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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085807
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】マットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A47C27/15 B
A47C27/15 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200547
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康正
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA01
3B096AB04
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】使用者の身体を安定して支持するとともに、触感を調整可能なマットレスを提供する。
【解決手段】マットレスは、第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って拡がる第1層と、前記第1方向と前記第2方向に沿って拡がり、前記第1層に積層される第2層と、を備える。前記第1層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第1凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第1凸部に隣接して配置される複数の第1凹部と、を有する。前記第2層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第2凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第2凸部に隣接して配置される複数の第2凹部と、を有する。前記第1層と前記第2層が積層された状態において、前記第1凸部は前記第2凹部と対向し、前記第2凸部は前記第1凹部と対向する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って拡がる第1層と、
前記第1方向と前記第2方向に沿って拡がり、前記第1層に積層される第2層と、
を備え、
前記第1層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第1凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第1凸部に隣接して配置される複数の第1凹部と、を有し、
前記第2層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第2凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第2凸部に隣接して配置される複数の第2凹部と、を有し、
前記第1層と前記第2層が積層された状態において、前記第1凸部は前記第2凹部と対向し、前記第2凸部は前記第1凹部と対向する、
マットレス。
【請求項2】
前記第1凸部と前記第2凹部の間、および/または、前記第2凸部と前記第1凹部の間は、前記マットレスが前記第1方向および前記第2方向に交差する第3方向に沿って押圧されると隙間を生じる、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項3】
前記第1層と前記第2層は、異なる多孔質材料で形成される、
請求項1に記載のマットレス。
【請求項4】
前記第1方向および前記第2方向において、前記第1凸部と前記第1凹部が交互に繰り返し配置されるとともに、前記第2凸部と前記第2凹部が交互に繰り返し配置される、
請求項1に記載のマットレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2層構造のマットレスが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007-125099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のマットレスは、第1層と第2層のプロファイル加工が施された面同士を接着して積層した2層構造を開示している。このマットレスは、第1層と第2層の界面が接着された高剛性層を形成することで、使用者の身体を支持している。これにより、マットレスは、使用時において使用者の身体を安定して支えることができる。
【0005】
一方で、特許文献1のマットレスは、第1層と第2層の界面が完全に密着している。このため、界面において第1層と第2層の変形が抑制され、使用者に対してマットレスが硬いという感触を与える場合がある。
【0006】
本開示の課題は、使用者の身体を安定して支持するとともに、触感を調整可能なマットレスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るマットレスは、第1方向と、前記第1方向と交差する第2方向に沿って拡がる第1層と、前記第1方向と前記第2方向に沿って拡がり、前記第1層に積層される第2層と、を備える。前記第1層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第1凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第1凸部に隣接して配置される複数の第1凹部と、を有する。前記第2層は、少なくとも一つの頂点を含む複数の第2凸部と、前記第1方向および前記第2方向において前記第2凸部に隣接して配置される複数の第2凹部と、を有する。前記第1層と前記第2層が積層された状態において、前記第1凸部は前記第2凹部と対向し、前記第2凸部は前記第1凹部と対向する。
【0008】
このマットレスによれば、積層された複数の層によって使用者の身体を支持することができる。また、マットレスは、第1層と第2層の凹凸形状が対向して配置され、荷重による変形を互いに阻害することがない。この結果、マットレスは、使用者の身体を安定して支持するとともに、触感を調整することができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、使用者の身体を安定して支持するとともに、触感を調整可能なマットレスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態におけるマットレスの断面図。
図2】本開示の実施形態におけるマットレスの分解断面図。
図3】本開示の実施形態におけるマットレスの分解斜視図。
図4】本開示の実施形態におけるマットレスの部分拡大断面図。
図5】本開示の実施形態におけるマットレスの製造方法を示す概略図。
図6】本開示の第2実施形態におけるマットレスの部分拡大断面図。
図7】本開示の第3実施形態におけるマットレスの部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図中の矢印Lは、マットレス1の長手方向(第1方向の一例)を示す。また、矢印Sは、長手方向Lと交差する短手方向(第2方向の一例)を示す。さらに、矢印Hは、長手方向Lおよび短手方向Sと交差する高さ方向(第3方向の一例)を示す。
【0012】
図1(a)は、マットレス1の長手方向Lに沿った断面を示す断面図である。また、図1(b)は、マットレス1の短手方向Sに沿った断面を示す断面図である。
【0013】
図1に示すように、マットレス1は、長手方向Lと、長手方向Lと交差する短手方向Sと、に拡がる平面視において概ね長方形である。本実施形態のマットレス1は、使用者Mが長手方向Lに沿って横たわり、短手方向Sに寝返りをうつ。
【0014】
本実施形態のマットレス1は、長手方向Lの大きさが1800mmから2250mm程度、短手方向Sの大きさが850mmから1000mm程度、高さ方向Hの大きさが20mmから400mm程度である。これは、一般的なシングルサイズのベッドに対応した寸法である。本実施形態では、シングルサイズのマットレス1を例示して説明するが、マットレス1は、これに限定されることなく、その用途に合わせて種々様々な寸法や形状で形成することができる。
【0015】
マットレス1は、第1層2と、第2層4と、を備える。マットレス1は、高さ方向Hに、第1層2と第2層4が積層された2層構造である。
【0016】
第1層2は、マットレス1と同様に、平面視において概ね長方形である。本実施形態の第1層2の長手方向Lおよび短手方向Sにおける大きさは、マットレス1と等しい。しかし、第1層2の大きさは、マットレス1の寸法や形状に合わせて適宜変更可能である。
【0017】
第1層2は、後述する第2層4と異なる材質の多孔質材料で形成される。第1層2は、第2層4と同様の素材で、異なる硬さまたは反発弾性となるように形成されてもよい。また、第1層2は、第2層4と異なる素材で、同程度の硬さまたは反発弾性となるように形成されてもよい。なお、以下に示す第1層2および第2層4の硬さおよび反発弾性は、本実施形態における一態様を示したものに過ぎない。多孔質材料は、以下に示す硬さおよび反発弾性の数値範囲以外であっても、当然、本開示のマットレス1に適用可能である。
【0018】
本実施形態の第1層2は、少なくとも一部に連続気泡構造を含む軟質ウレタンフォームまたは半硬質ウレタンフォームで形成される。これに限定されることなく、第1層2は、ポリウレタンフォームの粉砕剤をバインダー(接着剤)で押し固めたリサイクル材料などで形成されてもよい。
【0019】
第1層2のJIS K6400における40%圧縮硬さおよび反発弾性は、後述する第2層4との関係で定めてもよい。この場合、第1層2のJIS K6400における40%圧縮硬さは、第2層4と同程度でもよい。しかし、第1層2のJIS K6400における40%圧縮硬さは、第2層4と異なる数値であることが望ましい。また、第1層2のJIS K6400における反発弾性も、第2層4と同程度でもよい。この場合も、第1層2のJIS K6400における反発弾性は、第2層4と異なる数値であることが望ましい。
【0020】
なお、第1層2と第2層4は、JIS K6400における40%圧縮硬さが互いに異なる数値となるように形成されることが好ましい。さらに、好ましくは、第1層2と第2層4のいずれか一方のJIS K6400における反発弾性が15%未満に、いずれか他方のJIS K6400における反発弾性が15%以上に形成されればよい。
【0021】
本実施形態の第1層2は、40%圧縮硬さが50Nから250N程度かつ反発弾性が50%以上の高弾性の軟質ウレタンフォームによって形成される。しかし、第1層2は、JIS K6400における40%圧縮硬さが、20Nから800N、より好ましくは、40Nから300Nとなるように形成されればよい。また、第1層2は、JIS K6400における反発弾性が20%以上、より好ましくは40%以上となるように形成されればよい。
【0022】
なお、圧縮硬さおよび反発弾性は、JIS K6400-1からJIS K6400-5に示された測定方法に則って測定した数値を示したが、国際規格やその他の規格を適用する場合は、それぞれの規格に基づいて適宜換算される。
【0023】
図2(a)は、第1層2の一部を拡大した部分拡大断面図である。図1および図2(a)に示すように、第1層2は、マットレス1の2層構造のうち、下側の層である。第1層2は、表面21と、裏面22と、複数の第1凸部23と、複数の第1凹部24と、を有する。第1層2は、表面21が上側、裏面22が下側となるように配置される。第1凸部23および第1凹部24は、第1層2の表面21に配置される。本実施形態の第1凸部23および第1凹部24は、後述するプロファイル加工によって形成された規則的な凹凸形状である。
【0024】
第1凸部23と第1凹部24は、表面21の長手方向Lおよび短手方向Sにおいて、その断面形状が連続する波状をとなるように表面21の全面に渡って交互に繰り返し配置される。
【0025】
本実施形態の第1凸部23は、1つの頂点231から長手方向Lおよび短手方向Sに拡がる山型である。頂点231から拡がる第1凸部23の表面は、隣接した4つの第1凹部24に緩やかに連続する。
【0026】
さらに、本実施形態の第1凹部24は、第1凸部23から連続して底部241に向かって落ち込む谷型である。底部241から拡がる第1凹部24の表面は、隣接した第1凸部23に緩やかに連続する。
【0027】
第1凸部23と第1凹部24は、ピッチが第1距離p1となるように交互に繰り返し形成される。第1距離p1は、一例として隣り合う第1凸部23の頂点231の間の距離である。第1距離p1は、後述する第2距離p2と等しい。
【0028】
本実施形態では、第1凸部23と第1凹部24は、長手方向Lおよび短手方向Sにおける第1距離p1が等しくなるように形成される。これに限らず、第1距離p1は、長手方向Lと短手方向Sで互いに異なる大きさに形成されてもよい。
【0029】
本実施形態の第1距離p1は、50mm程度の大きさで形成される。しかし、第1距離p1は、これに限らず、3mmから200mm程度の大きさ、より好ましくは、15mmから100mm程度の大きさであればよい。
【0030】
第1凸部23および第1凹部24は、第1高さh1をもって形成される。第1高さh1は、高さ方向Hにおける、第1凸部23の頂点231と第1凹部24の底部241の間の距離である。
【0031】
第1高さh1は、第1層2が厚くなるほど大きくなり、第1層2の厚みを基準として、10分の1から10分の9程度の大きさで形成される。より好ましくは、第1高さh1は、第1層2の厚みに対して5分の1から5分の4程度の大きさで形成されればよい。
【0032】
本実施形態の第1高さh1は、20mm程度の大きさで形成される。しかし、第1高さh1は、これに限らず、後述する第2高さh2と異なる大きさで形成されればよく、2mmから350mm程度、より好ましくは、15mmから50mm程度の大きさであってもよい。
【0033】
図2(b)は、第2層4の一部を拡大した部分拡大断面図である。図1および図2(b)に示すように、第2層4は、マットレス1および第1層2と同様に、平面視において概ね長方形である。本実施形態の第2層4の長手方向Lおよび短手方向Sにおける大きさは、マットレス1および第1層2と等しい。しかし、第2層4の大きさは、第1層2と同様に、マットレス1の寸法や形状に合わせて適宜変更可能である。
【0034】
第2層4は、第1層2と異なる材質の多孔質材料で形成される。本実施形態の第2層4は、少なくとも一部に連続気泡構造を含む軟質ウレタンフォームまたは半硬質ウレタンフォームで形成される。これに限定されることなく、第2層4は、第1層2と同様に、ポリウレタンフォームの粉砕剤をバインダー(接着剤)で押し固めたリサイクル材料などで形成されてもよい。
【0035】
第2層4のJIS K6400における40%圧縮硬さおよび反発弾性は、前述の通り第1層2との関係で定めてもよい。
【0036】
本実施形態の第2層4は、40%圧縮硬さが30Nから200N程度かつ反発弾性が15%以下の低反発の軟質ウレタンフォームによって形成される。しかし、第2層4は、JIS K6400における40%圧縮硬さが、20Nから400N、より好ましくは、30Nから200Nとなるように形成されればよい。第2層4は、JIS K6400における反発弾性が60%以下、より好ましくは20%以下となるように形成されればよい。
【0037】
第2層4は、マットレス1の2層構造のうち、上側の層である。第2層4は、表面41と、裏面42と、複数の第2凸部43と、複数の第2凹部44と、を有する。第2層4は、表面41が上側、裏面42が下側となるように配置される。第2凸部43および第2凹部44は、第2層4の表面41に配置される。本実施形態の第2凸部43および第2凹部44は、第1層2の第1凸部23および第1凹部24と同様に、後述するプロファイル加工によって形成された規則的な凹凸形状である。
【0038】
第2凸部43と第2凹部44は、裏面42の長手方向Lおよび短手方向Sにおいて、その断面形状が連続する波状となるように裏面42の全面に渡って交互に繰り返し配置される。
【0039】
本実施形態の第2凸部43は、第1凸部23と同様に、1つの頂点431から長手方向Lおよび短手方向Sに拡がる山型である。頂点431から拡がる第2凸部43の表面は、隣接した4つの第2凹部44に緩やかに連続する。
【0040】
さらに、本実施形態の第2凹部44は、第1凹部24と同様に、第2凸部43から連続して底部441に落ち込む谷型である。底部441から拡がる第2凹部44の表面は、隣接した4つの第2凸部43に緩やかに連続する。
【0041】
第2凸部43と第2凹部44は、ピッチが第2距離p2となるように交互に繰り返し形成される。第2距離p2は、一例として隣り合う第2凸部43の頂点431の間の距離である。第2距離p2は、第1距離p1と等しい。
【0042】
本実施形態では、第2凸部43と第2凹部44は、長手方向Lおよび短手方向Sにおける第2距離p2が等しくなるように形成される。これに限らず、第2距離p2は、第1距離p1と等しい大きさであれば、長手方向Lと短手方向Sで互いに異なる大きさに形成されてもよい。
【0043】
第2距離p2は、第1距離p1と同様に、50mm程度の大きさで形成される。しかし、第2距離p2は、これに限らず、3mmから200mm程度の大きさ、より好ましくは、15mmから100mm程度の大きさであればよい。
【0044】
第2凸部43および第2凹部44は、第2高さh2をもって形成される。第2高さh2は、高さ方向Hにおける、第2凸部43の頂点431と第2凹部44の底部441の間の距離である。
【0045】
第2高さh2は、第2層4が厚くなるほど大きくなり、第2層4の厚みを基準として、10分の1から10分の9程度の大きさで形成される。より好ましくは、第2高さh2は、第2層4の厚みに対して5分の1から5分の4程度の大きさで形成されればよい。
【0046】
第2高さh2は、第1高さh1より大きい30mm程度の大きさで形成される。しかし、第2高さh2は、これに限らず、第1高さh1と異なる大きさで形成されればよく、2mmから350mm程度、より好ましくは、15mmから60mm程度の大きさであってもよい。
【0047】
以上説明したように、第1層2の表面21と第2層4の裏面42には、本実施形態の第1層2と第2層4には、ピッチが概ね等しく、高さが異なる連続した凹凸形状が全面に渡って形成される。
【0048】
次に、第1層2と第2層4が積層された状態について、図3および図4を用いて説明する。なお図4は、図1(a)の断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。前述のとおり、マットレス1は、第1層2と第2層4が高さ方向Hに積層された2層構造である。
【0049】
マットレス1は、第1層2の表面21と第2層4の裏面42が対向するように積層される。すなわち、マットレス1は、第1層2と第2層4のプロファイル加工が施された面同士が対向する。
【0050】
マットレス1は、第1層2の表面21と第2層4の裏面42の間が非接着の状態で隙間sを有して、積層される。本実施形態のマットレス1は、第1層2と第2層4の間で位置合わせを行い、第1層2の上に第2層4を重ねることで積層される。
【0051】
本実施形態のマットレス1は、高弾性の軟質ウレタンフォームで形成された第1層2の上に、低反発の軟質ウレタンフォームで形成された第2層4が積層された2層構造である。
【0052】
前述の通り、第1層2のピッチである第1距離p1と、第2層4のピッチである第2距離p2は概ね等しい。このため、積層された状態では、第1層2の第1凸部23と第2層4の第2凹部44が対向する。また、第1層2の第1凹部24と第2層4の第2凸部43が対向する。従って、第1層2の表面21と第2層4の裏面42は、互いの表面に形成された波状の凹凸が嵌り合った状態で積層される。
【0053】
一方で、下側の層となる第1層2の第1高さh1は、上側の層となる第2層4の第2高さh2よりも小さい。従って、対向する第1凹部24と第2凸部43は、第2凸部43の頂点431が第1凹部24の底部241に接触した状態となる。一方、対向する第1凸部23と第2凹部44は、第1凸部23の頂点231が第2凹部44の底部441に接触せず、隙間sが設けられた状態となる。すなわち、積層された状態において、第1層2と第2層4は、第1層2の表面21と第2層4の裏面42の間に隙間sを有する。
【0054】
隙間sは、第1層2と第2層4が積層された状態で、第1層2の表面21と第2層4の裏面42の間に設けられればよい。しかし、第1層2の第1高さh1と第2層4の第2高さh2の大きさによっては、単に第1層2と第2層4が積層された状態で隙間sが目視可能な程度に設けられない場合がある。このような場合であっても、マットレス1に使用者Mが横たわると(図1参照)第1層2および第2層4が変形して、第1層2と第2層4の間に隙間sが現れる。
【0055】
すなわち、少なくともマットレス1を高さ方向Hに沿って押圧されると、第1層2と第2層4に隙間sが生じる。隙間sは、マットレス1の使用状態または非使用状態の少なくとも一方または両方において、第1層2と第2層4の間に設けられればよい。
【0056】
マットレス1の支持面である第2層4の表面41に使用者Mが横たわり(図1参照)荷重がかかると、第2層4はすみやかに変形する。さらに、第2層4は、変形しながら荷重を第1層2に伝達する。
【0057】
このとき、第2層4の第2凸部43は、対向する第1凹部24に予め接触した状態である。これにより、第2凸部43は、第1凹部24に押し当てられて変形が抑制される。このため、荷重は、第2層4から第1層2へ分散しながらすみやかに伝達される。
【0058】
一方で、第2層4の第2凹部44は、対向する第1凸部23との間に隙間sを有した状態である。このため、第2凹部44は、隙間sを埋めるように変形した後、第1凸部23と接触する。
【0059】
これにより、第2層4に加わる荷重は、第2凸部43と第1凹部24、および、第2凹部44と第1凸部23との間で長手方向Lおよび短手方向Sに分散しながら第1層2に伝達される。第1層2は、第2層4から伝達される過程で分散された荷重に対して、反発力を生じる。このため、マットレス1の使用者Mは、第2層4の表面41において柔らかい第2層4の感触を得るとともに、第1層2によって生じた反発力により安定して支持される。
【0060】
この結果、マットレス1は、荷重を分散させて使用者Mを安定して支持することができるとともに、使用者Mに対して柔らかい感触を与えることができる。
【0061】
次に図5を用いて、マットレス1の製造方法を説明する。図5は、マットレス1の製造装置10を模式的に示した概略図である。マットレス1の製造に使用する製造装置10は、シート状に形成されたウレタンフォーム11から同時に2枚のシート12を製造することができる。
【0062】
製造装置10は、ドラム13と、カッター14と、を備える。本実施形態の製造装置10は、一対のドラム13と、一つのカッター14と、を備える。
【0063】
ドラム13は、短手方向Sに沿って延びる軸線Cを中心に回転する円筒形状である。一対のドラム13は、高さ方向Hに所定の間隔を空けて平行に配置される。ドラム13は、図示しないアクチュエータによって軸線Cを中心に互いに一定の速さで反対方向に回転する。
【0064】
ドラム13は、その外周に規則的に配置された複数の押圧部131を有する。押圧部131は、ドラム13の径方向の外側に向かって突出する。
【0065】
カッター14は、ドラム13の軸線Cと平行に配置され、その刃先が一対のドラム13と対向するように配置される。
【0066】
ウレタンフォーム11は、紙面向かって左側からドラム13の間に挿入される。ウレタンフォーム11は、対向するドラム13の間で圧縮されながら、ドラム13の回転に沿って、紙面向かって右側に送られる。ウレタンフォーム11は、圧縮されたままカッター14に向かって送り出される。カッター14は、弾性復元前のウレタンフォーム11を切断し2枚のシート12に分離する。
【0067】
これにより、ウレタンフォーム11は、断面が連続する波状となる2枚のシート12に加工される。2枚のシート12は、互いの表面に同一の凹凸形状(プロファイル)が形成される。
【0068】
製造装置10は、ドラム13の凸部の大きさや間隔、また、ドラム13の回転速度を変更することによって、シート12の表面に形成する凹凸形状を種々様々に変更することができる。
【0069】
一方で、製造装置10は、同一のドラム13を用いた場合でも、加工するウレタンフォーム11の反発弾性によって異なる凹凸形状を形成することができる。すなわち、ウレタンフォーム11の反発弾性が小さいほど、ドラム13の間で圧縮される際の変形量が大きくなる。このため、シート12の表面に形成される凹凸形状は、ウレタンフォーム11の反発弾性が小さいほど、高さ方向Hに沿って大きくなる。
【0070】
本実施形態の製造装置10は、マットレス1の第1層2の表面21に複数の第1凸部23と複数の第1凹部24を形成する。さらに、製造装置10は、マットレス1の第2層4の裏面42に複数の第2凸部43と複数の第2凹部44を形成する。前述の通り、第1層2と第2層4は、異なる材質のウレタンフォームで形成される。このため、第1層2と第2層4は、ピッチである第1距離p1と第2距離p2が概ね等しく、第1高さh1と第2高さh2が異なる、凹凸形状が形成される。
【0071】
一方で、第1層2の第1高さh1と第2層4の第2高さh2は、互いに異なる。このため、積層された状態において、第1層2の表面21と第2層4の裏面42の間には隙間sが形成される。すなわち、対向する第1層2の第1凸部23と第2層4の第2凹部44の間、および/または、対向する第2層4の第2凸部43と第1層2の第1凹部24の間は、隙間sを有する。
【0072】
次に、本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態については、第1実施形態と異なる点のみ説明する。
【0073】
図6は、本開示の第2実施形態のマットレス101の断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。図6に示すように、第2実施形態のマットレス101は、第1層102の第1高さh101が、第2層104の第2高さh201より大きく形成される点で第1実施形態と異なる。
【0074】
また、本実施形態の第1層102は、40%圧縮硬さが100Nから150N程度かつ反発弾性が15%以下の低反発の軟質ウレタンフォームによって形成される。一方、第2層104は、40%圧縮硬さが100Nから150N程度かつ反発弾性が50%以上の高弾性の軟質ウレタンフォームによって形成される。すなわち、本実施形態のマットレス101は、低反発の軟質ウレタンフォームで形成された第1層102の上に、高弾性の軟質ウレタンフォームで形成された第2層104が積層される点で第1実施形態と異なる。
【0075】
本実施形態では、下側の層となる第1層102の第1高さh101が、上側の層となる第2層104の第2高さh201よりも大きい。従って、対向する第2凹部144と第1凸部123は、第1凸部123の頂点1231が第2凹部144の底部1441に接触した状態となる。一方、対向する第2凸部143と第1凹部124は、第2凸部143の頂点1431が第1凹部124の底部1241に接触せず、隙間sが設けられた状態となる。
【0076】
すなわち、積層された状態において、第1層102と第2層104は、第1層102の表面121と第2層104の裏面142の間に隙間sを有する。
【0077】
マットレス101の第2層104の表面141に使用者Mが横たわり(図示せず)荷重がかかると、第2層104は、荷重を分散させながら変形する。さらに、第2層104は、変形しながら荷重を第1層102に伝達する。
【0078】
このとき、第2層104の第2凸部143は、対向する第1凹部124との間に隙間sを有した状態である。このため、第2凸部143は、隙間sを埋めるように変形した後、第1凹部124と接触する。
【0079】
一方で、第2層104の第2凹部144は、対向する第1凸部123に予め接触した状態である。これにより、第2凹部144は、第1凸部123に押し当てられて変形が抑制される。
【0080】
これにより、第2層104に加わる荷重は、第2凸部143と第1凹部124、および、第2凹部144と第1凸部123との間で長手方向Lおよび短手方向Sに分散しながら第1層102に伝達される。第1層102は、第2層104から伝達される過程で分散された荷重を変形しながら吸収する。この結果、マットレス101は、硬い第2層104によって使用者Mを安定して支持するとともに、第1層102によって使用者Mに与える感触を和らげることができる。
【0081】
この結果、マットレス101は、荷重を分散させて使用者Mを安定して支持することができるとともに、使用者Mに対して柔らかい感触を与えることができる。
【0082】
さらに、本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態については、第1実施形態および第2実施形態と異なる点のみ説明する。
【0083】
図7は、本開示の第3実施形態のマットレス201の断面の一部を拡大した部分拡大断面図である。図7に示すように、第3実施形態のマットレス201は、第1層202の第1高さh102と第2層204の第2高さh202が等しくなるように形成される点で第1実施形態および第2実施形態と異なる。
【0084】
また、本実施形態の第1層202および第2層204は、40%圧縮硬さが30Nから300N程度かつ反発弾性が15%以下の低反発の軟質ウレタンフォームによって形成される。すなわち、本実施形態のマットレス201は、低反発の軟質ウレタンフォームで形成された第1層202の上に、同じく低反発の軟質ウレタンフォームで形成された第2層204が積層される点で、第1実施形態および第2実施形態と異なる。
【0085】
なお、本実施形態の第1層202および第2層204は、40%圧縮硬さが30Nから300N程度かつ反発弾性が50%以上の高弾性の軟質ウレタンフォームによって形成されてもよい。すなわち、本実施形態のマットレス201は、高弾性の軟質ウレタンフォームで形成された第1層202の上に、同じく高弾性の軟質ウレタンフォームで形成された第2層204が積層されてもよい。
【0086】
本実施形態では、下側の層となる第1層202の第1高さh102が、上側の層となる第2層204の第2高さh202と等しい。従って、対向する第2凹部244と第1凸部223は、第1凸部223の頂点2231が第2凹部244の底部2441に接触した状態となる。さらに、対向する第2凸部243と第1凹部224は、第2凸部243の頂点2431が第1凹部224の底部2241に接触した状態となる。
【0087】
すなわち、第1層202と第2層204は、接着されずに単に積層された状態である。本実施形態のマットレス201は、第1高さh102と第2高さh202が等しいため、非使用状態において、第1層202と第2層204は概ね隙間なく密着して積層される。
【0088】
マットレス201の第2層204に使用者Mが横たわり(図示せず)荷重がかかると、第2層204は、荷重を分散させながら変形する。さらに、第2層204は、変形しながら荷重を第1層202に伝達する。
【0089】
このとき、第1層202の表面221と第2層204の裏面242は、使用者Mの姿勢や第1層202から第2層204への荷重の伝達度合いに応じて、一部では隙間sが生じるとともに、互いに押し付け合うように変形する。
【0090】
すなわち、本実施形態のマットレス201は、非使用状態では、第1層202と第2層204との間は隙間なく密着して積層されている一方で、使用状態では、第1層202と第2層204との間に隙間sが生じる。
【0091】
これにより、第2層204に加わる荷重は、第2凸部243と第1凹部224、および、第2凹部244と第1凸部223との間で長手方向Lおよび短手方向Sに分散しながら第1層202に伝達される。第1層202は、第2層204から伝達される過程で分散された荷重を変形しながら吸収する。この結果、マットレス201は、荷重を分散させて使用者Mを安定して支持することができる。
【0092】
以上説明した通り、本開示によれば、使用者の身体を安定して支持するとともに、感触を調整可能なマットレスを提供できる。
【0093】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0094】
例えば、上記実施形態では、第1層2,102および第2層4,104が軟質ウレタンフォームで形成される例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、第1層2,102または第2層4,104は、半硬質ウレタンやポリオレフィン系発泡体などで形成される多孔質材料であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、第1層2,102,202と第2層4,104,204は、接着されず単に積層されてマットレス1,101,201とされたが、本開示はこれに限定されない。
【0096】
すなわち、マットレス1,101,201は、第1層2,102,202と第2層4,104,204との間の一部が接着されてもよい。この場合も、マットレス1,101,201は、第1層2,102,202と第2層4,104,204との間に隙間sを有して積層される構造であってもよい。また、マットレス1,101,201は、非使用状態では第1層2,102,202と第2層4,104,204とが隙間なく密着して積層され、使用状態においてマットレス1,101,201が高さ方向hに沿って押圧されると、第1層2,102,202と第2層4,104,204との間に隙間sが生じる構造であってもよい。
【0097】
これにより、第1層2,102,202と第2層4,104,204を容易に位置合わせして積層することができる。さらに、マットレス1,101,201は、その使用状態において、第1層2,102,202と第2層4,104,204が長手方向Lまたは短手方向Sにずれることなく安定して積層された状態を保つことができる。この場合、接着する位置および接着点は、第1層2,102,202と第2層4,104,204の間の四隅、中心付近の1箇所または数か所など自由に選択することができる。
【0098】
さらに、上記実施形態では、第1層2,102は、1つの頂点231,1231を含む第1凸部23,123と1つの底部241,1241を含む第1凹部24,124が交互に並んで形成された。さらに、第2層4,104も同様に第2凸部43,143と第2凹部44,144が交互に並んで形成された。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0099】
すなわち、第1層2,102と第2層4,104の凹凸形状は、底部を経由することなく複数の凸部が並んで配置されてもよいし、頂点を経由することなく複数の凹部が並んで配置されてもよい。これらの凹凸形状は、種々様々な形状に変更可能である。
【0100】
また、第1層2,102と第2層4,104の凹凸形状は、その長手方向Lおよび短手方向Sの二軸で立体的な構造であればよい。これらの凹凸形状としては、例えば、複数の凸条部が配置されたもの、複数の凸形状が交互に規則的に配置されたもの、さらに、断面形状の一部または表面に現れる形状が円形や楕円形状などの幾何学形状が配置されたもの等、種々様々な形状が採用可能である。
【0101】
さらに、第1層2,102と第2層4,104の凹凸形状の製造方法として、上記実施形態ではプロファイル加工を例に挙げて説明したが、本開示はこれに限定されない。上述のように第1層2,102と第2層4,104は、種々様々な凹凸形状を採用可能であり、これらの製造方法は、凹凸形状に合わせてレーザーカッターや発泡型などを用いた種々様々な方法を採用可能である。
【0102】
また、第1層2,102と第2層4,104は、ピッチが概ね等しく、高さが異なる連続した凹凸形状が形成される場合を例示したが、本開示はこれに限定されない。すなわち、第1層2,102と第2層4,104は、高さが等しい凹凸形状が形成されてもよい。この場合も、積層状態において、第1層2,102と第2層4,104は、非接着である。このため、マットレス1,101の使用状態では、第2層4の表面41の一部に荷重がかかって変形する。これにより、第1層2,102と第2層4,104は、使用状態において隙間sが生じる。
【符号の説明】
【0103】
1,101,201 :マットレス
2,102,202 :第1層
23,123,223 :第1凸部
24,124,224 :第1凹部
4,104,204 :第2層
43,143,243 :第2凸部
44,144,244 :第2凹部
s :隙間
L :長手方向
S :短手方向
H :高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7