IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公立大学法人公立諏訪東京理科大学の特許一覧

特開2024-85933携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム
<>
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図1
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図2
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図3
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図4
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図5
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図6
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図7
  • 特開-携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085933
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240620BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20240620BHJP
   G06Q 40/08 20120101ALI20240620BHJP
   H04B 1/034 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G06Q50/10
H04M1/72
G06Q40/08
H04B1/034 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200723
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 毅
【テーマコード(参考)】
5K060
5K127
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5K060CC05
5K060DD02
5K060GG03
5K127AA26
5K127BA03
5K127DA11
5K127DA13
5K127JA14
5K127JA42
5L040BB61
5L049CC11
5L050CC11
5L055BB61
(57)【要約】
【課題】要救助者である端末契約者の知人や家族等と連絡が取れない場合であっても、迅速に救助活動を開始することを可能とする携帯型見守り端末を提供する。
【解決手段】貸出用又は販売用の携帯型見守り端末であって、個体識別情報が付与された無線送信装置16と、無線送信装置16を内包する封じ袋14とを備える携帯型見守り端末10。当該携帯型見守り端末10において、無線送信装置16は、個体識別情報を記憶する記憶部100と、現在位置を特定するGPS受信部102と、無線送信装置16の個体識別情報及び現在位置を送信する長距離無線送信部104と、制御部106と、バッテリー108と、救助要請スイッチ110とを有し、無線送信装置16の個体識別情報及び現在位置を含むアライブ信号を定期的に送信するとともに、救助要請スイッチ110が入れられたとき無線送信装置16の個体識別情報及び現在位置を含む救助要請信号を送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸出用又は販売用の携帯型見守り端末であって、
個体識別情報が付与された無線送信装置と、
前記無線送信装置を内包する封じ袋とを備えることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯型見守り端末において、
前記封じ袋には、前記個体識別情報に紐付けられている識別マークが表示されている、又は、前記個体識別情報に紐付けられている識別シールが貼付されていることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項3】
請求項1に記載の携帯型見守り端末において、
前記封じ袋は、封がされており、かつ、
返送先の宛名が記載されている、又は、返送先の宛名シールが貼付されており、かつ、
切手が貼付されている、先納・後納表示がされている、又は、宅配受付シートが貼付される欄があることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項4】
請求項1に記載の携帯型見守り端末において、
前記無線送信装置は、
前記無線送信装置の前記個体識別情報を記憶する記憶部と、
GPS衛星からのGPS信号を受信して現在位置を特定するGPS受信部と、
前記無線送信装置の前記個体識別番号及び前記現在位置を長距離無線送信する長距離無線送信部と、
前記記憶部、前記GPS受信部、及び、前記長距離無線送信部の動作を制御する制御部と、
前記記憶部、前記GPS受信部、前記長距離無線送信部、及び、前記制御部に電力を供給するバッテリーと、
前記長距離無線送信部に救助要請信号を発出させるための救助要請スイッチとを有し、
前記制御部は、前記長距離無線送信部を介して、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含むアライブ信号を定期的に送信するとともに、前記救助要請スイッチが入れられたとき前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含む救助要請信号を送信することを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項5】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記無線送信装置は、
前記無線送信装置の前記個体識別情報を送信する近距離通信部をさらに有することを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項6】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記無線通信装置は、
前記長距離無線送信部から出力された電気信号を電波に変換するアンテナと、
前記アンテナに隣接して設置されるスペーサとをさらに有し、
前記スペーサは、前記アンテナと前記封じ袋との間隔を所定値以上に保つように構成されていることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項7】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記長距離無線送信部から出力された電気信号を電波に変換するアンテナをさらに有し、
前記アンテナは、導電性の糸により形成され、前記封じ袋を構成する紙又は布に配設されていることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項8】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記封じ袋には、前記個体識別情報に紐付けられている識別マークが表示されている、又は、前記個体識別情報に紐付けられている識別シールが貼付されていることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項9】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記封じ袋は、封がされており、かつ、
返送先の宛名が記載されている、又は、返送先の宛名シールが貼付されており、かつ、
切手が貼付されている、先納・後納表示がされている、又は、宅配受付シートが貼付される欄があることを特徴とする携帯型見守り端末。
[※:請求項として記載するのではなく、請求項3又は9の効果として記載]
使用中に救助要請信号が発出されなかったとき返却場所(販売店、代理店、郵便局、郵便ポスト、宅配取扱所、コンビニ)にそのまま返却可能に構成されていることを特徴とする携帯型見守り端末。
【請求項10】
請求項4に記載の携帯型見守り端末と、前記携帯型見守り端末の貸し出し又は販売を直接又は販売店を介して行う運営代理店に設置するための運営代理店設置用情報処理装置と、前記携帯型見守り端末からの信号を受け端末利用者の安全を見守る見守りセンターに設置するための見守りセンター設置用情報処理装置と、前記運営代理店からの通知を受け救助が行われた場合に保険金を支払う保険会社に設置するための保険会社設置用情報処理装置と、救助隊組織に設置するための救助隊組織設置用情報処理装置を含む端末利用者見守りシステムであって、
前記運営代理店設置用情報処理装置は、端末利用者に対して前記運営代理店が前記携帯型見守り端末を貸し出し又は販売したとき、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記端末利用者の特定情報(氏名、性別、年齢、電話番号及び住所など)を前記見守りセンター設置用情報処理装置に対して送信するとともに、前記端末利用者の特定情報を前記保険会社設置用情報処理装置に対して送信し、
前記保険会社設置用情報処理装置は、前記運営代理店設置用情報処理装置から前記端末利用者の特定情報を受信したとき、当該端末利用者の特定情報を記憶し、
前記見守りセンター設置用情報処理装置は、前記運営代理店設置用情報処理装置から前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記端末利用者の特定情報を受信したとき、前記端末利用者の見守り動作を開始するとともに、前記携帯型見守り端末から前記救助要請信号を受信したとき又は前記携帯型見守り端末からの前記アライブ信号により前記端末利用者の救助が必要であると判断したとき、救助隊組織設置用情報処理装置に対して救助要請信号並びに前記端末利用者の特定情報及び前記無線送信装置の現在位置を発出するとともに前記端末利用者の特定情報を前記保険会社設置用情報処理装置に対して送信し、
前記携帯型見守り端末は、前記見守りセンター設置用情報処理装置に対して、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含むアライブ信号を定期的に送信するとともに、前記救助要請スイッチが入れられたとき前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含む救助要請信号を送信することを特徴とする端末利用者見守りシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
キャンプや登山等の屋外活動における遭難時に、その遭難位置又は要救助者の位置を特定し、救難信号を発信し、さらには、救助隊を組織して救助を実施するうえで、様々な問題が立ちはだかっている。
【0003】
要救助者の位置を知る手段として、GPS(Global Positioning System)と無線通信を組み合わせ、特定の人物あるいは動物などの現在所在地を計測して通信で伝送するシステムが提案され、一部は市販されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
特許文献1には、選択呼出受信機と送信機と人工衛星からの電波を受信して地球上の位置を検出するGPS受信装置とを含み、前記選択呼出受信機が呼ばれた際、前記GPS受信機によって検出した位置情報を前記送信機によって送信する移動子局と、公衆通信回線の端末電話機に接続され、前記移動子局から送信される位置情報を該公衆通信回線を介して受信すると共に、該位置情報を表示する装置とから成る位置検出システムが開示されている。特許文献1に記載の位置検出システムによれば、GPS受信装置によって検出した位置情報を送信することにより、行方不明になった要救助者等の探索対象者の位置を迅速かつ確実に認識できるため、痴呆症老人、子供、ペット等の迷子を防止することができる。
【0005】
また、特許文献2には、GPS測位機能により定期的に位置情報を計測し、予め設定したエリアから外に出たことを検出すると自動的に警告を報知するとともに、前記エリア外への移動情報を送信する第1の携帯無線端末と、前記エリア外への移動情報を受信する第2の携帯無線端末とからなる携帯無線端末システムが開示されている。特許文献2に記載の携帯無線端末システムによれば、携帯無線端末の位置情報を自動的かつ高精度に取得し、所持者が所定のエリアを外れた場合に、自動的にアラームの警告や現在地表示を行い、また、元のエリアや自宅等の特定エリア等に戻る経路をも表示し、他の携帯無線端末にも通知(表示)することで、関係者が即座に対処でき、迷子、行方不明に陥ることを事前に回避することができる。
【0006】
従って、特許文献1や特許文献2に記載のシステムを使えば、端末契約者が所持している装置により、要救助者の位置を知ることができるので有用であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06-188819号公報
【特許文献2】特許第4710705号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、救助に要する費用に対する支払い能力を有する「要救助者である端末契約者の知人や家族等」と連絡が取れない場合、救助の開始が遅れてしまう場合があるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたもので、要救助者である端末契約者の知人や家族等と連絡が取れない場合であっても、迅速に救助活動を開始することを可能とする携帯型見守り端末及び端末利用者見守りシステムを提供することを目的とする。
【0010】
[1]本発明の携帯型見守り端末は、貸出用又は販売用の携帯型見守り端末であって、個体識別情報が付与された無線送信装置と、前記無線送信装置を内包する封じ袋(例えば、封筒、専用封筒、宅配封筒、レタ-パック、宅配袋、宅配用梱包袋など。)とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0011】
[2]本発明の携帯型見守り端末において、前記封じ袋には、前記個体識別情報に紐付けられている識別マークが表示されている、又は、前記個体識別情報に紐付けられている識別シールが貼付されていることが好ましい。
【0012】
[3]本発明の携帯型見守り端末において、前記封じ袋は、封がされており(郵便・宅配共通)、かつ、返送先の宛名が記載されている(郵便・宅配共通)、又は、返送先の宛名シールが貼付されており(郵便・宅配共通)、かつ、切手が貼付されている(郵便)、先納・後納表示がされている(郵便)、又は、宅配受付シートが貼付される欄がある(宅配)ことが好ましい。
【0013】
[4]本発明の携帯型見守り端末において、前記無線送信装置は、前記無線送信装置の前記個体識別情報を記憶する記憶部と、GPS衛星からのGPS信号を受信して現在位置を特定するGPS受信部と、前記無線送信装置の前記個体識別番号及び前記現在位置を長距離無線送信する長距離無線送信部(LPWA)と、前記記憶部、前記GPS受信部、及び、前記長距離無線送信部の動作を制御する制御部と、前記記憶部、前記GPS受信部、前記長距離無線送信部、及び、前記制御部に電力を供給するバッテリーと、前記長距離無線送信部に救助要請信号を発出させるための救助要請スイッチとを有し、前記制御部は、前記長距離無線送信部を介して、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含むアライブ信号を定期的に送信するとともに、前記救助要請スイッチが入れられたとき前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含む救助要請信号を送信することが好ましい。
【0014】
[5]本発明の携帯型見守り端末において、前記無線送信装置は、前記無線送信装置の前記個体識別情報を送信する近距離通信部をさらに有することが好ましい。
【0015】
[6]本発明の携帯型見守り端末において、前記無線通信装置は、前記長距離無線送信部から出力された電気信号を電波に変換するアンテナと、前記アンテナに隣接して設置されるスペーサとをさらに有し、前記スペーサは、前記アンテナと前記封じ袋との間隔を所定値以上に保つように構成されていることが好ましい。
【0016】
[7]本発明の携帯型見守り端末において、前記長距離無線送信部から出力された電気信号を電波に変換するアンテナをさらに有し、前記アンテナは、導電性の糸により形成され、前記封じ袋を構成する紙又は布に配設されていることが好ましい。
【0017】
[8]本発明の携帯型見守り端末において、前記封じ袋には、前記個体識別情報に紐付けられている識別マークが表示されている、又は、前記個体識別情報に紐付けられている識別シールが貼付されていることが好ましい。
【0018】
[9]本発明の携帯型見守り端末においては、前記封じ袋は、封がされており(郵便・宅配共通)、かつ、返送先の宛名が記載されている(郵便・宅配共通)、又は、返送先の宛名シールが貼付されており(郵便・宅配共通)、かつ、切手が貼付されている(郵便)、先納・後納表示がされている(郵便)、又は、宅配受付シートが貼付される欄がある(宅配)ことが好ましい。
【0019】
[10]本発明の端末利用者見守りシステムは、上記[4]に記載の携帯型見守り端末と、前記携帯型見守り端末の貸し出し又は販売を直接又は販売店を介して行う運営代理店に設置するための運営代理店設置用情報処理装置と、前記携帯型見守り端末からの信号を受け端末利用者の安全を見守る見守りセンターに設置するための見守りセンター設置用情報処理装置と、前記運営代理店からの通知を受け救助が行われた場合に保険金を支払う保険会社に設置するための保険会社設置用情報処理装置と、救助隊組織に設置するための救助隊組織設置用情報処理装置を含む端末利用者見守りシステムであって、前記運営代理店設置用情報処理装置は、端末利用者に対して前記運営代理店が前記携帯型見守り端末を貸し出し又は販売したとき、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記端末利用者の特定情報(氏名、性別、年齢、電話番号及び住所など)を前記見守りセンター設置用情報処理装置に対して送信するとともに、前記端末利用者の特定情報を前記保険会社設置用情報処理装置に対して送信し、前記保険会社設置用情報処理装置は、前記運営代理店設置用情報処理装置から前記端末利用者の特定情報を受信したとき、当該端末利用者の特定情報を記憶し、前記見守りセンター設置用情報処理装置は、前記運営代理店設置用情報処理装置から前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記端末利用者の特定情報を受信したとき、前記端末利用者の見守り動作を開始するとともに、前記携帯型見守り端末から前記救助要請信号を受信したとき又は前記携帯型見守り端末からの前記アライブ信号により前記端末利用者の救助が必要であると判断したとき、救助隊組織設置用情報処理装置に対して救助要請信号並びに前記端末利用者の特定情報及び前記無線送信装置の現在位置を発出するとともに前記端末利用者の特定情報を前記保険会社設置用情報処理装置に対して送信し、前記携帯型見守り端末は、前記見守りセンター設置用情報処理装置に対して、前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含むアライブ信号を定期的に送信するとともに、前記救助要請スイッチが入れられたとき前記無線送信装置の前記個体識別情報及び前記現在位置を含む救助要請信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の端末利用者見守りシステムによれば、要救助者である端末契約者の知人や家族等と連絡が取れない場合であっても、迅速に救助活動を開始することが可能な端末利用者見守りシステムとなる。
【0021】
本発明の携帯型見守り端末によれば、上記の端末利用者見守りシステムに好適に用いることが可能な携帯型見守り端末となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る端末利用者見守りシステム2の全体構成を説明する図である。
図2】実施形態1に係る携帯型見守り端末10における無線送信装置16の回路構成を示すブロック図である。
図3】携帯型見守り端末10を貸し出し又は販売してから返却又は救助活動開始までの動作を示すフローチャートである。
図4】封じ袋14の構成を説明するために示す図である。
図5】携帯型見守り端末10の構成例を示す図である。
図6】携帯型見守り端末10の第2の構成例を示す図である。
図7】制御部106の動作アルゴリズムを示すフローチャートである。
図8】128ビットのペイロードデータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について説明する。
【0024】
<全体構成>
図1は、実施形態1に係る端末利用者見守りシステム2の全体構成を説明する図である。図2は、実施形態1に係る携帯型見守り端末10における無線送信装置16の回路構成を示すブロック図である。
実施形態1に係る携帯型見守り端末10は、図1に示すように、端末利用者12に対して、運営代理店20又は販売店24によって貸し出し又は販売される。運営代理店20では直接、または販売店24を経由して端末利用者の特定情報を得、端末の個体識別情報と紐付け、運営代理店設置用情報処理装置22に保存する。運営代理店設置用情報処理装置22は見守りセンター設置用情報処理装置32にこれらの情報を送信し、見守りセンター設置用情報処理装置32はこれらを記憶する。また見守りセンター設置用情報処理装置32はこの情報を元に端末利用者12に対する見守り動作を開始する。携帯型見守り端末10は平時はアライブ信号を定期的に発報しており、これにより見守りセンター設置用情報処理装置32は端末利用者12の位置を追跡し記憶する。端末利用者12が救助要請スイッチ110をオンにすると救助要請信号が見守りセンター設置用情報処理装置32に届く。信号を受け取ると見守りセンター設置用情報処理装置32は利用者12に対する救助動作を開始する。また見守りセンター設置用情報処理装置32はアライブ信号の動きからも端末利用者12の状態を把握しており、端末利用者12が救助要請を行うことが出来ないが、救助が必要な状態にあるような場合も、救助動作を開始することができる。見守りセンター設置用情報処理装置32は救助が必要と判断すると、救助隊組織設置用情報処理装置52に救助要請信号を発出するとともに、端末利用者12の特定情報と位置情報を送る。救助組織設置用情報処理装置52にこれらの情報を記録し、救助作業のために利用する。見守りセンター設置用情報処理装置32はまた、端末利用者12の特定情報を保険会社設置用情報処理装置42に送る。保険会社設置用情報処理装置42はこの情報を記録する。
【0025】
無線送信装置16には、図2に示すように、端末の個体識別情報を記憶する記憶部100と、GPS受信部102と、GPS受信用アンテナ114と、長距離無線送信部(LPWA)104と、LPWA用アンテナ112と、近距離無線通信部116と、近距離無線用アンテナ118と救助要請スイッチ110と、それらを制御するための制御部106と、それらに給電するためのバッテリー108とが含まれている。
【0026】
GPS受信部102は、地球上を周回している複数のGPS衛星からの電波を受信し、携帯型見守り端末10の現在位置(緯度と経度)を検出する。検出された緯度と経度の位置情報は、長距離無線送信部104からLPWAアンテナ112を経て送信され、受信局60によって受信され、その受信結果が通信事業者の情報処理装置62を経て見守りセンター設置用情報処理装置32に蓄積される。見守りセンター設置用情報処理装置32はこの情報を元に端末利用者12の位置を把握し、必要な場合は救助隊組織設置用情報処理装置52に救助要請情報を送信し、保険会社設置用情報処理装置42に連絡することができる。
【0027】
端末利用者12の特定情報とは、氏名、年齢、性別、住所、電話番号、などである。
【0028】
<携帯型見守り端末10の構成>
携帯型見守り端末10は、個体識別情報を記憶する記憶部100と、GPS受信部102と、長距離無線送信部104と、制御部106と、救助要請スイッチ110と、バッテリー108と、救助要請スイッチ操作部122と、LPWA用アンテナ112と、プリント基板120と、近距離通信部116と、近距離通信アンテナ118とで構成されている。救助要請スイッチ操作部122を操作して救助要請スイッチ110をオンにすると救助要請信号がペイロードに搭載される。制御部106は、通常はスリープ状態として低電力状態に保つことにより、バッテリー108の無駄な消費を抑えて長時間の動作を実現する。
【0029】
制御部106は、内部に搭載したリアルタイムクロック機能を用いて、定期的(例えば1時間毎)にGPS受信部102を起動してGPS衛星からの電波を受信し、携帯型見守り端末10のGPS位置情報を取得する。制御部106は、また、取得したGPS位置情報を長距離無線送信部104に送り、LPWA無線信号としてGPS位置情報を伝送する。
【0030】
図3は、携帯型見守り端末10を貸し出し又は販売してから返却又は救助活動開始までの動作を示すフローチャートである。図4は、封じ袋14の構成を説明するために示す図である。
ステップS11では無線送信装置16の動作確認とバッテリー108の交換または充電を行う。ステップS12ではこれを封じ袋14に入れて携帯型見守り端末10を作成する。ステップS13では運営代理店20または販売店24が端末利用者12に対して端末を貸し出しまたは販売するとともに運営代理店設置用情報処理装置22に端末利用者12の特定情報と無線送信装置16の記憶部100に収められている個体識別情報を記憶させる。この作業終了後、ステップS14で携帯型見守り端末10は端末利用者12に引き渡され、端末利用者12はこれを携行する。ステップS15は、救助要請スイッチ110が入になった場合、ステップS16はスイッチは入にならないがアライブ情報から異常が検知された場合、ステップS17は無事に帰還した場合を表す。救助要請スイッチ110が入になった場合S15と異常を検知した場合ステップS16は見守りセンター設置用情報処理装置32が救助隊組織設置用情報処理装置52に救助要請信号を発出し、また運営代理店設置用情報処理装置22に要救助状態になったことを知らせる。運営代理店設置用情報処理装置22は要救助状態であるとの信号を受け取ると、要救助状態になっている端末利用者12の特定情報を保険会社設置用情報処理装置42に送信し、保険料請求の準備を行う。一方無事に帰還した場合ステップS17では、端末利用者12は携帯型見守り端末10を、ポストに投函、コンビニや運送会社窓口から発送、協力機関等窓口への持ち込み等により返却する。
【0031】
封じ袋14は、郵便を利用する場合は封筒を、また宅配を利用する場合は宅配袋を、というように、それぞれのサービスに応じた適切な袋を選んで構成することができる。
【0032】
封じ袋14には、中に封入された無線送信装置16の記憶部100に記憶された個体識別情報または個体識別情報に紐づいた、個体を認識するための情報を示す識別マークまたは識別シール130が貼付されている。更に返却を行うための住所132が記入されているか、又は住所が印刷されたシールが貼付されている。更に端末利用者12が返送料金を負担しなくても良いように切手134が予め貼付されているか、または、前納・後納が表示されている。またあるいは、郵便以外の方法で返送する場合のために宅配受付シート貼付欄136を備える。
【0033】
図5は、携帯型見守り端末10の構成例を示す図である。プリント基板120の上部には部品を置かず、パターンアンテナとしてLPWA用送信アンテナ112を実現している。長距離無線送信部104から発せられた電気信号は、このパターンアンテナにより電波として遠方まで伝送される。このとき、携帯型見守り端末10の外側を構成する封じ袋14と、パターンアンテナの間隔が変動すると、パターンアンテナの共振周波数がシフトし、電波が飛び出さなくなってしまう。そこで、本発明の携帯型見守り端末10は、スペーサ132をLPWA送信アンテナの上部に設置することにより、封じ袋を構成する紙・布・プラスチック等の素材とアンテナ素子との間隔を一定距離以上に保つ構成となっている。
【0034】
スペーサ132の材質(誘電率)に合わせてパターンアンテナの長さを調整することにより、スペーサ100は、例えばプラスティックや紙、木片などでも構成することができる。
【0035】
プリント基板120の裏面側には、近距離通信部116と近距離通信用アンテナ118が張り付けられ、長距離無線送信部104が貼付されており、これを用いて運営代理店20または販売店24は無線送信装置16の個体識別情報を知ることができる。
【0036】
救助要請スイッチ操作部122は、袋を破って操作することが出来、これを操作して制御部106に救助要請信号を送信する。この信号が供給されていないときは、アライブ情報として平常状態であることが長距離無線送信部104から送出される。
【0037】
図6は、携帯型見守り端末10の第2の構成例を示す図である。LPWA送信アンテナ112を導電糸で構成し、袋の生地に縫い込むことでアンテナとして機能させる。この構成であれば、アンテナと袋内部の電子回路の距離を同一に保つためのスペーサ132は、必ずしも必要ない。図6の構成は、LPWA送信アンテナ112の構成が導電糸で袋に縫い込まれることを除いては、これまで説明してきた携帯型見守り端末10と同一であるので、その説明を省略する。
【0038】
図7は、制御部106の動作アルゴリズムを示すフローチャートである。ステップSP1において、通常はスリープ状態として回路の消費電力を極力抑えているが、例えば1時間毎に回路が起動され、後述の信号処理アルゴリズムを実行する。
【0039】
ステップSP2において、制御部106は、現在地の緯度及び経度の情報をGPS受信部102から取得する。例えば、北緯36.030160度、東経138.155298度といった情報がGPS受信部102から得られる。制御部106は、緯度及び経度の情報(上の例では“036030160”、“138155298”)をバイナリコードに変換してペイロードに載せる。
【0040】
図8は、128ビットのペイロードデータの構成例を示す図である。
ステップSP3において、各データを例えば128ビットのペイロードデータとして構成する。ペイロードデータはGPSの緯度と経度(44ビット)、安全情報(4ビット)、機材状態(バッテリ残量5ビット、温度5ビット)等を含む。他にオプションとして振動状態や衝撃強度、端末の向き、等を搭載すれば、更に端末利用者12の状態を詳しく把握することができる。
【0041】
機材状態は、図8右下に示すように、例えば、電池残量を表す情報(5ビット)及び周辺温度の情報(5ビット)で構成される。より正確に知りたい場合は、ビット数を増やしても良い。
【0042】
ステップSP4において、ペイロードデータをLPWA無線信号により送信する。この無線信号は受信局60により受信され、見守りセンター設置用情報処理装置32に伝送される。見守りセンター設置用情報処理装置32は受信されたペイロードからGPSの緯度経度情報を取り出して端末利用者12の位置を把握し、またペイロードから端末の状態情報を得て、救助の要否を判断する。
【0043】
本実施例において、携帯型見守り端末10には、GPS受信部102を搭載した。GPSは米国により運営されている衛星システムであるが、本発明はこれに限定されることなく、人工衛星を使った位置特定システムGNSS(Global Navigation Satellite System)を使うことができる。 GNSSとしては、日本により打ち上げられている「みちびき」や、ロシアにより運営されている「GLONASS」などが知られている。
【0044】
本実施例の封じ袋14を携帯及び送付用袋として構成すれば、返却が簡単に行えるため、様々な活動のために貸与することが出来る。
【0045】
携帯型見守り端末10は端末利用者12が携行するとき雨に濡れたり、あるいは端末利用者12が川に落ちたりなどして水に濡れる場合があるので、水に強い布またはプラスチックで製造し、また、内部の無線送信装置16には防水を施した方が良い場合もある。
【0046】
運営代理店20又は販売店24は、貸し出し料と保険料の支払いの際に用いられる電子決済の情報によって端末利用者10の特定情報を得ることができる。
【0047】
電子決済を利用しないか、または端末利用者12の特定情報を得られないような電子決済手段を用いる場合は、複写式の申込用紙に端末利用者12の特定情報を記入してもらい、その情報を運営代理店設置用情報処理装置22に送ることにより端末利用者12と個体識別情報を紐づける。
【0048】
携帯型見守り端末10で、無線送信装置16には一意的に定まる個体識別情報が与えられているので、受信者は、どの送信機から届いた情報であるかを知ることができる。
【0049】
無線送信装置16は封じ袋14に入れられ、封をされた状態になっている。そこで、封じ袋14を丈夫な素材で構成することで耐久性を高めたり、封じ袋14を返信用封筒にすることで即座に発送することができるように構成することができる。
【0050】
無線送信装置16は封じ袋14に封入されているので、その個体識別情報を直接見ることができない。そこで運営代理店20または販売店24は封じ袋の中に入っている近距離通信部116を介して、又は貼付されている識別マーク又は識別シールを介して個体識別情報を知ることができる。
【0051】
携帯型見守り端末10において、封じ袋14は封がされており、かつ、返送先の宛名132が記載されている。記載できない場合は返送先の宛名シールが貼付されている。さらに、そのまま発送できるように予め切手134が貼付されているか、先納・後納表示がされている。郵便以外の事業者を利用できるように、宅配受付シート136が貼付される欄を設けることもできる。
【0052】
返送は郵便ポストや郵便局の他、コンビニからの発送や各種宅配事業者への持ち込み、協力店や交番など関係官庁への持ち込みなど、様々な手段が考えられる。
【0053】
端末利用者12は、登山、ハイキング、キャンプ等の遭難可能性のあるレジャー活動に従事する人の他に、通常の旅行や行楽に出かける一般の人、子供の登下校、徘徊の可能性のある高齢者や一般の高齢者の散歩、等、様々な対象を想定し得る。
【0054】
図8のLPWAの伝送フォーマットではオプション部分にGPSによって位置情報を取得した時刻を搭載することもできる。これにより、伝送遅延等によりペイロードの到達が遅れたような場合であっても、位置情報が得られた時刻を正確に知ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
請求項4に記載の携帯型見守り端末において、
前記封じ袋は、封がされており、かつ、
返送先の宛名が記載されている、又は、返送先の宛名シールが貼付されており、かつ、
切手が貼付されている、先納・後納表示がされている、又は、宅配受付シートが貼付される欄があることを特徴とする携帯型見守り端末。