(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085769
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】気体浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/00 20060101AFI20240620BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61L9/00 C
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200487
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】津崎 修
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180AA16
4C180BB06
4C180BB08
4C180CC03
4C180CC13
4C180DD03
4C180DD04
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180JJ03
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る気体浄化装置は、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、光触媒を有する光触媒体と;前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒体に照射する第1の発光素子を有する光源と;前記筐体の内部に設けられ、前記光触媒体を加熱する加熱部と:を具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、光触媒を有する光触媒体と;
前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒体に照射する第1の発光素子を有する光源と;
前記筐体の内部に設けられ、前記光触媒体を加熱する加熱部と:
を具備した気体浄化装置。
【請求項2】
前記筐体の内部を前記気体が流れる方向において、
前記光源は、前記光触媒体の下流側に設けられ、
前記加熱部は、前記光触媒体の上流側に設けられている請求項1記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記光源は、前記第1の紫外線よりも短いピーク波長を有する第2の紫外線を照射する第2の発光素子をさらに有し、
前記第2の発光素子は、前記筐体の内部を流れる前記気体に前記第2の紫外線を照射する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【請求項4】
前記加熱部は、
熱線を照射する発熱部と;
前記筐体の内部を前記気体が流れる方向において、前記発熱部の上流側に設けられたカバーと;
を有する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【請求項5】
前記加熱部は、前記光触媒体の機能を回復させる際に、前記光触媒体を加熱する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、気体浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康意識の高まりを反映して、電車や自動車などの車内、冷蔵庫内、居住空間などの、いわゆる閉鎖空間における気体の浄化(例えば、空気の浄化)の要望が高まっている。例えば、雰囲気に含まれているアンモニア、エチレン、および、アセトアルデヒドなどのVOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)の除去、雰囲気の脱臭、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化の要望が高まっている。
【0003】
そのため、複数の発光素子を有する光源と、光触媒を有する光触媒体とを備えた気体浄化装置が提案されている。
また、光触媒作用を発現させるための発光素子と、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための発光素子と、を備えた気体浄化装置も提案されている。
【0004】
ここで、気体浄化装置を動作させると、光触媒体の機能が経時的に低下する場合がある。そのため、光触媒体の機能を回復させるためのメンテナンスが必要となる。例えば、気体浄化装置の筐体の内部に取り付けられた光触媒体を筐体から取り外し、筐体の外部において光触媒体を洗浄および乾燥させた後に、光触媒体を筐体の内部に取り付けるようにしている。この様なメンテナンスは、定期的に、あるいは必要に応じて行う必要がある。
【0005】
しかしながら、この様なメンテナンスにおいては、光触媒体の取り外し、光触媒体の洗浄および乾燥、光触媒体の取り付けという一連の作業を行う必要がある。そのため、メンテナンスにかかる時間が長くなったり、メンテナンスに手間がかかったりしていた。
そこで、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る気体浄化装置は、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、光触媒を有する光触媒体と;前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒体に照射する第1の発光素子を有する光源と;前記筐体の内部に設けられ、前記光触媒体を加熱する加熱部と:を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る気体浄化装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】
図1における気体浄化装置の、A-A線方向の模式断面図である。
【
図4】光触媒体の機能回復の効果を例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
本実施の形態に係る気体浄化装置1は、気体浄化装置1が設けられる雰囲気にある気体Gを浄化する。気体Gは、例えば、空気を主成分とし、浄化の対象となるものを含んでいる。浄化の対象となるものは、光触媒作用、および紫外線の少なくともいずれかにより浄化できるものであればよい。浄化の対象となるものは、例えば、化学物質、細菌、ウイルスなどである。化学物質は、例えば、アンモニア、エチレン、およびアセトアルデヒドなどのVOCである。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る気体浄化装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、
図1における気体浄化装置1の、A-A線方向の模式断面図である。
図1、および
図2に示すように、気体浄化装置1は、例えば、筐体2、フィルタ3、送風部4、光触媒体5、光源6、加熱部7、およびコントローラ8を有する。
【0014】
筐体2は、箱状を呈している。筐体2は、内部に、処理を行う気体Gが流れる空間を有する。気体Gの流入側から見た場合に、筐体2の輪郭は、例えば、多角形とすることができる。
図1、および
図2に例示をした筐体2の輪郭は、四角形である。筐体2の輪郭が四角形であれば、光触媒体5の着脱を容易としたり、気体浄化装置1のスペース効率を向上させたりすることができる。
【0015】
筐体2は、一方向に延びる形状を呈している。例えば、筐体2の形状は、直方体である。筐体2が延びる方向における、筐体2の両側の端部は開口している。筐体2の一方の開口2aは、処理の対象となる気体Gの流入口となる。筐体2の他方の開口2bは、処理済みの気体Gの流出口となる。そのため、筐体2の内部に、一方の端部から他方の端部に向かって流れる気流を形成することができる。
【0016】
また、筐体2の側部に開口2cを設け、開口2cを介して、光触媒体5、光源6、および加熱部7の着脱を行うこともできる。開口2cには、蓋2dを着脱自在に設けることができる。また、筐体2の側部などには、筐体2の外部に設けられたコントローラ8と、筐体2の内部に設けられた光源6および加熱部7と、の電気的な接続を行うためのコネクタを設けることができる。
【0017】
筐体2、および蓋2dの材料は、光源6から照射される紫外線に対する耐性、気体Gに含まれている化学物質に対する耐性、および加熱部7からの熱に対する耐性があれば特に限定はない。筐体2および蓋2dの材料は、例えば、金属や樹脂とすることができる。金属は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム合金などとすることができる。樹脂は、例えば、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂などとすることができる。
【0018】
また、筐体2の内壁は、光源6から照射される紫外線に対する反射率が高くなるようにすることが好ましい。例えば、筐体2をアルミニウム合金などの金属から形成したり、樹脂から形成された筐体2の内壁に、アルミニウム合金などの金属から形成された板やシートを設けたりすることができる。この様にすれば、光源6から照射され、筐体2の内壁に入射した紫外線を効率良く反射させることができる。筐体2の内壁において反射された紫外線は、筐体2の内部を流れる気体Gに照射される。そのため、光源6から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0019】
また、筐体2の内壁が、アルミニウム合金などの金属から形成されていれば、加熱部7から照射され、筐体2の内壁に入射した熱線(例えば、赤外線)を効率良く反射させることができる。筐体2の内壁において反射された熱線は、筐体2の内部に設けられた光触媒体5に照射される。そのため、加熱部7から照射された熱線の利用効率を向上させることができる。
【0020】
フィルタ3は、筐体2の、気体Gの流入側の端部に設けられている。フィルタ3は、筐体2の開口2aを覆っている。フィルタ3は、例えば、筐体2の端部に設けられたブラケットに着脱自在に取り付けることができる。
【0021】
フィルタ3は、筐体2の外部にあるゴミなどが、筐体2の内部に吸引されるのを抑制する。フィルタ3は、例えば、目視にて確認できる程度の大きさのゴミを除去する。フィルタ3の材料は、光源6から照射される紫外線に対する耐性、気体Gに含まれている化学物質に対する耐性、および加熱部7からの熱に対する耐性があれば特に限定はない。フィルタ3の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。フィルタ3は、例えば、ステンレス製の平織金網(線径φ0.1mm、100メッシュ)とすることができる。なお、フィルタ3は、例えば、ステンレス製の畳織金網、綾織金網などであってもよい。
【0022】
送風部4は、筐体2の、気体Gの流出側の端部に設けられている。送風部4は、筐体2の開口2bに接続されている。送風部4は、開口2bを介して、筐体2の内部の気体Gを筐体2の外部に排出する。そのため、筐体2の内部に、フィルタ3側から送風部4側に向かう気体Gの流れが形成される。
【0023】
図2に例示をした送風部4は軸流ファンであるが、送風部4は気体Gを流動可能なものであればよい。例えば、送風部4は、遠心ファンやシロッコファンなどであってもよい。ただし、送風部4が軸流ファンであれば、高風量化、低騒音化などを図ることができる。また、送風部4は、ダクトなどの配管を介して筐体2に接続することもできる。この場合、ダクトなどの配管を介して、複数の筐体2に1つの送風部4を設けることもできる。
【0024】
光触媒体5は、筐体2の内部に設けられている。光触媒体5は、例えば、筐体2の、気体Gの流入側の端部の近傍に設けられている。例えば、
図1、および
図2に示すように、筐体2が延びる方向において、光触媒体5は、光源6と加熱部7との間に設けられる。この場合、筐体2の内部を気体Gが流れる方向において、光触媒体5は、加熱部7の下流側、且つ、光源6の上流側に設けることができる。光触媒体5は、例えば、筐体2の内壁に設けられたブラケット2eに着脱自在に取り付けられる。
【0025】
光触媒体5は、例えば、基材、および光触媒を有する。
基材は、例えば、ハニカム構造を有し、直径が3mm程度の孔を複数有するセラミック板とすることができる。また、基材は、シート状を呈し、複数のガラス繊維を織り込むことで形成されたものとすることができる。また、基材は、シート状を呈し、金属を含む複数の線状体を織り込むことで形成されたものとすることができる。線状体に含まれる金属は、例えば、ステンレス、ニッケル、モネル、リン青銅、チタン、銅、銅合金、銀、銀合金などである。
【0026】
セラミックを用いた基材や、金属を含む複数の線状体を用いた基材とすれば、基材の剛性を高めることができる。そのため、基材を透過する気体Gの流量や流速を増加させることができるので、処理能力の向上を図ることができる。
【0027】
光触媒は、例えば、粒状を呈し、所定の波長を有する光が入射した際に光触媒作用を発現する。光触媒の種類は、気体浄化装置1の用途や、気体Gに含まれている処理の対象となる物質などに応じて適宜選択することができる。例えば、光触媒は、紫外線応答型の光触媒や可視光応答型の光触媒とすることができる。紫外線応答型の光触媒は、例えば、酸化チタンなどを含んでいる。可視光応答型の光触媒は、例えば、酸化タングステン、窒素などをドープした酸化チタン、異種金属をイオン注入した酸化チタンなどを含んでいる。
【0028】
ここで、光触媒の表面に有機物などの異物が付着すると、光触媒に光が入射し難くなるので光触媒作用が発現し難くなる。そのため、光触媒体5は、防着部をさらに有することができる。防着部は、光触媒とともに基材に坦持させることができる。防着部は、例えば、ケイ素化合物を含む。ケイ素化合物は、例えば、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素)、ケイ素の窒化物、ケイ素の酸窒化物、ケイ素の炭化物、ケイ素の硫化物などである。ケイ素化合物を含む防着部が設けられていれば、有機物などの異物が光触媒に付着するのを抑制することができる。また、ケイ素化合物を含む防着部が設けられていれば、光触媒と基材との間の接合強度を高めることもできる。
【0029】
光源6は、光触媒体5に所定の波長を有する光を照射する。光源6は、筐体2の内部に設けられている。光源6は、光触媒体5と対向している。光源6は、例えば、筐体2の開口2b側(気体Gの流出口側)の端部の近傍に設けられている。この場合、筐体2の内部を気体Gが流れる方向において、光源6は、光触媒体5の下流側に設けることができる。光源6は、例えば、筐体2の端部の内壁に着脱自在に設けたり、筐体2の内壁に設けられたブラケットに着脱自在に設けたりすることができる。
【0030】
光源6は、少なくとも1つ設けることができる。
図1、および
図2に例示をした気体浄化装置1は、互いに離隔させて、並べて設けられた2つの光源6を備えている。光源6は、例えば、筐体2が延びる方向と直交する方向に並べて設けることができる。光源6は、例えば、筐体2に設けられたコネクタを介して、筐体2の外部に設けられたコントローラ8と電気的に接続される。
【0031】
図3は、光源6の模式斜視図である。
図3に示すように、光源6は、例えば、基板6a、発光素子6b(第1の発光素子の一例に相当する)、および発光素子6c(第2の発光素子の一例に相当する)を有する。
基板6aは、板状を呈している。基板6aは、光触媒体5と対向している。
【0032】
ここで、筐体2の内部(気体Gの流路)に基板6aが設けられていると、気体Gの流通が妨げられるおそれがある。この場合、基板6aの厚み方向を貫通する複数の孔を基板6aに設けることができる。しかしながら、孔の大きさが小さければ圧力損失が大きくなるので気体Gの流通が妨げられる。孔の大きさを大きくすると、発光素子6b、発光素子6c、および配線パターンの配置や数などに制約が生じる。そのため、基板6aの幅寸法W1は、光触媒体5の幅寸法W2よりも小さくしている。
【0033】
基板6aの材料や構造には特に限定はない。例えば、基板6aは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料から形成することができる。また、基板6aは、金属板の表面を絶縁材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。
【0034】
発光素子6b、6cの発熱量が多い場合には、放熱性の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板6aを形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板6aは、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0035】
発光素子6b、6cは、基板6aの、光触媒体5と対向する面に並べて設けられている。発光素子6b、6cは、例えば、基板6aの面に設けられた配線パターンと電気的に接続される。発光素子6b、6cの数や配置は、気体浄化装置1の用途や、筐体2の大きさ、光触媒体5の大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0036】
後述するように、発光素子6bは、主に、光触媒体5の光触媒を励起させるために設けられる。そのため、光触媒体5の大部分(面積比で60%以上)において、光照射強度が1mW/cm2以上となるように、発光素子6bの数や配置を設定すればよい。
後述するように、発光素子6cは、主に、処理を行う気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化のために設けられる。そのため、発光素子6cの数は、殺菌や不活性化の能力や、筐体2の大きさなどに応じて適宜決定することができる。
発光素子6b、6cの数や配置は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定すればよい。
【0037】
発光素子6b、6cの形式には特に限定はない。発光素子6b、6cは、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。発光素子6b、6cは、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。発光素子6b、6cは、例えば、チップ状の発光素子(ベアチップ)とすることもできる。チップ状の発光素子は、例えば、COB(Chip On Board)により、基板6aの配線パターンに実装することができる。この場合、チップ状の発光素子を覆う封止部を設けることができる。
なお、
図2、および
図3に例示をした発光素子6b、6cは、表面実装型の発光素子である。
【0038】
発光素子6bは、主に、光触媒体5の光触媒を励起させるための光を照射する。この場合、光触媒の材料や組成が変われば、光触媒の吸収波長領域が変化する。そのため、光触媒の吸収波長領域に応じて、適切な波長の光を照射する発光素子6bを選択する。
【0039】
例えば、光触媒が、酸化タングステンなどの可視光応答型の光触媒の場合には、発光素子6bは、ピーク波長が、405nm以上、600nm以下の可視光を照射する発光ダイオード、レーザダイオード、有機発光ダイオードなどとすることができる。
【0040】
ただし、可視光を細菌やウイルスに照射しても、殺菌や不活性化を行うことができない。これに対して、紫外線を細菌やウイルスに照射すれば、殺菌や不活性化を行うことができる。そのため、発光素子6bは、紫外線(第1の紫外線の一例に相当する)を光触媒体5に照射するものとすることが好ましい。例えば、光触媒を、紫外線応答型の光触媒とし、発光素子6bを、紫外線を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。この様にすれば、光触媒作用の発現に加えて、殺菌や不活性化を行うことができる。
【0041】
例えば、光触媒を、酸化チタンなどの紫外線応答型の光触媒とし、発光素子6bを、ピーク波長が315nm以上、420nm以下の紫外線(UV-A)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。
【0042】
ここで、細菌やウイルスのDNAやRNAに紫外線を吸収させれば、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができる。細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができれば、高い殺菌効果や、高い不活性化の効果を得ることができる。例えば、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が300nm以下の紫外線を吸収し易い。
【0043】
そのため、発光素子6cは、主に、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うために、発光素子6bが照射する紫外線よりも短いピーク波長を有する紫外線(第2の紫外線の一例に相当する)を照射する。発光素子6cは、筐体2の内部を流れる気体Gに紫外線を照射する。
【0044】
例えば、発光素子6cは、ピーク波長が、270nm以上、300nm以下の紫外線(UV-C)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。発光素子6cが設けられていれば、筐体2の内部を流れる気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化、および光触媒体5や筐体2の内壁などに付着している細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うことができる。
【0045】
この場合、発光素子6bから照射される紫外線は、発光素子6cから照射される紫外線に比べて、殺菌や不活性化の能力が低くなる。しかしながら、発光素子6bから紫外線が照射されれば、発光素子6cから照射される紫外線による殺菌や不活性化を増強することができる。
【0046】
そのため、例えば、雰囲気の脱臭などとともに、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行う場合には、紫外線応答型の光触媒を有する光触媒体5とし、主に、光触媒を励起させる紫外線を照射する発光素子6bと、主に、殺菌や不活性化を行う紫外線を照射する発光素子6cを設けることが好ましい。この様にすれば、光触媒作用による脱臭などと、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化を効果的に行うことができる。
【0047】
ここで、一般的に、発光素子6b、6cの封止材にはシリコーン樹脂が含まれている。シリコーン樹脂は紫外線に対する耐性が高いが、発光素子6b、6cから照射された紫外線により、シリコーン樹脂が経時的に分解される場合がある。また、発光素子6b、6cから紫外線を照射する際には熱が発生する。発生した熱により、シリコーン樹脂が加熱されると、シリコーン樹脂の分解がさらに生じ易くなる。
【0048】
シリコーン樹脂が分解されると、シリコーン樹脂の成分を含むガスが発光素子6b、6cから放出される。放出されたシリコーン樹脂の成分を含むガスが光触媒体5に到達すると、シリコーン樹脂の成分が光触媒に付着するおそれがある。シリコーン樹脂の成分が光触媒に付着すると、紫外線が光触媒に入射し難くなったり、処理の対象となる気体Gが光触媒に接触し難くなったりする。そのため、気体浄化装置1の機能が経時的に低下するおそれがある。
【0049】
そこで、
図1、および
図2に示すように、筐体2の内部を気体Gが流れる方向において、光源6(発光素子6b、6c)は、光触媒体5の下流側に設けられている。この様にすれば、発光素子6b、6cからシリコーン樹脂の成分を含むガスが放出されたとしても、放出されたガスが、気体Gの流れにのって光触媒体5の下流側に流れ易くなる。そのため、シリコーン樹脂の成分を含むガスが光触媒体5に到達するのを抑制することができるので、気体浄化装置1の機能が経時的に低下するのを抑制することができる。
【0050】
また、紫外線のピーク波長が短くなるほどシリコーン樹脂の分解が生じ易くなる。そのため、発光素子6cから放出されるガスは、発光素子6bから放出されるガスよりも多くなる。
【0051】
そこで、
図3に示すように、ガスの放出量が多い発光素子6cを筐体2(基板6a)の中央側に設け、発光素子6cよりもガスの放出量が少ない発光素子6bを、発光素子6cよりも筐体2の内壁側に設けている。筐体2の中央領域を流れる気体Gは、筐体2の内壁の近傍を流れる気体Gよりも流速が速く、また、流量も多い。そのため、発光素子6cが、発光素子6bよりも筐体2の中央側に設けられていれば、発光素子6cから放出されるガスが多くなったとしても、ガスが光触媒体5に到達し難くなる。
【0052】
また、前述した様に、発光素子6cは、主に、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための紫外線を照射する。そのため、発光素子6cが、発光素子6bよりも筐体2の中央側に設けられていれば、筐体2の内部のより広い空間に、殺菌や不活性化を行うための紫外線を照射するのが容易となる。
【0053】
そのため、細菌やウイルスの殺菌や不活性化の観点からも、発光素子6cが、発光素子6bよりも筐体2の中央側に設けられていることが好ましい。例えば、
図3に示すように、発光素子6cは、発光素子6bよりも基板6aの中央側に設けることができる。
【0054】
ここで、気体浄化装置1にはフィルタ3が設けられているが、気体浄化装置1が設けられた雰囲気に含まれている異物が筐体2の内部に吸引されるのを完全に防止するのは困難である。そのため、気体浄化装置1を動作させると、吸引された異物が光触媒体5に付着して、気体Gの浄化効果が経時的に低下する場合がある。この場合、一般的には、筐体2の内部に取り付けられている光触媒体5を筐体2から取り外し、筐体2の外部において光触媒体5を洗浄および乾燥させた後に、光触媒体5を筐体2の内部に取り付けるようにしている。この様なメンテナンスは、定期的に、あるいは必要に応じて行う必要がある。
【0055】
しかしながら、この様なメンテナンスにおいては、光触媒体5の取り外し、光触媒体5の洗浄および乾燥、光触媒体5の取り付けという一連の作業を行う必要がある。そのため、メンテナンスにかかる時間が長くなったり、メンテナンスに手間がかかったりすることになる。
【0056】
そこで、気体浄化装置1には、光触媒体5を加熱する加熱部7が設けられている。後述するように、加熱部7は、光触媒体5の機能を回復させる際に、光触媒体5を加熱する。
図1、および
図2に示すように、加熱部7は、筐体2の内部に設けられ、光触媒体5と対向している。加熱部7は、例えば、筐体2の,開口2a側(気体Gの流入口側)の端部の近傍に設けられている。筐体2の内部を気体Gが流れる方向において、加熱部7は、光触媒体5の上流側に設けられている。加熱部7が光触媒体5の上流側に設けられていれば、光源6(発光素子6b、6c)から照射された紫外線が、加熱部7により遮られることがない。すなわち、光触媒体5への紫外線の入射が阻害されることがない。また、発光素子6b、6cから放出されたシリコーン樹脂の成分を含むガスが加熱部7(発熱部7a)に到達するのを抑制することができる。そのため、加熱部7(発熱部7a)にシリコーン樹脂の成分が付着するのを抑制することができる。
【0057】
加熱部7は、例えば、筐体2の内壁に着脱自在に設けたり、筐体2の内壁に設けられたブラケットに着脱自在に設けたりすることができる。加熱部7は、少なくとも1つ設けることができる。
図1、および
図2に例示をした気体浄化装置1は、互いに離隔させて、並べて設けられた3つの加熱部7を備えている。加熱部7は、例えば、筐体2が延びる方向と直交する方向に並べて設けることができる。加熱部7は、例えば、筐体2に設けられたコネクタを介して、筐体2の外部に設けられたコントローラ8と電気的に接続される。
【0058】
図1、および
図2に示すように、加熱部7は、例えば、発熱部7a、およびカバー7bを有する。
発熱部7aは、例えば、一方向に延びた形状を有している。発熱部7aは、例えば、筐体2が延びる方向と直交する方向に延びている。複数の発熱部7aを設ける場合には、複数の発熱部7aを、所定の間隔をあけて並べて設けることができる。この場合、複数の発熱部7aが互いに平行となるようにすることができる。発熱部7aの数と配置は、発熱部7aの発熱量、光触媒体5の大きさ、光触媒体5の加熱に要する時間、加熱時における光触媒体5の温度ムラなどに応じて適宜決定することができる。例えば、発熱部7aの数と配置は、光触媒体5の温度が100℃程度となり、且つ、光触媒体5の温度ムラがなるべく小さくなるようにすればよい。例えば、発熱部7aの数と配置は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0059】
発熱体7aは、印加された電力を熱に変換する。発熱体7aは、例えば、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、カンタルヒータ、シーズヒータ、セラミックヒータなどとすることができる。
図1、および
図2に例示をした発熱体7aは、ハロゲンヒータである。発熱部7aがハロゲンヒータなどの熱線(例えば、赤外線)を照射するものの場合には、筐体2が延びる方向において、発熱体7aと光触媒体5との間に隙間を設けることができる。発熱部7aが発生させたジュール熱をそのまま用いる場合には、発熱部7aを光触媒体5に接触させることができる。
【0060】
また、
図2に示すように、発熱部7aと、光触媒体5との間の距離L2は、発光素子6b、6cの光の出射面と、光触媒体5との間の距離L1よりも小さくすることができる。この様にすれば、光触媒体5と、筐体2の流入口側の端部との間の空間(加熱部7が設けられる空間)の体積を小さくすることができるので、加熱部7が設けられる空間の温度を上昇させたり、下降させたりするのが容易となる。そのため、光触媒体5の温度を上昇させる時間を短縮したり、光触媒体5の温度を下降させる時間を短縮したりするのが容易となる。また、発熱部7aから照射された熱線が光触媒体5に到達し易くなるので、光触媒体5を効率良く加熱することができる。
また、発光素子6b、6cの光の出射面と、光触媒体5との間の距離L1が長ければ、発光素子6b、6cから放出されたガスが光触媒体5に到達するのを抑制することができる。
【0061】
カバー7bは、例えば、1つの発熱部7aに対して1つ設けることができる。カバー7bは、発熱部7aと対向している。カバー7bと発熱部7aとの間には隙間が設けられている。筐体2が延びる方向において、カバー7bは、発熱部7aの、光触媒体5側とは反対側に設けることができる。すなわち、筐体2の内部を気体Gが流れる方向において、カバー7bは、発熱部7aの上流側に設けることができる。発熱部7aの上流側にカバー7bが設けられていれば、筐体2の内部に吸引された異物が発熱部7aに付着したり、筐体2の内部に吸引された気体Gが発熱部7aに直接接触したりするのを抑制することができる。そのため、発熱部7aが汚れたり、発熱部7aから照射される熱線量が減少したりするのを抑制することができる。
【0062】
カバー7bの、発熱部7a側の面は、発熱部7aの中心を通り、筐体2が延びる方向に延びる線分を対称軸として線対称となる形状を有している。カバー7bの、発熱部7a側の面は、屈曲面または湾曲面とすることができる。カバー7bの、発熱部7a側の面がこの様な形状を有していれば、発熱部7aから照射され、光触媒体5側とは反対側に向かう熱線を反射して、光触媒体5に向かうようにすることができる。そのため、発熱部7aから照射された熱線の利用効率を向上させることができる。
【0063】
カバー7bの、発熱部7a側とは反対側の面は、発熱部7aの中心を通り、筐体2が延びる方向に延びる線分を対称軸として線対称となる形状を有している。カバー7bの、発熱部7a側とは反対側の面は、気体Gの流れの上流側(光触媒体5側とは反対側)に突出する屈曲面とすることができる。カバー7bの、発熱部7a側とは反対側の面がこの様な形状を有していれば、気体Gの流れに乱れが生じるのを抑制することができる。
【0064】
カバー7bの材料は、耐熱性を有し、発熱部7aから照射された熱線に対する反射率が高い材料とすることが好ましい。カバー7bの材料は、例えば、アルミニウム合金やステンレスなどの金属とすることができる。
【0065】
コントローラ8は、送風部4、光源6、および加熱部7を制御する。コントローラ8は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。コントローラ8は、例えば、コンピュータである。コントローラ8は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、送風部4、光源6、および加熱部7を制御する。
【0066】
例えば、気体浄化装置1を用いて雰囲気にある気体Gを浄化する場合には、コントローラ8は、送風部4を制御して、雰囲気にある気体Gを筐体2の内部に吸引する。
【0067】
また、コントローラ8は、光源6を制御して、発光素子6bから、主に、光触媒体5の光触媒を励起させるための光を照射させる。紫外線応答型の光触媒が用いられる場合には、発光素子6bから紫外線(例えば、UV-A)が照射される。可視光応答型の光触媒が用いられる場合には、発光素子6bから可視光が照射される。なお、前述した様に、発光素子6bから紫外線が照射されれば、発光素子6cから照射される紫外線による殺菌や不活性化を増強することができる。
発光素子6bから照射された光により、光触媒体5の光触媒が励起して、光触媒作用が発現する。そのため、気体Gに含まれているVOCなどが、光触媒作用により分解される。
【0068】
また、コントローラ8は、光源6を制御して、発光素子6cから、主に、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための紫外線(例えば、UV-C)を照射させる。
発光素子6cから照射された紫外線(例えば、UV-C)により、気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化が行われる。また、筐体2の内壁や光触媒体5に、発光素子6cから紫外線が照射されることで、これらに付着している細菌やウイルスの殺菌や不活性化が行われる。
【0069】
ここで、浄化を行う雰囲気によっては、光触媒作用による浄化のみを行えば良い場合、紫外線の照射による殺菌などの浄化のみを行えば良い場合、光触媒作用による浄化と紫外線の照射による殺菌などの浄化の両方を行った方が良い場合がある。
【0070】
そのため、コントローラ8に、モードの切替スイッチを設けることもできる。例えば、コントローラ8は、モードの切替スイッチからの情報に基づいて、光触媒作用による浄化、および紫外線の照射による殺菌などの浄化の少なくともいずれかを選択して実行することができる。
【0071】
例えば、モードの切替スイッチにより、光触媒作用による浄化のみを行うことが選択された場合には、コントローラ8は、発光素子6bのみから光を照射させる。例えば、モードの切替スイッチにより、紫外線の照射による殺菌などの浄化のみを行うことが選択された場合には、コントローラ8は、発光素子6cのみから紫外線を照射させる。例えば、モードの切替スイッチにより、光触媒作用による浄化、および紫外線の照射による殺菌などの浄化を行うことが選択された場合には、コントローラ8は、発光素子6bから光を照射させ、且つ、発光素子6cから紫外線を照射させる。
【0072】
モードの切替スイッチにより、光触媒作用による浄化、および紫外線の照射による殺菌などの浄化のいずれかを選択すれば、省エネルギー化を図ることができる。モードの切替スイッチにより、光触媒作用による浄化、および紫外線の照射による殺菌などの浄化の両方を選択すれば、種々の雰囲気における浄化に対応することができる。
【0073】
また、モードの切替スイッチにより、処理時間や処理流量の選択が行える様にすることもできる。例えば、モードの切替スイッチにより、処理時間の短縮や処理流量の増加が選択された場合には、コントローラ8は、送風部4を制御して送風量を増加させ、光源6を制御して照射量を増加させることができる。例えば、気体浄化装置1の動作時における騒音を小さくしたい場合には、モードの切替スイッチにより、静音モードなどに切り替えることができる。例えば、静音モードが選択された場合には、コントローラ8は、送風部4を制御して送風量を減少させ、光源6を制御して照射量を減少させることができる。
【0074】
また、加熱部7を用いて、光触媒体5の機能回復(メンテナンス)を行う場合には、コントローラ8は、加熱部7を制御して、例えば、発熱部7aから熱線を照射させる。コントローラ8は、例えば、光触媒体5に設けられた温度センサ(例えば、熱電対)からの出力に基づいて、発熱部7aに印加する電力の制御、ひいては光触媒体5の温度制御を行うことができる。また、コントローラ8は、例えば、発熱部7aに印加する電力と、電力の印加時間などを制御することで光触媒体5の温度制御を行うこともできる。なお、発熱部7aに印加する電力および電力の印加時間と、光触媒体5の温度との関係は、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
【0075】
発熱部7aから照射された熱線が光触媒体5に入射することで、光触媒体5が加熱される。なお、発熱部7aが光触媒体5に接触している場合は、発熱部7aからの熱が光触媒体5に伝搬することで、光触媒体5が加熱される。光触媒体5が加熱されることで、光触媒体5に付着している異物が除去される。例えば、光触媒体5の温度は、30℃以上、200℃以下となるようにすることができる。加熱時間(メンテナンス時間)は、例えば、1時間程度とすることができる。
【0076】
光触媒体5の温度、および加熱時間は、雰囲気に含まれている異物の量、光触媒体5に付着している異物の量、発熱部7aの数や発熱量、要求されるメンテナンス時間などに応じて適宜変更することができる。光触媒体5の温度、および加熱時間は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0077】
光触媒体5の機能回復を行う場合には、コントローラ8は、光源6による紫外線などの照射、および送風部4による送風を行わないようにすることができる。送風部4による送風が行われなければ、光触媒体5の温度上昇に要する時間を短縮することができる。また、コントローラ8は、送風部4による送風を行い、送風量を、気体Gの浄化を行う際の送風量よりも少なくすることもできる。この様にすれば、光触媒体5に付着している異物が加熱されることで放出されたガスを筐体2の外部に排出するのが容易となる。
【0078】
光触媒体5の機能回復が終了した場合には、コントローラ8は、加熱部7を制御して、例えば、発熱部7aからの熱線の照射を停止させる。また、コントローラ8は、送風部4を制御して、筐体2の内部に気体Gを吸引することができる。この様にすれば、光触媒体5に付着している異物が加熱されることで放出されたガスを筐体2の外部に排出することができる。また、光触媒体5および加熱部7の冷却時間を短縮することができる。なお、光触媒体5の機能回復が終了した場合には、気体Gの浄化を続けて行うこともできる。この様にすれば、光触媒体5および加熱部7の冷却と、気体Gの浄化を同時に行うことができる。
【0079】
雰囲気にある気体Gの浄化と、光触媒体5の機能回復とは、例えば、前述したモードの切替スイッチにより選択することができる。また、光触媒体5の機能回復は、定期的に行うこともできるし、操作者などの判断により、必要に応じて行うこともできる。この場合、例えば、雰囲気にある気体Gの浄化が終了した際に、光触媒体5の機能回復を自動的に続けて行うこともできる。
【0080】
図4は、光触媒体5の機能回復の効果を例示するためのグラフである。
図4中のBは、所定の時間使用された光触媒体5を用いて、気体Gの浄化を行った場合である。すなわち、Bは、光触媒体5を加熱して機能回復を行わない場合である。
図4中のCは、所定の時間使用された光触媒体5を加熱して機能回復を行った後に、気体Gの浄化を行った場合である。
光触媒体5の機能は、アセトアルデヒドの残存率で評価した。
光触媒体5の加熱温度は100℃とし、加熱時間は1時間とした。
【0081】
図4から分かる様に、所定の時間使用された光触媒体5を加熱すれば、アセトアルデヒドの残存率を低くすることができる。このことは、所定の時間使用された光触媒体5を加熱すれば、光触媒体5の機能回復を行うことができることを意味する。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0083】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0084】
(付記1)
内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、光触媒を有する光触媒体と;
前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒体に照射する第1の発光素子を有する光源と;
前記筐体の内部に設けられ、前記光触媒体を加熱する加熱部と:
を具備した気体浄化装置。
【0085】
(付記2)
前記筐体の内部を前記気体が流れる方向において、
前記光源は、前記光触媒体の下流側に設けられ、
前記加熱部は、前記光触媒体の上流側に設けられている付記1記載の気体浄化装置。
【0086】
(付記3)
前記光源は、前記第1の紫外線よりも短いピーク波長を有する第2の紫外線を照射する第2の発光素子をさらに有し、
前記第2の発光素子は、前記筐体の内部を流れる前記気体に前記第2の紫外線を照射する付記1または2に記載の気体浄化装置。
【0087】
(付記4)
前記加熱部は、
熱線を照射する発熱部と;
前記筐体の内部を前記気体が流れる方向において、前記発熱部の上流側に設けられたカバーと;
を有する付記1~3のいずれか1つに記載の気体浄化装置。
【0088】
(付記5)
前記加熱部は、前記光触媒体の機能を回復させる際に、前記光触媒体を加熱する付記1~4のいずれか1つに記載の気体浄化装置。
【符号の説明】
【0089】
1 気体浄化装置、2 筐体、3 フィルタ、4 送風部、5 光触媒体、6 光源、6b 発光素子、6c 発光素子、7 加熱部、7a 発熱部、7b カバー、8 コントローラ、G 気体