(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085935
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】砂処理装置
(51)【国際特許分類】
B22C 5/00 20060101AFI20240620BHJP
F23C 10/00 20060101ALI20240620BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B22C5/00 A
F23C10/00
B01J8/24 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200727
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】501003825
【氏名又は名称】株式会社 タニキカン
(71)【出願人】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 竹治
(72)【発明者】
【氏名】永井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】谷 貴行
(72)【発明者】
【氏名】迫田 明紀
【テーマコード(参考)】
3K064
4E093
4G070
【Fターム(参考)】
3K064AA08
3K064AB03
3K064AD08
4E093AA01
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA07
4G070CA10
4G070CA19
4G070CA25
4G070CB25
4G070DA23
(57)【要約】
【課題】加熱装置から固体粒子の流動層への熱伝達率が向上し、固体粒子を均一に加熱して固体粒子の付着物を除去することができる砂処理装置(流動槽)を提供する。
【解決手段】固体粒子2を焙煎して付着物を除去する流動槽1であって、容器5と、容器5の底部から容器5内に流動用気体8を供給する気体供給部9と、容器5内に備えられた第1加熱装置10とを有し、気体供給部9から容器5内に供給される流動用気体8によって流動する固体粒子2の流動層22が容器5内に形成され、第1加熱装置10は流動層22内に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する砂処理装置であって、
容器と、
固体粒子を容器内に投入する投入口と、
容器内の固体粒子を排出する排出口と、
容器の底部から容器内に流動用気体を供給する気体供給部と、
容器内に備えられた第1加熱装置とを有し、
気体供給部から容器内に供給される流動用気体によって流動する固体粒子の流動層が容器内に形成され、
第1加熱装置は流動層内に設けられていることを特徴とする砂処理装置。
【請求項2】
第1加熱装置は、熱を発生する発熱装置と、発熱装置の外側を覆って発熱装置を流動する固体粒子から保護する保護部材とを有することを特徴とする請求項1記載の砂処理装置。
【請求項3】
第1加熱装置は電熱式であることを特徴とする請求項1記載の砂処理装置。
【請求項4】
流動層は気体供給部の上方に形成され、
流動層と気体供給部とを仕切る仕切板が容器内に設けられ、
仕切板は流動用気体を気体供給部から流動層へ通過させることを特徴とする請求項1記載の砂処理装置。
【請求項5】
仕切板は通気性を有する多孔質の焼結金属で形成されていることを特徴とする請求項4記載の砂処理装置。
【請求項6】
投入口から排出口に至る流路が容器内に形成され、
流路は、固体粒子が下向きに流れる下降流路と、固体粒子が上向きに流れる上昇流路とを有し、
下降流路と上昇流路とにそれぞれ第1加熱装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂処理装置。
【請求項7】
流動用気体を加熱する第2加熱装置が気体供給部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する砂処理装置(流動槽)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されているように、使用済みの鋳物砂を炉内で流動化させて流動層を形成し、バーナの火炎によって流動する鋳物砂を燃焼させることにより、鋳物砂の表面に付着した有機成分(樹脂系粘結材等)を除去して、鋳物砂を再生する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来形式では、バーナは、炉壁に形成された凹部内に配置されているため、炉内の流動層から離れた位置にある。このため、バーナの火炎から鋳物砂の流動層への熱伝達率が低下するといった問題がある。また、鋳物砂の流動層を均一に加熱することは難しく、鋳物砂が過剰に加熱されて過熱劣化したり、或いは、鋳物砂の加熱が不足して、鋳物砂に付着した有機成分を十分に除去することができないといった問題がある。
また、流動層に団塊が発生する問題を解消するために、使用済みの鋳物砂に再生した鋳物砂を混合して加熱する必要がある。
【0005】
本発明は、加熱装置から固体粒子の流動層への熱伝達率が向上し、固体粒子を均一に加熱して固体粒子の付着物を除去することができる砂処理装置(流動槽)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明は、再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する流動槽であって、
容器と、
固体粒子を容器内に投入する投入口と、
容器内の固体粒子を排出する排出口と、
容器の底部から容器内に流動用気体を供給する気体供給部と、
容器内に備えられた第1加熱装置とを有し、
気体供給部から容器内に供給される流動用気体によって流動する固体粒子の流動層が容器内に形成され、
第1加熱装置は流動層内に設けられているものである。
【0007】
これによると、投入口から容器内に投入された固体粒子は、気体供給部から容器内に供給される流動用気体によって流動しながら、第1加熱装置によって加熱される。これにより、固体粒子が焙煎されて昇温し、固体粒子の付着物が加熱分解して気化し除去される。その後、固体粒子を排出口から排出することにより、固体粒子を再利用することができる。
【0008】
第1加熱装置は固体粒子の流動層内に設けられているため、流動層における固体粒子が第1加熱装置に接し、第1加熱装置から流動層の固体粒子への熱伝達率が向上する。また、第1加熱装置を複数設けた場合、固体粒子の流動層を均一に加熱することができる。このため、流動層の固体粒子が過剰に加熱されて過熱劣化するのを防止することができる。或いは、流動層の固体粒子の加熱不足を防止することができ、固体粒子の付着物が十分に加熱分解して気化し除去される。
【0009】
本第2発明における流動槽は、第1加熱装置は、熱を発生する発熱装置と、発熱装置の外側を覆って発熱装置を流動する固体粒子から保護する保護部材とを有するものである。
【0010】
これによると、発熱装置から発生した熱は保護部材を介して流動層の固体粒子に伝達する。発熱装置は保護部材で保護されているため、流動層において流動する固体粒子が発熱装置に直接当接することはなく、発熱装置の損傷を防止することができる。
【0011】
本第3発明における流動槽は、第1加熱装置は電熱式であるものである。
本第4発明における流動槽は、流動層は気体供給部の上方に形成され、
流動層と気体供給部とを仕切る仕切板が容器内に設けられ、
仕切板は流動用気体を気体供給部から流動層へ通過させるものである。
これによると、流動用気体は気体供給部から仕切板を通って流動層へ供給される。
【0012】
本第5発明における流動槽は、仕切板は通気性を有する多孔質の焼結金属で形成されているものである。
これによると、仕切板に多数の微細な孔を形成することができるため、流動用気体は気体供給部から仕切板の微細な孔を通って流動層へ供給される。また、流動層において流動している固体粒子が仕切板の微細な孔を通って気体供給部に落下するのを防止することができる。
【0013】
本第6発明における流動槽は、投入口から排出口に至る流路が容器内に形成され、
流路は、固体粒子が下向きに流れる下降流路と、固体粒子が上向きに流れる上昇流路とを有し、
下降流路と上昇流路とにそれぞれ第1加熱装置が設けられているものである。
【0014】
これによると、投入口から容器内に投入された固体粒子は、下降流路と上昇流路とを流れながら第1加熱装置で加熱され、その後、排出口から排出される。このように、下降流路と上昇流路とを流れることによって固体粒子が混合されるため、流動層における固体粒子を均一に加熱することができる。
また、固体粒子が投入口から排出口に到達するまでの滞留時間を長く保つことができるため、流動層における固体粒子を十分に加熱することができる。
【0015】
本第7発明における流動槽は、流動用気体を加熱する第2加熱装置が気体供給部に設けられているものである。
【0016】
これによると、気体供給部において、第2加熱装置によって流動用気体を加熱(予熱)することができるため、加熱(予熱)された高温の流動用気体が気体供給部から容器内に供給され、固体粒子は、高温の流動用気体によって流動しながら、第1加熱装置によって加熱される。これにより、流動層において流動する固体粒子を高温に保つことができ、固体粒子が十分に加熱されて焙煎され、固体粒子の付着物が確実に除去される。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によると、加熱装置から固体粒子の流動層への熱伝達率が向上し、固体粒子を均一に加熱して固体粒子の付着物を除去することができる
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態における流動槽の断面図である。
【
図4】同、流動槽に設けられた第1加熱装置の図である。
【
図5】同、流動槽の一部を拡大表示した断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態における流動槽の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0020】
第1の実施の形態では、
図1に示すように、1は、使用済みの鋳物砂2(固体粒子の一例)を焙煎して再生するための流動槽(砂処理装置の一例)である。使用済みの鋳物砂2の表面には樹脂系粘結材等の有機物(再利用の妨げとなる付着物の一例)が付着しているので、有機物を除去するために鋳物砂2を焙煎する。
【0021】
図1~
図3に示すように、流動槽1は、容器5と、使用済みの鋳物砂2を容器5内に投入する投入口6と、容器5内の鋳物砂2を排出する排出口7と、容器5の底部から容器5内に空気8(流動用気体の一例)を供給する気体供給室9(気体供給部の一例)と、容器5内に備えられた複数の第1加熱装置10と、気体供給室9内に設けられた第2加熱装置11とを有している。
容器5は、四角箱状の容器であり、底壁14と、前後一対の前壁15および後壁16と、左右一対の側壁17,18と、天井壁19とを有している。
【0022】
投入口6は天井壁19に設けられ、排出口7は後壁16に設けられている。投入口6の上流側および排出口7の下流側にはそれぞれロータリーバルブ等が接続されている。容器5内において、気体供給室9の上方には流動室20が設けられている。気体供給室9から容器5内に供給される空気8によって流動する鋳物砂2の流動層22が流動室20内に形成される。
【0023】
気体供給室9は容器5内の底部に設けられている。前壁15の底部と後壁16の底部とには、空気8を外部から気体供給室9に取り込む気体流入口23が形成されている。
【0024】
気体供給室9と流動室20とを仕切る仕切板25が容器5内に設けられている。仕切板25は、散気板としての機能を有しており、通気性を有する多孔質の焼結金属で形成され、空気8を気体供給室9から流動室20へ通過させる。また、仕切板25は、多数の数ミクロンの微細な孔を有しており、鋳物砂2の粒度分布における細粒側の10%以上の範囲の鋳物砂2を通過させない。
【0025】
第1加熱装置10は流動層22内に埋没するように設けられている。
図4に示すように、第1加熱装置10は、熱を発生する発熱装置27と、発熱装置27の外側を覆って発熱装置27を流動する鋳物砂2から保護する保護部材28とを有する。
【0026】
発熱装置27は、電熱式の赤外線カーボンランプヒーター管であり、カーボンの薄板を加工したフィラメントと不活性ガスとを石英ガラス管に封入したものである。保護部材28は、金属製の保護管29と、保護管29の外周に設けられた金属製の複数のフィン30とを有している。保護管29内に発熱装置27が挿入されている。また、保護管29内には、発熱装置27の温度を制御して過熱を防止するための熱電対(温度制御センサの一例)が設けられている。
【0027】
図1,
図2に示すように、流動室20を投入側流動室20aと排出側流動室20bとに隔てる上下方向の隔壁32が容器5内に設けられている。隔壁32は前壁15と後壁16との間に設けられており、投入口6は投入側流動室20aの上部に連通し、排出口7は排出側流動室20bの上部に連通している。
【0028】
図1,
図5に示すように、隔壁32の下端部には、開口した連通部33が形成されている。投入側流動室20aの下部と排出側流動室20bの下部とは連通部33を介して連通している。投入口6から連通部33を通って排出口7に至る流路35が容器5内に形成される。流路35は、鋳物砂2が下向きに流れる下降流路35aと、鋳物砂2が上向きに流れる上昇流路35bとを有している。
下降流路35aと上昇流路35bとにはそれぞれ、複数の第1加熱装置10が設けられている。
【0029】
図1,
図3に示すように、第2加熱装置11は、気体流入口23から気体供給室9に流入した空気8を加熱(予熱)する装置であって、金属製の保護管29に挿入された発熱装置27と、上下に積層された金属製の複数枚の多孔板37a,37bとを有している。尚、第2加熱装置11の発熱装置27と保護管29は第1加熱装置10の発熱装置27と保護管29と同じものである。
【0030】
多孔板37a,37bは、上下に貫通する複数の貫通孔38を有しており、投入側流動室20aの下方と排出側流動室20bの下方とに別れて積層されている。発熱装置27と保護管29とは、投入側流動室20aの下方に積層された一方の複数枚の多孔板37aと排出側流動室20bの下方に積層された他方の複数枚の多孔板37bとの間に、上下複数組備えられている。
【0031】
容器5の天井壁19には排気口42が設けられている。鋳物砂2に付着している有機物が加熱分解して気化することによって発生する排ガス41は、気体供給室9内から流動室20内に供給されて流動層22を通った空気8と共に、排気口42から外部に排出される。
以下に、上記構成における作用を説明する。
【0032】
第2加熱装置11の発熱装置27から発生した熱は保護管29を介して多孔板37a,37bに伝達され、多孔板37a,37bが加熱される。気体流入口23から気体供給室9内に流入した空気8は、多孔板37a,37bの貫通孔38を通過する際に加熱(予熱)され、その後、仕切板25の微細な孔を通過して流動室20へ均一に流れ込む。
【0033】
投入口6から容器5内の流動室20に投入された使用済みの鋳物砂2は、仕切板25を通過して流動室20に供給される空気8によって流動しながら、複数の第1加熱装置10によって加熱される。
【0034】
これにより、鋳物砂2が焙煎され、鋳物砂2に付着している有機物は、加熱分解して気化し、排ガス41として空気8と共に排気口42から外部へ排出される。このようにして付着していた有機物が除去された鋳物砂2は排出口7から排出されて再利用される。
【0035】
尚、使用済みの鋳物砂2は、連続的に投入口6から流動室20に投入されるとともに、連続的に排出口7から排出される。これにより、流動室20には、常に所定量の鋳物砂2が流動して流動層22を形成している。
【0036】
複数の第1加熱装置10は流動層22内に埋没するように設けられているため、流動層22の鋳物砂2が第1加熱装置10の保護部材28(保護管29とフィン30)に接し、第1加熱装置10の発熱装置27から発生した熱が保護部材28を介して流動層22の鋳物砂2に伝達する。これにより、第1加熱装置10から流動層22の鋳物砂2への熱伝達率が向上するとともに、流動層22を均一に加熱することができる。
【0037】
このため、流動層22の鋳物砂2が過剰に加熱されて過熱劣化するのを防止することができ、また、流動層22の鋳物砂2の加熱不足を防止することができ、鋳物砂2に付着した有機物が十分に除去される。
【0038】
また、第1加熱装置10の発熱装置27は保護部材28で保護されているため、流動層22において流動する鋳物砂2が発熱装置27に直接当接することはなく、発熱装置27の損傷を防止することができる。
【0039】
また、通気性を有する多孔質の焼結金属を、仕切板25に用いており、仕切板25の孔は鋳物砂2の粒度分布の細粒側の10%以上の範囲の鋳物砂2を通過させないような大きさであるため、流動層22において流動している大部分の鋳物砂2が仕切板25を通って気体供給室9に落下することはない。
【0040】
また、投入口6から容器5内に投入された使用済みの鋳物砂2は、流動層22となって流動化し、投入側流動室20aの下降流路35aと排出側流動室20bの上昇流路35bとを流れながら複数の第1加熱装置10で加熱される。このように、下降流路35aと上昇流路35bとを流れることによって鋳物砂2が混合されるため、未加熱の鋳物砂2が短絡的に投入口6から排出口7に到達して排出されてしまうことは無く、流動層22における鋳物砂2を均一に加熱することができる。
【0041】
また、鋳物砂2が投入口6から排出口7に到達するまでの滞留時間を長く保つことができるため、流動層22における鋳物砂2を十分に加熱することができる。尚、流動室20内の温度が500℃以上で且つ鋳物砂2の滞留時間が10分以上になるように温度と鋳物砂2の通過量とを制御することが好ましい。この条件で処理した鋳物砂2を使用した鋳型強度は、新砂を使用した鋳型強度の約80%以上に達する。
尚、上記処理温度500℃とは鋳物砂2に付着した有機物が熱分解して気化する温度よりも少し高い温度であり、流動室20内の温度を500℃以上に保つことにより、使用済みの鋳物砂2のみを流動槽1に供給して、損耗無く、使用済みの鋳物砂2を再生することができる。これにより、上記特許文献1に記載されているように、使用済みの鋳物砂に再生した鋳物砂を混合して加熱する必要は無い。
【0042】
また、気体供給室9において、第2加熱装置11によって空気8を加熱(予熱)することができるため、加熱(予熱)された高温の空気8が気体供給室9から容器5内の流動室20に供給され、鋳物砂2は、高温の空気8によって流動しながら、第1加熱装置10によって加熱される。これにより、流動層22において流動する鋳物砂2を高温に保つことができ、鋳物砂2が十分に焙煎されて、鋳物砂2に付着した有機物が確実に除去される。
【0043】
尚、固気流動層に於いては固体粒子の粒径・密度・温度・気体の種類等により、熱伝達率が大きい気泡流動層の状態を作り出す風塔速度の最適値を見出す必要がある。鋳物砂2等で粒径が100μm前後の微細粒体では、上記風塔速度の最適値は0.06m/s~0.1m/sとなる。上記風塔速度とは、流体の槽内での速度のことであり、本実施の形態においては、流動槽1の流動室20内を流れる空気8の速度である。
【0044】
一方で、流動槽1の仕切板25を焼結金属板とすることにより全断面に於いて均一な風塔速度で鋳物砂2を流動化することができるが、流動槽1内の第1加熱装置10や流動槽1の壁面等ではこの流速が乱されて局部的な偏流が発生し、この偏流によって鋳物砂2が滞留して堆積する虞がある。これを防止する為に、流動槽1の使用方法として、熱伝達率の低下しない範囲で基準の風塔速度(例えば0.08m/s)に対して、例えば、±20%の範囲(所定の範囲の一例)で、且つ、5分~10分(所定の時間の一例)ごとに風塔速度を変動させてもよい。これによると、鋳物砂2の滞留および堆積を防止することができる。
(第2の実施の形態)
【0045】
先述した第1の実施の形態では、
図1に示すように、容器5内に1つの隔壁32を設けて1つの下降流路35aと1つの上昇流路35bとを形成しているが、第2の実施の形態として、
図6に示すように、容器5内に複数(例えば3つ)の隔壁61,62,63を設けて、流動室20に複数の下降流路35a,35cと複数の上昇流路35b,35dとを形成してもよい。
【0046】
これによると、投入口6から容器5内に投入された使用済みの鋳物砂2は、第1の下降流路35aと第1の上昇流路35bとを流れながら複数の第1加熱装置10で加熱され、さらに、第2の下降流路35cと第2の上昇流路35dとを流れながら複数の第1加熱装置10で加熱される。これにより、鋳物砂2が十分に混合されて、流動層22における鋳物砂2をより均一に加熱することができる。
【0047】
また、鋳物砂2が投入口6から排出口7に到達するまでの滞留時間をさらに長く保つことができるため、流動層22における鋳物砂2を十分に加熱することができる。
【0048】
上記各実施の形態では、固体粒子の一例として鋳物砂2を挙げたが、砂型造形用3Dプリンターを用いて製作される砂型に使用される人工の細粒砂に適用することもできる。また、固体粒子は砂に限定されるものではない。さらに、再利用の妨げとなる付着物の一例として樹脂系粘結材等の有機物を挙げたが、これに限定されるものでは無い。
【0049】
上記各実施の形態では、流動用気体の一例として空気8を用いたが、窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 流動槽(砂処理装置)
2 鋳物砂(固体粒子)
5 容器
6 投入口
7 排出口
8 空気(流動用気体)
9 気体供給室(気体供給部)
10 第1加熱装置
11 第2加熱装置
22 流動層
25 仕切板
27 発熱装置
28 保護部材
35 流路
35a,35c 下降流路
35b,35d 上昇流路