(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085866
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】包装機用温度制御装置及びこれを備えた包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65B51/10 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200655
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100193998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 純一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健二
(72)【発明者】
【氏名】勝 大樹
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA13
3E094CA02
3E094CA12
3E094DA07
3E094DA08
3E094EA03
3E094FA14
3E094GA01
3E094GA13
3E094GA23
3E094HA03
3E094HA06
(57)【要約】
【課題】 複数の包装機が設置された工場において最大需要電力を低減し得る、包装機用温度制御装置を提供する。
【解決手段】 温度制御装置10は、シール用のヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し、ヒータブロック7aを加熱するヒータ81,82の通電を制御する、包装機1の温度制御装置である。そして、温度制御装置10は、前段の包装機1aからオン信号ONを入力する入力手段としての信号線11と、後段の包装機1bへオン信号ONを出力する出力手段としての信号線12と、信号線11を介してオン信号ONを入力すると、ヒータ81,82に対して通電を開始し、ヒータブロック7aの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、信号線12を介してオン信号ONを出力する温度制御部13と、を備えたものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シール用のヒータブロックの温度を温度センサによって測定し、前記ヒータブロックを加熱するヒータの通電を制御する包装機用温度制御装置であって、
一の包装機からオン信号を入力する入力手段と、
前記一の包装機を除く他の一の包装機へ前記オン信号を出力する出力手段と、
前記入力手段を介して前記オン信号を入力すると、前記ヒータに対して通電を開始し、前記ヒータブロックの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、前記出力手段を介して前記オン信号を出力する温度制御部と、
を備えた包装機用温度制御装置。
【請求項2】
シール用のヒータブロックの温度を温度センサによって測定し、前記ヒータブロックを加熱するヒータの通電を制御する包装機用温度制御装置であって、
他の包装機からオン信号を入力する入力手段と、
前記入力手段を介して前記オン信号を入力すると、前記ヒータに対して通電を開始する温度制御部と、
を備えた包装機用温度制御装置。
【請求項3】
シール用のヒータブロックの温度を温度センサによって測定し、前記ヒータブロックを加熱するヒータの通電を制御する包装機用温度制御装置であって、
他の包装機へオン信号を出力する出力手段と、
前記ヒータに対して通電を開始し、前記ヒータブロックの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、前記出力手段を介して前記オン信号を出力する温度制御部と、
を備えた包装機用温度制御装置。
【請求項4】
前記入力手段は、前記一の包装機と接続され、前記オン信号を伝達する信号線であり、
前記出力手段は、前記他の一の包装機と接続され、前記オン信号を伝達する信号線である、
請求項1記載の包装機用温度制御装置。
【請求項5】
前記入力手段は、前記一の包装機から光又は電波からなる前記オン信号を受信する受信器であり、
前記出力手段は、前記他の一の包装機へ光又は電波からなる前記オン信号を送信する送信器である、
請求項1記載の包装機用温度制御装置。
【請求項6】
前記温度制御部は、複数の前記ヒータブロックの全ての温度が前記オン信号出力条件を満たした時に、前記出力手段を介して前記オン信号を出力する、
請求項1記載の包装機用温度制御装置。
【請求項7】
前記オン信号出力条件は、前記ヒータブロックの温度が前記ヒータブロックの設定温度又は設定温度よりも低い温度に達することである、
請求項1記載の包装機用温度制御装置。
【請求項8】
前記オン信号出力条件は、前記ヒータブロックの昇温速度が一定値以下になることである、
請求項1記載の包装機用温度制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つに記載の包装機用温度制御装置を備えた包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機に用いられる包装機用温度制御装置、及びこの包装機用温度制御装置を備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機の一例として縦型製袋充填包装機について説明する(特許文献1参照)。縦型製袋充填包装機は、縦型ピロー包装機とも呼ばれ、各種の産業分野で広く使用されている。縦型製袋充填包装機の動作の概要は、次のとおりである。まず、原反ロールから包装用フィルムを繰り出し、これを製袋器で筒状に成形する。続いて、この筒状フィルムを垂直下方に給送して、筒状フィルムの重合端縁部に縦シールを施し、これに製品を投入・充填する。続いて、製品と製品の間の位置で、筒状フィルムの幅方向に横シールを施す。最後に、当該横シールの中央部をカッタで切断することにより、袋内に製品が充填されたピロー包装体となる。
【0003】
縦型製袋充填包装機における各シール装置は、筒状フィルムまたはその重合端縁部を挟んで対向する一対のヒータブロックを有する。この一対のヒータブロックは、互いに接近・離間可能となっている。また、各ヒータブロックにはヒータブロック加熱用のヒータが内蔵されており、一対のヒータブロックで筒状フィルムまたはその重合端縁部の被シール部分を押圧した状態でヒータにより筒状フィルムに熱が加えられる。これにより、押圧された被シール部分の筒状フィルムが軟化して固着する。このようにして、横シール及び縦シールが施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
包装機に具備されたヒータ、モータ、制御機器などのうち、ヒータが最も多くの電力を消費する。ヒータへの供給電力は、ヒータブロックが低温の始動時が最も多く、ヒータブロックが設定温度に近づくにつれて少なくなる。そのため、複数の包装機が設置された工場では、それらの包装機が一斉に始動する始業時に最大需要電力となる。なお、需要電力(消費電力)とはある瞬間に必要な電力をいい、最大需要電力とはある期間(例えば1日)における最も大きい需要電力の値をいう。
【0006】
昨今、発電容量の増加を抑制するため、各工場における最大需要電力の低減が求められている。そこで、本発明の目的は、複数の包装機が設置された工場において最大需要電力を低減し得る、包装機用温度制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装機用温度制御装置は、
シール用のヒータブロックの温度を温度センサによって測定し、前記ヒータブロックを加熱するヒータの通電を制御する、包装機用温度制御装置であって、
一の包装機からオン信号を入力する入力手段と、
前記一の包装機を除く他の一の包装機へ前記オン信号を出力する出力手段と、
前記入力手段を介して前記オン信号を入力すると、前記ヒータに対して通電を開始し、前記ヒータブロックの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、前記出力手段を介して前記オン信号を出力する温度制御部と、
を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る包装機用温度制御装置によれば、一の包装機からオン信号を入力するとヒータに対して通電を開始し、ヒータブロックの温度がオン信号出力条件を満たすと他の包装機へオン信号を出力することにより、複数の包装機のヒータに対して時間をずらしながら通電を開始できるので、複数の包装機が設置された工場において最大需要電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。
【
図3】
図2におけるヒータブロックを示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態の温度制御装置をより具体的に示すブロック図である。
【
図5】第1の実施形態の温度制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施形態の温度制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】第1の実施形態の温度制御装置の効果を示す図表である。
【
図8】第2の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。
【
図9】第3の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
実施形態の説明では「包装機用温度制御装置」を単に「温度制御装置」と略称する。
図1は、第1の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。
図2は、包装機の一例を示す斜視図である。
図3は、ヒータブロックの一例を示す斜視図である。以下、
図1乃至
図3に基づき説明する。
【0011】
図2に示すように、包装機1は、原反ロールFrから繰り出される帯状フィルムFwを製筒器(フォーマ)3により筒状に曲成し、縦に配置された製袋充填筒4の外周面に沿って下方に送られる筒状フィルムFtの重合端縁部に縦シール装置6によって縦シールを施し、横シール装置7によって一定間隔で横シールを施し、これにより製品Prを収容可能な袋包装体Bpを連続して製造する縦型製袋充填包装機である。また、包装機1は、(後述する)包装機制御部を備えており、上記の一連の動作は、この包装機制御部によって制御される。以下、包装機1について更に詳しく説明する。
【0012】
包装機1には、帯状フィルムFwをロール状に巻き取った原反ロールFrが交換可能に装着されている。また、この原反ロールFrから繰り出される帯状フィルムFwの流れに沿った原反ロールFrの下流側には、帯状フィルムFwを案内するガイドロール2aと、テンション機構2bとが配置されている。テンション機構2bは、揺動方向2cに揺動可能になっており、最適のテンションを帯状フィルムFwに付与するように構成されている。テンション機構2bの更に下流側には、帯状フィルムFwを筒状に曲成する製筒器(フォーマ)3と、この製筒器3で曲成された筒状フィルムFtをその外周面上で下方へ案内する製袋充填筒4とが配置されている。
【0013】
製袋充填筒4は、内部が中空の筒状であり、この製袋充填筒4の上部には、上方から製品Prを投入する製品投入部4aが配置されている。さらに、製袋充填筒4の側面側には、筒状フィルムFtを下流に送るフィルム送り機構5と、縦シール装置6とが図示の位置関係で配置されている。フィルム送り機構5は、図示しないサーボモータを駆動源としている。縦シール装置6は、後述するヒータによって加熱される一対のヒータブロック6a,6bを有し、フィルム送り機構5による筒状包装材Ftの送り方向に沿って、筒状フィルムFtの重合端縁部に縦シールを施す。このとき、ヒータブロック6a,6bは、筒状フィルムFtの両端縁部に両側から加圧接触し、熱シールする。縦シール装置6は、図示しないサーボモータの駆動により、ヒータブロック6a,6bが互いに接近・離間する方向に移動可能となっている。
【0014】
縦シール装置6の下流側には、縦シール後の筒状フィルムFtを挟み込む位置に横シール装置7が配置されている。横シール装置7は、後述するヒータによって加熱される一対のヒータブロック7a,7bを有する。ヒータブロック7a,7bは、図示しないサーボモータの駆動により互いに接近・離間する方向に移動可能となっている。
横シール装置7は、横シールがすでに施されている筒状フィルムFtを下流側に上記所定の距離だけ送るとともに、筒状フィルムFtの内部に製品Prを投入した後のタイミングで、筒状包装材Ftの送り方向と直交する方向に沿って筒状フィルムFtに横シールを施す。このとき、ヒータブロック7a,7bは、筒状フィルムFtに両側から加圧接触して熱シールを行い、当該横シールの中央部をカッタで切断し、袋内に製品Prが充填された袋包装体Bpを製造する。
【0015】
図3に示すように、ヒータブロック7aは、全体としてほぼ直方体であり、直方体内部にはその長手方向に平行にヒータ収納孔71,72、温度センサ収納孔73、及び加熱面74が設けられてる。ヒータブロック7aは、ヒータ81,82をヒータ収納孔71,72にそれぞれ収納し、温度センサ83を温度センサ収納孔73に収納する。ヒータブロック7aの加熱面74は、ヒータブロック7bの加熱面に対向した状態で包装機1に設置される。ヒータ81,82は、例えばカンタル線、鉄クロム線又はニクロム線のような通電によって発熱する金属線が、セラミックス等からなる保護管に収納された棒状の構造を持つ。温度センサ83は、例えば二種類の異なる金属線を先端で接合した熱電対が、酸化マグネシウムやシリカ粉末とともに金属保護管に収納されたシース熱電対である。ヒータ81,82及び温度センサ83には、それぞれ二本ずつ導線が接続されている。
ヒータブロック6a,6b,7bについても、ヒータブロック7aとほぼ同様の構造になっている。ただし、ヒータブロック6a,6bの加熱面には、長手方向に延びる溝が存在しない。一方、ヒータブロック7a,7bの加熱面における長手方向に延びる溝の底側には、アクチュエータ駆動式のカッタ(図示せず)が設けられている。
【0016】
図1では、
図2に示すヒータブロック6a,6b,7a,7bのうち、便宜上ヒータブロック7aのみを示す。ただし、実際の温度制御装置10は、残りのヒータブロック6a,6b,7bについても、ヒータブロック7aと同様の温度制御を実行するようになっている。
図1に示すように、温度制御装置10は、シール用のヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し、ヒータブロック7aを加熱するヒータ81,82の通電を制御する、包装機1の温度制御装置である。そして、温度制御装置10は、一の(前段の)包装機1aからオン信号ONを入力する入力手段としての信号線11と、一の包装機1aを除く他の一の(後段の)包装機1bへオン信号ONを出力する出力手段としての信号線12と、信号線11を介してオン信号ONを入力すると、ヒータ81,82に対して通電を開始し、ヒータブロック7aの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、信号線12を介してオン信号ONを出力する温度制御部13と、を備えたものである。
【0017】
温度制御装置10は、複数のヒータブロック6a,6b,7a,7b(
図2参照)をそれぞれ独立に制御する場合、複数のヒータブロック6a,6b,7a,7bの全ての温度がオン信号出力条件を満たした時に、信号線12を介してオン信号ONを出力するようにしてもよい。このとき、オン信号出力条件は、複数のヒータブロック6a,6b,7a,7bの全ての温度がヒータブロック6a,6b,7a,7bの各設定温度(又は設定温度よりも低い温度)に達することとしてもよい。各設定温度は同じ場合もあるし異なる場合もある。各設定温度に達する時間もさまざまである。
【0018】
信号線11は、前段の包装機1aと接続され、オン信号ONを伝達する。信号線12は、後段の包装機1bと接続され、オン信号ONを伝達する。信号線11は前段の包装機1aの出力手段としての信号線12aを兼ねており、信号線12は後段の包装機1aの入力手段としての信号線11bを兼ねている。なお、包装機1,1a,1bの個数は、
図1では3台が直列的に接続されているが、温度制御装置10を有する包装機であれば何台接続してもよい。言い換えれば、温度制御装置10をそれぞれ別個に有する2台の包装機が直列的に接続されてもよく、温度制御装置10をそれぞれ別個に有する4台以上の包装機が直列的に接続されてもよい。信号線11,12は、例えば一般的な導線からなる。オン信号ONは、例えば電圧のハイレベル又はローレベルからなる。
【0019】
図4は、
図1の温度制御装置10をより詳しく示すブロック図である。以下、
図4を中心に説明する。
【0020】
温度制御部13は主制御部20とリレー30とを有し、主制御部20は包装機制御部14を介して信号線11,12と接続されている。主制御部20は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等からなるマイクロコンピュータを有し、通常の温度制御に加えオン信号ONを入出力する機能がコンピュータプログラムによって実現されている。つまり、温度制御装置10は通常の温度制御機能にオン信号出力機能が付加されたものである。リレー30は、例えばソリッドステートリレーであり、複数の半導体素子によって本体31及び接点32が構成されている。本体31には直流電源15からDC24Vが印加され、接点32には交流電源16からAC200Vが印加される。
【0021】
主制御部20は、オン信号入力端子21、設定温度入力端子22、測定温度出力端子23、警報出力端子24、オン信号出力端子25、ヒータ制御信号出力端子26及び測定温度入力端子27,28を備えている。オン信号入力端子21は、信号線11及び包装機制御部14を介してオン信号ONを入力する。設定温度入力端子22は、包装機制御部14からオペレータによって入力された設定温度を入力する。測定温度入力端子27,28は、温度センサ83で発生した起電力すなわち測定温度を入力する。測定温度出力端子23は、測定温度入力端子27,28から入力した測定温度を包装機制御部14へ出力する。包装機制御部14は、その測定温度をパネル等に表示してオペレータに知らせる。警報出力端子24は、測定温度入力端子27,28から入力した測定温度に異常がある場合に、警報信号を包装機制御部14へ出力する。包装機制御部14は、警報信号を入力すると、例えば音や光によって警報を発する。
【0022】
ヒータ制御信号出力端子26は、リレー30の本体31へヒータ81,82をオン・オフする信号を出力する。ヒータ制御信号出力端子26からヒータ81,82をオンする信号が出力されると、接点32が閉じて交流電源16からAC200Vがヒータ81,82へ供給される。一方、ヒータ制御信号出力端子26からヒータ81,82をオフする信号が出力されると、接点32が開いて交流電源16とヒータ81,82とが電気的に切り離される。
【0023】
包装機制御部14は、CPU、ROM、RAM、入出力インタフェース等からなるマイクロコンピュータを有し、前述の包装機1の動作を制御する機能がコンピュータプログラムによって実現されている。前段の包装機1aからオン信号ONを信号線11を経て包装機制御部14が入力すると、同時に温度制御部13も動作を開始する。オン信号出力端子25はオン信号ONを包装機制御部14へ出力し、包装機制御部14はそのオン信号ONを後段の包装機1bへ出力する。
【0024】
図5及び
図6は温度制御装置10の動作を示し、
図5はフローチャート、
図6はタイミングチャートである。
図6の横軸は時間tであり、
図6[A]の縦軸はヒータ81,82のオン・オフ、
図6[B]の縦軸は消費電力P[%]、
図6[C]の縦軸はヒータブロック7aの測定温度T[%]である。消費電力P[%]とは、ヒータ81,82の最大消費電力を100%とした場合の値である。測定温度T[%]とは、ヒータブロック7aの加熱前の測定温度T0を0%、設定温度T3を100%とした場合の値である。
【0025】
ここでは一例として、測定温度Tが0%、50%、80%、100%の値をそれぞれ測定温度T0,T1,T2,T3(設定温度)とする。測定温度T0,T1,T2,T3となる時間tを、それぞれ時間t0,t1,t2,t3とする。時間t0~t1,t1~t2,t2~t3,t3~のデューティ比を、それぞれ100%,50%,30%,10%とする。デューティ比[%]とは、
図6[A]におけるヒータ81,82の「オン時間/(オン時間+オフ時間)×100」である。下記の昇温速度とは、
図6[C]における温度曲線の傾き(ΔT/Δt)である。以下、ヒータブロック7aを代表的に温度制御する場合について、
図4乃至
図6を中心に説明する。
【0026】
まず、前段の包装機からオン信号ONを入力すると、温度制御装置10は温度制御機能及びオン信号出力機能の動作を開始する(
図5のステップS1、
図6の時間t0)。
【0027】
温度制御機能では、ヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し、その測定温度Tが設定温度T3になるようにヒータ81,82の通電を制御する(
図5のステップS10、
図6全体)。その制御には、一般的なPID制御等が使用される。通電が開始されると、概ね一次遅れ系の熱応答となるため、測定温度Tが高くなるつれて昇温速度及び消費電力Pのどちらも小さくなり、測定温度Tが設定温度T3に達すると昇温速度が0かつ消費電力Pが最低となる。詳しく例示すると、時間t0~t1(測定温度T0~T1)ではデューティ比が100%かつ消費電力Pが100%、時間t1~t2(測定温度T1~T2)ではデューティ比が50%かつ消費電力Pが50%、時間t2~t3(測定温度T2~T3)ではデューティ比が30%かつ消費電力Pが30%となる。時間t3以降は、設定温度T3を維持するため、デューティ比が10%かつ消費電力Pが10%となる。
【0028】
一方、オン信号出力機能では、ヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し(
図5のステップS2)、その測定温度Tが予め設定されたオン信号出力条件を満たすか否かを判断する(
図5のステップS3)。ここでは一例として、測定温度Tが設定温度T3に達することをオン信号出力条件としている。つまり、ステップS3では、測定温度Tが設定温度T3に達するか否かを判断する。測定温度Tが設定温度T3に達していなければ、ステップS2へ戻る。また、測定温度Tが設定温度T3に達していれば、オン信号ONを出力する(
図5のステップS4)。これでオン信号出力機能は終了するが、引き続き温度制御機能によって設定温度T3が維持され、包装機制御部14によって包装機1全体が動作を開始する。温度制御機能を含む包装機1の全ての動作は、例えば包装機1の電源スイッチ(図示せず)をオフすることにより終了する。
【0029】
次に、温度制御装置10の効果を説明する。なお、包装機1についても、温度制御装置10を備えたことにより、以下の効果を奏する。
【0030】
[1]前段の包装機1aからオン信号ONを入力するとヒータ81,82に対して通電を開始し、ヒータブロック7aの温度がオン信号出力条件を満たすと後段の包装機1bへオン信号を出力することにより、複数の包装機1,1a,1bの各ヒータ81,82,…に対して時間をずらしながら通電を開始できるので、複数の包装機1,1a,1bが設置された工場において最大需要電力を低減できる。
【0031】
このオン信号出力条件は、ヒータブロック7aの温度がヒータブロック7aの設定温度T3又は設定温度T3よりも低い温度(例えば測定温度T2又はT1)に達することである、としてもよく、又は、ヒータブロック7aの昇温速度が一定値以下になることである、としてもよい。この効果について、
図7を中心に更に詳しく説明する。
【0032】
図7は、温度制御装置10の効果を説明するための図表である。この効果をわかりやすくするため、
図1における包装機1,1bの構成を全く同じとし、包装機1,1bのみに限って単純化して説明する。
図7[A][D][G]は、包装機1の消費電力P(
図6[B])と同じグラフ(一部省略)であり、通電の開始時間が全て同じである。
図7[B][E][H]は、包装機1の後段に位置する包装機1bの消費電力Pのグラフであり、通電の開始時間が互いに異なっている。
図7[C][F][I]は、包装機1の消費電力Pと包装機1bの消費電力Pとの合計である。
【0033】
図7[A][B][C]は、オン信号ONを出力しない場合すなわち従来技術である。この場合、包装機1がヒータ81,82へ通電を開始すると同時に,包装機1bもヒータへの通電を開始するため(
図7[A][B])、これらの最大需要電力P0は200%になる(
図7[C])。
【0034】
図7[D][E][F]は、包装機1が時間t1でオン信号ONを出力する場合である。この場合、包装機1がヒータ81,82へ通電を開始してヒータブロック7aの温度が測定温度T1に達すると、オン信号ONを包装機1bへ出力し、包装機1bがヒータへの通電を開始する(
図7[D][E])。包装機1bの通電開始時に、包装機1の消費電力Pは50%に低下するので、これらの最大需要電力P1は150%になる(
図7[F])。
【0035】
図7[G][H][I]は、包装機1が時間t3でオン信号ONを出力する場合である。この場合、包装機1がヒータ81,82へ通電を開始してヒータブロック7aの温度が設定温度T3に達すると、オン信号ONを包装機1bへ出力し、包装機1bがヒータへの通電を開始する(
図7[G][H])。包装機1bの通電開始時に、包装機1の消費電力Pは10%に低下するので、これらの最大需要電力P3は110%になる(
図7[I])。
【0036】
このように、従来技術における最大需要電力P0(200%)に対して、測定温度T1でオン信号ONを出力すると最大需要電力P1(150%)、測定温度T3(T3>T1)でオン信号ONを出力すると最大需要電力P3(110%)となる。つまり、オン信号ONを出力する測定温度Tが高いほど、最大需要電力をより低減できる。また、オン信号ONを出力する測定温度Tが低いほど、包装機1,1b全体のヒータが設定温度T3に達するまでの時間を短縮できる。
【0037】
[2]入力手段及び出力手段は、オン信号ONを伝達する信号線11,12からなるとしてもよい。この場合は、温度制御装置10を備えた包装機1が何台あっても、信号線11,12をつなぐだけで全体の最大需要電力を低減できる。
【0038】
[3]入力手段及び出力手段は、信号線11,12に限らず、例えば光又は電波からなるオン信号を送受信する送受信器であるとしてもよい。この場合は、温度制御装置10を備えた包装機1が何台あっても、配線作業を要することなく全体の最大需要電力を低減できる。この送受信器は、例えば発光素子及び受光素子、又は市販の無線送受信器若しくは無線LANシステムなどである。
【0039】
[4]包装機1が複数のヒータブロック6a,6b,7a,7b(
図2)を有する場合、全てのヒータブロック6a,6b,7a,7bの温度がオン信号出力条件を満たした時(例えば設定温度に達した時)に、オン信号ONを出力する、としてもよい。この場合は、包装機1の全てのヒータへの供給電力が最低になってから後段の包装機1bのヒータがオンになるので、最大需要電力を最も低減できる。
【0040】
[5]最大需要電力を抑えることにより、電気の基本料金を下げることができるので、電気代を節約できる。
【0041】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。以下、
図8に基づき説明する。ただし、
図1と同じ部分については同じ符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0042】
温度制御装置10cは、シール用のヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し、ヒータブロック7aを加熱するヒータ81,82の通電を制御する、包装機1cの温度制御装置である。そして、温度制御装置10cは、他の(前段の)包装機1aからオン信号ONを入力する入力手段としての信号線11と、信号線11を介してオン信号ONを入力すると、ヒータ81,82に対して通電を開始する温度制御部13cと、を備えたものである。
【0043】
包装機1cは、信号線を介して直列的に接続された複数の包装機の末端に位置する。この場合、温度制御装置10cは後段の包装機へオン信号を出力する出力手段を不要とすることができる。つまり、温度制御装置10cは、出力手段を具備しない点及びオン信号を出力しない点で、第1の実施形態の温度制御装置(
図1)と異なる。
【0044】
温度制御装置10cによれば、前段の包装機1aからオン信号ONを入力するとヒータ81,82に対して通電を開始することにより、包装機1aのヒータに対して時間をずらしながらヒータ81,82の通電を開始できるので、複数の包装機1a,1cが設置された工場において最大需要電力を低減できる。温度制御装置10cのその他の構成、作用及び効果は第1の実施形態の温度制御装置(
図1)と同様である。
【0045】
<第3の実施形態>
図9は、第3の実施形態の温度制御装置を示すブロック図である。以下、
図9に基づき説明する。ただし、
図1と同じ部分については同じ符号を付すことにより重複説明を省略する。
【0046】
温度制御装置10dは、シール用のヒータブロック7aの温度を温度センサ83によって測定し、ヒータブロック7aを加熱するヒータ81,82の通電を制御する、包装機1dの温度制御装置である。そして、そして、温度制御装置10dは、他の(後段の)包装機1bへオン信号ONを出力する出力手段としての信号線12と、ヒータ81,82に対して通電を開始し、ヒータブロック7aの温度が予め設定されたオン信号出力条件を満たすと、信号線12を介してオン信号ONを出力する温度制御部13dと、を備えたものである。温度制御装置10dは、例えば包装機1dの電源スイッチ(図示せず)がオンになると、ヒータ81,82に対して通電を開始する。
【0047】
包装機1dは、信号線を介して直列的に接続された複数の包装機の先端に位置する。この場合、温度制御装置10dは前段の包装機からオン信号を入力する入力手段を不要とすることができる。つまり、温度制御装置10cは、入力手段を具備しない点及びオン信号を入力しない点で、第1の実施形態の温度制御装置(
図1)と異なる。
【0048】
温度制御装置10dによれば、ヒータ81,82に対して通電を開始し、ヒータブロック7aの温度がオン信号出力条件を満たすと、後段の包装機1bへオン信号を出力することにより、後段の包装機1bのヒータに対して時間をずらしながらヒータ81,82の通電を開始できるので、複数の包装機1d,1bが設置された工場において最大需要電力を低減できる。
【0049】
<他の実施形態>
図4において、主制御部20は包装機制御部14を介して信号線11,12と接続されていると説明したが、これに限定されない。主制御部20は、包装機制御部14を介さずに、信号線11,12と直接接続されてもよい。
【0050】
<その他>
以上、上記各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、上記各実施形態の一部又は全部を相互に組み合わせたものも本発明に含まれる。
【0051】
本発明が適用可能な包装機は、前述した縦型製袋充填包装機のみならず横型製袋充填包装機やその他の包装機であってもよい。例えば、ヘムシールと呼ばれる四隅に形成された飾りシールを有する、角筒状の包装体がある。この包装体を製造する包装機は、ヒータの数が一般的な包装機の三倍になるので好適である。
【符号の説明】
【0052】
1,1a,1b,1c,1d 包装機
6a,6b,7a,7b ヒータブロック
81,82 ヒータ
83 温度センサ
10,10c,10d 温度制御装置
11 信号線(入力手段)
12 信号線(出力手段)
13,13c,13d 温度制御部
20 主制御部
30 リレー
14 包装機制御部
15 直流電源
16 交流電源