(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085825
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】金融データ処理装置、金融データ処理方法、及び金融データ処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20240620BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200575
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加村 雅史
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB03
5L055BB03
(57)【要約】
【課題】日々更新される金融に関するリアルタイムデータの断面データを簡単な方法により自動で退避させること。
【解決手段】本実施形態の金融データ処理装置は、対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、退避テーブルと、金融に関するリアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理手段を備えたことを特徴とする金融データ処理装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた金融データ処理装置であって、
前記制御部は、
対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、
日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、
退避テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理手段を備えたことを特徴とする金融データ処理装置。
【請求項2】
前記月末締処理手段は、前記断面データを追加する場合には、必要な項目はその時点で再計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の金融データ処理装置。
【請求項3】
前記管理マスタには、さらに、実行日が設定されており、
前記月末締処理手段は、前記月末締処理を実行後、前記管理マスタの対象年月を翌月に更新すると共に、次回実行日を、翌月+前記管理マスタの実行日の日付に更新することを特徴とする請求項1に記載の金融データ処理装置。
【請求項4】
前記リアルタイムデータは、債権データ、債権取引データ、債権汎用データ、顧客情報データ、顧客汎用データ、返済予定データ、回収実績データ、又は、顧客銀行情報データを含むことを特徴とする請求項1に記載の金融データ処理装置。
【請求項5】
制御部を備えた情報処理装置で実行される金融データ処理方法であって、
前記制御部は、
対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、
日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、
退避テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理工程を含むことを特徴とする金融データ処理方法。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための金融データ処理プログラムであって、
前記制御部は、
対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、
日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、
退避テーブルと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理工程を実行させるための金融データ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融データ処理装置、金融データ処理方法、及び金融データ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融業界の債権管理業務(例えば、クレジット、融資)では、債務者や契約、日々の取引といった情報を管理する必要がある。従来、債権管理業務に関するシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、日々更新される金融に関するリアルタイムデータの断面データを簡単な方法により自動で退避させることに関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、日々更新される金融に関するリアルタイムデータの断面データを簡単な方法により自動で退避させることが可能な金融データ処理装置、金融データ処理方法、及び金融データ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた金融データ処理装置であって、前記制御部は、対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、退避テーブルと、にアクセス可能に構成されており、前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記月末締処理手段は、前記断面データを追加する場合には、必要な項目はその時点で再計算を行うことにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記管理マスタには、さらに、実行日が設定されており、前記月末締処理手段は、前記月末締処理を実行後、前記管理マスタの対象年月を翌月に更新すると共に、次回実行日を、翌月+前記管理マスタの実行日の日付に更新することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記リアルタイムデータは、債権データ、債権取引データ、債権汎用データ、顧客情報データ、顧客汎用データ、返済予定データ、回収実績データ、又は、顧客銀行情報データを含むことにしてもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置で実行される金融データ処理方法であって、前記制御部は、対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、退避テーブルと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理工程を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための金融データ処理プログラムであって、前記制御部は、対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタと、日々更新される金融に関するリアルタイムデータと、退避テーブルと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において、前記リアルタイムデータの断面データを月末データとして前記退避テーブルに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、前記管理マスタの次回実行日に、前記月末データの前記管理マスタの保持月数以前のデータを削除し、前記管理マスタの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理工程を実行させるための金融データ処理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、日々更新される金融に関するリアルタイムデータの断面データを簡単な方法により自動で退避させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施の形態の金融データ処理装置で実行される月末締処理を説明するための図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態の金融データ処理装置で実行される活用処理を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態における金融データ処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、月末締処理の実行画面の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、月末締処理の詳細を説明するための図である。
【
図6】
図6は、リアルタイムデータを債権データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明するための図である。
【
図7】
図7は、リアルタイムデータを債権取引データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0015】
[1.概要]
例えば、金融業界の債権管理業務(例えば、クレジット、融資)においては、多数の債務者を管理し、日々取引が行われることによって情報が随時更新されていく(例えば、日々の入金情報、延滞情報、契約の変更、属性情報の変更など)。
【0016】
社内の分析や外部へのデータ連携等で過去のある時点の断面のデータを取得したい場合、取引によってデータが変わってしまう、延滞日数が日付によって変わってしまう等があり、当日中に取得しておかなければならないという課題がある。例えば、後からある時点のデータを見たい場合、データを取得した後でシステム外で特定時点以降の取引データの除外、金額等のシミュレーション計算をしなくてはならない。
【0017】
そこで、本実施の形態では、日々更新される金融に関するリアルタイムデータ(「時系列データ」ともいう)の断面データを簡単な方法により自動で退避可能なシステムを提供する。
【0018】
本実施の形態では、業務プログラムの計算ロジックを呼びだすことができ、タイミングさえ決めてしまえば自動・一括でその時点のデータを固めることができる点に着目し、オペレーションのタイミングを問わず、通常の業務プログラムと同じロジックで計算された正しい断面の情報を後から参照できるようになった。
【0019】
断面データを退避し、確認できるようにすることで、以下の効果がある。
(1)バッチの夜間実行も可能になることで処理タイミングを問わない(当日処理不要)。
(2)業務プログラムでの計算によりシステム外部でのデータ加工が不要(断面データの精度の向上)となる。
(3)過去の時点データも保持しているため、組み合わせての活用も可能(データ分析の簡易化)である。
【0020】
図1及び
図2を参照して、本実施の形態の金融データ処理装置の概要を説明する。
図1は、本実施の形態の金融データ処理装置で実行される月末締処理を説明するための図である。
図2は、本実施の形態の金融データ処理装置で実行される活用処理を説明するための図である。
【0021】
図1において、本実施の形態の金融データ処理装置は、管理マスタの設定に従い、月末締処理を実行する。月末締処理を実行することで、処理時点のデータが別途保持している断面データに退避される。対象となる月の月末日以前に更新のあるデータ(退避対象)を抽出、対象に紐づくデータが断面データに更新される。なお、マスタ設定されている実行予定日に自動実行されるが、実行予定日が到来していれば手動実行も可能である。
【0022】
図1に示す例では、実行前の管理マスタの設定に基づいて、実行日「2022/10/5」、対象月「2022/9」、退避データ保持期間「2か月」の条件で、リアルタイムデータの断面データを月末データとして退避させる。月末データは、7月分の断面データが削除され、9月分の断面データが追加される。実行後、管理マスタを更新する。
【0023】
図2において、本実施の形態の金融データ処理装置は活用処理を実行する。月末データは、別途保持されているため、いつでも参照して分析や連携といった活用が可能である。月次でデータが固められているため、月次で実行されるバッチ処理など、月末時点の情報を基にした処理の構築も可能である。
【0024】
図2に示す例では、活用処理では、月末データを各種処理で参照し、例えば、(1)データ抽出処理で所定の抽出条件で抽出してファイル出力して社内分析を行ったり、(2)月次で、外部システムと連携したり、(3)月次データの元データとして活用する。
【0025】
本実施の形態の金融データ処理装置は、例えば、SLNを導入可能な事業者(融資管理SLN、割賦管理SLN等)等に広く適用可能である。
【0026】
[2.構成]
図3は、本実施の形態に係る金融データ処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図3において、金融データ処理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。金融データ処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、金融データ処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、金融データ処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、管理マスタ106aと、データテーブル106bと、退避テーブル106cと、を備えている。
【0031】
管理マスタ106aは、月末締処理を実行する条件を設定したマスタであり、対象年月、次回実行日、実行日、保持月数を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる(
図5(A)参照)。
【0032】
データテーブル106bは、金融に関するリアルタイムデータを格納するためのテーブルである。
【0033】
退避テーブル106cは、月末データを格納するためのテーブルである。月末データは、退避情報用の項目(対象年月、実行日)と、リアルタイムデータの項目を備えることにしてもよい。
【0034】
制御部102は、金融データ処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0035】
制御部102は、記憶部106に格納されている、管理マスタ106a、データテーブル106b、退避テーブル106c等にアクセス可能に構成されている。なお、管理マスタ106a、データテーブル106b、退避テーブル106cは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0036】
制御部102は、機能概念的に、データ更新部102aと、月末締処理部102bと、データ処理部102cと、画面表示制御部102dと、を備えている。
【0037】
データ更新部102aは、データテーブル106bのリアルタイムデータをリアルタイムで更新する。
【0038】
月末締処理部102bは、データテーブル106bのリアルタイムデータの断面データを月末データとして退避テーブル106cに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、管理マスタ106aの次回実行日に、月末データの管理マスタ106aの保持月数以前のデータを削除し、管理マスタ106aの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する。
【0039】
月末締処理部102bは、断面データを追加する場合には、必要な項目はその時点で再計算を行うことにしてもよい。
【0040】
月末締処理部102bは、月末締処理を実行後、管理マスタ106aの対象年月を翌月に更新すると共に、次回実行日を、翌月+管理マスタ106aの実行日の日付に更新することにしてもよい。
【0041】
リアルタイムデータは、債権データ、債権取引データ、債権汎用データ、顧客情報データ、顧客汎用データ、返済予定データ、回収実績データ、又は、顧客銀行情報データを含むことにしてもよい。この場合、月末締処理部102bは、債権データ、債権取引データ、債権汎用データ、顧客情報データ、顧客汎用データ、返済予定データ、回収実績データ、又は、顧客銀行情報データ毎に、月末データとして退避させる。
【0042】
債権データは、債権番号、商品コード、契約日、延滞月数、延滞日数等を保持するデータである。債権取引データは、債権番号、履歴、取引、入金額、残高等を保持するデータである。債権汎用データは、債権に紐づく項目を汎用的に保持するデータ(例えば、汎用文字1、汎用文字2・・・、汎用数字1・・・、汎用日付1・・・など)である。顧客情報データは、顧客に関するデータを保持するデータである(例えば、氏名、カナ氏名、生年月日・・・など)。
【0043】
顧客汎用データは、顧客に紐づく項目を汎用的に保持するデータである(例えば、汎用文字1、汎用文字2、・・・汎用数字1・・・汎用日付1・・・など)。返済予定データは、債権に紐づく返済日と返済額を保持するデータである(例えば、返済予定日、返済額・・・など)。回収実績データは、返済予定データに紐づく実際の回収(返済)の実績を保持するデータである(例えば、返済予定日、返済予定額、返済実績額・・・など)。顧客銀行情報データは、顧客が使用する銀行口座の情報を保持するデータである(例えば、銀行コード、支店コード、口座番号・・・など)。
【0044】
データ処理部102cは、上述した活用処理を実行し、退避テーブル106cに格納される月末データに対して、例えば、データ抽出処理、外部システムとの連携処理、月次データ作成処理等の各種処理を行う。
【0045】
画面表示制御部102dは、モニタ114に表示する各種画面の表示や入力の受付を制御する。
【0046】
[3.具体例]
図1~
図7を参照して、本実施の形態における金融データ処理装置100の制御部102の月末締処理部102bで実行される月末締処理の具体例について説明する。
【0047】
(実行画面)
月末締処理部102bは、管理マスタ106aに設定されている次回実行日に月末締処理を自動実行するが、実行予定日が到来していれば手動実行も可能である。
図4は、月末締処理の実行画面の表示例を示す図である。月末締処理の実行画面でオペレータにより今月対象年月を指定して実行ボタンが押下されると、月末締処理部102bは、月末締処理を実行する。月末締処理の実行画面では、処理の進行状況が表示される。
【0048】
(月末締処理の詳細)
図5を参照して、月末締処理の詳細を説明する。
図5は、月末締処理の詳細を説明するための図である。月末締処理部102bは、データテーブル106bのリアルタイムデータの断面データを月末データとして退避テーブル106cに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、管理マスタ106aの次回実行日に、月末データの管理マスタ106aの保持月数以前のデータを削除し、管理マスタ106aの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する。
【0049】
ここでは、実行前の管理マスタ106aに基づいて、2022/10/5に2022/9月分を実行する場合を説明する。
【0050】
図5(A)は、管理マスタ106aのデータ例を示す図である。管理マスタ106aは、対象年月、次回実行日、実行日、保持月数の項目を備えている。同図に示す例では、対象年月「202209」、次回実行日「2022/10/5」、実行日「5」、保持月数「2」が設定されている。
【0051】
S1:管理マスタ106aの保持年月より前のデータを削除する。
この例では、保持月数が「2」(2か月分を保持する設定)のため、今回対象年月の2か月前まででない月末データを削除する。この例では、202209、202208の2か月分を保持するため、202207以前のデータを削除する。
【0052】
図5(C)は、月末データのデータ例を示す図である。月末データは、リアルタイムデータの項目に対象年月と実行日の項目を追加したデータフォーマットとなっている。
図5(D)に示すように、月末データの7月分の断面データを削除する。
【0053】
S2:対象月末時点のデータを退避する。
対象の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出し、必要な項目はその時点で再計算を行い、月末データに追加して更新する。この例では、対象年月が202209であるので、対象の月末日は2022/9/30である。
【0054】
図5(E)は、リアルタイムデータのデータ例を示す図である。リアルタイムデータは、債権番号、商品コード、契約日、延滞月数、延滞日数の項目を備えている。更新時間が対象月末(2022/9/30)までの対象を抽出する。
【0055】
図5(F)は、月末データのデータ例を示す図である。月末データは、リアルタイムデータの項目(債権番号、商品コード、契約日、延滞月数、延滞日数)に退避情報用の項目(対象年月、実行日)を追加したデータフォーマットとなっている。
【0056】
例えば、リアルタイムの「延滞日数」は入金や延滞データの抽出などの取引があった際に計算される。今回の例では2022/7/25の予定日に入金されず延滞状態であるとする。2022/9/15で延滞抽出が実行され、リアルタイムデータは延滞日数「52日」に更新された状態であるとする。そこで、2022/9/30の時点で改めて再計算をすることでその時点の正しい断面データとして、「67日」として更新する。
【0057】
S3:次回実行用に、管理マスタ106aの状態を更新する。
管理マスタ106aの「対象年月」を翌月に更新すると共に、「次回実行日」を、翌月+実行日の日付に更新する。
図5(B)は、更新後の管理マスタ106aの例を示す図である。同図に示すように、対象年月が「202209」から「202210」に更新されており、「次回実行日」が「2022/10/5」から「2022/11/5」に更新されている。
【0058】
(データイメージ1)
図6を参照して、リアルタイムデータを債権データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明する。
図6は、リアルタイムデータを債権データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明するための図である。ここでは、実行前の管理マスタ106aに基づいて、2022/10/5に2022/9月分を実行する場合を説明する。
【0059】
図6(A)は、処理実行前の管理マスタ106aの例、
図6(B)は、処理実行後の管理マスタ106aの例を示す図である。月末締処理後に、
図6(B)に示すように、管理マスタ106aは、次回の対象年月、実行日に更新される。
【0060】
図6(C)は、処理実行前のリアルタイムデータ(債権データ)のデータ例を示す図である。
図6(D)は、処理実行後のリアルタイムデータ(債権データ)のデータ例を示す図である。リアルタイムデータ(債権データ)は、債権番号、商品コード、契約日、延滞月数、延滞日数の項目を備えている。
【0061】
図6(D)に示すように、月末締処理でリアルタイムデータ(債権データ)は更新されない。
【0062】
図6(E)は、処理実行前の月末データのデータ例を示す図である。
図6(F)は、処理実行前の月末データのデータ例を示す図である。月末データは、対象年月、実行日の項目と、リアルタイムデータ(債権データ)の項目(債権番号、商品コード、契約日、延滞月数、延滞日数の項目)を備えている。
【0063】
図6(F)に示すように、月末締処理が実行されると、月末データは、7月の断面データが削除され、9月の断面データが追加される。
【0064】
例えば、リアルタイムの「延滞情報」は入金や延滞データの抽出などの取引があった際に計算される。今回の例では2022/7/25の予定日に入金されず延滞状態であるとする。2022/9/15で延滞抽出が実行され、リアルタイムデータは延滞日数「52日」に更新された状態であるとする。そこで、2022/9/30の時点で改めて再計算をすることでその時点の正しい断面データとして、「67日」として更新する。
【0065】
前回対象月末(2022/8)~今回対象月末(2022/9)の間に新たに対象になったデータを退避対象に追加する。今月対象月末より後のデータは対象外とする。
【0066】
(データイメージ2)
図7を参照して、リアルタイムデータを債権取引データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明する。
図7は、リアルタイムデータを債権取引データとした場合の月末締処理のデータイメージを説明するための図である。ここでは、実行前の管理マスタ106aに基づいて、2022/10/5に2022/9月分を実行する場合を説明する。管理マスタ106aのデータ例は、
図6と同様である。
【0067】
図7(A)は、処理実行前のリアルタイムデータ(債権取引データ)のデータ例を示す図である。
図7(B)は、処理実行後のリアルタイムデータ(債権取引データ)のデータ例を示す図である。リアルタイムデータ(債権取引データ)は、債権番号、履歴、取引、入金額、残高の項目を備えている。
【0068】
図7(B)に示すように、月末締処理でリアルタイムデータ(債権取引データ)は更新されない。
【0069】
図7(C)は、処理実行前の月末データのデータ例を示す図である。
図7(D)は、処理実行後の月末データのデータ例を示す図である。月末データは、対象年月、実行日の項目と、リアルタイムデータ(債権取引データ)の項目(債権番号、履歴、取引、入金額、残高の項目)を備えている。
【0070】
図7(F)に示すように、月末締処理が実行されると、月末データは、7月の断面データが削除され、9月の断面データが追加される。
【0071】
前回対象月末(2022/8)~今回対象月末(2022/9)の間に新たに対象になったデータを退避対象に追加する。今月対象月末より後のデータは対象外とする。
【0072】
以上説明したように、本実施の形態によれば、対象年月、次回実行日、保持月数が設定された管理マスタ106aと、金融に関するリアルタイムデータの断面データを月末データとして退避テーブル106cに退避させる月末締処理を実行し、当該月末締処理では、管理マスタ106aの次回実行日に、月末データの管理マスタ106aの保持月数以前のデータを削除し、管理マスタ106aの対象年月の月末日以前に更新されたリアルタイムデータを抽出した断面データを追加する月末締処理部102bを備えているので、日々更新される金融に関するリアルタイムデータの断面データを簡単な方法により自動で退避させることが可能となる。
【0073】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0074】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0076】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0077】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0078】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0079】
また、金融データ処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0080】
例えば、金融データ処理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて金融データ処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0081】
また、このコンピュータプログラムは、金融データ処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0082】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0083】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0084】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0085】
また、金融データ処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、金融データ処理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0086】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0087】
100 金融データ処理装置
102 制御部
102a データ更新部
102b 月末締処理部
102c データ処理部
102d 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 管理マスタ
106b データテーブル
106c 退避テーブル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
300 ネットワーク