(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085854
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】二次電池および二次電池加熱システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20240620BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240620BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240620BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/615
H01M10/6571
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200630
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】大渕 浩司
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031HH01
5H031KK03
(57)【要約】
【課題】温度のムラを抑制し、出力の低下を十分に抑制できる二次電池および二次電池加熱システムを提供する
【解決手段】二次電池10は、第1集電部1と、セパレータ3と、第2集電部2とを厚み方向に順に備える。第1集電部1は、第1負極活物質層11と、第1集電体層12と、第1正極活物質層13と、を厚み方向に順に備える。第2集電部2は、第2負極活物質層21と、第2集電体層22と、第2正極活物質層23と、を厚み方向に順に備える。第1ヒータ15は、第1集電体層12の一方面12Sに対して部分的に配置される。第2ヒータ24は、第2集電体層22の一方面22Sに対して部分的に配置される。第2ヒータ24は、セパレータ3に対して第1ヒータ15の反対側に位置する。第1ヒータ15は、非重複領域15Aを含む。非重複領域15Aは、厚み方向において、第1ヒータ15と第2ヒータ24とが重ならない領域である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1集電部と、セパレータと、第2集電部とを厚み方向において順に備え、
前記第1集電部は、第1負極活物質層と、第1集電体層と、第1正極活物質層と、を前記厚み方向において順に備え、
前記第2集電部は、第2負極活物質層と、第2集電体層と、第2正極活物質層と、を前記厚み方向において順に備え、
前記第1集電体層と、前記第2集電体層とは、前記厚み方向に投影したときに相重なり、
前記第1集電部は、前記厚み方向における前記第1集電体層の一方面または他方面に対して部分的に配置される第1ヒータであって、前記第1集電体層の通電により発熱可能な第1ヒータをさらに備え、
前記第2集電部は、前記厚み方向における前記第2集電体層の一方面または他方面に対して部分的に配置される第2ヒータであり、通電により発熱可能な第2ヒータであって、前記厚み方向において前記セパレータに対して前記第1ヒータの反対側に位置する第2ヒータをさらに備え、
前記第1ヒータは、前記厚み方向に投影したときに、前記第2ヒータと重ならない領域を含む、二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池と、
前記二次電池の表面温度を測定する温度センサと、
前記二次電池における第1ヒータを含む第1回路であって、第1電源と、前記第1電源の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する第1抵抗と、前記第1抵抗の電圧降下を測定可能な第1電圧センサと、第1回路を開閉可能な第1スイッチと、を備える第1回路と、
前記二次電池における第2ヒータを含む第2回路であって、第2電源と、前記第2電源の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する第2抵抗と、前記第2抵抗の電圧降下を測定可能な第2電圧センサと、第2回路を開閉可能な第2スイッチと、を備える第2回路と、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを開閉可能な制御部であって、前記温度センサと、前記第1電圧センサと、前記第1スイッチと、前記第2電圧センサと、前記第2スイッチとに接続される制御部と、を備える二次電池加熱システムであり、
前記制御部は、
前記温度センサにより測定された前記二次電池の表面温度が第1温度以下であるか否かを判断するステップ(1)と、
前記ステップ(1)によって、前記温度センサにより測定された前記二次電池の表面温度が第1温度以下であると判断された場合に、前記第1電源の駆動電圧および前記第1抵抗の電圧降下から前記第1ヒータの内部抵抗、および、前記第2電源の駆動電圧および前記第2抵抗の電圧降下から前記第2ヒータの内部抵抗を算出するステップ(2)と、
前記ステップ(2)によって算出された前記第1ヒータの内部抵抗から前記第1ヒータの温度、および、前記第2ヒータの内部抵抗から前記第2ヒータの温度を推定するステップ(3)と、
前記ステップ(3)により推定された前記第1ヒータの温度、および、前記推定プログラム(2)によって推定された前記第2ヒータの温度が、それぞれ、所定値以下であるか否かを判断するステップ(4)と、
前記ステップ(4)により前記第1ヒータの温度および前記第2ヒータの温度がそれぞれ所定値以下であると判断された場合に、前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値以上であるか否かを判断するステップ(5)と、
前記ステップ(5)によって前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値以上であると判断された場合に、低い方のヒータが加熱されるように前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを開閉するステップ(6)と、
前記ステップ(5)によって前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値未満であると判断された場合に、前記第1ヒータおよび前記第2ヒータがいずれも加熱されるように前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを閉じるステップ(7)と、を実行可能である、二次電池加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池および二次電池加熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
第1集電部と、セパレータと、第2集電部とを厚み方向において順に備える二次電池が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の二次電池では、第1集電部は、第1負極活物質層と、第1集電体層と、第1正極活物質層と、を厚み方向において順に備える。第2集電部は、第2負極活物質層と、第2集電体層と、第2正極活物質層と、を厚み方向において順に備える。
【0003】
そして、特許文献1に記載の二次電池では、第1集電部が、第1ヒータを備える。これによって、二次電池の出力の低下を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二次電池の出力の低下をより一層抑制したい要望がある。そこで、第2集電部に第2ヒータを備えることが試みられる。第2ヒータは、厚み方向において、第1ヒータと重なる領域のみを備える場合には、二次電池において、温度のムラを生じる。そうすると、出力の低下を十分に抑制できないという不具合がある。
【0006】
本発明は、温度のムラを抑制し、出力の低下を十分に抑制できる二次電池および二次電池加熱システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、第1集電部と、セパレータと、第2集電部とを厚み方向において順に備え、前記第1集電部は、第1負極活物質層と、第1集電体層と、第1正極活物質層と、を前記厚み方向において順に備え、前記第2集電部は、第2負極活物質層と、第2集電体層と、第2正極活物質層と、を前記厚み方向において順に備え、前記第1集電体層と、前記第2集電体層とは、前記厚み方向に投影したときに相重なり、前記第1集電部は、前記厚み方向における前記第1集電体層の一方面または他方面に対して部分的に配置される第1ヒータであって、前記第1集電体層の通電により発熱可能な第1ヒータをさらに備え、前記第2集電部は、前記厚み方向における前記第2集電体層の一方面または他方面に対して部分的に配置される第2ヒータであり、通電により発熱可能な第2ヒータであって、前記厚み方向において前記セパレータに対して前記第1ヒータの反対側に位置する第2ヒータをさらに備え、前記第1ヒータは、前記厚み方向に投影したときに、前記第2ヒータと重ならない領域を含む、二次電池を含む。
【0008】
本発明の二次電池では、第1ヒータは、厚み方向に投影したときに、第2ヒータと重ならない領域を含む。そのため、第1ヒータおよび第2ヒータを加熱しても、温度のムラが抑制される。そのため、二次電池は、出力の低下を十分に抑制できる。
【0009】
本発明[2]は、[1]に記載の二次電池と、前記二次電池の表面温度を測定する温度センサと、前記二次電池における第1ヒータを含む第1回路であって、第1電源と、前記第1電源の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する第1抵抗と、前記第1抵抗の電圧降下を測定可能な第1電圧センサと、第1回路を開閉可能な第1スイッチと、を備える第1回路と、前記二次電池における第2ヒータを含む第2回路であって、第2電源と、前記第2電源の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する第2抵抗と、前記第2抵抗の電圧降下を測定可能な第2電圧センサと、第2回路を開閉可能な第2スイッチと、を備える第2回路と、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを開閉可能な制御部であって、前記温度センサと、前記第1電圧センサと、前記第1スイッチと、前記第2電圧センサと、前記第2スイッチとに接続される制御部と、を備える二次電池加熱システムであり、前記制御部は、前記温度センサにより測定された前記二次電池の表面温度が第1温度以下であるか否かを判断するステップ(1)と、前記ステップ(1)によって、前記温度センサにより測定された前記二次電池の表面温度が第1温度以下であると判断された場合に、前記第1電源の駆動電圧および前記第1抵抗の電圧降下から前記第1ヒータの内部抵抗、および、前記第2電源の駆動電圧および前記第2抵抗の電圧降下から前記第2ヒータの内部抵抗を算出するステップ(2)と、前記ステップ(2)によって算出された前記第1ヒータの内部抵抗から前記第1ヒータの温度、および、前記第2ヒータの内部抵抗から前記第2ヒータの温度を推定するステップ(3)と、前記ステップ(3)により推定された前記第1ヒータの温度、および、前記推定プログラム(2)によって推定された前記第2ヒータの温度が、それぞれ、所定値以下であるか否かを判断するステップ(4)と、前記ステップ(4)により前記第1ヒータの温度および前記第2ヒータの温度がそれぞれ所定値以下であると判断された場合に、前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値以上であるか否かを判断するステップ(5)と、前記ステップ(5)によって前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値以上であると判断された場合に、低い方のヒータが加熱されるように前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを開閉するステップ(6)と、前記ステップ(5)によって前記第1ヒータおよび前記第2ヒータの温度差が所定値未満であると判断された場合に、前記第1ヒータおよび前記第2ヒータがいずれも加熱されるように前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを閉じるステップ(7)と、を実行可能である、二次電池加熱システムを含む。
【0010】
本発明の二次電池加熱システムでは、ステップ(6)において、ステップ(5)によって第1ヒータおよび第2ヒータの温度差が所定値以上であると判断された場合に、低い方のヒータが加熱されるように第1スイッチおよび第2スイッチを開閉する。すると、第1ヒータおよび第2ヒータの温度差を所定値未満とすることができる。そのため、温度のムラが抑制される。その結果、二次電池加熱システムは、出力の低下を十分に抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の二次電池および二次電池加熱システムは、温度のムラを抑制し、出力の低下を十分に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の二次電池の一実施形態の分解斜視図である。
【
図2】
図1に示す二次電池のXX線の断面図である。
【
図3】本発明の二次電池加熱システムの一実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1. 二次電池の一実施形態
図1および
図2を参照して、本発明の二次電池の一実施形態を説明する。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施形態では、二次電池10は、厚みを有する。二次電池10は、面方向に延びる。面方向は、厚み方向に直交する。二次電池10は、シート形状を有する。本実施形態では、二次電池10は、例えば、リチウム二次電池であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。
【0015】
1.1 二次電池10の層構成
二次電池10は、第1集電部1と、セパレータ3と、第2集電部2とを厚み方向において順に備える。二次電池10では、第1集電部1と、セパレータ3と、第2集電部2とは、厚み方向の一方側に向かって順に配置される。
【0016】
1.2 第1集電部1
第1集電部1は、面方向に延びる。第1集電部1は、シート形状を有する。
図2に示すように、第1集電部1は、第1負極活物質層11と、第1集電体層12と、第1正極活物質層13と、を厚み方向の一方側に向かって順に備える。
【0017】
1.2.1 第1負極活物質層11
第1負極活物質層11は、厚み方向における第1集電部1の他端部に配置される。第1負極活物質層11は、薄膜形状を有する。第1負極活物質層11の材料としては、例えば、炭素が挙げられる。
【0018】
1.2.2 第1集電体層12
第1集電体層12は、厚み方向における第1負極活物質層11の一方面に配置される。換言すれば、第1負極活物質層11は、厚み方向における第1集電体層12の他方面に配置される。第1集電体層12は、厚み方向における第1負極活物質層11の一方面に接触する。
【0019】
第1集電体層12は、シート形状を有する。第1集電体層12は、面方向に延びる。本実施形態では、第1集電体層12は、矩形状を有する。第1集電体層12の材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス、および、ニッケルが挙げられる。
【0020】
1.2.3 第1正極活物質層13
図2に示すように、第1正極活物質層13は、厚み方向における第1集電体層12の一方面に配置される。第1正極活物質層13は、第1集電体層12に対して第1負極活物質層11の反対側に配置される。第1正極活物質層13は、厚み方向における第1集電体層12の一方面の一部に接触する。第1正極活物質層13は、後述する第1ヒータ15が第1集電体層12に配置されるスペースが確保されるパターンを有する。第1正極活物質層13は、薄膜形状を有する。第1正極活物質層13の材料としては、例えば、リチウム複合酸化物が挙げられる。リチウム複合酸化物としては、例えば、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム、および、コバルト酸リチウムが挙げられる。
【0021】
1.3 セパレータ3
セパレータ3は、厚み方向において第1正極活物質層13の一方側に配置される。セパレータ3は、第1正極活物質層13に対して第1集電体層12の反対側に位置する。セパレータ3は、厚み方向における第1正極活物質層13の一方面に接触する。セパレータ3は、シート形状を有する。セパレータ3は、面方向に延びる。セパレータ3の材料としては、ガラス、セルロース、ポリオレフィン、および、ポリエステルが挙げられる。
【0022】
1.4 第2集電部2
第2集電部2は、厚み方向におけるセパレータ3の一方側に配置される。第2集電部2は、厚み方向におけるセパレータ3の一方面に配置される。第2集電部2は、第2負極活物質層21と、第2集電体層22と、第2正極活物質層23と、を厚み方向において順に備える。
【0023】
1.4.1 第2負極活物質層21
第2負極活物質層21は、厚み方向における第2集電部2の他端部に配置される。第2負極活物質層21は、厚み方向において、セパレータ3の一方面に配置される。第2負極活物質層21は、セパレータ3に対して第1正極活物質層13の反対側に配置される。第2負極活物質層21は、厚み方向において、セパレータ3の一方面に接触する。第2負極活物質層21の材料は、第1負極活物質層11の材料と同一である。
【0024】
1.4.2 第2集電体層22
第2集電体層22は、厚み方向における第2負極活物質層21の一方面に配置される。換言すれば、第2負極活物質層21は、厚み方向における第2集電体層22の他方面に配置される。第2集電体層22は、厚み方向における第2負極活物質層21の一方面に接触する。第2集電体層22は、第2負極活物質層21に対してセパレータ3の反対側に配置される。第2集電体層22は、面方向に延びる。第1集電体層12と、第2集電体層22とは、厚み方向に投影したときに、相重なる。第1集電体層12は、厚み方向において第2集電体層22と重なる領域(または領域のみ)を含む。第2集電体層22の形状は、第1集電体層12の形状と同一である。
【0025】
1.4.3 第2正極活物質層23
第2正極活物質層23は、厚み方向における第2集電体層22の一方面に配置される。第2正極活物質層23は、第2集電体層22に対して第2負極活物質層21の反対側に配置される。第2正極活物質層23は、厚み方向における第2集電体層22の一方面の一部に接触する。第2正極活物質層23は、後述する第2ヒータ24が第2集電体層22に配置されるスペースが確保されるパターンを有する。第2正極活物質層23の材料は、第1正極活物質層13の材料と同一である。
【0026】
1.5 第1ヒータ15および第2ヒータ24
第1集電部1は、第1ヒータ15をさらに備える。第2集電部2は、第2ヒータ24をさらに備える。
【0027】
第1ヒータ15は、厚み方向における第1集電体層12の一方面12Sまたは他方面に対して部分的に配置される。本実施形態では、第1ヒータ15は、厚み方向における第1集電体層12の一方面12Sに対して部分的に配置される。また、第1ヒータ15は、厚み方向におけるセパレータ3の他方面に配置される。第1ヒータ15は、通電により発熱可能である。第1ヒータ15は、例えば、電熱線である。
図1に示すように、本実施形態では、第1ヒータ15は、厚み方向に投影したときに、略+字形状を有する。第1ヒータ15の中央部15Cは、第1集電体層12の一方面12Sの中央部に配置される。
【0028】
本実施形態では、第1ヒータ15は、第1桟部151と、第2桟部152と、を備える。第1桟部151は、第1方向における一方面12Sの中央部に配置される。第1方向は、厚み方向に直交する。第1桟部151は、第2方向に沿う。第2方向は、厚み方向および第1方向に直交する。
【0029】
第2桟部152は、第2方向における一方面12Sの中央部に配置される。第2桟部152は、第1方向に沿う。第1桟部151は、第2桟部152との交点部分を有する。交点部分では、第1桟部151および第2桟部152が厚み方向において重なる。交点部分は、第1ヒータ15の中央部15Cに位置する。
【0030】
第2ヒータ24は、厚み方向における第2集電体層22の一方面22Sまたは他方面に対して部分的に配置される。本実施形態では、第2ヒータ24は、第2集電体層22は、厚み方向における第2集電体層22の一方面22Sに部分的に配置される。第2ヒータ24は、厚み方向におけるセパレータ3の一方面に配置される。第2ヒータ24は、通電により発熱可能である。本実施形態では、第2ヒータ24は、例えば、電熱線である。
図2に示すように、第2ヒータ24は、厚み方向においてセパレータ3に対して第1ヒータ15の反対側に位置する。第1方向(または第2方向)に投影した投影面において、第1ヒータ15と、セパレータ3と、第2ヒータ24とは、厚み方向において順に並ぶ。
【0031】
本実施形態では、第2ヒータ24は、厚み方向に投影したときに、略井桁形状を有する。第2ヒータ24は、第2集電体層22の一方面22Sの周端部に配置される。
図1に示すように、本実施形態では、第2ヒータ24は、2つの第3桟部241,242と、2つの第4桟部243,244と、を備える。
【0032】
第3桟部241は、第1方向における一方面22Sの一端部に配置される。第3桟部241は、第2方向に沿う。
【0033】
第3桟部242は、第1方向における一方面22Sの他端部に配置される。第3桟部242は、第1方向において第3桟部241と間隔が隔てられる。第3桟部241は、第2方向に沿う。
【0034】
第4桟部243は、第2方向における一方面22Sの一端部に配置される。第4桟部243は、第1方向に沿う。
【0035】
第4桟部244は、第2方向における一方面22Sの他端部に配置される。第4桟部244は、第2方向において第4桟部243と間隔が隔てられる。第4桟部244は、第1方向に沿う。
【0036】
第3桟部241は、第4桟部243との交点部分を有する。第3桟部241における交点部分は、第4桟部243と厚み方向において重なる。
【0037】
第3桟部241は、第4桟部244との交点部分を有する。第3桟部241における交点部分は、第4桟部244と厚み方向において重なる。
【0038】
第3桟部242は、第4桟部243との交点部分を有する。第3桟部242における交点部分は、第4桟部243と厚み方向において重なる。
【0039】
第3桟部242は、第4桟部244との交点部分を有する。第3桟部242における交点部分は、第4桟部244と厚み方向において重なる。
【0040】
上記した4つの交点部分は、一方面22Sにおける4つの隅部に位置する。
【0041】
そして、第1ヒータ15は、非重複領域15Aと、重複領域15Bと、を含む。非重複領域15Aは、
図1においてハッチングで示される。非重複領域15Aは、厚み方向において、第1ヒータ15と第2ヒータ24とが重ならない領域である。換言すれば、第1ヒータ15は、第2ヒータ24と配置が異なる。非重複領域15Aは、中央部15Cを含む。非重複領域15Aは、第2方向における第1桟部151の中間部と、第1方向における第2桟部152の中間部とを含む。中間部は、それぞれの桟部における両端部の間の領域である。
【0042】
重複領域15Bは、第2方向における第1桟部151の両端部と、第1方向における第2桟部152の両端部とを含む。
【0043】
1.6 第1絶縁膜、第2絶縁膜、および、外装材16
二次電池10は、第1集電部1、セパレータ3および第2集電部2に加えて、第1絶縁膜(図示せず)、第2絶縁膜(図示せず)、外装材16、および、電解液4をさらに備える。
【0044】
図示しない第1絶縁膜は、第1ヒータ15の表面に配置される。表面は、厚み方向における第1ヒータ15の一方面、他方面および周側面を含む。第1ヒータ15の他方面に配置される第1絶縁膜は、第1集電体層12と第1ヒータ15とを絶縁する。
【0045】
図示しない第2絶縁膜は、第2ヒータ24の表面に配置される。表面は、厚み方向における第2ヒータ24の一方面、他方面および周側面を含む。第2ヒータ24の他方面に配置される第2絶縁膜は、第2集電体層22と第2ヒータ24とを絶縁する。
【0046】
外装材16は、第1集電部1、第2集電部2と、次に説明する電解液4と、を収容する。なお、第1集電体層12および第2集電体層22のそれぞれの一部は、外装材16から露出してもよい。一部は、端子となる。
【0047】
電解液4は、上記した第1負極活物質層11、第1正極活物質層13、セパレータ3、第2負極活物質層21および第2正極活物質層23に接触する。電解液4と、第1ヒータ15との間には、第1絶縁膜(図示せず)が介在する。電解液4と、第2ヒータ24との間には、第2絶縁膜(図示せず)が介在する。電解液4としては、例えば、有機電解液が挙げられる。有機電解液は、例えば、有機溶媒およびリチウム塩を含む。
【0048】
二次電池10では、図示しないが、単数または複数の別の集電部が、厚み方向における第1集電部1の他方側、および、第2集電部2の一方側に積層(スタック)されてもよい。厚み方向において順に並ぶ正極活物質層、セパレータおよび負極活物質層からなる1つのユニットが、1つのセルを構成する。セルは、複数であってもよい。この二次電池10は、複数のセルを有してもよい。
【0049】
2. 二次電池加熱システム20
図3を参照して、上記した二次電池10を備える二次電池加熱システム20を説明する。
【0050】
図3に示すように、二次電池加熱システム20は、二次電池10(
図1および
図2参照)と、温度センサ5(
図2参照)と、第1回路6と、第2回路7と、制御部8と、を備える。
【0051】
2.1 温度センサ5
温度センサ5は、二次電池10の表面温度を測定する。本実施形態では、温度センサ5は、例えば、外装材16の表面(外表面)に配置される。
【0052】
2.2 第1回路6
第1回路6は、第1電源61と、第1ヒータ15と、第1抵抗62と、第1電圧センサ63と、第1スイッチ64と、を備える。
【0053】
第1電源61は、第1ヒータ15に電源を供給可能である。
【0054】
第1ヒータ15は、第1電源61に第1ライン65を介して直列接続される。
【0055】
第1抵抗62は、第1電源61の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する。第1抵抗62の抵抗値は、第1ヒータ15の内部抵抗に比べて、低い。第1抵抗62は、第1ヒータ15および第1電源61に第1ライン65を介して直列接続される。
【0056】
第1電圧センサ63は、第1抵抗62の電圧降下を測定可能である。第1電圧センサ63は、上記した第1抵抗62に第1ライン65を介して並列接続される。第1電圧センサ63は、例えば、電圧計である。
【0057】
第1スイッチ64は、第1回路6を開閉可能である。第1スイッチ64は、第1電源61および第1ヒータ15の間に介在する。
【0058】
2.3 第2回路7
第2回路7は、第2電源71と、第2ヒータ24と、第2抵抗72と、第2電圧センサ73と、第2スイッチ74と、を備える。
【0059】
第2電源71は、第2ヒータ24に電源を供給可能である。
【0060】
第2ヒータ24は、第2電源71に第2ライン75を介して直列接続される。
【0061】
第2抵抗72は、第2電源71の駆動に基づいて固有の電圧降下を有する。第2抵抗72は、第2ヒータ24および第2電源71に第2ライン75を介して直列接続される。
【0062】
第2電圧センサ73は、第2抵抗72の電圧降下を測定可能である。第2電圧センサ73は、上記した第2抵抗72に第2ライン75を介して並列接続される。第2電圧センサ73は、例えば、電圧計である。
【0063】
第2スイッチ74は、第2回路7を開閉可能である。第2スイッチ74は、第2電源71および第2ヒータ24の間に介在する。
【0064】
2.5 制御部8
制御部8は、第1スイッチ64および第2スイッチ74を開閉可能である。制御部8は、例えば、ECU(電子制御ユニット)である。制御部8は、温度センサ5(
図2参照)と、第1電圧センサ63と、第1スイッチ64と、第2電圧センサ73と、第2スイッチ74とに接続される。
【0065】
図4に示すように、制御部8は、ステップ(1)と、ステップ(2)と、ステップ(3)と、ステップ(4)と、ステップ(5)と、ステップ(6)と、ステップ(7)と、実行可能である。制御部8は、ステップ(1)-ステップ(7)を実行可能なプログラムが記憶されたメモリと、上記プログラムを実行可能な演算装置とを含む。
【0066】
2.5.1 ステップ(1)
ステップ(1)では、温度センサ5により測定された二次電池10の表面温度が第1温度T0以下であるか否かを判断する(S1)。第1温度T0は、二次電池10の放電性が低下する温度である。第1温度T0は、例えば、10℃以上、例えば、25℃以下である。
【0067】
2.5.2. ステップ(2)
ステップ(2)では、ステップ(1)によって、温度センサ5により測定された二次電池10の表面温度が第1温度T0以下であると判断された場合に(S1:Yes)、第1ヒータ15の内部抵抗、および、第2ヒータ24の内部抵抗を算出する(S2)。
【0068】
第1ヒータ15の内部抵抗は、第1電源61の駆動電圧および第1抵抗62の電圧降下から求められる。具体的には、第1ヒータ15の内部抵抗は、第1電源61の駆動電圧から第1抵抗62の電圧降下を差し引いて求められる。第1電源61の駆動電圧は、既知である。第1抵抗62の電圧降下は、第1電圧センサ63によって測定される。
【0069】
第2ヒータ24の内部抵抗は、第2電源71の駆動電圧および第2抵抗72の電圧降下から求められる。第2ヒータ24の内部抵抗は、第2電源71の駆動電圧から第2抵抗72電圧降下を差し引いて求められる。第2電源71の駆動電圧は、既知である。第2抵抗72の電圧降下は、第2電圧センサ73によって測定される。
【0070】
温度センサ5により測定された二次電池10の表面温度が第1温度T0超過であると判断された場合に(S1:No)には、制御部8は、第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度を制御しない。
【0071】
2.5.3 ステップ(3)
ステップ(3)では、ステップ(2)によって算出された第1ヒータ15の内部抵抗から第1ヒータ15の温度H1、および、第2ヒータの内部抵抗から第2ヒータの温度H2を推定する(S3)。
【0072】
第1ヒータ15の内部抵抗と、第1ヒータ15の温度H1とは、相関する。具体的には、第1ヒータ15の温度H1が低下すると、第1ヒータ15の内部抵抗が低下する。上記した相関関係に基づいて、第1ヒータ15の内部抵抗から、第1ヒータ15の温度H1を推定する。
【0073】
第2ヒータ24の内部抵抗と、第2ヒータ24の温度H2とは、相関する。具体的には、第2ヒータ24の温度H2が低下すると、第2ヒータ24の内部抵抗が低下する。上記した相関関係に基づいて、第2ヒータ24の内部抵抗から、第2ヒータ24の温度H2を推定する。
【0074】
2.5.4 ステップ(4)
ステップ(4)では、ステップ(3)により推定された第1ヒータ15の温度H1、および、推定プログラム(2)によって推定された第2ヒータ24の温度H2が、それぞれ、第2温度T2以下であるか否かを判断する(S4)。第2温度T2は、例えば、10℃以上、25℃以下である。
【0075】
2.5.5. ステップ(5)
ステップ(5)では、ステップ(4)により第1ヒータ15の温度H1および第2ヒータ24の温度H2がそれぞれ所定値以下であると判断された場合に(S4:Yes)、第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度差(|H1-H2|)が所定値以上であるか否かを判断する(S5)。所定値としては、例えば、5℃以上、20℃以下である。
【0076】
ステップ(4)により第1ヒータ15の温度H1および第2ヒータ24の温度H2がそれぞれ所定値以下であると判断された場合に(S4:No)、制御部8は、第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度を制御しない。
【0077】
2.5.6 ステップ(6)
ステップ(6)では、ステップ(5)によって第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度差が所定値以上であると判断された場合に(S5:Yes)、低い方のヒータが加熱されるように第1スイッチ64および第2スイッチ74を開閉する(S6)。具体的には、温度H1が温度H2より低い場合には、第1スイッチ64を閉じ、第2スイッチ74を開く。温度H2が温度H1より低い場合には、第1スイッチ64を開き、第2スイッチ74を閉じる。
【0078】
2.5.7 ステップ(7)
ステップ(7)では、ステップ(5)によって第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度差が所定値未満であると判断された場合に(S5:No)、第1ヒータ15および第2ヒータ24がいずれも加熱されるように第1スイッチ64および第2スイッチ74を閉じる(S7)。
【0079】
3. 一実施形態の作用効果
この二次電池10では、第1ヒータ15は、厚み方向に投影したときに、第2ヒータ24と重ならない非重複領域15Aを含む。そのため、第1ヒータ15および第2ヒータ24を加熱しても、温度のムラが抑制される。そのため、二次電池10は、出力の低下を十分に抑制できる。
【0080】
この二次電池加熱システム20では、ステップ(6)において、ステップ(5)によって第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度差(|H1-H2|)が所定値以上であると判断された場合に、低い方のヒータが加熱されるように第1スイッチ64および第2スイッチ74を開閉する。すると、第1ヒータ15および第2ヒータ24の温度差を所定値未満とすることができる。そのため、温度のムラが抑制される。その結果、二次電池加熱システム20は、出力の低下を十分に抑制できる。
【0081】
4.変形例
以下の変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、変形例は、特記する以外、一実施形態態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
【0082】
(1) 図示しないが、第1ヒータ15は、厚み方向において第1集電体層12の他方面に配置されていてもよい。
【0083】
第2ヒータ24は、厚み方向において第2集電体層22の他方面に配置されていてもよい。
【0084】
(2)
図5に示すように、二次電池10は、円柱形状を有してもよい。第1集電部1および第2集電部2は、巻回されている。この変形例の二次電池10は、第1集電部1および第2集電部2は、径方向の中心から外側に向かって、順に繰り返し配置される。
【0085】
(3)
図6に示すように、第1ヒータ15は、一方面12SにおいてX字形状を有してもよい。
【0086】
第1桟部151は、第3方向に沿う。第3方向は、面方向に含まれる。第3方向は、第1方向および第2方向に交差する。
【0087】
第2桟部152は、第4方向に沿う。第4方向は、面方向に含まれる。第4方向は、第1方向、第2方向および第3方向に交差する。例えば、第4方向は、第3方向に直交する。
【0088】
(4)
図7に示すように、第1ヒータ15および第2ヒータ24のそれぞれは、正弦波形状を有してもよい。第2ヒータ24の位相は、厚み方向に投影したときに、第1ヒータ15の位相とずれる。ずれの周期は、限定されない。この変形例では、第2ヒータ24は、例えば、第1ヒータ15と1/2周期ずれている。この場合には、第2ヒータ24が正弦(sin)曲線を有し、第1ヒータ15が、余弦(cos)曲線を有する。
【0089】
(5)
図8に示すように、第1ヒータ15は、複数の第1桟部151のみを備え、第2ヒータ24は、複数の第4桟部243のみを備える。
【0090】
複数の第1桟部151のそれぞれは、第1方向に延びる。複数の第1桟部151は、第2方向において互いに間隔が隔てられる。
【0091】
複数の第4桟部243のそれぞれは、第1方向に延びる。複数の第4桟部243は、第2方向において互いに間隔が隔てられる。
【0092】
そして、第1ヒータ15は、非重複領域15Aを備え、重複領域15Bを備えない。厚み方向に投影したときに、第1桟部151と、第4桟部243とは、第2方向において順に並ぶ。
【符号の説明】
【0093】
10 二次電池
1 第1集電部
11 第1負極活物質層
12 第1集電体層
13 第1正極活物質層
14 セパレータ
15 第1ヒータ
15A 非重複領域
2 第2集電部
21 第2負極活物質層
22 第2集電体層
23 第2正極活物質層
24 第2ヒータ
5 温度センサ
6 第1回路
61 第1電源
62 第1抵抗
63 第1電圧センサ
64 第1スイッチ
7 第2回路
71 第2電源
72 第2抵抗
73 第2電圧センサ
74 第2スイッチ
8 制御部
T0 第1温度
H1 温度(第1ヒータ)
H2 温度(第2ヒータ)