(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008583
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】切断機
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240112BHJP
【FI】
B23K26/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110571
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000150981
【氏名又は名称】日酸TANAKA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】花木 恭二
(72)【発明者】
【氏名】安蔵 倫治
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB03
4E168CB15
4E168JA02
4E168KA16
(57)【要約】
【課題】本発明に係る切断機によれば、危険が伴う切断空間に進入せずに日常のメンテナンスを容易に実施可能であり、安全性を向上させる切断機を提供することができる。
【解決手段】本発明に係る切断機1は、被加工材を載置する定盤10と、走行方向に移動可能な走行台車と、走行台車とともに走行方向に沿って移動し、定盤10の上側の切断空間を鉛直方向及び横行方向に移動可能な移動機構26と、切断空間を覆う機体カバー部25と、切断空間に配置され、移動機構26に支持されて被加工材を切断する切断ヘッド27と、を有する切断機本体20と、切断機本体20よりも横行方向の一方側に備えられた操作デッキ部30と、操作デッキ部30の上側の外部空間に備えられ、切断機本体20を操作する操作部40と、を備え、操作デッキ部30は、横行方向の他方側に切断空間と外部空間とを区画する開閉扉31を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材を載置する定盤と、
前記定盤の上側において水平面に沿う走行方向に移動可能な走行台車と、
前記走行台車とともに前記走行方向に沿って移動し、前記定盤の前記上側の切断空間を鉛直方向及び前記水平面において前記走行方向に交わる横行方向に移動可能な移動機構と、
前記切断空間を覆う機体カバー部と、
前記切断空間に配置され、前記移動機構に支持されて前記被加工材を切断する切断ヘッドと、
を有する切断機本体と、
前記切断機本体よりも前記横行方向の一方側に備えられ、人が乗り込み可能な操作デッキ部と、
前記操作デッキ部の前記上側の外部空間に備えられ、前記切断機本体を操作する操作部と、
を備え、
前記操作デッキ部は、前記横行方向の他方側に前記切断空間と前記外部空間とを区画する開閉扉を備える
切断機。
【請求項2】
前記切断ヘッドは、前記切断空間において前記開閉扉に近づいた状態で前記横行方向から見て前記開閉扉と重なる位置に配置されている
請求項1に記載の切断機。
【請求項3】
前記開閉扉は、前記走行方向の前進側にスライドして開けると、前記切断空間と、前記外部空間とを連通させる
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項4】
前記操作デッキ部は、前記開閉扉の開閉をロックするロック機構をさらに備えている
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項5】
前記切断機本体は、検知領域に入る物体を検知するエリアセンサをさらに設けており、
前記開閉扉は、前記走行方向の前進側にスライドして開けると、前記開閉扉が前記検知領域に配置される
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項6】
前記開閉扉は、閉めた状態で前記切断機本体の前記切断空間に配置された前記切断ヘッドの位置を目視で確認可能なメンテナンス窓を設けている
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項7】
前記切断ヘッドは、前記切断空間において前記開閉扉に近づいた状態で前記被加工材の切断位置を調整する調整ネジ部を備えた側面を前記開閉扉に向けて配置している
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項8】
前記操作部は、前記切断機本体を操作する本体操作部をさらに備え、
前記本体操作部は、前記操作デッキ部及び前記切断ヘッドよりも前記走行方向の後進側に設けられている
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項9】
前記操作部は、前記開閉扉の開閉のロックを操作するメンテナンス用操作部をさらに備え、
前記メンテナンス用操作部は、前記開閉扉の前記上側に設けられている
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【請求項10】
前記走行台車は、前記定盤の両側面において、前記走行方向に配置されたレール上を回動する車輪と、前記操作部の下側に配置され、先端を前記操作デッキ部の前記走行方向の前進側に突出させて前記車輪を覆う車輪カバー部とを備えており、
前記車輪カバー部は、前記先端に切り欠き部を設けている
請求項1または請求項2に記載の切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被加工材を切断する切断装置(切断機)として、例えば、レーザトーチをはじめとする切断トーチを備えた切断装置が広く用いられている。切断装置は、被加工材を載置可能な定盤の上を走行方向に沿って走行しながら、切断トーチによって被加工材を切断する。また、大型の切断装置には、操作デッキが設けられており、作業者が切断装置とともに移動しながら切断装置を操作することができる。
【0003】
特許文献1に記載のような門型移動式レーザ切断装置は、被加工材に向かって切断トーチから出射されるレーザビームの光が外部に漏れてしまうのを防ぐため、切断トーチを搭載している切断ヘッドを覆うようにカバーが取り付けられている。
【0004】
また、このような切断装置は、一般的に切断ヘッドの清掃や切断トーチから出射されるレーザビームの光軸調整等のメンテナンス作業を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すような切断機装置は、メンテナンス作業を行う際に、作業者に切断装置を操作する操作デッキから降りて切断用の定盤上を移動する動作、カバーの開閉動作、及びカバー内の切断ヘッドに近づく動作が伴う。このとき、操作デッキや定盤は、作業者に対して高低差がある。そのため、作業者は、操作デッキや定盤上を移動する際に、乗り降りの負荷や移動時間がかかってしまうという問題があった。作業者は、場合によっては何度も乗り降りしてメンテナンス作業を行う必要があり、作業者への体力への負担は、さらに高くなってしまう。
【0007】
また、切断ヘッドを覆うカバーには重さがある。そのため、作業者は、カバーの開閉に時間を要したり、持ち上げの際に負荷がかかってしまったりしてしまうという問題があった。さらに、メンテナンス作業は、定盤上で行うため、移動中に転倒したり、カバーを開けている際にカバーに頭をぶつけてしまったりしてしまう虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、危険が伴う切断空間に進入せずに日常のメンテナンスを容易に実施可能であり、安全性を向上させる切断機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る切断機は、被加工材を載置する定盤と、前記定盤の上側において水平面に沿う走行方向に移動可能な走行台車と、前記走行台車とともに前記走行方向に沿って移動し、前記定盤の前記上側の切断空間を鉛直方向及び前記水平面において前記走行方向に交わる横行方向に移動可能な移動機構と、前記切断空間を覆う機体カバー部と、前記切断空間に配置され、前記移動機構に支持されて前記被加工材を切断する切断ヘッドと、を有する切断機本体と、前記切断機本体よりも前記横行方向の一方側に備えられ、人が乗り込み可能な操作デッキ部と、前記操作デッキ部の前記上側の外部空間に備えられ、前記切断機本体を操作する操作部と、を備え、前記操作デッキ部は、前記横行方向の他方側に前記切断空間と前記外部空間とを区画する開閉扉を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る切断機によれば、危険が伴う切断空間に進入せずに日常のメンテナンスを容易に実施可能であり、安全性を向上させる切断機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る切断機を模式的に示す斜視図である。
【
図8】同切断機の手前側で開閉扉がスライドして開いた状態を拡大した側面図である。
【
図9】同切断機の手前側で開閉扉がスライドして閉じた状態を拡大した側面図である。
【
図10】作業者が同切断機の操作デッキに乗って作業している状態を示す図である。
【
図11】開閉扉が開いた状態で作業者が同切断機の作業デッキに乗って作業している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(一実施形態)
本発明の一実施形態について、
図1から
図11を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、相互に対応する構成については同一の符号を付し、重複部分については説明を省略する場合がある。さらに、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0013】
[切断機1]
図1は、本発明の一実施形態に係る切断機1を模式的に示す斜視図である。
図2は、切断機1を模式的に示す正面図である。
図3は、切断機1を模式的に示す平面図である。
図4は、切断機1を模式的に示す側面図である。
切断機1は、定盤10の表面上へ載置された鋼板等の被加工材を切断する装置である。切断機1は、本実施形態では、門型移動式レーザ切断機である。
【0014】
ここで、以下の切断機1の説明において、鉛直方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいては、定盤10の表面側を上側Z1とし、定盤10の裏面側を下側Z2する。また、上下方向Zに垂直であり、切断機1が走行する方向を走行方向Xとする。走行方向Xにおいて、切断機1が前進する向きを前側(前進側)X1とし、切断機1が後進する前側X1の反対側を後側(後進側)X2とする。また、上下方向Z及び走行方向Xに垂直な方向を横行方向Yとする。横行方向Yにおいて、手前側を手前側Y1とし、手前側Y1の反対側を奥側Y2とする。走行方向X及び横行方向Yに沿う面は水平面とする(以下、単に水平面という)。
【0015】
切断機1は、
図1に示すように、定盤10と、切断機本体20と、操作デッキ30と、操作部40と、制御部50と、を備える。
【0016】
[定盤10]
定盤10は、例えば、水平面に沿う矩形形状に形成されており、地面に配置される。定盤10は、表面側である上側Z1に被加工材を載置可能とされている。被加工材は、定盤10の上側Z1に形成される切断空間S1において切断機1の切断ヘッド27に取り付けられた切断トーチ272によって切断される。切断空間S1とは、本実施形態では、切断トーチ272がレーザビームを照射して被加工材に切溝を形成する空間である。なお、本実施形態において、被加工材は鋼板であるが、特に限定されず、異なる材料を用いた板状部材であってもよいし、板状以外もの、例えば、ブロック(塊)状やパイプ状のものであってもよい。
【0017】
[切断機本体20]
切断機本体20は、定盤10の上側Z1において、走行方向Xに沿って配置されたレールR上を走行可能に構成されている。レールRは、
図1から
図3に示すように、定盤10の横行方向Yの両側面に設置されている。切断機本体20は、走行台車21と、走行駆動部22と、横行レール23(
図7参照)と、上部ステー24(
図3参照)と、遮光カバー部(機体カバー部)25と、移動機構26(
図5参照)と、切断ヘッド27と、エリアセンサ28と、警報部29とを備えている。
【0018】
[走行台車21]
走行台車21は、例えば定盤10の上側Z1において走行方向Xに沿って移動可能な門型のフレームである。走行台車21は、切断機1の土台となる部分である。走行台車21は、横行方向Yの両側のレールRに図示しないサドルやガーターによって載置されている。
【0019】
[走行駆動部(駆動部)22]
図5は、切断機1の手前側Y1を拡大した斜視図である。
図6は、切断機1の手前側Y1を拡大した正面図である。
走行駆動部(駆動部)22は、
図5に示すように、走行モーター(不図示)に駆動されてレールRに沿って所望の方向に所望の速度で走行可能となるように構成されている。走行駆動部22は、
図6に示すように、車輪221と、車輪カバー部222とを備えている。
【0020】
車輪221は、
図6に示すように、走行方向Xに配置されたレールR上を回動することで切断機本体20全体を走行方向Xに移動する。また、車輪カバー部222は、上下方向Zの上側Z1から車輪221を覆う。
【0021】
車輪カバー部222は、
図5に示すように、走行方向Xの前側X1に備えた先端に切り欠き部223を設けている。切り欠き部223は、上下方向Zの上側Z1から下側Z2に向かって前側X1に傾斜するように切り欠かれて形成されている。
【0022】
走行駆動部22は、一対のレールRに配置され、駆動モーター(不図示)を有する。走行駆動部22は、後述する制御部50によって、走行台車21を走行方向Xに移動可能となるように構成されている。
【0023】
[横行レール23]
図7は、切断機1の手前側Y1を拡大した平面図である。
横行レール23は、
図7に示すように、走行台車21の上側Z1に取り付けられ、横行方向Yに沿って延在している。横行レール23には、横行台車となる移動機構26が搭載される。
【0024】
[上部ステー24]
上部ステー24は、横行レール23よりも上側Z1に設けられている。上部ステー24は、
図7に示すように、切断空間S1よりも走行方向Xの後側X2に配置され、横行方向Yに沿って延在している。上部ステー24は、上面において遮光カバー部25に連結しており、遮光カバー部25を支持する。
【0025】
[遮光カバー部(機体カバー部)25]
遮光カバー部(機体カバー部)25は、例えば、金属板を加工して形成される。遮光カバー部25は、
図1から
図3に示すように、走行台車21の上側Z1に設けられており、切断空間S1を覆うように構成される。遮光カバー部25は、切断空間S1と切断空間S1よりも外側の外部空間S2とを仕切るように構成されている。遮光カバー部25は、回転カバー部251と固定カバー部252とを備える。
【0026】
回転カバー部251は、
図3または
図5に示すように、横行方向Yからみた(側面視した)ときに、切断トーチ272の上側Z1から走行方向Xの前側X1に向かって形成されるとともに、切断空間S1が膨張するように外部空間S2に向かって膨出する。回転カバー部251は、移動機構26及び切断ヘッド27の前側X1及び横行方向Yの奥側Y2を覆う構成とされている。
【0027】
固定カバー部252は、横行方向Yに沿って延在して、回転カバー部251と上部ステー24とに連結する。回転カバー部251は、例えば、走行台車21に設けられた横行レール23の上側Z1の固定カバー部252にヒンジ構造を介して連結されている。ヒンジ構造は、例えば、Y軸方向に沿う連結部分を回動軸として回動して回転カバー部251を開閉させることができる。
【0028】
また、遮光カバー部25は、走行台車21の上下方向Zの下側Z2に向かって垂下するように取り付けられる。なお、回転カバー部251は、横行方向Yに沿って複数配列されており、固定カバー部252に対して、それぞれを個別に開閉できるように連結されている。
【0029】
[移動機構26]
移動機構26は、走行台車21上に載置され、走行台車21とともに走行方向Xに沿って移動する。また、移動機構26は、
図7に示すように、横行レール23に搭載されており、図示しない駆動部によって駆動されて、定盤10の上側Z1の切断空間S1を横行方向Yに移動可能に構成されている。さらに、移動機構26は、昇降ブラケット(不図示)が設けられており、上下方向Zに対しても移動可能となるように構成されている。なお、移動機構26は、所望の速度で移動できる。移動機構26は、
図7に示すように、前側X1に取り付けられたアーム270を介して切断ヘッド27を支持する。
【0030】
[切断ヘッド27]
切断ヘッド27は、
図7に示すように、定盤10の上側Z1の切断空間S1に配置され、定盤10に載置された被加工材を切断する。切断ヘッド27は、アーム270を介して移動機構26に支持されている。アーム270は、
図7に示すように、上側(平面視)Z1から見て前側X1に延びて、わずかに手前側Y1を向くように取り付けられている。
【0031】
切断ヘッド27は、
図1に示すように、定盤10に対して走行台車21によって走行方向Xに移動可能であり、また、移動機構26によって横行方向Y及び上下方向Zに移動可能である。切断ヘッド27は、本実施形態では、走行方向X及び横行方向Yに側面を備え、上下方向Zに延在する略四角柱状に形成されている。切断ヘッド27は、走行方向Xの前側X1の正面(側面)27aに被加工材の切断位置を調整する調整ネジ部271を備えている。調整ネジ部271は、具体的には、切断ヘッド27の下側Z2に搭載された切断トーチ272から出射されるレーザビームの光軸調整を行うことで被加工材の切断位置を調整することができる。
【0032】
また、切断ヘッド27は、
図5に示すように、切断空間にS1おいて切断ヘッド27よりも手前側Y1の開閉扉31に最も近づいた状態で、作業者が上下方向Zに沿う切断ヘッド27の中心軸を回転軸として切断ヘッド27を、操作デッキ30から切断トーチ272をメンテナンスしやすい角度に加工ヘッド27の正面27aを、開閉扉31に向けるのが好ましい。また、切断ヘッド27は、
図5に示すように、切断トーチ272を搭載している。
【0033】
切断トーチ(レーザトーチ)272は、
図5に示すように、切断ヘッド27の下側Z2に搭載されている。切断トーチ272は、例えば、レーザ切断によって被加工材を切断するレーザトーチである。切断トーチ272は、円筒部の下側Z2の先端側が略円錐形に形成され先端にノズル孔(不図示)が開口された構成とされていて、アシストガスを噴射するとともにファイバーレーザ発振器(不図示)で生成されたレーザビームをノズル孔から照射して、被加工材に切溝を形成するようになっている。切断トーチ272は、切断ヘッド27とともに定盤10上を走行方向X及び横行方向Yに移動可能である。また、切断トーチ272は、上下方向Zに移動して任意に高さが変更可能であり、被加工材に形成する切断形状に沿って移動することができる。さらに、切断トーチ272は、必要に応じて上下方向Zに対する傾きを変えることができる。なお、切断トーチ272は、レーザトーチに限定されることなく、プラズマトーチ、ガストーチであってもよい。
【0034】
[エリアセンサ28]
エリアセンサ28は、
図1に示すように、遮光カバー部25のわずかに前側X1に備えられている。エリアセンサ28は、
図2に示すように、横行方向Yの手前側Y1において上下方向Zの上側Z1に延びるポールに取り付けられた複数の投光部281と、横行方向Yの奥側Y2において上下方向Zの上側Z1に延びるポールに、投光部281と同じ数だけ取り付けられた受光部282と設けている。エリアセンサ28は、投光部281から受光部282に複数の光を出射させて、水平面に垂直な面であって、上下方向Z及び横行方向Yがなす鉛直面に沿う検知領域を形成する。なお、投光部281及び受光部282の個数は特に限定されない。
【0035】
エリアセンサ28は、検知領域に入るまたは遮る物体を検知する。エリアセンサ28は、物体を検知すると、検知信号を制御部50に送信する。また、エリアセンサ28は、検知領域に入るまたは遮る物体を検知した状態から元の検知しない状態に戻ると、検知無しの信号を制御部50に送信する。
【0036】
[警報部29]
警報部29は、切断機本体20から上側Z1に突出するように配置された警告灯である。警報部29は、制御部50から信号を取得すると警告灯を点灯して危険を周知する。警報部29は、アラームなどの音声手段をさらに備えていてもよい。
【0037】
[操作デッキ(操作デッキ部)30]
図8は、切断機1の手前側Y1で開閉扉31がスライドして開いた状態を拡大した側面図である。
図9は、切断機1の手前側Y1で開閉扉31がスライドして閉じた状態を拡大した側面図である。
操作デッキ(操作デッキ部)30は、作業者(人)H(
図10参照)が乗り込み可能なデッキである。操作デッキ30は、
図1に示すように、切断機本体20よりも横行方向Yの手前側(一方側)Y1に備えられる。なお、本実施形態では、操作デッキ30は、
図7に示すように、作業者Hが乗る底板部33の上側Z1の外部空間S2に作業者が約1人乗り込み可能な大きさを有している。ただし、操作デッキ30の大きさは、特に限定されない。
図5に示すように、操作デッキ30の底板部33の一部には、上側Z1に突出するように車輪カバー部222が配置されている。車輪カバー部222は、走行方向Xの前側X1に備えた先端に切り欠き部223を設けており、底板部33の上側Z1の外部空間S2を確保している。操作デッキ30は、
図8及び
図9に示すように、開閉扉31と、電磁ロック32と、手すり34とを備える。
【0038】
開閉扉31は、操作デッキ30において、横行方向Yの奥側(他方側)Y2に設けられる。開閉扉31は、走行方向Xにスライドして開閉可能となるように設けられる。開閉扉31は、略矩形状に形成されている。開閉扉31は、閉じた状態において切断空間S1に面する内面が複数の遮光カバー部25のうち手前側Y1に配置された遮光カバー部25の端部に当接するように配置され、遮光カバー部25と同様に切断空間とS1と外部空間S2とを仕切って区画する。
【0039】
また、開閉扉31が閉じた状態において、切断ヘッド27は、切断空間S1内の操作部40によって操作されて開閉扉31に近づく。すると、最も近づいた状態で、切断ヘッド27は、横行方向Yから見て開閉扉31と重なる位置に配置される。
【0040】
開閉扉31は、走行方向Xの前側X1にスライドして開けると、切断空間S1と、外部空間S2とを連通させる。また、その際に、開閉扉31の前側X1の一部がエリアセンサ28の検知領域に配置される。開閉扉31は、
図8に示すように、中央部にメンテナンス窓312と、メンテナンス窓312よりも後側X2に取っ手311とを設けている。作業者Hは、開閉扉31に取っ手311が設けられていることによって、開閉扉31を開閉する際に、取っ手311に手を掛けて容易にスライドすることができる。
【0041】
メンテナンス窓312は、例えばレーザ光を通しにくく、物体を確認可能な半透明の特殊フィルムである。メンテナンス窓312は、開閉扉31の外縁に沿って、矩形状に形成されている。開閉扉31を閉めた状態において、作業者Hは、メンテナンス窓312から切断機本体20の切断空間S1に配置された切断ヘッド27の位置を目視で確認可能である。ただし、メンテナンス窓312の材質は、特に限定されず、レーザ光を通しにくく、作業者Hが外部空間S2から切断空間S1を確認可能な材質で形成されていればよい。また、メンテナンス窓312の大きさや形状も特に限定されない。
【0042】
電磁ロック(ロック機構)32は、
図9に示すように、開閉扉31付近に設けられ、開閉扉31の開閉をロックする。電磁ロック32は、開閉扉31が閉じた状態においてロック設定されている。電磁ロック32は、制御部50から電磁ロック解除信号を取得すると、電磁ロック32を解除することが許容され、作業者Hは、電磁ロック32に取り付けられた鍵を回すことによって電磁ロック32を解除できる。電磁ロック32は、開閉扉31が開いた状態においてロック解除される。そして、電磁ロック32は、制御部50から電磁ロック設定信号を取得すると、電磁ロック32を設定することが許容され、作業者Hは、電磁ロック32に取り付けられた鍵をもとの位置に回すことによって電磁ロック32を設定できる。なお、電磁ロック32は、切断機1の電源がOFFの状態においては解除されている。電磁ロック32の構成は、特に限定されず、従来公知の電磁ロックを使用することができる。また、本発明の開閉扉31の開閉をロックするロック機構は、電磁ロック32に限定されない。
【0043】
[操作部40]
操作部40は、切断機1に対して入力操作を行うことができる。操作部40は、本体操作部41と、メンテナンス用操作部42と、を備える。
【0044】
本体操作部41は、操作デッキ30の上側Z1に形成された外部空間S1の後側X2に備えられ、切断機本体20を操作する。本体操作部41は、
図7に示すように、切断ヘッド27よりもわずかに後側X2に備えられている。本体操作部41は、
図6に示すように、表示部411に表示される情報に従って、表示部411とは別体のマウス、キーボード、または操作ボタン等によって入力操作を行うことができる。本体操作部41は、作業者によって切断作業に必要な情報等の入力を行うために操作される。また、本体操作部41は、切断ヘッド27を任意の方向に移動させる移動指示を入力できる。入力された移動指示は、制御部50に送信される。なお、本体操作部41は、タッチパネルであってもよい。
【0045】
メンテナンス用操作部42は、本体操作部41よりも前側X1に設けられた、例えば矩形状の液晶モニタに装着されたタッチパネルである。メンテナンス用操作部42は、開閉扉31の上側Z1に設けられる。メンテナンス用操作部42は、開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を設定及び解除するための操作入力が可能である。入力された電磁ロック設定及び解除情報は、制御部50に送信される。このように、メンテナンス用操作部42は、電磁ロック32によって開閉扉31のロックを操作することもできる。
なお、メンテナンス用操作部42は、一体形成されているタッチパネルの表示部に切断機1の動作状態を表示してもよい。なお、本体操作部41とメンテナンス用操作部42とは、一体形成されていてもよい。
【0046】
[制御部50]
制御部50は、外部から取得したプログラム、データまたは情報を読み込み、切断機1を制御する装置(コンピュータ)である。制御部50は、例えば、従来公知のコンピュータを用いることができる。
【0047】
制御部50は、切断機本体20よりも後側X2に設けられている。制御部50は、例えば、切断空間S1を囲むように切断機本体20に取り付けられた図示しないセンサ等から物体の検知信号を取得すると切断空間S1を形成する切断機本体20の切断作業を停止するように制御することができる。この構成により、切断空間S1と外部空間S2とを電気的に区画して作業者の安全エリアを確保することができる。また、制御部50は、図示しない通信部によって無線または有線で外部機器と通信可能に構成されている。
【0048】
具体的には、制御部50は、本体操作部41から切断ヘッド27の移動指示を取得すると、走行駆動部22及び移動機構26を駆動させる図示しない駆動部及び昇降ブラケットを制御する。すなわち、制御部50は、切断ヘッド27を走行方向X、横行方向Y及び上下方向Zに移動可能に制御できる。
【0049】
また、制御部50は、エリアセンサ28から検知信号を取得すると、切断機本体20の動作を一時停止することができる。また、制御部50は、エリアセンサ28から検知無しの信号を取得すると、切断機本体20の動作を一時停止した状態を解除して動作可能な状態にすることができる。
【0050】
また、制御部50は、メンテナンス用操作部42から開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を解除するための操作入力をされると、切断機1の動作が停止、または一時停止されていることを確認する。切断機1の動作が停止、または一時停止されている場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信する。切断機1がプログラムまたは手動により運転動作をされている場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信しない。すなわち、作業者Hは、開閉扉31を開くことができない。なお、制御部50は、切断機1の動作が停止、または一時停止されると、メンテナンス用操作部42から開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を解除するための操作入力をされなくても、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信するように制御してもよい。
【0051】
また、制御部50は、メンテナンス用操作部42から開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を設定するための操作入力をされると、センサ等によるインターロックによって開閉扉31がしっかりと閉まっているかどうか確認する。開閉扉31がしっかりと閉まっている場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック設定信号を送信する。開閉扉31がしっかりと閉まっていない場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック設定信号を送信しない。また、このとき、制御部50は警報部29を介して警報やアラームを出すことができる。
【0052】
また、制御部50は、切断機1の動作中に意図しない開閉扉31の開閉があった場合は、切断機1を一時停止させるとともに、警報部29を介して警報やアラームを出すことができる。
【0053】
次に、本実施形態に係る切断機1の作用について
図10及び
図11を参照して説明する。
【0054】
図10は、作業者Hが切断機1の操作デッキ30に乗って作業している状態を示す図である。
図11は、開閉扉31が開いた状態で作業者Hが切断機1の操作デッキ30に乗って作業している状態を示す図である。初めに、作業者Hは、切断機1の切断作業を完了させて、切断機1のメンテナンス作業を開始する(開始ステップ)。次に、制御部50は、移動ステップを実行する。
【0055】
<移動ステップ>
作業者は、移動ステップにおいて、本体操作部41に対して、例えば横行方向Yの手前側Y1に切断ヘッド27を移動させる操作入力を行う。本体操作部41は、入力された入力情報を制御部50に送信する。すると、制御部50は、指令によって切断ヘッド27を横行方向Yの手前側Y1に移動させる。切断ヘッド27は、切断空間S1において最も開閉扉31に近づいた状態で停止する。次に、制御部50は、ロック解除ステップを実行する。
【0056】
<ロック解除ステップ>
作業者は、ロック解除ステップにおいて、メンテナンス用操作部42に対して、開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を解除するための操作入力を行う。すると、制御部50は、切断機1の動作が停止、または一時停止されていることを確認する。切断機1の動作が停止、または一時停止されている場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信する。電磁ロック32は、電磁ロック解除信号を取得すると、電磁ロック32を解除することが許容され、作業者Hは、電磁ロック32に取り付けられた鍵を回すことによって電磁ロック32を解除できる。なお、制御部50は、切断機1の動作が停止、または一時停止されると、メンテナンス用操作部42から開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を解除するための操作入力をされなくても、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信するように制御してもよい。
なお、切断機1が動作している場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック解除信号を送信しない。
【0057】
その後、作業者は、
図10から
図11に示すように、操作デッキ30上に乗り込んだ状態で開閉扉31の取っ手311を持って走行方向Xの前側X1にスライドさせて開閉扉31を開ける。このとき、開閉扉31の前側X1の一部がエリアセンサ28の検知領域に配置される。エリアセンサ28は、物体を検知すると、検知信号を制御部50に送信する。次に、制御部50は、停止ステップを実行する。
【0058】
<停止ステップ>
制御部50は、停止ステップにおいて、
図11に示すように、エリアセンサ28から物体を検知して、制御部50に検知信号を送信すると、検知信号を取得し、切断機本体20の動作を一時停止することができる。
【0059】
この状態において、作業者は、開閉扉31からメンテナンス作業を実施することができる。メンテナンス作業が完了すると、作業者は、
図11から
図10に示すように、操作デッキ30上に乗り込んだ状態で開閉扉31の取っ手311を持って走行方向Xの後側X2にスライドさせて開閉扉31を閉める。このとき、開閉扉31の前側X1の一部は、エリアセンサ28の検知領域から外れる。エリアセンサ28は、検知領域に入るまたは遮る物体を検知した状態から元の検知しない状態に戻ると、検知無しの信号を制御部50に送信する。その後、作業者は、メンテナンス用操作部42に対して、開閉扉31に取り付けられた電磁ロック32を設定するための操作入力を行う。次に、制御部50は、停止解除ステップ及びロック設定ステップを実行する。
【0060】
<停止解除ステップ>
制御部50は、エリアセンサ28から検知無しの信号を取得すると、切断機本体20の動作を一時停止した状態を解除して再度動作可能な状態にすることができる。
【0061】
<ロック解除ステップ>
また、制御部50は、メンテナンス用操作部42から電磁ロック設定情報を取得すると、センサ等によるインターロックによって開閉扉31がしっかりと閉まっているかどうか確認する。開閉扉31がしっかりと閉まっている場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック設定信号を送信する。電磁ロック32は、電磁ロック設定信号を取得すると、電磁ロック32を設定することが許容され、作業者Hは、電磁ロック32に取り付けられた鍵をもとの位置に回すことによって電磁ロック32を設定できる。開閉扉31がしっかりと閉まっていない場合は、制御部50は、電磁ロック32に電磁ロック設定信号を送信しない。
【0062】
作業者は、すべてのステップが完了すると、メンテナンス作業を終了する。
【0063】
本実施形態では、切断機1は、切断空間S1と外部空間S2とを区画する開閉扉31を備えている。そして、開閉扉31が閉じた状態において、切断ヘッド27は、最も近づいた状態で、横行方向Yから見て開閉扉31と重なる位置に配置される。そのため、作業者Hが操作デッキ30に設けられた底板部33の上側Z1の外部空間S2に乗った状態で、開閉扉31を開けて、切断ヘッド27のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、開閉扉31は、走行方向Xにスライドさせて開けると、切断空間S1と外部空間S2とを連通させるように設けられている。そのため、作業者Hが乗っている操作デッキ30の底板部33に開閉扉31が干渉することなく開閉でき、作業者Hが省スペースでも容易に切断空間S1に配置された切断ヘッド27のメンテナンス作業をすることができる。
【0065】
また、本実施形態では、切断機1は、開閉扉31の開閉をロックする電磁ロック(ロック機構)32を備えている。そのため、切断機1の切断作業が完了または停止するまで、開閉扉31は開かない。そのため、作業者は、切断機1の動作が完全に停止している状態で、安全にメンテナンス作業を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、切断機1は、エリアセンサ28を設けている。エリアセンサ28は、検知領域に入る物体を検知する。開閉扉31は、走行方向Xの前側X1にスライドして開けると、開閉扉31の前側X1の一部がエリアセンサ28の検知領域に配置される。エリアセンサ28が検知信号を制御部50に送信すると、制御部50は、切断機1の動作を一時停止することができる。そのため、作業者Hは、電磁ロック(ロック機構)32に加えて、より安全にメンテナンス作業を行うことができる。また、制御部50は、電磁ロック32が万一故障した場合も、エリアセンサ28によって切断機1の稼働を一時停止することができるため、電磁ロック32の予備機能として用いることができる。
【0067】
また、本実施形態では、切断機1の開閉扉31は、閉めた状態で切断機本体20の切断空間S1に配置された切断ヘッド27の位置を目視で確認可能なメンテナンス窓312を設けている。作業者Hは、このメンテナンス窓312を確認することで、容易に外部空間S2から切断空間S1に配置された切断ヘッド27の位置を目視で確認し、切断ヘッド27の位置調整をすることができる。
【0068】
また、本実施形態では、切断機1の操作部40に備えられたメンテナンス用操作部42は、本体操作部41よりも走行方向Xの前側X1であって開閉扉31の上側Z1に設けられている。また、本体操作部41は、操作デッキ30及び切断ヘッド27よりも後側X2に設けられている。そのため、作業者Hが操作デッキ30の上側Z1の外部空間S2にいる状態で、容易に、かつ従来よりも短時間で切断ヘッド27の清掃などのメンテナンス作業を行うことができる。また、作業者Hは、操作デッキ30を降りて表面の不安定な定盤10の上に移動する必要が無くなるため、メンテナンス作業における作業者Hの作業負荷や移動にかかる時間が低減する。また、作業者Hが転倒したり遮光カバー部(機体カバー部)25に頭をぶつけてしまったりする虞を無くすことができる。さらに、従来メンテナンス作業において必要であった遮光カバー部25の開閉が無くなるため、作業者Hの負担をより低減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、切断機1の切断ヘッド27は、切断空間S1において開閉扉31に近づいた状態で、調整ネジ部271を備えた正面(側面)27aを開閉扉31に向けて配置している。そのため、作業者Hは、操作デッキ30の上側Z1の外部空間S2にいる状態で、切断空間S1に入らずとも容易に切断ヘッド27の清掃や、切断ヘッド27に設けられた光学レンズやガラス等の光学製品の清掃、また正面27aの調整ネジ部271による切断トーチ272から出射されるレーザビームの光軸調整をすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、切断機1に設けられた走行駆動部22の車輪カバー部222は、走行方向Xの前側X1に備えた先端に切り欠き部223を設けている。車輪カバー部222は、スペース確保のため操作デッキ30の底板部33の一部に、上側Z1に突出するように配置されているが、切り欠き部223によって底板部33の上側Z1の外部空間S2を確保することができる。そのため、作業者Hが乗るスペースを最大限広げることできる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0072】
(変形例)
例えば、
図12に示すように、切断機1Aの切断機本体20Aは、さらにマーキング装置60を備えてもよい。マーキング装置60は、ステー61を介して切断ヘッド27とともに移動機構26に支持されており、任意の方向に移動可能である。マーキング装置60は、被加工材に文字を印字したり、ラインを引いたりすることができる装置である。マーキング装置60は、切断ヘッド27よりも前側X1に配置されており、
図12に示すように、切断空間にS1おいて開閉扉31に最も近づいた状態で、作業者Hが外部空間S2から手を伸ばしてメンテナンス作業を行うことができる位置に配置することができる。この場合においても、切断機1Aは、メンテナンス作業を容易に行うことができ、さらにマーキング装置60などのオプション設備を設けることができる。
【0073】
また、本発明の制御部は、切断ヘッドが開閉扉のある横行方向の最も手前側に移動するまで、電磁ロックに電磁ロック解除信号を送信しないように設定してもよい。この構成により、作業者は、切断ヘッドと開閉扉との切断空間が最も狭くなるため、手をのばす隙間を設けずに容易に外部空間からメンテナンス作業を行うことができる。また、制御部は、ROM、RAM、HDDなどの記憶手段などをさらに備えていてもよい。
【0074】
また、本発明の切断機は、さらに緊急時に開閉扉を開けるための非常停止スイッチを設けてもよい。作業者は、非常停止スイッチを押下することで、緊急時に電磁ロック(ロック機構)を解除して、開閉扉を開けることができる。
【0075】
なお、本発明の切断機は、レーザ切断機に限定されず、プラズマ切断機やドリル切断機などの従来公知の様々な切断機に用いてもよい。また切断機の大きさについても特に限定されず、任意の大きさの切断機に用いることができる。
【0076】
いずれの上記形態においても、本発明に係る切断機によれば、危険が伴う切断空間に進入せずに日常のメンテナンスを容易に実施可能であり、安全性を向上させる切断機を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る切断機によれば、危険が伴う切断空間に進入せずに日常のメンテナンスを容易に実施可能であり、安全性を向上させる切断機を提供することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1、1A 切断機
10 定盤
20、20A 切断機本体
21 走行台車
22 走行駆動部(駆動部)
221 車輪
222 車輪カバー部
23 横行レール
24 上部ステー
25 遮光カバー部(機体カバー部)
26 移動機構
27 切断ヘッド
27a 正面(側面)
271 調整ネジ部
272 切断トーチ
28 エリアセンサ
30 操作デッキ(操作デッキ部)
31 開閉扉
312 メンテナンス窓
32 電磁ロック(ロック機構)
33 底板部
40 操作部
41 本体操作部
42 メンテナンス用操作部
50 制御部
60 マーキング装置
H 作業者
S1 切断空間
S2 外部空間