(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085788
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20240620BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20240620BHJP
B60H 1/00 20060101ALI20240620BHJP
B60H 1/12 20060101ALI20240620BHJP
B60H 1/24 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
E02F9/16 C
E02F9/16 A
E02F9/26 B
E02F9/26 C
B60H1/00 102G
B60H1/12 631A
B60H1/24 661Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200520
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】白谷 竜二
(72)【発明者】
【氏名】黒川 朋紀
(72)【発明者】
【氏名】新垣 一
【テーマコード(参考)】
2D015
3L211
【Fターム(参考)】
2D015EA02
2D015EB01
2D015EC01
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB00
3L211AA09
3L211BA12
3L211EA17
3L211EA20
3L211FA06
3L211FB05
3L211GA14
3L211GA82
(57)【要約】
【課題】安全性を向上させるショベルを提供することを目的とする。
【解決手段】下部走行体と、旋回機構と、上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられたキャビンと、を有し、前記キャビンの内部に配置された、二酸化炭素濃度を検出するセンサを有する、ショベルである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、旋回機構と、上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられたキャビンと、を有し、
前記キャビンの内部に配置された、二酸化炭素濃度を検出するセンサを有する、ショベル。
【請求項2】
前記キャビンの内部に設けられた空気調和機を有し、
前記センサによって検出される前記キャビンの内部の二酸化炭素濃度に応じて、前記空気調和機を制御する制御部を有する、請求項1記載のショベル。
【請求項3】
前記制御部は、
前記キャビンの内部の二酸化炭素濃度に応じた情報を出力する、請求項2記載のショベル。
【請求項4】
前記空気調和機は、エアコンであって、
前記制御部は、
前記エアコンが内気循環状態で稼働している最中に、前記二酸化炭素濃度が第一の閾値以上となった場合に、前記エアコンの稼働状態を、内気循環状態から外気導入状態に切り換えることを示す情報を表示装置に表示させる、請求項3記載のショベル。
【請求項5】
前記制御部は、
前記表示装置に前記情報が表示されてから一定時間が経過した後に、前記エアコンの稼働状態を、内気循環状態から外気導入状態に切り換える、請求項4記載のショベル。
【請求項6】
前記制御部は、
前記表示装置に前記情報が表示されてから一定時間が経過する前に、前記エアコンの稼働状態の切り換えをキャンセルする操作を受け付けると、前記キャビン内の換気を促す情報を前記表示装置に表示させる、請求項4記載のショベル。
【請求項7】
前記制御部は、
前記エアコンが外気導入状態で稼働している最中に、前記二酸化炭素濃度が第一の閾値よりも小さい第二の閾値以下となった場合に、前記エアコンの稼働状態を、外気導入状態から内気循環状態に切り換える、請求項4記載のショベル。
【請求項8】
前記空気調和機は、エアコンであって、
前記制御部は、
前記エアコンの稼働が停止している最中に、前記二酸化炭素濃度が第一の閾値以上となった場合に、前記エアコンの外気導入状態での起動を促す情報を表示装置に表示させる、請求項3記載のショベル。
【請求項9】
前記制御部は、
前記情報が表示されてから所定時間が経過しても前記エアコンが起動されない場合に、前記エアコンを外気導入状態で稼働させることを示す情報を表示装置に表示させる、請求項8記載のショベル。
【請求項10】
前記制御部は、
前記二酸化炭素濃度が第一の閾値以上である状態が所定期間継続した場合に、休憩を促す情報を表示装置に表示させる、請求項3記載のショベル。
【請求項11】
前記制御部は、
前記センサから出力される前記二酸化炭素濃度を表示装置に表示させる、請求項3記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャビンの内部に、内気循環と外気導入とを切り換える機能を有する空調装置が搭載されたショベルが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のショベルでは、例えば、内気循環により空調装置を稼働させた場合、キャビンの内部のCO2濃度が上昇し、オペレータの身体的負荷を増大させる可能性がある。オペレータの身体的負荷は、作業における安全性と関連があるため、考慮されるべきであるが、従来のショベルでは、キャビン内のCO2濃度について考慮されていない。
【0005】
本開示は、安全性を向上させるショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係るショベルは、下部走行体と、旋回機構と、上部旋回体と、前記上部旋回体に設けられたキャビンと、を有し、前記キャビンの内部に配置された、二酸化炭素濃度を検出するセンサを有する、ショベルである。
【発明の効果】
【0007】
安全性を向上させるショベルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】キャビンの内部をZ正方向側から視た上面図である。
【
図3】ショベルに搭載される基本システムの構成例を示す図である。
【
図4】第一の実施形態のショベルの動作を説明するフローチャートである。
【
図5】第一の実施形態のショベルの表示例を示す第一の図である。
【
図6】第一の実施形態のショベルの表示例を示す第二の図である。
【
図7】第二の実施形態のショベルの動作を説明するフローチャートである。
【
図8】第二の実施形態のショベルの表示例を示す第一の図である。
【
図9】第二の実施形態のショベルの表示例を示す第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向であり、典型的には、X方向およびY方向は水平方向、Z方向は鉛直方向である。X方向は、ショベルの前後方向であり、前方側がX正方向であり、後方側がX負方向である。Y方向は、ショベルの左右幅方向であり、左側がY正方向、右側がY負方向である。Z方向は、ショベルの高さ方向であり、上側がZ正方向、下側がZ負方向である。
【0011】
最初に、
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るショベルの全体構成について説明する。
図1は、ショベルの側面図の一例である。
【0012】
図1に示されるように、ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、エンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、アタッチメントの一例としての掘削アタッチメントを構成し、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。上部旋回体3には、運転室であるキャビン10が設けられ、且つエンジン11等の動力源が搭載される。
【0013】
キャビン10内には、コントローラ30、表示装置40、センサ45、作業環境調整装置46、撮像装置47、通信装置48等が設置されている。コントローラ30は、ショベルの駆動制御を行う主制御部として機能する。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、RAM、ROM等を含むコンピュータで構成されている。コントローラ30の各種機能は、例えば、ROMに格納されたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0014】
表示装置40は、コントローラ30からの指令に応じて各種画像情報を表示する。本実施例では、表示装置40は、コントローラ30に接続される車載液晶ディスプレイである。
【0015】
センサ45は、キャビン10内のCO2濃度(二酸化炭素濃度)を検出するためのセンサである。
【0016】
作業環境調整装置46は、キャビン10内の作業環境を調整する。作業環境調整装置46は、例えば、少なくともエアコン46d(
図3参照)を含む。また、本実施形態の作業環境調整装置46は、シートクーラ、シートヒータ、及び、ランバーサポートの少なくとも1つを含んでよい。
【0017】
エアコン46dは、キャビン10内の空気を調和させる空気調和機の一例である。エアコン46dは、稼働する際に、キャビン10の外部から空気を導入する外気導入状態と、キャビン10の内部の空気を導入する内気循環状態とを切り換える機能を有する。外気導入状態と内気循環状態は、エアコン46dが稼働しているときの状態(稼働状態)を示す。
【0018】
撮像装置47は、ショベル100の前方を撮像する前カメラ47F、ショベル100の後方を撮像する後カメラ47B、ショベル100の右方を撮像する右カメラ47R、ショベル100の左方を撮像する左カメラ47Lを含む。
【0019】
通信装置48は、ショベルと外部との間の通信を制御する装置である。本実施形態では、通信装置48は、衛星通信回線、携帯電話通信回線、近距離無線通信回線等を通じたショベルと管理センタとの間の無線通信を制御する。
【0020】
本実施形態のショベル100において、コントローラ30は、センサ45によって検出されたキャビン10内のCO2濃度に応じて、エアコン46dの動作を制御する。
【0021】
具体的には、コントローラ30は、センサ45によって検出されるCO2濃度が第一の閾値以上になるとエアコン46dを外気導入状態で稼働させる。また、コントローラ30は、CO2濃度が、第一の閾値より小さい値である第二の閾値以下になると、エアコン46dを内気循環状態で稼働させる。
【0022】
本実施形態では、このように、キャビン10内にCO2濃度を検出するセンサ45を設けることで、キャビン10内のCO2濃度を検出することができる。また、本実施形態では、キャビン10の内部に設けられたエアコン46dを、センサ45によって検出されるCO2濃度に応じて制御することで、ことで、キャビン10内の環境を整えることができ、作業における安全性を向上させることができる。
【0023】
以下に、
図2を参照して、キャビン10の内部について説明する。
図2は、キャビンの内部をZ正方向側から視た平面図である。
【0024】
キャビン10内には運転席90が設置される。運転席90はオペレータが着座するシート102と背もたれ104とを含む。運転席はリクライニングシートであり、背もたれ104の傾斜角度を調節可能となっている。運転席90の左右両側にそれぞれ左アームレスト106A及び右アームレスト106Bが配置される。左アームレスト106A及び右アームレスト106Bは回動可能に支持されている。
【0025】
運転席90の左右両側には、シート左側コンソール120A及びシート右側コンソール120Bがそれぞれ配置される。シート左側コンソール120A及びシート右側コンソール120Bは、運転席の前後方向に沿って延在するよう設けられる。運転席90は、前後にスライド可能に構成される。したがって、左走行レバー26E、右走行レバー26Fやキャビン10のフロントガラス、シート左側コンソール120A及びシート右側コンソール120Bに対し、オペレータは運転席90を好みの位置に移動して固定することができる。ここで、運転席90は、シート左側コンソール120A、シート右側コンソール120B、左アームレスト106A及び右アームレスト106Bと共に前後方向に移動可能な構成であってもよい。
【0026】
シート左側コンソール120Aの前部に左操作レバー26Aが設けられる。同様に、シート右側コンソール120Bの前部に右操作レバー26Bが設けられる。運転席90に着座したオペレータは、左手で左操作レバー26Aを把持しながら左操作レバー26Aを操作し、且つ右手で右操作レバー26Bを把持しながら右操作レバー26Bを操作する。運転席90に着座したオペレータは、左手で左操作レバー26Aを操作してアームシリンダ8及び旋回用油圧モータを駆動する。また、右手で右操作レバー26Bを操作してブームシリンダ7及びバケットシリンダ9を駆動する。左操作レバー26A、右操作レバー26Bの基部側はレバーカバー27で覆われており、これにより、左操作レバー26A及び右操作レバー26Bが、それぞれシート左側コンソール120A、シート右側コンソール120Bの表面と段差なく連続的に接続されるように構成されている。
【0027】
運転席90の前方の床面に左走行ペダル26C、右走行ペダル26Dが配置される。運転席90に着座したオペレータは、左足で左走行ペダル26Cを操作して左側走行用油圧モータを駆動する。また、運転席90に着座したオペレータは、右足で右走行ペダル26Dを操作して右側走行用油圧モータを駆動する。
【0028】
左走行ペダル26Cの近傍から左走行レバー26Eが上方に向けて延在している。運転席90に着座したオペレータは、左手で左走行レバー26Eを把持しながら操作することで、左走行ペダル26Cでの操作と同様に、左側走行用油圧モータを駆動することができる。また、右走行ペダル26Dの近傍から右走行レバー26Fが上方に向けて延在している。運転席90に着座したオペレータは、右手で右走行レバー26Fを把持しながら操作することで、右走行ペダル26Dでの操作と同様に、右側走行用油圧モータを駆動することができる。
【0029】
なお、キャビン10内の右前部には、ショベルの作業条件や動作状態などの情報を表示する表示装置40が配置される。運転席90に着座したオペレータ(操作者)は表示装置40に表示された各種情報を確認しながらショベルによる作業を行なうことができる。表示装置40は、画像表示部41を含む。また、表示装置40は、例えば表示装置40の表示制御用などの表示装置側スイッチ群としてのスイッチパネル42が設けられる。
【0030】
また、本実施形態では、センサ45がスイッチパネル42の近傍に配置されてよい。なお、センサ45の配置は、
図2に示す例に限定されない。センサ45は、キャビン10の内部に設けられていればよい。
【0031】
また、運転席90の左側(すなわち、キャビンの乗降用ドアがある側)には、ゲートロックレバー140が設けられる。ゲートロックレバー140を引き上げることで、ショベルを操作することができる。ゲートロックレバー140を引き下げると、ショベル100を操作することができなくなる。したがって、オペレータが運転席に着座してゲートロックレバー140を引き上げた状態にしない限り、ショベルは作動できず、安全性が保たれる。
【0032】
運転席90のシート右側コンソール120Bより右側には、窓側コンソール120Cが設置される。窓側コンソール120Cは、例えばキャビン10の前後方向に亘って延在し、シート右側コンソール120Bと平行に設けられる。表示装置40は例えば窓側コンソール120Cの前部に設置することができる。窓側コンソール120Cには、イグニッションスイッチ52、ラジオ43などが設置される。ここで、イグニッションスイッチ52、ラジオ43などは、シート左側コンソール120A、又は、シート右側コンソール120Bに設置されてもよい。
【0033】
左アームレスト106A及び右アームレスト106Bは、それぞれシート左側コンソール120A及びシート右側コンソール120Bの上方に配置される。Z方向から視たときに、左アームレスト106A、右アームレスト106Bの少なくとも一部が、シート左側コンソール120A、シート右側コンソール120Bの後部を隠すように配置されている。
【0034】
そして、本実施形態では、シート右側コンソール120Bにおいて、右アームレスト106Bと右操作レバー26Bとの間の位置にスイッチパネル51が配置される。スイッチパネル51は、スイッチ群51a~51fと、エンジン回転数調整ダイヤル75とを含む。エンジン回転数調整ダイヤル75には出力特性切替スイッチ76が設けられる。
【0035】
次に、
図3を参照して、ショベル100の基本システムについて説明する。
図3は、ショベルに搭載される基本システムの構成例を示す図である。
図3において、機械的動力伝達ラインは二重線、作動油ラインは太実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは細実線でそれぞれ示されている。
【0036】
エンジン11は、エンジン負荷の増減にかかわらずエンジン回転数を一定に維持するアイソクロナス制御を採用したディーゼルエンジンである。エンジン11における燃料噴射量、燃料噴射タイミング、ブースト圧等は、エンジンコントローラユニット50により制御される。
【0037】
エンジン11は油圧ポンプとしてのメインポンプ14及びパイロットポンプ15に接続されている。メインポンプ14は作動油ラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0038】
コントロールバルブ17は、ショベルの油圧系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、右側走行用油圧モータ、左側走行用油圧モータ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、旋回用油圧モータ等の油圧アクチュエータに接続されている。旋回用油圧モータは旋回用電動発電機であってもよい。
【0039】
パイロットポンプ15はパイロットラインを介して操作装置26に接続されている。操作装置26は操作レバー及び操作ペダルを含む。操作装置26は、パイロットラインを介してコントロールバルブ17に接続されている。
【0040】
圧力センサ29は、操作装置26の操作内容を圧力の形で検出する。圧力センサは、29は、検出値をコントローラ30に対して出力する。但し、操作装置26の操作内容は、電気的に検出されてもよい。
【0041】
表示装置40は、コントローラ30に接続されている。表示装置40は、CAN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよく、専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。表示装置40は、画像表示部41、及び、スイッチパネル42を有する。スイッチパネル42は、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。
【0042】
表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はエンジン11のオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30、センサ45、作業環境調整装置46、撮像装置47、通信装置48等にも供給される。エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
【0043】
エンジン11を制御するエンジンコントローラユニット50は、冷却水温等、エンジン11の状態を表すデータをコントローラ30に送信する。メインポンプ14のレギュレータ14aは、斜板傾転角を表すデータをコントローラ30に送信する。吐出圧力センサ14bは、メインポンプ14の吐出圧力を表すデータをコントローラ30に送信する。作動油タンクとメインポンプ14との間の管路に設けられた油温センサ14cは、その管路を流れる作動油の温度を表すデータをコントローラ30に送信する。圧力センサ29は、操作装置26が操作されたときに生成されるパイロット圧を表すデータをコントローラ30に送信する。コントローラ30は一時記憶部(メモリ)にこれらのデータを蓄積しておき、必要なときに表示装置40に送信できる。
【0044】
エンジン回転数調整ダイヤル75は、エンジン11の回転数(以下、「エンジン回転数」)を調整するための操作入力を受け付ける。エンジン回転数調整ダイヤル75は、オペレータがエンジン回転数を予め規定される10段階で調整可能に構成される。これにより、例えば、軽負荷作業において、エンジン回転数のレベルが相対的に低くなるように調整されることで、ショベル100の燃費を向上させることができる。また、例えば、吊り作業やダンプトラックへの土砂の積み込み作業が行われる場合に、エンジン回転数のレベルが相対的に低く設定されることで、荷揺れや荷台の土砂の崩壊等の発生を抑制することができる。また、例えば、ショベル100の操作スキルが相対的に低い新人オペレータの場合、無理な操作や操作ミス等による作業への影響を抑制するために、エンジン回転数を相対的に低くなるように調整することができる。
【0045】
エンジン回転数調整ダイヤル75で受け付けられる入力内容に対応する出力信号は、コントローラ30に取り込まれる。なお、エンジン回転数調整ダイヤル75を通じて、エンジン回転数のレベルが調整される代わりに、エンジン回転数自体が調整可能な態様であってもよい。例えば、エンジン回転数調整ダイヤル75を用いて、連続的に、或いは、所定値刻みで、エンジン回転数を調整可能な態様であってもよい。
【0046】
出力特性切替スイッチ76は、例えば通常特性と低燃費特性の2段階に出力特性を切り替えることができる。低燃費特性は、レバー操作に対応した油圧アクチュエータの加速特性や減速特性を緩やかにし、正確な操作性と安全性を向上させ、低騒音でショベルを稼働させたい場合に選択される出力特性である。例えば、低燃費特性では、エンジン出力トルク線図を変更させる。具体的に、通常特性のエンジン出力トルク線図に加えて、低燃費特性のエンジン出力トルク線図を用意し、出力特性切替スイッチ76を押すことで、エンジン出力トルク線図を変更する。つまり、出力特性が低燃費特性に設定されると、トルクが小さいエンジン出力トルク線図に変更される。
【0047】
また、例えば、低燃費特性は、同一のエンジン出力トルク線図(通常特性のエンジン出力トルク線図)において、エンジン回転数が所定値減少される構成であってもよい。具体的に、エンジン回転数調整ダイヤル75における各段階のエンジン回転数を所定値減少させる。このとき、低燃費特性の最大エンジン回転数は、通常特性の最大エンジン回転数よりも低くしてもよい。このように、低燃費特性は、エンジンを制御することによって、通常特性よりも低燃費にショベルを稼働することができる。ここで、低燃費特性は、通常特性のエンジン出力トルク線図を別のエンジン出力トルク線図に変更することに加えて、エンジン回転数が所定値減少される構成であってもよい。
【0048】
作業環境調整装置46は、ランバーサポート46a、シートクーラ46b、シートヒータ46c、及び、エアコン46dを含む。作業環境調整装置46は、スイッチパネル42等を介して手動で操作されてもよい。
【0049】
本実施形態のコントローラ30は、空調制御部30aと、表示制御部30bとを有する。空調制御部30aと、表示制御部30bが実現する機能は、コントローラ30の有するCPUが、ROM等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0050】
空調制御部30aは、センサ45から出力される値に応じて、エアコン46dの動作を制御する。具体的には、空調制御部30aは、エアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態へ切り換える。また、空調制御部30aは、エアコン46dの稼働状態を外気導入状態から内気循環状態へ切り換える。また、空調制御部30aは、エアコン46dを稼働させたり、停止させたりする。
【0051】
表示制御部30bは、表示装置40における表示を制御する。具体的には、表示制御部30bは、空調制御部30aの指示に応じた表示を行う。言い換えれば、表示制御部30bは、センサ45によって検出されるCO2濃度に応じた情報を出力する。本実施形態では、これにより、オペレータに対してキャビン10内の環境を把握させることができる。
【0052】
以下に、本実施形態のショベル100の動作について説明する。
図4は、第一の実施形態のショベルの動作を説明するフローチャートである。なお、
図4では、キャビン10において、エアコン46dが内気循環状態で稼働していることを前提とする。
【0053】
コントローラ30は、空調制御部30aにより、センサ45により検出されるCO2濃度が、第一の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS401)。第一の閾値とは、具体的には、例えば、2000[ppm]程度であってよい。
【0054】
ステップS401において、CO2濃度が第一の閾値未満である場合、コントローラ30は待機する。
【0055】
ステップS401において、CO2濃度が第一の閾値以上である場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、一定時間後にエアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態に切り換えることを示すメッセージとキャンセルボタンとを表示装置40に表示させる(ステップS402)。表示例の詳細は後述する。
【0056】
本実施形態では、このようにメッセージを表示させることで、オペレータに、エアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態に切り換えることを許容するか否かの確認を促すことができる。
【0057】
続いて、コントローラ30は、空調制御部30aにより、一定時間以内に外気導入状態への切り換えがキャンセルされたか否かを判定する(ステップS403)。
【0058】
ステップS406において、キャンセルされた場合、コントローラ30は、後述するステップS408へ進む。
【0059】
ステップS406において、キャンセルされない場合、コントローラ30は、空調制御部30aにより、エアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態へ切り換える(ステップS404)。言い換えれば、コントローラ30は、ステップS402においてメッセージとキャンセルボタンが表示されてから一定時間が経過すると、エアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態へ切り換える。
【0060】
したがって、本実施形態では、オペレータに、エアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態に切り換えることを許容するか否かを確認させ、許容するとされた場合に、エアコン46dの稼働状態を切り換えることができる。
【0061】
続いて、コントローラ30は、センサ45により検出されるCO2濃度が、第二の閾値以下となったか否かを判定する(ステップS405)。第二の閾値とは、具体的には、例えば、1000[ppm]程度であってよく、第一の閾値より小さい値である。
【0062】
ステップS404において、センサ45により検出されるCO2濃度が第二の閾値以下となっていない場合、コントローラ30は、待機する。
【0063】
ステップS404において、センサ45により検出されるCO2濃度が第二の閾値以下となった場合、コントローラ30は、空調制御部30aにより、エアコン46dの稼働状態を外気導入状態から内気循環状態に切り換える(ステップS407)。
【0064】
このように、本実施形態では、キャビン10のCO2濃度が、第一の閾値よりも小さい値である第二の閾値以下となった場合に、エアコン46dの稼働状態を外気導入状態から内気循環状態に切り換える。したがって、本実施形態では、キャビン10内のCO2濃度を十分に低下させることができる。
【0065】
なお、ステップS407では、コントローラ30は、エアコン46dの稼働状態を外気導入状態から内気循環状態に切り換えることを示すメッセージを表示装置40に表示させてもよい。そして、コントローラ30は、オペレータにより、切り換えを許可する操作が行われた場合に、エアコン46dの稼働状態を切り換えてもよい。
【0066】
ステップS403において、内気循環状態から外気導入状態への切り換えがキャンセルされた場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、表示装置40にキャビン10内の換気を促すメッセージを表示させる(ステップS408)。
【0067】
本実施形態では、このように、キャビン10内の換気を促すメッセージを表示させることで、オペレータに対し、キャビン10内の環境の改善を促すことができる。
【0068】
続いて、コントローラ30は、換気がされないまま所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS409)。具体的には、コントローラ30は、センサ45から検出されるCO2濃度に応じて、換気がされたか否かを判定してよい。具体的には、コントローラ30は、CO2濃度が低下する傾向である場合に、キャビン10内の換気が行われたものと判定してよい。
【0069】
ステップS409において、所定期間が経過していない場合、コントローラ30は、待機する。
【0070】
ステップS409において、所定期間が経過した場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、休憩を促すメッセージを表示装置40に表示させる(ステップS410)。所定期間とは、例えば、30分程度であってよい。
【0071】
本実施形態では、このようなメッセージを表示させることで、オペレータに対し、キャビン10内の環境が改善されておらず、休憩が必要であることを把握させることができる。
【0072】
以下に、
図5、
図6を参照して、本実施形態の表示装置40の表示例について説明する。
図5は、第一の実施形態のショベルの表示例を示す第一の図である。
【0073】
図5に示す画面は、ショベル100のメイン画面の一例であり、
図4のステップS402において、表示装置40に表示される。
【0074】
図5に示すメイン画面では、俯瞰画像、後方画像及び右方画像が表示されている状態を示す。
【0075】
まず、画像表示部41について説明する。
図5に示されるように、画像表示部41は、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、エアコン運転状態表示領域41m、画像表示領域41n、メニュー表示領域41p、メッセージ表示領域41q、CO
2濃度表示領域41rを含む。
【0076】
走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、回転数モード表示領域41i、及びエアコン運転状態表示領域41mは、ショベル100の設定状態に関する情報である設定状態情報を表示する領域である。燃費表示領域41d、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kは、ショベル100の稼働状態に関する情報である稼働状態情報を表示する領域である。
【0077】
具体的には、日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、生涯平均燃費又は区間平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。
【0078】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。エンジン稼働時間表示領域41fは、エンジン11の累積稼働時間を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像で表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像で表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。
【0079】
エアコン運転状態表示領域41mは、現在の吹出口の位置を表示する吹出口表示領域41m1、現在の運転モードを表示する運転モード表示領域41m2、現在の設定温度を表示する温度表示領域41m3、及び現在の設定風量を表示する風量表示領域41m4を含む。
【0080】
画像表示領域41nは、撮像装置47が撮像した画像を表示する領域である。
図5の例では、画像表示領域41nは、俯瞰画像FV、後方画像CBT及び右方画像CRTを表示している。俯瞰画像FVは、表示装置40が有する制御部によって生成される仮想視点画像であり、後カメラ47B、左カメラ47L、及び右カメラ47Rのそれぞれが取得した画像に基づいて生成される。また、俯瞰画像FVの中央部分には、ショベル100に対応するショベル図形GEが配置されている。ショベル100とショベル100の周囲に存在する物体との位置関係をオペレータにより直感的に把握させるためである。
【0081】
後方画像CBTは、ショベル100の後方の空間を映し出す画像であり、カウンタウェイトの画像GCを含む。後方画像CBTは、表示装置40が有する制御部によって生成される実視点画像であり、後カメラ47Bが取得した画像に基づいて生成される。右方画像CRTは、ショベル100の右側の空間を映し出す画像であり、右カメラ47Rが取得した画像に基づいて生成される。
【0082】
また、画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2、第3画像表示領域41n3を有する。
図5の例では、俯瞰画像FVを第1画像表示領域41n1に配置し、後方画像CBTを第2画像表示領域41n2に配置し、右方画像CRTを第3画像表示領域41n3に配置している。但し、画像表示領域41nは、俯瞰画像FVを第2画像表示領域41n2に配置し、且つ、後方画像CBTを第1画像表示領域41n1に配置してもよい。
【0083】
また、
図5の例では、俯瞰画像FVと、後方画像CBT及び右方画像CRTと、は上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。また、
図5の例では、画像表示領域41nが縦長の領域であるが、画像表示領域41nは横長の領域であってもよい。画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、左側に第1画像表示領域41n1として俯瞰画像FVを配置し、右側に第2画像表示領域41n2及び第2画像表示領域41n2として後方画像CBT及び右方画像CRTを配置してもよい。この場合、左右に間隔を空けて配置してもよいし、俯瞰画像FVと後方画像CBTの位置を入れ換えてもよい。
【0084】
さらに、本実施形態では、第1画像表示領域41n1、第2画像表示領域41n2、第3画像表示領域41n3のそれぞれに、アイコン画像41xが表示される。アイコン画像41xは、撮像装置47の位置と上部旋回体3のアタッチメントの向きとの相対的関係を表す画像である。
【0085】
本実施形態のアイコン画像41xは、ショベル100の画像41xMと、ショベル100の前方を示す画像41xF、ショベル100の後方を示す画像41xB、を含む。また、アイコン画像41xは、ショベル100の左側を示す画像41xL、ショベル100の右側を示す画像41xRを含む。
【0086】
画像41xF、41xB、41xL、41xRは、それぞれが、ショベル100の前方を撮像する前カメラ47F、ショベル100の後方を撮像する後カメラ47B、ショベル100の左方を撮像する左カメラ47L、ショベル100の右方を撮像する右カメラ47Rに対応している。
【0087】
本実施形態では、アイコン画像41xにおいて、各カメラと対応付けられた画像が選択されると、選択された画像と対応するカメラによって撮像された画像データが画像表示領域41nに表示される。
【0088】
図5の例では、第1画像表示領域41n1では、画像41xB、41xL、41xRの表示態様が、画像41xFの表示態様と異なっている。このため、第1画像表示領域41n1には、画像41xB、41xL、41xRのそれぞれと対応する後カメラ47B、左カメラ47L、右カメラ47Rで撮像された画像データから合成された画像データが示す俯瞰画像が表示されていることがわかる。
【0089】
また、第2画像表示領域41n2では、画像41xBの表示態様が、画像41xF、41xL、41xRの表示態様と異なっている。このため、第2画像表示領域41n2には、画像41xBと対応する後カメラ47Bで撮像された画像データが示す画像が表示されていることがわかる。また、第3画像表示領域41n3では、画像41xRの表示態様が、画像41xF、41xL、41xBの表示態様と異なっている。このため、第3画像表示領域41n3には、画像41xRと対応する右カメラ47Rで撮像された画像データが示す画像が表示されていることがわかる。
【0090】
メニュー表示領域41pは、タブ41p1~41p7を有する。
図5の例では、画像表示部41の最下部に、タブ41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ41p1~41p7には、各種情報を表示するためのアイコンが表示される。
【0091】
タブ41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコンが表示されている。オペレータによりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されているアイコンがメニュー詳細項目に関連付けされたアイコンに切り換わる。
【0092】
タブ41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。オペレータによりタブ41p4が選択されると、後方画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0093】
タブ41p6には、情報化施工に関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。オペレータによりタブ41p6が選択されると、後方画像CBTが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして情報化施工に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりして情報化施工に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0094】
タブ41p7には、クレーンモードに関する情報を表示するためのアイコンが表示されている。オペレータによりタブ41p7が選択されると、後方画像CBTがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0095】
タブ41p2、41p3、41p5には、アイコンが表示されていない。このため、オペレータによりタブ41p2、41p3、41p5が操作されても、画像表示部41に表示される画像に変化は生じない。
【0096】
なお、タブ41p1~41p7に表示されるアイコンは上記した例に限定されるものではなく、他の情報を表示するためのアイコンが表示されていてもよい。
【0097】
次に、スイッチパネル42について説明する。
図5に示されるように、スイッチパネル42は、オペレータによるタブ41p1~41p7の選択、設定入力等が行われる1又は複数のボタン式のスイッチにより構成されている。
図5の例では、スイッチパネル42は、上段に配置された7つのスイッチ42a1~42a7と、下段に配置された7つのスイッチ42b1~42b7と、を含む。スイッチ42b1~42b7は、スイッチ42a1~42a7のそれぞれの下方に配置されている。但し、スイッチパネル42のスイッチの数、形態、及び配置は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、ジョグホイール、ジョグスイッチ等により複数のボタン式のスイッチの機能を1つにまとめた形態であってもよいし、スイッチパネル42が表示装置40と別体になっていてもよい。また、画像表示部41とスイッチパネル42が一体となったタッチパネルでタブ41p1~41p7を直接操作する方式でもよい。
【0098】
スイッチ42a1~42a7は、タブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されており、それぞれタブ41p1~41p7を選択するスイッチとして機能する。スイッチ42a1~42a7がそれぞれタブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されているので、オペレータは直感的にタブ41p1~41p7を選択できる。
【0099】
スイッチ42b1は、画像表示領域41nに表示される撮像画像を切り換えるスイッチである。スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されている。また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されていてもよい。
【0100】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像と第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像と第3画像表示領域41n3に表示される撮像画像とが入れ換わるように構成されていてもよい。
【0101】
このように、スイッチパネル42としてのスイッチ42b1は、第1画像表示領域41n1、第2画像表示領域41n2、第3画像表示領域41n3のそれぞれに表示される画面を切り換えてもよい。また、第2画像表示領域41n2と第3画像表示領域41n3に表示される画面を切り換えるためのスイッチを別に設けてもよい。
【0102】
スイッチ42b2、42b3は、エアコンの風量を調節するスイッチである。
図5の例では、スイッチ42b2が操作されるとエアコンの風量が小さくなり、スイッチ42b3が操作されるとエアコンの風量が大きくなるように構成されている。
【0103】
スイッチ42b4は、冷房・暖房機能のON・OFFを切り換えるスイッチである。
図5の例では、スイッチ42b4が操作されるごとに冷房・暖房機能のON・OFFが切り換わるように構成されている。
【0104】
スイッチ42b5、42b6は、エアコンの設定温度を調節するスイッチである。
図5の例では、スイッチ42b5が操作されると設定温度が低くなり、スイッチ42b6が操作されると設定温度が高くなるように構成されている。
【0105】
スイッチ42b7は、エンジン稼働時間表示領域41fの表示を切り換得るスイッチである。
【0106】
また、スイッチ42a2~42a6、42b2~42b6は、それぞれのスイッチ又はスイッチ近傍に表示された数字を入力可能に構成されている。また、スイッチ42a3、42a4、42a5、42b4は、メニュー画面にカーソルが表示された際、カーソルをそれぞれ左、上、右、下に移動させることが可能に構成されている。
【0107】
なお、スイッチ42a1~42a7、42b1~42b7に与えられる機能は一例であり、他の機能が実行できるように構成されていてもよい。
【0108】
また、画像表示領域41nには、タブ41p1が選択される前後で大きさが変更されることなく俯瞰画像FVが表示される。オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0109】
また、画像表示部41において、メッセージ表示領域41qには、一定時間後にエアコン46dの稼働状態を内気循環状態から外気導入状態に切り換えることを示すメッセージが表示されている。また、メッセージ表示領域41qには、エアコン46dの稼働状態の切り換えをキャンセルするための操作ボタン41sが表示されている。
【0110】
本実施形態では、一定時間を10秒間とし、メッセージ表示領域41qには、「10秒後に外気導入に切り換えます」というメッセージが表示される。
【0111】
ここで、本実施形態では、メッセージ表示領域41qにメッセージが表示されてから10秒以内に、操作ボタン41sが操作されると、エアコン46dの稼働状態の切り換えをキャンセルする。
【0112】
本実施形態では、操作ボタン41sが操作されて、エアコン46dの稼働状態の切り換えがキャンセルされると、メッセージ表示領域41qに、キャビン10内の換気を促すメッセージが表示される。
【0113】
また、本実施形態では、メッセージ表示領域41qに
図5に示すメッセージが表示された状態で10秒間が経過すると、コントローラ30により、エアコン46dの稼働状態が内気循環状態から外気導入状態へ切り換えられて、キャビン10内が換気される。
【0114】
また、画像表示部41において、CO2濃度表示領域41rには、センサ45から出力される値が表示される。本実施形態では、CO2濃度表示領域41rに表示される数字の色が、CO2濃度に応じて変化してもよい。
【0115】
具体的には、例えば、CO2濃度が第二の閾値未満である場合と、第二の閾値以上であり、第一の閾値未満である場合と、第一の閾値以上である場合とで、表示される数字の色や、CO2濃度表示領域41rの背景色等を異ならせてよい。
【0116】
本実施形態では、このように、画像表示部41にCO2濃度表示領域41rを設け、CO2濃度を表示させることで、オペレータに対し、キャビン10内のCO2濃度を把握させることができ、オペレータがキャビン10内を換気するか否かの判断を支援することができる。
【0117】
なお、本実施形態では、メッセージ表示領域41qに、CO2濃度が所定の閾値(第一の閾値)以上となったことを示すメッセージが共に表示されてもよい。
【0118】
図6は、第一の実施形態のショベルの表示例を示す第二の図である。
図6に示す画面は、ショベル100のメイン画面の一例であり、
図4のステップS410において、表示装置40に表示される。
【0119】
図6に示す例では、メッセージ表示領域41qに、休憩を促すメッセージが表示される。具体的には、
図6では、メッセージ表示領域41qに、「長時間換気されていません。休憩して下さい。」というメッセージが表示されている。
【0120】
本実施形態では、このように、キャビン10内のCO2濃度が所定の閾値以上となった場合に、エアコン46dの稼働状態を切り換えて、キャビン10内を換気することができる。
【0121】
また、本実施形態では、エアコン46dの稼働状態の切り換えがキャンセルされた場合であっても、キャビン10の換気を促すメッセージを表示させるため、オペレータに対してキャビン10内の環境改善を意識させることができる。さらに、本実施形態では、キャビン10内の換気がされない場合であっても、オペレータに対して休憩が必要であることを把握させることができ、オペレータの身体的負荷が高いまま作業が継続されることを抑制できる。したがって、本実施形態によれば、作業における安全性を向上させることができる。
【0122】
なお、本実施形態では、例えば、コントローラ30は、ステップS401において、CO2濃度が第一の閾値以上となった場合に、外気の状態に応じて、表示装置40に表示させるメッセージを決定してもよい。
【0123】
具体的には、例えば、コントローラ30は、作業現場に粉塵が発生している場合等、外気をキャビン10内に取り込むことが好ましくない状態である場合には、CO2濃度が第一の閾値以上となった場合に、休憩を促すメッセージを表示装置40に表示させてもよい。
【0124】
コントローラ30は、例えば、撮像装置47によって取得される画像データに基づき、外気の状態が、キャビン10内に取り込むことが好ましくない状態であるか否かを判定してよい。また、本実施形態のショベル100は、例えば、外気の状態を検出するセンサを搭載しており、コントローラ30は、このセンサの出力に応じて、外気の状態を検出してもよい。
【0125】
このようにすることで、キャビン10内の環境が悪化することを防止でき、作業における安全性を向上させることができる。
【0126】
(第二の実施形態)
以下に、図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、ショベル100の作業中に、エアコン46dが稼働していない点が第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0127】
図7は、第二の実施形態のショベルの動作を説明するフローチャートである。なお、
図7では、キャビン10において、エアコン46dが稼働していないものとする。
【0128】
コントローラ30は、空調制御部30aにより、センサ45により検出されるCO2濃度が、第一の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS701)。ステップS701において、CO2濃度が第一の閾値未満である場合、コントローラ30は待機する。
【0129】
ステップS701において、CO2濃度が第一の閾値以上である場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、外気導入状態でのエアコン46dの使用を促すメッセージを表示装置40に表示させる(ステップS702)。このとき、表示制御部30bは、エアコン46dの稼働状態を外気導入状態とすることを示すメッセージを共に表示させてもよい。
【0130】
本実施形態では、このようにメッセージを表示させることで、オペレータに対し、キャビン10内の環境を把握させ、さらに、キャビン10内の環境の改善を促すことができる。
【0131】
続いて、コントローラ30は、所定時間内にエアコン46dが外気導入状態で使用されたか否かを判定する(ステップS703)。言い換えれば、コントローラ30は、所定時間内にエアコン46dを外気導入状態で起動する操作が行われたか否かを判定する。
【0132】
ステップS703において、所定時間内にエアコン46dが使用されない場合、コントローラ30は、後述するステップS706へ進む。
【0133】
ステップS703において、所定時間内にエアコン46dが使用された場合、コントローラ30は、センサ45により検出されるCO2濃度が、第二の閾値以下となったか否かを判定する(ステップS704)。ステップS704において、センサ45により検出されるCO2濃度が第二の閾値以下となっていない場合、コントローラ30は、待機する。
【0134】
ステップS704において、センサ45により検出されるCO2濃度が第二の閾値以下となった場合、コントローラ30は、空調制御部30aにより、エアコン46dを停止させる(ステップS705)。
【0135】
なお、ステップS705では、コントローラ30は、エアコン46dを停止させることを示すメッセージを表示装置40に表示させてもよい。そして、コントローラ30は、オペレータにより、エアコン46dの停止を許可する操作が行われた場合に、エアコン46dを停止させてもよい。
【0136】
ステップS703において、所定時間が経過してもエアコン46dを起動させる操作が行われない場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、エアコン46dを外気導入状態で起動させることを示すメッセージとキャンセルボタンとを表示装置40に表示させる(ステップS706)。
【0137】
本実施形態では、このようにメッセージを表示させることで、オペレータに対し、キャビン10内の環境が、換気が必要な状態であることを把握させることができる。
【0138】
続いて、コントローラ30は、エアコン46dの起動がキャンセルされたか否かを判定する(ステップS707)。ステップS707において、エアコン46dの起動がキャンセルされない場合、コントローラ30は、空調制御部30aにより、エアコン46dを外気導入状態で起動させ(ステップS708)、ステップS704へ進む。
【0139】
ステップS707において、エアコン46dの起動がキャンセルされた場合、コントローラ30は、表示制御部30bにより、表示装置40にキャビン10内の換気を促すメッセージを表示させる(ステップS709)。
【0140】
ステップS709からステップS711の処理は、
図4のステップS408からステップS410の処理と同様であるから、説明を省略する。
【0141】
次に、
図8、
図9を参照して、本実施形態の表示例について説明する。
図8は、第二の実施形態のショベルの表示例を示す第一の図である。
図8に示す画面は、ショベル100のメイン画面の一例であり、
図7のステップS702において、表示装置40に表示される。
【0142】
図8に示す例では、メッセージ表示領域41qに、外気導入状態によるエアコン46dの使用を促すメッセージが表示される。具体的には、
図8では、メッセージ表示領域41qに、「エアコンを外気導入で起動させて下さい」というメッセージが表示されている。
【0143】
図9は、第二の実施形態のショベルの表示例を示す第二の図である。
図9に示す画面は、ショベル100のメイン画面の一例であり、
図7のステップS707において、表示装置40に表示される。
【0144】
図9に示す例では、メッセージ表示領域41qに、外気導入状態でエアコン46dを起動させることを示すメッセージが表示される。具体的には、
図9では、メッセージ表示領域41qに、「エアコンを外気導入で起動させます」というメッセージが表示されている。
【0145】
また、
図9の例では、エアコン46dの起動をキャンセルするための操作ボタン41sが表示される。本実施形態では、
図9に示す画面において、操作ボタン41sが操作された場合は、メッセージ表示領域41qに換気を促すメッセージが表示される。
【0146】
このように、本実施形態では、作業中にキャビン10内のCO2濃度が第一の閾値以上となった場合に、エアコン46dを用いてキャビン10内を換気させることができる。
【0147】
上記実施形態では、建設機械の一例としてショベルを例示したが、ショベルと同様のキャビン10を有するものであれば、リフティングマグネット、グラップル、破砕機等を備えた他の建設機械にも適用可能である。
【符号の説明】
【0148】
10 キャビン
30 コントローラ
30a 空調制御部
30b 表示制御部
45 センサ
46d エアコン
90 運転席
100 ショベル