(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008591
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】検査用コネクタ
(51)【国際特許分類】
G01R 1/06 20060101AFI20240112BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240112BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
G01R1/06 B
H01R13/639 Z
H05K9/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110585
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 葵
(72)【発明者】
【氏名】園田 富哉
【テーマコード(参考)】
2G011
5E021
5E321
【Fターム(参考)】
2G011AA15
2G011AC21
2G011AC33
2G011AF02
2G011AF03
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB11
5E021FB15
5E021FC36
5E021HA01
5E021HC12
5E021HC31
5E321AA23
5E321BB44
5E321GG11
(57)【要約】
【課題】第1コネクタと第2コネクタとが外れることを抑制することである。
【解決手段】検査用コネクタは、第1コネクタの先端に設けられている第1コネクタと、基板本体と基板本体の下主面に設けられている外部電極とを含んでいる回路基板と、基板本体の上主面に設けられている第2コネクタであって、第1コネクタ及び第2コネクタが上から下へとこの順に並ぶように、第1コネクタと結合される第2コネクタと、外部電極に接触し、かつ、基板本体の下主面の下に位置するように回路基板に支持されている信号端子であって、第1コネクタ、第2コネクタ及び回路基板を介して、ケーブルの信号線に電気的に接続されている信号端子と、回路基板に固定されておりかつ、第1コネクタに対して下方向の力を付与する加圧部材と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線を含むケーブルと、
前記ケーブルの先端に設けられている第1コネクタと、
上主面及び下主面を有する基板本体と、前記基板本体の下主面に設けられている外部電極と、を含んでいる回路基板と、
前記基板本体の前記上主面に設けられている第2コネクタであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが上から下へとこの順に並ぶように、前記第1コネクタと結合される第2コネクタと、
前記外部電極に接触し、かつ、前記基板本体の前記下主面の下に位置するように前記回路基板に支持されている信号端子であって、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ及び前記回路基板を介して、前記信号線に電気的に接続されている信号端子と、
前記回路基板に固定されており、かつ、前記第1コネクタに対して下方向の力を付与する加圧部材と、
を備えている、
検査用コネクタ。
【請求項2】
前記検査用コネクタは、
前記加圧部材と前記第1コネクタとの間に位置する弾性部材を、
更に備えている、
請求項1に記載の検査用コネクタ。
【請求項3】
前記弾性部材の材料は、電磁波吸収体である、
請求項2に記載の検査用コネクタ。
【請求項4】
前記加圧部材は、前記回路基板に接触している、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【請求項5】
前記信号端子は、前記回路基板から下方向に延びる棒形状を有している、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【請求項6】
前記信号端子は、上下方向に伸縮可能である、
請求項5に記載の検査用コネクタ。
【請求項7】
前記回路基板
1以上のグランドプローブと、
上下方向に見て、前記信号端子の周囲を囲んでいるグランド部材と、
を更に備えており、
前記1以上のグランドプローブの上端は、前記回路基板に接触しており、
前記1以上のグランドプローブの下端は、前記グランド部材に接触しており、
前記1以上のグランドプローブは、前記回路基板から下方向に延びる棒形状を有しており、かつ、上下方向に伸縮可能である、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【請求項8】
前記1以上のグランドプローブの数は、複数であり、
前記複数のグランドプローブは、上下方向に見て、前記信号端子の周囲に位置している、
請求項7に記載の検査用コネクタ。
【請求項9】
前記ケーブルは、同軸ケーブルである、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【請求項10】
前記第1コネクタは、複数の端子が配列された構造を有している、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号の測定に用いられる検査用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検査用コネクタに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載のプローブが知られている。プローブは、実装基板、フレキシブル基板、接続コネクタ、反対側コネクタ及び測定用コネクタを備えている。実装基板は、上主面及び下主面を有している。反対側コネクタは、実装基板の上主面に実装されている。接続コネクタは、反対側コネクタに結合されている。フレキシブル基板の先端は、接続コネクタに接続されている。測定用コネクタは、実装基板の下主面に実装されている。
【0003】
このようなプローブは、フレキシブル基板が上下方向に移動できる。そして、電子機器の検査時には、フレキシブル基板が下方向に移動させられる。これにより、測定用コネクタは、電子機器のコネクタに結合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のプローブは、接続コネクタと反対側コネクタとの結合が外れる場合がある。具体的には、接続コネクタ及び反対側コネクタは、実装基板と共に上方向又は下方向に移動する。接続コネクタは、フレキシブル基板に接続されている。そのため、実装基板が下方向に移動すると、接続コネクタがフレキシブル基板により上方向に引っ張られる。その結果、接続コネクタと反対側コネクタとの結合が外れる場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、第1コネクタと第2コネクタとが外れることを抑制できる検査用コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る検査用コネクタは、
信号線を含むケーブルと、
前記ケーブルの先端に設けられている第1コネクタと、
上主面及び下主面を有する基板本体と、前記基板本体の下主面に設けられている外部電極と、を含んでいる回路基板と、
前記基板本体の前記上主面に設けられている第2コネクタであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが上から下へとこの順に並ぶように、前記第1コネクタと結合される第2コネクタと、
前記外部電極に接触し、かつ、前記基板本体の前記下主面の下に位置するように前記回路基板に支持されている信号端子であって、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ及び前記回路基板を介して、前記信号線に電気的に接続されている信号端子と、
前記回路基板に固定されており、かつ、前記第1コネクタに対して下方向の力を付与する加圧部材と、
を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る検査用コネクタによれば、第1コネクタと第2コネクタとが外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、検査用コネクタ10の斜視図である。
【
図2】
図2は、検査用コネクタ10の斜視図である。
【
図3】
図3は、検査用コネクタ10の上部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、検査用コネクタ10の中部の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、検査用コネクタ10の中部の分解斜視図である。
【
図6】
図6は、検査用コネクタ10の下部の分解斜視図である。
【
図7】
図7は、検査用コネクタ10の動作説明のための検査用コネクタ10の断面図である。
【
図8】
図8は、検査用コネクタ10の動作説明のための検査用コネクタ10の断面図である。
【
図9】
図9は、検査用コネクタ10の動作説明のための検査用コネクタ10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
[検査用コネクタ10の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る検査用コネクタ10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2は、検査用コネクタ10の斜視図である。
図3は、検査用コネクタ10の上部の分解斜視図である。
図4及び
図5は、検査用コネクタ10の中部の分解斜視図である。
図6は、検査用コネクタ10の下部の分解斜視図である。
【0011】
本明細書では、プローブ130が延びる方向を上下方向と定義する。上下方向に直交する方向を左右方向及び前後方向と定義する。左右方向は、前後方向と直交している。なお、上下方向、左右方向及び前後方向は、説明の便宜上定義した方向である。従って、上下方向、左右方向及び前後方向は、検査用コネクタ10の使用時の上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。また、上方向と下方向とが入れ替わってもよいし、左方向と右方向とが入れ替わってもよいし、前方向と後方向とが入れ替わってもよい。
【0012】
検査用コネクタ10は、スマートフォン等の電子機器内を伝送される高周波信号の測定に用いられる。まず、検査用コネクタ10の上部の構造について説明する。検査用コネクタ10は、
図1ないし
図3に示すように、ハウジング104、フランジ106、スプリング108、ナット110、加圧部材112及び弾性部材113を備えている。
【0013】
ハウジング104は、
図3に示すように、ハウジング本体104a及びストッパ104bを含んでいる。ハウジング本体104aは、上下方向に延びる中心軸線を有する円筒形状を有している。
【0014】
ストッパ104bは、ハウジング本体104aの上端に設けられている。ストッパ104bは、上主面及び下主面を有する板形状を有している。ストッパ104bは、上下方向に見て、ハウジング本体104aから前後方向及び左右方向に突出している。
【0015】
フランジ106は、
図3に示すように、貫通孔Haが設けられた板状部材である。フランジ106は、上下方向に見たときに、長方形状を有する。フランジ106は、
図1に示すように、ハウジング104の上端部近傍に配置される。貫通孔Haは、フランジ106を上下方向に貫通している。貫通孔Haの直径は、ハウジング本体104aの直径より大きい。ただし、フランジ106の貫通孔Haの直径は、ストッパ104bの前後方向の長さ及びストッパ104bの左右方向の長さより小さい。そのため、ストッパ104bは、貫通孔Haを下方向に向かって通過できない。
【0016】
ナット110は、上下方向に見て、円環形状を有する部材である。ナット110は、フランジ106の下に位置している。ハウジング本体104aは、ナット110を上下方向に貫通している。ナット110は、ハウジング本体104aに沿って上下方向に移動できる。
【0017】
このようなハウジング104、フランジ106及びナット110は、導電性の高い金属により作製されている。ハウジング104、フランジ106及びナット110は、例えば、SUSにより作製されている。
【0018】
スプリング108は、フランジ106及びナット110に接触している弾性体である。具体的には、スプリング108の上端は、フランジ106の下面に接触している。スプリング108の下端は、ナット110に接触している。また、ハウジング本体104aは、スプリング108内を上下方向に延びている。
【0019】
加圧部材112は、
図3に示すように、加圧部材本体112a及び加圧部材突起112bを含んでいる。加圧部材本体112aは、直方体形状を有している。加圧部材本体112aの上面には、穴Hbが設けられている。穴Hbは、上下方向に見て円形状を有している。穴Hbの直径は、ハウジング本体104aの直径と一致している。ハウジング本体104aは、穴Hbに挿入されている。これにより、加圧部材112は、ハウジング本体104aの下端部に固定されている。加圧部材112の加圧部材本体112aの下面は、後述する回路基板114に接触している。
【0020】
加圧部材突起112bは、加圧部材本体112aの前面から前方向に突出している。加圧部材突起112bの下端は、加圧部材本体112aの下面より上に位置している。以上のような加圧部材の材料は、例えば、SUSである。
【0021】
弾性部材113は、加圧部材突起112bの下端に設けられているシートである。弾性部材113の材料は、高周波信号を減衰させる電波吸収体である。弾性部材113の材料は、金属、フェライト又はカーボン粉を含む導電性を有するスポンジ又はゴムである。
【0022】
次に、検査用コネクタ10の中部について説明する。検査用コネクタ10は、
図1、
図4及び
図5に示すように、回路基板114、支持部材116L,116R、ピン118L,118R、第1コネクタ120、第2コネクタ122及びケーブル124a,124b,125a,125bを更に備えている。
【0023】
回路基板114は、
図4ないし
図6に示すように、基板本体114a及び複数の外部電極114bを含んでいる。なお、
図6では、代表的な外部電極114bのみに参照符号を付した。
【0024】
基板本体114aは、上主面SU及び下主面SDを有している。基板本体114aは、複数の絶縁体層が上下方向に積層された構造を有している。また、基板本体114aの表面及び内部に設けられている導体層、及び、絶縁体層を上下方向に貫通する層間接続導体により、基板本体114a内に電気回路が設けられている。複数の外部電極114bは、
図6に示すように、基板本体114aの下主面SDに設けられている。
【0025】
ケーブル124a,124bは、信号線及びグランド導体を含む同軸ケーブルである。グランド導体は、信号線の周囲を囲んでいる。信号線とグランド導体とは、互いに絶縁されている。ケーブル124a,124bは、基板本体114aの上主面SU上において前後方向に延びている。信号線には、高周波信号が伝送される。グランド導体は、グランド電位に接続される。
【0026】
第1コネクタ120は、ケーブル124a,124bの先端に設けられている。第1コネクタ120は、複数の端子が配列された構造を有している。第2コネクタ122は、基板本体114aの上主面SUに設けられている。第2コネクタ122は、複数の端子が配列された構造を有している。第2コネクタ122は、第1コネクタ120及び第2コネクタ122が上から下へとこの順に並ぶように、第1コネクタ120と結合されている。これにより、第1コネクタ120の複数の端子は、第2コネクタ122の複数の端子に接触する。
【0027】
また、加圧部材112の加圧部材突起112bは、第1コネクタ120の上に位置している。従って、加圧部材突起112bは、上下方向に見て、第1コネクタ120と重なっている。また、弾性部材113は、加圧部材112の加圧部材突起112bと第1コネクタ120との間に位置している。弾性部材113は、加圧部材突起112b及び第1コネクタ120の両方に接触している。
【0028】
ケーブル125a,125bは、信号線及びグランド導体を含む同軸ケーブルである。グランド導体は、信号線の周囲を囲んでいる。信号線とグランド導体とは、互いに絶縁されている。ケーブル125a,125bは、基板本体114aに対して半田により固定されている。信号線には、高周波信号が伝送される。グランド導体は、グランド電位に接続される。
【0029】
支持部材116L,116Rのそれぞれは、左主面及び右主面を有する板形状を有している。支持部材116Lは、回路基板114の左に位置している。支持部材116Lには、上下方向に長軸を有する楕円形状の貫通孔HLが設けられている。支持部材116Rは、回路基板114の右に位置している。支持部材116Rには、上下方向に長軸を有する楕円形状の貫通孔HRが設けられている。
【0030】
ピン118Lは、貫通孔HLを左右方向に貫通している。ピン118Lの右端部は、加圧部材112の左面に固定されている。ピン118Rは、貫通孔HRを左右方向に貫通している。ピン118Rの左端部は、加圧部材112の右面に固定されている。
【0031】
次に、検査用コネクタ10の下部について説明する。検査用コネクタ10は、
図6に示すように、複数のプローブ130、複数のグランドプローブ132、プローブ保持部材134,プローブ保持部材136及びグランド部材138を更に備えている。
【0032】
複数のプローブ130は、回路基板114から下方向に延びる棒形状を有している信号端子である。なお、
図6では、代表的なプローブ130のみに参照符号を付した。複数のプローブ130は、上下方向に伸縮可能できる。そのため、複数のプローブ130の下端が上方向に押されると、複数のプローブ130が上下方向に縮む。ただし、複数のプローブ130の構造は、一般的な構造であるので説明を省略する。以上のような複数のプローブ130の材料は、例えば、黄銅である。
【0033】
複数のプローブ130の上端のそれぞれは、複数の外部電極114bに接触している。これにより、一部のプローブ130は、第1コネクタ120、第2コネクタ122及び回路基板114を介して、ケーブル124a,124bの信号線に電気的に接続されている。残部のプローブ130は、回路基板114を介して、ケーブル125a,125bの信号線に電気的に接続されている。
【0034】
プローブ保持部材134は、上面及び下面を有する板形状を有している。そして、プローブ保持部材134の上面は、基板本体114aの下主面に接触している。プローブ保持部材134には、複数の貫通孔haが設けられている。複数の貫通孔haは、プローブ保持部材134を上下方向に貫通している。複数のプローブ130は、複数の貫通孔haを上下方向に貫通している。これにより、プローブ保持部材134は、複数のプローブ130を保持している。
【0035】
プローブ保持部材136は、プローブ保持部材134の下に位置している。プローブ保持部材136は、プローブ保持部材本体136a及びプローブ保持部材突起部136bを含んでいる。プローブ保持部材本体136aは、上主面及び下主面を有する板形状を有している。プローブ保持部材本体136aは、上下方向に見て長方形状を有している。ただし、プローブ保持部材本体136aには、複数の貫通孔heが設けられている。複数の貫通孔heは、プローブ保持部材本体136aを上下方向に貫通している。
【0036】
プローブ保持部材突起部136bは、プローブ保持部材本体136aから下方向に突出している。プローブ保持部材突起部136b及びプローブ保持部材本体136aには、複数の貫通孔hbが設けられている。複数の貫通孔hbは、プローブ保持部材突起部136b及びプローブ保持部材本体136aを上下方向に貫通している。複数のプローブ130のそれぞれは、複数の貫通孔hbを上下方向に貫通している。これにより、プローブ保持部材136は、複数のプローブ130を保持している。
【0037】
以上のようなプローブ保持部材136は、ねじにより回路基板114及び加圧部材112に固定される。このとき、プローブ保持部材134は、回路基板114とプローブ保持部材136とにより周囲を囲まれる。よって、プローブ保持部材134は、プローブ保持部材136と共に回路基板114及び加圧部材112に固定される。したがって、プローブ130は、プローブ保持部材134,136を介して回路基板114に支持されている。すなわち、プローブ130は、基板本体114aの下主面SDの下に位置するように回路基板114に支持されている。
【0038】
また、ねじが締め付けられるときに、弾性部材113が加圧部材112と第1コネクタ120とにより上下方向から挟まれる。そして、弾性部材113が上下方向に圧縮される。その結果、加圧部材112は、弾性部材113を介して第1コネクタ120に対して下方向の力を付与している。
【0039】
プローブ保持部材134,136の材料は、絶縁材料である。プローブ保持部材134,136の材料は、例えば、PEEK(芳香族ポリエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマ)、PFA(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンの共重合体)である。
【0040】
グランド部材138は、プローブ保持部材136の下に位置している。グランド部材138は、上下方向に見て、長方形状を有している。グランド部材138は、左右方向に見て、U字形状を有している。グランド部材138には、貫通孔Hcが設けられている。貫通孔Hcは、グランド部材138を上下方向に貫通している。プローブ保持部材突起部136bは、貫通孔Hc内に位置している。これにより、グランド部材138は、上下方向に見て、複数のプローブ130(信号端子)の周囲を囲んでいる。
【0041】
グランド部材138は、ねじにより支持部材116L,116Rに固定されている。以上のようなグランド部材138の材料は、例えば、SUSである。
【0042】
複数のグランドプローブ132は、上下方向に見て、複数のプローブ130の周囲に位置している。複数のグランドプローブ132は、回路基板114から下方向に延びる棒形状を有しているグランド端子である。複数のグランドプローブ132のそれぞれは、複数の貫通孔heを上下方向に貫通している。これにより、複数のグランドプローブ132は、プローブ保持部材136により保持されている。そして、複数のグランドプローブ132の上端は、回路基板114のグランド電極(図示せず)に接触している。複数のグランドプローブ132の下端は、グランド部材138に接触している。よって、複数のグランドプローブ132及びグランド部材138は、グランド電位に接続されている。
【0043】
複数のグランドプローブ132は、上下方向に伸縮可能である。そのため、複数のグランドプローブ132の下端が上方向に押されると、複数のグランドプローブ132が上下方向に縮む。これにより、複数のグランドプローブ132は、回路基板114に対してグランド部材138を下方向に押している。ただし、複数のグランドプローブ132の構造は、一般的な構造であるので説明を省略する。以上のような複数のグランドプローブ132の材料は、例えば、黄銅である。
【0044】
[検査用コネクタ10の動作]
次に、検査用コネクタ10の動作について図面を参照しながら説明する。
図7ないし
図9は、検査用コネクタ10の動作説明のための検査用コネクタ10の断面図である。
【0045】
まず、
図7に示すように、検査用コネクタ10をコネクタ500の上にセットする。このとき、複数のプローブ130は、グランド部材138から下方向に突出していない。
【0046】
次に、
図8に示すように、検査用コネクタ10を下降させて、検査用コネクタ10をコネクタ500に接触させる。このとき、フランジ106が下方向の力を受けて、スプリング108が縮む。そのため、スプリング108は、ナット110を下方向に押す。その結果、加圧部材112は、スプリング108からナット110を介して下方向の力を受ける。更に、加圧部材112は、回路基板114及びプローブ保持部材134,136に対して下方向の力を付与する。
【0047】
次に、
図9に示すように、検査用コネクタ10を更に下降させると、複数のグランドプローブ132が上下方向に縮む。そして、プローブ保持部材136が下降して、プローブ保持部材136がグランド部材138に接触する。このとき、複数のプローブ130は、プローブ保持部材136と共に下方向に移動する。その結果、複数のプローブ130は、グランド部材138から下方向に突出する。これにより、複数のプローブ130は、コネクタ500内の複数の信号端子に接触する。
【0048】
[効果]
検査用コネクタ10によれば、第1コネクタ120と第2コネクタ122とが外れることを抑制できる。より詳細には、検査用コネクタ10は、第1コネクタ120の上に位置している。更に、加圧部材112は、第1コネクタ120に対して下方向の力を付与する。そのため、第1コネクタ120は、加圧部材112により第2コネクタ122に押さえつけられている。その結果、第1コネクタ120は、第2コネクタ122に強固に結合する。よって、検査用コネクタ10によれば、第1コネクタ120と第2コネクタ122とが外れることを抑制できる。
【0049】
検査用コネクタ10は、回路基板114及び第1コネクタ120の両方に下方向の力を適切に付与できる。より詳細には、基板本体114aの上主面SUの上下方向の位置は、第1コネクタ120の上面の上下方向の位置と異なる。そのため、加圧部材112が回路基板114及び第1コネクタ120の両方に接触することは難しい。そこで、加圧部材本体112aの下面が回路基板114に接触し、かつ、加圧部材突起112bの下端と第1コネクタ120の上面との間にわずかな隙間が形成されるように、加圧部材112が設計される。そして、弾性部材113は、加圧部材112と第1コネクタ120との間に位置するように配置される。これにより、このわずかな隙間が弾性部材113により埋められる。その結果、検査用コネクタ10は、回路基板114及び第1コネクタ120の両方に下方向の力を適切に付与できる。
【0050】
検査用コネクタ10では、加圧部材112は、回路基板114に接触している。これにより、第1コネクタ120に大きな力が加わることが抑制される。その結果、第1コネクタ120の破損が抑制される。
【0051】
検査用コネクタ10では、弾性部材113の材料が電磁波吸収体であるので、第1コネクタ120から放射されるノイズが弾性部材113により吸収される。また、第1コネクタ120に侵入しようとするノイズが弾性部材113により吸収される。
【0052】
検査用コネクタ10では、弾性部材113の材料が電磁波吸収体であるので、加圧部材112と第1コネクタ120との間に容量が形成されにくくなる。その結果、加圧部材112と第1コネクタ120との間に形成される容量によって共振が発生することが抑制される。
【0053】
検査用コネクタ10によれば、第1コネクタ120の上、左及び右には、加圧部材112が存在する。これにより、第1コネクタ120は、加圧部材112により保護される。
【0054】
検査用コネクタ10では、複数のグランドプローブ132は、上下方向に見て、複数のプローブ130の周囲に配置されている。これにより、複数のプローブ130から検査用コネクタ10にノイズが放射されることが抑制される。また、複数のプローブ130にノイズが侵入することが抑制される。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明に係る検査用コネクタは、検査用コネクタ10に限らずその要旨の範囲内において変更可能である。
【0056】
なお、検査用コネクタ10は、複数のプローブ130の代わりに複数の信号端子を含んでいるコネクタを備えていてもよい。このコネクタは、コネクタ500と結合する。
【0057】
なお、検査用コネクタ10において、加圧部材112は、回路基板114に接触しなくてもよい。
【0058】
なお、検査用コネクタ10において、複数のグランドプローブ132は、必須の構成要件ではない。この場合、プローブ保持部材136が支持部材116L,116Rに固定される。そして、グランド部材138は不要である。
【0059】
なお、検査用コネクタ10において、弾性部材113は、必須の構成要件ではない。この場合、加圧部材112の加圧部材突起112bは、第1コネクタ120に直接に接触する。この場合、加圧部材本体112aの下面と回路基板114との間に弾性部材が設けられてもよい。
【0060】
なお、検査用コネクタ10において、加圧部材112の材料は絶縁性材料であってもよい。また、加圧部材112の一部の材料は、絶縁性材料であり、加圧部材112の残部の材料は、導電性材料であってもよい。この場合、加圧部材112の残部は、加圧部材112において第1コネクタ120に接触する部分からナット110に接触する部分までを繋いでいる。その結果、加圧部材112の残部には、グランド電流が流れるようになる。
【0061】
本発明は、以下の構造を有する。
【0062】
(1)
信号線を含むケーブルと、
前記ケーブルの先端に設けられている第1コネクタと、
上主面及び下主面を有する基板本体と、前記基板本体の下主面に設けられている外部電極と、を含んでいる回路基板と、
前記基板本体の前記上主面に設けられている第2コネクタであって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタが上から下へとこの順に並ぶように、前記第1コネクタと結合される第2コネクタと、
前記外部電極に接触し、かつ、前記基板本体の前記下主面の下に位置するように前記回路基板に支持されている信号端子であって、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ及び前記回路基板を介して、前記信号線に電気的に接続されている信号端子と、
前記回路基板に固定されており、かつ、前記第1コネクタに対して下方向の力を付与する加圧部材と、
を備えている、
検査用コネクタ。
【0063】
(2)
前記検査用コネクタは、
前記加圧部材と前記第1コネクタとの間に位置する弾性部材を、
更に備えている、
(1)に記載の検査用コネクタ。
【0064】
(3)
前記弾性部材の材料は、電磁波吸収体である、
(2)に記載の検査用コネクタ。
【0065】
(4)
前記加圧部材は、前記回路基板に接触している、
(1)ないし(3)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0066】
(5)
前記信号端子は、前記回路基板から下方向に延びる棒形状を有している、
(1)ないし(4)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0067】
(6)
前記信号端子は、上下方向に伸縮可能である、
(5)に記載の検査用コネクタ。
【0068】
(7)
前記回路基板
1以上のグランドプローブと、
上下方向に見て、前記信号端子の周囲を囲んでいるグランド部材と、
を更に備えており、
前記1以上のグランドプローブの上端は、前記回路基板に接触しており、
前記1以上のグランドプローブの下端は、前記グランド部材に接触しており、
前記1以上のグランドプローブは、前記回路基板から下方向に延びる棒形状を有しており、かつ、上下方向に伸縮可能である、
(1)ないし(6)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0069】
(8)
前記1以上のグランドプローブの数は、複数であり、
前記複数のグランドプローブは、上下方向に見て、前記信号端子の周囲に位置している、
(7)に記載の検査用コネクタ。
【0070】
(9)
前記ケーブルは、同軸ケーブルである、
(1)ないし(8)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【0071】
(10)
前記第1コネクタは、複数の端子が配列された構造を有している、
(1)ないし(9)のいずれかに記載の検査用コネクタ。
【符号の説明】
【0072】
10:検査用コネクタ
104:ハウジング
104a:ハウジング本体
104b:ストッパ
106:フランジ
108:スプリング
110:ナット
112:加圧部材
112a:加圧部材本体
112b:加圧部材突起
113:弾性部材
114:回路基板
114a:基板本体
114b:外部電極
116L,116R:支持部材
118L,118R:ピン
120:第1コネクタ
122:第2コネクタ
124a,124b,125a,125b:ケーブル
130:プローブ
132:グランドプローブ
134,136:プローブ保持部材
136a:プローブ保持部材本体
136b:プローブ保持部材突起部
138:グランド部材
500:コネクタ
Hb:穴
SD:下主面
SU:上主面
HL,HR,Ha,Hc,ha,hb,he:貫通孔