(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085756
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】異物除去装置、異物除去方法、及び容器入り製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B08B 9/34 20060101AFI20240620BHJP
B08B 9/20 20060101ALI20240620BHJP
B08B 9/093 20060101ALI20240620BHJP
B65B 55/24 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B08B9/34
B08B9/20
B08B9/093
B65B55/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200463
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 智啓
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 沙耶
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】奥山 美憲
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA21
3B116AA23
3B116AB01
3B116AB47
3B116BB22
3B116BB32
3B116BB43
3B116BB62
3B116BB87
3B116BB88
3B116BB90
(57)【要約】
【課題】内容物を容器内に収容するに先立って、容器内の異物をより有効に除去できるようにする。
【解決手段】容器1の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、かかる旋回気流を容器1の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら容器内に導入し、容器内を流動する気流に乗せて、容器の口部から容器内の異物を排出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部から前記容器の内部に圧縮空気を噴射して、前記容器内の異物を除去する異物除去装置であって、
前記容器を保持する容器保持部と、
圧縮空気供給源から送られてきた前記圧縮空気の気流を旋回気流に変換する気流変換部と
を備え、
前記容器の口部端縁から間隙をあけて配置された前記気流変換部から、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に向けて噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出することを特徴とする異物除去装置。
【請求項2】
前記気流変換部が、
一端側が前記圧縮空気の噴射口に取り付けられ、他端側が自由端とされたチューブ状の可撓性ノズルと、
前記可撓性ノズルの周りを取り囲む筒状のガイド部材と
を備え、
前記圧縮空気の噴射に伴って、前記可撓性ノズルの自由端側が前記ガイド部材の内周面にガイドされながら旋回することにより、前記圧縮空気の気流を前記旋回気流に変換する請求項1に記載の異物除去装置。
【請求項3】
前記ガイド部材の先端側の外周部に開口する吸引路が配設されている請求項2に記載の異物除去装置。
【請求項4】
前記旋回気流が円錐筒状に噴射される請求項1~3のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【請求項5】
前記容器保持部が、前記容器を正立した状態で保持する請求項1~3のいずれか一項に記載の異物除去装置。
【請求項6】
容器の口部から前記容器の内部に圧縮空気を噴射して、前記容器内の異物を除去する異物除去方法であって、
前記容器の口部から、前記容器の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、
前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出することを特徴とする異物除去方法。
【請求項7】
前記容器の内壁面側に向けて、前記旋回気流を円錐筒状に噴射する請求項6に記載の異物除去方法。
【請求項8】
前記容器の口部から排出された前記容器内の異物を吸引する請求項6に記載の異物除去方法。
【請求項9】
前記容器を正立させて、前記容器の内壁面側に向けて旋回気流を噴射する請求項6~8のいずれか一項に記載の異物除去方法。
【請求項10】
前記容器の内容物と接する内面に、内容物と非混和性の潤滑液を含む液膜が形成されている請求項6~8のいずれか一項に記載の異物除去方法。
【請求項11】
内容物を容器内に収容するに先立って、前記容器の口部から、前記容器の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、
前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出した後に、前記容器内に内容物を収容することを特徴とする容器入り製品の製造方法。
【請求項12】
前記容器の内容物と接する内面に、内容物と非混和性の潤滑液を含む液膜が形成されている請求項11に記載の容器入り製品の製造方法。
【請求項13】
前記容器の口部から排出された前記容器内の異物を吸引する請求項11又は12に記載の容器入り製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物除去装置、異物除去方法、及び容器入り製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、容器の内部に侵入するまで延設された管路から、圧縮空気を噴射するなどして、容器内の異物を除去するように構成された装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、容器を倒立させた状態で、その延長線が、容器の軸心と一定の角度をなすように容器の口部に挿入されたノズルから、空気を射出して、容器内の異物を除去するように構成された装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-297618号公報
【特許文献2】特開2021-28053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、このような背景技術に着目して、内容物を容器内に収容するに先立って、容器内の異物をより有効に除去できるようにするべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る異物除去装置は、容器の口部から前記容器の内部に圧縮空気を噴射して、前記容器内の異物を除去する異物除去装置であって、前記容器を保持する容器保持部と、圧縮空気供給源から送られてきた前記圧縮空気の気流を旋回気流に変換する気流変換部とを備え、前記容器の口部端縁から間隙をあけて配置された前記気流変換部から、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に向けて噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出する構成としてある。
【0007】
また、本発明に係る異物除去方法は、容器の口部から前記容器の内部に圧縮空気を噴射して、前記容器内の異物を除去する異物除去方法であって、前記容器の口部から、前記容器の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出する方法としてある。
【0008】
また、本発明に係る容器入り製品の製造方法は、内容物を容器内に収容するに先立って、前記容器の口部から、前記容器の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、前記旋回気流を前記容器の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら前記容器内に導入し、前記容器内を流動する気流に乗せて、前記容器の口部から前記容器内の異物を排出した後に、前記容器内に内容物を収容する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物を容器内に収容するに先立って、容器内の異物をより有効に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る異物除去装置を模式的に示す説明図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る異物除去装置が備える気流変換部の一例を模式的に示す説明図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る異物除去装置が備える気流変換部の他の一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る異物除去装置の一例を示しており、異物除去装置100は、内容物を容器内に収容するに先立って、容器1の口部2から容器1の内部に圧縮空気を噴射して、容器内の異物をより有効に除去するために好適となるように構成されている。
【0013】
図示する一例において、異物除去装置100は、容器1を保持する容器保持部110と、コンプレッサー、ガスボンベなどの圧縮空気供給源130から送られてきた圧縮空気の気流を、旋回気流に変換する気流変換部120とを備えている。そして、容器1の口部端縁から間隙をあけて配置された気流変換部120から、旋回気流を容器1の内壁面側に向けて噴射するように構成されている。
【0014】
容器保持部110は、搬送されてきた容器1が、好ましくは、気流変換部120の下方で、正立した状態で口部2を上にして保持されるようにすることができれば、その具体的な構成は特に限定されない。例えば、容器保持部110は、外周縁側に複数のポケットが設けられたターレットや、軟質容器の搬送に一般的に用いられているはかまなどを含み、搬送されてきた容器1を保持して、気流変換部120の下方に送って位置合わせするなどして、気流変換部120の下方で、容器1が正立した状態で口部2を上にして保持されるように構成することができる。
【0015】
また、気流変換部120は、例えば、
図2に示すように、一端側が圧縮空気の噴射口125に取り付けられて、他端側が自由端とされたチューブ状の可撓性ノズル121と、かかる可撓性ノズル121の周りを取り囲む筒状のガイド部材122とを備えるように構成することができる。そして、図示する例にあっては、可撓性ノズル121の自由端側に錘126を取り付けるなどして、可撓性ノズル121の重量バランスを適宜調整し、連続して供給される圧縮空気が可撓性ノズル121から噴射する際に、噴射の反作用を受けた可撓性ノズル121の自由端側が、ガイド部材122の内周面にガイドされながら一定方向に旋回するようにしている。これにより、圧縮空気供給源130から送られてきた圧縮空気が、自由端側が旋回する可撓性ノズル121から噴射されるようにして、当該圧縮空気の気流が旋回気流に変換されるようにしている。
【0016】
このようにして、圧縮空気供給源130から送られてきた圧縮空気の気流を旋回気流に変換するにあたり、可撓性ノズル121は、図中、二点鎖線で示すように、ガイド部材122の内周面にガイドされながら、圧縮空気の噴射口125に取り付けられた可撓性ノズル121の一端側を頂点とする円錐状の軌跡を描くようにして旋回する。これにより、可撓性ノズル121から噴射される旋回気流が、円錐筒状に噴射されるようにすることができ、その下方に位置し、正立した状態で口部2を上にして保持された容器1の内壁面側に向けて、旋回気流が噴射されるようにすることを可能にしている。
【0017】
その際、ガイド部材122の内周面は、ガイド部材122の先端側に向かって円錐状に拡径して、旋回する可撓性ノズル121の円錐状の軌跡に沿って、可撓性ノズル121をガイドできるようにするのが好ましい。このようにすることで、可撓性ノズル121から噴出される旋回気流の角度(容器1の軸方向に対する角度)を一定に保ちつつ、より確実に、容器1の内壁面側に向けて旋回気流が噴射されるようにすることができる。これに加えて、容器1の軸方向に対して望ましい角度で旋回気流が噴射されるように、ガイド部材122の内周面の傾斜角度(容器1の軸方向に沿った傾斜角度)θを適宜調整して、容器1の内壁面側に向けた旋回気流の噴射が安定してなされるようにするのが好ましい。
【0018】
ここで、可撓性ノズル121を旋回させて、圧縮空気供給源130から送られてきた圧縮空気の気流が旋回気流に変換されるようにするに際し、可撓性ノズル121の旋回速度(角速度)は、圧縮空気の圧力や、可撓性ノズル121の内径などの諸条件によって変動し、必要に応じて適宜調整することも可能である。本実施形態において、圧縮空気の圧力は、0.4~0.6MPaであるのが好ましく、可撓性ノズル121の内径は、2~4mmであるのが好ましい。このような条件下で、圧縮空気を可撓性ノズル121から噴射させると、通常、可撓性ノズル121は、可撓性ノズル121の軌跡に残像が認められるような、目視困難な速さで旋回する。
【0019】
本実施形態にあっては、以上のようにして、旋回気流を容器1の内壁面側に向けて噴射することによって、容器内の異物を除去するようにしている。より詳細に説明すると、噴射される方向が周方向に沿って周回するようにして、容器1の内壁面側に向けて連続的に噴射された旋回気流は、容器1の内壁面に沿って螺旋状に旋回しながら容器内に導入され、容器1の内底面に向かって容器内を流動する。そして、容器1の内底面に到達すると、容器内の圧力分布に応じて、相対的に圧力がより低い方に向かって流動しつつ、続いて噴射される旋回気流に押し退けられたりしながら口部2から排出されるが、このような経路をたどって容器内を流動する気流に乗せて、容器内の異物を効率よく排出させ、除去することを可能にしている。
【0020】
このような本実施形態にあっては、容器1を倒立させた状態で実施できることはいうまでもないが、容器1を倒立させずとも、容器1を正立させた状態で容器内を流動する気流に乗せて、容器内の異物を口部2から効率よく排出させ、除去することができる。このため、容器1を倒立させるための反転機構が不要となり、装置自体を簡素化できるという利点もある。
【0021】
また、本実施形態にあっては、容器1の口部端縁から間隙をあけて気流変換部120を配置することで、気流変換部120によって妨げられることなく、容器1の口部2から異物を排出できるようにしている。その際、容器1の口部端縁と気流変換部120との間の離間距離D、より具体的には、容器1の口部端縁とガイド部材122の先端側の開口端縁との離間距離Dは、3~9mmであるのが好ましい。そして、当該離間距離Dに応じて、可撓性ノズル121の自由端側をガイド部材122の先端側から突出させるのが好ましい。その際、可撓性ノズル121の突出長さLは、容器1の口部2内に可撓性ノズル121の自由端側が入り込まない範囲で適宜調整するのが好ましく、当該離間距離Dと等しくなるように調整するのがより好ましい。
【0022】
図示する例では、可撓性ノズル121の突出長さLが、容器1の口部端縁とガイド部材122の先端側の開口端縁との離間距離Dと等しくなるようにして、容器1の口部2内に可撓性ノズル121の自由端側が入り込まないようにしているが、可撓性ノズル121の自由端側が容器1の口部2内に挿入された状態で、旋回気流が噴出されるようにしてもよい。ただし、この場合には、容器1の口部2内に、可撓性ノズル121の自由端側を挿入するための昇降機構が必要となり、可撓性ノズル121の容器1の内面への接触や、ノズル部品の脱落などによる異物混入の危険性も考えられる。このような観点から、容器1の口部2内に可撓性ノズル121の自由端側が入り込まないように、可撓性ノズル121の突出長さLを適宜調整するのが好ましい。
【0023】
また、前述したように、可撓性ノズル121は、ガイド部材122の内周面にガイドされながら旋回する。このため、可撓性ノズル121から噴射される旋回気流が、容器1の内壁面側に向けて有効に噴射されるようにするために、ガイド部材122の先端側の内径d1は、可撓性ノズル121の自由端側の先端部の旋回径が、容器1の口部2の開口径d0よりも小さくなるように適宜調整するのが好ましい。可撓性ノズル121の自由端側の突出長さLにもよるが、ガイド部材122の先端側の内径d1は、容器1の口部端縁とガイド部材122の先端側の開口端縁との離間距離Dと、ガイド部材122の内周面の傾斜角度θとを考慮して、容器1の口部2の開口径d0との間に、d1=d0-2Dtanθなる関係が成り立つように調整するのが好ましい。
【0024】
また、本実施形態にあっては、容器1の口部2から排出された異物が、周囲に散らばらないようにするために、ガイド部材122の先端側の外周部に開口する吸引路127を配設するのが好ましい。図示する例では、筒状のガイド部材122の外周側を囲むように、外装管123を配設することによって、ガイド部材122と外装管123との間に、ガイド部材122の先端側の外周部に開口する吸引路127が形成されるようにしており、かかる吸引路127は吸引機140に接続される。このようにすることで、容器1の口部2から異物を排出させたときに、ガイド部材122の先端側の外周部に開口する吸引路127に、排出された異物が吸引されるようにして、周囲に散らばらないようにすることができる。
【0025】
以上のように、本実施形態によれば、容器1の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、かかる旋回気流を容器1の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら容器内に導入し、これによって容器内に生じる気流に乗せて容器内の異物を効率よく排出させ、除去することができる。したがって、各種の容器入り製品を製造するに際し、内容物を容器内に収容するに先立って、上記のようにして容器内の異物を排出した後に、容器内に内容物を収容することで、異物の混入を有効に抑制しつつ容器入り製品を製造することができるが、特に、異物を除去し難い傾向にある内面処理が施された容器に適用して、その容器内の異物を除去するのにも極めて有効である。
【0026】
そのような内面処理としては、例えば、収容される内容物に対する滑り性を高めて、内容物の取り出しを容易にするために、グリセリン脂肪酸エステル、食用油脂、フッ素系界面活性剤、シリコーンオイルなどから選択された、内容物と非混和性の潤滑液を含む液膜が、容器の内容物と接する内面に形成されるようにした内面処理が挙げられる。かかる内面処理にあっては、多層構造とされた容器の最内層を形成する樹脂材料に潤滑液を添加しておき、経時的に潤滑液が表面にブリードして液膜が形成されるようにしてもよく、容器内面に潤滑液を噴霧して液膜が形成されるようにしてもよい。
【実施例0027】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
外層/接着剤層/酸素バリア層/接着剤層/メイン層/接着剤層/液体バリア層/接着剤層/内層からなる多層構造の容器において、低密度ポリエチレンを用いて内層(最内層)を形成した容器をサンプル1とした。同様の多層構造の容器において、内層を形成する低密度ポリエチレンに、潤滑液として中鎖脂肪酸トリグリセライド(MTC)を4wt%添加して、単位面積当たりの潤滑液膜量が0.78g/m2となるように調製した容器をサンプル2とし、中鎖脂肪酸トリグリセライドを6wt%添加して、単位面積当たりの潤滑液膜量が2.32g/m2となるように調製した容器をサンプル3として、潤滑液のブリード量が異なる2種類のサンプルを用意した。
なお、サンプル1~3として用意した容器は、いずれも長径が約47.9mm、短径が約35.1mmの横断面長円状の胴部を有し、胴部の上方で縮径された首部の端部に口部が形成された、高さが約132.5mm、口部の開口径が約21.2mmの容器形状とした。
【0029】
サンプル1、サンプル2については、それぞれ容器を3つ用意し、サンプル3については、容器を2つ用意して、各容器に、中心粒度0.710~1.000μmのガラスビーズを約1g(約1200個)を投入した。気流変換部を
図2に示すように構成し、容器の口部端縁とガイド部材の先端側の開口端縁との離間距離Dを6mm、可撓性ノズルの突出長さLを6mmとして、その下方に各容器を正立した状態で保持して0.5MPaの圧縮空気を10秒間噴出させた。その際、可撓性ノズルの自由端側に錘を取り付けて、可撓性ノズルの重量バランスを調整し、旋回する可撓性ノズルから容器の内壁面側に向けて噴射された旋回気流が、容器の内壁面に沿って旋回しながら容器内に導入されるようにした。これにより、容器内を流動する気流に乗せて、容器の口部から容器内のガラスビーズを排出させた。
【0030】
各容器に残ったガラスビーズの数を表1に示す。その結果から、異物を除去し難い傾向にある内面処理が施された容器にあっても、さらには、容器を倒立させたりせずとも、ガラスビーズを良好に容器内から除去できることが確認できた。
【0031】
【0032】
[比較例1]
可撓性ノズルの自由端側に錘を取り付けずに、圧縮空気を噴射した以外は、実施例1と同様にした。その際、可撓性ノズルは、不規則な動きをしたり、ガイド部材の内周面に押し付けられたりして、一定方向に旋回することはなかった。その結果、容器内に旋回気流が導入されず、ガラスビーズを良好に除去できないことが確認できた。各容器に残ったガラスビーズの数にもバラつきが認められた。
【0033】
[比較例2]
容器の口部端縁とガイド部材の先端側の開口端縁との離間距離Dを15mm、可撓性ノズルの突出長さLを95mmとし、可撓性ノズルの自由端側に錘を取り付けずに、圧縮空気を噴射した以外は、実施例1と同様にした。その際、比較例2と同様に、可撓性ノズルは、不規則な動きをしたり、ガイド部材の内周面に押し付けられたりして、一定方向に旋回することはなかった。その結果、容器内に旋回気流が導入されず、ガラスビーズを良好に除去することができなかった。各容器に残ったガラスビーズの数にもバラつきが認められた。さらに、容器の口部側にガラスビーズが残りやすい傾向があることも確認できた。
また、実施例1と比較例2との対比から、ノズルを容器内に挿入しなくても、ガラスビーズを良好に容器内から除去できることが確認できた。
【0034】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0035】
例えば、容器1の口部2から、容器1の内壁面側に向けて旋回気流を噴射することにより、旋回気流を容器1の内壁面側に沿って螺旋状に旋回させながら容器内に導入することができれば、気流変換部120の具体的な構成は、前述した実施形態で例示したものには限定されない。
図3に、気流変換部120の他の一例を模式的に示すに、気流変換部120は、例えば、圧縮空気の導通管128の排気側に羽根車129を設けるなどして、圧縮空気供給源から送られてきた圧縮空気の気流が、羽根車129を回転させつつ、旋回気流に変換されるように構成することもできる。