(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085761
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】テープカッタおよびカッタユニット
(51)【国際特許分類】
B65H 35/07 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65H35/07 Z
B65H35/07 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200469
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000177368
【氏名又は名称】三和レジン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】昆田 武久
【テーマコード(参考)】
3F062
【Fターム(参考)】
3F062AB01
3F062BA02
3F062BA04
3F062BC01
3F062BF01
3F062FA14
(57)【要約】
【課題】粘着テープを引き剥がす際の摘まみとなるタブを良好に形成でき、かつ、使い勝手の良い、テープカッタおよびカッタユニットを提供する。
【解決手段】テープカッタ1は、円筒状の巻心支持部11と、巻心支持部11から巻心支持部11の径方向の外側に延出する延出部12とが設けられている。延出部12には、第1ローラ15が回転可能に支持されている。粘着テープ巻回体2の巻心4が巻心支持部11に回転可能に支持され、粘着テープ3が粘着面を第1ローラ15側に向けて第1ローラ15に支持される。延出部12には、弾性部25が支持されており、弾性部25には、粘着テープ3を切断するカッタ部32と、粘着テープ3が仮粘着する仮粘着部33とが支持されている。仮粘着部33は、カッタ部32に対して第1ローラ15側に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面および非粘着面をそれぞれ一方面および他方面に有する粘着テープが円筒状の巻心に前記粘着面を内周側にして多重に巻き付けられてなる粘着テープ巻回体を支持して、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープを切断するテープカッタであって、
円筒状をなし、前記巻心に挿入されて、前記巻心を回転可能に支持する巻心支持部と、
前記巻心支持部から前記巻心支持部の径方向の外側に延出する延出部と、
前記延出部に支持されて、前記巻心支持部の中心線と平行に延び、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープを前記粘着面側から支持するテープ支持部と、
前記テープ支持部に対して前記テープ支持部に支持される前記粘着テープ側と反対側に離間した支持位置で前記延出部に支持されて、前記支持位置から前記テープ支持部に対して前記粘着テープの引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びる弾性部と、
前記弾性部に支持されて、前記粘着テープを切断するカッタ部と、
前記弾性部に支持されて、前記カッタ部に対して前記テープ支持部側に配置され、前記粘着テープ巻回体から引き出されている前記粘着テープが仮粘着する仮粘着部と、を含み、
前記弾性部は、前記カッタ部が前記切断位置に配置される形状から前記仮粘着部が前記テープ支持部に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている、テープカッタ。
【請求項2】
前記弾性部は、相対的に前記切断位置側に設けられ、前記支持位置から延びる長さが相対的に長い第1弾性板と、相対的に前記近接位置側に設けられ、前記支持位置から延びる長さが相対的に短い第2弾性板とを備え、前記第1弾性板および前記第2弾性板の各基端部が前記支持位置で重ね合わされた構成を有している、請求項1に記載のテープカッタ。
【請求項3】
前記カッタ部および前記仮粘着部は、前記第1弾性板および前記第2弾性板の各先端部に挟まれて支持されている、請求項2に記載のテープカッタ。
【請求項4】
前記第1弾性板の基端部と前記第2弾性板の基端部との間にスペーサが介在されている、請求項2に記載のテープカッタ。
【請求項5】
前記第1弾性板および前記第2弾性板は、長尺の板状体を折り曲げることによって、一体に形成されており、
前記カッタ部および前記仮粘着部は、前記第1弾性板と前記第2弾性板との形成のために前記板状体が折り返された部分に取り付けられて支持されている、請求項1に記載のテープカッタ。
【請求項6】
前記仮粘着部は、前記粘着テープの幅方向に延びる板状体からなり、前記粘着テープが仮粘着する先端縁が凹凸形状に形成されている、請求項1に記載のテープカッタ。
【請求項7】
前記テープ支持部は、前記延出部に回転可能に支持される第1ローラである、請求項1~6のいずれか一項に記載のテープカッタ。
【請求項8】
前記延出部に回転可能に支持されて、前記巻心支持部の中心線と平行に延び、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープの非粘着面側に、周面と前記第1ローラの周面との間に前記粘着テープを通す隙間を空けて配置される第2ローラ、をさらに含む、請求項7に記載のテープカッタ。
【請求項9】
前記第1ローラの周面には、周方向に延びる複数の周方向溝が形成されている、請求項7に記載のテープカッタ。
【請求項10】
粘着面および非粘着面をそれぞれ一方面および他方面に有する粘着テープが円筒状の巻心に前記粘着面を内周側にして多重に巻き付けられてなる粘着テープ巻回体の前記巻心に挿入されて、前記巻心を回転可能に支持する巻心支持部と、前記巻心支持部から前記巻心支持部の径方向の外側に延出する第1延出部と、を備えるテープホルダに後付けされて、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープを切断するカッタユニットであって、
前記第1延出部に取り付けられて、前記テープ支持部から離れる方向に延出する第2延出部と、
前記第2延出部に支持されて、前記第2延出部が前記第1延出部に取り付けられた状態で、前記巻心支持部の中心線と平行に延び、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープを前記粘着面側から支持するテープ支持部と、
前記第2延出部の先端部に支持されて、前記第2延出部が前記第1延出部に取り付けられた状態で、前記第2延出部の先端部から前記テープ支持部に対して前記粘着テープの引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びる弾性部と、
前記弾性部に支持されて、前記粘着テープを切断するカッタ部と、
前記弾性部に支持されて、前記第2延出部が前記第1延出部に取り付けられた状態で、前記カッタ部に対して前記テープ支持部側に配置され、前記粘着テープ巻回体から引き出されている前記粘着テープが仮粘着する仮粘着部と、を含み、
前記弾性部は、前記第2延出部が前記第1延出部に取り付けられた状態で、前記カッタ部が前記切断位置に配置される形状から前記仮粘着部が前記テープ支持部に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている、カッタユニット。
【請求項11】
前記テープ支持部は、前記第2延出部に回転可能に支持される第1ローラである、請求項10に記載のカッタユニット。
【請求項12】
前記第1延出部に回転可能に支持されて、前記第2延出部が前記第1延出部に取り付けられた状態で、前記巻心支持部の中心線と平行に延び、前記粘着テープ巻回体から引き出される前記粘着テープの非粘着面側に、周面と前記第1ローラの周面との間に前記粘着テープを通す隙間を空けて配置される第2ローラ、をさらに含む、請求項11に記載のカッタユニット。
【請求項13】
前記弾性部は、相対的に前記切断位置側に設けられ、前記支持位置から延びる長さが相対的に長い第1弾性板と、相対的に前記近接位置側に設けられ、前記支持位置から延びる長さが相対的に短い第2弾性板とを備え、前記第1弾性板および前記第2弾性板の各基端部が前記支持位置で重ね合わされた構成を有している、請求項10に記載のカッタユニット。
【請求項14】
前記第1弾性板の基端部と前記第2弾性板の基端部との間にスペーサが介在されている、請求項13に記載のカッタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープを切断するテープカッタおよびカッタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱の封緘などには、約25~100mmのテープ幅を有するクラフトテープやポリプロピレン(PP)テープなどの粘着テープが用いられる。粘着テープは、長尺の基材の一方面が粘着剤層を有する粘着面となっており、円筒状の紙管などの巻心に粘着面を内周側にして多重に巻き付けられることにより、ロール状の粘着テープ巻回体の形態をなしている。
【0003】
たとえば、商品が段ボール箱を用いて梱包される場合、まず、底側が上に向けられて、底側の1対の内フラップ(長さ方向の両側のフラップ)が内側に折り曲げられた後、その1対の内フラップに重なるように、1対の外フラップ(幅方向の両側のフラップ)が内側に折り曲げられる。次いで、粘着テープ巻回体から粘着テープが引き出されて、1対の外フラップを互いに突き合わせた状態が保持されつつ、粘着テープの先端部分が段ボール箱の長さ方向の一方の側面に貼り付けられる。粘着テープは、1対の外フラップに跨がって貼り付けられて、さらに他方の側面に至るように引き出され、ぎざぎざのカッタ刃などで切断されて、ぎざぎざの切り口の部分が段ボール箱の他方の側面に貼り付けられる。これにより、段ボール箱の底面が封緘される。そして、段ボール箱の天地が逆転されて、段ボール箱の中に商品が入れられた後、底側と同様にして、段ボール箱の上面が封緘される。
【0004】
段ボール箱の上面を封緘している粘着テープは、開梱の際に、引き剥がされるか、または、カッタ刃などで切断される。
【0005】
粘着テープが引き剥がされる場合、粘着テープの端が手指の爪などで掻き起こされて、手指で摘まむための摘まみ代が形成される。ところが、粘着面の全面に粘着剤層が設けられていて、その全面が段ボール箱に貼り付いている。そのため、粘着テープの端を掻き起こしにくいうえに、掻き起こした爪に粘着剤が付着することもある。それゆえ、粘着テープの端を掻き起こす作業は、とても面倒で煩わしく時間がかかる作業である。
【0006】
そこで、先端にカッタ刃を備えたカッタ部材が粘着テープ巻回体に対して近接した近接位置と離間した離間位置との間で揺動可能に設けられた構成のテープカッタが提案されている。このテープカッタでは、カッタ部材が離間位置に位置する状態で、粘着テープ巻回体から引き出された粘着テープがカッタ刃で切断される。この切断により形成される先端縁部は、カッタ刃の粘着テープ巻回体側に設けられた平坦な受け面に仮粘着する。その後、カッタ部材が離間位置から近接位置に移動されると、粘着テープの先端部が粘着面側に折り返されて、その折り返された部分の粘着面が重なり合うことにより、段ボール箱などから粘着テープを引き剥がす際に手指で摘まむためのタブが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、その提案の構成には、改良の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、粘着テープを引き剥がす際の摘まみとなるタブを良好に形成でき、かつ、使い勝手の良い、テープカッタおよびカッタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明の一の局面に係るテープカッタは、粘着面および非粘着面をそれぞれ一方面および他方面に有する粘着テープが円筒状の巻心に粘着面を内周側にして多重に巻き付けられてなる粘着テープ巻回体を支持して、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープを切断するテープカッタであって、円筒状をなし、巻心に挿入されて、巻心を回転可能に支持する巻心支持部と、巻心支持部から巻心支持部の径方向の外側に延出する延出部と、延出部に支持されて、巻心支持部の中心線と平行に延び、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープを粘着面側から支持するテープ支持部と、テープ支持部に対してテープ支持部に支持される粘着テープ側と反対側に離間した支持位置で延出部に支持されて、支持位置からテープ支持部に対して粘着テープの引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びる弾性部と、弾性部に支持されて、粘着テープを切断するカッタ部と、弾性部に支持されて、カッタ部に対してテープ支持部側に配置され、粘着テープ巻回体から引き出されている粘着テープが仮粘着する仮粘着部とを含み、弾性部は、カッタ部が切断位置に配置される形状から仮粘着部がテープ支持部に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている。
【0011】
この構成によれば、円筒状の巻心支持部と、巻心支持部から巻心支持部の径方向の外側に延出する延出部とが設けられている。延出部には、巻心支持部の中心線と平行に延びるテープ支持部が支持されている。
【0012】
粘着テープは、紙管などの円筒状の巻心に粘着面を内周側にして多重に巻き付けられることにより、ロール状の粘着テープ巻回体の形態をなしている。粘着ロール巻回体の巻心に巻心支持部が挿入されることにより、巻心が巻心支持部に回転可能に支持される。粘着テープは、粘着ロール巻回体から引き出されて、粘着面をテープ支持部側に向けて、テープ支持部に支持される。
【0013】
延出部には、弾性部がテープ支持部に支持される粘着テープ側と反対側に離間した支持位置で支持されている。弾性部は、支持位置からテープ支持部に対して粘着テープの引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びている。弾性部には、粘着テープを切断するカッタ部と、粘着テープが仮粘着する仮粘着部とが支持されている。仮粘着部は、カッタ部に対してテープ支持部側に設けられている。
【0014】
粘着ロール巻回体から引き出された粘着テープがカッタ部により切断されると、粘着ロール巻回体側に残る粘着テープは、カッタ部とテープ支持部との間に跨がって、カッタ部、仮粘着部およびテープ支持部に仮粘着した状態になる。そのため、粘着テープの先端部が粘着ロール巻回体の周面に巻き戻って粘着することを防止でき、粘着テープを次に引き出すときには、粘着テープの先端を手指の爪などで掻き起こさなくても、仮粘着部とテープ支持部との間に跨がった状態の粘着テープを手指で把持することができる。
【0015】
また、弾性部は、カッタ部が切断位置に配置される形状から仮粘着部がテープ支持部に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている。そのため、粘着ロール巻回体から引き出された粘着テープがカッタ部により切断された後、弾性部が弾性変形されて、仮粘着部が弾性変形前の位置から近接位置に移動されると、粘着テープがカッタ部と仮粘着部との間で直線状に突っ張った状態が維持されることにより、仮粘着部とテープ支持部との間で粘着テープが非粘着面側に膨出するように折れ曲がり、粘着テープの粘着面同士が粘着する。そして、弾性変形のために弾性部に加えられている力が解放されると、弾性部が復元し、仮粘着部が近接位置から元の位置に戻る。仮粘着部に対する粘着テープの粘着力は、粘着テープの非粘着面に対する粘着テープの粘着力よりも弱く、仮粘着部が近接位置から元の位置に戻る際、仮粘着部が粘着テープの粘着面から離れる。その結果、粘着テープの先端に、粘着テープを段ボール箱などから引き剥がす際の摘まみとなるタブを良好に形成することができる。しかも、粘着テープから仮粘着部が離れているので、タブを摘まみやすく、従来の提案の構成よりも使い勝手が良い。
【0016】
弾性部は、相対的に切断位置側に設けられ、支持位置から延びる長さが相対的に長い第1弾性板と、相対的に近接位置側に設けられ、支持位置から延びる長さが相対的に短い第2弾性板とを備え、第1弾性板および第2弾性板の各基端部が支持位置で重ね合わされた構成を有していてもよい。
【0017】
これにより、弾性部が第2弾性板側に弾性変形しやすい構成となり、弾性部の弾性変形により、仮粘着部を元の位置から近接位置に容易に移動させることができる。そして、弾性変形のために弾性部に加えられている力が解放されると、仮粘着部が近接位置から元の位置に戻るように弾性部が復元する。
【0018】
カッタ部および仮粘着部は、第1弾性板および第2弾性板の各先端部に挟まれて支持されていてもよい。
【0019】
第1弾性板の基端部と第2弾性板の基端部との間にスペーサが介在されていてもよい。
【0020】
これにより、弾性部の弾性変形の当初は、第1弾性板の弾性変形量が第2弾性板の弾性変形量よりも多くなり、第1弾性板が第2弾性板に近づくように弾性変形し、仮粘着部の先端がほぼ直線的に移動する。そのため、粘着テープにおけるテープ支持部と仮粘着部との間に跨がる部分の腰が弱くても、弾性部の弾性変形時に、粘着テープをテープ支持部と仮粘着部との間で粘着面同士が近接するように非粘着面側に膨出させることができる。
【0021】
第1弾性板および第2弾性板は、長尺の板状体を折り曲げることによって、一体に形成されて、カッタ部および仮粘着部は、第1弾性板と第2弾性板との形成のために板状体が折り返された部分に取り付けられて支持されていてもよい。
【0022】
仮粘着部は、粘着テープの幅方向に延びる板状体からなり、粘着テープが仮粘着する先端縁が凹凸形状に形成されていることが好ましい。
【0023】
この構成により、仮粘着部に仮粘着した粘着テープに凹凸による腰を持たせることができる。粘着テープに腰が持たされ、かつ、粘着テープがカッタ部と仮粘着部との間で直線状に突っ張ることにより、仮粘着部が弾性変形前の位置から近接位置に移動されるときに、仮粘着部と第1ローラとの間で、粘着テープの粘着面同士が重なる側(粘着テープの非粘着面側)に粘着テープが折り曲がりやすくなり、粘着テープの先端にタブを良好に形成することができる。
【0024】
テープ支持部は、延出部に回転可能に支持される第1ローラであってもよい。
【0025】
この構成では、粘着テープが引き出されるときに、第1ローラが回転する。そのため、粘着テープをスムーズに引き出すことができる。
【0026】
テープカッタは、延出部に回転可能に支持されて、巻心支持部の中心線と平行に延び、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープの非粘着面側に、周面と第1ローラの周面との間に粘着テープを通す隙間を空けて配置される第2ローラをさらに含む構成であってもよい。
【0027】
第1ローラの周面には、周方向に延びる複数の周方向溝が形成されていることが好ましい。
【0028】
この構成により、第1ローラの周面に仮粘着した粘着テープに凹凸による腰を持たせることができる。その結果、仮粘着部が弾性変形前の位置から近接位置に移動されるときに、仮粘着部と第1ローラとの間で、粘着テープの粘着面同士が重なる側に粘着テープが折り曲がり、粘着テープの先端にタブを良好に形成することができる。
【0029】
本発明の他の局面に係るカッタユニットは、粘着面および非粘着面をそれぞれ一方面および他方面に有する粘着テープが円筒状の巻心に粘着面を内周側にして多重に巻き付けられてなる粘着テープ巻回体の巻心に挿入されて、巻心を回転可能に支持する巻心支持部と、巻心支持部から巻心支持部の径方向の外側に延出する第1延出部とを備えるテープホルダに後付けされて、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープを切断するカッタユニットであって、第1延出部に取り付けられて、テープ支持部から離れる方向に延出する第2延出部と、第2延出部に支持されて、第2延出部が第1延出部に取り付けられた状態で、巻心支持部の中心線と平行に延び、粘着テープ巻回体から引き出される粘着テープを粘着面側から支持するテープ支持部と、第2延出部の先端部に支持されて、第2延出部が第1延出部に取り付けられた状態で、第2延出部の先端部からテープ支持部に対して粘着テープの引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びる弾性部と、弾性部に支持されて、粘着テープを切断するカッタ部と、弾性部に支持されて、第2延出部が第1延出部に取り付けられた状態で、カッタ部に対してテープ支持部側に配置され、粘着テープ巻回体から引き出されている粘着テープが仮粘着する仮粘着部とを含み、弾性部は、第2延出部が第1延出部に取り付けられた状態で、カッタ部が切断位置に配置される形状から仮粘着部がテープ支持部に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている。
【0030】
巻心支持部およびテープ支持部を備えるテープホルダは、市販されている。また、段ボールを自動で封緘する封緘機には、巻心支持部およびテープ支持部を備えるテープホルダが設けられている。市販のテープホルダまたは封緘機のテープホルダに本発明に係るカッタユニットが後付けされることにより、前述のテープカッタを得ることができ、テープカッタの構成による作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0031】
第2延出部は、ねじや両面テープを用いて、第1延出部に取り付けられてもよい。また、円筒状の内嵌部が第2延出部に設けられて、内嵌部が巻心支持部の内側に挿入されて嵌め込まれることにより、第2延出部が第1延出部に取り付けられてもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、粘着テープを引き剥がす際の摘まみとなるタブを良好に形成することができ、かつ、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態に係るテープカッタを粘着テープ巻回体の中心線方向の一方側から見た図であり、粘着テープがカッタ部より引き出し方向に引き出された状態を示す。
【
図2】テープカッタを中心線方向の他方側から見た図であり、粘着テープがカッタ部より引き出し方向に引き出された状態を示す。
【
図3】カッタ部および仮粘着部を中心線方向と直交する方向から見た図である。
【
図4】第1ローラおよび第2ローラを中心線方向と直交する方向から見た図である。
【
図5】テープカッタを中心線方向の一方側から見た図であり、仮粘着部が近接位置に移動された状態を示す。
【
図7】段ボール箱が粘着テープで封緘された状態を示す斜視図である。
【
図8】テープカッタの変形例を示す図であり、粘着テープがカッタ部よりも引き出し方向に引き出された状態のテープカッタを粘着テープ巻回体の中心線方向の一方側から見た図である。
【
図9】テープカッタの他の変形例を示す図であり、粘着テープがカッタ部よりも引き出し方向に引き出された状態のテープカッタを粘着テープ巻回体の中心線方向の一方側から見た図である。
【
図10】テープカッタの他の変形例を示す図であり、粘着テープがカッタ部よりも引き出し方向に引き出された状態のテープカッタを粘着テープ巻回体の中心線方向の他方側から見た図である。
【
図11】テープカッタのさらに他の変形例を示す図であり、粘着テープがカッタ部よりも引き出し方向に引き出された状態のテープカッタを粘着テープ巻回体の中心線方向の一方側から見た図である。
【
図12A】
図9に示される弾性部25が弾性変形される際の軌跡を説明するための図である。
【
図12B】
図11に示される弾性部25が弾性変形される際の軌跡を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0035】
<テープカッタの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るテープカッタ1を粘着テープ巻回体2の中心線方向の一方側から見た図である。
図2は、テープカッタ1を粘着テープ巻回体2の中心線方向の他方側から見た図である。
【0036】
テープカッタ1は、粘着テープ巻回体2を支持して、粘着テープ巻回体2から引き出される粘着テープ3を切断するために用いられる。粘着テープ巻回体2は、粘着テープ3を紙管などの円筒状の巻心4に多重に巻き付けたものである。粘着テープ3は、約25~100mm、好適には、38~60mmのテープ幅を有するクラフトテープやポリプロピレンテープなどである。粘着テープ3は、長尺の基材の一方面のみに粘着剤層を有しており、その粘着剤層からなる粘着面を内周側にし、基材の粘着剤層を有していない非粘着面を外周側にして巻心4に巻き付けられている。
【0037】
テープカッタ1は、巻心支持部11を備えている。巻心支持部11は、樹脂製または金属製であり、円筒状に形成されている。巻心支持部11が粘着テープ巻回体2の巻心4に挿入されることにより、巻心4が巻心支持部11に回転可能に支持される。
【0038】
また、テープカッタ1は、巻心支持部11から巻心支持部11の径方向の外側に延出する延出部12を備えている。延出部12には、巻心支持部11の中心線中心線方向(以下、単に「中心線方向」という。)の一端から巻心支持部11の径方向に延出する第1延出部13と、第1延出部13と同方向に厚みを有し、第1延出部13の先端部から第1延出部13と交差する方向に延出する第2延出部14とが含まれる。第2延出部14は、樹脂製または金属製であり、第1延出部13と一体に形成されていてもよいし、第1延出部13と別体に形成されて、第1延出部13に取り付けられていてもよい。
【0039】
第1延出部13の先端部には、第1ローラ15および第2ローラ16が支持されている。第1ローラ15および第2ローラは、それぞれ中心線方向に延び、互いの周面を近接させた状態でそれぞれ回転可能に設けられている。第1ローラ15と第2ローラ16との間(周面間)には、粘着テープ巻回体2から引き出された粘着テープ3が通される。第1ローラ15の周面と第2ローラ16の周面との間に粘着テープ3が通された状態において、第1ローラ15は、粘着テープ3の粘着面側に位置し、第2ローラ16は、粘着テープ3の非粘着面側に位置する。
【0040】
なお、以下の説明において、第1延出部13に対して第1ローラ15および第2ローラ16が配置される側を「一方側」といい、その反対側を「他方側」という。
【0041】
また、第1延出部13には、第2ローラ16に対する巻心支持部11側に、中心線方向の一方側に延びるカバー支持部17が設けられている。カバー支持部17の中心線方向の先端面には、支軸18が突出して設けられている。一方、第1延出部13の他方側の面には、支軸18と同一直線上に、支軸(図示せず)が突出して設けられている。
【0042】
支軸18および図示されていない支軸には、円弧状に湾曲した板状のテープカバー19が回動可能に支持されている。テープカバー19は、支軸18から巻心支持部11側に延び、巻心支持部11に支持された粘着テープ巻回体2の外周面の一部を覆う。
【0043】
第2延出部14の先端部には、弾性板支持部21が設けられている。弾性板支持部21は、第2延出部14から中心線方向の一方側に延びる第1部分22と、第1部分22から第1ローラ15側に第2延出部14と平行に延びる第2部分23と、第2延出部14と第2部分23とに跨がって、第1部分22と直交する第3部分24とを有している。
【0044】
弾性板支持部21は、第2延出部14と一体に形成されていてもよいし、第2延出部14と別体に形成されて、第2延出部14に取り付けられていてもよい。たとえば、1枚の金属板を屈曲加工することにより、弾性板支持部21が第2延出部14と一体に形成されてもよい。すなわち、第2延出部14の先端部が中心線方向の一方側に折り曲げられて、その折り曲げられた部分が中心線方向に延びた後、第1ローラ15側に折り曲げられて、第2延出部14側と反対側(外側)に三角形状に折り返され、その折り返された部分が第2延出部14側に折り曲げられて延び、第2延出部14の他方側の面に重なるように折り曲げられることにより、弾性板支持部21が第2延出部14と一体に形成されてもよい。
【0045】
弾性板支持部21の第1部分22は、第1ローラ15に対して第2ローラ16側と反対側に離間した支持位置に位置している。その支持位置に位置する第1部分22には、弾性部25が支持されている。
【0046】
弾性部25は、樹脂製または金属製の第1弾性板26および第2弾性板27を備えている。第1弾性板26の一端部と第2弾性板27の一端部とは、重ね合わされて、第1部分22に固定されている。第1弾性板26は、第1部分22から第1ローラ15および第2ローラ16に対して第1ローラ15と第2ローラ16との間からの粘着テープ3の引き出し方向(以下、単に「引き出し方向」という。)に離間した切断位置に向けて延びている。第2弾性板27は、第1弾性板26よりも巻心支持部11側で、第1部分22から切断位置に向けて延びている。
【0047】
第1弾性板26の長さは、第2弾性板27の長さよりも長い。第1弾性板26および第2弾性板27は、弾性板支持部21の第1部分22を含む平面に対してそれぞれの先端が第1ローラ15側に位置するように、それぞれ途中の箇所で湾曲ないしは屈曲されている。かかる構成により、弾性部25は、先端部が第1ローラ15に近づく側に弾性変形しやすいが、先端部が第1ローラ15から遠ざかる側への弾性変形が阻止される。
【0048】
具体的には、第1弾性板26は、弾性板支持部21の第1部分22で第2弾性板27と重ね合わされた基端部26Aと、基端部26Aに対して第2弾性板27から離間する側に屈曲して延びる第1途中部26Bと、第1途中部26Bに対して第2弾性板27に近づく側に屈曲して延びる第2途中部26Cと、第2途中部26Cに対して第2弾性板27に近づく側に屈曲して延びる第3途中部26Dと、第3途中部26Dに対して第2弾性板27に近づく側に屈曲して延びる第4途中部26Eと、第4途中部26Eから第2弾性板27側に折り返された先端部26Fとを有している。
【0049】
第2弾性板27は、弾性板支持部21の第1部分22で第1弾性板26と重ね合わされた基端部27Aと、基端部27Aに対して第1弾性板26から離間する側に屈曲して延びる第1途中部27Bと、第1途中部27Bに対して第1弾性板26からさらに離間する側に屈曲して延びる第2途中部27Cと、第2途中部27Cに対して第1弾性板26に近づく側に屈曲して延びる第3途中部27Dと、第3途中部27Dから第1弾性板26側に折り返された先端部27Eとを有している。第3途中部27Dの表面(第1弾性板26側と反対側の面)には、梨地仕上げによる微細な凹凸が形成されている。
【0050】
弾性板支持部21の第1部分22において、第1弾性板26の基端部26Aおよび第2弾性板27の基端部27Aに、板状のストッパ28の基端部が重ね合わされている。ストッパ28は、たとえば、弾性変形しにくい厚さの金属板からなり、第1弾性板26の基端部26A、第1途中部26Bおよび第2途中部26Cに沿って延びている。ストッパ28が設けられていることにより、弾性部25の先端部が第1ローラ15から遠ざかる側への弾性部25の弾性変形が一層阻止される。
【0051】
第1弾性板26の先端部は、第2弾性板27側に折り返されており、その折り返された部分には、ホルダ31が固定されている。第2弾性板27の先端部は、第1弾性板26側に折り返されて、ホルダ31に向けて延びている。
【0052】
ホルダ31には、カッタ部32および仮粘着部33が保持されている。
【0053】
図3は、カッタ部32および仮粘着部33を中心線方向と直交する方向から見た図である。
【0054】
カッタ部32は、金属板からなり、中心線方向に粘着テープ3の幅よりも大きい幅を有し、
図1に示されるように、基端部がホルダ31に保持されて、先端部がホルダ31から延出して、巻心支持部11側と反対側に湾曲している。カッタ部32の先端縁には、
図3に示されるように、三角形状の凹凸が繰り返されるカッタ刃34が形成されている。
【0055】
仮粘着部33は、樹脂板からなり、中心線方向にカッタ部32とほぼ同じ幅を有している。仮粘着部33は、
図1に示されるように、カッタ部32に対して巻心支持部11側に配置され、基端部がホルダ31に保持されて、先端部がホルダ31から延出している。仮粘着部33の先端縁は、
図3に示されるように、先端が丸みを帯びた略三角形状の凹凸が繰り返された凹凸形状に形成されている。
【0056】
図4は、第1ローラ15および第2ローラ16を中心線方向と直交する方向から見た図である。
【0057】
第1ローラ15は、中心線方向に粘着テープ3の幅よりも大きい長さを有している。第1ローラ15の周面には、第1ローラ15の軸線方向に延びる複数の軸線方向溝41と、周方向に延びる複数の周方向溝42とが形成されている。軸線方向溝41および周方向溝42が形成されていることにより、第1ローラ15の周面と粘着テープ3の粘着面との接触面積が低減する。
【0058】
第1ローラ15の周面において、軸線方向溝41および周方向溝42により分断された各部(軸線方向溝41と周方向溝42とに囲まれた各部)は、中心線方向の中央部が両端に対して膨出する略円弧状に形成されている。また、それらの各部の表面は、粘着テープ3の粘着を防止するため、粗面化されている。
【0059】
第2ローラ16は、第1ローラ15とほぼ同じ長さを有している。第2ローラ16の周面には、第2ローラ16の軸線方向に延びる複数の軸線方向溝43が形成されている。
【0060】
<テープカッタの使用方法>
図5は、テープカッタ1を一方側から見た図であり、粘着テープ3の先端にタブTが形成される過程の状態を示す。
【0061】
粘着テープ3が使用される際には、第1ローラ15と第2ローラ16との間を通された粘着テープ3がカッタ部32を基準に引き出し方向に必要な長さだけ引き出されて、その引き出された粘着テープ3がカッタ部32のカッタ刃34で切断される。粘着テープ3が切断されると、粘着テープ巻回体2側には、粘着テープ3の先端部がカッタ刃34および仮粘着部33の先端縁に仮粘着した状態で残る。
【0062】
その後、弾性部25の第1弾性板26および第2弾性板27が切断位置に向けて延びた状態から、使用者により、カッタ部32および仮粘着部33が第1ローラ15に近接する側に第1弾性板26が押圧されると、第1弾性板26および第2弾性板27が弾性変形する。仮粘着部33の先端縁が凹凸形状に形成され、第1ローラ15に複数の周方向溝42が形成されていることにより、粘着テープ3における第1ローラ15と仮粘着部33との間に跨がる部分に腰が付く。また、粘着テープがカッタ部32と仮粘着部33との間で直線状に突っ張る。そのため、仮粘着部33の移動に伴い、粘着テープ3は、第1ローラ15と仮粘着部33との間で、非粘着面側に膨出して、粘着面同士が近接するように湾曲する。
【0063】
そして、
図5に示されるように、仮粘着部33が第1ローラ15の周面に近接ないしは当接する近接位置に移動されると、第2ローラ16の周面付近で粘着テープ3の粘着面同士が粘着することにより、粘着テープ3の先端部に涙形の輪が形成される。その後、第1弾性板26および第2弾性板27を押圧する力が解放されると、第1弾性板26および第2弾性板27が復元し、カッタ部32および仮粘着部33が元の位置に戻る。仮粘着部33に対する粘着テープ3の粘着力は、粘着テープ3の非粘着面に対する粘着テープ3の粘着力よりも弱く、仮粘着部33が近接位置から元の位置に戻る際、仮粘着部33が粘着テープ3の粘着面から離れる。その結果、粘着テープ3の涙形の先端部が第1ローラ15と第2ローラ16との間から引き出し方向に引き出された状態で残り、その涙形の先端部が手指で潰されことにより、粘着テープ3の先端部が折り返されて粘着面同士が粘着することによるタブT(
図7参照)が形成される。
【0064】
図6は、封緘前の段ボール箱51の斜視図である。
図7は、段ボール箱51が粘着テープ3で封緘された状態を示す斜視図である。
【0065】
たとえば、商品などの梱包対象品が段ボール箱51を用いて梱包される場合、段ボール箱51の底が封緘された後、段ボール箱51の中に梱包対象品が入れられる。その後、1対の内フラップ(長さ方向の両側のフラップ)52が内側に折り曲げられた後、その1対の内フラップ52に重なるように、1対の外フラップ(幅方向の両側のフラップ)53が内側に折り曲げられる。次いで、粘着テープ巻回体2から粘着テープ3が引き出されて、1対の外フラップ53を互いに突き合わせた状態が保持されつつ、粘着テープ3の先端部が段ボール箱51の長さ方向の一方の側面に貼り付けられる。粘着テープ3は、1対の外フラップ53に跨がって貼り付けられて、さらに他方の側面に至るように引き出される。そして、粘着テープ3がカッタ部32のカッタ刃34で切断される。このとき、粘着テープ3が使用者の手指で摘ままれた状態で、粘着テープ3とカッタ刃34とが互いに捻れるように動かされて、粘着テープ3がカッタ刃34により中心線方向の一端から他端に向けて切断されていく。したがって、粘着テープ3の切断の際には、粘着テープ3の切り口の部分が段ボール箱51から浮いており、カッタ刃34が段ボール箱51に当たらないので、段ボール箱51がカッタ刃34で傷つけられることを防止できる。そして、粘着テープ3の切り口の部分が段ボール箱51の他方の側面に貼り付けられる。これにより、段ボール箱51の上面が封緘される。
【0066】
図7に示されるように、段ボール箱51の長さ方向の一方の側面に貼り付けられた粘着テープ3の先端部には、タブTが形成されている。これにより、梱包対象品を梱包した段ボール箱51を受け取った人は、タブTを手指で摘まんで、段ボール箱51から粘着テープ3を引き剥がすことにより、段ボール箱51を容易に開梱することができる。
【0067】
<作用効果>
以上のように、テープカッタ1は、円筒状の巻心支持部11と、巻心支持部11から巻心支持部11の径方向の外側に延出する延出部12とを備えている。延出部12には、中心線方向に延びる第1ローラ15および第2ローラ16がそれぞれ回転可能に支持されている。粘着テープ巻回体2の巻心4に巻心支持部11が挿入されることにより、巻心4が巻心支持部11に回転可能に支持される。粘着テープ3は、粘着テープ巻回体2から引き出されて、第1ローラ15と第2ローラ16との間を通される。
【0068】
延出部12には、弾性部25が第1ローラ15に対して第2ローラ16側と反対側に離間した支持位置で支持されている。弾性部25は、支持位置から1対のローラに対して1対のローラ間からの粘着テープ3の引き出し方向に離間した切断位置に向けて延びている。弾性部25には、粘着テープ3を切断するカッタ部32と、粘着テープ3が仮粘着する仮粘着部33とが支持されている。仮粘着部33は、カッタ部32に対して第1ローラ15側に設けられている。
【0069】
粘着テープ巻回体2から引き出された粘着テープ3がカッタ部32により切断されると、粘着テープ巻回体2側に残る粘着テープ3は、カッタ部32と第1ローラ15との間に跨がって、カッタ部32、仮粘着部33および第1ローラ15に仮粘着した状態になる。そのため、粘着テープ3の先端部が粘着テープ巻回体2の周面に巻き戻って粘着することを防止でき、粘着テープ3を次に引き出すときには、粘着テープ3の先端を手指の爪などで掻き起こさなくても、仮粘着部33と第1ローラ15との間に跨がった状態の粘着テープ3を手指で把持することができる。
【0070】
また、弾性部25は、カッタ部32が切断位置に配置される形状から仮粘着部33が第1ローラ15の周面に近接した近接位置に配置される形状に弾性変形可能に構成されている。そのため、粘着テープ巻回体2から引き出された粘着テープ3がカッタ部32により切断された後、弾性部25が弾性変形されて、仮粘着部33が弾性変形前の位置から近接位置に移動されると、粘着テープがカッタ部32と仮粘着部33との間で直線状に突っ張った状態が怖じされることにより、仮粘着部33と第1ローラ15との間で粘着テープ3が非粘着面側に膨出するように折れ曲がって、粘着テープ3の粘着面同士が粘着し、粘着テープ3の先端部に涙形の輪が形成される。この際、たとえ粘着テープ3の非粘着面同士が近接する方向に折れ曲がっても、第2弾性板27の第3途中部27Dの表面に梨地仕上げ(梨地加工)が施されていることにより、粘着テープ3の粘着面が第3途中部27Dの表面に粘着することが抑制される。
【0071】
その後、弾性変形のために弾性部25に加えられている力が解放されると、弾性部25が復元し、仮粘着部33が近接位置から元の位置に戻る。仮粘着部33に対する粘着テープ3の粘着力は、粘着テープ3の非粘着面に対する粘着テープ3の粘着力よりも弱いので、仮粘着部33が近接位置から元の位置に戻る際、仮粘着部33が粘着テープ3の粘着面から離れる。その結果、粘着テープ3の涙形の先端部が第1ローラ15と第2ローラ16との間から引き出し方向に引き出された状態で残る。そして、粘着テープ3の涙形の先端部を手指で潰して、粘着テープ3の粘着面同士を粘着させることにより、粘着テープ3の先端に、粘着テープ3を段ボール箱51などから引き剥がす際の摘まみとなるタブTを良好に形成することができる。しかも、粘着テープ3から仮粘着部33が離れているので、タブTを摘まみやすく、使い勝手が良い。
【0072】
さらには、粘着テープ巻回体2から引き出された粘着テープ3の切断の際には、粘着テープ3が使用者の手指で摘ままれて、粘着テープ3の切り口の部分が段ボール箱51などの被貼着体から浮いており、カッタ刃34が被貼着体に当たらないので、被貼着体がカッタ刃34で傷つけられることを防止できる。そのため、梱包対象品が樹脂シート(たとえば、ポリエチレン(PE)シート)などの包装資材で包まれて、包装資材の端が梱包対象品を包んだ包装資材の表面に粘着テープ3で留められる場合に、カッタ刃34が包装資材に当たって、包装資材が破れることを防止できる。よって、テープカッタ1は、梱包対象品を包装資材で包む梱包作業にとくに好適に用いることができる。
【0073】
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0074】
たとえば、前述の実施形態では、弾性部25の第1弾性板26の先端部にホルダ31が固定されて、ホルダ31にカッタ部32および仮粘着部33が保持されているとしたが、ホルダ31が省略されて、カッタ部32および仮粘着部33は、第1弾性板26と第2弾性板27との間に挟持された状態で、第1弾性板26と第2弾性板27とに直接に保持されていてもよい。
【0075】
また、前述の実施形態では、
図1に示されるように、第2延出部14の先端部に弾性板支持部21が設けられて、弾性板支持部21に、弾性部25が支持されている。これに限らず、
図8に示される構成が採用されてもよい。なお、
図8において、
図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。
【0076】
図8に示される構成では、
図1に示される構成から弾性板支持部21が省略されて、第2延出部14の先端部61が中心線方向の一方側に屈曲して延び、その先端部の下面(カバー支持部17側と反対側の面)に、第1弾性板26、第2弾性板27およびストッパ28が取り付けられて支持されている。また、
図1に示される構成では、第2延出部14の先端縁が引き出し方向の両側の端縁に対して直交しているが、
図8に示される構成では、第2延出部14の引き出し方向の引き出し側(切断位置側)の端縁がその反対側の端縁よりも長く、第2延出部14の先端縁が引き出し方向の両側の端縁に対して傾斜している。
【0077】
図8に示される構成においても、第1弾性板26の長さは、第2弾性板27の長さよりも長い。第1弾性板26および第2弾性板27は、弾性板支持部21の第1部分22を含む平面に対してそれぞれの先端が第1ローラ15側に位置するように、それぞれ途中の箇所で湾曲ないしは屈曲されている。
【0078】
具体的には、第1弾性板26は、弾性板支持部21の第1部分22で第2弾性板27と重ね合わされた基端部26Gと、基端部26Gに対して第2弾性板27に近づく側に湾曲して延びる第1途中部26Hと、第1途中部26Hに対して第2弾性板27に近づく側に屈曲して延びる第2途中部26Iと、第2途中部26Iに対して第2弾性板27に近づく側に屈曲して延びる第3途中部26Jと、第3途中部26Jから第2弾性板27側に折り返された先端部26Kとを有している。
【0079】
第2弾性板27は、弾性板支持部21の第1部分22で第1弾性板26と重ね合わされた基端部27Fと、基端部27Fに対して第1弾性板26から離間する側に湾曲した湾曲部27Gと、湾曲部27Gから第1弾性板26側と反対側に延びる第1途中部27Hと、第1途中部27Hに対して第1弾性板26に近づく側に屈曲して延びる第2途中部27Iと、第2途中部27Iから第1弾性板26側に折り返された先端部27Jとを有している。湾曲部27G、第1途中部27Hおよび第2途中部27Iの各表面(第1弾性板26側と反対側の面)には、粘着テープ3の粘着面が粘着することを抑制するため、梨地仕上げによる微細な凹凸が形成されていてもよい。
【0080】
なお、第2連結板27は、第2途中部27Iが第1途中部26Gに対して第1弾性板26側と反対側に屈曲して延びる形状に形成されてもよい。
【0081】
図8に示される構成では、
図1に示される構成よりも、弾性部25の弾性力が強く、仮粘着部33が近接位置から元の位置に戻る際の弾性部25の復元力を増すことができ、仮粘着部33が近接位置から元の位置に良好に戻すことができる。
【0082】
また、
図9および
図10に示される構成が採用されてもよい。
図9および
図10において、
図1に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。
図9および
図10に示される構成では、第2延出部14の先端部61が中心線方向の一方側に屈曲して延び、その先端部の上面(カバー支持部17側の面)に、弾性部25およびストッパ28が取り付けられて支持されている。
【0083】
具体的には、第1延出部13と第2延出部14とは、別体に形成されて、第2延出部14は、取付板62を介して、第1延出部13に取り付けられている。第1ローラ15は、取付板62に回転可能に支持されている。第2ローラ16は、第1延出部13に回転可能に支持されている。
【0084】
第2延出部14の先端部61の上面に、ストッパ28が接触して配置されている。ストッパ28は、先端部61の上面に重ね合わされて、先端部61の上面に沿って引き出し方向に延びる基端部28Aと、基端部28Aに対して第1ローラ15側に屈曲して延びる先端部28Bとを一体に有している。
【0085】
第1弾性板26および第2弾性板27は、樹脂製または金属製であり、一体に形成されている。
【0086】
第1弾性板26は、ストッパ28の上面(カバー支持部17側の面)に重ね合わされており、ストッパ28の基端部28Aに沿って延びる基端部26Lと、ストッパ28の先端部28Bに沿って延びる途中部26Mと、途中部26Mに対して第1ローラ15側に屈曲して延びる先端部26Nとを有している。
【0087】
第2弾性板27は、第1弾性板26の基端部26Lにストッパ28と反対側から重ね合わされた基端部27Kと、基端部27Kに対して第1ローラ15側(第1弾性板26から離間する側)に屈曲して延びる第1途中部27Lと、第1途中部27Lに対して第1ローラ15側に屈曲して延びる第2途中部27Mと、第2途中部27Mに対して第1ローラ15側と反対側(第1弾性板26に近づく側)に屈曲して延びる先端部27Nとを有している。第1途中部27L、第2途中部27Mおよび先端部27Nの各表面(第1弾性板26側と反対側の面)には、粘着テープ3の粘着面が粘着することを抑制するため、梨地仕上げによる微細な凹凸が形成されていてもよい。
【0088】
第1弾性板26の先端部26Nは、その先端側の端部が第2弾性板27側に屈曲し、先端部26Nの先端縁と第2弾性板27の先端部27Nの先端縁とは、互いに接続されて一体化されている。かかる構成の第1弾性板26および第2弾性板27は、樹脂製または金属製で長尺で矩形状の板状体を、基端部26L、途中部26M、先端部26N、先端部27N、第2途中部27M、第1途中部27Lおよび基端部27Kが第1弾性板26の基端側からこの順に形成されるように折り曲げることにより作製することができる。
【0089】
第1弾性板26の基端部26Lの長さ(中心線方向と直交する方向の寸法。以下、「長さ」という。)は、たとえば、約20mmであり、第2弾性板27の基端部27Kの長さ(たとえば、約15mm)よりも長い。また、第1弾性板26の途中部26Mの長さは、たとえば、約32mmであり、第2弾性板27の第1途中部27Lの長さ(たとえば、約25mmよりも長い。第1弾性板26の途中部26Mと第2弾性板27の第1途中部27Lとの長さの違いにより、弾性部25(第1弾性板26および第2弾性板27)は、第1ローラ15に近づく側に容易に弾性変形するが、第1ローラ15から遠ざかる側への弾性変形が阻止される。また、第1弾性板26と第2弾性板27との長さの違いにより、弾性部25の弾性変形により弾性部25の先端が描く弧の大きさが異なる。
【0090】
カッタ部32および仮粘着部33は、
図1に示されるホルダ31を使用せずに、第1弾性板26と第2弾性板27との接続部分、言い換えれば、第1弾性板26と第2弾性板27との形成のために長尺の板状体が折り返された部分、たとえば、第1弾性板26の先端部26Nに取り付けられて支持されている。
【0091】
図9および
図10に示される構成によっても、
図8に示される構成と同様の作用効果を奏することができる。また、
図9および
図10に示される構成では、
図8に示される構成からホルダ31が省略されているので、ホルダ31に要するコストを削減できる。
【0092】
図11に示される構成が採用されてもよい。
図11において、
図9に示される各部に相当する部分には、それらの各部と同一の参照符号が付されている。
【0093】
図9に示される構成では、第1弾性板26の基端部26Lと第2弾性板27の基端部27Kとが直に重ね合わされている。これに対し、
図11に示される構成では、第1弾性板26の基端部26Lと第2弾性板27の基端部27Kとがスペーサ71を挟んで重ね合わされている。
【0094】
図12Aは、
図9に示される弾性部25が弾性変形される際の軌跡を説明するための図である。
図12Bは、
図11に示される弾性部25が弾性変形される際の軌跡を説明するための図である。
【0095】
図9に示される弾性部25では、カッタ部32および仮粘着部33が第1ローラ15に近接する側に第1弾性板26が押圧されると、
図12Aに示されるように、第1弾性板26および第2弾性板27が第2弾性板27の基端部27Kと第1途中部27Lとの境界部分を支点として弾性変形する。弾性変形の途中までは、第1弾性板26の途中部26Mおよび先端部26Nならびに第2弾性板27の第1途中部27L、第2途中部27Mおよび先端部27Nの形状がほぼ変わらず、仮粘着部33の先端がほぼ一定の半径(R)の円弧を描きつつ第2ローラ16に近づくように持ち上がる。その後、第1弾性板26がさらに押圧されることにより、第1弾性板26と第2弾性板27との間隔が狭まるように第1弾性板26および第2弾性板27が弾性変形し、仮粘着部33の先端が第1ローラ15に近づくように下がる。
【0096】
このように、
図9に示される弾性部25の弾性変形時には、仮粘着部33の先端が持ち上がった後に下がるため、粘着テープ3における第1ローラ15と仮粘着部33との間に跨がる部分の腰によっては、粘着テープ3が第1ローラ15と仮粘着部33との間で非粘着面同士が近接するように粘着面側に膨出する場合がある。
【0097】
図11に示される弾性部25では、カッタ部32および仮粘着部33が第1ローラ15に近接する側に第1弾性板26が押圧されると、
図12Bに示されるように、第1弾性板26が基端部26Lと途中部26Mとの境界部分を支点として弾性変形し、第2弾性板27が第2弾性板27の基端部27Kと第1途中部27Lとの境界部分を支点として弾性変形する。弾性変形の途中までは、第1弾性板26の弾性変形量が第2弾性板27の弾性変形量よりも大きく、第1弾性板26の途中部26Mおよび先端部26Nが第2弾性板27の第1途中部27Lおよび第2途中部27Mに近づくように弾性変形し、仮粘着部33の先端がほぼ直線的に移動する。その後、第1弾性板26がさらに押圧されることにより、第1弾性板26が第2弾性板27に当接すると、第2弾性板27の弾性変形量が増え、仮粘着部33の先端が第1ローラ15に近づくように下がる。
【0098】
図9に示される弾性部25の構成では、弾性部25の弾性変形の初期に、
図12Bに破線で示されるように、仮粘着部33の先端がほぼ一定の半径(R)の円弧を描いて移動するのに対し、
図11に示される弾性部25の構成では、弾性部25の弾性変形の初期に、仮粘着部33の先端が直線的に移動する。そのため、
図11に示される弾性部25の構成では、粘着テープ3における第1ローラ15と仮粘着部33との間に跨がる部分の腰が弱くても、粘着テープ3が第1ローラ15と仮粘着部33との間で粘着面同士が近接するように非粘着面側に膨出する。よって、粘着テープ3が第1ローラ15と仮粘着部33との間で非粘着面同士が近接するように粘着面側に膨出することを抑制でき、粘着テープ3の先端部が折り返されて粘着面同士が粘着することによるタブTを良好に形成することができる。
【0099】
図3には、仮粘着部33の先端縁の形状として、先端が丸みを帯びた略三角形状の凹凸が繰り返された凹凸形状が示されている。仮粘着部33の先端縁への粘着テープ3の粘着力を増すために、各凸部分の中心線方向の長さが長くされて、各凹部分の中心線方向の長さが短くされてもよい。また、仮粘着部33の先端縁への粘着テープ3の粘着力を増すために、仮粘着部33の先端部の厚みが大きくされてもよく、たとえば、仮粘着部33の先端部の厚みが0.1~5mmであってもよい。
【0100】
また、市販のテープホルダには、巻心支持部11、第1延出部13および第2ローラ16に相当する構成を備えるものがある。市販のテープホルダに、第2延出部14、第1ローラ15、弾性部25、ストッパ28、カッタ部32および仮粘着部33を備える構成のカッタユニットが後付けされることにより、テープカッタ1が作製されてもよい。
【0101】
さらに、段ボールを自動で封緘する封緘機には、巻心支持部11、第1延出部13および第1ローラ15に相当する構成を有するテープホルダが設けられたものがある。その封緘機のテープホルダに、第2延出部14、第2ローラ16、弾性部25、ストッパ28、カッタ部32および仮粘着部33を備える構成のカッタユニットが後付けされてもよい。この場合、粘着テープ3の切断後、仮粘着部33が近接位置に向けて移動するように、弾性部25が自動または手動により弾性変形されるとよい。
【0102】
かかる構成のカッタユニットが市販のテープホルダまたは封緘機のテープホルダに跡付けられる場合、第2延出部14は、ねじや両面テープを用いて、第1延出部13に取り付けられてもよい。また、円筒状の内嵌部が第2延出部14に設けられて、内嵌部が巻心支持部11の内側に挿入されて嵌め込まれることにより、第2延出部14が第1延出部13に取り付けられてもよい。
【0103】
また、粘着テープ巻回体2から引き出された粘着テープ3を支持するテープ支持部の一例として、第1延出部13に回転可能に支持される第1ローラ15の構成を取り上げた。テープ支持部は、第1ローラ15の構成に限らず、中心線方向に延びる円柱状に形成されて、第1延出部13と一体に形成されていてもよいし、第1延出部13に対して固定されていてもよい。
【0104】
たとえば、市販のテープホルダまたは封緘機のテープホルダが第2ローラ16を備えていない場合、テープカッタ1の構成から第2ローラ16が省略されてもよい。
【0105】
また、前述の各構成から、ストッパ28が省略されてもよい。
【0106】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0107】
1:テープカッタ
2:粘着テープ巻回体
3:粘着テープ
4:巻心
11:巻心支持部
12:延出部
15:第1ローラ(テープ支持部)
16:第2ローラ
25:弾性部
26:第1弾性板
27:第2弾性板
32:カッタ部
33:仮粘着部
42:周方向溝