IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
  • 特開-表示装置 図3A
  • 特開-表示装置 図3B
  • 特開-表示装置 図4A
  • 特開-表示装置 図4B
  • 特開-表示装置 図5
  • 特開-表示装置 図6
  • 特開-表示装置 図7A
  • 特開-表示装置 図7B
  • 特開-表示装置 図8
  • 特開-表示装置 図9A
  • 特開-表示装置 図9B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085934
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/435 20110101AFI20240620BHJP
   H04N 21/4363 20110101ALI20240620BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20240620BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
H04N21/435
H04N21/4363
H04N5/93
H04N23/60 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200725
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】綾 正洋
【テーマコード(参考)】
5C053
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C053GB06
5C053JA21
5C053LA06
5C122DA03
5C122EA42
5C122FK23
5C122GA01
5C122HB01
5C122HB02
5C122HB09
5C164FA17
5C164GA02
5C164UB10P
5C164UB41S
5C164UB72P
5C164YA17
5C164YA18
5C164YA20
(57)【要約】
【課題】対応可能な映像フォーマットに関する情報を適切に映像源に転送可能な表示装置を提供する。
【解決手段】映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、表示装置が前記映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、第1識別データよりもデータサイズの小さい第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、表示装置から映像源への第1識別データの転送時におけるデータ転送量を検知する検知部と、選択部において選択された第1識別データまたは第2識別データを、映像源に対して読み出させる映像源制御部とを備え、選択部は、検知部において検知されたデータ転送量が第1識別データのデータサイズより小さかった場合に、第2識別データを選択する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、
前記表示装置が前記映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、前記第1識別データよりもデータサイズの小さい第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、
前記表示装置から前記映像源への前記第1識別データの転送時におけるデータ転送量を検知する検知部と、
前記選択部において選択された前記第1識別データまたは前記第2識別データを、前記映像源に対して読み出させる映像源制御部と
を具備し、
前記選択部は、前記検知部において検知された前記データ転送量が前記第1識別データのデータサイズより小さかった場合に、前記第2識別データを選択する、表示装置。
【請求項2】
前記選択部は、メモリとセレクタとを備え、
前記メモリは、前記第1識別データと前記第2識別データとを保持し、
前記セレクタが前記メモリから前記第1識別データを選択し、前記映像源制御部は前記第1識別データを前記映像源に対して読み出させ、
前記検知部は、前記第1識別データが前記映像源によって読み出される際における前記データ転送量を検知し、
前記検知部において検知された前記データ転送量が前記第1識別データのデータサイズより小さい場合に、前記セレクタが前記メモリから前記第2識別データを選択し、前記映像源制御部は前記第2識別データを前記映像源に対して読み出させる、請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1識別データ及び前記第2識別データは、機器固有の識別データであるEDID(Extended Display Identification Data)である、請求項2記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1識別データは、基本データブロックと、n個の拡張データブロックを含み、
前記第2識別データは、前記基本データブロックとm個の前記拡張データブロックを含み、
nは自然数であり、mはゼロまたはnより小さい自然数である、請求項3記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1識別データは、前記基本データブロックと、2つの拡張データブロックを含み、
前記第2識別データは、前記基本データブロックと、1つの拡張データブロックを含み、
前記第1識別データ及び前記第2識別データの前記拡張データブロックは、フレームレートが144Hzを超える4K映像情報を含む、請求項4記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1識別データは、前記基本データブロックと、1つの拡張データブロックを含み、
前記第2識別データは、前記基本データブロックを含み、拡張データブロックを含まず、
前記第1識別データの前記基本データブロックは、映像解像度情報として2K映像情報を含み、且つ4K映像情報を含まず、
前記第2識別データの前記基本データブロックは、前記映像解像度情報として、前記2K映像情報を含まずに4K映像情報を含む、請求項4記載の表示装置。
【請求項7】
前記映像源制御部は、前記選択部において前記第2識別データが選択された際に、前記映像源に対して、前記第2識別データを読み出すよう促す第1信号を送信する、請求項1記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1信号は、HPD(Hot Plug Detect)信号である、請求項7記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像源としての映像送信装置(以下、ソース機器と呼ぶ)と、ソース機器から受信した映像を表示する映像受信装置(以下、シンク機器と呼ぶ)との間を接続するインターフェースとして、HDMI(登録商標、High Definition Multimedia Interface)が広く用いられている。ソース機器とシンク機器とをHDMIで接続した際、ソース機器はシンク機器からEDID(Extended Display Identification Data)を読み出す。このEDIDを読み出すことで、ソース機器は、シンク機器の性能(例えば解像度など)に適した映像信号をシンク機器に送信できる。
【0003】
この点、特許文献1には、シンク機器が映像・音声などを正常に再生できない場合に、EDID内の映像・音声などに関する形式データを変更して、ソース機器に対して再度EDIDを読み出させる構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-158220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HDMIでは、規格(例えばバージョン)に応じてソース機器により読み出し可能なEDIDのデータサイズが異なる。したがって、ソース機器が対応するHDMI規格によっては、シンク機器からEDIDの全てを読み出せず、一部のデータしか読み出せない場合がある。この場合、ソース機器は、シンク機器に最適なフォーマットの映像信号を送信できない可能性がある。特許文献1は、ソース機器がEDIDの全ての情報を読み出せる場合に適用可能な方法であって、かかる問題を解決するものではない。
【0006】
本発明の一形態は、対応可能な映像フォーマットに関する情報を適切に映像源に転送可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る表示装置は、映像源から受信した映像を表示可能な表示装置であって、表示装置が映像源から受け付け可能なフォーマットに関する識別情報としての第1識別データと、第1識別データよりもデータサイズの小さい第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部と、表示装置から映像源への第1識別データの転送時におけるデータ転送量を検知する検知部と、選択部において選択された第1識別データまたは第2識別データを、映像源に対して読み出させる映像源制御部とを備え、選択部は、検知部において検知されたデータ転送量が第1識別データのデータサイズより小さかった場合に、第2識別データを選択する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る映像表示システムのブロック図。
図2】第1実施形態に係る映像表示システムのブロック図。
図3A】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
図3B】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時のシンク機器及びソース機器の動作を示すシーケンス図。
図4A】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時の各種信号のタイミングチャート。
図4B】第1実施形態に係る映像表示システムにおけるEDID読み出し時のシンク機器及びソース機器の動作を示すシーケンス図。
図5】第1実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図6】第2実施形態に係るEDIDの基本ブロックの構成を示す概念図。
図7A】第2実施形態に係るEDIDの基本ブロック及び拡張ブロックの構成を示す概念図。
図7B】第2実施形態に係るEDIDの基本ブロック及び拡張ブロックの構成を示す概念図。
図8】第3実施形態に係るシンク機器の動作を示すフローチャート。
図9A】第3実施形態に係るEDIDの基本ブロック及び拡張ブロックの構成を示す概念図。
図9B】第3実施形態に係るEDIDの基本ブロックの構成を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
この発明の第1実施形態に係る表示装置につき説明する。本実施形態は、シンク機器とソース機器とをHDMIで接続した際のEDIDのソース機器への転送方法に関する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る映像表示システムのブロック図であり、本実施形態に関わる主要な部分のみを図示している。図示するように映像表示システム1は、シンク機器10とソース機器20とを備えている。シンク機器10は、映像源としてのソース機器20から映像や音声情報を受信して表示する表示装置である。シンク機器10の例としては、例えばテレビ受像機、またはパーソナルコンピュータやデジタルサイネージなどに使用されるディスプレイ装置などであるが、これらに限定されるものではない。ソース機器20は、シンク機器10で表示される映像の映像源であり、シンク機器10に対して映像や音声情報を送信する映像送信装置である。ソース機器20の例としては、例えばパーソナルコンピュータ、ゲーム機器、あるいはHDR(Hard Disk Recorder)のような録画機器などであるが、これらに限定されるものではない。そしてシンク機器10とソース機器20との間はHDMIによって接続される。引き続き、シンク機器10及びソース機器20の詳細について説明する。
【0012】
まず、シンク機器10について説明する。図1に示すようにシンク機器10は、EDID送受信部11、EDIDデータ選択部12、EDIDバッファ13、EDID通信量検知部14、HPD制御部15、及びHDMI制御部16を備えている。
【0013】
EDIDデータ選択部12は、シンク機器10がソース機器20から受け付け可能な映像フォーマットに関する識別情報としての第1識別データと第2識別データのうちのいずれかを選択する選択部である。より具体的には、EDIDデータ選択部12は、セレクタ30とメモリ31とを備えている。
【0014】
メモリ31は、上記識別データとして、第1識別データと第2識別データを保持する。この識別情報は、例えば、機器固有の識別データであるEDIDである。、メモリ31は第1識別データとしてEDID_Aを保持し、更に第2識別データとしてEDID_Bを保持する。第1識別データとしてのEDID_Aは、基本データブロックと、n個の拡張データブロックを含み、第1識別データとしてのEDID_Bは、基本データブロックと、m個の拡張データブロックを含む。nは自然数であり、mはゼロまたはnより小さい自然数である。より具体的には、本実施形態に係るEDID_Aは、VESA(登録商標、Video Electronics Standards Association)規格に従った基本ブロック(128バイト)と2つ(n=2)のCTA(Consumer Technology Association)拡張ブロック(それぞれ128バイト)を含み、そのデータサイズは384バイトである。EDID_Bは、同じくVESA規格に従った基本ブロック(128バイト)と1つ(m=1)のCTA拡張ブロック(128バイト)を含み、そのデータサイズは256バイトである。すなわち、第2識別データEDID_Bのデータサイズは、第1識別データEDID_Aのデータサイズよりも小さい。なおEDID_Bは、EDID_Aの例えばCTA拡張ブロックに含まれる一部のデータを削除または置換したものであり、その詳細については後述する。また、本実施形態ではn=2(EDID_Aが384バイト)、m=1(EDID_Bが256バイト)の場合を例に挙げて説明するが、この場合に限定されるものではない。
【0015】
セレクタ30は、HDMI制御部16の命令に従って、メモリ31に保持されるEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を選択する。
【0016】
EDIDバッファ13は、セレクタ30で選択されたEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を一時的に保持する。
【0017】
EDID送受信部11は、ソース機器20からのEDID読み出し要求を受信する。そしてEDID送受信部11は、当該EDID読み出し要求に応答して、EDIDバッファに保持されているEDID_A及びEDID_Bのいずれか一方を、HDMIのDDC(Display Data Channel)ラインを介してソース機器20に転送する。
【0018】
EDID通信量検知部14は、シンク機器10からソース機器20への第1識別データの転送時におけるデータ転送量を検知する検知部である。すなわち、EDID通信量検知部14は、DDCラインにおけるデータ送受信量を監視し、ソース機器20からのEDID読み出し要求に応答してソース機器20に転送されるEDID_Aのデータ転送量を検知する。そして、検知結果(データ転送量)をHDMI制御部16に通知する。
【0019】
HDMI制御部16は、シンク機器10にソース機器20がHDMIによって接続された際には、セレクタ30に対してEDID_Aを選択させ、更にHPD制御部15にHPD信号(第1信号)をソース機器20に送信するよう命令する。またHDMI制御部16は、EDID通信量検知部14で検知された、EDID_A転送時におけるデータ転送量が、EDID_Aのデータ量(384バイト)未満であった場合に、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させ、更にHPD制御部15にHPD(Hot Plug Detect)信号の再送を命令する。
【0020】
HPD制御部15は、EDIDデータ選択部12において選択されたEDID_A(第1識別データ)またはEDID_B(第2識別データ)を、ソース機器20に対して読み出させる映像源制御部である。すなわちHPD制御部15は、HDMI制御部16の命令に従って、まずEDID_Aを読み出すよう促すHPD信号をソース機器20に送信し、更にEDIDデータ選択部12においてEDID_Bが選択された際には、EDID_Bを読み出すよう促すよう、再度HPD信号をソース機器20に送信する。
【0021】
次に、ソース機器20について説明する。ソース機器20は、前述の通りシンク機器10に対して映像や音声を出力する機器(映像送信装置)である。ソース機器20は、HDMIを介してシンク機器10に接続されると、電源ラインを介してシンク機器10に対して例えば+5Vの電源電圧を供給する。更にソース機器20は、前述したHPD信号をシンク機器10から受信すると、シンク機器10からEDIDを読み出し、読み出したEDIDに基づいて、シンク機器10に最適な映像・音声信号を、TMDS(Transmission Minimized Differential Signaling)ラインを介してシンク機器10に転送する。
【0022】
次に、上記構成の映像表示システム1の動作につき、特にEDID転送時に着目して説明する。図2は、図1に示す映像表示システム1を簡略化して示す図であり、シンク機器10とソース機器20とをHDMIにより接続した際においてシンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号について示している。
【0023】
図2に示されるように、シンク機器10とソース機器20とがHDMIにより接続されると、HDMIの電源ラインを介して、ソース機器20から例えばシンク機器10に+5Vの電圧が転送される。するとシンク機器10では、+5Vの電圧が供給されたことに応答して、HDMI制御部16の命令により、HPD制御部15がHPD信号をソース機器20に出力する。ソース機器20は、HPD信号を受信したことに応答して、シンク機器10から、EDIDバッファ13に保持されているEDIDを読み出す。その後は、ソース機器20は、EDIDに基づいて、出力する映像フォーマットを決定し、決定された映像フォーマットで映像信号をシンク機器10に送信する。
【0024】
以下、上記動作につき、より詳細に説明する。本実施形態に係るシンク機器10は、一例として、384バイトのEDID_Aと256バイトのEDID_Bとを保持している。そして初期状態(シンク機器10がソース機器20にHDMIで接続された直後の状態)では、HDMI制御部16はセレクタ30に対してEDID_Aを選択させる。前述の通り、EDIDバッファ13にはEDID_Aが保持されている。EDIDのデータ形式はVESAによって定義されており、128バイトを1ブロックとして、各ブロックにシンク機器10の性能が記載されている。なお、EDIDの各ブロックの詳細については第2実施形態で説明するが、大まかには以下の通りである。
【0025】
すなわち、EDID_A及びEDID_Bの基本ブロック(Block0:1~128バイト目)には、シンク機器10の最小限のスペックが記載されている。また、上記基本ブロックは、2K映像情報は含むが、音声情報は含まない。EDID_Aは、さらに第1のCTA拡張ブロック(Block1:129~256バイト目)および第2のCTA拡張ブロック(Block2:257~384バイト目)を含む。EDID_Bは、さらに第1のCTA拡張ブロック(Block1:129~256バイト目)を含む。上記の各CTA拡張ブロックの詳細については、第2の実施形態において図7Aおよび図7Bを用いて後述する。
【0026】
EDID_Aの第1のCTA拡張ブロックは、シンク機器10の対応可能な映像フォーマットに応じて、最大リフレッシュレートが60Hzまたは120Hzの4K対応フォーマット情報や、最大リフレッシュレートが30Hzの8K対応フォーマット情報を含み得る。そしてEDID_Aの第2のCTA拡張ブロック及びEDID_Bの第1のCTA拡張ブロックは、同様にシンク機器10の対応可能な映像フォーマットに応じて、最大リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K対応フォーマット情報や、最大リフレッシュレートが60Hzの8K対応フォーマット情報が含み得る。なお、「リフレッシュレート」は、映像を表示する側、すなわちシンク機器10において1秒間に表示可能なフレーム数を表す単位であり、以下では、シンク機器10に映像を送信可能な画像数を示す「フレームレート」と称することがある。
【0027】
本例では、シンク機器10が、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像に対応している場合を例に説明する。したがって、EDID_Aの第2のCTA拡張ブロック及びEDID_Bの第1のCTA拡張ブロックは、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K対応フォーマット情報を含む。
【0028】
上記説明したEDIDのBlock0~2のうち、ソース機器20がどのブロックまで読み出し可能であるかは、ソース機器20が対応しているHDMIの規格によって決定される。すなわち、対応している規格がHDMI1.2またはそれ以前の規格である場合には、ソース機器20は基本ブロックのみ、すなわちBlock0(128バイト)しか読み出すことができない。対応している規格がHDMI1.4以降の規格である場合には、基本ブロックと第1のCTAブロック、すなわちBlock0及びBlock1(256バイト)まで読み出すことができる。そして、対応している規格がHDMI2.1の場合には、基本ブロックと第1及び第2のCTAブロック、すなわちBlock0~3(384バイト)の全てを読み出すことができる。
【0029】
まず、図3A及び図3Bを用いて、ソース機器20がHDMI2.1に対応しており、384バイトのEDID_Aを読み出し可能な場合について説明する。図3Aは、シンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号のタイミングチャートである。図3Bは、シンク機器10とソース機器20との間での処理の流れを示すシーケンス図である。
【0030】
図示するように、時刻t1においてソース機器20がHDMIの電源をオンすることにより、電源ラインを介して+5Vをシンク機器10に供給する。すると、時刻t2においてシンク機器10のHPD制御部15が、HPD信号をオンする。すなわち、HPD制御部15がHPD信号を出力し、HPD信号が“L”レベルから“H”レベルとされる。HPD信号が“H”レベルとされたことをトリガとして、時刻t3においてソース機器20はシンク機器10からのEDID_Aの読み出しを開始する。なお、EDIDの送受信に使用されるDDCラインは、EDID以外の信号の送受信にも使用され、例えば図3Aの例ではソース機器20から+5Vが供給された時刻t1においてDDCラインを介して信号の送受信が開始されている。シンク機器10におけるEDID通信量検知部14は、EDIDバッファ13において、EDID_Aが保持されている領域の先頭アドレスへの読み出しを検知すると、ソース機器20によるEDID_Aの読み出しデータ量の計測を開始する。
【0031】
ソース機器20はまず、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Aの1~128バイト目、すなわち基本ブロックBlock0を読み出す。これによりソース機器20は、シンク機器10(例えばテレビ受像機)の最小限のスペック情報を得る。引き続きソース機器20は、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Aの129~256バイト目、すなわちCTA拡張ブロックBlock1を読み出す。これにより、ソース機器20は、シンク機器10の対応可能な最大リフレッシュレートが60Hzまたは120Hzの4K対応フォーマット情報や、最大リフレッシュレートが30Hzの8K対応フォーマット情報を得ることができる。更にソース機器20は、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Aの257~384バイト目、すなわちCTA拡張ブロックBlock2を読み出す。これにより、ソース機器20は、シンク機器10の対応可能なリフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K対応フォーマット情報を得る。もちろん、シンク機器10が、リフレッシュレートが60Hzの8K映像に対応していれば、当該フォーマット情報を得ることが可能である。
【0032】
ソース機器20は、CTA拡張ブロックBlock2を読み出すことで、シンク機器10が、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像に対応することを検知する。よってソース機器20は、時刻t5以降で、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像及び音声信号を、TMDSラインを介してシンク機器10に送信する。そしてシンク機器10は、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像及び音声信号を再生する。
【0033】
次に、ソース機器20がHDMI2.1に対応しておらず、例えばHDMI1.4やHDMI2.0に対応しており、EDIDを256バイトまでしか読み出せない場合について説明する。図4Aは、シンク機器10とソース機器20との間で送受信される信号のタイミングチャートであり、図4Bは、シンク機器10とソース機器20との間での処理の流れを示すシーケンス図であり、それぞれは上記説明した図3A及び図3Bに対応する。
【0034】
図示するように、時刻t1~t3までの動作は図3A及び図3Bで説明した通りである。図3A及び図3Bの場合と異なる点は、時刻t3からソース機器20がシンク機器10からのEDID_Aの読み出しを開始した後、ソース機器20は、384バイトのEDID_Aのうち、1~256バイト目までの情報、すなわち基本ブロックBlock0とCTA拡張ブロックBlock1しか読み出さない点であり、ソース機器20はこれらの2つのブロックBlock0及びBlock1を読み出すと、それ以降のEDID_Aの読み出しを停止する。この時点で、シンク機器10のEDID通信量検知部14は、EDID_Aがソース機器20によって読み出される際におけるデータ転送量を検知できる。
【0035】
前述の通り、本例におけるソース機器20は、EDID_AのうちBlock0とBlock1しか読み出すことができない。したがってソース機器20は、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像にシンク機器10が対応していることを検知できない。またEDID通信量検知部14は、ソース機器20によって読み出されたデータ量が256バイトであることを検知し、その旨の情報をHDMI制御部16に通知する。
【0036】
HDMI制御部16は、ソース機器20によって読み出されたEDID_Aのデータ量が256バイトであり、EDID_Aの全データ量である384バイトより小さいことを認識する。すると、HDMI制御部16はHPD制御部15に対して、HPD信号の出力を停止させる。すなわち、HPD制御部15は、時刻t7においてHPD信号を“H”レベルから“L”レベルとする。つまり、シンク機器10がHPDをオフにする。HPD信号が“L”レベルとされたことによりソース機器20は、シンク機器10との接続が切断されたことを検知し、一時的にシンク機器10との信号の送受信を停止する。例えば、ソース機器20は、映像信号などのシンク機器10への送信を行わない。
【0037】
シンク機器10では、HDMI制御部16が、EDID通信量検知部14において検知されたデータ転送量がEDID_Aのデータサイズ384バイトより小さいので、セレクタ30に対してメモリ31からEDID_Bを選択させる。すなわち、シンク機器10において優先度の低い機能に関する情報を排し、144Hzまたは240Hzの4K映像フォーマットに対応する旨の情報を含む、256バイトのEDIDが選択される。このEDID_Bは、EDIDバッファ13に保持される。そして、HDMI制御部16の命令により、HPD制御部15は、時刻t8において、再度HPD信号を出力する。すなわちHPD制御部15は、時刻t7でHPD信号を“H”レベルから“L”レベルとし、更に“L”レベルから“H”レベルとしてHPD信号を再送し、ソース機器20に対してEDID_Bを読み出させる。
【0038】
HPD信号が出力されたことに応じてソース機器20は、シンク機器10との再接続を検知し、シンク機器10からのEDIDの読み出しを再開する。すなわちソース機器20は、時刻t9~t10の期間において、シンク機器10からEDIDを読み出す。この際、読み出されるEDIDは、EDIDバッファ13に保持されているEDID_Bである。
【0039】
ソース機器20はまず、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Bの1~128バイト目、すなわち基本ブロックBlock0を読み出す。これにより、ソース機器20は、シンク機器10(例えばテレビ受像機)の最小限のスペック情報を得る。引き続きソース機器20は、シンク機器10のEDIDバッファ13から、EDID_Bの129~256バイト目、すなわちCTA拡張ブロックBlock1を読み出す。これによりソース機器20は、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像にシンク機器10が対応していることを認識できる。よってシンク機器10は、は時刻t11以降において、リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K映像及び音声信号をシンク機器10に送信し、シンク機器10はこれを再生する。
【0040】
図5は、上記動作を実行する際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。図示するように、まずステップS10において、HDMI制御部16の命令に従いセレクタ30が384バイトのEDID_Aを選択し、これをシンク機器10の初期EDIDとしてEDIDバッファ13に設定する。ステップS11において、シンク機器10がソース機器20とHDMIにより接続される。より具体的には、前述の通りソース機器20から+5Vの電源電圧がシンク機器10に供給され、HPD制御部15がHDMI制御部16の命令に従ってHPD信号を出力する。ステップS12においてシンク機器10のEDIDバッファ13に保持されるEDIDが、DDCラインを介してソース機器20へ読み出される。ステップS13において、EDID通信量検知部14は、ステップS12におけるDDCラインにおけるデータ通信量、より具体器にはEDIDのデータ通信量を測定する。図3Aで説明したように、時刻t1でDDCラインを介してデータの送受信が開始されるが、ステップS12の処理は、EDIDバッファ13においてEDIDが保持されているアドレスへのアクセスがなされた時点から開始されてよい。そのため、例えばEDID通信量検知部14は、EDIDバッファ13においてEDIDが保持されている領域の先頭アドレスの情報を保持していてもよい。
【0041】
ステップS14において、シンク機器10のEDID通信量検知部14で測定されたEDID通信データ量が、EDID全データ量より小さい場合、すなわち、384バイトよりも小さい場合(ステップS14でYES)、ステップS20において、HDMI制御部16は、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させてEDIDバッファ13に保持させることで、シンク機器10のEDIDを、384バイトのEDID_Aから256バイトのEDID_Bに変更する。そしてステップS21において、HPD制御部15がHPD信号の出力をリセットし、ソース機器20によるEDIDの読み込みを待機し、ステップS12に戻る。このステップS20及びS21は、前述の図4A及び図4Bで説明したケースに相当する。
【0042】
ステップS14において、シンク機器10のEDID通信量検知部14で測定したEDID通信データ量が、EDID全データ量よりも少なくない場合、すなわち、EDIDバッファ13に保持されているEDIDの全データがソース機器20に転送された場合(ステップS14でNO)、ステップS15においてソース機器20によるEDIDの読み出しが完了する。ステップS16において、EDIDに従ってソース機器20が映像信号を送信する。シンク機器10は、最適な映像信号を受信する。ステップS17においてシンク機器10は、ステップS16で受信した映像信号に基づく映像を表示する。
【0043】
その後はステップS18において、ソース機器20との接続が切断される。ステップS19においてHDMI制御部16は、シンク機器10のEDIDを、必要に応じて(EDID_Bに変更されていた場合)、EDID_Aに戻す。
【0044】
上述したように、本実施形態では、シンク機器10のメモリ31に、データサイズの異なる2つのEDID(EDID_A及びEDID_B)が保持されている。EDID通信量検知部14は、シンク機器10からソース機器20へのEDID_Aの転送時におけるデータ転送量を検知する。また、EDIDデータ選択部12は、検知されたデータ転送量がEDID_Aより小さかった場合、メモリ31に保持されているEDID_B(EDID_Aよりデータサイズが小さいEDID)を選択する。そして、HPD制御部15は、選択されたEDID_Bをソース機器20に対して読み出させる。これにより、検知されたEDID_Aの転送時におけるデータ転送量がシンク機器10に設定されているEDID_Aよりも小さい場合には、EDID_Bが選択されるため、ソース機器20は、適切なEDIDをシンク機器10から取得できる。ソース機器20は、シンク機器10から適切なEDIDを取得できるため、適切なフォーマットの映像情報をシンク機器10に送信できる。
【0045】
ここで、例えば図4Aの例において、時刻t9~t10におけるEDID_Bのソース機器20による読み出しが行われない映像表示システムの場合、ソース機器20は、EDID_Aの全データのうちの一部であるBlock0及びBlock1によってシンク機器10の対応可能な映像フォーマットを判定する。すると、Block1にはリフレッシュレートが60Hzまたは120Hzの4K映像フォーマットには対応可能である旨の情報が含まれているが、144Hzまたは240Hzの4K映像フォーマットに対応可能である旨の情報は含まれない。したがってソース機器20は、144Hzまたは240Hzの4K映像フォーマットにシンク機器10は対応していない、と判断し、60Hzまたは120Hzの4K映像フォーマットで映像信号をシンク機器10に送信する。すなわち、シンク機器10では、より高精細な映像を表示可能であるにも関わらず、ソース機器20はそれを認識できないためリフレッシュレートの低い低画質の映像信号をシンク機器10に送信する。その結果、シンク機器10では、本来の性能を発揮した高精細な映像を表示できない場合がある。
【0046】
しかし、本実施形態では、EDIDデータ選択部12のメモリ31には、EDID_Aだけでなく、当該EDID_Aよりもデータサイズが小さく且つシンク機器10が対応可能な映像フォーマット情報を含むEDID_Bが保持されている。EDID_Bは、EDID_Aから映像情報の補助情報を削除したデータであり、且つシンク機器10の対応可能なリフレッシュレートや解像度などの映像表示情報を含むデータである。上述したように、検知されたデータ転送量がEDID_Aより小さい場合(EDID_Aの全データをソース機器20が読み出せなかった場合)には、EDID_Bが選択される。そして、シンク機器10は、再度HPD信号を出力して、ソース機器20にEDID_Bを読み出させる。これにより、ソース機器20は、EDID_Aのようなシンク機器10についてのフルスペックの情報を認識できないが、シンク機器10が144Hzまたは240Hzの4K映像フォーマットに対応していることを認識できる。そして、ソース機器20は、当該フォーマットに従った映像信号をシンク機器10に送信する。その結果、シンク機器10の性能を十分に生かした144Hzまたは240Hzの高精細4K映像を再生することができる。
【0047】
<第2実施形態>
次に、この発明の第2実施形態に係る表示装置について説明する。本実施形態は、上記第1実施形態で説明したEDID_A及びEDID_Bの詳細に関し、またEDID_Aに基づいてEDID_Bを生成する方法に関するものである。
【0048】
図6は、VESA規格に従ったEDIDの基本ブロックBlock0の構成を示している。図6に示すように基本ブロックBlock0は、1バイト毎にアドレスが割り当てられており、128バイトのデータのうちの先頭8バイトはHeaderであり、9バイト目以降のデータは、順に、Vender/Product ID、EDID Structure Version/Revision、Basic Display Parameters and Features、Phosphor or Filter Chromaticity、Established Timings、Manufacturer’s Reserved Timings、Standard Timing Mode、Detailed Timing #2~#4 or Display Descriptor、Extension Flags、及びCheck Sumである。これらのうち、Detailed Timing #2~#4が、シンク機器10の対応する解像度及び最大リフレッシュレートを示す。前述の通り、基本ブロックBlock0に含み得る解像度及び最大リフレッシュレートは、4K/30Hzまたは2K/144Hzである。なお、以下では記載の簡略化のために、解像度とリフレッシュレートとの関係を、「解像度/リフレッシュレート」と表現する場合がある。
【0049】
CTA拡張ブロックBlock1及びBlock2もまた、図6と同様に128バイトのデータである。そして前述のように、シンク機器10が対応している場合には、Block1は4K/60Hz、4K/120Hzの解像度及び最大リフレッシュレートを示す映像フォーマット情報を含むことができ、Block2は、4K/144Hz、4K/240Hz、8K/60Hzの解像度及び最大リフレッシュレートを示す映像フォーマット情報を含むことができる。
【0050】
次に、基本ブロックBlock0及びCTA拡張ブロックBlock1、Block2を含む384バイトのEDID(第1実施形態におけるEDID_A)、及び基本ブロックBlock0及びCTA拡張ブロックBlock1を含む256バイトのEDID(第1実施形態におけるEDID_B)の構成について説明する。
【0051】
まず384バイトのEDIDについて図7Aを用いて説明する。図7Aは、384バイトのEDIDにおける3つのBlock0~Block2の構成を示している。基本ブロックBlock0については、図6で説明した通りであり、例えばアドレス“00h”~“07h”には、ヘッダとして“00FFFFFFFFFFFF00h”が格納され、アドレス“7Eh”には、CTA拡張ブロックが2つ存在する旨の情報が格納されている。
【0052】
第1のCTA拡張ブロックBlock1の構成は以下の通りである。すなわち、アドレス“00h”~“03h”のデータははCTA Extension Headerであり、“04h”~“06h”のデータはHF-EEODBである。またアドレス“07h”~“76h”のデータは、順番に、Video Data Block、Audio Data Block、Speaker Allocation Data Block、Colorimetry Data Block、H14b-VSDB、HF-VSDB、Video Capability Data Block、YCbCr 4:2:0 Capability Map Data Block、HDR Static Metadata Data Block、Dolby(登録商標) VSVDB、Detailed Timing Descriptorである。そして、アドレス“77h”~“7Eh”は“00h”で埋められ、最終アドレス“7Fh”のデータはCheck Sumである。
【0053】
第2のCTA拡張ブロックBlock2の構成は以下の通りである。すなわち、アドレス“00h”~“03h”のデータはCTA Extension Headerであり、“04h”~“0Bh”のデータはVFDBである。また、アドレス“0Ch”~“13h”のデータはHF-SBTMDBであり、“14h”~“25h”のデータはDetailed Timing Descriptor (4th-8th)である。そして、アドレス“26h”~“7Eh”は“00h”で埋められ、最終アドレス“7Fh”のデータはCheck Sumである。
【0054】
次に、256バイトのEDID(第1実施形態におけるEDID_B)について説明する。256バイトのEDIDは、図7Aで説明した384バイトのEDIDのうちの一部のデータを削除すると共に、CTA拡張ブロックBlock2内の一部のデータをBlock1に移動させることで生成できる。EDIDに含まれる映像情報には、解像度などの映像表示に関する情報と、色補正などの映像補助に関する情報とが含まれ、映像補助に関する情報を削減しても映像表示自体に問題は生じない。
【0055】
すなわち、図7A及び図7Bに示すように、まず、384バイトのEDIDのCTA拡張ブロックBlock1のアドレス“04h”~“06h”のHF-EEODBが削除される。そして、Video Data Block、Audio Data Block、Speaker Allocation Data Block、Colorimetry Data Block、H14b-VSDB、HF-VSDB、Video Capability Data Block、YCbCr 4:2:0 Capability Map Data Block、HDR Static Metadata Data Block、Dolby(登録商標) VSVDB、Detailed Timing Descriptorは、アドレス“07h”~“76h”の領域から“04h”~“73h”の領域に移動される。そして、Block1において空き領域(“00h”padding)とされているアドレス“74h”~“7Bh”に、CTA拡張ブロックBlock2のアドレス“0Ch”~“13h”のVFDBが移動される。更に、CTA拡張ブロックBlock2のアドレス“04h”~“0Bh”のHF-SBTMDBが削除される。
【0056】
以上のように、本来であればCTA拡張ブロックBlock2に保持されるべきVFDBがBlock1に保持されることにより、Block2は不要となり、その結果、256バイトのEDIDが生成できる。なお、256バイトのEDIDは、予めメモリに保持された384バイトのEDIDを例えばHDMI制御部16がコピーし、上記説明したデータの入れ替え、削除などを行うことによって生成されてもよいし、シンク機器10の製造時において、シンク機器10の製造装置が384バイト及び256バイトの2つのEDIDを生成して、これをメモリ31に保持させてもよい。
【0057】
なお、384バイトのEDIDにおいて削除対象とされるデータについて説明する。まずHF-EEODB(HDMI Forum EDID Extension Override Data Block)について説明する。HF-EEODBは、EDIDのデータサイズが256バイトを超える場合に、そのEDIDのデータサイズを示すデータである。本例の場合、EDIDのデータサイズを384バイトから256バイトに削減するので、HF-EEODBは不要となり、削除できる。次に、HF-SBTMDB(HDMI Forum Source-Based Tone Mapping Data Block)について説明する。HF-SBTMDBは、シンク機器10の色表示能力情報を含み、当該情報に基づいてソース機器20が色合いを調整した映像をシンク機器10に送信するためのデータである。しかし、読み出し可能なEDIDとして256バイトまでのデータサイズまでしか対応していないソース機器20では、当該機能に対応していない可能性が高い。したがって、HF-SBTMDBは不要であり、削除対象となり得る。
【0058】
次に、384バイトのEDIDから256バイトのEDIDにコピーされるデータであるVFDB(Video Format Data Block)について説明する。VFDBは、384バイトのEDIDの257バイト以降に保持されるデータであって、最大リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K対応フォーマット情報や、最大リフレッシュレートが60Hzの8K対応フォーマット情報が含むデータである。
【0059】
上記のように、EDIDのデータサイズを、ソース機器20が対応可能なデータサイズに合わせるために、不要なデータを削除しつつ、映像フォーマット情報を、より適切なデータに書き換えることで、シンク機器10は高精細な映像を表示できる。
【0060】
<第3実施形態>
次に、この発明の第3実施形態に係る表示装置について説明する。本実施形態は、上記第1及び第2実施形態におけるEDID_A及びEDID_Bをそれぞれ256バイト及び128バイトにしたものである。以下では、上記第1及び第2実施形態と異なる点についてのみ説明する。
【0061】
本実施形態に係るシンク機器10の構成は、第1実施形態で説明した図1と同様であるが、以下の点で第1実施形態と異なる。すなわち、
・メモリ31は、基本ブロックBlock0と1つ(n=1)のCTA拡張ブロックBlock1を含む第1識別データEDIDとして、256バイトのEDID_Aを保持する。
・メモリ31は更に、基本ブロックBlock0を含み、CTA拡張ブロックを含まない(m=0)第2識別データEDIDとして、128バイトのEDID_Bを保持する。
・EDID_Bの基本ブロックBlock0は、2K映像情報を含まずに、最大リフレッシュレートが144Hzまたは240Hzの4K対応フォーマット情報を含む。
【0062】
次に、本実施形態に係る映像表示システム1の動作について説明する。まず、ソース機器20が256バイトのEDIDを読み出し可能な場合について説明する。本例は、ソース機器20が、HDMI1.4以降の規格、例えばHDMI2.0に対応している場合に相当する。
【0063】
ソース機器20が256バイトのEDIDを読み出し可能な場合には、第1実施形態で説明した図3A及び図3Bと同様の動作が行われる。第1実施形態と異なる点は、図3Aの時刻t3~t4及び図3Bにおいて、基本ブロックBlock0とCTA拡張ブロックBlock1を含む256バイトのEDID_Aが読み出される点である。その結果、ソース機器20は、シンク機器10が4K/144Hzまたは4K/240Hzに対応することを検知し、当該映像信号をシンク機器10に送信し、シンク機器10は4K/144Hzまたは4K/240Hzの映像を表示する。
【0064】
次に、ソース機器20が256バイトのEDIDを読み出せず、128バイトまでしかEDIDを読み出せない場合について説明する。本例は、ソース機器20が、HDMI1.2またはそれ以前の規格に対応している場合に相当する。
【0065】
ソース機器20が128バイトまでしかEDIDを読み出せない場合には、第1実施形態で説明した図4A及び図4Bとほぼ同様の動作が行われる。第1実施形態と異なる点は、図4Aの時刻t3~t6及び図4Bにおいて、基本ブロックBlock0とCTA拡張ブロックBlock1を含む256バイトのEDID_Aのうち、基本ブロックBlock1のみが読み出される点と、図4Aの時刻t9~t10及び図4Bにおいて、基本ブロックBlock0を含み、CTA拡張ブロックを含まない128バイトのEDID_Bが読み出される点である。その結果、ソース機器20は、シンク機器10が4K/144Hzまたは4K/240Hzに対応することを、EDID_Bに基づいて検知し、当該映像信号をシンク機器10に送信し、シンク機器10は4K/144Hzまたは4K/240Hzの映像を表示する。
【0066】
図8は、上記動作を実行する際のシンク機器10の処理の流れを示すフローチャートである。第1実施形態で説明した図5と異なる点は以下の通りである。すなわち、
・ステップS10の代わりにステップS30において、HDMI制御部16の命令に従いセレクタ30が256バイトのEDID_Aを選択し、これをシンク機器10の初期EDIDとしてEDIDバッファ13に設定する。
・ステップS14において、シンク機器10のEDID通信量検知部14で測定されたEDID通信データ量が、EDID全データ量より少ない場合、すなわち、256バイト未満の場合(ステップS14でYES)、ステップS31においてHDMI制御部16は、EDID_Bに記載した対応フォーマットを4K解像度に変更する。なお本ステップS31の処理は、シンク機器10がソース機器20に接続されるたびに行われる必要はなく、例えばシンク機器10の製造時などに行われて、既に4K解像度に関する情報を含むEDID_Bが用意されていてよい。
・ステップS31の後、ステップS20の代わりにステップS32において、HDMI制御部16が、セレクタ30に対してEDID_Bを選択させてEDIDバッファ13に保持させ、シンク機器10のEDIDを、256バイトのEDID_Aから128バイトのEDID_Bに変更する。
【0067】
その他の処理は、第1実施形態で説明した図5と同様であるので、説明は省略する。
【0068】
また本実施形態では、第1実施形態において384バイトのEDID_Aに基づいて256バイトのEDID_Bを生成したのと同様に、256バイトのEDID_Aに基づいて128バイトのEDID_Bを生成できる。この方法につき、図9A及び図9Bを用いて説明する。図9Aは、256バイトのEDID(本実施形態におけるEDID_A)における2つのBlock0~Block1の構成を示しており、図9Bは、128バイトのEDID(本実施形態におけるEDID_B)におけるBlock0の構成を模式的に示している。
【0069】
まず、図9Aを用いて、256バイトのEDIDについて説明する。基本ブロックBlock0及びCTA拡張ブロックBlock1の構成は、図7Aで説明した384バイトのEDIDにおける基本ブロックBlock0及びCTA拡張ブロックBlock1と同様である。すなわち、基本ブロックBlock0のアドレス“6Ch”~“7Dh”の領域に、Detailed Timing Descriptorとして2K解像度情報が含まれ、CTA拡張ブロックBlock1のアドレス“62h”~“73h”の領域に、Detailed Timing Descriptorとして4K解像度情報が含まれる。
【0070】
次に、図9Bを用いて、128バイトのEDIDについて説明する。図示するように、128バイトのEDIDは基本ブロックBlock0のみを有している。そして、図9Aで説明した256バイトのEDIDの基本ブロックBlock0のアドレス“6Ch”~“7Dh”の領域に、2K解像度情報の代わりに、CTA拡張ブロックBlock1のアドレス“62h”~“73h”の領域にDetailed Timing Descriptorとして保持された4K解像度情報が含まれる。すなわち、VESAの基本ブロックにおいて、2K解像度情報を、シンク機器10が対応可能な4K(または8K)解像度情報に置き換えたものに相当する。
【0071】
本実施形態によれば、ソース機器20が128バイトのEDIDしか読み出せない場合であっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお本実施形態では、EDID_Bの解像度情報を2Kから、シンク機器10が対応する4Kに置換する場合を例に挙げて説明した。もちろん、シンク機器10が4Kに対応しておらず2Kに対応している場合には、EDID_Bは2K解像度情報を保持する。しかし、シンク機器10が4Kに対応している場合には、上記実施形態で説明したように2K解像度情報を4K解像度情報に置換することで、ソース機器20に対してシンク機器10が4K映像に対応していることを認識させることができる。このように、128バイトのEDIDしか使用できない場合であっても、解像度情報を置き換えることで、4Kや8Kなど、シンク機器10に最適な解像度情報をソース機器20に提供することが可能となり、シンク機器10の性能を十分に生かした高精細な映像を再生できる。
【0072】
<変形例など>
上記説明した実施形態は一例に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、第1実施形態では、384バイトのEDID_Aと256バイトのEDID_Bを用意する場合を例に説明した。本例において、ソース機器20が128バイトのEDIDしか読み出せない場合には、ソース機器20はEDIDに保持される4K情報を得ることができない。この点、近年のHDMIでは、HDMI1.4以上の規格が主流であり、128バイトのEDIDしか読み出せないことは稀であるので、問題となる可能性は低い。しかし、128バイトのEDIDしか読み出せないソース機器20にも対応させるために、第1実施形態で説明した構成において、第3実施形態で説明した、4K情報を含む128バイトのEDIDをメモリ31に保持させてもよい。すなわち、メモリ31が、384バイトのEDID_A、256バイトのEDID_B、及び128バイトのEDID_C(第3実施形態におけるEDID_Bのデータ構造を有するEDID)を保持する場合であってもよい。そしてシンク機器10は、図5を用いて説明した動作において、ステップS13で得られたデータ転送量に応じて、ステップS20で変更すべきEDIDを決定してもよい。すなわち、EDID_A読み出し時におけるデータ転送量が256バイトであった場合には、HDMI制御部16はセレクタ30に対してEDID_Bを選択させ、データ転送量が128バイトであった場合には、EDID_Cを選択させればよい。あるいは、まずEDID_Bを選択させ、EDID_Bの全データが転送されなかった場合には改めてEDID_Cを選択させてHPD信号を出力するようにしてもよい。また、上記実施形態ではEDID_Aが2つのCTA拡張ブロックを有する場合を例に説明したが、3つ以上のCTA拡張ブロックを有する場合であってもよい。EDID_Bも同様である。
【0073】
また上記実施形態では、メモリ31に予め2つのEDID_A及びEDID_Bが保持される場合を例に説明した。しかし、メモリ31がEDID_Bを保持しない場合であってもよい。この場合、例えば図5のステップS20でEDIDを変更する必要が生じた場合には、HDMI制御部16がメモリ31からEDID_Aを読み出し、第2実施形態で説明した方法によりEDID_AからEDID_Bを生成し、これをEDIDバッファ13に保持させてもよい。この場合にはセレクタ30は不要である。これは第3実施形態についても同様である。
【0074】
更に、上記実施形態ではシンク機器10とソース機器20とがHDMIで接続され、その際にソース機器20によって読み出されるEDIDの例について説明した。しかし、上記実施形態はHDMIのEDIDに限定されるものではない。すなわち、複数の機器が有線または無線によって接続され、且つ少なくとも一方の機器が他方の機器から情報を読み出す際に、機器によって読み出し可能なデータサイズが制限されているようなケース全般に適用できる。すなわち、情報が読み出される機器側においては、読み出されるべきデータを、異なるデータサイズで複数用意しておき、読み出し時のデータ転送量に応じて、小さいデータサイズの再読出しを命令すればよい。
【0075】
上記では、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した形態に限定されるものではなく、適宜変形可能である。そして上記の構成は、実質的に類似の構成、類似の作用効果を奏する構成または類似の目的を達成できる構成で置き換えることができる。
【符号の説明】
【0076】
1…映像表示システム、10…シンク機器、11…EDID送受信部、12…EDIDデータ選択部、13…EDIDバッファ、14…EDID通信量検知部、15…HPD制御部、16…HDMI制御部、20…ソース機器
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B