(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085936
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】砂加熱装置
(51)【国際特許分類】
F27B 15/02 20060101AFI20240620BHJP
F23C 10/18 20060101ALI20240620BHJP
F27B 15/14 20060101ALI20240620BHJP
B22C 5/00 20060101ALI20240620BHJP
F27D 11/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F27B15/02
F23C10/18
F27B15/14
B22C5/00 A
F27D11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200728
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】501003825
【氏名又は名称】株式会社 タニキカン
(71)【出願人】
【識別番号】000165000
【氏名又は名称】群栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷 竹治
(72)【発明者】
【氏名】永井 康弘
(72)【発明者】
【氏名】谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】谷 貴行
(72)【発明者】
【氏名】迫田 明紀
【テーマコード(参考)】
3K064
4E093
4K046
4K063
【Fターム(参考)】
3K064AA08
3K064AA20
3K064AB07
3K064BA01
3K064BA03
3K064BB07
4E093AA01
4K046HA09
4K046HA13
4K046JA04
4K046JB08
4K046JC07
4K046JD05
4K046JE01
4K063AA05
4K063BA08
4K063BA15
4K063CA03
4K063FA13
4K063FA14
(57)【要約】
【課題】固体粒子を均一に加熱して固体粒子の付着物を除去することができる砂加熱装置(流動槽)を提供する。
【解決手段】再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子2を焙煎して付着物を除去する流動槽1であって、固体粒子2の流動層11が鉛直方向に交差する流れ方向4に沿って流れる通路5a~5cと、通路5aの上流側に設けられた投入口6と、通路5cの下流側に設けられた排出口7と、通路5a~5cの下方から通路5a~5cに流動用気体8を供給して固体粒子2の流動層11を形成する気体供給部9a~9cと、通路5a~5cを上流側から下流側に流れる固体粒子2の流動層11を加熱する加熱装置10a,10bとを有し、通路5a~5cは固体粒子2の流動層11を下方から受け止める底部21を有し、底部21は流動用気体8を通路5a~5cの下方から上方へ通過させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する砂加熱装置であって、
固体粒子の流動層が鉛直方向に交差する流れ方向に沿って流れる通路と、
通路の上流側に設けられた投入口と、
通路の下流側に設けられた排出口と、
通路の下方から通路に流動用気体を供給して固体粒子の流動層を形成する気体供給部と、
通路を上流側から下流側に流れる固体粒子の流動層を加熱する加熱装置とを有し、
通路は固体粒子の流動層を下方から受け止める底部を有し、
底部は流動用気体を通路の下方から上方へ通過させることを特徴とする砂加熱装置。
【請求項2】
流れ方向に対向して固体粒子の流動層を混ぜる堰が通路に設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂加熱装置。
【請求項3】
加熱装置は通路を流れる固体粒子の流動層に赤外線又はハロゲン光を照射して加熱することを特徴とする請求項1記載の砂加熱装置。
【請求項4】
通路と加熱装置とはそれぞれ上下複数段に設けられ、
最上段の通路が投入口に連通し、
最下段の通路が排出口に連通し、
固体粒子の流動層は最上段の通路から最下段の通路へ流れ、
流動用気体は最下段の通路の下方から順次通路の底部を通過して最上段の通路の上方へ流れることを特徴とする請求項1記載の砂加熱装置。
【請求項5】
通路は上下複数段に設けられ、
最上段の通路が投入口に連通し、
最下段の通路が排出口に連通し、
最下段の通路を流れる固体粒子の流動層を冷却する冷却装置が備えられていることを特徴とする請求項1記載の砂加熱装置。
【請求項6】
通路は上下複数段に分けて設けられ、
各段の通路に、固体粒子を各段の通路の外部へ排出する予備排出口と、予備排出口を開閉する開閉体とが設けられていることを特徴とする請求項1記載の砂加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する砂加熱装置(流動槽)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されているように、使用済みの鋳物砂を、炉の天井部から炉内に落下させ、炉内で流動化させて流動層を形成し、バーナの火炎によって流動する鋳物砂を燃焼させることにより、鋳物砂の表面に付着した有機成分(樹脂系粘結材等)を除去し、再生された鋳物砂を炉の底部から排出する再生方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の従来形式では、流動層を形成している鋳物砂は複数の鋳物砂通路を落下して炉の底部から排出されるため、鋳物砂は、流動層の状態で短時間だけ滞留した後に鋳物砂通路を落下して炉の底部から排出されたり、或いは、長時間滞留した後に鋳物砂通路を落下して炉の底部から排出されることがある。このため、流動層の状態で炉内に滞留している鋳物砂の滞留時間のばらつきが大きくなり、流動層の鋳物砂を均一に加熱することが難しく、鋳物砂が過剰に加熱されて過熱劣化したり、或いは、鋳物砂の加熱が不足して、鋳物砂に付着した有機成分を十分に除去することができないといった問題がある。
本発明は、固体粒子を均一に加熱して固体粒子の付着物を除去することができる流動槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本第1発明は、再利用の妨げとなる付着物が表面に付着した固体粒子を焙煎して付着物を除去する流動槽であって、
固体粒子の流動層が鉛直方向に交差する流れ方向に沿って流れる通路と、
通路の上流側に設けられた投入口と、
通路の下流側に設けられた排出口と、
通路の下方から通路に流動用気体を供給して固体粒子の流動層を形成する気体供給部と、
通路を上流側から下流側に流れる固体粒子の流動層を加熱する加熱装置とを有し、
通路は固体粒子の流動層を下方から受け止める底部を有し、
底部は流動用気体を通路の下方から上方へ通過させるものである。
【0006】
これによると、投入口から通路に投入された固体粒子によって通路内に固体粒子の流動層が形成され、固体粒子の流動層は、通路内を鉛直方向に交差する流れ方向に沿って流れながら、加熱装置によって加熱される。この際、固体粒子の流動層は通路の底部で受け止められた状態で流れ方向に沿って流れるため、流動層が通路の途中で落下することはない。
【0007】
これにより、流動層の状態で流動槽内に滞留している固体粒子の滞留時間のばらつきが小さくなり、固体粒子を流動層の状態で所定の滞留時間だけ流動槽内に滞留させることができるため、流動層の固体粒子を均一に加熱することができる。
【0008】
本第2発明における流動槽は、流れ方向に対向して固体粒子の流動層を混ぜる堰が通路に設けられているものである。
【0009】
これによると、固体粒子の流動層は、通路内を流れ方向へ流れながら、堰にぶつかって混ぜられる。これにより、流動層が均一に加熱される。
【0010】
本第3発明における流動槽は、加熱装置は通路を流れる固体粒子の流動層に赤外線又はハロゲン光を照射して加熱するものである。
【0011】
本第4発明における流動槽は、通路と加熱装置とはそれぞれ上下複数段に設けられ、
最上段の通路が投入口に連通し、
最下段の通路が排出口に連通し、
固体粒子の流動層は最上段の通路から最下段の通路へ流れ、
流動用気体は最下段の通路の下方から順次通路の底部を通過して最上段の通路の上方へ流れるものである。
【0012】
これによると、流動用気体は、最下段の通路の下方から順次通路の底部を通過して最上段の通路の上方へ流れることにより、上下複数段の加熱装置によって次第に加熱され、上方の段ほど高温になる。
【0013】
このため、高温の流動用気体が最上段の通路の下方から最上段の通路内に供給され、投入口から最上段の通路に投入された固体粒子が低温であっても、高温の流動用気体と加熱装置とで固体粒子を十分に加熱することができる。
【0014】
本第5発明における流動槽は、通路は上下複数段に設けられ、
最上段の通路が投入口に連通し、
最下段の通路が排出口に連通し、
最下段の通路を流れる固体粒子の流動層を冷却する冷却装置が備えられているものである。
【0015】
これによると、最下段の通路を流れる固体粒子の流動層が冷却装置によって冷却されるため、排出口から排出される固体粒子の温度が低下し、排出口から排出された後の固体粒子の取り扱いが容易になる。
【0016】
本第6発明における流動槽は、通路は上下複数段に分けて設けられ、
各段の通路に、固体粒子を各段の通路の外部へ排出する予備排出口と、予備排出口を開閉する開閉体とが設けられているものである。
【0017】
これによると、固体粒子の投入を停止し、加熱装置による固体粒子の加熱を停止して、固体粒子の焙煎作業を終了する際、開閉体を開いて予備排出口を開放することにより、各段の通路の固体粒子の流動層が開かれた予備排出口から各段の通路の外に排出される。これにより、固体粒子を流動槽から排出するのに要する時間が短縮され、固体粒子の焙煎作業を迅速かつ容易に終了することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によると、流動層の状態で流動槽内に滞留している固体粒子の滞留時間のばらつきが小さくなり、固体粒子を流動層の状態で所定の滞留時間だけ流動槽内に滞留させることができるため、流動層の固体粒子を均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態における流動槽の断面図である。
【
図5】同、流動槽の断面図であって、流動槽内の空気の流れを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0021】
第1の実施の形態では、
図1~
図3に示すように、1は、使用済みの鋳物砂2(固体粒子の一例)を焙煎して再生するための流動槽(砂加熱装置の一例)である。使用済みの鋳物砂2の表面には樹脂系粘結材等の有機物(再利用の妨げとなる付着物の一例)が付着しているので、有機物を除去するために鋳物砂2を焙煎する。
【0022】
流動槽1は、四角箱状の容器3と、鋳物砂2の流動層11が鉛直方向に直交する前後の流れ方向4に沿って流れる通路5と、通路5の上流側に設けられた投入口6と、通路5の下流側に設けられた排出口7と、通路5の下方から通路5内に空気8(流動用気体の一例)を供給して鋳物砂2の流動層11を形成する気体供給室9(気体供給部の一例)と、通路5を上流側から下流側に流れる鋳物砂2の流動層11を加熱する加熱装置10とを有している。
容器3は、前後方向において相対向する前壁14および後壁15と、左右方向において相対向する側壁16,17と、天井壁18とを有している。
【0023】
通路5と気体供給室9と加熱装置10とはそれぞれ上下複数段に分けて設けられている。すなわち、通路5は、最上段に備えられた第1通路5aと、中段に備えられた第2通路5bと、最下段に備えられた第3通路5cとを有している。同様に、気体供給室9は、最上段に備えられた第1気体供給室9aと、中段に備えられた第2気体供給室9bと、最下段に備えられた第3気体供給室9cとを有している。
また、加熱装置10は、最上段に備えられた複数の第1加熱装置10aと、中段に備えられた複数の第2加熱装置10bとを有している。
【0024】
第1~第3通路5a~5cはそれぞれ、鋳物砂2の流動層11を下方から受け止める底板21(底部の一例)を有している。底板21と容器3の両方の側壁16,17とで第1~第3通路5a~5cが形成される。
底板21は、散気板としての機能を有しており、通気性を有する多孔質の焼結金属で形成されており、多数の数ミクロンの微細な孔を有している。
【0025】
第1通路5a(最上段の通路)の上流端が投入口6に連通し、第3通路5c(最下段の通路)の下流端が排出口7に連通している。投入口6は前壁14の上部に形成され、排出口7は後壁15の下部に形成されている。
【0026】
第1通路5aの下流端と第2通路5bの上流端とは、後壁15に取り付けられた上下方向の後部接続通路24を介して、連通している。同様に、第2通路5bの下流端と第3通路5cの上流端とは、前壁14に取り付けられた上下方向の前部接続通路25を介して、連通している。
【0027】
鋳物砂2の流動層11は、順次、第1通路5aから後部接続通路24を経て第2通路5bを通り、第2通路5bから前部接続通路25を経て第3通路5cへ流れる。
【0028】
また、第1~第3通路5a~5cにはそれぞれ、流れ方向4に対向して鋳物砂2の流動層11を混ぜる複数の溢流堰51と複数の潜り堰52とが交互に設けられている。このうち、溢流堰51は第1~第3通路5a~5cの底板21から上向きに立ち上がっている。
図4に示すように、第1~第3通路5a~5cの流動層11は溢流堰51を溢流して流れ方向4に流れ、流動層11の上面から溢流堰51の上端までの溢流深さDが所定の深さ(例えば約5mm)になるように溢流堰51の高さが設定されている。
【0029】
また、潜り堰52は上方から第1~第3通路5a~5cの流動層11内に潜り込んでおり、潜り堰52の下端と第1~第3通路5a~5cの底板21との間に、狭い流通口53が形成されている。
【0030】
また、第1~第3気体供給室9a~9cはそれぞれ、容器3内に設けられた上下複数段の第1~第3仕切板27a~27cによって仕切られており、これら仕切板27a~27cと第1~第3通路5a~5cの底板21との間に形成されている。
【0031】
第1通路5aと天井壁18との間には第1空間29aが形成され、第1仕切板27aと第2通路5bとの間には第2空間29bが形成され、第2仕切板27bと第3通路5cとの間には第3空間29cが形成されている。また、第3仕切板27cの下方には、通路5内に空気8を供給する送風機31が設けられている。
【0032】
第1気体供給室9aと第2空間29bとは、前壁14に取り付けられた第1送風通路32aを介して、連通している。第2気体供給室9bと第3空間29cとは、後壁15に取り付けられた第2送風通路32bを介して、連通している。第3気体供給室9cと送風機31とは、前壁14に取り付けられた第3送風通路32cを介して、連通している。
図2,
図3に示すように、容器3の一側壁16の上部には排気口23が設けられている。排気口23は第1空間29aに開口している。
【0033】
図1に示すように、第1~第3気体供給室9a~9c内にはそれぞれ、第1~第3気体供給室9a~9c内を流れる空気8の流速を調節する流速調節板34が設けられている。これら流速調節板34はそれぞれ、第1~第3通路5a~5cの上流側から下流側に向かって上方へ傾斜している。
【0034】
空気8は、送風機31から第3送風通路32cを経て第3気体供給室9cに流入し、第3通路5cの底板21を下方から上方へ通過して第3空間29cに流れ込み、第3空間29cから第2送風通路32bを経て第2気体供給室9bに流入し、第2通路5bの底板21を下方から上方へ通過して第2空間29bに流れ込み、第2空間29bから第1送風通路32aを経て第1気体供給室9aに流入し、第1通路5aの底板21を下方から上方へ通過して第1空間29aに流れ込み、
図2に示すように第1空間29aから排気口23を通って容器3の外部へ排出される。
【0035】
第1加熱装置10aは、第1空間29aに設けられており、第1通路5aを流れる鋳物砂2の流動層11に上方から赤外線を照射して加熱を行うものである。第2加熱装置10bは、第2空間29bに設けられており、第2通路5bを流れる鋳物砂2の流動層11に上方から赤外線を照射して加熱を行うものである。
【0036】
第1および第2加熱装置10a,10bはそれぞれ、電熱式の赤外線カーボンランプヒーター管であって、カーボンの薄板を加工したフィラメントと不活性ガスとを石英ガラス管に封入したものである。尚、第1および第2加熱装置10a,10bには、温度を制御して過熱を防止するための温度制御センサ(例えば熱電対等)が備えられている。
【0037】
第3通路5c(最下段の通路)を流れる鋳物砂2の流動層11を冷却する冷却装置37が備えられている。冷却装置37は、容器3の外側に設けられた給水側のヘッダー管38と、ヘッダー管38に冷却水39を供給する給水装置40と、ヘッダー管38から分岐して第3通路5cを流れる鋳物砂2の流動層11内に突入する複数の分岐管41と、第3通路5cを流れる鋳物砂2の流動層11の上方に設けられた排水側のヘッダー管42と、各分岐管41を流れてヘッダー管42に排出された冷却水39を給水装置40に戻す戻り管43とを有している。
【0038】
給水装置42は、容器3の外側に設置されており、戻り管43から戻ってきた冷却水39を所定の冷却温度に冷却する冷却装置(ウォーターチラー)等を有している。また、各分岐管41の上端は排水側のヘッダー管42に接続されている。
図1に示すように、分岐管41は、第3通路5cに交互に設けられた溢流堰51と潜り堰52との間に1本ずつ配管されている。
【0039】
図2,
図3に示すように、第1~第3通路5a~5cの途中にはそれぞれ、鋳物砂2を第1~第3通路5a~5cの外部へ排出する予備排出口55と、予備排出口55を開閉する蓋56(開閉体の一例)とが設けられている。予備排出口55と蓋56は容器3の他側壁17に設けられている。蓋56はモータやシリンダ等の駆動装置によって離れた場所から自動的に開閉される。また、他側壁17には、各予備排出口55から排出された鋳物砂2が落下して回収される上下方向の排出通路58が取り付けられている。
以下、上記構成における作用を説明する。
【0040】
流動槽1を用いて鋳物砂2を焙煎する場合、
図2の実線で示すように蓋56を閉じておく。そして、送風機31を駆動することにより、空気8が、第3送風通路32cを通って第3気体供給室9cに流入し、第3通路5cの底板21を下方から上方へ通過して第3空間29cに流れ込み、第3空間29cから第2送風通路32bを通って第2気体供給室9bに流入し、第2通路5bの底板21を下方から上方へ通過して第2空間29bに流れ込み、第2空間29bから第1送風通路32aを通って第1気体供給室9aに流入し、第1通路5aの底板21を下方から上方へ通過して第1空間29aに流れ込み、
図2に示すように第1空間29aから排気口23を通って容器3の外部へ排出される。
【0041】
また、給水装置42を駆動することにより、冷却水39が、給水装置42から給水側のヘッダー管38を通って各分岐管41を流れ、各分岐管41から排水側のヘッダー管42に合流し、ヘッダー管42から戻り管43に排出され、戻り管43を流れて給水装置42に戻される。これにより、冷却水39は循環しながら給水装置42の冷却装置で所定の冷却温度に保たれる。
【0042】
投入口6から第1通路5aに投入された鋳物砂2は、第1通路5aの底板21を下方から上方へ通過する空気8によって流動化し、流動層11となって第1通路5aを流れ、後部接続通路24を通った後、第2通路5bの底板21を下方から上方へ通過する空気8によって引き続き流動化し、流動層11の状態で第2通路5bを流れ、前部接続通路25を通った後、第3通路5cの底板21を下方から上方へ通過する空気8によって引き続き流動化し、流動層11の状態で第3通路5cを流れ、排出口7から排出される。
【0043】
上記のように鋳物砂2の流動層11は、流れ方向4に沿って第1通路5aを流れている際、第1加熱装置10aによって加熱され、第2通路5bを流れている際、第2加熱装置10bによって加熱され、第3通路5cを流れている際、冷却装置37の分岐管41内を流れる冷却水39によって冷却される。
【0044】
このとき、鋳物砂2の流動層11は第1,第2,第3通路5a,5b,5cの底板21で受け止められた状態で流れ方向4に流れるため、流動層11が各通路5a,5b,5cの途中で落下することはない。
【0045】
これにより、流動層11の状態で流動槽1内に滞留している鋳物砂2の滞留時間のばらつきが小さくなり、鋳物砂2を流動層11の状態で所定の滞留時間だけ流動槽1内に滞留させることができるため、流動層11の鋳物砂2を均一に加熱および冷却することができる。
【0046】
尚、第1および第2加熱装置10a,10bに、電熱式の赤外線カーボンランプヒーター管を用いているため、CO
2負荷の少ない電気エネルギーを効率良く使用することができる。
また、鋳物砂2は熱エネルギーの内部伝導が悪いので、第1および第2加熱装置10a,10bで鋳物砂2を加熱する際、流動層11の上部表面は十分に加熱され易いが、流動層11の下部は十分に加熱され難い傾向にある。これに対して、
図4に示すように、鋳物砂2の流動層11は、第1,第2,第3通路5a,5b,5cを流れ方向4へ流れる際、潜り堰52にぶつかって沈み込んだり、溢流堰51にぶつかって溢流堰51の上を溢流するため、上下に混ぜられる。これにより、第1および第2通路5a,5bにおいて、鋳物砂2の流動層11が均一に加熱されて焙煎されるため、鋳物砂2に付着している有機物は、加熱分解して気化し、
図2に示すように、排ガス60として空気8と共に排気口23から外部へ排出される。
特に、流動層11が溢流堰51の上を溢流する際、流動層11の深さ(上下方向の厚さ)が大幅に浅く(薄く)なるため、流動層11の上下方向における温度のばらつきが大幅に減少する。
【0047】
また、第3通路5cにおいて鋳物砂2の流動層11が均一に冷却されるため、排出口7から排出される鋳物砂2の温度が低下し、排出口7から排出された後の鋳物砂2の取り扱いが容易になる。
【0048】
このようにして付着していた有機物が除去された鋳物砂2は排出口7から排出されて再利用される。尚、使用済みの鋳物砂2は連続的に投入口6から投入されるとともに連続的に排出口7から排出される。これにより、流動槽1内には、常に所定量の鋳物砂2が流動して流動層11を形成している。
【0049】
また、空気8は、最下段の第3気体供給室9cから順次第3通路5cの底板21と第2通路5bの底板21と第1通路5aの底板21とを通過して第1空間29aへ流れることにより、第1および第2加熱装置10a,10bによって次第に加熱され、上方の段ほど高温になる。
【0050】
このため、第2加熱装置10bによって加熱され昇温した空気8が第1通路5a内に供給され、投入口6から第1通路5aに投入された鋳物砂2が低温であっても、昇温した空気8と第1加熱装置10aとで鋳物砂2を十分に加熱することができる。
【0051】
また、
図5に示すように、第1~第3気体供給室9a~9cに流入した空気8は傾斜した流速調節板34の上面に沿って流れるため、第1~第3気体供給室9a~9c内の空気8の流路断面積が上流側から下流側になるほど次第に縮小され、これに伴って、空気8の流速が上流側から下流側になるほど次第に速くなる。
【0052】
これにより、第1~第3通路5a~5cにおける上流側よりも下流側ほど流動層11の鋳物砂2の密度が低下するため、鋳物砂2は第1~第3通路5a~5cにおいて上流側から下流側に向かって流れ易くなる。従って、鋳物砂2の流動層11は、円滑かつ確実に、第1通路5aの上流側から下流側へ流れ、次に、第2通路5bの上流側から下流側へ流れ、その後、第3通路5cの上流側から下流側へと、連続して流れる。
【0053】
また、投入口6への鋳物砂2の投入を停止し、第1および第2加熱装置10a,10bによる鋳物砂2の加熱を停止して、鋳物砂2の焙煎作業を終了する際、
図2の仮想線で示すように、蓋56を開いて予備排出口55を開放する。これにより、第1~第3通路5a~5cの鋳物砂2の流動層11が、開かれた予備排出口55から第1~第3通路5a~5cの外に排出され、排出通路58を落下して容器3の外部に回収される。従って、鋳物砂2を流動槽1から排出するのに要する時間が短縮され、鋳物砂2の焙煎作業を迅速かつ容易に終了することができる。
【0054】
上記実施の形態では、
図1に示すように、第1加熱装置10aおよび第2加熱装置10bは赤外線を照射して加熱を行うものであるが、ハロゲン光等を照射して加熱を行うものでもよい。
【0055】
上記実施の形態では、固体粒子の一例として鋳物砂2を挙げたが、砂型造形用3Dプリンターを用いて製作される砂型に使用される人工の細粒砂に適用することもできる。また、固体粒子は砂に限定されるものではない。さらに、再利用の妨げとなる付着物の一例として樹脂系粘結材等の有機物を挙げたが、これに限定されるものでは無い。
上記実施の形態では、流動用気体の一例として空気8を用いたが、窒素ガス等の不活性ガスを用いてもよい。
【0056】
上記各実施の形態では、
図1に示すように、鋳物砂2の流動層11は鉛直方向に直交する流れ方向4に沿って通路5を流れるため、流れ方向4は水平方向になるが、水平方向に限定されるものではなく、流れ方向4が傾斜した方向であってもよい。
【0057】
上記実施の形態では、
図1に示すように、通路5は、上下3段の通路5a,5b,5cに分かれているが、上下3段に限定されるものではなく、上下3段以外の上下複数段の通路に分かれていてもよい。或いは、上下複数段に分かれておらず、通路を1段のみ設けても良い。同様に、加熱装置10は、上下2段の加熱装置10a,10bに分かれているが、上下2段に限定されるものではなく、通路5の段数に応じた段数にすれば良い。
【符号の説明】
【0058】
1 流動槽(砂加熱装置)
2 鋳物砂(固体粒子)
4 流れ方向
5 通路
5a 第1通路(最上段の通路)
5b 第2通路
5c 第3通路(最下段の通路)
6 投入口
7 排出口
8 空気(流動用気体)
9 気体供給室(気体供給部)
10 加熱装置
11 流動層
21 底板(底部)
37 冷却装置
51 溢流堰
52 潜り堰
55 予備排出口
56 蓋(開閉体)