記構造物は、金属製のラックと、前記ラックに支持される金属製の配管と、を含み、
前記点検対象物は、前記構造物であり、
(14)に記載の点検システム。
(16)前記構造物は、水平方向において相互に離隔して配置されている第1の前記ラック、第2の前記ラック及び第3の前記ラックを含み、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、前記第1のラックから前記第3のラックに亘って張られているとともに、前記第1のラックと前記第3のラックとの間において前記第2のラックをくぐり抜けており、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、前記第2のラックをくぐり抜けて、前記第1のラック側又は前記第3のラック側へ移動可能である、
(15)に記載の点検システム。
(17)前記点検装置は、前記撮像装置を有し、
前記撮像装置の視野は下向きとなっている、
(16)に記載の点検システム。
(18)前記配管と前記ラックとの接触部における電触の有無を点検する
(15)から(17)のいずれか一項に記載の点検システム。
(19)前記制御部は非防爆エリアに配置され、
前記移動点検装置は防爆エリアに配置される、
(15)から(17)のいずれか一項に記載の点検システム。
(20)点検システムを用いて点検対象物から点検情報を取得する点検方法であって、
前記点検システムは、
移動点検装置と、
構造物に対して前記移動点検装置を相対移動可能にする移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記構造物内に張られている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記構造物に取り付けられるとともに、前記第1ワイヤ及び第2ワイヤを送るための駆動装置と、
前記駆動装置を制御することで前記第1ワイヤを送る量及び前記第1ワイヤを送る方向と前記第2ワイヤを送る量及び前記第2ワイヤを送る方向とを制御する制御部と、
を有し、
前記移動点検装置は、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが連結される移動装置と、
前記移動装置に搭載される点検装置と、
を有し、
前記点検装置は、撮像装置と測定装置とセンサとのうち少なくとも1つを有し、
前記移動装置が前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤによって牽引されることで、前記移動装置は、第1方向と前記第1方向に対して交差する第2方向とに移動可能し、前記撮像装置、前記測定装置または前記センサにより前記点検対象物から前記点検情報を取得する、
点検方法。
【符号の説明】
【0074】
10 移動装置本体部
11 第1連結部
12 第2連結部
13 第3連結部
14 第4連結部
15 移動機構
21 第2方向一方側ガイド部
22 第1固定部
23 第2固定部
24 第1ガイドワイヤ
26 第2方向他方側ガイド部
27 第3固定部
28 第4固定部
29 第2ガイドワイヤ
30 第1ワイヤ
31 一端
32 他端
40 第2ワイヤ
41 一端
42 他端
50 第2方向一方側係合部
51 第2係合部
53 第8係合部
54 係合部
60 第2方向他方側係合部
61 第5係合部
63 第11係合部
65 係合部
70 本体保持部
71 第1移動部
73 第2移動部
75 ガイド部
80 第1方向一方側係合部
81 第1係合部
83 第3係合部
85 第10係合部
87 第12係合部
88 係合部
90 第1方向他方側係合部
91 第4係合部
93 第6係合部
95 第7係合部
97 第9係合部
98 係合部
110 第1モータ
114 第1モータドライバ
116 第1コンバータ
120 第2モータ
124 第2モータドライバ
126 コンバータ
130 制御部
132 無線通信部
134 電源部
136 演算部
138 位置判定部
141 第1筐体
142 第2筐体
200 移動装置
300 構造物(点検対象物)
310 ラック
315 接触部
321 第1のラック
322 第2のラック
323 第3のラック
350 配管
360 配管層
400 移動点検装置
410 撮像装置
440 遠隔操作用端末
450 無線通信中継装置