(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085749
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】蓋ラベルおよび包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20240620BHJP
B65D 83/08 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D77/20 J
B65D83/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200445
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雅文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 篤
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝洋
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014LB08
3E067AA12
3E067AB77
3E067AB81
3E067AC03
3E067AC14
3E067BA06C
3E067BA12
3E067BA12B
3E067BA18
3E067BB01C
3E067BB14B
3E067BB25B
3E067BC06C
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA04
3E067EA11
3E067EA35
3E067EB17
3E067EB27
3E067EE02
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA30
3E067GD01
3E067GD05
3E067GD07
(57)【要約】
【課題】内容物を長期間維持しつつ、容器の紙化にも対応しやすい蓋ラベルを提供する。
【解決手段】内容物を収容した容器の開口部に取り付けられる蓋ラベル20は、基材21と、基材の一方の側に設けられた金属層23と、金属層を覆う保護層25と、保護層上に形成され、貼り付けおよび剥離を複数回可能な第二接着層26とを備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した容器の開口部に取り付けられる蓋ラベルであって、
基材と、
前記基材の一方の側に設けられた金属層と、
前記金属層を覆う保護層と、
前記保護層上に形成され、貼り付けおよび剥離を複数回可能な接合層と、
を備える、
蓋ラベル。
【請求項2】
前記保護層が水蒸気バリア性を有する、
請求項1に記載の蓋ラベル。
【請求項3】
前記基材上に設けられた印刷層をさらに備える、
請求項1に記載の蓋ラベル。
【請求項4】
前記保護層は、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンを含む、
請求項1に記載の蓋ラベル。
【請求項5】
薬液に浸された内容物が収容された内袋と、
開口部を有し、前記内袋が収容された紙製の箱体と、
前記開口部を覆うように取り付けられた請求項1に記載の蓋ラベルと、
を備える、
包装容器。
【請求項6】
前記内袋は開口を有し、前記開口がシールにより封止されており、
前記開口の周囲と前記開口部の周囲とが環状に接合されている、
請求項5に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に取り付けて開口の開封および密閉を繰り返し可能な蓋ラベルに関する。この蓋ラベルを備える包装容器についても言及する。
【背景技術】
【0002】
ウェットティッシュや美容用途のフェイスマスク等の、薬液に浸されたシート状部材の包装においては、包装容器に開封および密閉を繰り返し可能な蓋ラベルを取り付け、使用する分の内容物を取り出した後に再度蓋ラベルで密閉することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の構造では、包装容器に開口を形成するためのカット線が設けられ、カット線に囲まれた包装容器の一部が蓋ラベルと粘着される。開封時に蓋ラベルを引き上げると、カット線に囲まれた包装容器の一部が、蓋ラベルとともに移動し、包装容器に開口が形成される。蓋ラベルを閉じると内容物の乾燥が抑制され、湿潤状態を長期間維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、様々な分野の包装において、プラスチックの使用量の削減が求められている。ウェットティッシュや美容用途のフェイスマスク等においても例外ではなく、プラスチック製の容器を蓋ラベルで密閉した態様から容器の基本部分を紙で形成することが試みられている。
【0006】
詳細は後述するが、発明者らは上記試みにおいて蓋ラベルを使用するにあたり、特許文献1と異なる状況が発生すること、およびそれに伴う想定外の不具合に遭遇した。発明者らはこれに対して種々の工夫を行い、本発明を完成させた。
【0007】
上記事情を踏まえ、本発明は、内容物を長期間維持しつつ、容器の紙化にも対応しやすい蓋ラベルを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、プラスチックの使用量を抑えつつ、内容物を長期間維持できる包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、内容物を収容した容器の開口部に取り付けられる蓋ラベルである。
この蓋ラベルは、基材と、基材の一方の側に設けられた金属層と、金属層を覆う保護層と、保護層上に形成され、貼り付けおよび剥離を複数回可能な接合層とを備える。
【0009】
本発明の第二の態様は、薬液に浸された内容物が収容された内袋と、開口部を有し、内袋が収容された紙製の箱体と、開口部を覆うように取り付けられた第一の態様に係る蓋ラベルとを備える包装容器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物を長期間維持しつつ、容器の紙化にも好適に対応でき、プラスチックの使用量削減に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】同包装容器に係る箱体および蓋ラベルを示す斜視図である。
【
図5】同包装容器の使用時の一過程を示す図である。
【
図8】金属層の外観変化を評価した実験結果を示す表である。
【
図9】実験に供したサンプルの光線透過率を示すグラフである。
【
図10】
図9のグラフの一部を拡大したものである。
【
図11】金属層の光線透過率を評価した実験結果を示す表である。
【
図12】実験に供したサンプルの光線透過率を示すグラフである。
【
図13】光線による試験液の吸光度変化を示すグラフである。
【
図14】光線による試験液の吸光度変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、
図1から
図13を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る包装容器1を示す斜視図である。包装容器1は、紙製の箱体10と、箱体10の上部に取り付けられた蓋ラベル20とを備えている。
【0013】
図2に示すように、箱体10は上面に開口Opを含む開口部を有し、開口部を覆うように蓋ラベル20が取り付けられている。
本実施形態において、蓋ラベル20は略五角形状であり、尖った第一端部31を有する。第一端部31と反対側の第二端部32は、容易に箱体10から剥がれない程度に箱体10に接着されている。第二端部32よりも第一端部31寄りで開口Opの周囲に接触する部位も、第二端部32と同程度の強度で箱体に接合されている。
【0014】
上記構成により、使用者が第一端部31を把持して上方に引き上げることにより、
図2に示すように、蓋ラベル20を箱体10から完全に取り外さずに開口Opを露出させて箱体10内に収容された内容物を取り出すことができる。取り出した後は、再び蓋ラベル20を箱体10に接合することにより、箱体10を密閉できる。
蓋ラベル20に設けられたスリット33(
図1参照)は、開口Opを露出させたときに蓋ラベル20を戻りにくくして、蓋ラベル20から手を離しても開口Opの露出状態を好適に維持する機能を有する。スリット33の端部は、蓋ラベルを引き上げた際にそれ以上裂けないように、曲線状に曲がり第一端部31に向かって延びている。
【0015】
箱体10の内部には、薬液に浸されたシート状の内容物が収容される。一例において、内容物は、ウェットティッシュや、美容用のフェイスマスク等である。
図3に示すように、内容物Cは、プラスチック製の内袋50に収容された状態で箱体10内に配置される。内袋の上部には図示しない開口が設けられており、この開口が使用開始時までシール51で封止される。
【0016】
図4は、
図1のI-I線における模式断面図であり、箱体10の内部を示している。内袋50の上部は、箱体10のうち、開口部が形成された天面11の下側において、開口部の周囲と内袋50の開口52の周囲とが接着剤60により環状に接合されている。これにより、シール51は、開口Opからアクセスできる位置関係にある。
内容物Cは、折りたたまれた状態で複数重ねて内袋50内に配置されている。
図4では、一般的なティッシュペーパーと同様に、連続して引き出される重ね態様を示しているが、これは必須ではなく、折りたたまれた内容物が単純に重ねられてもよい。
【0017】
包装容器1においては、内容物Cを内袋に密閉した状態で箱体10に収容することにより、内容物をプラスチック製の容器に収容する態様に比べてプラスチックの使用量を大きく低減できる。その一方で、内袋の開口部分と箱体の開口部分とを接合することにより、薬液の箱体内への漏れや、それに伴う箱体の破損等の不具合が起きにくい構造を実現している。
【0018】
包装容器1の使用開始時は、まず蓋ラベル20を引き上げて開口Opを露出させる。
図4に示すように、第一端部31は、エンボス加工等により、蓋ラベル20の他の部位よりも箱体10から離間している。このため、第一端部31と箱体10との間に隙間が形成されており、使用者は容易に第一端部31を把持して蓋ラベル20を引き上げることができる。
次に、開口Opから指を入れてシール51を剥がし、内袋50を開封する。剥がしたシール51は廃棄される。
その後は、
図5に示すように、開口Opを経由して内袋50内の内容物Cを取り出すことができ、蓋ラベル20により開封と密閉とを繰り返し行える。開口Opの周囲には、補強ラベル40が取り付けられており、開封および密閉の繰り返し動作による箱体の破れ等を防止している。蓋ラベル20を引き上げる動作においては、引き上げる力がスリット33により第二端部32に作用しにくいため、第二端部32が箱体10から剥がれることが好適に抑制される。
【0019】
上述した包装容器1の使用時の動作は、一見すると、特許文献1に記載の湿潤シート用包装体と同一にも見えるが、実際は少し異なっている。特許文献1では、湿潤シートを収容した袋本体に直接蓋ラベルが取り付けられているのに対し、包装容器1では、蓋ラベル20は箱体10に取り付けられており、内袋には直接取り付けられていない。したがって、包装容器1では、使用開始時にシール51を除去した後は、箱体10は密閉されるものの内袋50は密閉されず、蓋ラベル20で開口Opを覆っても箱体10内で内袋50が開口した状態が継続する。
【0020】
発明者らは、包装容器1の開発過程において、特許文献1に記載されたような従来の態様では生じえない新たな問題に遭遇し、これを解決した。以下、詳細に説明する。
蓋ラベル20は、包装容器1の外観に大きく影響するため、絵柄や文字等の各種印刷が施される。さらに、光沢のある外観を付与する場合、アルミニウム等からなる金属蒸着層が設けられる。
【0021】
発明者らが薬液に浸された内容物を内袋に収容した包装容器を試作して試用していたところ、金属蒸着層を設けた蓋ラベルの外観が損なわれる不具合に遭遇した。不具合を生じた蓋ラベルを分析したところ、金属蒸着層が透明化して反射能力を失っており、これにより印刷層の印刷の視認性が低下していること、および金属蒸着層の透明化の原因が、内袋内で気化して蓋ラベルに浸透した薬液であることを突き止めた。
【0022】
さらに、特許文献1に記載の湿潤シート用包装体では、カット線に囲まれた包装容器の一部が蓋ラベルと粘着されており、蓋ラベルを閉じるとこれが再び開口内に収まって栓のように開口を塞ぐため、蓋ラベルが金属蒸着層を備えていても薬液が到達しにくく、上記不具合が発生しにくいらしいことも分かった。しかし、包装容器1の箱体10は紙製であるため、薬液に浸された内容物を直接収容することは困難であり、特許文献1と同様の構造とすることは極めて困難である。
【0023】
発明者らは、上記知見を踏まえ、蓋ラベルの構成を変更することによりこの問題を解決した。
図6に、蓋ラベル20の模式断面図を示す。蓋ラベル20は、基材21と、印刷層22と、金属層23と、第一接着層24と、保護層25とを備えている。印刷層22、金属層23、第一接着層24、および保護層25は、基材21において、箱体10に対向する側の第一面21a上にこの順で形成されている。
【0024】
基材21としては、各種の合成樹脂を使用でき、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等を好適な例として挙げることができる。必要に応じて、包装容器の外面となる第二面21b上にマット処理等が施されてもよい。
印刷層22は、文字、絵柄、模様、地色、あるいはこれらの2つ以上の組み合わせで構成され、その具体的内容は適宜設定できる。印刷層22は、一定の可視光線透過性を有し金属層23への入射および金属層23による反射光の出射を許容する。
【0025】
金属層23は、上述したアルミニウムの他、銅、銀など各種金属により形成できるが、コストの観点からはアルミニウムが好適である。金属層23の形成方法については、蒸着には限定されず、金属箔の貼り付け等により形成されてもよい。
【0026】
本実施形態の保護層25は、一定以上の水蒸気バリア性を有する材料で形成されている。保護層25の材質の好適な例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等からなるフィルムを挙げることができ、これらフィルムに金属や金属酸化物等を含む水蒸気バリア層が設けられたものも使用できる。
第一接着層24は、保護層25と金属層23とを充分な強度で接着できるものであれば特に制限はなく、公知の各種接着剤を適宜選択して使用できる。
【0027】
保護層25上には、第二接着層(接合層)26および糊殺し層27が設けられるが、いずれも全面には設けられず、一部領域のみに形成される。
第二接着層26は、蓋ラベル20と箱体10とを、貼り付けおよび剥離を複数回可能に接合する層であり、第一端部31を除く領域に形成されている。
糊殺し層27は、第二接着層26の接着能を低下又は消失させる層であり、公知の糊殺し処理等により形成できる。糊殺し層27は、蓋ラベル20において、箱体10の開口部と対向する部位に設けられており、少なくとも一部が開口Opの範囲外に位置している。
【0028】
本実施形態に係る蓋ラベルにおいては、第二接着層26および糊殺し層27に加えて、保護層25が金属層23を覆っている。このため、包装容器1内で気化して第二接着層26および糊殺し層27を透過した薬液のほとんどは保護層25に阻まれて金属層23に到達できない。その結果、薬液と金属層23との接触が著しく抑制され、上述した金属層の透明化およびそれに伴う蓋ラベルの外観悪化を好適に防止することができる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る包装容器は、保護層25が水蒸気バリア性を有するため、主要部分を紙で構成しつつ、薬液に浸された内容物を、湿潤状態を好適に保持しつつ収容することができ、外観悪化の不具合も生じにくい。これにより、このような内容物の包装におけるプラスチック使用量の低減に大きく寄与することができる。さらに、蓋ラベルは箱体に取り付けられており内袋とは直接接していないため、箱体を変更せずに内袋の寸法をできるだけ小さくすることで、蓋ラベルのサイズを変更せずにさらにプラスチック使用料を低減することも比較的容易である。
【0030】
上記実施形態では、
図6のように印刷層上に直接金属層が設けられ、その上に保護層が接着層を介して貼り合わされる例を説明した。しかし本発明はこれに限らず、一方の面に金属層が設けられた樹脂フィルムを印刷層に貼り合わせることにより、印刷層上に金属層が設けられてもよい。このような構成では、印刷層と金属層との間に接着層が位置する。そして、樹脂フィルムの部分が十分な水蒸気バリア性を有する場合は、金属層を印刷層に対向させて貼り合わせることで樹脂フィルムの層を保護層とすることが可能となり、別途保護層を貼り合わせることを省略できる。
なお、内容物が乾燥している、湿潤状態を保持する必要がない等の場合は、保護層が水蒸気バリア性を有さなくてもよい。水蒸気バリア性を有する場合、例えば40℃90%RH(相対湿度)の環境下において50g/m
2・day以下程度であることが好ましい。
【0031】
本発明に係る箱体は、予め開口部に開口が形成されたものには限られない。例えば、箱体に予め開口を形成せず、開口となるミシン目のみを設けておく。さらに、糊殺し層を設けない蓋ラベルを箱体に取り付け、開封時に蓋ラベルを引き上げると、接合されたミシン目内の領域が切り離されて箱体に開口が形成されるような構成とすることもできる。
【0032】
本発明に係る蓋ラベルにおいては、印刷層が第二面側に設けられてもよい。ただし、印刷層を第一面側に設けることにより、印刷層に触れにくくなり保護されるとともに、第二面側に、上述したマット処理等の他の処理を行いやすく、所望の外観を付与しやすくなる利点がある。印刷層を第二面側に設け、他のフィルムで印刷層を覆うことも可能である。このフィルムにはマット処理があってもなくてもよい。
なお、必要がなければ印刷層を省略することもできる。
【0033】
本発明に係る蓋ラベルについて、実験例を用いてさらに説明する。
(実験1)保護層による金属層の劣化防止効果の検討
以下の層構成を有する2種類の蓋ラベルを用いた。
(サンプル1)
マット処理無延伸ポリプロピレン(厚さ25μm)
粘着剤
印刷層
基材(PET 50μm)
金属層(アルミ 基材上に蒸着)
接合層
糊殺し層
サンプル1は金属層上に直接接合層が設けられており、保護層を備えていない。
【0034】
(サンプル2)
マット処理無延伸ポリプロピレン(厚さ25μm)
粘着剤
印刷層
基材(PET 38μm)
接着剤
金属層(アルミ 保護層上に蒸着)
保護層(PET 12μm)
接合層
糊殺し層
サンプル2は、金属層と接合層との間に、PETからなる保護層を備える。基材と金属層とは、接着剤により接合されている。
【0035】
上部に開口を有する容器に試験液を入れ、各サンプルの糊殺し層を容器側に向けて開口を覆った。その後、開口を下側にして容器および蓋ラベルを静置し、試験液が常にサンプルと接触し続ける状態を確保した。
試験液として、
図7に示す、水および6種類の化粧水(薬液)の計7種を用いた。
【0036】
各試験液を用いたサンプルを、それぞれ室温(RT)および50℃で保管し、1日経過および7日経過のタイミングでサンプルを取り外して金属層の外観を評価した。
結果を
図8に示す。サンプル1では、室温保管7日で化粧水B、化粧水C、化粧水D、および化粧水Eにおいて、金属層のうち試験液と接触した部分が透明化した(
図8における×)。50℃保管では、1日経過後から化粧水B、化粧水C、化粧水D、および化粧水Eにおいて透明化が認められ、7日で化粧水F以外の試験液において透明化した。
一方、保護層を備えるサンプル2では、いずれの試験液および保管条件においても、金属層の外観に変化は認められず、良好な反射性が保持されていた。
【0037】
金属層の外観変化をより詳細に検討するため、50℃1日保管のサンプル1について光線透過率を測定した。サンプル1の蓋ラベルにおいて遮光性を発揮するのは概ね金属層のみであるため、光線透過率はほぼ金属層の透明化状態に依存する。測定条件は以下の通りである。
分光光度計:U-3010(日立製作所)
波長範囲:190nm~800nm
波長送り速度:300nm/分
セル長:10mm
【0038】
測定結果を
図9および
図10に示す。
図10は、
図9に示すグラフの下部を、縦軸のスケールを変えて示したものである。実験前の基準状態に対して、一部の試験液のサンプルにおいて光線透過率の上昇が認められ、化粧水B、C、Dで特に顕著であった。
図8から
図10の結果から、波長325nmの光の透過率が2.4%を超えると、目視による外観にも影響が出始めることが推測された。
【0039】
光線透過率による評価結果を
図11に示す。
図12に示すように、1日経過後では光線透過率が大きく変化しなかった化粧水Aにおいても、5日後には外観に影響する程度の透過率の上昇が認められ、7日後では、透過率の著しい上昇を認めた。
実験1の結果から、金属層と接合層との間に保護層を設けることにより、金属層の変質およびそれに伴う外観の変化を好適に抑制できることが示された。
【0040】
(実験2)光線による試験液の品質変化の検討
蓋ラベルにおいて、金属層以外に遮光性を発揮する層が存在しない場合、金属層が透明化することで、内容物が光線により劣化する可能性がある。これを踏まえ、実験2では、実験1に供した各化粧水について、以下の評価を行った。
化粧水を無色のガラス瓶に入れ、光源(パナソニック社製 殺菌灯G15(LED直管型蛍光灯)の光を当てながら25℃で4週間保管し、1週間ごとに吸光度を測定した。
【0041】
結果を
図13および
図14に示す。
図13に示す化粧水Bでは、保管前後において概ね同一の吸光度ピークを示したが、
図14に示す化粧水Aでは、保管3週間後より吸光度ピークが大きく変化した。このほか、化粧水DおよびFでも吸光度ピークの変化が認められた。
実験2の結果から、一部の化粧水は光線により品質が変化することが推測された。本実施形態に係る蓋ラベルは、保護層により金属層の変質を防止することで、ラベル自体の外観が良好に保持されるだけでなく、内容物の変質を抑制し、購入時の状態を長期間保持することに貢献できることが示唆された。
【0042】
以上、本発明について、実施形態および実験例を用いて説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 包装容器
10 箱体
20 蓋ラベル
21 基材
21a 第一面
21b 第二面
22 印刷層
23 金属層
24 第一接着層
25 保護層
26 第二接着層(接合層)
50 内袋
51 シール
52 (内袋の)開口
C 内容物