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特開2024-85840情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085840
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/70 20170101AFI20240620BHJP
   G06V 10/20 20220101ALI20240620BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06T7/70 A
G06V10/20
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200602
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】吉村 恭介
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC15
5C054FD07
5C054HA19
5L096BA02
5L096CA04
5L096EA03
5L096FA52
5L096FA59
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】画像からの物体検出において検出精度とスループットとのバランスを適切にすることのできる技術を提供する。
【解決手段】情報処理装置(1)は、撮影装置が撮影した画像を取得する取得部(11)と、取得部(11)が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報に基づき、取得部(11)が取得した対象画像の解像度を決定する決定部(12)と、上記対象画像のデータサイズを、決定部(12)が決定した解像度に応じて変更する変更部(13)と、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出部(14)と、上記対象画像からの検出部(14)による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶部に記憶する登録部(15)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置が撮影した画像を取得する取得手段と、
前記取得手段が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得手段が取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する決定手段と、
前記対象画像のデータサイズを、前記決定手段が決定した解像度に応じて変更する変更手段と、
前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出手段と、
前記対象画像からの前記検出手段による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する登録手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記参照情報は、前記検出手段が前記対象画像から検出した物体の数及び大きさの少なくともいずれかを示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記参照情報は、前記検出手段が検出した物体の数を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記参照情報の示す物体の数が閾値以上である場合、当該物体の数が閾値未満である場合よりも大きい解像度を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、
前記参照情報は、前記検出手段による処理結果を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記参照情報が画像に含まれる物体の数が時間の経過に伴って増加した旨を示す場合、増加した旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記参照情報は、前記検出手段が検出した物体の大きさを示す情報を含み、
前記決定手段は、前記参照情報の示す物体の大きさが閾値未満である場合、当該大きさが閾値以上である場合よりも大きい解像度を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、
前記参照情報は、前記検出手段による処理結果を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記参照情報が画像に含まれる物体の大きさが時間の経過に伴って小さくなった旨を示す場合、小さくなった旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記対象画像を、画像を入力とし物体の検出結果を出力とする学習済モデルに入力することにより前記物体を検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記参照情報は、前記画像の撮影ズーム率を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記参照情報の示す撮影ズーム率が変化した場合、当該撮影ズーム率が変化していない場合よりも大きい解像度を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサが、
撮影装置が撮影した画像を取得することと、
過去に取得された画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する工程において取得された、物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定することと、
前記対象画像のデータサイズを、前記決定する工程において決定された解像度に応じて変更することと、
前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出することと、
前記対象画像からの前記物体の検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶することと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
撮影装置が撮影した画像を取得する処理と、
前記取得する処理において過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する処理において取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する処理と、
前記対象画像のデータサイズを、前記決定する処理において決定した解像度に応じて変更する処理と、
前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する処理と、
前記対象画像からの前記検出する処理における検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から物体を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像から物体を検出する技術が提案されている。例えば非特許文献1には、ニューラルネットワークを用いて画像から物体を検出する技術が記載されている。また、特許文献1には、監視範囲内における監視対象が要注意状態であることを検知する技術として、ある監視カメラ装置の撮像部の解像度を他の監視カメラ装置の撮像部の解像度よりも高くし、監視範囲に人物が進入したと判定される場合に、解像度がより高い監視カメラ装置が撮影した映像データに対し映像認識処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/143341号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Zheng Ge, et.al, "YOLOX: Exceeding YOLO Series in 2021," 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ニューラルネットワークを用いる従来の物体検出手法では、ニューラルネットワークへの入力画像を一定サイズに正規化することが一般的である。しかしながら、入力画像を一定サイズに正規化する場合、詳細な解析が不要なタイミングであっても常に同じ解像度で解析するために計算量が不要に大きくなってしまったり、また、詳細な解析が必要なタイミングであっても一定のサイズに画像を縮小して情報量を落として解析するために解析精度が悪くなってしまったりする、といった問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、画像からの物体検出において検出精度とスループットとのバランスを適切にすることのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、撮影装置が撮影した画像を取得する取得手段と、前記取得手段が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得手段が取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する決定手段と、前記対象画像のデータサイズを、前記決定手段が決定した解像度に応じて変更する変更手段と、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出手段と、前記対象画像からの前記検出手段による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する登録手段と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、少なくとも1つのプロセッサが、撮影装置が撮影した画像を取得することと、過去に取得された画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する工程において取得された、物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定することと、前記対象画像のデータサイズを、前記する工程において決定された解像度に応じて変更することと、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出することと、前記対象画像からの前記物体の検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶することと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、撮影装置が撮影した画像を取得する処理と、前記取得する処理において過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する処理において取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する処理と、前記対象画像のデータサイズを、前記決定する処理において決定した解像度に応じて変更する処理と、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する処理と、前記対象画像からの前記検出する処理における検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、画像からの物体検出において検出精度とスループットとのバランスを適切にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的実施形態1に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2】例示的実施形態1に係る情報処理方法の流れを示すフロー図である。
図3】例示的実施形態2に係る情報処理装置が行う処理の概要を示す図である。
図4】例示的実施形態2に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図5】例示的実施形態2に係る情報処理装置の機能構成及び処理の流れの一例を示すブロック図である。
図6】例示的実施形態2に係る解像度判定部が実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
図7】例示的実施形態2に係る解像度判定部が実行する処理を説明するための図である。
図8】例示的実施形態2に係る解像度判定部が実行する処理を説明するための図である。
図9】例示的実施形態3に係る情報処理システムの機能構成の一例を示す図である。
図10】各例示的実施形態に係る情報処理装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(情報処理装置の構成)
本例示的実施形態に係る情報処理装置1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、取得部11(取得手段)、決定部12(決定手段)、変更部13(変更手段)、検出部14(検出手段)、及び登録部15(登録手段)を備える。
【0014】
取得部11は、撮影装置が撮影した画像を取得する。決定部12は、取得部11が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶部から読み出し、読み出した参照情報に基づき、取得部11が取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する。
【0015】
変更部13は、上記対象画像のデータサイズを、決定部12が決定した解像度に応じて変更する。検出部14は、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する。登録部15は、上記対象画像からの検出部14による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶部に記憶する。
【0016】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、撮影装置が撮影した画像を取得する取得部11と、取得部11が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶部から読み出し、読み出した参照情報に基づき、取得部11が取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する決定部12と、上記対象画像のデータサイズを、決定部12が決定した解像度に応じて変更する変更部13と、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出部14と、上記対象画像からの検出部14による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶部に記憶する登録部15と、を備える構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、画像からの物体検出において検出精度とスループットとのバランスを適切にすることができるという効果が得られる。
【0017】
(プログラム)
上述の情報処理装置1の機能は、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、撮影装置が撮影した画像を取得する処理と、上記取得する処理において過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、上記取得する処理において取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する処理と、上記対象画像のデータサイズを、上記決定する処理において決定した解像度に応じて変更する処理と、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する処理と、上記対象画像からの上記検出する処理における検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶手段に記憶する処理と、を実行させるためのプログラムである。
【0018】
(情報処理方法の流れ)
本例示的実施形態に係る情報処理方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、情報処理方法S1の流れを示すフロー図である。なお、情報処理方法S1における各ステップの実行主体は、情報処理装置1が備えるプロセッサであってもよいし、他の装置が備えるプロセッサであってもよい。
【0019】
S11では、少なくとも1つのプロセッサが、撮影装置が撮影した画像を取得する。S12では、少なくとも1つのプロセッサが、過去に取得された画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶部から読み出し、読み出した参照情報に基づき、ステップS11において取得された物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する。
【0020】
S13では、少なくとも1つのプロセッサが、上記対象画像のデータサイズを、ステップS12で決定された解像度に応じて変更する。S14では、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する。S15では、上記対象画像からの上記物体の検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶部に記憶する。
【0021】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理方法S1は、少なくとも1つのプロセッサが、撮影装置が撮影した画像を取得することと、過去に取得された画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶部から読み出し、読み出した参照情報に基づき、上記取得する工程において取得された、物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定することと、上記対象画像のデータサイズを、上記決定する工程において決定された解像度に応じて変更することと、上記データサイズが変更された対象画像から物体を検出することと、上記対象画像からの上記物体の検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、上記参照情報として上記記憶部に記憶することと、を含む構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理方法S1によれば、画像からの物体検出において検出精度とスループットとのバランスを適切にすることができるという効果が得られる。
【0022】
〔例示的実施形態2〕
(情報処理装置の概要)
本発明の例示的実施形態2について図面を参照して詳細に説明する。図3は、例示的実施形態2に係る情報処理装置1Aが行う処理の概要を示す図である。情報処理装置1Aは、撮影装置が撮影した画像から物体を検出し、検出した物体の動作等を解析する。情報処理装置1Aは特に、映像から小さな物体を検出したり、大量の撮影装置の映像を解析したりする用途に用いることができる。図3に示すように、情報処理装置1Aは、検出ステップS100、追跡ステップS200、及び行動解析ステップS300を実行する。
【0023】
検出ステップS100において、情報処理装置1Aは、撮影装置が撮影した動画を構成する各フレームft-1、f、…において物体を検出する。情報処理装置1Aが画像から検出する物体としては、例えば人物、又は商品が挙げられる。ただし、情報処理装置1Aが画像から検出する物体は上述した例に限定されない。
【0024】
追跡ステップS200において、情報処理装置1Aは、検出した物体を時系列に同定して各物体に追跡IDを付与する。図3の例では、情報処理装置1Aは、検出した3つの物体に1~3の追跡IDを付与する。また、行動解析ステップS300において、情報処理装置1Aは、各物体の追跡結果に基づき、人物の行動解析、商品認識等の解析処理を行う。
【0025】
また、情報処理装置1Aは、上述の検出ステップS100において、過去のフレームでの物体の検出結果又は撮影装置の撮影ズーム率等に基づき画像の解像度を決定し、決定した解像度に応じて画像のデータサイズを変更し、変更後の画像から物体を検出する。情報処理装置1Aは例えば、直前のフレームで検出された物体の数が多いほど解像度を高くする一方、直前のフレームで物体が検出されなかった場合に解像度を低くする、といった制御を行う。また、他の例として、情報処理装置1Aは例えば、直前のフレームで検出された物体の大きさが小さいほど解像度を高くする、といった制御を行う。
【0026】
1台の撮影装置が撮影した連続したフレームに含まれる物体は、大きく変化しないと仮定することができる。そのため、例えば前のフレームで検出対象が映らなかった場合、次のフレームにも検出対象が映らない可能性が高いといえる。また、例えば前のフレームで検出対象が映った場合、次のフレームにも検出対象が映っている可能性が高い。本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aは、過去のフレームの解析結果に基づきフレームの解像度を決定するため、例えば過去の解析結果等から詳細な解析が不要だと思われるタイミングでは解像度を小さくして解析することにより、省エネ及び解析スループットの向上を図るとともに、詳細な解析が必要なタイミングでは画像を縮小せずに解析することで、認識精度を向上させることができる。
【0027】
(情報処理装置の構成)
図4は、情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。情報処理装置1Aは、制御部10A、記憶部20A、通信部30A及び入出力部40Aを備える。
【0028】
通信部30Aは、情報処理装置1Aの外部の装置と通信回線を介して通信する。通信回線の具体的構成は本例示的実施形態を限定するものではないが、通信回線は一例として、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、WAN(Wide Area Network)、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又は、これらの組み合わせである。通信部30Aは、制御部10Aから供給されたデータを他の装置に送信したり、他の装置から受信したデータを制御部10Aに供給したりする。
【0029】
入出力部40Aには、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、タッチパネル等の入出力機器が接続される。入出力部40Aは、接続された入力機器から情報処理装置1Aに対する各種の情報の入力を受け付ける。また、入出力部40Aは、制御部10Aの制御の下、接続された出力機器に各種の情報を出力する。入出力部40Aとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースが挙げられる。
【0030】
制御部10Aは、情報処理装置1Aの各部を統括して制御する。制御部10Aは、画像取得部11A、解像度判定部12A、画像サイズ変更部13A、検出部14A、時系列処理部15A、登録部16A、及び出力部17Aを備える。画像取得部11A、解像度判定部12A、画像サイズ変更部13A及び登録部16Aはそれぞれ、本明細書に係る取得手段、決定手段、変更手段及び登録手段の一例である。また、検出部14A及び時系列処理部15Aはそれぞれ、本明細書に係る検出手段の一例である。
【0031】
図5は、情報処理装置1Aの機能構成及び処理の流れの一例を示すブロック図である。なお、図5における一方向性の矢印はある信号(データ)の流れの方向を端的に示したものであり、双方向性を排除するものではない。
【0032】
画像取得部11Aは、撮影装置2が撮影した画像を表す画像データを取得する。画像取得部11Aは、入出力部40Aを介して入力される画像データを取得してもよいし、情報処理装置1Aのユーザが指定した格納先(情報処理装置1Aの記憶装置内であってもよいし、情報処理装置1A外の記憶装置内であってもよい)から画像データを取得してもよい。また、画像取得部11Aは、通信部30Aを介して他の装置から画像データを受信することにより画像データを取得してもよい。
【0033】
以下では、説明の便宜上、画像取得部11Aが取得した画像データであって、物体検出処理の対象である画像データを「対象画像」ともいう。また、過去に物体検出処理が行われた画像データを「過去画像」ともいう。
【0034】
解像度判定部12Aは、画像取得部11Aが取得した対象画像をどの解像度で時系列処理部15Aに解析させるかを決定する。このとき、解像度判定部12Aは、解像度を判定するための参照情報RIを記憶部20Aから読み出し、読み出した参照情報RIに基づき、対象画像の解像度を決定する。
【0035】
参照情報RIは、過去画像における検出部14Aの検出結果、過去画像に対する時系列処理部15Aの処理結果、及び過去画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す情報を含む。参照情報RIは一例として、検出部14Aが対象画像から検出した物体の数及び大きさの少なくともいずれかを示す情報を含む。
【0036】
解像度判定部12Aは例えば、過去のN個のフレーム(NはN≧1を満たす整数)において物体の検出数が連続してゼロだった場合に小さい解像度を決定し、そうでない場合に大きい解像度を決定する。ただし、解像度判定部12Aが解像度を決定する手法は上述した例に限定されない。解像度判定部12Aが行う解像度の決定処理については後述する。
【0037】
画像サイズ変更部13Aは、対象画像のデータサイズを、解像度判定部12Aが決定した解像度に応じて変更する。検出部14Aは、画像サイズ変更部13Aがデータサイズを変更した対象画像から物体を検出する。検出部14Aは一例として、上記対象画像を、画像を入力とし物体の検出結果を出力とする学習済モデルLMに入力することにより上記物体を検出する。
【0038】
学習済モデルLMは機械学習により生成されるモデルである。学習済モデルLMの機械学習の手法は限定されず、一例として、決定木ベース、線形回帰、又はニューラルネットワークの手法が用いられてもよく、また、これらのうちの2以上の手法が用いられてもよい。学習済モデルLMとしては、例えばYOLO(You Only Look Once)、ViT(Vision Transformer)、Faster R-CNN(Regions with CNN features)、SSD(Single Shot MultiBox Detector)等の既存の学習済モデルを、入力された解像度のまま推論するように改造したものを用いることができる。学習済モデルLMの入力は、一例として画像データを含み、学習済モデルLMの出力は、一例として物体(商品等)の識別結果、画像の分類結果、等を示す情報を含む。
【0039】
時系列処理部15Aは検出部14Aが対象画像から検出した物体について解析処理を行う。時系列処理部15Aは特に、検出部14Aが対象画像から検出した物体を追跡することにより、検出した物体をフレーム間で時系列方向に同定する。
【0040】
登録部16Aは、対象画像からの検出部14Aによる検出結果、時系列処理部15Aによる解析結果、及び当該対象画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す情報を、参照情報RIとして記憶部20Aの内部メモリ21Aに記憶する。参照情報RIは、上述したように、検出部14Aが検出した物体の大きさを示す情報等を含む。
【0041】
出力部17Aは、時系列処理部15Aによる解析結果を示すデータ出力する。出力部17Aは、解析結果を示すデータを入出力部40Aに接続された出力装置に出力してもよいし、通信部30Aを介して接続された他の装置に上記データを送信してもよい。また、出力部17Aは、上記データを情報処理装置1Aのユーザが指定した格納先(情報処理装置1Aの記憶装置内であってもよいし、情報処理装置1A外の記憶装置であってもよい)に書き込むことにより上記データを出力してもよい。
【0042】
記憶部20Aは、情報処理装置1Aが使用する各種データを記憶する。記憶部20Aには特に、参照情報RIが記憶される。また、記憶部20Aには、検出部14Aが物体の検出に用いる学習済モデルLMが記憶される。ここで、記憶部20Aに学習済モデルLMが記憶されるとは、学習済モデルLMを定めるモデルパラメータが記憶部20Aに記憶されることをいう。
【0043】
(解像度判定処理の具体例1~5)
解像度判定部12Aが行う解像度の決定処理の具体例について図面を参照しつつ説明する。解像度判定部12Aは、上述したように、過去の解析結果等によって画像サイズ変更部13Aに指示する解像度を適応的に変更する。
【0044】
(具体例1:物体検出数に応じて解像度を決定)
具体例1では、解像度判定部12Aは過去画像での物体の検出数を用いて解像度を決定する。この場合、一例として、参照情報RIは、検出部14Aが検出した物体の数を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIの示す物体の数が閾値以上である場合、当該物体の数が閾値未満である場合よりも大きい解像度を決定する。
【0045】
例えば、検出対象がめったに検出されないことが事前に分かっている場合、情報処理装置1Aは、普段は小さな解像度で解析し、一定数以上の物体が検出されればそれ以降は解像度を上げて高精度に検出する。その後、検出人数が一定数以下になれば小さな解像度に戻す、といった制御を情報処理装置1Aが行う。この例で、普段は小さな解像度で解析することにより処理負荷を下げて省エネを実現できるとともに、一定数以上の物体が検出された場合に解像度を上げることにより、詳細な解析が必要な状況において解析精度を高くすることができる。
【0046】
図6は、具体例1における解像度判定部12Aが行う処理の流れの一例を示すフロー図である。図6の例で、解像度判定部12Aは、フレームがある限り繰り返しステップS102~S107の処理を実行する。以下の説明では、処理対象のフレームを「フレームf」とし、フレームftの直前のフレームをフレームft-1とする。
【0047】
ステップS102において、解像度判定部12Aは、フレームft-1における物体の検出数をNpreとする。ステップS103において、解像度判定部12Aは、検出数Npreが第1の閾値N未満であるかを判定する。検出数Npreが第1の閾値N未満である場合(ステップS103にてYES)、解像度判定部12AはステップS104の処理に進む。一方、検出数Npreが第1の閾値N以上である場合(ステップS103にてNO)、解像度判定部12AはステップS105の処理に進む。
【0048】
ステップS104において、解像度判定部12Aは、対象画像の解像度を(S×S)と決定する。ステップS105において、解像度判定部12Aは、検出数Npreが第2の閾値N未満であるかを判定する。検出数Npreが第2の閾値N未満である場合(ステップS105にてYES)、解像度判定部12AはステップS106の処理に進む。一方、検出数Npreが第2の閾値N以上である場合(ステップS105にてNO)、解像度判定部12AはステップS107の処理に進む。
【0049】
ステップS106において、解像度判定部12Aは、対象画像の解像度を(M×M)と決定する。ここで、Mは、M>Sを満たす整数である。また、ステップS107において、解像度判定部12Aは、対象画像の解像度を(L×L)と決定する。ここで、Lは、L>Mを満たす整数である。
【0050】
なお、図6の例では、解像度のバリエーションが3つ(S×S、M×M、L×L)である場合を説明したが、解像度のバリエーションの数は3に限られず、3より多くても少なくてもよい。
【0051】
また、図6の例では、解像度判定部12Aは、直前のフレームにおける検出数Npreを用いて解像度を決定したが、解像度の決定に用いる情報は検出数Npreに限定されず、他の情報であってもよい。解像度判定部12Aは例えば、過去のk個のフレーム(kはk≧2を満たす整数)の検出数の統計結果(平均値、合計値、等)を用いて解像度を決定してもよい。また、他の例として、解像度判定部12Aは例えば、過去m日(mはm≧1を満たす整数)の同時刻のk個のフレームの検出数の統計結果(平均値、合計値、等)を用いて解像度を決定してもよい。
【0052】
また、解像度判定部12Aは、対象画像を複数の領域に分割した場合における所定の領域における物体の検出数(混雑度)を用いて解像度を決定してもよい。混雑度が大きくなると、物体同士の重なりが発生するため、検出難易度が上がる。所定数以上の物体が検出された場合に解像度を上げて検出することにより、より正確な検出を行うことができ、検出精度を向上させることができる。
【0053】
(具体例2:物体検出数の変化の態様に応じて解像度を決定)
具体例2では、解像度判定部12Aは、物体の検出数の変化の態様に応じて解像度を決定する。この場合、一例として、参照情報RIは、時系列処理部15Aによる処理結果を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIが画像に含まれる物体の数が時間の経過に伴って増加した旨を示す場合、増加した旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する。
【0054】
(具体例3:検出された物体の大きさに応じて解像度を決定)
具体例3では、解像度判定部12Aは物体の大きさに応じて解像度を決定する。この場合、一例として、参照情報RIは、検出部14Aが検出した物体の大きさを示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIの示す物体の大きさが閾値未満である場合、当該大きさが閾値以上である場合よりも大きい解像度を決定する。
【0055】
(具体例4:検出された物体の大きさの変化の態様に応じて解像度を決定)
具体例4では、解像度判定部12Aは、検出部14Aが検出した物体の大きさの変化の態様に応じて解像度を決定する。ここで、物体の大きさの変化の態様は、一例として、過去のk個のフレームでの物体の検出サイズの縮小率、又は、過去のk個のフレームでの物体の検出サイズの縮小速度である。
【0056】
解像度判定部12Aは一例として、検出部14Aが検出した物体の大きさが小さくなった場合に、解像度を大きくする。この例で、参照情報RIは、時系列処理部15Aによる処理結果を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIが画像に含まれる物体の大きさが時間の経過に伴って小さくなった旨を示す場合、小さくなった旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する。ここで、参照情報RIは一例として、過去のk個のフレームでの物体の検出サイズの縮小率、又は、過去のk個のフレームでの物体の検出サイズの縮小速度を含む。
【0057】
図7は、具体例4において解像度判定部12Aが実行する処理を説明するための図である。図7の例では、フレームf7t-2、フレームf7t-1、フレームf7、の3つのフレームにおいて、検出部14Aが検出した物体が時間の経過に伴って小さくなっている。この物体を検出し続けるために、解像度判定部12Aは高い解像度を決定する。
【0058】
(具体例5:ズーム率に応じて解像度を決定)
具体例5は、撮影装置2が撮影した際のズーム率に応じて解像度判定部12Aが解像度を決定する手法である。この例で、撮影装置2は一例として、PTZカメラ(Panoramac Tilt Zoom)カメラである。解像度判定部12Aは、撮影装置2においてズーム率が変更された旨の情報を受け取り、受け取った情報に基づき解像度を決定する。
【0059】
解像度判定部12Aは一例として、参照情報RIの示すズーム率が変化した場合、当該撮影ズーム率が変化しない場合よりも大きい解像度を決定する。ズーム率が変更された場合、ユーザが注目している対象が映ることが期待される。そのため、解像度を上げることにより、ユーザが注目しているタイミングにおいて物体の検出精度を向上させることができる。
【0060】
また、他の例として、解像度判定部12Aは例えば、参照情報RIの示す過去画像のズーム率が所定の閾値以下である場合に、それ以外の場合よりも大きい解像度を決定する。また、他の例として、解像度判定部12Aは例えば、参照情報RIの示すズーム率が大きくなった場合、当該ズーム率が大きくなっていない場合よりも大きい解像度を決定する。また、他の例として、解像度判定部12Aは例えば、参照情報RIの示すズーム率が小さく場合、当該ズーム率が小さくなっていない場合よりも大きい解像度を決定する。
【0061】
図8は、解像度判定部12Aが実行する処理を説明するための図である。図8の例において、フレームf8t-2ではズーム率が小さいため、解像度判定部12は大きい解像度を決定する。また、フレームf8t-1ではズーム率が中程度であり、解像度判定部12は中程度の解像度を決定する。また、フレームf8ではズーム率が大きいため、解像度判定部12は小さい解像度を決定する。
【0062】
また、他の例として、ズーム率と解像度との対応関係を事前に統計的に解析しておいた解析結果に基づき、解像度判定部12Aがズーム率に対して適切な解像度を決定してもよい。このようにすることで、検出精度とスループットとのバランスを適応的に取ることができる。
【0063】
解像度判定部12Aが行う解像度の決定処理は上述した例に限定されるものではなく、解像度判定部12Aは他の手法により解像度を決定してもよい。また、解像度判定部12Aは、上述の具体例1~5のうちの2つ以上を組み合わせて解像度を決定してもよい。
【0064】
(情報処理装置の効果)
以上説明したように本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aは、過去画像の解析結果により正規化する画像サイズを変更する。すなわち、過去の解析結果から不要だと思われるタイミングでは解像度を小さく解析することで省エネ、解析スループットを向上させることができる。また、取得した画像を必要なタイミングでは縮小せずに解析することで認識精度を向上させることができる。このように、本例示的実施形態によれば、処理速度と解析精度とのバランスを適切にすることができる。
【0065】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、参照情報RIは、検出部14Aが上記対象画像から検出した物体の数及び大きさの少なくともいずれかを示す情報を含む構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、過去に検出された物体の数及び/又は大きさに応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができるという効果が得られる。
【0066】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、参照情報RIは、検出部14Aが検出した物体の数を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIの示す物体の数が閾値以上である場合、当該物体の数が閾値未満である場合よりも大きい解像度を決定する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、物体の検出数が少ない場合は解像度を下げて処理負荷を下げるとともに、物体の検出数が多い場合は解像度を上げて検出精度を上げることができる。すなわち、情報処理装置1Aによれば、物体の検出数に応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができる。
【0067】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、検出部14Aは、対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、参照情報RIは、検出部14Aによる処理結果を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIが画像に含まれる物体の数が時間の経過に伴って増加した旨を示す場合、増加した旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、物体の検出数が少なくなっている場合は解像度を下げて処理負荷を下げるとともに、物体の検出数が多くなっている場合は解像度を上げて検出精度を上げることができる。すなわち、情報処理装置1Aによれば、物体の検出数の変化に応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができる。
【0068】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、参照情報RIは、検出部14Aが検出した物体の大きさを示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIの示す物体の大きさが閾値未満である場合、当該大きさが閾値以上である場合よりも大きい解像度を決定する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、検出された物体が大きい場合は解像度を下げて処理負荷を下げるとともに、物体が小さい場合は解像度を上げて検出精度を上げることができる。すなわち、情報処理装置1Aによれば、物体の大きさに応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができる。
【0069】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、検出部14Aは、上記対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、参照情報RIは、検出部14Aによる処理結果を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIが画像に含まれる物体の大きさが時間の経過に伴って小さくなった旨を示す場合、小さくなった旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、物体の大きさが大きくなっている場合は解像度を下げて処理負荷を下げるとともに、物体の大きさが小さくなっている場合は解像度を上げて検出精度を上げることができる。すなわち、情報処理装置1Aによれば、物体の大きさの変化に応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができ、特に、物体の奥行方向の移動への頑健性を向上させることができる。
【0070】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、検出部14Aは、上記対象画像を、画像を入力とし物体の検出結果を出力とする学習済モデルLMに入力することにより上記物体を検出する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、学習済モデルLMを用いた物体検出において検出精度とスループットとのバランスを過去の物体の検出結果等に応じて調節することができる。
【0071】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aにおいては、参照情報RIは、画像の撮影ズーム率を示す情報を含み、解像度判定部12Aは、参照情報RIの示す撮影ズーム率が変化した場合、当該撮影ズーム率が変化していない場合よりも大きい解像度を決定する。このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1Aによれば、撮影ズーム率が変化していない場合は解像度を下げて処理負荷を下げるとともに、撮影ズーム率が変化した場合は解像度を上げて検出精度を上げることができる。
【0072】
ズーム率が変更された場合、ユーザが注目している対象が映ることが期待される。そのため、解像度を上げることにより、ユーザが注目しているタイミングにおいて物体の検出精度を向上させることができる。すなわち、情報処理装置1Aによれば、撮影ズーム率の変化に応じて検出精度とスループットとのバランスを調節することができる。
【0073】
〔例示的実施形態3〕
本発明の例示的実施形態3について、図面を参照して詳細に説明する。図9は、例示的実施形態3に係る情報処理システム1Bの機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1Bは、複数の撮影装置2B、2Cの撮影画像を共通の検出部14Bで解析する。図9における一方向性の矢印はある信号(データ)の流れの方向を端的に示したものであり、双方向性を排除するものではない。
【0074】
情報処理システム1Bは、撮影装置2Bが撮影した画像の解析処理等を行う解析部18Bと、撮影装置2Cが撮影した画像の解析処理等を行う解析部18Cと、検出部14Bとを備える。解析部18B、解析部18C、及び検出部14Bは、それぞれ異なる装置に実装されていてもよく、また、1台の装置に実装されていてもよい。
【0075】
解析部18Bは、画像取得部11B、解像度判定部12B、画像サイズ変更部13B、時系列処理部15B、登録部16B、及び出力部17Bを備える。画像取得部11Bは撮影装置2Bが撮影した画像を表す画像データを取得する。解像度判定部12Bは、画像取得部11Bが取得した対象画像の解像度を、内部メモリ21Bに記憶された参照情報RIに基づき決定する。画像サイズ変更部13Bは、解像度判定部12Bが決定した解像度に応じて対象画像のデータサイズを変更する。画像サイズ変更部13Bは、データサイズを変更した対象画像を検出部14Bに供給する。
【0076】
検出部14Bは、画像サイズ変更部13Bから供給される対象画像、及び、画像サイズ変更部13Cから供給される対象画像から物体を検出する。検出部14Bが行う検出処理の詳細は、上述の例示的実施形態2に係る検出部14Aと同様である。
【0077】
時系列処理部15Bは、検出部14Bが対象画像から検出した物体を追跡することにより、検出した物体をフレーム間で時系列方向に同定する。登録部16Bは、対象画像からの検出部14Bによる検出結果、時系列処理部15Bによる解析結果、及び当該対象画像の撮影ズーム率等を示す情報を、参照情報RIとして内部メモリ21Bに記憶するとともに、解析部18Cに供給する。解析部18Cは、登録部16Bから供給された参照情報RIを内部メモリ21Cに記憶する。出力部17Bは、時系列処理部15Bによる解析結果を出力する。
【0078】
解析部18Cは、画像取得部11C、解像度判定部12C、画像サイズ変更部13C、時系列処理部15C、登録部16C、及び出力部17Cを備える。画像取得部11Cは撮影装置2Cが撮影した画像を表す画像データを取得する。解像度判定部12Cは、画像取得部11Cが取得した対象画像の解像度を、内部メモリ21Cに記憶された参照情報RIに基づき決定する。画像サイズ変更部13Cは、解像度判定部12Cが決定した解像度に応じて対象画像のデータサイズを変更する。画像サイズ変更部13Cは、データサイズを変更した対象画像を検出部14Bに供給する。
【0079】
時系列処理部15Cは、検出部14Bが対象画像から検出した物体を追跡することにより、検出した物体をフレーム間で時系列方向に同定する。登録部16Cは、対象画像からの検出部14Bによる検出結果、時系列処理部15Cによる解析結果、及び当該対象画像の撮影ズーム率等を示す情報を、参照情報RIとして内部メモリ21Cに記憶するとともに、解析部18Bに供給する。解析部18Bは、登録部16Cから供給された参照情報RIを内部メモリ21Bに記憶する。出力部17Cは、時系列処理部15Cによる解析結果を出力する。
【0080】
本例示的実施形態において、解像度判定部12Bは、撮影装置2Bが撮影した画像に対する解析結果だけでなく、撮影装置2Cが撮影した画像に対する解析結果及び/又は解析状況に基づき、対象画像の解像度を決定する。また、解像度判定部12Cは、撮影装置2Cが撮影した画像に対する解析結果だけでなく、撮影装置2Bが撮影した画像に対する解析結果及び/又は解析状況に基づき、対象画像の解像度を決定する。
【0081】
換言すると、解像度判定部12B及び解像度判定部12Cは、解析対象である撮影装置以外の撮影装置が撮影した画像に対する解析結果及び/又は解析状況に基づき、対象画像の解像度を決定する。ここで、他の撮影装置が撮影した画像に対する解析状況は、一例として、他の撮影装置の処理プロセスのハードウェア占有率を含む。この場合、解像度判定部12B及び解像度判定部12Cは一例として、他の撮影装置の撮影画像に対する解析処理に係るハードウェア占有率が高い場合に、負荷を下げるために解像度を下げる、といった制御を行う。
【0082】
また、他の例として、解像度判定部12B及び解像度判定部12Cは例えば、他の撮影装置による物体の検出数を用いて解像度を決定してもよい。他の撮影装置が撮影した画像における物体の検出数が多い場合、並列実行される時系列処理の計算量が多いことが予想される。そのため、解像度判定部12Aは一例として、他の撮影装置による物体の検出数が多い場合に、計算量を下げるために解像度を下げる、といった制御を行ってもよい。より具体的には、例えば、撮影装置2Bが撮影した過去Nフレーム内に物体の検出がない場合に解像度判定部12Bが対象画像の解像度を低くすることで、検出部14Bのスループットを向上させることができる。
【0083】
また、例えば、全ての撮影装置に映る物体の数の総数が予めわかっている場合において、他の撮影装置で検出された物体の数の合計値が上記総数に達している場合、解像度判定部12B及び解像度判定部12Cが低い解像度を決定する、といった制御を行ってもよい。
【0084】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1、1A、及び情報処理システム1B(以下「情報処理装置1等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0085】
後者の場合、情報処理装置1等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図10に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを情報処理装置1等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、情報処理装置1等の各機能が実現される。
【0086】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0087】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0088】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0089】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0090】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
(付記1)
撮影装置が撮影した画像を取得する取得手段と、前記取得手段が過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得手段が取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する決定手段と、前記対象画像のデータサイズを、前記決定手段が決定した解像度に応じて変更する変更手段と、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出手段と、前記対象画像からの前記検出手段による検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する登録手段と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【0091】
(付記2)
前記参照情報は、前記検出手段が前記対象画像から検出した物体の数及び大きさの少なくともいずれかを示す情報を含む、ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0092】
(付記3)
前記参照情報は、前記検出手段が検出した物体の数を示す情報を含み、前記決定手段は、前記参照情報の示す物体の数が閾値以上である場合、当該物体の数が閾値未満である場合よりも大きい解像度を決定する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0093】
(付記4)
前記検出手段は、前記対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、前記参照情報は、前記検出手段による処理結果を示す情報を含み、前記決定手段は、前記参照情報が画像に含まれる物体の数が時間の経過に伴って増加した旨を示す場合、増加した旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0094】
(付記5)
前記参照情報は、前記検出手段が検出した物体の大きさを示す情報を含み、前記決定手段は、前記参照情報の示す物体の大きさが閾値未満である場合、当該大きさが閾値以上である場合よりも大きい解像度を決定する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0095】
(付記6)
前記検出手段は、前記対象画像から検出した物体を時系列方向に同定し、前記参照情報は、前記検出手段による処理結果を示す情報を含み、前記決定手段は、前記参照情報が画像に含まれる物体の大きさが時間の経過に伴って小さくなった旨を示す場合、小さくなった旨を示さない場合よりも大きい解像度を決定する、ことを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0096】
(付記7)
前記検出手段は、前記対象画像を、画像を入力とし物体の検出結果を出力とする学習済モデルに入力することにより前記物体を検出する、ことを特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0097】
(付記8)
前記参照情報は、前記画像の撮影ズーム率を示す情報を含み、前記決定手段は、前記参照情報の示す撮影ズーム率が変化した場合、当該撮影ズーム率が変化していない場合よりも大きい解像度を決定する、ことを特徴とする付記1から7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0098】
(付記9)
少なくとも1つのプロセッサが、撮影装置が撮影した画像を取得することと、過去に取得された画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する工程において取得された、物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定することと、前記対象画像のデータサイズを、前記決定する工程において決定された解像度に応じて変更することと、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出することと、前記対象画像からの前記物体の検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶することと、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【0099】
(付記10)
コンピュータに、撮影装置が撮影した画像を取得する処理と、前記取得する処理において過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する処理において取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する処理と、前記対象画像のデータサイズを、前記決定する処理において決定した解像度に応じて変更する処理と、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する処理と、前記対象画像からの前記検出する処理における検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する処理と、を実行させるためのプログラム。
【0100】
(付記11)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、撮影装置が撮影した画像を取得する取得処理と、前記取得処理において過去に取得した画像からの物体の検出結果及び当該画像の撮影ズーム率、の少なくともいずれかを示す参照情報を記憶手段から読み出し、読み出した参照情報に基づき、前記取得する処理において取得した物体検出処理の対象である対象画像の解像度を決定する決定処理と、前記対象画像のデータサイズを、前記決定する処理において決定した解像度に応じて変更する変更処理と、前記データサイズが変更された対象画像から物体を検出する検出処理と、前記対象画像からの前記検出する処理における検出結果及び当該対象画像の撮影ズーム率の少なくともいずれかを示す情報を、前記参照情報として前記記憶手段に記憶する登録処理とを実行する情報処理装置。
なお、この情報処理装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記取得処理と、前記決定処理と、前記変更処理と、前記検出処理と、前記登録処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1、1A 情報処理装置
11 取得部
11A 画像取得部
12、12A 解像度判定部
12 決定部
13 変更部
13A 画像サイズ変更部
14、14A、14B 検出部
15、16A 登録部
15A 時系列処理部
17A 出力部
LM 学習済モデル
S1 情報処理方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10