(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085932
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】学習支援システム及び学習支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20240620BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240620BHJP
G09B 19/06 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
G09B5/06
G06Q50/10
G09B19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200722
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】722012327
【氏名又は名称】勝箭 翔平
(72)【発明者】
【氏名】勝箭 翔平
(72)【発明者】
【氏名】京極 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小杉 祐介
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2C028AA03
2C028BA00
2C028BA03
2C028BB01
2C028BB06
2C028BC01
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】リスニング問題のような学習支援システム及び学習支援プログラムにおいて、回答者であるユーザが音声データの話者を識別可能である学習支援システム及びプログラムを提供すること。
【解決手段】リスニング問題の音声データに登場する話者の外見や名前などを図表示部163に表示し、音声データにおいて話者の発言している区間では話者を示す図に枠163aを付けるなどする。これによりユーザは話者が誰なのかを視覚的に把握可能となる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを読み込み、出力装置に音声を出力する再生手段と、
前記音声データに関連した図を表示部に表示する図表示手段と、
前記音声データに関連した問題を前記表示部に表示する問題表示手段と、
前記問題に対する回答を入力するための回答入力手段と、を有し、
前記図表示手段は前記音声データの再生位置に応じて表示内容を変更することを特徴とする学習支援プログラム。
【請求項2】
前記図表示手段を用いて表示する前記図は、前記音声データにおける話者の外見または属性の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の学習支援プログラム。
【請求項3】
前記問題表示手段を用いて表示する問題は、前記話者の外見に関連した情報または前記属性の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至2に記載の学習支援プログラム。
【請求項4】
前記図表示手段は、少なくとも前記問題が前記表示部に表示されている間は前記図を常に表示する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3に記載の学習支援プログラム。
【請求項5】
前記図表示手段は、前記表示部に表示される図表示切替部材を更に有し、
前記図表示切替部材の操作に応じて前記図の表示状態を切り替えることを特徴とする請求項1乃至4に記載の学習支援プログラム。
【請求項6】
前記再生手段は、前記表示部に表示される音声操作部材を更に有し、
前記音声操作部材の操作に応じて前記音声データの再生状態または再生位置を変更することを特徴とする請求項1乃至5に記載の学習支援プログラム。
【請求項7】
前記再生手段は、少なくとも前記問題が前記表示部に表示されている間は前記音声操作部材を常に表示する制御を行うこと特徴とする請求項6に記載の学習支援プログラム。
【請求項8】
前記再生手段は、前記表示部に表示される操作部表示切替部材を更に有し、
前記操作部表示切替部材の操作に応じて、前記音声操作部材の表示状態を切り替えることを特徴とする請求項6乃至7に記載の学習支援プログラム。
【請求項9】
表示部を備えるクライアント端末と、
前記クライアント端末と通信により接続可能なサーバ装置と、を有する学習支援システムにおいて、
前記クライアント端末は、
サーバと通信する通信手段と、
音声データを読み込み、出力装置に音声を出力する再生手段と、
前記音声データに関連した図を前記表示部に表示する図表示手段と、
前記音声データに関連した問題を前記表示部に表示する問題表示手段と、
前記問題に対する回答を入力するための回答入力手段と、を有し、
前記図表示手段は前記音声データの再生位置に応じて表示内容を変更することを特徴とする学習支援システム。
【請求項10】
前記図表示手段を用いて表示する前記図は前記話者の外見または属性の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項9に記載の学習支援システム。
【請求項11】
前記問題表示手段を用いて表示する問題は、前記話者の外見に関連した情報または前記属性の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項9乃至10に記載の学習支援システム。
【請求項12】
前記図表示手段は、少なくとも前記問題が前記表示部に表示されている間は前記図常に表示する制御を行うことを特徴とする請求項9乃至11に記載の学習支援システム。
【請求項13】
前記図表示手段は、前記表示部に表示される図表示切替部材を更に有し、
前記図表示切替部材の操作に応じて前記図の表示状態を切り替えることを特徴とする請求項9乃至11に記載の学習支援システム。
【請求項14】
前記再生手段は、前記表示部に表示される音声操作部材を更に有し、
前記音声操作部材の操作に応じて前記音声データの再生状態または再生位置を変更することを特徴とする請求項9乃至13に記載の学習支援システム。
【請求項15】
前記再生手段は、少なくとも前記問題が前記表示部に表示されている間は前記音声操作部材を常に表示する制御を行うこと特徴とする請求項14に記載の学習支援システム。
【請求項16】
前記再生手段は、前記表示部に表示される操作部表示切替部材を更に有し、
前記操作部表示切替部材の操作に応じて、前記音声操作部材の表示状態を切り替えることを特徴とする請求項14乃至15に記載の学習支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リスニング問題を用いた学習支援システム及び学習支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、主に外国語の能力を開発及び測定する方法の一つとして、リスニング問題が広く普及している。一般的なリスニング問題はスピーチ、説明、会話のような音声を聞き、これらの音声に関連した問題を解く構成となっている。このようなリスニング問題の試験を実施する装置として個別試験実施装置開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の個別試験実施装置においては、話者の属性、名前が分かりにくいという課題がある。この為、例えば会話文の場合、話者を男性及び女性とし、「女性は何をしようとしているか?」のような話者の性別を用いた問題にすることが一般的である。ただし、3人以上の会話や同性同士の会話においては前記課題が解決されない。
【0005】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は回答者であるユーザが音声データの話者を識別可能である学習支援システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決すため、本発明の学習支援プログラムは、音声データを読み込み、出力装置に音声を出力する再生手段と、前記音声データに関連した図を表示部に表示する図表示手段と、前記音声データに関連した問題を前記表示部に表示する問題表示手段と、前記問題に対する回答を入力するための回答入力手段と、を有し、前記図表示手段は前記音声データの再生位置に応じて表示内容を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザは音声データの聞き取りと同時に、話者の情報を視覚的に得ることが可能となる。ゆえに問題文の中に話者の名前や属性が埋め込まれていてもユーザは問題の内容を理解することが可能となる。これにより、発話者が多い音声や、発話者の声質が似ている音声なども問題に使用することができ、ユーザに多様なリスニング問題を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る学習支援システムの構成を表す図である。
【
図2】本発明に係るクライアント端末の構成を表すブロック図である。
【
図3】本発明に係る学習支援プログラムの操作手順を表すフローチャートである。
【
図4】本発明に係る学習支援プログラムの画面遷移を説明する図である。
【
図5】本発明に関わる学習支援プログラムチュートリアルの実行の処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明に関わる問題回答画面表示の画面を説明する図である。
【
図7】本発明に関わる解答解説表示の画面を説明する図である。
【
図8】本発明に関わる成績確認画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る学習支援システム(以下、「本システム」と呼ぶ)及び学習支援プログラム(以下、「本プログラム」と呼ぶ)について図面を参照して説明する。
【0010】
本説明において、問題における正解値を「解答」と呼び、ユーザが入力した答えを「回答」と呼ぶ。すなわち回答と解答が一致したときに、ユーザはその問題に正解したことになる。但し、回答と解答が部分的に一致した場合も一種の正解として扱っても良い。
【0011】
図1は本実施形態に係る学習支援システムの構成を表す図である。ユーザはクライアント端末100(以下、単に「端末」と呼ぶ)を操作して学習を行う。端末100は無線通信や、ネットワークNなどの通信手段によってサーバ装置としてのクラウドサーバ200及びデータベースサーバ300に接続可能である。端末100の具体例として、例えば、パーソナルコンピューターやスマートフォン、タブレットが挙げられる。
【0012】
クラウドサーバ200はHTMLファイル、CSSファイル、画像ファイル、音声ファイルなどのコンテンツを保持し、ユーザや管理者の要求に応じてコンテンツの追加、取得、編集、削除などを行う。
【0013】
各コンテンツはHTTP通信により取得することができる。また、各コンテンツはユーザごとにアクセス権を設定することも可能であり、例えばユーザの契約プランに応じてアクセス可能なコンテンツを制限することができる。これにより本システムでは契約プランに応じてアクセス可能な問題の数を変更することができる。
【0014】
データベースサーバ300は用途に合わせた複数のテーブルを備え、ユーザや管理者の要求に応じてデータの追加、取得、編集、削除などを行う。具体的には、出題する問題の大問に係る大問テーブル、出題する問題の小問に係る小問テーブル、音声データに係る音声テーブル、ログインや決済などに使用されるユーザ情報テーブル、ユーザごとの回答情報などを保持する回答テーブルなどを有する。
【0015】
大問テーブルは問題のタイトル、問題文のテキスト、問題のジャンルを示すタグ、ユーザからの評価スコア、作成日、などの属性(フィールド)を持つ。
【0016】
小問テーブルは関連する大問のID、問題文のテキスト、問題を解くために必要な技能を示す技能タグ、難易度、問題の解答、解説のテキスト、などの属性を持つ。技能タグは例えば把握、比較、推測、傾聴などのような問題を解くときに必要となる技能を一般化して表現したものである。
【0017】
音声テーブルは、音声ファイルのパス、図表ファイルのパス、音声に含まれる各話者の発言区間、などの属性を持つ。
【0018】
回答テーブルは、関連する小問のID、ユーザID、ユーザの回答、得点、などの属性を持つ。
【0019】
但し、データベースの形式は限定されるものではなく、データを永続化できれば手段は問わない。
【0020】
クラウドサーバ200とデータベースサーバ300は同一のコンピュータでも良い。あるいは、テーブル毎にデータベースサーバ300を分けるなどしても良い。また、クラウドサーバ200及びデータベースサーバ300が保持する情報を予め端末に記憶させておき、特段の通信をせずに端末100のみで処理が完結する構成であってもよい。
【0021】
図2は端末100の構成を示すブロック図である。端末100はCPU(Central Processing Unit)101と、主記憶装置102、補助記憶装置103、DMAC104、入力装置107、出力装置105、通信装置106などがバスに接続されて構成されている。補助記憶装置103にはOS(Operating System)やアプリケーションなどのプログラムが記憶されており、CPU101はこれらのプログラムを主記憶装置102へ展開し、読み込み、実行することで制御を行う。
【0022】
DMAC(Direct Memory Access Controller)104はCPU101を経由せずに周辺機器から主記憶装置102にデータを読み込みまたは書き込みするための装置である。
【0023】
通信装置106は有線または無線で端末100外部の装置と通信するための装置であり、例えば、5G通信やWi-Fi(商標登録)通信が可能な装置である。通信装置106はCPU101の制御に従って外部にデータを送信したり、あるいは外部からデータを受信したりする。取得したデータはCPU101へ伝達したり、DMAC104を用いて直接主記憶装置102に記憶したりする。
【0024】
本システムにおいては、通信装置106はネットワークNを介して
図1に記載のクラウドサーバ200やデータベースサーバ300と通信を行う。
【0025】
出力装置105はディスプレイ105aとスピーカ105bを備える。ディスプレイ105aは液晶パネルや有機ELパネルなどで構成されており、CPU101の制御に従って各種情報を視覚的に表示する。スピーカ105bはCPU101の制御に従って音声データを再生する。スピーカ105bは必ずしも端末100に内蔵されている必要はなく、有線またはBluetooth(商標登録)などの無線で接続されたヘッドホン、外部スピーカなどを用いて音声データを再生する構成であっても良い。
【0026】
入力装置107はディスプレイ105aに表示された内容に基づいてユーザがCPU101へ情報を渡すために使用され、その具体例としてはタッチパネル、キーボード、マウスなどが挙げられる。
【0027】
補助記憶装置103にはウェブブラウザまたは本システムを利用するための専用アプリケーションの少なくとも1つが記憶されている。これらのアプリケーションは端末100の製造時に記憶させても良いし、ユーザが端末100を入手後にCD-RやUSBフラッシュメモリのようなメディアやインターネットを経由してインストールしても良い。
【0028】
ユーザがこれらのアプリケーションを起動するとCPU101が本プログラムを主記憶装置102に展開し処理を開始する。CPU101の制御に基づいて通信装置106がクラウドサーバ200やデータベースサーバ300に対してネットワークNを用いてHTTPリクエストを発行し、各種データを取得する。取得したデータはCPU101またはDMAC104を用いて主記憶装置102に記憶される。
【0029】
記憶されたデータを用いてCPU101は出力装置105に出力する情報を用意し、出力装置105がユーザにむけて情報を出力する。ユーザはディスプレイ105aの表示内容やスピーカ105bから再生される音声ファイルの内容を確認し、入力装置107を用いて本プログラムの操作を行う。
【0030】
図3及び
図4を用いて本プログラムの基本的な操作フローを説明する。
図3は本実施形態に係る学習支援プログラムの操作手順を示すフローチャートである。
図4は本実施形態に係る学習支援システムの画面遷移を説明する図である。
【0031】
ステップS1において、ユーザが本システムを初めて利用するユーザであるか否かを判定する。判定方法は例えば、ユーザのログイン状態を確認してログインされていない場合は新規ユーザと判定方法する方法や、予めアクセスすべきURLを分けておき、このURLに基づいて判定する方法などがある。新規ユーザである場合、ステップS2へ進み
図4(a)のメイン画面を表示する。
【0032】
メイン画面はランディングページのようなウェブページであったり、専用アプリケーションの起動時に表示される画面であったりする。メイン画面の誘導に従ってボタン140を押下してユーザはステップS3へ進み、チュートリアルを行う。チュートリアルの詳細は後述する。
【0033】
チュートリアルが完了するとユーザはステップS4へ進み会員登録を行う。その後はステップS5へと進み、既存ユーザと同様のフローになる。
【0034】
ステップS5では
図4(b)に示すログイン画面が表示される。ユーザはユーザIDやメールアドレスなどのユーザ識別子及びパスワードをフォーム141に入力してボタン142を押下することでログイン処理を行う。ログイン処理は二段階認証などを用いてセキュリティを高めてもよい。但し、チュートリアルを省略して会員登録を行う場合や、すでに登録済みのユーザに対して誤ってメイン画面を表示した場合に備えて、ステップS2からステップS4またはステップS5に遷移可能な経路を持たせても良い。
【0035】
ログインが完了するとステップS6に進み、
図4(c)に示すモードを選択する画面を表示する。この画面に表示される複数のボタン143からの入力をもとにステップS7でモード毎に処理を分岐させる。「終了」が選択されると、ステップS8へ進み、アプリケーションは終了する。ただし、終了処理はモード選択画面以外からでも可能であり、端末100毎に決められているブラウザを閉じる操作や、アプリケーションを閉じる操作でも代替可能である。
【0036】
ステップS7で「問題を解く」が選択されるとステップS9~S11へと進む。最初にステップS9において、端末100はデータベースサーバ300から問題情報を取得し、ディスプレイ105aに複数の問題を表示する。表示内容はデータベースサーバ300の大問テーブルに基づき、問題のタイトルや問題のジャンルなどを表示する。また、表示する問題は新着順に所定の数だけ選択したり、ユーザの検索条件に応じて選択したり、データベースサーバ300の回答テーブルをもとにユーザ毎に最適な問題を選択したりしてもよい。ユーザは表示された複数の問題の中から自身が学習したい問題を選択しステップS10へと進む。
【0037】
ステップS10では選択された問題の詳細情報をデータベースサーバ300の小問テーブルおよび音声テーブルから取得し、音声ファイルや図表をクラウドサーバ200から取得する。これらのサーバから取得した情報をもとに問題回答用の画面を表示する。ユーザはこの画面でリスニング問題を解く。
【0038】
回答の入力が終わるとステップS11へ進む。ステップS11では各問題の解答及び解説を表示すると同時に、ユーザの回答の採点を行い、その結果をデータベースサーバ300の回答テーブルに記憶する。
【0039】
回答の記憶が完了するとステップS12へ進む。ステップS12では過去の回答を集計して得られる成績を表示する。表示する成績の種類には各問題に割り当てられている技能タグごとに回答率や正解率を図示したものや、技能タグをもとに推定されるユーザの特徴などがある。
【0040】
ユーザが成績を確認するとステップS7へと戻る。以降、終了処理が行われるまで上記の処理を繰り返し行う。
【0041】
ステップS12はステップS11からの遷移の他に、ステップS7から遷移する経路も備える。これによりユーザはあらかじめ自身の成績を確認した上で解く問題を選択することが可能となる。
【0042】
続いて
図5を用いて
図3のステップS3のチュートリアル実行について詳しく説明する。
図5はステップS3のチュートリアル実行の処理を示すフローチャートである。
【0043】
チュートリアルを開始すると、まずステップS31でチュートリアル用の問題を読み込む。チュートリアル用の問題はあらかじめ決められた1問以上の大問及び、該大問に付随する小問により構成される。チュートリアル用の問題は用意されているすべての技能タグのうち、あらかじめ決められた複数の技能タグを含む問題から抜粋される。
【0044】
問題の読み込みが完了するとステップS32に進み、読み込んだ問題のすべてが回答されているかを判定する。すべての問題が回答済みになるとステップ35へ進み未回答の問題がある場合はステップS33へ進む。
【0045】
ステップS33では未回答の問題のうちの1問を表示する。ユーザの回答が終わるとステップS34へ遷移し、回答した問題の解答及び解説を確認する。その後ステップS32へ戻る。
【0046】
ステップS35ではチュートリアルの中で解いた問題の回答を集計し、その成績を表示する。チュートリアルでは測定する技能タグを限定することで、集計する成績も限定している。
【0047】
このような構成にすることでユーザはチュートリアルを通じて幾つかの問題を解くことで、会員登録をせずとも本システムが提供する問題の特徴、出題形式、難易度などを知ることができる。加えて、チュートリアルで回答する問題の数が限られていても集計対象とする技能タグにおいては一定の精度を持って成績を提示することが可能となる。
【0048】
次に、
図6を用いて
図3のステップS9及び
図5のステップS33に示す問題回答画面表示について詳細に説明する。両者は同一モジュールを流用しており、多くの構成は共通となっている。
【0049】
問題回答画面は問題の内容説明を行うガイダンス部161と音声データを制御する再生手段の一部であり、音声データをユーザが操作するための音声操作部材としての操作部162、音声データの話者を表す図表を表示する図表示手段としての図表示部163、問題を表示する問題表示手段としての問題表示部165、ユーザが回答を入力する回答入力手段としての回答入力部166から構成される。
【0050】
表示部160の上段にはガイダンス部161が配置される。ガイダンス部161には音声データに含まれる会話の場所や着目点など、問題を解く前に予めユーザが把握しておくべきことを表示する。
【0051】
上段にガイダンス部161を表示することで、ユーザは始めに問題の内容を確認してこの問題を解くかを判断することが可能となる。
【0052】
ガイダンス部161に次いで操作部162及び図表示部163が表示される。操作部162及び図表示部163は一体となってプレイヤーユニット164を構成する。操作部162は音声データの再生を開始する再生ボタン162a、再生中の音声データを停止する停止ボタン162b、所定の時間先送りする先送りボタン162c、所定の時間時間を巻き戻す巻き戻しボタン162dを有する。これらのボダンを操作することで再生手段によって音声データを制御可能となる。
【0053】
操作部162のインターフェースは問題の特性に応じて適宜選択すれば良い。例えば再生ボタン162aのみを表示させて、一度再生を開始すると音声データを止められない構成や、スライダー(不図示)を用いて任意の再生位置に直接移動できる構成、再生中は再生ボタン162aを非表示にして停止中は停止ボタンを非表示にする構成などにしても良い。あるいは、一切の操作部材を表示せず、操作部162は自動的に音声データを再生し、ユーザからの操作は受け付けない構成であってもよい。
【0054】
この構成により、ユーザは出題者が許可する範囲でのみ音声データを制御することが可能となる。
【0055】
図表示部163は音声データの話者を識別可能な画像及び属性が表示される。属性とは名前や年齢、性別など、人物を識別するために利用可能な情報のことである。本実施形態では名前を例に説明する。
【0056】
画像及び名前は音声データの内容に応じて一つ以上が表示される。データベースサーバ300の音声テーブルにはどの話者が音声データのどの区間で発言しているかを示す発言区間情報が一つ以上含まれている。本プログラムは音声データの現在の再生位置と発言区間情報を照合して、発言中の話者の画像または名前の少なくとも一方を装飾する。装飾方法の例としては、画像に縁163aを付与する方法や、名前を太字にする方法などが挙げられる。
【0057】
これによりユーザは音声データを聞きながら話者の外見的な特徴及び名前を視覚的に把握可能となる。但し、音声データに含まれるすべての話者の図を表示する必要はなく、例えば極端に発言が少ない話者の図は表示しないようにしても良い。
【0058】
問題回答画面はさらに一つ以上の問題表示部165及びその回答を入力する入力部166を表示する。問題表示部165は音声データの内容に関連した問題を表示する。この問題は音声データの内容に対するユーザの理解度を確認可能になっている。問題はテキストで出題しても良いし、音声データで出題してもよい。ユーザは音声データの話者を画像及び名前と紐づけて認識しているため、問題文に名前などの属性を含めることも可能である。
【0059】
入力部166は問題ごとに形式を切り替えることが可能であり、単一選択、複数選択、記述などの回答形式が用意される。ユーザは問題に対する自身の回答を入力部166に入力し、回答が完了すると回答ボタン167を押下する。
【0060】
画面をスクロールすると、少なくとも問題表示部165が画面内に表示されている間は、プレイヤーユニット164は画面上部に固定されるなどして、必ず表示部160に表示される。
【0061】
これにより、ユーザは各問題を解いている間に、必要に応じて音声データの再生位置を変えたり、話者の確認を行ったりできるようになる。
【0062】
プレイヤーユニットが画面上部に固定されている間、プレイヤーユニットには図表示切替部材及び操作部表示切替部材としてのサイズ調整部材164aが表示される。サイズ調整部材164aは、ユーザの操作を受けてプレイヤーユニット164の操作部162または図表示部163の一方または両方を非表示にする。
【0063】
ユーザはサイズ調整部材164aを上下にドラッグすることでプレイヤーユニット164の少なくとも一部を表示状態を切り替え、非表示にしたり表示したりすることができる。但し、サイズ調整部材のデザインは
図6(b)に示した形態には限定されず、タッチ操作でトグル切り替えが可能なボタン(不図示)などであっても良い。
【0064】
この構成により、ユーザは自身の端末100のディスプレイ105aの大きさや自身の好みに合わせてプレイヤーユニット164が好適な大きさになるように調整することが可能となる。また、操作部162または図表示部163の一方のみを表示する場合は、図表示部163のみを表示するほうが望ましい。この場合、音声データを再生した状態で操作部162を非表示にすれば、音声データの聴取、話者の把握、問題の回答のすべてを同時に行うことができる。
【0065】
続いて
図7を用いて
図3のステップS11及び
図5のステップS34の解答解説表示について詳しく説明する。両者は同一モジュールを流用しており、多くの構成は共通となっている。
【0066】
ユーザが
図3のステップS10または
図5のステップS33において回答ボタン167を押下すると本プログラムは各問題の解答及び解説を解説表示部171に表示すると同時にユーザの回答の採点を行う。採点方法は問題の形式などに応じて任意に決めることができる。以下にいくつかの具体的な採点方法を説明する。
【0067】
[択一問題]
択一問題は複数の選択肢の中から一つを選ぶ回答形式である。データベースサーバ300の小問テーブルには各選択肢の配点が記憶されている。ユーザが選択した選択肢の配点を取得するとこれがすなわちユーザの得点となる。但し、解答は一つとは限らず、最も望ましい選択肢に最高得点を設定し、その他の選択肢にもその妥当性に応じた得点を設定しても良い。
【0068】
[複数選択問題]
複数選択問題にはユーザが選択すべき選択肢数が指定されている形式と選択肢数が指定されていない形式がある。例えば前者は「xxを2つ選びなさい」のような出題形式であって、後者は「xxをすべて選びなさい」のような出題形式である。選択肢数が指定されている形式では、始めにユーザの選択した選択肢の数を確認する。ユーザの選択した選択肢の数が問題で指定されている選択肢数と一致しない場合は最低点が得点となる。最低点は任意に決めてよいが本実施形態では最低点を0点とする。以降は選択肢数の指定の有無によらず同一の採点方法を用いる。
【0069】
単一選択問題と同様に、データベースサーバ300の小問テーブルには各選択肢の配点が記憶されている。ユーザが選択した1つ以上の選択肢の配点を各々取得し、その総和を求めることでユーザの得点を算出することができる。
【0070】
配点は必ずしも正の値である必要はなく、負の値でもよい。負数によってユーザの得点が最低点である0点を下回った場合は0点とする。この構成により、例えば、選択肢の中で選んではいけない不適切なものについては負の点数を付与することで、この選択肢を選択した場合に減点させたり、あるいは適切な答え以外はマイナス99点のような極端に小さい点数にすることで解答と回答が完全に一致し場合にのみ得点を付与したりできる。
【0071】
[記述問題]
記述問題は、与えられた問いに対してユーザが自身の言葉で自由に回答を表現する形式の問題である。
【0072】
本プログラムでは記述問題の採点は行わず、代わりにユーザが自己採点した結果を入力する入力欄172を表示する。ユーザは解説表示部171に記載されている採点基準と自身の回答を照らし合わせて点数を判断し、入力する。入力欄172は、採点基準が記載されたチェックボックスのようなUIでも良い。この場合、ユーザが達成した採点基準を選択すると、本プログラムが自動的に点数を計算する。
【0073】
ユーザは解答及び解説を確認した後に回答登録ボタン173を押下する。これによりユーザの回答と得点がデータベースサーバ300の回答テーブルに記憶される。
【0074】
本プログラムが採点を行い、回答及び解説を解説表示部171に表示している間もプレイヤーユニット164は表示部160に表示される。これにより、ユーザは解説を確認した上で改めて音声を再生することが可能となる。
【0075】
図8を用いて
図3のステップS12及び
図5のステップS35に記載の成績確認画面について説明する。
図8は成績確認画面の表示内容を示す図である。成績は予め技能タグごとに集計される。技能タグ1つの集計方法を以下に説明する。
【0076】
始めに、当該技能タグが割当てられている問題をすべて取得し、その問題数N1を求める。
【0077】
次に、当該技能タグが割り当てられている問題のうちユーザが回答済みの問題の問題数N2を求める。問題数N1及び問題数N2の比を用いて回答率N3をN2/N1と定義する。
【0078】
さらに、当該タグが割り当てられている問題におけるユーザの得点の総和である総得点N4及び、問題全てを正確に回答した場合の総得点である満点N5を求める。総得点N4及び満点N5の比を用いて正答率N6をN4/N5と定義する。
【0079】
最後に回答率N3及び正答率N6の積を用いて達成率N7をN3×N6で定義する。
【0080】
以上に述べた回答率N3及び正答率N6、達成率N7をすべての技能タグについて求める。
【0081】
これらの集計結果をもとにレーダーチャート181及び棒グラフ182を表示する。レーダーチャート181は技能タグ毎の正答率N6を表示する。このグラフによりユーザは自身の弱みとなっている技能や強みとなっている技能を把握することができる。但し、解いた問題の難易度次第で技能タグごとに正答率N6がばらついてしまう場合があるため、問題の難易度ごとにチャートを表示したり、他のユーザの平均点を併せて表示したりする構成であってもよい。これによりユーザは一層自身の技能の把握が容易になる。
【0082】
棒グラフ182は回答率N3及び達成率N7を表示する。加えて棒グラフにはユーザが契約中のプランで到達可能な上限値N8も表示される
これにより、ユーザは自身の進捗を確認することができ、解くべき問題を把握することができる。但し、グラフの種類は限定されるものではなく、ユーザが集計結果を確認できる表示であれば他の種類のグラフや表などでも良い。
【0083】
図5のステップS35に示すチュートリアル中の成績確認画面の場合、レーダーチャート181及び棒グラフ182はすべての技能タグの成長率N6を表示するのではなく、一部の技能タグに限定して成績を表示する。また、チュートリアル中の成績確認画面では更に、成績確認画面に会員登録のための登録ボタン183が備えられる。これにより、ユーザはサービスが気に入った場合に簡単に会員登録することが可能になる。
【符号の説明】
【0084】
100 クライアント端末
160 表示部
162 操作部(音声操作部材)
163 図表示部(図表示手段)
164 プレイヤーユニット
164a サイズ調整部材(図表示切替部材、操作部表示切替部材)
165 問題表示部(問題表示手段)
166 回答入力部(回答入力手段)
200 クラウドサーバ(サーバ装置)
300 データベースサーバ(サーバ装置)