(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085738
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/46 20240101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B6/03 360Z
A61B6/03 360Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200427
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 亮
(72)【発明者】
【氏名】八上 全弘
(72)【発明者】
【氏名】久保 武
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 清秀
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 義夫
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA18
4C093CA26
4C093FF35
4C093FG05
4C093FG12
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】医用画像の観察を支援すること。
【解決手段】本実施形態に係る医用画像処理装置は、受付部、及び、表示制御部を備える。前記受付部は、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、スライス位置を移動させる指示を受け付ける。表示制御部は、前記受け付けた指示が、前記スライス位置を所定の間隔未満移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を第1画像として表示部に表示させ、前記受け付けた指示が、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像を表示部に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、スライス位置を移動させる指示を受け付ける受付部と、
前記受け付けた指示が、前記スライス位置を所定の間隔未満移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を第1画像として表示部に表示させ、前記受け付けた指示が、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像を表示部に表示させる表示制御部と、
を備える、医用画像処理装置。
【請求項2】
前記第2画像は、前記受け付けた指示で定まる移動量に応じた数の隣接するスライス画像で構成され、前記移動量で定まる移動先の位置のスライス画像を含むスライス画像群に基づくスラブ画像である、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記スラブ画像の元となるスライス画像群は、前記移動先の位置のスライス画像と移動前の位置のスライス画像との間のスライス画像を含む、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記3次元医用画像を構成する各スライス画像について、当該スライス画像を含むスラブ画像を複数の異なるスラブ厚で生成し、生成したスラブ画像群を記憶部に格納する生成部、
をさらに備え、
前記表示制御部は、次に表示する前記第2画像に該当するスラブ画像を、前記記憶部が記憶するスラブ画像群から取得して、前記表示部に表示させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
複数のスライス画像からスラブ画像を生成する生成部、
をさらに備え、
前記表示制御部は、次に表示する前記第2画像に該当するスラブ画像を前記生成部に生成させ、前記生成部が生成したスラブ画像を前記表示部に表示させる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記スラブ画像を前記表示部に表示した状態で、前記スライス位置を移動させる指示を所定時間受け付けない場合、当該スラブ画像の元となるスライス画像群のうち移動先の位置であったスライス画像を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記スラブ画像を前記表示部に表示した後、前記スライス位置を移動させる指示を受け付けない期間において、前記第2画像として表示させるスラブ画像のスラブ厚が、前記移動先の位置のスライス画像を含む状態で経時的に減少するように制御する、
請求項6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記移動量で定まる移動先の位置のスライス画像がスラブ中心となる前記スラブ画像を前記第2画像として前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記受付部が前記スライス位置を継続して前記所定の間隔以上移動させる指示を受け付けた場合、
前記表示制御部は、移動先のスライス位置に応じた前記第2画像を順次表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
前記3次元医用画像である第1の3次元医用画像の比較対象となる第2の3次元医用画像が記憶部に記憶されている場合、
前記表示制御部は、前記第1の3次元医用画像を表示する際、前記第2の3次元医用画像を連動させて表示する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項11】
前記第2の3次元医用画像は、前記第1の3次元医用画像の比較対象となる過去の3次元医用画像、又は、前記第1の3次元医用画像を利用することによって生成された3次元加工画像である、
請求項10に記載の医用画像処理装置。
【請求項12】
前記3次元医用画像である第1の3次元医用画像の撮影部位を含んで撮影された前記被検体の第2の3次元医用画像であって、前記第1の3次元医用画像を構成するスライス画像のスライス厚より厚いスライス厚のスライス画像で構成される第2の3次元医用画像が記憶部に記憶されている場合、
前記表示制御部は、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示が行われたときに、前記第2の3次元医用画像を構成するスライス画像を前記第2画像として前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、ユーザがスライス位置の移動を指示する頻度と、自装置の画像表示の更新に関する指標とに基づいて、画像表示に用いるスライス画像の数を決定する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、実行待ちとなっているスライス位置の移動指示の状況に応じて、前記第1画像を表示させるか、前記第2画像を表示させるかを判定し、前記第2画像を表示させると判定した場合には、当該第2画像に反映させるスライス画像の数を決定する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、ユーザにより入力された固定値により、前記移動量を決定する、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項16】
前記スラブ画像は、最大値投影法、最小値投影法、または、統計処理により、前記スライス画像群から生成された画像である、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項17】
被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、スライス位置を移動させる指示を受け付け、
前記受け付けた指示が、前記スライス位置を所定の間隔未満移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を第1画像として表示部に表示させ、
前記受け付けた指示が、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像を表示部に表示させる、
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項18】
被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、スライス位置を移動させる指示を受け付け、
前記受け付けた指示が、前記スライス位置を所定の間隔未満移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を第1画像として表示部に表示させ、
前記受け付けた指示が、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像を表示部に表示させる、
処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医用画像診断装置は、被検体を撮影することにより、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を生成する。例えばユーザである医師(または「画像診断医」あるいは「放射線科医」)は、3次元医用画像を用いて読影を行う。ここで、ユーザは、画像診断において、CT(Computed Tomography)画像やMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像などの複数のスライス画像から成る3次元医用画像を観察することが多い。ユーザが3次元医用画像を観察する際は、医用画像表示装置を用いて、当該3次元医用画像に含まれる任意のスライス画像を取得してディスプレイに表示させる。通常、ユーザは、3次元医用画像内でのスライス画像の位置(以下、スライス位置)をスライス画像の並び順通りまたは逆順に変更する指示を出すことにより、医用画像表示装置は、ディスプレイに表示させるスライス画像を順次取得する。以下、スライス位置を+1だけ移動させることを+1スライス送り、-1だけ移動させることを-1スライス送りと呼び、更に、+1スライス送りと-1スライス送りとを総称して±1スライス送りと呼ぶ。例えば、ユーザは医用画像処理装置に対して±1スライス送りの指示を出すことにより、医用画像表示装置は、3次元医用画像に含まれる各スライス画像をその並び順通りまたは逆順に変更してディスプレイに表示する。
【0003】
更に、3次元医用画像全体をすばやく観察したいユーザが行った指示が、ディスプレイに表示されるスライス画像のスライス位置を一定間隔(nとする)ずつ飛ばしながら(間引きしながら)スライス送りする指示となってしまう場合がある。ここで、nは予め決められた2以上の整数である。以下、スライス位置を+nだけ移動させることを+nスライス送り、-nだけ移動させることを-nスライス送りと呼び、更に、+nスライス送りと-nスライス送りとを総称して±nスライス送りと呼ぶ。例えば、3次元医用画像をすばやく観察するためにユーザが+1スライス送りの指示を入力した場合、医用画像表示装置の表示処理が間に合わずに、+nスライス送りとなってしまう場合がある。かかる場合、医用画像処理装置は、スライス位置を一定間隔ずつ飛ばしながら取得したスライス画像をディスプレイに表示するので、飛ばされたスライス位置にあるスライス画像はディスプレイに表示されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-312026号公報
【特許文献2】特表2019-508141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像の観察を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、受付部、及び、表示制御部を備える。前記受付部は、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、スライス位置を移動させる指示を受け付ける。表示制御部は、前記受け付けた指示が、前記スライス位置を所定の間隔未満移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を第1画像として表示部に表示させ、前記受け付けた指示が、前記スライス位置を前記所定の間隔以上移動させる指示である場合、移動先のスライス位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像を表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、
図3のステップS101におけるユーザ操作の具体例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、
図3のステップS101におけるユーザ操作の他の具体例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、
図3のステップS103~S105が実行された場合の表示例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、
図3のステップS106~S108が実行された場合の表示例を示す図である。
【
図6A】
図6Aは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、スラブ画像の第1の構成例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、スラブ画像の第2の構成例を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、スラブ画像の第3の構成例を示す図である。
【
図6D】
図6Dは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、スラブ画像の第4の構成例を示す図である。
【
図6E】
図6Eは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、スラブ画像の第5の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理の他の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る医用画像処理装置による処理の他の表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11A】
図11Aは、第3実施形態に係る医用画像処理装置による処理の表示例を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、第3実施形態に係る医用画像処理装置による処理の他の表示例を示す図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、医用画像処理装置、医用画像処理方法、及び、プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、以下、医用画像処理装置を含む医用画像処理システムを例に挙げて説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100を含む医用画像処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示す医用画像処理システム1は、医用画像処理装置100と、医用画像診断装置2と、画像保管装置3とを備える。医用画像処理装置100は、医用画像診断装置2及び画像保管装置3と、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)などのネットワーク4により接続される。ここで、各装置は、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0010】
医用画像診断装置2は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置である。また、医用画像診断装置2は、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、又はこれらの装置群等である。医用画像診断装置2は、2次元の医用画像や、3次元の医用画像(ボリュームデータ)、時系列に沿った2次元医用画像、時系列に沿った3次元医用画像を生成可能である。
【0011】
ここで、医用画像診断装置2は、被検体を撮影することにより医用画像を収集する。例えば、医用画像診断装置2であるX線CT装置は、造影剤を投与した被検体にX線管及びX線検出器を旋回移動させ、被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する。そして、X線CT装置は、収集した投影データに基づいて、2次元のCT画像、3次元のCT画像(ボリュームデータ)、時系列に沿った2次元のCT画像、または、時系列に沿った3次元のCT画像を生成する。或いは、X線CT装置は、収集した投影データに基づいて、所定方向に沿った複数の2次元のCT画像を生成する。例えば、X線CT装置は、体軸方向に沿った複数のアキシャル断面の2次元CT画像を生成する。
【0012】
医用画像診断装置2は、生成した医用画像を画像保管装置3に送信する。なお、医用画像診断装置2は、医用画像を画像保管装置3に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置2を識別する装置ID、医用画像診断装置2による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
【0013】
画像保管装置3は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置3は、記憶回路を備え、医用画像診断装置2から送信された医用画像を当該記憶回路に格納することにより、当該医用画像を保管する。画像保管装置3の記憶回路は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。なお、画像保管装置3に保管された医用画像は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、医用画像処理装置100は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要な医用画像を画像保管装置3から取得することができる。
【0014】
医用画像処理装置100は、医用画像に対して画像処理を行なう画像処理装置であり、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像サーバやビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。医用画像処理装置100は、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像に対して種々の処理を行う。本実施形態において、医用画像処理装置100は、例えば、医師(または「画像診断医」あるいは「放射線科医」)が医用画像の観察または読影に用いる装置である。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、医用画像処理装置100は、入力インターフェース110と、ディスプレイ120と、通信インターフェース130と、記憶回路140と、処理回路150とを有する。
【0016】
入力インターフェース110は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を有し、医用画像処理装置100に対する各種操作の入力をユーザである医師から受け付け、ユーザから受け付けた指示や設定の情報を処理回路150に転送する。
【0017】
ディスプレイ120は、ユーザによって参照されるモニタである。ディスプレイ120は、処理回路150による制御のもと、画像をユーザに表示したり、入力インターフェース110を介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。通信インターフェース130は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。ディスプレイ120は、表示部の一例である。
【0018】
記憶回路140は、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。記憶回路140には、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像であって、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像が記憶される。
【0019】
処理回路150は、医用画像処理装置100の構成要素を制御する。例えば、処理回路150は、
図2に示すように、制御機能151及び表示制御機能152を実行する。ここで、例えば、処理回路150の構成要素である制御機能151及び表示制御機能152が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140に記録されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路140から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、
図2の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、制御機能151は、受付部及び生成部の一例であり、表示制御機能152は、表示制御部の一例である。
【0020】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等の回路を意味する。また、「プロセッサ」という文言は、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとして、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)が挙げられる。また、プログラマブル論理デバイスとして、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))が挙げられる。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路140に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路140にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムが直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0021】
以上、本実施形態に係る医用画像処理装置100を含む医用画像処理システム1の全体構成について説明した。このような構成のもと、3次元医用画像の観察を支援することができるように、医用画像処理装置100の処理回路150は、制御機能151、及び、表示制御機能152を備え、以下の処理を行う。
【0022】
制御機能151は、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を表示する際に、表示位置(スライス位置)を移動させる指示を入力インターフェース110により受け付ける。スライス画像は、例えば、アキシャル断面の2次元CT画像である。表示制御機能152は、受け付けた指示が、表示位置(スライス位置)を所定の間隔未満移動させる指示(例えば、1つ移動させる指示)である場合、次の移動先の位置(移動先のスライス位置)のスライス画像を第1画像としてディスプレイ120に表示させる。また、表示制御機能152は、受け付けた指示が、表示位置(スライス位置)を所定の間隔以上移動させる指示(例えば、1つ以上飛ばして移動させる指示)である場合、次の移動先の位置(移動先のスライス位置)のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報が反映された第2画像をディスプレイ120に表示させる。
【0023】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが3次元医用画像全体をすばやく観察したい場合でも、3次元医用画像に含まれる全てのスライス画像の情報をディスプレイ120に表示させるため、3次元医用画像の観察を支援することができる。具体的には、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、3次元医用画像に含まれる複数のスライス画像の情報を、まとめて一度にディスプレイ120に表示させることで、スライス画像の表示漏れがなくなるため、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0024】
ここで、第2画像は、例えば、受け付けた指示で定まる移動量に応じた数の隣接するスライス画像で構成され、移動量で定まる移動先の位置のスライス画像を含むスライス画像群に基づくスラブ画像である。スラブ画像の元となるスライス画像群は、移動先の位置のスライス画像と移動前の位置のスライス画像との間のスライス画像を含む。
【0025】
以下では、スライス画像とスラブ画像とを総称して平面画像と記載する場合がある。また、以下では、3次元医用画像内でのスライス画像の位置(以下、スライス位置)において生成されるスラブ画像の位置をスラブ位置と記載する。また、以下では、スライス位置を+1だけ移動させることを+1スライス送り、-1だけ移動させることを-1スライス送りと呼び、更に、+1スライス送りと-1スライス送りとを総称して±1スライス送りと呼ぶ。また、以下では、スライス位置を+nだけ移動させることを+nスライス送り、-nだけ移動させることを-nスライス送りと呼び、更に、+nスライス送りと-nスライス送りとを総称して±nスライス送りと呼ぶ。ここで、nは予め決められた2以上の整数である。
【0026】
制御機能151は、複数のスライス画像からスラブ画像を生成する生成機能を有する。かかる生成機能により、制御機能151は、各スラブ厚における複数のスラブ画像を予め生成しておくことができる。具体的には、制御機能151は、3次元医用画像を構成する各スライス画像について、当該スライス画像を含むスラブ画像を複数の異なるスラブ厚で生成し、生成したスラブ画像群を記憶回路140に格納する。より具体的には、制御機能151は、記憶回路140から3次元医用画像に含まれる複数のスライス画像を読み出して、複数のスラブ厚のそれぞれについて複数のスラブ画像を生成する。この際、1つのスラブ厚における各スラブ画像は複数のスライス画像の各スライス位置において生成される。このため、スライス画像の枚数と1つのスラブ厚におけるスラブ画像の枚数とは等しくすることができる。また、複数のスラブ厚とは、後述の処理で利用されるすべてのスラブ厚を意味しており、スライス画像のスライス間隔の2倍以上かつ予め決めた倍数までのすべてのスラブ厚である。この場合、表示制御機能152は、次に表示する第2画像に該当するスラブ画像を、記憶回路140が記憶するスラブ画像群から取得して、ディスプレイ120に表示させる。これにより、制御機能151は、表示制御機能152から生成済みのスラブ画像を要求された場合は、記憶回路140に記憶した生成済みのスラブ画像を読み出すだけでよい。
【0027】
または、制御機能151は、表示制御機能152から、特定のスラブ厚を有し、かつ、特定のスラブ位置にあるスラブ画像を要求された時に、要求されたスラブ画像をリアルタイムに(オンデマンドで)生成してもよい。具体的には、表示制御機能152は、次に表示する第2画像に該当するスラブ画像を制御機能151に生成させ、制御機能151が生成したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0028】
ここで、スラブ画像は、互いに隣接する複数のスライス画像から生成される。具体的には、スラブ画像は、移動先の位置のスライス画像を含む複数のスライス画像の情報を反映した画像である。スラブ画像の各画素値は、複数のスライス画像の対応する画素位置にある各画素値を演算することにより取得される。各画素値の演算方法として、平均値の算出、中央値の算出、最大値の取得、最小値の取得などが挙げられる。複数のスライス画像の各画素値の最大値の取得によりスラブ画像の各画素値を取得する方法は、最大値投影法(MIP(Maximum Intensity Projection))と呼ばれている。同様に、最小値の取得によりスラブ画像の各画素値を取得する方法は、最小値投影法(MinIP(Minimum Intensity Projection))と呼ばれている。このように、スラブ画像は、最大値投影法、最小値投影法、または、平均値の算出や中央値の算出などの統計処理により、スライス画像群から生成される。なお、スラブ画像は、その他の演算方法を用いて生成されてもよい。
【0029】
また、上述したスラブ位置は、スラブ画像の生成に用いる複数のスライス画像の中央のスライス位置、先頭のスライス位置、または末尾のスライス位置のいずれかとして、予め定義しておく。ここで、先頭のスライス位置は、例えば、被検体の最も頭部側を写したスライス画像の位置であり、末尾のスライス位置は、例えば、被検体の最も足側を写したスライス画像の位置であることを意味する。また、スライス送りの方向が+方向とは、例えば、被検体の頭部側を写したスライス画像から足側を写したスライス画像へ向かう方向であり、スライス送りの方向が-方向とは、例えば、被検体の足側を写したスライス画像から頭部側を写したスライス画像へ向かう方向である。
【0030】
例えば、表示制御機能152は、スライス送りの方向が+方向である場合は、スラブ位置を末尾スライス位置としてもよい。また、表示制御機能152は、スライス送りの方向が-方向である場合は、スラブ位置を先頭スライス位置としてもよい。これにより、後述の±nスライス送りを行った場合に、更新前の表示位置から更新後の表示位置までの間にある全スライス画像を、ディスプレイ120に表示されるスラブ画像に含めることができる。あるいは、スライス送りの方向に依らずスラブ位置を中央のスライス位置としてもよい。この場合は、表示制御機能152が後述のスライス送りを始める直前に、一旦更新前の表示位置においてスラブ画像を表示しておく。これにより、更新前の表示位置から更新後の表示位置までの間にある全スライス画像を、ディスプレイ120に表示されるスラブ画像に含めることができる。
【0031】
表示制御機能152は、所定の表示位置にある平面画像(スライス画像、又は、スラブ画像)を取得して、ディスプレイ120に表示する。例えば、制御機能151が3次元医用画像を読み出して記憶回路140に記憶した直後は、表示制御機能152は、3次元医用画像の先頭スライス位置にあるスライス画像を記憶回路140から読み出して、ディスプレイ120に表示させる。また、例えば、後述する様に±nスライス送りのユーザ指示によって表示位置が更新された場合、すなわち、制御機能151が表示位置を1つ以上飛ばして移動させる指示を受け付けた場合は、表示制御機能152は、更新後の表示位置にあるスラブ画像を記憶回路140から取得して、ディスプレイ120に表示させる。または、制御機能151が、更新後の表示位置にあるスラブ画像をリアルタイムに生成して、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0032】
以下では、
図3を用いて、医用画像処理装置100の各機能について具体的に説明する。
図3は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100による処理(医用画像処理方法)の手順を示すフローチャートである。
【0033】
図3のステップS101~S108は、処理回路150が記憶回路140から制御機能151及び表示制御機能152に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。
【0034】
ステップS101において、制御機能151は、入力インターフェース110を介してユーザ指示の入力を受け付ける。ここで、ユーザは、様々な方法で指示を入力することが可能である。
【0035】
例えば、ユーザが、入力インターフェース110であるマウスのボタンをクリックしたままマウスを移動させる操作(いわゆるクリック&ドラッグ操作)を行うことにより、マウスの移動速度に応じてスライス送りの移動量を指示できる。スライス送りの移動量を指示するためのインターフェースについて、
図4A、
図4Bを用いて説明する。
図4Aおよび
図4Bは、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理として、
図3のステップS101におけるユーザ操作の具体例を示す図である。
図4Aは、クリック&ドラッグ操作により移動量を指示する場合の一例である。
【0036】
例えば、
図4Aに示すように、表示制御機能152は、スライス画像200と共に、スクロールバー121をディスプレイ120に表示させている。ここで、スクロールバー121は、ノブ122、及び、アロー123A、123Bを有する。ノブ122は、スクロールバー121に配置される、いわゆる「つまみ」となるバー(棒)である。ノブ122は、現在表示されている位置を示す。ノブ122をドラッグすると表示スライスを変更することができる。ノブ122は、サム、スクローラー、スクロールサム等と呼ばれる場合もある。アロー123A、123Bは、スクロールバー121の両端に配置される。具体的には、アロー123Aは、スクロールバー121の上端に配置され、ユーザがマウスを用いてアロー123Aをクリックすると、制御機能151が、画像の表示位置を1枚分戻す指示を受け付ける。アロー123Bは、スクロールバー121の下端に配置され、ユーザがマウスを用いてアロー123Bをクリックすると、制御機能151が、画像の表示位置を1枚分送る指示を受け付ける。ユーザがマウスを用いてアロー123A、123Bを押し続けると、制御機能151が連続移動を受け付ける。
【0037】
例えば、表示制御機能152は、ユーザがマウスを用いたときの操作(クリック&ドラッグ操作)を行った場合、マウスの移動速度に応じてスライス送りの移動量を決定する。具体的には、表示制御機能152は、
図4Aに示すように、ユーザがマウスでノブ122を用いたときのドラッグ操作の操作量Lによるマウスの移動速度に基づいて、スライス送りの移動量を決定する。例えば、表示制御機能152は、操作量Lの単位時間当たりの変化量と、移動量とを対応付けたテーブルや、関係式を用いて、移動量(自然数m)を適応的に決定する。制御機能151は、移動量を決定したとき、決定した移動量で表示位置を移動させる指示を受け付ける。m=1の場合は、ユーザ指示は±1スライス送りの指示となり、mが2以上である場合は、ユーザ指示は±nスライス送りの指示となる。
【0038】
また、例えば、ユーザが、入力インターフェース110であるキーボードの矢印キーなどの予め決めたキーを押す操作を行うことにより、±1スライス送りまたは±nスライス送りを指示できる。具体例を挙げると、ユーザが、キーボードの下向きの矢印キー「↓」を押下することにより、表示位置を+1移動させる指示(画像の表示位置を+1送る指示)を行い、キーボードの上向きの矢印キー「↑」を押下することにより、表示位置を-1移動させる指示(画像の表示位置を-1送る指示)を行うことができる。また、ユーザが、キーボードの右向きの矢印キー「→」を押下することにより、表示位置を+n(nは2以上の整数)移動させる指示(画像の表示位置を+n送る指示)を行い、キーボードの左向きの矢印キー「←」を押下することにより、表示位置を-n移動させる指示(画像の表示位置を-n送る指示)を行うことができる。
【0039】
また、例えば、ユーザが、キーボードのシフトキー「Shift」、コントロールキー「Ctrl」、オルトキー「Alt」などの予め決めた補助キーと同時に予め決めた補助キー以外のキーを押す操作を行うことにより、±nスライス送りを指示できる。具体例を挙げると、ユーザが、キーボードの矢印キー「↓」または「↑」を押下した場合は、表示位置を+1または-1移動させる指示を行うことができ、シフトキー「Shift」と矢印キー「↓」または「↑」とを同時に押下した場合は、表示位置を+nまたは-n移動させる指示を行うことができる。
【0040】
前述のnの値は予め決めておく必要があるが、例えば、ユーザが、シフトキー「Shift」を押した時はn=5、コントロールキー「Ctrl」を押した時はn=8、オルトキー「Alt」を押した時はn=10などと補助キー毎に異なるnの値を割り当てておいてもよい。また、キー毎に異なるnの値を割り当てる例として、キーボードのファンクションキー「F2」、「F3」、「F4」、「F5」・・・に、固定値「2」、「3」、「4」、「5」・・・を割り当てておいてもよい。
【0041】
また、テキストボックスなどを用いて、キーや補助キー毎に割り当てるnの値をユーザが設定できるようにしてもよい。例えば、
図4Bに示すように、表示制御機能152は、スライス画像200、及び、スクロールバー121と共に、テキストボックス124をディスプレイ120に表示させている。例えば、表示制御機能152は、ユーザによりテキストボックス124に入力された固定値により、スライス送りの移動量を決定する。具体的には、表示制御機能152が、例えば、テキストボックス124に固定値として「1」を表示しているときに、ユーザが入力インターフェース110を用いてテキストボックス124に固定値として「5」を入力したとする。この場合、表示制御機能152は、ユーザにより入力された固定値「5」により、スライス送りの移動量を決定する。具体的には、表示制御機能152は、例えば、ユーザが入力インターフェース110を用いてテキストボックス124に固定値として「5」を入力し、ユーザがマウスでアロー123Bを用いたときのクリック操作により、スライス送りの移動量「+5」を決定する。
【0042】
図3に戻り、ステップS102において、制御機能151は、ユーザ指示に応じて、次に実行する処理を決定する。ユーザ指示が±1スライス送りの指示である場合、
図3の処理はステップS103に進み、ユーザ指示が±nスライス送りの指示である場合、
図3の処理はステップS106に進み、ユーザ指示が終了の指示である場合、
図3の処理は終了する。
【0043】
なお、制御機能151が行う制御に係わるユーザ指示には他にも多くの種類が存在するが、実施形態に直接関係しないユーザ指示については説明を省略する。
【0044】
ステップS103において、表示制御機能152は、±1スライス送りの指示におけるスライス移動量が+1であるのか、-1であるのかに応じて、ディスプレイ120に表示する平面画像の表示位置を+1または-1だけ移動する。
【0045】
ステップS104において、表示制御機能152は、更新後の表示位置にあるスライス画像を記憶回路140から読み出す。
【0046】
ステップS105において、表示制御機能152は、読み出したスライス画像をディスプレイ120に表示(スライス表示)させる。その後、
図3の処理はステップS101に戻る。
【0047】
図5Aは、本実施形態に係る医用画像処理装置100による処理として、
図3のステップS103~S105が実行された場合の表示例を示している。
【0048】
図5Aに示すように、まず、表示制御機能152は、スライス画像200をディスプレイ120に表示させる。次に、制御機能151が、スライス画像の表示位置を1枚分移動させる指示(例えば、+1だけ移動させる指示)を受け付けた場合、表示制御機能152は、スライス画像200の表示位置を1枚分移動させた位置のスライス画像201をディスプレイ120に表示させる。
【0049】
図3に戻り、ステップS106において、表示制御機能152は、±nスライス送りの指示におけるスライス移動量が+nであるのか、-nであるのかに応じて、ディスプレイ120に表示する平面画像の表示位置を+nまたは-nだけ移動する。
【0050】
ステップS107において、表示制御機能152は、更新後の表示位置にあり、かつn枚のスライスから生成された(スラブ厚を持つ)スラブ画像を記憶回路140から取得する。ステップS108において、表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示(スラブ表示)させる。その後、
図3の処理はステップS101に戻る。
【0051】
なお、ステップS107において、制御機能151が、更新後の表示位置にあるスラブ画像をリアルタイムに生成して、ステップS108において、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させてもよい。
【0052】
図5Bは、本実施形態に係る医用画像処理装置100による処理として、
図3のステップS106~S108が実行された場合の表示例を示している。
【0053】
図5Bに示すように、まず、表示制御機能152は、スライス画像200をディスプレイ120に表示させる。次に、制御機能151は、スライス画像200の表示位置を飛ばす(間引く)指示として、表示位置を1つ以上飛ばして移動させる指示(例えば、+n移動させる指示)を受け付けた場合、受け付けた指示で定まる移動量に応じた数の隣接するスライス画像で構成され、当該移動量で定まる移動先の位置のスライス画像を含むスライス画像群に基づくスラブ画像300を生成する。表示制御機能152は、制御機能151により生成されたスラブ画像300をディスプレイ120に表示させる。
【0054】
ここで、表示制御機能152は、スラブ画像300を表示する際、以下のように、n枚分の移動量で定まる移動先の位置のスライス画像がスラブ中心となるように、当該スラブ画像300をディスプレイ120に表示させる。
【0055】
図6Aに示す例では、まず、制御機能151は、スライス画像200の表示位置を間引く指示として、1番目のスライス画像「スライス1」から5枚分(n=5)の移動量で表示位置を移動させる指示を受け付けたものとする。この場合、表示制御機能152は、5枚分の移動量で定まる移動先の位置の6番目のスライス画像「スライス6」がスラブ中心となり、移動量に応じた5枚の隣接するスライス画像群「スライス4」~「スライス8」に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得する。表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示により、11番目のスライス画像「スライス11」がスラブ中心となり、スライス画像群「スライス9」~「スライス13」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。同様に、次の指示により、16番目のスライス画像「スライス16」がスラブ中心となり、スライス画像群「スライス14」~「スライス18」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。
【0056】
ところで、
図6Aに示す例では、2、3番目のスライス画像「スライス2」、「スライス3」が、ディスプレイに表示されず、ユーザにより観察されない可能性がある。そこで、
図6Bに示す例では、表示制御機能152は、6番目のスライス画像「スライス6」がスラブ中心となり、隣接するスライス画像群「スライス2」~「スライス8」に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得する。表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。これにより、表示されないスライス画像が存在しないように、スライス画像「スライス2」、「スライス3」についても、スラブ画像としてディスプレイ120に表示され、ユーザにより観察される。そして、次の指示においては、
図6Aに示す例と同様に、スライス画像群「スライス9」~「スライス13」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。同様に、次の指示により、スライス画像群「スライス14」~「スライス18」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。
【0057】
なお、表示制御機能152は、
図6Aにおいて、1番目のスライス画像「スライス1」をディスプレイ120に表示させた後、スライス画像群「スライス4」~「スライス8」に基づくスラブ画像をディスプレイ120に表示させるのではなく、以下のような画像を表示させてもよい。例えば、表示制御機能152は、1番目のスライス画像「スライス1」、スライス画像群「スライス1」~「スライス3」に基づくスラブ画像、スライス画像群「スライス4」~「スライス8」に基づくスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。このように、表示制御機能152がスライス送りを始める直前に、一旦更新前の表示位置においてスラブ画像を表示しておくことにより、更新前の表示位置から更新後の表示位置までの間にある全スライスを、ディスプレイ120に表示されるスラブ画像に含めることができる。また、仮に、6番目のスライス画像「スライス6」を表示させた後に5枚分(n=5)の移動量で表示位置を移動させる指示を受け付けた場合、表示制御機能152は、「スライス6」が中央のスライス位置となるスライス画像群「スライス2」~「スライス8」に基づくスラブ画像を表示させ、その後、スライス画像群「スライス9」~「スライス13」に基づくスラブ画像を表示させてもよい。
【0058】
図6Cに示す例では、飛ばされるスライス画像を過不足なく含むスラブ画像を生成する例であり、表示制御機能152は、隣接するスライス画像群「スライス2」~「スライス6」に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得する。表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示においては、スライス画像群「スライス7」~「スライス11」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。同様に、次の指示により、スライス画像群「スライス12」~「スライス16」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。
【0059】
図6Dに示す例では、2、3番目のスライス画像「スライス2」、「スライス3」の情報が表示され、かつ、移動先の位置のスライス画像「スライス6」が中心となるスラブ画像が表示されるように、スライス画像群の数を「n+n-1=2n-1」としている。この場合、「n=5」であるので、スライス画像群の枚数は、9となる。その結果、
図6Dに示す例では、スラブ画像を生成するスライス画像群の一部と、当該スラブ画像の次に表示されるスラブ画像を生成するスライス画像群の一部とが重複している。
図6Dに示す例では、表示制御機能152は、6番目のスライス画像「スライス6」がスラブ中心となり、隣接する2~10番目のスライス画像群「スライス2」~「スライス10」に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得する。表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示においては、11番目のスライス画像「スライス11」がスラブ中心となり、スライス画像群「スライス7」~「スライス15」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。同様に、次の指示により、16番目のスライス画像「スライス16」がスラブ中心となり、スライス画像群「スライス12」~「スライス20」に基づくスラブ画像が、ディスプレイ120に表示される。
【0060】
なお、移動量は指示ごとに異なる場合であってもよい。
図6Eに示す例では、n=3、n=5、n=7というように、毎回nが異なるスライス送りの指示が行われた場合、それぞれ、表示制御機能152は、3、5、7枚のスライス画像に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得する。まず、表示制御機能152は、3番目のスライス画像「スライス3」がスラブ中心となり、隣接するスライス画像群「スライス2」~「スライス4」に基づくスラブ画像を取得し、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。次に、表示制御機能152は、7番目のスライス画像「スライス7」がスラブ中心となり、隣接するスライス画像群「スライス5」~「スライス9」に基づくスラブ画像を取得し、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。次に、表示制御機能152は、13番目のスライス画像「スライス13」がスラブ中心となり、隣接するスライス画像群「スライス10」~「スライス16」に基づくスラブ画像を取得し、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0061】
なお、
図6A~
図6Eに示す例では、制御機能151が、スラブ画像をリアルタイムに生成して、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させてもよい。
【0062】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが3次元医用画像をすばやく観察したいときにスライス画像を間引く指示を行った場合、間引かれたスライス画像については、スラブ画像300として表示され、ユーザにより観察される。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、ユーザが3次元医用画像全体をすばやく観察したい場合でも、3次元医用画像に含まれる全てのスライス画像の情報がディスプレイ120に表示されるので、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0063】
なお、記憶回路140には、3次元医用画像である第1の3次元医用画像の比較対象となる第2の3次元医用画像が記憶される場合がある。第1の3次元医用画像と第2の3次元医用画像は、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像である。具体的には、第1の3次元医用画像は、現在画像であり、第2の3次元医用画像は、現在画像の比較対象となる過去画像である。又は、第2の3次元医用画像は、第1の3次元医用画像を利用することによって生成された3次元加工画像である。例えば、第2の3次元医用画像は、第1の3次元医用画像から骨に該当する領域を除去した3次元加工画像である。あるいは、第2の3次元医用画像は、現在画像と、現在画像の比較対象である過去画像との差分画像である。例えば、表示制御機能152は、第1の3次元医用画像を表示する際、第2の3次元医用画像を連動させて表示する。
【0064】
具体的には、表示制御機能152が、ディスプレイ120の2以上の異なる表示領域にそれぞれ異なる平面画像(例えば、スラブ画像)を表示し、かつ2以上の平面画像が互いに対応付いた画像である場合は、
図3の処理を2以上の平面画像に同時に適用可能である。つまり、1つのユーザ指示に基づいて、2以上の平面画像の表示を連動して更新することができる。例えば、制御機能151によって、3次元医用画像と当該3次元医用画像を利用することによって生成された3次元加工画像とが同時に読み出されたとする。そして、表示制御機能152によって、それぞれ同じ表示位置にある3次元医用画像から得られた第1の平面画像と3次元加工画像から得られた第2の平面画像とが、ディスプレイ120に並べて表示されているものとする。この時、入力インターフェース110から±nスライス送りのユーザ指示が入力された場合、表示制御機能152は、第1の平面画像と第2の平面画像の両方に対して
図3で説明した処理を同時に行うことができる。これにより、表示制御機能152は、3次元医用画像から得られた第1のスラブ画像と第1のスラブ画像と同じ表示位置にある3次元加工画像から得られた第2のスラブ画像とを連動して更新して表示できる。
【0065】
以上の説明により、第1実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが±nスライス送りの指示を出した場合は、少なくともn枚のスライス画像から生成されたスラブ画像がディスプレイ120に表示される。これにより、ユーザがすばやくスライス送りした場合でも、スライス移動量に対応した枚数のスライス画像の情報が含まれたスラブ画像がディスプレイ120に表示される。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、ユーザが3次元医用画像全体をすばやく観察したい場合でも、3次元医用画像に含まれる全てのスライス画像の情報がディスプレイ120に表示されるので、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、ユーザがスライス送りの指示を逐次与える場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、表示位置を自動的かつ連続的に切り替えながらディスプレイ120に平面画像(例えば、スラブ画像)を表示する自動スライス送りを行う場合でも、
図3の処理を適用できる。
【0067】
具体的には、±nスライス送りによって飛ばされるスライス画像を含むスラブ画像を表示する処理を、
図3の処理と同様に行うことができる。この場合、例えば、自動スライス送りにおける一回のスライス送り量をユーザが設定できるようにし、その値に応じたスライス送りを行うようにすればよい。例えば、
図7に示すように、まず、表示制御機能152は、スラブ画像300をディスプレイ120に表示させている。スラブ画像300の表示位置を移動させる指示を受け付けた場合、表示制御機能152は、スラブ画像300が表示されたときに設定されたスライス送り量と同じスライス送り量により、次の移動先の位置のスライス画像を決定する。そして、表示制御機能152は、次の移動先の位置のスライス画像を含むスライス画像群であって、移動量に応じた枚数の隣接するスライス画像群に基づくスラブ画像301を取得し、ディスプレイ120に表示させる。このように、制御機能151が表示位置を継続して1つ以上飛ばして移動させる指示を受け付けた場合、表示制御機能152は、次の移動先の位置に応じたスラブ画像を順次表示させる。
【0068】
また、ユーザが自動スライス送りにおける単位時間当たりの表示位置更新頻度Nを指示できるようにしてもよい。この場合、制御機能151は、表示位置更新頻度Nが予め決めた値(単位時間当たりの表示位置更新頻度の基準値)の略1倍以下の場合は±1スライス送り(によるスライス表示)を自動的に行い、Nが予め決めた値の略n倍の場合は±nスライス送り(によるスラブ表示)を自動的に行ってもよい。あるいは、制御機能151は、表示位置更新頻度Nが医用画像処理装置100の画像表示の単位時間当たりの更新可能頻度の略1倍以下であるか略n倍であるかに応じて、±1スライス送り(によるスライス表示)または±nスライス送り(によるスラブ表示)を自動的に行ってもよい。なお、表示位置更新頻度Nの値は、スライスの遷移総量D(スライス)と遷移時間s(秒)の指示をユーザから取得し、N=D÷sにより算出してもよい。
【0069】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る医用画像処理装置の構成図は、
図1と同じなので説明を省略する。
【0070】
第2実施形態は、処理回路150が平面画像(スライス画像、又は、スラブ画像)を取得してディスプレイ120に表示する手順が第1実施形態と異なる。以下、
図8のフローチャートを用いて、処理回路150の詳細な処理手順を説明する。
【0071】
図8は、第2実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。ここで、
図8のステップS201からS205までの処理は、
図3のステップS101からS105までの処理と同様の処理なので、説明を省略する。また、ステップS202において、制御機能151は、ユーザ指示に応じて、次に実行する処理を決定する際、ユーザ指示が±1スライス送りの指示である場合、
図8の処理はステップS203に進み、ユーザ指示が±nスライス送りの指示である場合、
図8の処理はステップS206に進み、ユーザ指示が終了の指示である場合、
図8の処理は終了する。
【0072】
ステップS206において、表示制御機能152は、±nスライス送りの指示におけるスライス移動量+nまたは-nを変数n’に代入する。
【0073】
ステップS207において、表示制御機能152は、表示位置を更新する。具体的には、表示制御機能152は、ディスプレイ120に表示する平面画像の表示位置をn’移動させた位置に更新する。
【0074】
ステップS208において、表示制御機能152は、更新後の表示位置にあり、かつn’の絶対値に等しい枚数のスライス画像に基づいて生成された(スラブ厚を持つ)スラブ画像を記憶回路140から取得する。
【0075】
ステップS209において、表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0076】
ステップS210において、制御機能151は、割り込みタイマーtを起動する。割り込みタイマーtを起動した後は、制御機能151は一定時間経過後にタイマーtによる割り込み処理を呼び出す。なお、割り込みタイマーtを起動した後は、いつでもユーザ指示の入力が可能な状態となっている。従って、ステップS210の実行後は、一定時間が経過するまでユーザ指示の入力がなければ、
図8の処理はステップS211に進み、所定時間経過前にユーザ指示の入力があれば、
図8の処理はステップS214に進む。
【0077】
ステップS211において、割り込みタイマーtから表示制御機能152に一定時間が経過したことが通知される。
【0078】
ステップS212において、表示制御機能152は、変数n’の値が正の場合はn’の値を1減らし、変数n’の値が負の場合はn’の値を1増やす。すなわち、±nスライス送り後の時間経過に応じて、スラブ厚を徐々に薄くする処理を行う。このように、表示制御機能152は、スラブ画像をディスプレイ120に表示した後、表示位置を移動させる指示を受け付けない期間において、スラブ画像のスラブ厚が、移動先の位置のスライス画像を含む状態で経時的に減少するように制御する。
【0079】
なお、本ステップにおける割り込みの時間設定は常に一定でもよいし、表示状態に応じて変更してもよい。例えば、n’=±nの場合(すなわち、±nスライス送りを行った直後)にのみユーザがスラブ画像を読影できるようある程度長い時間を設定し、後述するステップS212の処理でn’の絶対値がnより小さい場合(すなわち、スラブ厚を徐々に薄くしながら表示している最中)は、相対的に短い時間を設定するようにできる。
【0080】
ステップS213において、表示制御機能152は、変数n’の値が+1または-1かどうかを判定する。ここで、変数n’の値が+1または-1の場合(ステップS213;Yes)、
図8の処理はステップS203に進む。すなわち、スラブ表示からスライス表示へと移行する。例えば、
図9に示すように、表示制御機能152は、スラブ画像300をディスプレイ120に表示した状態で、表示位置を移動させる指示を所定時間受け付けない場合、当該スラブ画像300の元となるスライス画像群のうち移動先の位置であったスライス画像205をディスプレイ120に表示させる。
【0081】
一方、変数n’の値が+1または-1でない場合(ステップS213;No)、
図8の処理はステップS208に進む。すなわち、新たなスラブ厚でのスラブ表示を行う。すなわち、
図9において、スラブ画像300からスライス画像205に切り替わる過程では、ステップS208、S209の処理により、スラブ画像300のスラブ厚より薄いスラブ厚のスラブ画像が表示される。
【0082】
ステップS214において、制御機能151は、入力インターフェース110を介してユーザ指示の入力を受け付ける。
【0083】
ステップS215において、制御機能151は、割り込みタイマーtを停止する。割り込みタイマーtを停止した後は、ステップS211の処理は実行されない。その後、
図8の処理はステップS202に戻る。
【0084】
なお、表示制御機能152が、ディスプレイ120の2以上の異なる表示領域にそれぞれ異なる平面画像を表示し、かつ2以上の平面画像が互いに対応付いた画像である場合は、第1実施形態で説明した制御を2以上の平面画像に同時に適用可能である。従って、表示制御機能152は、2以上の平面画像を連動して更新可能である。
【0085】
また、ステップS208において、制御機能151が、更新後の表示位置にあるスラブ画像をリアルタイムに生成して、ステップS209において、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させてもよい。
【0086】
以上の説明により、第2実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが±nスライス送りの指示を出した場合は、n枚のスライス画像から生成されたスラブ画像がディスプレイに表示される。その後、ユーザ指示が入力されなければ、所定時間が経過する毎にスラブ厚が薄くなったスラブ画像がディスプレイに表示され、最終的にスライス画像がディスプレイに表示される。その結果、ユーザである医師が±nスライス送りの指示を終えて所定時間が経過すると、スラブ表示からスライス表示に表示が移行する。これにより、第2実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、ユーザがゆっくりスライス送りした場合またはスライス送りしていない場合、スライス画像が表示されるので、ユーザは詳細な観察ができ、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0087】
なお、ステップS212のスラブ厚を徐々に薄くする処理において、スラブ厚を薄くする量は1スライスずつでなくてもよく、複数スライスずつでもよい。これによると、スラブ表示からスライス表示に切り替える段階を制御できる。例えば、薄くするスライス数を2とすることで、スラブ表示からスライス表示に切り替える段階が6段階であったところを、3段階とすることができる。
【0088】
また、薄くする量は一定である必要はなく、時間経過に応じて変更してもよい。また、スラブ厚を徐々に薄くするのではなく、ステップS212でn’=1または-1としてもよい。これによると、±nスライス送りの所定時間経過後直ちにスラブ表示をスライス表示に戻すことができる。
【0089】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る医用画像処理装置の構成図は、
図1と同じなので説明を省略する。
【0090】
第3実施形態は、以下の2つの点が第1、第2実施形態と異なる。1つ目は、制御機能151が読み出す画像の違いである。2つ目は、処理回路150が平面画像を取得してディスプレイ120に表示する手順の違いである。以下に、第1、第2実施形態と異なる2つの点について説明する。
【0091】
第3実施形態は、3次元医用画像である第1の3次元医用画像と、以下に説明する第2の3次元医用画像とが記憶回路140に記憶されている場合に実行可能な実施形態である。第2の3次元医用画像は、第1の3次元医用画像の撮影部位を含んで撮影された被検体の3次元医用画像であって、第1の3次元医用画像を構成するスライス画像(薄スライス画像)のスライス厚より厚いスライス厚のスライス画像(厚スライス画像)で構成される。
【0092】
第1の3次元医用画像と第2の3次元医用画像とは、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像である。例えば、第1の3次元医用画像と第2の3次元医用画像とは、同じ検査で得られた被検体の3次元X線CT画像であり、互いにスライス厚が異なる画像である。この場合、表示制御機能152は、表示位置を1つ以上飛ばして移動させる指示が行われたときに、第2の3次元医用画像を構成するスライス画像(厚スライス画像)を第2画像としてディスプレイ120に表示させる。
【0093】
例えば、入力インターフェース110から入力されたユーザ指示が上記の2つの3次元医用画像の読み出し指示である場合、制御機能151は、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から2つの3次元医用画像を読み出して記憶回路140に格納する。また、制御機能151は、第1の3次元医用画像のスライス間隔と第2の3次元医用画像のスライス間隔の比率aを計算し、記憶回路140に記憶する。これにより、以下に説明する第3実施形態の処理を実行することができる。
【0094】
なお、制御機能151は、1つの3次元医用画像の読み出し指示を受け付けた場合、当該3次元医用画像を第1の3次元医用画像として、第2の3次元医用画像に該当する他の3次元医用画像が画像保管装置3に格納されているかを検索してもよい。第2の3次元医用画像に該当する他の3次元医用画像が格納されている場合、制御機能151は、これら2つの3次元医用画像を記憶回路140に格納する。これによっても、以下に説明する第3実施形態の処理を実行することができる。
【0095】
図10は、第3実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【0096】
ステップS301において、制御機能151は、入力インターフェース110を介してユーザ指示の入力を受け付ける。
【0097】
ステップS302において、制御機能151は、ユーザ指示に応じて次に実行する処理を決定する。ユーザ指示が、±m(mは自然数)スライス送りの指示である場合、
図10の処理はステップS303に進み、終了の指示である場合、
図10の処理は終了する。
【0098】
ステップS303において、表示制御機能152は、±mスライス送りの指示におけるスライス移動量が+mであるのか、-mであるのかに応じて、ディスプレイ120に表示するスライス画像の表示位置を+mまたは-mだけ移動する。ここで、表示位置は、薄スライス画像のスライス位置である。
【0099】
ステップS304において、表示制御機能152は、記憶回路140からスライス間隔の比率aを読み出し、±mスライス送りの指示におけるスライス移動量の絶対値mと比較し、mがa未満かどうかを判定する。mがa未満の場合、
図10の処理はステップS305に進み、mがa以上の場合、
図10の処理はステップS307に進む。
【0100】
ステップS305において、表示制御機能152は、ステップS303で更新した表示位置にある薄スライス画像を記憶回路140から読み出す。
【0101】
ステップS306において、表示制御機能152は、読み出した薄スライス画像をディスプレイ120に表示する。その後、
図10の処理はステップS301に戻る。
【0102】
ステップS307において、表示制御機能152は、更新後の表示位置(つまり薄スライス位置)に対応する厚スライス位置にある厚スライス画像を記憶回路140から読み出す。
【0103】
ステップS308において、表示制御機能152は、読み出した厚スライス画像をディスプレイ120に表示させる。その後、
図10の処理はステップS301に戻る。
【0104】
ここで、異なるスライス厚で構成される第1の3次元医用画像及び第2の3次元医用画像が記憶回路140に記憶されている場合の表示例を
図11Aおよび
図11Bを用いて説明する。
図11A、
図11Bは、第3実施形態に係る医用画像処理装置による処理の表示例を示す図である。
【0105】
上述のように、第2の3次元医用画像は、第1の3次元医用画像の撮影部位を含んで撮影された被検体の3次元医用画像である。例えば、第1の3次元医用画像と第2の3次元医用画像は、同一被検体の同一部位を撮影した3次元CT画像である。そして、第1の3次元医用画像は、スライス厚が0.5mmの複数のアキシャル断面の2次元CT画像で構成され、第2の3次元医用画像は、スライス厚が1.5mmの複数のアキシャル断面の2次元CT画像で構成される。
【0106】
図11Aにおいて、薄スライス画像とは、第1の3次元医用画像を構成するスライス画像であり、薄スライス画像のスライス厚は、例えば0.5mmである。厚スライス画像とは、第2の3次元医用画像を構成するスライス画像であり、厚スライス画像のスライス厚は、例えば1.5mmである。
【0107】
図11Aに示す例では、まず、表示制御機能152は、スライス厚0.5mmの薄スライス画像を、1枚ずつ移動して、1番目から3番目までの表示画像として、ディスプレイ120に表示させている。ここで、制御機能151は、表示位置を1つ以上飛ばして移動させる指示が行われた場合、移動量が厚スライス画像のスライス厚以上であると、以下の処理を実行させる。例えば、移動量が厚スライス画像のスライス厚であり、薄スライス画像のスライス厚の3倍であったとする。この場合、表示制御機能152は、薄スライス画像のスライス厚の3倍に対応する厚スライス画像を、4番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示において、厚スライス画像が、5番目、6番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示される。このように、表示制御機能152は、第2の3次元医用画像を構成する厚スライス画像をディスプレイ120に表示させる。
【0108】
また、
図11Aに示す例において、制御機能151は、ディスプレイ120に表示中の厚スライス画像の位置から表示位置を厚スライス画像のスライス厚の2倍以上移動させる指示を受け付けたものとする。この場合、制御機能151は、厚スライス画像のスライス厚の2倍に対応するスラブ画像であって、移動量に応じた2枚の隣接する厚スライス画像群に基づくスラブ画像を生成する。このとき、表示制御機能152は、制御機能151により生成されたスラブ画像を、7番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示において、スラブ画像が、8番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示される。このように、表示制御機能152は、第2の3次元医用画像を構成する厚スライス画像に基づくスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0109】
図11Bに示す例では、まず、表示制御機能152は、スライス厚0.5mmの薄スライス画像を、1枚ずつ移動して、1番目から3番目までの表示画像として、ディスプレイ120に表示させている。ここで、制御機能151は、ディスプレイ120に表示中の薄スライス画像の位置から表示位置を厚スライス画像のスライス厚の2倍以上移動させる指示を受け付けたものとする。この場合、制御機能151は、厚スライス画像のスライス厚の2倍に対応するスラブ画像であって、移動量に応じた2枚の隣接する厚スライス画像群に基づくスラブ画像を生成する。このとき、表示制御機能152は、制御機能151により生成されたスラブ画像を、4番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示させる。そして、次の指示において、スラブ画像が、5番目の表示画像として、ディスプレイ120に表示される。このように、表示制御機能152は、第2の3次元医用画像を構成する厚スライス画像に基づくスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0110】
図11A、
図11Bの処理において、制御機能151は、第2の3次元医用画像を構成する各厚スライス画像について、複数のスラブ厚のスラブ画像を予め生成し、記憶回路140に格納しておいてもよい。この場合、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。
【0111】
以上の説明により、第3実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが±mスライス送りの指示を出し、かつmが薄スライスと厚スライスのスライス間隔の比率a以上の場合は、厚スライス画像がディスプレイに表示される。これにより、ユーザがある程度以上すばやくスライス送りした場合は、薄スライス画像a枚分に相当する厚スライス画像がディスプレイに表示される。従って、第3実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、ユーザが3次元医用画像全体をすばやく観察したい場合でも、3次元医用画像に含まれる全てのスライス画像の情報がディスプレイ120に表示されるので、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0112】
(第4実施形態)
第1~第3実施形態においては、ユーザ指示だけに基づいて表示位置を更新する平面画像の表示手順を説明した。第4実施形態においては、ユーザ指示に加えて、連続した2つのユーザ指示が入力される時間間隔、及び医用画像処理装置100の画像表示の更新能力(画像表示を1回更新するのに要する時間)も考慮した平面画像の表示手順を説明する。以下の表示手順により、医用画像処理装置100の画像表示の更新能力が許容する範囲内で、できるだけ多くの表示位置で(つまりより多くの回数で)、より薄いスラブ厚のスラブ画像を表示可能となる。
【0113】
第4実施形態に係る医用画像処理装置の構成図は、
図1と同じなので説明を省略する。
【0114】
第4実施形態は、処理回路150が平面画像を取得してディスプレイ120に表示する手順が第1~第3実施形態と異なる。以下、
図12のフローチャートを用いて、処理回路150の詳細な処理手順を説明する。
【0115】
図12は、第4実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【0116】
ステップS401において、制御機能151は、入力インターフェース110を介してユーザ指示の入力を受け付ける。
【0117】
ステップS402において、制御機能151は、現在の時刻t0を取得する。また、制御機能151は、前回のステップS402を実行した時に取得した前回の時刻t0’が記憶回路140に記憶されている場合は、時刻t0’を記憶回路140から読み出し、式(1)から入力経過時間tiを計算する。また、制御機能151は、現在の時刻t0をt0’として記憶回路140に記憶する。更に、制御機能151は、入力経過時間tiが計算できた場合は、入力経過時間tiを記憶回路140に記憶する。
ti=t0-t0’ (1)
【0118】
なお、制御機能151は、ステップS402が実行される度に計算されたtiをそれぞれti1、ti2、...、tix(xは自然数)として記憶してもよい。そして、所定数までtixが記憶された後に、これら複数のtixの平均値を計算するか、または最小値などの代表値を取得することにより、入力経過時間tiを取得し、記憶回路140に記憶してもよい。
【0119】
上述の入力経過時間tiは、連続した2つのユーザ指示が入力される時間間隔である。あるユーザ指示が入力されてから次のユーザ指示が入力されるまでの間に
図12の処理を終えるために、連続した2つのユーザ指示が入力される時間間隔を取得している。
【0120】
ステップS403において、制御機能151は、ユーザ指示に応じて次に実行する処理を決定する。ユーザ指示が、±m(mは自然数)スライス送りの指示である場合、
図12の処理はステップS404に進み、終了の指示である場合、
図12の処理は終了する。
【0121】
±mスライス送りの指示の入力形態は、第1実施形態で説明した種々の形態を適用することができる。例えば、
図4Aに示すように、ユーザが、入力インターフェース110であるマウスのボタンをクリックしたままマウスを移動させる操作(クリック&ドラッグ操作)を行うことにより、スライス送りの移動量を指示できる。
【0122】
ステップS404において、表示制御機能152は、後述の画像表示更新時間tuを記憶回路140から読み出せた場合は式(2)から表示位置の更新回数uc(ucは整数)を計算する。
uc=ti÷tu-b (2)
【0123】
なお、表示制御機能152は、式(2)において、「ti÷tu-b」の値の小数点以下を切り捨てた値を「uc」とする。
【0124】
一方、表示制御機能152は、後述の画像表示更新時間tuを記憶回路140から読み出せなかった場合は、ucに1を代入する。更新回数ucは、入力経過時間tiの間に、画像表示を更新可能な回数となる。なお、入力経過時間ti、更新回数uc、及び、後述の画像表示更新時間tuは、自装置の画像表示の更新に関する指標の一例である。
【0125】
ここで、bは予め決めた値0以上の定数であり、通常は値0とする。定数bをより大きな値にすると、表示位置の更新回数ucがより小さな値となり、後述のm’がより大きな値となる。つまり、定数bを大きな値とすると、1回のユーザ指示に対して表示位置が自動的に更新される回数が減り、ディスプレイ120に表示されるスラブ画像のスラブ厚が厚くなる。
【0126】
なお、表示制御機能152は、式(2)の計算結果が0または負の場合はucに値「1」を代入し、式(2)の計算結果が±mスライス送りの指示におけるスライス移動量の絶対値mを超えた場合はucに値「m」を代入する。つまり、ucはm以下の自然数となる。
【0127】
更に、表示制御機能152は、式(3)からスラブ画像の生成に用いるスライス画像の枚数m’(m’は整数)を計算する。なお、表示制御機能152は、式(3)において、「m÷uc」の値の小数点以下を切り捨てた値を「m’」とする。
m’=m÷uc (3)
【0128】
式(3)によれば、ucが1の場合は、スライス移動量の絶対値であるm枚のスライス画像に基づく1枚のスラブ画像が画像表示に用いられ、ucがmの場合は、m枚のスライス画像のそれぞれが画像表示に用いられる。一方、ucが2以上でmより小さい値の場合は、m’はmより小さい値となり、ユーザの指示より少ない移動量の絶対値であるmより小さいm’枚のスライス画像に基づくスラブ画像が複数回取得されて画像表示に用いられる。すなわち、ucが2以上でmより小さい値の場合は、ユーザが指示した移動量に基づくスラブ厚より薄いスラブ厚のスラブ画像が表示可能となる。
【0129】
また更に、表示制御機能152は、変数uc’にucを代入する。その後、表示制御機能152は、uc、m’及びuc’のそれぞれを記憶回路140に記憶する。
【0130】
このように、表示制御機能152は、ユーザが表示位置の移動を指示する頻度と、自装置の画像表示の更新に関する指標(入力経過時間ti、更新回数uc、後述の画像表示更新時間tu)とに基づいて、画像表示に用いるスライス画像の数m’を決定する。
【0131】
後述の画像表示更新時間tuは、医用画像処理装置100の画像表示の更新能力に応じて決まる画像表示を1回更新するのに要する時間である。後述するステップS405からS414までの処理は、画像表示を1回更新するのに要する時間以内に終えなければならないので、それを保証するために表示位置の更新回数ucを上述の方法で決定している。
【0132】
ステップS405において、表示制御機能152は、±mスライス送りの指示におけるスライス移動方向(+方向か-方向か)に応じて、ディスプレイ120に表示する平面画像の表示位置を+m’または-m’だけ移動する。
【0133】
ステップS406において、表示制御機能152は、スラブ画像に反映させるスライス画像の数m’が1かどうかを判定し、判定結果に応じて次に実行する処理を決定する。ここで、スラブ画像に反映させるスライス画像の数m’が1の場合、
図12の処理はステップS407に進み、当該m’が2以上の場合、
図12の処理はステップS409に進む。
【0134】
ステップS407において、表示制御機能152は、ステップS405で更新した表示位置にあるスライス画像を記憶回路140から読み出す。
【0135】
ステップS408において、表示制御機能152は、読み出したスライス画像をディスプレイ120に表示する。
【0136】
ステップS409において、表示制御機能152は、ステップS405で更新した表示位置にあり、かつm’枚のスライス画像に基づいて生成された(スラブ厚を持つ)スラブ画像を記憶回路140から取得する。
【0137】
ステップS410において、表示制御機能152は、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示する。
【0138】
ステップS411において、表示制御機能152は、変数uc’を記憶回路140から読み出し、変数uc’が1かどうかを判定し、判定結果に応じて次に実行する処理を決定する。変数uc’が1の場合、
図12の処理はステップS412に進み、変数uc’が2以上の場合、
図12の処理はステップS404に進む。
【0139】
ステップS412において、表示制御機能152は、更新回数ucを記憶回路140から読み出し、更新回数ucが1かどうかを判定し、判定結果に応じて次に実行する処理を決定する。更新回数ucが1の場合、
図12の処理はステップS413に進み、更新回数ucが2以上の場合、
図12の処理はステップS401に戻る。
【0140】
ステップS413において、表示制御機能152は、現在の時刻t1を取得する。また、制御機能151は、記憶回路140から時刻t0’を読み出し、式(4)から画像表示更新時間tuを計算する。更に、制御機能151は、画像表示更新時間tuを記憶回路140に記憶する。その後、
図12の処理はステップS401に戻る。
tu=t1-t0’ (4)
【0141】
なお、制御機能151は、ステップS413が実行される度に計算された画像表示更新時間tuをそれぞれ別々にtu1、tu2、...、tux(xは自然数)として記憶してもよい。そして、所定数までtuxが記憶された後に、これら複数のtuxの平均値を計算するか、または最大値などの代表値を取得することにより、画像表示更新時間tuを取得し、記憶回路140に記憶してもよい。
【0142】
ステップS414において、表示制御機能152は、変数uc’の値を1減らす。その後、
図12の処理はステップS405に戻る。
【0143】
上述のステップS405からS411までの処理が繰り返される度に、表示位置はm’ずつ移動する。そして、移動後の各表示位置において、m’枚のスライス画像から生成されたスラブ画像がディスプレイ120に表示される。
【0144】
以上の説明により、第4実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが±mスライス送りの指示を出した場合は、以下の制御が行われる。すなわち、ユーザ指示と入力経過時間tiと画像表示更新時間tuとに基づいて決定された回数だけ表示位置を移動しながら、所定のスラブ厚のスラブ画像が繰り返しディスプレイ120に表示される。これにより、ユーザがすばやくスライス送りした場合でも、可能な限り多くの回数だけ表示位置を自動で移動させながら、表示位置の移動量に対応した枚数のスライス画像の情報が含まれたスラブ画像がディスプレイ120に表示される。従って、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、ユーザが3次元医用画像全体をすばやく観察したい場合でも、3次元医用画像に含まれる全てのスライス画像の情報がディスプレイ120に表示されるので、3次元医用画像の観察を支援することができる。
【0145】
なお、第4実施形態の応用例として、表示制御機能152は、実行待ちとなっている表示位置の移動指示の状況に応じて、第1画像としてスライス画像を表示させるか、第2画像としてスラブ画像を表示させるかを判定してもよい。かかる場合、表示制御機能152は、スラブ画像を表示させると判定した場合には、当該スラブ画像に反映させるスライス画像の数m’を決定する。
【0146】
具体的には、ユーザが、+1スライス送りや-1スライス送りというように、例えば5枚分のスライス画像について表示位置の移動指示を行ったにも関わらず、例えばCPUなどのプロセッサの処理能力により、表示位置の移動指示が実行待ちとなっている状況であるとする。この場合、表示制御機能152は、プロセッサの処理能力により、5枚分のスライス画像について表示位置の移動指示が実行待ちとなっている状況であることを確認し、5枚の隣接するスライス画像群に基づくスラブ画像を記憶回路140から取得し、取得したスラブ画像をディスプレイ120に表示させる。又は、制御機能151が、スラブ画像をリアルタイムに生成して、表示制御機能152は、生成されたスラブ画像をディスプレイ120に表示させてもよい。
【0147】
すなわち、第4実施形態の応用例では、ユーザが±1スライス送りの指示を入力しているが、表示処理が間に合わず、結果的に±nスライス送りの指示を入力したことになる場合でも、適応的にスラブ厚を決定してスラブ画像を表示することができる。このような第4実施形態の応用例によれば、表示制御機能152は、例えば、
図6Eに示すように、実行待ちとなっている表示位置の移動指示の状況に応じて、スラブ厚を3、5、7と適応的に変更させたスラブ画像を順次表示することができる。
【0148】
なお、本実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0149】
また、本実施形態で説明した方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0150】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用画像の観察を支援することができる。
【0151】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0152】
100 医用画像処理装置
120 ディスプレイ
151 制御機能
152 表示制御機能
200 スライス画像
300 スラブ画像