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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008578
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20240112BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B65G1/04 555A
B65G1/00 511J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110557
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】粟屋 太一
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ13
3F022JJ14
3F022JJ19
3F022JJ20
3F022LL19
3F022MM05
3F022MM11
3F022MM57
(57)【要約】
【課題】作業者による自動倉庫の上方箇所のメンテナンスと、シャトル台車の取り出しとを両立することができるシャトル式の自動倉庫を提供する。
【解決手段】本発明のシャトル式の自動倉庫1は、ラック2と、複数段に配置され走行路12上を移動するシャトル台車4と、ラックの端部に配置された複数段のバッファコンベヤ34、36と、バッファコンベヤに隣接して配置された垂直搬送装置18と、少なくとも1つが中間高さに配置されたラック内メンテナンスデッキ14とを備え、バッファコンベヤおよびシャトル台車の走行路の端部12aに隣接して、吹き抜け空間であるシャトル台車取り出しエリアSが設けられ、シャトル台車取り出しエリアSを含む所定の領域S1において、ラック側とその反対側との間でスライド移動可能に設けられた可動梯子40、42と、スライド梯子を案内するガイド部材44と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックと、複数段に配置されてそれぞれ走行路上を移動する複数のシャトル台車と、上記ラックの端部に配置された複数段のバッファコンベヤと、これらのバッファコンベヤに隣接して配置された垂直搬送装置と、少なくとも1つが中間高さに配置された平板状のラック内メンテナンスデッキと、を備えたシャトル式の自動倉庫であって、
上記バッファコンベヤおよび上記シャトル台車の走行路の端部に隣接して、吹き抜け空間であるシャトル台車取り出しエリアが設けられ、
上記シャトル台車取り出しエリアを含む所定の領域において、ラック側とその反対側との間でスライド移動可能に設けられたスライド梯子と、
上記スライド梯子を案内するガイド部材と、を備えることを特徴とするシャトル式の自動倉庫。
【請求項2】
上記ラックは、上記シャトル台車の走行路の両側に左右一対に配置され、
上記バッファコンベヤおよび上記垂直搬送装置は、上記左右一対のラックに対応して左右一対に設けられ、
上記スライド梯子および上記ガイド部材は、上記左右一対のバッファコンベヤに隣接して左右一対に設けられている、請求項1に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項3】
さらに、上記スライド梯子を上記バッファコンベヤの延びる方向に対して任意の位置に固定するための固定部材を備える、請求項1または請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項4】
上記ガイド部材は上記自動倉庫の上方部分に配置され、
上記スライド梯子は、上記ガイド部材によりスライド可能に吊り下げられて案内され、
上記スライド梯子は、その下端部が上記自動倉庫の床面から所定の間隔があくような長さを有する、請求項1または請求項2に記載のシャトル式の自動倉庫。
【請求項5】
さらに、上記自動倉庫の床面に対して所定の高さ位置に設けられた上記スライド梯子の被固定部材と、
上記バッファコンベヤの延びる方向に対して任意の位置で、上記スライド梯子の下端部を上記被固定部材に固定するための固定部材と、を備える、請求項4に記載のシャトル式の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫に係わり、特に、ラックと、シャトル台車と、バッファコンベヤと、バッファコンベヤに隣接して配置された垂直搬送装置と、ラック内メンテナンスデッキと、を備えたシャトル式の自動倉庫シャトル式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャトル台車(搬送車)と、その搬送レールと、作業者がシャトル台車をメンテナンスするメンテ台と、搬送レールとメンテ台との間でシャトル台車を移載することができる移動台車とを備え、移動台車が、シャトル台車を保持する保持レールを備えている、シャトル式の自動倉庫が知られている(たとえば、特許文献1)。この特許文献1の自動倉庫では、搬送レールの端部において、移動台車の保持レールを、メンテナンスが必要なシャトル台車が乗った搬送レールの高さまで昇降させた後、シャトル台車を保持レールに移載し、メンテ台まで移動させるようにしている。このように、搬送レールの端部に隣接した位置において、シャトル台車を保持すると共に昇降させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-018611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、シャトル台車だけでなく、自動倉庫を構成する各装置や各部品等(たとえば、ラックやバッファコンベヤなど)をメンテナンスする必要も当然にある。
このとき、たとえばラックの段数が多く、比較的高さのある自動倉庫では、自動倉庫の上方箇所をメンテナンスするために、所定高さ(所定階)に、作業者が水平移動するためのメンテナンスデッキが設けられることがある。従来、そのようなメンテナンスデッキに移動するには、作業者は、自動倉庫の前後方向(シャトル台車の移動方向)の端部である原点側または反原点側に、掛け梯子を架けるか、所定の場所に固定した垂直梯子を利用するようにしていた。
【0005】
しかしながら、メンテナンスデッキが多層あり、かつ、原点側と反原点側の両方に垂直搬送機が設置されるような自動倉庫のレイアウトの場合、手作業での長くて重い掛け梯子の層間の架け替えに苦慮する。さらに、背後に垂直搬送機があるシャトル台車の昇降エリアにおいて、掛け梯子を、シャトル台車の昇降の邪魔にならない場所に手作業で移動させる際にも苦慮する。一方、固定垂直梯子だと各層にアクセスできるが、台車の昇降エリアの確保が困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、作業者による自動倉庫の上方箇所のメンテナンスと、シャトル台車の取り出しとを両立することができるシャトル式の自動倉庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、ラックと、複数段に配置されてそれぞれ走行路上を移動する複数のシャトル台車と、ラックの端部に配置された複数段のバッファコンベヤと、これらのバッファコンベヤに隣接して配置された垂直搬送装置と、少なくとも1つが中間高さに配置された平板状のラック内メンテナンスデッキと、を備えたシャトル式の自動倉庫であって、バッファコンベヤおよびシャトル台車の走行路の端部に隣接して、吹き抜け空間であるシャトル台車取り出しエリアが設けられ、シャトル台車取り出しエリアを含む所定の領域において、ラック側とその反対側との間でスライド移動可能に設けられたスライド梯子と、スライド梯子を案内するガイド部材と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、シャトル台車取り出しエリアを利用してシャトル台車を取り出す場合は、スライド梯子をシャトル台車が干渉しない位置(シャトル台車取り出しエリア外の位置)に移動させ、一方、作業者による自動倉庫のメンテナンスを行う場合は、スライド梯子を作業に応じた任意の位置に移動させ、特に、ラック側のラック内メンテナンスデッキに寄せることで、作業者が自動倉庫の上方箇所にアクセスすることができる。したがって、ガイド部材により案内されるスライド梯子によって、作業者による自動倉庫の上方箇所のメンテナンスと、シャトル台車の取り出しとを両立することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、ラックは、シャトル台車の走行路の両側に左右一対に配置され、バッファコンベヤおよび垂直搬送装置は、左右一対のラックに対応して左右一対に設けられ、スライド梯子およびガイド部材は、左右一対のバッファコンベヤに隣接して左右一対に設けられている。
このように構成された本発明によれば、スライド梯子は、左右一対のバッファコンベヤに隣接して左右一対に設けられているので、作業者が、メンテナンスデッキに移動して自動倉庫のメンテナンスを行えるだけでなく、バッファコンベヤのメンテナンスにもスライド梯子を利用することができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、さらに、スライド梯子をバッファコンベヤの延びる方向に対して任意の位置に固定するための固定部材を備える。
このように構成された本発明によれば、固定部材により、スライド梯子をバッファコンベヤの延びる方向に対して任意の位置で固定することにより、バッファコンベヤの全長にわたって効果的にメンテナンスを行うことができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、ガイド部材は自動倉庫の上方部分に配置され、スライド梯子は、ガイド部材によりスライド可能に吊り下げられて案内され、スライド梯子は、その下端部が自動倉庫の床面から所定の間隔(たとえば、床面上を移動する各種装置の移動を妨げないような間隔)があくような長さを有する。
このように構成された本発明によれば、作業者は、スライド梯子を容易に移動させることができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、さらに、自動倉庫の床面に対して所定の高さ位置に設けられたスライド梯子の被固定部材と、バッファコンベヤの延びる方向に対して任意の位置で、スライド梯子の下端部を被固定部材に固定するための固定部材と、を備える。
このように構成された本発明によれば、作業者は、スライド梯子を容易に固定することが出来、これにより、バッファコンベヤの全長にわたって効果的にメンテナンスを行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者による自動倉庫の上方箇所のメンテナンスと、シャトル台車の取り出しとを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す背面図である。
図4図1の符号Aで示す部分の部分拡大図であり、可動梯子の上端部分および可動梯子のガイド構造を拡大して示す図である。
図5図1の符号Bで示す部分の部分拡大図であり、可動梯子の下端部分および可動梯子の固定構造を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫を説明する。
【0016】
まず、図1乃至図3により、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を説明する。図1は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す側面図であり、図2は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す平面図であり、図3は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫の概略構成を示す背面図である。
図1乃至図3に示すように、符号1は、本発明の実施形態によるシャトル式自動倉庫(以下、「自動倉庫」という)を示し、この自動倉庫1は、図1および図2に示すように、ラック2と、複数の入出庫台車(以下、「台車」という)4とを備える。ラック2は、前後方向(図1に示す原点側と反原点側とを結ぶ方向)に並べられた一連の棚6を有する棚段8を上下方向に複数備えている。なお、複数の棚6のそれぞれは別体であってもよく、一体に形成されていてもよい。
【0017】
次に、図1および図2に示すように、複数の棚段8には、それぞれ、一対のレール10を有する走行路12が設けられ、複数の台車4は、これらの走行路12に沿って前後方向に互いに独立して移動する。台車4には、荷物の移載装置5が設けられ、ラック2に対する荷物の受け渡し、すなわち、ラック2への荷おろし(移載)および台車4へのラック2からの荷つみを行う。複数の台車4は、複数段の棚段8に1台ずつ配置されている。
【0018】
図2に示すように、ラック2は、台車4の走行路12を挟んで対向する一対のラック2を有し、一対のラック2は、原点側から見て左側列のラック2aと右側列のラック2bとで構成される。
なお、本実施形態の自動倉庫1の変形例として、たとえば3段の棚段8毎にリフタ付きの入出庫台車を1台配置して、その1台の台車で3段の棚段8にそれぞれ荷物を格納することができるような自動倉庫1であってもよい。
【0019】
ここで、図1および図2に示すように、自動倉庫1は、図示しないコントローラで制御される台車4の走行の基準位置やラック2の各棚6の座標位置などを定めるための原点の側(原点側)と、その反対側の反原点側とが規定されている。
【0020】
また、本実施形態の自動倉庫1は、およそ4階建ての高さを有している。図1に示すように、この自動倉庫1には、作業者が歩行可能な平板状のメンテナンスデッキ14が、自動倉庫1の中間高さ位置に4段分(4階分)設けられている。これらのメンテナンスデッキ14は、作業者が、直接、自動倉庫1の上方箇所の各部分をメンテナンスするために利用されるものである。より具体的には、作業者が、後述する可動梯子40、42を登った後、メンテナンスデッキ14に移り、メンテナンスデッキ14上を移動することにより、メンテナンスが必要な箇所にアクセスするためのものである。
【0021】
メンテナンスデッキ14は、ラック2に沿って前後方向に延びている。また、本実施形態では、図1に示すように、メンテナンスデッキ14の一方の端部14aは、台車4の走行路12の一方の端部12aと同じ位置であり、メンテナンスデッキ14の他方の端部14bは、台車4の走行路12の他方の端部12bと同じ位置となっている。メンテナンスデッキ14は、本実施形態の4段に限らず、自動倉庫の高さやメンテナンス性、変形例によるリフタ付き台車の採用などを考慮して、適宜、必要な段数を設けることができる。
【0022】
次に、図1および図2に示すように、自動倉庫1は、その前後方向の両側に、垂直搬送装置(昇降搬送装置)16、18を備える。
図2に示すように、原点側の垂直搬送装置16は、原点側から見て左列側と右列側に背合わせで配置された一対の垂直搬送装置16a、16bであり、それぞれ、昇降台上のコンベヤ20、22を備える。また、反原点側の垂直搬送装置18も、左列側と右列側に背合わせで配置された一対の垂直搬送装置18a、18bであり、それぞれ、昇降台上のコンベヤ24、26を備える。
【0023】
これらの垂直搬送装置16、18は、図示しない入出庫ステーション等と荷物の受け渡しを仲介する。なお、図3では、説明の便宜のため、反原点側の垂直搬送装置18の図示を省略している。
ここで、本実施形態では、原点側のコンベヤ20、22の両方を、ラック2に収納されるべき荷物を受け取る入庫用のコンベヤとし、反原点側のコンベヤ24、26の両方を、ラック2から取り出された荷物を受け取る出庫用のコンベヤとしているが、変形例として、原点側の一方のコンベヤ22(20)を出庫用とすると共に、反原点側の一方のコンベヤ24(26)を入庫用に設定してもよい。
【0024】
次に、図1および図2に示すように、自動倉庫1は、原点側において、垂直搬送装置16の入出庫コンベヤ20、22とラック2a、2bとの間にバッファコンベヤ30、32を備えている。また、図1乃至図3に示すように、自動倉庫1は、反原点側において、垂直搬送装置18の入出庫コンベヤ24、26とラック2a、2bとの間にバッファコンベヤ34、36を備えている。図1乃至図3に示すように、バッファコンベヤ20、22、24、36は、自動倉庫1の前後方向に延びている。
【0025】
これらのバッファコンベヤ30、32、34、36は、垂直搬送装置16(18)から入庫された荷物を台車4が受け取りにくるまで一時的に保管し、または、台車4から荷おろしされた荷物を一時的に保管し、垂直搬送装置18(16)に所定のタイミングで引き渡す役割を有する。また、バッファコンベヤ30、32、34、36は、それぞれ、たとえば3つの荷物を所定の間隔で一時保管する機能を有し、それらの荷物の間隔を検知するセンサ(図示せず)を備える。
図1および図3に示すように、バッファコンベヤ34、36は、ラック2の複数段の棚段8毎に設けられている。原点側のバッファコンベヤ30、32も同様である。
【0026】
次に、図1および図2に示すように、自動倉庫1の反原点側には、台車4のメンテナンスのため、複数段毎の台車4を自動倉庫1の床面上に降ろすための吹き抜け空間である台車取り出しエリア(シャトル台車取り出しエリア/シャトル台車昇降エリア)Sが設けられている。なお、台車取り出しエリアSは、台車4を元の位置に戻す際にも用いられる。
なお、上述したバッファコンベヤ34、36は、このような台車取り出しエリアSを形成するために、自動倉庫1の前後方向において、台車取り出しエリアSの前後方向長さよりも長いコンベヤとなっている。
【0027】
図2に示すように、この台車取り出しエリアSは、平面視で、左側列および右側列のバッファコンベヤ34、36の左右方向の内方縁34a、36aに隣接し、かつ、台車4の走行路12の端部12a(一対のレール10の端部)に隣接して設けられている。言い換えると、バッファコンベヤ34、36の内方縁34a、36aは、台車取り出しエリアSの左右方向の外方縁でもあり、台車4の走行路12の端部12aは、台車取り出しエリアSの前方側の内方縁でもある。
また、図2に示すように、台車取り出しエリアSは、平面視で、垂直搬送装置18より所定距離だけ離れた内方領域(垂直搬送装置18に対して所定距離離れた原点側の領域)に設けられている。
【0028】
言い換えると、図2に示すように、台車取り出しエリアSは、左右一対のバッファコンベヤ34、36と、台車4の走行路12の端部12aと、左右一対の垂直搬送装置18a、18bとで囲まれた領域S1に形成されている。上述した垂直搬送装置18と台車取り出しエリアSとの間の所定距離は、後述する可動梯子(スライド梯子)40、42が台車取り出しエリアSと干渉せず、かつ、可動梯子40、42を収容可能な距離である。
図2では、一方の可動梯子40が、台車取り出しエリアSと干渉しないように、領域S1における垂直搬送装置18に隣接した位置に移動されている。後述するように、他方の可動梯子42も同様に、垂直搬送装置18b側にスライド移動して、同様な位置に移動可能となっている。このように、領域S1は、可動梯子40、42のスライド可能な領域として規定される。
【0029】
台車取り出しエリアSは、平面視で台車4の投影面積より大きい面積を有し、上下方向に吹き抜ける空間として形成されている。言い換えると、この台車取り出しエリアSは、その空間内に棚などを設けず、上下方向に貫通した空間となっている。
メンテナンスが必要な台車4は、所定の装置および方法により、台車取り出しエリアSを介して、自動倉庫1の床面に降ろすことができるようになっている。図1には、自動倉庫1の床面にキャスタ台車38が示されている。このキャスタ台車38は、キャスタ車輪を備える手押し台車であり、作業員が、台車取り出しエリアSを介して降ろされた台車4を載せて、所定のメンテナンス場所に移動させるためのものである。キャスタ台車38は、台車4を運ぶ必要があるときに自動倉庫1内に移動されるものであり、通常は、自動倉庫1外に置かれている。
【0030】
次に、図1乃至図3により、自動倉庫1に設けられた可動梯子40、42について説明する。
図1乃至図3に示すように、自動倉庫1には、台車取り出しエリアS、および、そのエリアSを含む領域S1内を前後方向(原点側と反原点側とを結ぶ方向)にスライド移動可能な可動梯子(スライド梯子)40、42が一対設けられている。より詳細には、第1の可動梯子40が、左側列のバッファコンベヤ34の内方縁34a(台車取り出しエリアSの左側の外方縁)に隣接して設けられ、第2の可動梯子42が、右側列のバッファコンベヤ36の内方縁36a(台車取り出しエリアSの右側の外方縁)に隣接して設けられている。
【0031】
ここで、台車取り出しエリアSを含む領域S1内には、可動梯子40、42の待避空間である待避エリアS2が形成されている。この待避エリアS2は、台車取り出しエリアSと連続した空間であり、台車取り出しエリアSと同様の吹き抜け空間となっている。この待避エリアS2の前後方向長さは、可動梯子40、42の前後方向長さ(可動梯子40、42の幅)より長い。
【0032】
ここで、図1および図2に示す例において、第1の可動梯子40は、台車取り出しエリアSを避ける待避位置である待避エリアS2にあり、第2の可動梯子42は、バッファコンベヤ34に沿うと共にメンテナンスデッキ14に隣接した使用位置(台車取り出しエリアS内)にある。図示を省略するが、第1の可動梯子40は、メンテナンスデッキ14に隣接した位置を含むバッファコンベヤ34に沿った任意の使用位置にスライド移動可能であり、また、第2の可動梯子42は、図示する第1の可動梯子40と同様に、台車取り出しエリアSを避ける待避位置である待避エリアS2までスライド移動可能である。すなわち、第1および第2の可動梯子40、42は、それぞれ独立してスライド移動可能となっており、第1および第2の可動梯子40、42のいずれも、上述した待避位置と、メンテナンスデッキ14に隣接した使用位置と、バッファコンベヤ34、36に沿った任意の使用位置との間で、個別にスライド移動可能となっている。
【0033】
ここで、図1および図4により、可動梯子40、42をスライド移動させるための構成を説明する。図4は、図1の符号Aで示す部分の部分拡大図であり、可動梯子の上端部分および可動梯子のガイド構造を拡大して示す図である。
まず、図1に示すように、可動梯子40、42の上端部40a、42aは、自動倉庫1の天井部分に設けられたガイド部材44に連結され、このガイド部材44により可動梯子40、42が案内されるようになっている。
より詳細には、図4に第2の可動梯子42の例で示すように、可動梯子42の上端部42aは、梯子接続部材46を介して車輪48付き梯子支持部材(トロリ)50に連結されている。可動梯子42の上端部42aと梯子接続部材46、および、梯子接続部材46と車輪付き梯子支持部材50とは、いずれも、図4に示すように、所定の連結部材52、および、連結部材52を揺動可能に保持する軸部材(ピンやボルト)54を介して連結されている。図示しないが、第1の可動梯子40も同様に構成されている。
ガイド部材44は、図示を省略するが、自動倉庫1の前後方向に延びる断面I字状のレール部材であり、車輪48がI字レールに当接するように梯子支持部材50がI字レールの両側に嵌め込まれ、これにより、可動梯子40、42が、前後方向に案内されるようになっている。
【0034】
次に、図1および図5により、スライド移動する可動梯子40、42を任意の位置に固定するための構造を説明する。図5は、図1の符号Bで示す部分の部分拡大図であり、可動梯子の下端部分および可動梯子の固定構造を拡大して示す図である。
まず、図1および図5に示すように、自動倉庫1には、その最下層に、可動梯子40、42を固定するためのステー部材56が設けられている。図5に示すように、このステー部材56には、複数の孔58が、自動倉庫1の前後方向に所定の間隔で形成されている。そして、可動梯子40、42を任意の位置にスライド移動させた後、可動梯子40、42側のピン部材(固定部材)60を孔58に差し込むことによって、可動梯子40、42の位置が固定されるようになっている。図5に示す例では、第2の可動梯子42の下端部42bが、ピン部材60および孔58によって、ステー部材56に固定されている。図示しないが、第1の可動梯子40も同様に構成されている。
【0035】
ここで、図1に示すように、ステー部材56の床面Gからの高さHは、上述した台車4を載せて運ぶキャスタ台車38の移動を妨げないような高さに規定されている。
【0036】
また、上述したステー部材56の複数の孔58は、可動梯子40、42の使用時に所望される位置に予め形成されている。この所望される位置とは、作業者が、自動倉庫1の上方箇所(たとえば、ラック2やレール10の構成部材、バッファコンベヤ30、32、34、36の構成部材やセンサ)のメンテナンスのために必要とする位置である。すなわち、本実施形態では、可動梯子40、42をラック2の端部側に寄せてメンテナンスデッキ14に移ることができる第1の使用位置、および、上述したバッファコンベヤ30、32、34、36の長手方向(自動倉庫1の前後方向)に沿った任意の箇所にアクセス可能な複数の位置(第2の位置)のいずれにも可動梯子40、42を固定することができるようになっている。
【0037】
なお、本実施形態では、上述した可動梯子40、42の待避位置、すなわち、可動梯子40、42が、台車取り出しエリアS内を昇降している台車4と干渉しないようにする位置では、可動梯子40、42を固定しないが、変形例として、上述したステー部材56、孔58、ピン部材60などと同様な構成により固定するようにしてもよい。
【0038】
次に、本発明の実施形態による自動倉庫の作用効果を説明する。
まず、本実施形態のシャトル式の自動倉庫1は、ラック2と、複数段に配置されてそれぞれ走行路12上を移動する複数のシャトル台車4と、ラック2の端部に配置された複数段のバッファコンベヤ34、36と、これらのバッファコンベヤ34、36に隣接して配置された垂直搬送装置18と、少なくとも1つが中間高さに配置された平板状のラック内メンテナンスデッキ14と、を備え、バッファコンベヤ34、36およびシャトル台車4の走行路12の端部12aに隣接して、吹き抜け空間であるシャトル台車取り出しエリアSが設けられ、シャトル台車取り出しエリアSを含む所定の領域S1において、ラック側とその反対側との間でスライド移動可能に設けられた可動梯子(スライド梯子)40、42と、可動梯子40、42を案内するガイド部材44と、を備える。
このように構成された本実施形態によれば、シャトル台車取り出しエリアSを利用してシャトル台車4を取り出す場合は、可動梯子40、42をシャトル台車4が干渉しない位置(シャトル台車取り出しエリアS外の領域S1内の位置)に移動させ、一方、作業者による自動倉庫1のメンテナンスを行う場合は、可動梯子40、42を作業に応じた任意の位置に移動させ、特に、ラック2側のラック内メンテナンスデッキ14に寄せることで、作業者が自動倉庫1の上方箇所にアクセスすることができる。したがって、ガイド部材44により案内される可動梯子40、42によって、作業者による自動倉庫1の上方箇所のメンテナンスと、シャトル台車4の取り出しとを両立することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、ラック2a、2bは、シャトル台車4の走行路12の両側に左右一対に配置され、バッファコンベヤ34、36および垂直搬送装置18a、18bは、左右一対のラック2a、2bに対応して左右一対に設けられ、可動梯子40、42およびガイド部材44は、左右一対のラック2a、2bに対応すると共に左右一対のバッファコンベヤ34、36に隣接して左右一対に設けられているので、作業者が、メンテナンスデッキ14に移動して自動倉庫1のメンテナンスを行えるだけでなく、バッファコンベヤ34、36のメンテナンスにもスライド梯子を利用することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、自動倉庫1は、可動梯子40、42をバッファコンベヤ34、36の延びる方向に対して任意の位置に固定するための固定部材60を備えるので、バッファコンベヤ34、36の全長にわたって効果的にメンテナンスを行うことができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、ガイド部材44は自動倉庫1の上方部分に配置され、可動梯子40、42は、ガイド部材44によりスライド可能に吊り下げられて案内され、可動梯子40、42は、その下端部が自動倉庫1の床面Gから所定の間隔があくような長さを有するので、作業者は、可動梯子40、42を容易に移動させることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、自動倉庫1の床面Gに対して所定の高さHの位置に設けられた可動梯子40、42の被固定部材であるステー部材56と、バッファコンベヤ34、36の延びる方向に対して任意の位置で、可動梯子40、42の下端部40b、42bをステー部材56に固定するための固定部材60と、を備えるので、作業者は、スライド梯子を容易に固定することが出来、これにより、バッファコンベヤの全長にわたって効果的にメンテナンスを行うことができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、可動梯子40、42の被固定部材であるステー部材56には、バッファコンベヤ34、36の延びる方向に対して所定の複数の位置に孔58が形成され、固定部材60は、ステー部材56の複数の孔58のいずれかに差し込んで可動梯子40、42の下端部40b、42bを任意の位置で固定するピン部材60であるので、作業者は、スライド梯子を容易に固定することができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、吊り下げられた可動梯子40、42の下端部40b、42bを、ステー部材56の複数の孔58にピン部材60により固定するようにしている。ステー部材56は、自動倉庫1の床面Gに対して所定の高さHの位置に設けられている。この所定の高さHは、本実施形態では、床面Gに降ろされたシャトル台車4を載せてメンテナンス場所まで移動させるキャスタ台車38の移動を妨げないような高さである。言い換えると、高さHに設けたステー部材56は、メンテナンスを行うシャトル台車4を載せた状態のキャスタ台車38の全体的な高さよりも高い位置にある。したがって、本実施形態によれば、メンテナンスが必要な台車4を運ぶキャスタ台車38の移動を妨げずに、可動梯子40、42の下端部40b、42bをステー部材56に固定することができる。また、高さHを調整して、キャスタ台車38に限らず、床面上を走行する搬送機や台車などを設ける場合、そのような移動装置の移動を妨げないようにすることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 シャトル式自動倉庫
2 ラック
2a 左側列のラック
2b 右側列のラック
4 入出庫台車(シャトル台車)
5 移載装置
6 棚
8 棚段
10 一対のレール
12 台車走行路
12a 走行路の一端部
12b 走行路の他端部
14 メンテナンスデッキ
14a メンテナンスデッキの一端部
14b メンテナンスデッキの他端部
16、18 垂直搬送装置(昇降搬送装置)
16a、16b 原点側の一対の垂直搬送装置
18a、18b 反原点側の一対の垂直搬送装置
20、22 原点側の入出庫コンベヤ
24、26 反原点側の入出庫コンベヤ
30、32 原点側のバッファコンベヤ
34、36 反原点側のバッファコンベヤ
34a バッファコンベヤの内方縁
36a バッファコンベヤの内方縁
38 台車用のキャスタ台車
40、42 可動梯子(スライド梯子)
40a、40b 可動梯子の上端部
40b、42b 可動梯子の下端部
44 ガイド部材(レール部材)
46 梯子接続部材
48 車輪
50 梯子支持部材
52 連結部材
54 軸部材
56 ステー部材(被固定部材)
58 孔
60 ピン部材(固定部材)
G 床面
H ステー部材の床面からの高さ
S シャトル台車取り出しエリア
S1 シャトル台車取り出しエリアを含む可動梯子の可動領域
図1
図2
図3
図4
図5