(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085960
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】燃料電池スタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0276 20160101AFI20240620BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20240620BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240620BHJP
【FI】
H01M8/0276
H01M8/2465
H01M8/10 101
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200764
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 優
(72)【発明者】
【氏名】杉原 雄太
(72)【発明者】
【氏名】小山 賢
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA13
5H126BB06
5H126DD05
5H126EE04
5H126EE11
5H126JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の単位セルからなる積層体に積層方向の衝撃荷重が作用してもガス漏洩を抑制できる燃料電池スタックを提供する。
【解決手段】燃料電池スタックの複数の単位セルからなる積層体に積層方向の締め付け荷重が付与されることによって各々のセパレータ(第1セパレータ30、第2セパレータ32)のビードシール(外側ビードシール62、82)は圧縮され、圧縮後のビードシールの積層方向の高さHb2は、圧縮前のビードシールの積層方向の高さHb1よりも低く、フィード凸部52a、52b、72a、72bの積層方向の高さHfは、圧縮後のビードシールの積層方向の高さHb2よりも低い。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極構造体と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有する単位セルが積層された燃料電池スタックであって、
一対の前記セパレータの各々は、
前記膜電極構造体に向かって突出する流路凸部を有し、前記膜電極構造体の電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、
前記セパレータの厚さ方向に貫通し、前記反応ガスを流通させる連通孔と、
前記膜電極構造体に向かって突出するフィード凸部を有し、前記反応ガス流路と前記連通孔とを連通する複数のフィードと、
前記膜電極構造体に向かって突出し、前記反応ガス流路及び前記フィードと前記膜電極構造体との間の空間をシールするビードシールと、
を有し、
複数の前記単位セルからなる積層体に積層方向の締め付け荷重が付与されることによって各々の前記セパレータの前記ビードシールは圧縮され、
圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さは、圧縮前の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低く、
前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低い、燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池スタックであって、
前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与される前後で変わらない、燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池スタックであって、
前記フィード凸部は、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与された後に、前記膜電極構造体と接触しない、燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池スタックであって、
前記フィード凸部は、前記締め付け荷重より大きい荷重が前記積層方向へ付与された場合に、前記フィード凸部が前記膜電極構造体と接触する、燃料電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単位セルが積層された燃料電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池スタックは、複数の単位セルが積層されて構成される。各々の単位セルは、膜電極構造体(MEA)と、MEAを挟持する一対のセパレータ(第1セパレータ、第2セパレータ)とを備える。MEAは、固体高分子電解質膜と、アノード電極と、カソード電極とを備える。固体高分子電解質膜は、高分子イオン交換膜からなる。アノード電極は、固体高分子電解質膜の一方の面に配置される。カソード電極は、固体高分子電解質膜の他方の面に配置される。
【0003】
各々のセパレータの両面には、凸部が複数形成される。これにより、MEAと第1セパレータとの間には、燃料ガスを流すための流路(燃料ガス流路)と、流路を封止するためのビードシールとが形成される。また、MEAと第2セパレータとの間には、酸化剤ガスを流すための流路(酸化剤ガス流路)と、流路を封止するためのビードシールとが形成される。また、互いに隣接する2つの単位セルにおいて、一方の単位セルの第1セパレータと他方の単位セルの第2セパレータとの間には、冷却媒体を流すための流路(冷却媒体流路)が形成される。
【0004】
特許文献1には、ビードシールに均一な押圧荷重を付与するためのセパレータが開示される。特許文献1のセパレータは、連通孔を囲むビードシールと、セパレータの周縁部に形成されるビードシールとの間に、凸部を有する。凸部の高さは、ビードシールの高さよりも低い。このような構造により、ビードシールが圧縮された場合に、凸部がビードシールの変位を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、燃料電池車両の衝突等により、複数の単位セルからなる積層体に積層方向の衝撃荷重が作用すると、ビードシールは圧縮されて変形する。ビードシールが大きく変形すると、ビードシールが封入する流路からガスが漏洩する虞がある。
【0007】
本発明は上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、膜電極構造体と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有する単位セルが積層された燃料電池スタックであって、一対の前記セパレータの各々は、前記膜電極構造体に向かって突出する流路凸部を有し、前記膜電極構造体の電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、前記セパレータの厚さ方向に貫通し、前記反応ガスを流通させる連通孔と、前記膜電極構造体に向かって突出するフィード凸部を有し、前記反応ガス流路と前記連通孔とを連通する複数のフィードと、前記膜電極構造体に向かって突出し、前記反応ガス流路及び前記フィードと前記膜電極構造体との間の空間をシールするビードシールと、を有し、複数の前記単位セルからなる積層体に積層方向の締め付け荷重が付与されることによって各々の前記セパレータの前記ビードシールは圧縮され、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さは、圧縮前の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低く、前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビードシールの変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、燃料電池スタックの斜視説明図である。
【
図2】
図2は、燃料電池スタックの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】
図4は、燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。
【
図5】
図5は、第1セパレータをMEA側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、第2セパレータをMEA側から見た平面図である。
【
図7】
図7は、第1セパレータを対向する第2セパレータ側から見た平面図である。
【
図8】
図8は、第2セパレータを対向する第1セパレータ側から見た平面図である。
【
図9】
図9Aは、セパレータに垂直な外側ビードシールの断面模式図である。
図9Bは、セパレータに垂直な外側ビードシール、フィード凸部、流路凸部の各々の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[1 燃料電池スタック10の構成]
図1及び
図2に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単位セル12が第1方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。燃料電池スタック10は、例えば、燃料電池車両、施設の発電設備等として用いられる。
【0012】
[1-1 積層体14の周辺の構成]
燃料電池スタック10の矢印A1方向の第1端部には、ターミナルプレート16a、インシュレータ18a及びエンドプレート20aが外方(矢印A1方向)に向かって、順次、配置される(
図2参照)。燃料電池スタック10の矢印A2方向の第2端部には、ターミナルプレート16b、インシュレータ18b及びエンドプレート20bが外方(矢印A2方向)に向かって、順次、配置される。
【0013】
ターミナルプレート16a、16bは、導電性を有する材料で構成される。インシュレータ18a、18bは、絶縁性材料で構成される。
図2に示すように、インシュレータ18aの中央部には、積層体14に向かって開口する凹部22aが形成される。同様に、インシュレータ18bの中央部には、積層体14に向かって開口する凹部22bが形成される。凹部22aには、ターミナルプレート16aが収容される。凹部22bには、ターミナルプレート16bが収容される。積層体14は、インシュレータ18aとインシュレータ18bとの間に位置する。
【0014】
図1に示すように、エンドプレート20a、20bは、第2方向(矢印B方向)に延びる長辺と、第3方向(矢印C方向)に延びる短辺とを有する長方形状に形成される。第1方向と第2方向と第3方向は互いに直交する。エンドプレート20a、20bの各辺の間には、連結バー24が配置される。各連結バー24の一端は、エンドプレート20aの内面にボルト26を介して固定される。各連結バー24の他端は、エンドプレート20bの内面にボルト26を介して固定される。これにより、積層体14には積層方向(矢印A方向)の締め付け荷重が付与される。
【0015】
インシュレータ18a及びエンドプレート20aの矢印B1方向の第1端部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。インシュレータ18a及びエンドプレート20aの矢印B2方向の第2端部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。
【0016】
[1-2 積層体14及び単位セル12の構成]
図3及び
図4に示すように、積層体14を構成する各々の単位セル12は、膜電極構造体28(以下、「MEA28」ともいう)と、一対のセパレータ(第1セパレータ30及び第2セパレータ32)とを有する。第1セパレータ30及び第2セパレータ32は、MEA28を挟持する。第1セパレータ30及び第2セパレータ32は、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、めっき処理鋼板等の金属薄板により構成される。なお、金属薄板の表面に、防食用の表面処理が施されてもよい。
【0017】
互いに隣接する2つの単位セル12において、一方の単位セル12の第1セパレータ30と他方の単位セル12の第2セパレータ32とは、互いに接合される。第1セパレータ30と第2セパレータ32とからなる接合体を、接合セパレータ33と称する。つまり、積層体14は、MEA28が2つの接合セパレータ33で挟まれた構造体でもある。
【0018】
図2に示すように、単位セル12の矢印B1方向の第1端部には、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38bが設けられる。各々の単位セル12の酸化剤ガス入口連通孔34aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の酸化剤ガス入口連通孔34aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔34aに連通する。各々の単位セル12の冷却媒体入口連通孔36aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の冷却媒体入口連通孔36aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔36aに連通する。各々の単位セル12の燃料ガス出口連通孔38bは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の燃料ガス出口連通孔38bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの燃料ガス出口連通孔38bに連通する。
【0019】
図2に示すように、単位セル12の矢印B2方向の第2端部には、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34bが設けられる。各々の単位セル12の燃料ガス入口連通孔38aは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の燃料ガス入口連通孔38aは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔38aに連通する。各々の単位セル12の冷却媒体出口連通孔36bは矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の冷却媒体出口連通孔36bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの冷却媒体出口連通孔36bに連通する。各々の単位セル12の酸化剤ガス出口連通孔34bは、矢印A方向に沿って配列されるとともに互いに連通する。積層体14の酸化剤ガス出口連通孔34bは、インシュレータ18a及びエンドプレート20aの酸化剤ガス出口連通孔34bに連通する。
【0020】
[1-2-1 膜電極構造体28(MEA28)の構成]
図3に示すように、各々のMEA28は、電解質膜40と、アノード電極42と、カソード電極44とを有する。電解質膜40の外周には、樹脂フィルム(不図示)が設けられる。アノード電極42及びカソード電極44は、電解質膜40を挟持する。
【0021】
電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40としては、フッ素系電解質の他、HC系(炭化水素系)電解質膜を使用することができる。
【0022】
アノード電極42及びカソード電極44は、ガス拡散層(不図示)と、電極触媒層(不図示)とを有する。ガス拡散層は、カーボンペーパ等により構成される。電極触媒層は、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子がガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される。電極触媒層は、電解質膜40の両面に形成される。
【0023】
[1-2-2 第1セパレータ30の表面30aの構成]
図4に示すように、第1セパレータ30は、MEA28のカソード電極44を覆う。第1セパレータ30は、MEA28に向けられる表面30aと、第2セパレータ32に向けられる裏面30bとを有する。表面30a及び裏面30bの各々には、プレス成型によって複数の凸部が形成される。表面30aにおいて、MEA28に向かって突出する凸部を、内方凸部46aと称する。裏面30bにおいて、第2セパレータ32に向かって突出する凸部を、外方凸部46bと称する。
【0024】
図4及び
図5に示すように、第1セパレータ30の表面30aには、複数の内方凸部46aによって、2つの酸化剤ガスフィード48a、48b及び酸化剤ガス流路50が形成される。酸化剤ガスフィード48aは、酸化剤ガス入口連通孔34aからの酸化剤ガスを酸化剤ガス流路50に流す。酸化剤ガスフィード48bは、酸化剤ガス流路50からの酸化剤ガスを酸化剤ガス出口連通孔34bに流す。酸化剤ガス流路50は、酸化剤ガスフィード48aと酸化剤ガスフィード48bとの間に位置し、カソード電極44と相対する。2つの酸化剤ガスフィード48a、48b及び酸化剤ガス流路50は、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガス出口連通孔34bとを連通する。
【0025】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガスフィード48aを形成する内方凸部46aをフィード凸部52aと称する。各々のフィード凸部52aは、酸化剤ガス入口連通孔34aから酸化剤ガス流路50の第1端部(矢印B1方向の端部)まで直線状に延びる。フィード凸部52aの隣には、フィード溝54aが位置する。
【0026】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガスフィード48bを形成する内方凸部46aを、フィード凸部52bと称する。各々のフィード凸部52bは、酸化剤ガス出口連通孔34bから酸化剤ガス流路50の第2端部(矢印B2方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部52bの間には、フィード溝54bが位置する。
【0027】
複数の内方凸部46aのうち、酸化剤ガス流路50を形成する内方凸部46aを、流路凸部56と称する。第1セパレータ30の平面視において、各々の流路凸部56は、矢印B方向に沿って延びる波状である。互いに隣接する2つの流路凸部56の間には、流路溝58が位置する。各々の流路溝58も波状である。各々の流路凸部56は、矢印A2方向に位置するMEA28のカソード電極44に接触する。この複数の流路溝58は、酸化剤ガスが流れる通路となる。
【0028】
各々の連通孔(酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a、燃料ガス出口連通孔38b、燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b及び酸化剤ガス出口連通孔34b)は、内方凸部46aによって囲まれる。これらの内方凸部46aを、連通孔ビードシール60と称する。各々の連通孔ビードシール60は、矢印A2方向に位置するMEA28に接触する。これにより、複数の連通孔ビードシール60は、複数の連通孔を封止する。
【0029】
酸化剤ガス入口連通孔34aを囲む連通孔ビードシール60には、酸化剤ガス入口連通孔34aと酸化剤ガスフィード48aとを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、酸化剤ガス出口連通孔34bを囲む連通孔ビードシール60には、酸化剤ガス出口連通孔34bと酸化剤ガスフィード48bとを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0030】
2つの酸化剤ガスフィード48a、48b、酸化剤ガス流路50、酸化剤ガス入口連通孔34a、燃料ガス出口連通孔38b、燃料ガス入口連通孔38a及び酸化剤ガス出口連通孔34bを含むエリアは、内方凸部46aによって囲まれる。この内方凸部46aを、外側ビードシール62と称する。外側ビードシール62は、矢印A2方向に位置するMEA28に接触する。これにより、外側ビードシール62は、表面30aとMEA28との間で酸化剤ガスが流れるエリア(2つの酸化剤ガスフィード48a、48b、酸化剤ガス流路50、酸化剤ガス入口連通孔34a及び酸化剤ガス出口連通孔34bを含むエリア)を封止する。
【0031】
[1-2-3 第2セパレータ32の表面32aの構成]
図4に示すように、第2セパレータ32は、MEA28のアノード電極42を覆う。第2セパレータ32は、MEA28に向けられる表面32aと、第1セパレータ30に向けられる裏面32bとを有する。表面32a及び裏面32bの各々には、プレス成型によって複数の凸部が形成される。表面32aにおいて、MEA28に向かって突出する凸部を、内方凸部66aと称する。裏面32bにおいて、第1セパレータ30に向かって突出する凸部を、外方凸部66bと称する。
【0032】
図4及び
図6に示すように、第2セパレータ32の表面32aには、複数の内方凸部66aによって、2つの燃料ガスフィード68a、68b及び燃料ガス流路70が形成される。燃料ガスフィード68aは、燃料ガス入口連通孔38aからの燃料ガスを燃料ガス流路70に流す。燃料ガスフィード68bは、燃料ガス流路70からの燃料ガスを燃料ガス出口連通孔38bに流す。燃料ガス流路70は、燃料ガスフィード68aと燃料ガスフィード68bとの間に位置し、アノード電極42と相対する。2つの燃料ガスフィード68a、68b及び燃料ガス流路70は、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガス出口連通孔38bとを連通する。
【0033】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガスフィード68aを形成する内方凸部66aを、フィード凸部72aと称する。各々のフィード凸部72aは、燃料ガス入口連通孔38aから燃料ガス流路70の第1端部(矢印B2方向の端部)まで直線状に延びる。のフィード凸部72aの隣には、フィード溝74aが位置する。
【0034】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガスフィード68bを形成する内方凸部66aを、フィード凸部72bと称する。各々のフィード凸部72bは、燃料ガス出口連通孔38bから燃料ガス流路70の第2端部(矢印B1方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部72bの間には、フィード溝74bが位置する。
【0035】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガス流路70を形成する内方凸部66aを、流路凸部76と称する。第2セパレータ32の平面視において、各々の流路凸部76は、矢印B方向に沿って延びる波状である。互いに隣接する2つの流路凸部76の間には、流路溝78が位置する。各々の流路溝78も波状である。各々の流路凸部76は、矢印A1方向に位置するMEA28のアノード電極42に接触する。この複数の流路溝78は、酸化剤ガスが流れる通路となる。
【0036】
第2セパレータ32の表面32aの流路凸部76及び流路溝78の波形と、第1セパレータ30の表面30aの流路凸部56及び流路溝58の波形とは、位相、周期、振幅の少なくとも1つが相違する。
【0037】
各々の連通孔(燃料ガス入口連通孔38a、冷却媒体出口連通孔36b、酸化剤ガス出口連通孔34b、酸化剤ガス入口連通孔34a、冷却媒体入口連通孔36a及び燃料ガス出口連通孔38b)は、内方凸部66aによって囲まれる。これらの内方凸部66aを、連通孔ビードシール80と称する。各々の連通孔ビードシール80は、矢印A1方向に位置するMEA28に接触する。これにより、複数の連通孔ビードシール80は、複数の連通孔を封止する。
【0038】
燃料ガス入口連通孔38aを囲む連通孔ビードシール80には、燃料ガス入口連通孔38aと燃料ガスフィード68aとを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、燃料ガス出口連通孔38bを囲む連通孔ビードシール80には、燃料ガス出口連通孔38bと燃料ガスフィード68bとを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0039】
2つの燃料ガスフィード68a、68b、燃料ガス流路70、燃料ガス入口連通孔38a、酸化剤ガス出口連通孔34b、酸化剤ガス入口連通孔34a及び燃料ガス出口連通孔38bを含むエリアは、内方凸部66aによって囲まれる。この内方凸部66aを、外側ビードシール82と称する。外側ビードシール82は、矢印A1方向に位置するMEA28に接触する。これにより、外側ビードシール82は、表面32aとMEA28との間で燃料ガスが流れるエリア(2つの燃料ガスフィード68a、68b、燃料ガス流路70、燃料ガス入口連通孔38a及び燃料ガス出口連通孔38bを含むエリア)を封止する。
【0040】
[1-2-4 裏面30b及び裏面32bの構成]
図7に示すように、第1セパレータ30の裏面30bにおいて、外方凸部46bは、表面30aの溝(フィード溝54a、54b、流路溝58等)の裏側に位置する。外方凸部46bの隣には、外方溝84が位置する。外方溝84は、表面30aの内方凸部46a(フィード凸部52a、52b、流路凸部56等)の裏側に位置する。
【0041】
図8に示すように、第2セパレータ32の裏面32bにおいて、外方凸部66bは、表面32aの溝(フィード溝74a、74b、流路溝78等)の裏側に位置する。外方凸部66bの隣には、外方溝86が位置する。外方溝86は、表面32aの内方凸部66a(フィード凸部72a、72b、流路凸部76等)の裏側に位置する。
【0042】
第1セパレータ30の流路溝58の裏側に位置する外方凸部46bの波形と、第2セパレータ32の流路溝78の裏側に位置する外方凸部66bの波形とは、位相、周期、振幅の少なくとも1つ相違する。
【0043】
図4に示すように、第1セパレータ30の裏面30bと第2セパレータ32の裏面32bとは互いに対向し、一部の外方凸部46bと一部の外方凸部66bとが互いに溶接される。更に、第1セパレータ30の周縁部と第2セパレータ32の周縁部とは溶接される。また、各々の連通孔の周囲に位置する第1セパレータ30と第2セパレータ32とは溶接される。これにより、第1セパレータ30の裏面30bと、第2セパレータ32の裏面32bとの間には、冷却媒体流路88が形成される。
【0044】
第1セパレータ30の外方凸部46bの一部は、第2セパレータ32の外方凸部66bの一部と接触する。第1セパレータ30の外方溝84の一部は、第2セパレータ32の外方溝86の一部と重なる。
【0045】
第1セパレータ30の冷却媒体入口連通孔36aを囲む連通孔ビードシール60には、冷却媒体入口連通孔36aと外方溝84とを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、第2セパレータ32の冷却媒体入口連通孔36aを囲む連通孔ビードシール80には、冷却媒体入口連通孔36aと外方溝86とを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0046】
第1セパレータ30の冷却媒体出口連通孔36bを囲む連通孔ビードシール60には、冷却媒体出口連通孔36bと外方溝84とを連通する流路(不図示)が複数形成される。同様に、第2セパレータ32の冷却媒体出口連通孔36bを囲む連通孔ビードシール80には、冷却媒体出口連通孔36bと外方溝86とを連通する流路(不図示)が複数形成される。
【0047】
[2 燃料電池スタック10の動作]
図1に示すように、酸化剤ガス(例えば酸素含有ガス)は、エンドプレート20aの酸化剤ガス入口連通孔34aに供給される。燃料ガス(例えば水素含有ガス)は、エンドプレート20aの燃料ガス入口連通孔38aに供給される。冷却媒体(例えば純水)は、エンドプレート20aの冷却媒体入口連通孔36aに供給される。各々の単位セル12において、各流体は次のように流動する。
【0048】
図4に示すように、酸化剤ガス入口連通孔34aに供給された酸化剤ガスは、酸化剤ガスフィード48aに流入する。酸化剤ガスフィード48aに流入した酸化剤ガスは、酸化剤ガス流路50の複数の流路溝58に均等に分配されて流れる。酸化剤ガス流路50で、酸化剤ガスは、MEA28のカソード電極44に供給される。一方、燃料ガス入口連通孔38aに供給された燃料ガスは、燃料ガスフィード68aに流入する。燃料ガスフィード68aに流入した燃料ガスは、燃料ガス流路70の複数の流路溝78に均等に分配されて流れる。燃料ガス流路70で、燃料ガスは、MEA28のアノード電極42に供給される。MEA28において、カソード電極44に供給される酸化剤ガスと、アノード電極42に供給される燃料ガスとの化学反応が発生し、発電する。化学反応に伴い水が発生する。
【0049】
次いで、未反応の酸化剤ガス及び水は、酸化剤ガス流路50から酸化剤ガスフィード48bに流入する。更に、酸化剤ガスフィード48bに流入した酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔34bに流出する。一方、未反応の燃料ガスは、燃料ガス流路70から燃料ガスフィード68bに流入する。更に、燃料ガスフィード68bに流入した燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔38bに流出する。
【0050】
冷却媒体入口連通孔36aに供給された冷却媒体は、冷却媒体流路88に流入する。冷却媒体流路88で、冷却媒体は、矢印A方向に位置するMEA28を冷却する。冷却媒体流路88の冷却媒体は、冷却媒体出口連通孔36bに流出する。
【0051】
[3 内方凸部46a、66aの高さ]
図9A及び
図9Bを用いて、第1セパレータ30及び第2セパレータ32の各々の内方凸部46a、66aの積層方向(矢印A方向)の高さについて説明する。内方凸部46a、66aのうち、各々のビードシール(連通孔ビードシール60、80及び外側ビードシール62、82)は、同じ高さを有する。ここでは、第1セパレータ30の外側ビードシール62の高さについて説明をし、第1セパレータ30の連通孔ビードシール60の高さ、第2セパレータ32の連通孔ビードシール80の高さ及び第2セパレータ32の外側ビードシール82の高さについての説明を省略する。
【0052】
図1に示すように、複数の連結バー24が2つのエンドプレート20a、20bにボルト26で固定されることによって、積層体14には積層方向(矢印A方向)の締め付け荷重が付与される。
図9Aに示すように、第1セパレータ30の外側ビードシール62は、積層体14に積層方向の締め付け荷重が付与される前に、高さHb1を有する。積層体14に積層方向の締め付け荷重が付与されると、第1セパレータ30の外側ビードシール62は、MEA28と第2セパレータ32とによって積層方向に圧縮される。
図9Bに示すように、圧縮された外側ビードシール62は、高さHb2を有する。圧縮後の高さHb2は、圧縮前の高さHb1よりも低い。
【0053】
一方、第1セパレータ30の流路凸部56は、高さHpを有する。流路凸部56の高さHpは、積層体14に積層方向の締め付け荷重が付与される前後で変わらない。流路凸部56の高さHpは、圧縮された外側ビードシール62の高さHb2と同じである。
【0054】
第1セパレータ30のフィード凸部52a、52bは、高さHfを有する。フィード凸部52a、52bの高さHfは、積層体14に積層方向の締め付け荷重が付与される前後で変わらない。フィード凸部52a、52bの高さHfは、圧縮された外側ビードシール62の高さHb2よりも低い。言い換えると、圧縮された外側ビードシール62の高さHb2は、フィード凸部52a、52bの高さHfよりも高い。このため、フィード凸部52a、52bの頂部90と、MEA28との間には、隙間92が形成される。つまり、フィード凸部52a、52bの各々の頂部90は、積層体14に締め付け荷重が付与された状態で、MEA28と接触しない。
【0055】
例えば、燃料電池車両の衝突等、燃料電池スタック10に矢印A方向の衝撃荷重が作用すると、積層体14は積層方向(矢印A方向)に押圧される。更に、衝撃荷重が外側ビードシール62の耐荷重以上になると、積層体14は積層方向に圧縮される。すると、外側ビードシール62は、高さHb2から更に圧縮される。外側ビードシール62の高さがフィード凸部52a、52bの高さHfに達すると、フィード凸部52a、52bにより外側ビードシール62の圧縮に対する抗力が作用する。つまり、衝撃荷重等により積層体14の積層方向に締め付け荷重より大きい荷重が付与されると、フィード凸部52a、52bがMEA28と接触する。燃料電池スタック10に作用する衝撃荷重が極端に大きくない場合、この段階で、外側ビードシール62の圧縮を停止させることができる。このように、本実施形態によれば、外側ビードシール62の変形を抑えることができる。従って、本実施形態によれば、外側ビードシール62は、酸化剤ガス流路50の封止機能を維持することができる。結果として、本実施形態によれば、酸化剤ガス流路50からの酸化剤ガスの漏洩を防止することができる。
【0056】
更に、本実施形態においては、既存のフィード凸部52a、52bが、外側ビードシール62の変形を抑制する構造として利用される。このため、本実施形態によれば、新たな凸部を設ける必要がない。従って、第1セパレータ30の加工及び構造を簡素にすることができる。
【0057】
なお、第1セパレータ30の各々の連通孔ビードシール60、第2セパレータ32の各々の連通孔ビードシール80及び第2セパレータ32の外側ビードシール82についても上記説明と同様である。
【0058】
[4 実施形態から得られる発明]
上記実施形態から把握しうる発明について、以下に記載する。
【0059】
本発明の態様は、膜電極構造体(28)と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータ(30、32)とを有する単位セル(12)が積層された燃料電池スタック(10)であって、一対の前記セパレータの各々は、前記膜電極構造体に向かって突出する流路凸部(56、76)を有し、前記膜電極構造体の電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路(50、70)と、前記セパレータの厚さ方向に貫通し、前記反応ガスを流通させる連通孔(34a、34b、38a、38b)と、前記膜電極構造体に向かって突出するフィード凸部(52a、52b、72a、72b)を有し、前記反応ガス流路と前記連通孔とを連通する複数のフィード(48a、48b、68a、68b)と、前記膜電極構造体に向かって突出し、前記反応ガス流路及び前記フィードと前記膜電極構造体との間の空間をシールするビードシール(60、62、80、82)と、を有し、複数の前記単位セルからなる積層体(14)に積層方向の締め付け荷重が付与されることによって各々の前記セパレータの前記ビードシールは圧縮され、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さは、圧縮前の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低く、前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低い。
【0060】
外側ビードシールが圧縮され、外側ビードシールの高さがフィード凸部の高さに達すると、フィード凸部により外側ビードシールの圧縮に対する抗力が作用する。燃料電池スタックに作用する衝撃荷重が極端に大きくない場合、この段階で、外側ビードシールの圧縮を停止させることができる。このように、上記構成によれば、外側ビードシールの変形を抑えることができる。従って、上記構成によれば、ビードシールは、反応ガス流路の封止機能を維持することができる。結果として、本実施形態によれば、反応ガス流路からのガスの漏洩を防止することができる。本実施形態によれば、新たな凸部を設ける必要がない。従って、セパレータの加工及び構造を簡素にすることができる。
【0061】
上記態様において、前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与される前後で変わらない。
【0062】
上記態様において、前記フィード凸部は、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与された後に、前記膜電極構造体と接触しない。
【0063】
上記態様において、前記フィード凸部は、前記締め付け荷重より大きい荷重が前記積層方向へ付与された場合に、前記フィード凸部が前記膜電極構造体と接触してもよい。
【0064】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0065】
10…燃料電池スタック 12…単位セル
14…積層体 28…膜電極構造体
30…第1セパレータ(セパレータ)
32…第2セパレータ(セパレータ)
34a…酸化剤ガス入口連通孔(連通孔)
34b…酸化剤ガス出口連通孔(連通孔)
38a…燃料ガス入口連通孔(連通孔)
38b…燃料ガス出口連通孔(連通孔)
48a、48b…酸化剤ガスフィード(フィード)
50…酸化剤ガス流路(反応ガス流路)
52a、52b、72a、72b…フィード凸部
56、76…流路凸部
60、80…連通孔ビードシール(ビードシール)
62、82…外側ビードシール(ビードシール)
68a、68b…燃料ガスフィード(フィード)
70…燃料ガス流路(反応ガス流路)
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
電解質膜40は、例えば、固体高分子電解質膜(陽イオン交換膜)である。固体高分子電解質膜は、例えば、水分を含んだパーフルオロスルホン酸の薄膜である。電解質膜40としては、フッ素系電解質膜の他、HC系(炭化水素系)電解質膜を使用することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガスフィード68aを形成する内方凸部66aを、フィード凸部72aと称する。各々のフィード凸部72aは、燃料ガス入口連通孔38aから燃料ガス流路70の第1端部(矢印B2方向の端部)まで直線状に延びる。互いに隣接する2つのフィード凸部72aの隣には、フィード溝74aが位置する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
複数の内方凸部66aのうち、燃料ガス流路70を形成する内方凸部66aを、流路凸部76と称する。第2セパレータ32の平面視において、各々の流路凸部76は、矢印B方向に沿って延びる波状である。互いに隣接する2つの流路凸部76の間には、流路溝78が位置する。各々の流路溝78も波状である。各々の流路凸部76は、矢印A1方向に位置するMEA28のアノード電極42に接触する。この複数の流路溝78は、燃料ガスが流れる通路となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
上記態様において、前記積層体に前記締め付け荷重より大きい荷重が前記積層方向へ付与された場合に、前記フィード凸部が前記膜電極構造体と接触してもよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜電極構造体と前記膜電極構造体を挟持する一対のセパレータとを有する単位セルが積層された燃料電池スタックであって、
一対の前記セパレータの各々は、
前記膜電極構造体に向かって突出する流路凸部を有し、前記膜電極構造体の電極面に沿って反応ガスを流通させる反応ガス流路と、
前記セパレータの厚さ方向に貫通し、前記反応ガスを流通させる連通孔と、
前記膜電極構造体に向かって突出するフィード凸部を有し、前記反応ガス流路と前記連通孔とを連通する複数のフィードと、
前記膜電極構造体に向かって突出し、前記反応ガス流路及び前記フィードと前記膜電極構造体との間の空間をシールするビードシールと、
を有し、
複数の前記単位セルからなる積層体に積層方向の締め付け荷重が付与されることによって各々の前記セパレータの前記ビードシールは圧縮され、
圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さは、圧縮前の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低く、
前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、圧縮後の前記ビードシールの前記積層方向の高さよりも低い、燃料電池スタック。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池スタックであって、
前記フィード凸部の前記積層方向の高さは、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与される前後で変わらない、燃料電池スタック。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池スタックであって、
前記フィード凸部は、前記積層体に前記積層方向の前記締め付け荷重が付与された後に、前記膜電極構造体と接触しない、燃料電池スタック。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池スタックであって、
前記積層体に前記締め付け荷重より大きい荷重が前記積層方向へ付与された場合に、前記フィード凸部が前記膜電極構造体と接触する、燃料電池スタック。