(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085965
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】外装容器及びこれを具備したバッグインボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 5/355 20060101AFI20240620BHJP
B65D 5/60 20060101ALI20240620BHJP
B65D 77/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B65D5/355
B65D5/60 C
B65D77/06 D
B65D77/06 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200773
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金城 立来
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB03
3E060BA02
3E060BC02
3E060CA01
3E060CA13
3E060CA23
3E060CC03
3E060CC18
3E060CF06
3E060DA17
3E060EA03
3E067AA03
3E067AB99
3E067BA05C
3E067BA12B
3E067BB02C
3E067BB14B
3E067EB32
3E067EC31
3E067EE45
3E067EE59
3E067FA02
3E067FB15
(57)【要約】
【課題】外観性を維持しつつ、内容物の注出残りを抑制することができる外装容器及びこれを具備したバッグインボックスを提供すること。
【解決手段】本発明の外装容器10は、内容物Sを注出する注出部31を具備する内装容器3を収容する。外装容器10は、奥行方向Yにおいて相対向する正面部11及び背面部13と、幅方向Xにおいて相対向する一対の側面部15,15と、上下方向Zにおいて相対向する上面部17及び底面部19と、内部で底面部19と重なって配置される支持板6とを含む。正面部11は、注出部31を挿通させる挿通部20が形成可能になされている。上面部17には、開閉可能な蓋部22が形成されている。支持板6には、背面部13側の端部から上面部17に向かって延び、蓋部22を介して引き出すことにより支持板6を前傾状態に維持可能な引き出し片5が連設されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を注出する注出部を具備する内装容器を収容し、奥行方向、及び該奥行方向と直交する幅方向を有する、外装容器であって、
前記奥行方向において相対向する正面部及び背面部と、前記幅方向において相対向する一対の側面部と、上下方向において相対向する上面部及び底面部と、内部で底面部と重なって配置される支持板とを含み、前記正面部に、前記注出部を挿通させる挿通部が形成可能になされており、
前記上面部には、開閉可能な蓋部が形成されており、
前記支持板には、前記背面部側の端部から前記上面部に向かって延び、前記蓋部を介して引き出すことにより前記支持板を前傾状態に維持可能な引き出し片が連設されている、外装容器。
【請求項2】
前記支持板は、前記幅方向中央に位置する中央支持部と、該中央支持部の該幅方向両側に位置するサイド支持部とを有しており、
前記サイド支持部は、前記幅方向中央に向かって下方に傾斜するサイド傾斜面を有し、該サイド傾斜面が前記支持板の側部を折り曲げることで形成されている、請求項1に記載の外装容器。
【請求項3】
前記サイド支持部は、前記サイド傾斜面の下に、前記奥行方向に延びる三角柱状の支持構造を有している、請求項2に記載の外装容器。
【請求項4】
前記サイド支持部は、前記背面部と前記正面部との間の距離よりも、前記奥行方向の長さが短い、請求項2又は3に記載の外装容器。
【請求項5】
前記蓋部は、前記上面部との連接部を回動軸として回動可能であり、該連接部側とは反対側に向かって突出する係合片を有しており、
前記引き出し片は、該引き出し片の上端から下方に離間した位置に、前記係合片と係合して該引き出し片の引き出し状態を維持可能とする被係合部を有している、請求項1~4の何れか1項に記載の外装容器。
【請求項6】
前記引き出し片は、前記上下方向に離間した複数の前記被係合部を有している、請求項5に記載の外装容器。
【請求項7】
前記引き出し片には、前記蓋部から上方に引き出された部分を切り離し可能な易破断線が形成されている、請求項1~6の何れか1項に記載の外装容器。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の外装容器と、該外装容器に収容された前記内装容器とを具備した、バッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装容器及びこれを具備したバッグインボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に液体等の内容物を収容した可撓性を有する内装容器と、該内装容器を収容する外装容器とを具備する、バッグインボックスが知られている。バッグインボックスは、一般的に、内装容器に設けられた注出部を介して、必要量の内容物を注出可能に構成されている。斯かる内容物の注出を容易とする観点から、外装容器の構成について種々の検討がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、帯状の胴部、一対の上蓋用内フラップ及び上蓋用外フラップ、並びに一対の底蓋用内フラップ及び底蓋用外フラップを備え、底蓋側における正面板と底蓋用内フラップとが接続する箇所において折り曲げ連接片を介在させて正面板の底蓋側において傾斜面を形成させ、箱全体を正面側に傾斜させるように構成された、外装箱が開示されている。
【0004】
特許文献2には、前後又は左右の側面板の一方の下方に折線を介して連接した一対の外フラップと,前後又は左右の側面板の他方の下方に折線を介して連接し該外フラップの内面側に折り込まれる一対の内フラップとを有する底面を備え、一対の外フラップの少なくとも一方には,一対の内フラップの一方又は両方を内部に向かって押し上げるための底上げフラップが形成されており、該底上げフラップによって押し上げられた内フラップが斜面を形成する、包装箱が開示されている。
【0005】
特許文献3には、内箱を収納する外箱であって、正面板と底面板との連結部を支点として内箱を回動可能であり、該内箱の一部又は外箱の一部のうち少なくとも一方が変形することで係止片を形成し、該内箱と外箱との隙間に係止片を存在させて、該内箱を傾斜状態とする、外箱が開示されている。
【0006】
特許文献4には、複数の底面フラップが重なった底蓋を有し、側面板に連結する左右の何れか一方の底面フラップに、背面板の底辺に平行な稜線を持つ凸状体を形成可能な凸状体形成部が設けられており、他方の底面フラップに、先端部を差し込んで凸状体を形成可能とするスリット部が形成されている、包装容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5075744号公報
【特許文献2】特許第6256247号公報
【特許文献3】特許第6963482号公報
【特許文献4】特開2020-111341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1、3及び4のバッグインボックスに用いられる外装容器は、内装容器内の残量が少なくなった場合に内容物の注出残りを抑制するため、内装容器を傾斜した状態にするものである。これら外装容器は、該外装容器全体を傾斜させて内装容器を傾斜するものであり、六面体形状の外装容器の外観性及び省スペース化が不十分となるものであった。また特許文献2の外装容器は、その一部を破断して傾斜面を形成するものであり、外装容器の外観性が不十分となるものであった。
【0009】
本発明は、外観性を維持しつつ、内容物の注出残りを抑制することができる外装容器及びこれを具備したバッグインボックスを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、内容物を注出する注出部を具備する内装容器を収容し、奥行方向と、該奥行方向と直交する幅方向を有する、外装容器に関する。
一実施形態において、前記外装容器は、前記奥行方向において相対向する正面部及び背面部と、前記幅方向において相対向する一対の側面部と、上下方向において相対向する上面部及び底面部と、内部で底面部と重なって配置される支持板とを含み、前記正面部に、前記注出部を挿通させる挿通部が形成可能になされていることが好ましい。
一実施形態において、前記上面部には、開閉可能な蓋部が形成されていることが好ましい。
一実施形態において、前記支持板には、前記背面部側の端部から前記上面部に向かって延び、前記蓋部を介して引き出すことにより前記支持板を前傾状態に維持可能な引き出し片が連設されていることが好ましい。
【0011】
また本発明はバッグインボックスに関する。
一実施形態において、前記バッグインボックスは、前記外装容器と、該外装容器に収容された前記内装容器とを具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の外装容器及びこれを具備したバッグインボックスによれば、外観性を維持しつつ、内容物の注出残りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の外装容器を具備するバッグインボックスの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すバッグインボックスを上から視た斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す外装容器の内部を正面部から視た斜視図である。
【
図4】
図4(a)及び(b)は、
図3に示す引き出し片を蓋部から引き出す操作を説明するための
図2相当図である。
【
図5】
図5(a)及び(b)は、
図4に示す操作に伴う支持板の状態を模式的に示す図であって、外装容器の奥行方向に沿う断面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す外装容器を形成するためのブランクの平面図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る外装容器の別の実施形態を示す
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1~
図5には、本発明に係る外装容器10及びこれを具備するバッグインボックス1の一実施形態が示されている。バッグインボックス1は、外装容器10と、該外装容器10に収容された内装容器3とを具備している。
バッグインボックス1が具備する内装容器3は、可撓性のシートにより形成された袋体又はパウチからなる内装本体部30と、該内装本体部30に取り付けられた注出部31とを備えている(
図5参照)。内装本体部30を形成する可撓性のシート材としては、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)の合成樹脂製のシート材、又はこれらが積層したシート材等が挙げられる。
内装本体部30は、内部に内容物Sを収容している。内容物Sは、例えば液体や粉体であってもよい。液体である内容物Sとしては、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアリンス等の液状のヘアケア剤、ボディソープやハンドソープ等の液体石鹸、衣類や食器用の液体洗剤、柔軟剤や漂白剤、バストイレや床洗浄用の液体洗浄剤、液状の化粧品、液状の飲料、食品、医薬品、エンジンオイル等が挙げられる。また、クリーム等の粘度の高い液体であってもよい。内容物が粉体である場合、例えば粉末状石鹸、粉末状漂白剤等が挙げられる。
【0015】
本実施形態の内装本体部30に取り付けられる注出部31は、内容物Sを内装容器3の外部に注出するためのスパウト部32と、該スパウト部32の内部と内装本体部30の内部とを連通させる管部33とを有した、コック式の注出部材であり(
図1参照)、内装本体部30の内部と連通する流路を内部に有している。斯かる注出部31は、当該流路を弁によって開閉する開閉機構を備え、所望量の内容物を内装容器3の外部に注出可能になされている。
注出部31は、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を用いた金型成形品であり、好ましくは射出成形方法によって形成されている。
【0016】
バッグインボックス1が具備する外装容器10は、段ボール又は厚紙等の紙製の容器であり、内部に内装容器3を収容する収容空間を有した、中空の六面体形状をなしている。
外装容器10は、後述する底面部19を底部とし、後述する正面部11を正面にして載置した状態において、奥行方向Y、該奥行方向Yと直交する幅方向X、並びにこれら奥行方向Y及び幅方向Xに直交する上下方向Zを有している。この上下方向Zは鉛直方向(高さ方向)と一致している。
【0017】
外装容器10は、正面部11と、該正面部11と奥行方向Yに対向する背面部13と、これら正面部11及び背面部13間に配され且つ幅方向Xに相対向する一対の側面部15,15と、上下方向Zに相対向する上面部17及び底面部19とを有し、これら板状の各部11,13,15,15,17,19が内装容器3の収容空間を画成している(
図1参照)。より具体的には、奥行方向Yに相対向する正面部11及び背面部13と、幅方向Xに相対向する一対の側面部15,15とが、底面部19の周縁から起立し且つ上下方向Zに延びる四角柱を形成し、該四角柱の上方側の開口を上面部17が閉塞し、該四角柱の下方側の開口を底面部19が閉塞している。
【0018】
正面部11は、内装容器3の注出部31を挿通させる挿通部20が形成可能になされている。本実施形態の挿通部20は、バッグインボックス1の使用状態において、正面部11と連続する挿通フラップ部20aと、該挿通フラップ部20aの下方に形成された円形状の挿通開口20bとにより構成されている。挿通フラップ部20aは下方に突出した略五角形の形状を有し、該挿通フラップ部20aの上縁部が正面部11に連接している。挿通フラップ部20aは、この上縁部を回動軸として回動可能となっている。また挿通フラップ部20aの下方部分は、挿通開口20bの周縁の上方部分に沿って切り欠かれている。
注出部31は、管部33が挿通開口20bに挿通されることで、外装容器10の外部に露出した状態となる(
図1参照)。
またバッグインボックス1の使用状態において、挿通フラップ部20aをめくり上げることで形成される開口と挿通開口20bとが連通し、挿通部20における開口部分を広げることが可能になされている。
【0019】
バッグインボックス1の使用前の状態において、挿通フラップ部20a及び挿通開口20bそれぞれは、これらの周縁に沿った易破断線(図示せず)で囲まれた領域となっており、当該易破断線に沿って正面部11を破断することにより、該挿通フラップ部20a及び挿通開口20bを形成可能になされている。易破断線は、ミシン目により形成される。
【0020】
本実施形態の一対の側面部15,15それぞれには、奥行方向Yに延在する取っ手開口26と、上下方向Zに延在する視認用開口27とが形成されている。また側面部15には、取っ手開口26の上縁部を介して側面部15と連接するフラップ部26aが形成されている。取っ手開口26は、バッグインボックス1の持ち運びの際に手等が挿通される開口である。視認用開口27は、バッグインボックス1の使用時に、内装容器3内の内容物Sの残量を目視で確認するための開口である。これらの開口26,27も、バッグインボックス1の使用前の状態では、該開口の周縁に沿った易破断線で囲まれた領域となっており、当該易破断線に沿って側面部15を破断することで、これらの開口26,27を形成可能になされている。
【0021】
上面部17には、開閉可能な蓋部22が形成されている。本実施形態の上面部17は、奥行方向Yの背面部13側に蓋部22が形成されている。
本実施形態の蓋部22は、上面部17を部分的に破断した略四角形の部分であり、該蓋部22の周縁に沿って形成された上部開口22aを閉塞している。蓋部22は、上面部17と連接する連接部25と、該連接部25側とは反対側に向かって突出する係合片23とを有している(
図2参照)。奥行方向Yにおいて、係合片23の背面部13側の端縁の位置は、上面部17の背面部13側の端縁の位置と略一致している。蓋部22において連接部25と係合片23とは奥行方向Yに対向している。
蓋部22は、連接部25を回動軸として回動可能であり、これにより上部開口22aを開閉自在に閉塞する。
また本実施形態の蓋部22は、連接部25側に蓋側開口24を有している。斯かる蓋側開口24に指を差し込むことで、蓋部22の開閉をより容易に行うことができる。
【0022】
本実施形態の背面部13は、上面部17と連接する上面連接板17a、底面部19と連接する底面連接板19a、及び側面部15と連接する一対の側面連接板15aの4枚の連接板を重ね合わせて固定することにより形成されている。具体的には、上面連接板17a及び底面連接板19aを外装容器10の内側に折り込み、これの外面側に一対の側面連接板15aを重ね合わせて形成されている(
図3参照)。すなわち一対の側面連接板15aが背面部13の外面を形成している。
【0023】
外装容器10は、該容器10の内部で底面部19と重なって配置される支持板6を含む(
図3参照)。支持板6は、底面部19の内面に重ねられた板状部材であり、該底面部19よりも小さい幅を有している。支持板6には、背面部13側の端部から上面部17に向かって延びる引き出し片5が連設されている。引き出し片5は、支持板6の背面部13側の端部と連続する板状部分であり、該板状部分と該支持板6との境界を幅方向Xに沿って折り曲げることで、該引き出し片5が該支持板6から起立する。引き出し片5は、背面部13と対向するように上下方向Zに延びている。引き出し片5は、背面部13と接していてもよく、該背面部13と接していなくともよい。
バッグインボックス1において、内装容器3は支持板6上に配置される〔
図5(a)参照〕
【0024】
本実施形態の外装容器10は、
図4(a)及び(b)に示すように蓋部22を開いて上部開口22aから引き出し片5を引き出すことができる。引き出し片5は、その上方部分が上部開口22aから引き出された状態となる〔
図4(b)参照〕。すなわち上部開口22aを介して引き出し片5を外装容器10の外部に引き出すことができる。これにより、引き出し片5と連続する支持板6が、水平状態から前傾状態となる〔
図5(a)及び(b)参照〕。水平状態は、支持板6の幅方向X中央部分が水平方向に沿った状態となることを意味する〔
図5(a)参照〕。前傾状態は、支持板6の幅方向X中央部分が、正面部11側の端部を下方に且つ背面部13側の端部を上方に向けて傾斜した状態となることを意味する〔
図5(b)参照〕。本実施形態において「支持板6の幅方向X中央部分」は、後述する底面対向部60により形成されている。
【0025】
本実施形態の外装容器10は、引き出し片5が蓋部22を介して引き出されることにより、支持板6が前傾状態に維持され、該支持板6上に配置された内装容器3も正面部11側に傾いた前傾状態とすることができる〔
図5(b)参照〕。これにより、内装容器3内の内容物Sの残量が少量であっても、該内容物Sを注出部31側に効率的に集めることができ、内容物の注出残りを効率的に抑制できる。なお、本実施形態のバッグインボックス1は、内装容器3内の内容物Sが十分量ある場合は、支持板6を前傾状態にしなくとも、内容物Sを注出部31から注出させることができる〔
図5(a)参照〕。
また支持板6が外装容器10の内部に収容されているので、外装容器10を外観的に大きく変化させることがない上、外装容器10の底面部19自体を傾斜させなくとも、内装容器3を前傾状態にすることができる。これにより、外装容器10の外観性が維持できるとともに、内装容器3を前傾状態とするための作業スペースを別途設ける必要がない。このように、本実施形態の外装容器は、その外観性を維持できるとともに、省スペース化を図りながら、内容物Sの注出残りを抑制できる。
【0026】
内容物Sの液残りをより抑制する観点から、引き出し片5の引き出しに伴う支持板6の前傾角度θ1〔
図5(b)参照〕は、好ましくは10°以上、より好ましくは30°以上である。斯かる前傾角度θ1の上限は特に制限されないが、引き出し片5及び支持板6の構造上、当該上限は好ましくは90°未満である。すなわち前記前傾角度θ1は、好ましくは10°以上90°未満、より好ましくは30°以上90°未満である。
支持板6の前傾角度θ1は、引き出し片5の上方部分を上部開口22aから引き出したときの、水平方向に対する支持板6の幅方向X中央部分の傾斜角度である〔
図5(b)参照〕。
【0027】
本実施形態の引き出し片5は、上方部分に引き出し取っ手開口51を有している。引き出し取っ手開口51は、引き出し片5を上部開口22aから引き出す際、手指を差し込むための開口である。これにより、引き出し片5の引き出し作業をより容易に行うことができる〔
図4(b)参照〕。
【0028】
本実施形態の引き出し片5は、該引き出し片5の上端から下方に離間した位置、より詳細には引き出し取っ手開口51よりも下方に離間した位置に被係合部53を有している(
図3参照)。被係合部53は、幅方向Xに延びる開口からなる。被係合部53は、蓋部22の係合片23と係合することができる。具体的には、被係合部53(開口)に係合片23を差し込むことにより、両者が係合される。斯かる構成により、引き出し片5の引き出し状態を安定して維持することができる〔
図4(b)参照〕。
係合片23と被係合部53との係合をより確実にする観点から、上下方向Zにおける被係合部53の長さL9(
図3参照)は、係合片23の厚みの好ましくは100%以上250%以下、より好ましくは150%以上200%以下である。
【0029】
本実施形態の引き出し片5には、幅方向Xに延びる易破断線54が形成されている(
図3参照)。易破断線54はミシン目により形成されており、該易破断線54を破断することにより、引き出し片5における該易破断線54よりも上方部分を切り離すことができる。これにより、蓋部22を介して引き出し片5を引き出した後、該引き出し片5における上部開口22aから上方に引き出された部分を切り離すことができ、省スペース化をより向上できる。
引き出し片5に易破断線54が形成されている場合、易破断線54は、上下方向Zにおいて、被係合部53よりも上方に位置していることが好ましく、引き出し取っ手開口51と被係合部53との間に位置していることがより好ましい。
【0030】
引き出し片5の上部開口22aからの引き出しをより容易にする観点から、上下方向Zにおける引き出し片5の長さL5は、上下方向Zにおける外装容器10の長さL2に対して好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは98%以下、より好ましくは96%以下であり、また好ましくは60%以上98%以下、より好ましくは80%以上96%以下である。
上記と同様の観点から、上下方向Zにおける引き出し片5の長さL5と、上下方向Zにおける外装容器10の長さL2との差は、好ましくは11mm以下、より好ましくは6mm以下である。
【0031】
支持板6の前傾状態をより安定化する観点から、引き出し片5の幅W5(
図3参照)は、支持板6の幅W6(
図3参照)に対して好ましくは40%以上、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは95%以下、より好ましくは80%以下であり、また好ましくは40%以上95%以下、より好ましくは50%以上80%以下である。
【0032】
本実施形態の支持板6は、底面部19と対向し且つ水平方向に沿った底面対向部60と、後述するサイド支持部62を形成するサイド支持形成部65とを含んで構成されている(
図6参照)。斯かる支持板6は、サイド支持部62,62と、該サイド支持部62,62どうし間に挟まれた中央支持部61とを有している。すなわち支持板6は、幅方向X中央に位置する中央支持部61と、該中央支持部61の該幅方向両側に位置するサイド支持部62,62とを有している(
図6参照)。サイド支持部62,62は、底面対向部60の幅方向X両側に位置するサイド支持形成部65が、幅方向X内側に折り曲げられ且つ該底面対向部60に固定されることにより形成されている。
中央支持部61は、底面対向部60の幅方向X中央の部分により形成されている。この底面対向部60の幅方向X中央部には、差し込み開口66が形成されている。サイド支持部62,62は、幅方向X中央に向かって下方に傾斜するサイド傾斜面B1を有している。斯かる構成により、内装容器3内の内容物Sを幅方向Xにおけるサイド傾斜面B1どうし間に集めて注出部31に導入することができ、液残りをより抑制することができる。このサイド傾斜面B1は、支持板6の側部、より詳細にはサイド支持形成部65を折り曲げることで形成されている。
【0033】
本実施形態のサイド支持形成部65は、サイド傾斜面B1を形成する傾斜面部63と、底面対向部60に形成された差し込み開口66に差し込まれる差込部67と、底面対向部60から起立し且つ側面部15と対向する起立部64とを有している。サイド支持部62において傾斜面部63は、幅方向X内方側の側縁が差込部67と連接しており、幅方向X外方側の側縁が起立部64の上端縁と連接している。起立部64は、下端縁が底面対向部60の幅方向X外方側の側縁と連接している。差込部67と傾斜面部63との間、傾斜面部63と起立部64との間、及び起立部64と底面対向部60との間それぞれには、奥行方向Yに沿う折り曲げ部が形成されている。これら折り曲げ部に沿ってサイド支持形成部65を幅方向X内側に折り曲げ且つ差込部67を差し込み開口66に差し込むことで、奥行方向Yに延びる三角柱状の支持構造が形成される。すなわち本実施形態のサイド支持部62は、サイド傾斜面B1の下に、奥行方向Yに延びる三角柱状の支持構造を有している。これにより、内容物Sを収容した内装容器3の自重に対しサイド傾斜面B1を安定して維持することができるとともに、内容物Sを注出部31側に集中させることができ、液残りをより抑制することができる。
【0034】
サイド傾斜面B1の傾斜をより安定化する観点、及び液残りをより抑制する観点から、サイド傾斜面B1の水平方向に対する傾斜角度θ2(
図6参照)は、好ましくは10°以上、より好ましくは20°以上である。斯かる傾斜角度θ2の上限は特に制限されないが、内装本体部30をより安定して支持する観点から、当該上限は好ましくは80°未満、より好ましくは60°以下である。すなわち、前記傾斜角度θ2は、好ましくは10°以上80°未満、より好ましくは20°以上60°以下である。
【0035】
サイド支持部62は、背面部13と正面部11との間の距離L1〔
図5(a)参照〕よりも、奥行方向Yの長さL7(
図6参照)が短いことが好ましい。斯かる構成により、支持板6を前傾状態にしたとき、サイド傾斜面B1を形成する傾斜面部63が正面部11に干渉することを抑制することができる。
斯かる干渉をより抑制する観点、及び内装容器3内の内容物Sを注出部31により集める観点から、奥行方向Yにおけるサイド支持部62の長さL7(
図6参照)は、奥行方向Yにおける背面部13と正面部11との間の距離L1〔
図5(a)参照〕に対して好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上であり、また好ましくは90%以下あり、また好ましくは30%以上90%以下、より好ましくは50%以上90%以下である。奥行方向Yにおけるサイド支持部62の長さL7は、奥行方向Yにおけるサイド傾斜面B1の長さである(
図6参照)。
【0036】
本実施形態の外装容器10は、
図7に示す一枚のブランク4を用いて形成される。斯かるブランク4は、外装容器10を展開した状態において所定の形状となるように、一枚の紙製のシート材料を、打ち抜いて裁断することで、容易に得ることができる。
【0037】
ブランク4には、筋押し等の折れ癖加工や、切り込み加工等を施すことにより、折り曲げ部によって画成される各部11,13,15,17,19を形成するとともに、蓋部22、該取っ手開口26や視認用開口27等の開口を適宜の箇所に設ける。斯かるブランク4を組み立てることで、
図1に示すような立体形状をなす外装容器10を容易に製造することができる。
【0038】
本実施形態のブランク4は、
図7に示すように、幅方向Xに対応する横方向X1と、奥行方向Yに対応する縦方向Y1とを有し、L字状の本体形成部4Bと、T字状の内部形成部4Aとを具備している。
本体形成部4Bは、外装容器10の本体を形成する。本体形成部4Bは、折り曲げ部によって、正面部11と、一対の側面部15と、上面部17と、底面部19と、背面部13を形成する上面連接板17a、底面連接板19a、及び一対の側面連接板15a,15aとに区分されている。一対の側面部15それぞれには、縦方向Y1の外方側に折り曲げ部を介して側面連接板15aが連接されている。底面部19には、縦方向Y1の外方側に折り曲げ部を介して底面連接板19aが連接されている。上面部17には、横方向X1外方側に折り曲げ部を介して上面継ぎしろ部17bが連接されており、縦方向Y1の外方側に折り曲げ部を介して上面連接板17aが連接されている。また上面部17は、横方向X1に沿う端縁部が、折り曲げ部を介して正面部11に連接されている。正面部11には、横方向X1両側それぞれに折り曲げ部を介して正面継ぎしろ部11aが連接されている。
【0039】
本体形成部4Bは、底面部19の横方向X1両側縁に一対の側面部15,15が、縦方向Y1に延びる折り曲げ部を介して連接されている。一方の側面部15の横方向X1外方端は、本体形成部4Bの横方向X1外方端をなし、他方の側面部15の横方向X1外方端には、上面部17が、縦方向Y1に延びる折り曲げ部を介して連接されている。
本体形成部4Bは、側面部15、底面部19、側面部15、及び上面部17が横方向X1に沿って並んでおり、これらの縦方向Y1外方側に、側面連接板15a、底面連接板19a、側面連接板15a、及び上面連接板17aが横方向X1に沿って並んでいる。
本体形成部4Bは、上面部17と正面部11とが縦方向Y1に沿って並んでいる。
【0040】
内部形成部4Aは、底面対向部60、該底面対向部60の横方向X1両側に隣接する起立部64、該起立部64と横方向X1外方に隣接する傾斜面部63、該傾斜面部63と横方向X1外方に隣接する差込部67とを具備する。内部形成部4Aは、底面対向部60の中心を通り且つ縦方向Y1に沿う中心軸に対し、横方向X1外方から底面対向部60に向かって、差込部67、傾斜面部63、及び起立部64の順でこれらが線対称に連接されている。差込部67と傾斜面部63との間、傾斜面部63と起立部64との間、起立部64と底面対向部60との間それぞれには、縦方向Y1に延びる折り曲げ部が形成されている。底面対向部60は、その横方向X1中央に、縦方向Y1に延びる一対の差し込み開口66,66が形成されている。この差し込み開口66の縦方向Y1の長さは、差込部67の縦方向Y1の長さに対応している。
【0041】
内部形成部4Aは、縦方向Y1における本体形成部4Bとは反対側であって、底面対向部60から縦方向Y1外方に延びる引き出し片5を有している。斯かる引き出し片5には、被係合部53と引き出し取っ手開口51とが縦方向Y1に離間して形成されている。
内部形成部4Aは、底面対向部60と本体形成部4Bの底面部19との間に、介在連続部68を有している。介在連続部68は、底面対向部60における本体形成部4B側の縦方向Y1の端縁部に連接しており、且つ底面部19における内部形成部4A側の縦方向Y1の端縁部に連接している。
【0042】
図7に示すブランク4を用いて、外装容器10と内装容器3とを具備するバッグインボックス1の製造方法を説明する。
ブランク4の本体形成部4Bを、底面部19から一対の側面部15,15が起立するように、底面部19と側面部15との間の折り曲げ部を折り曲げる。次いで一対の側面部15,15の上縁どうし間を上面部17で掛け渡すようにして、上面部17と側面部15との間の折り曲げ部を折り曲げる。この際、上面継ぎしろ部17bを、横方向X1外方端側の側面部15の内面に接合する。斯かる接合は、接着剤等の公知の接合手段を用いることができる。次いで、底面連接板19a及び上面連接板17aと一対の側面連接板15aとを縦方向Y1内方側に折り畳み、底面連接板19aの外面と側面連接板15aの内面を接着剤等で接合し、上面連接板17aの外面と側面連接板15aの内面とを接着剤等で接合する。すなわち、これら連接板を重ね合わせた状態に固定する。これにより、背面部13が形成される。
【0043】
次いで内部形成部4Aにおける、起立部64及び傾斜面部63を底面対向部60の横方向X1中央側に折り返し、起立部64と傾斜面部63との間の折り曲げ部を山折りにした後、差込部67を底面対向部60の差し込み開口66に差し込む。これにより、傾斜面部63、起立部64、及び底面対向部60により形成される三角柱状の支持構造を有したサイド支持部62が形成される。次いで、介在連続部68を底面部19側に折り返して、サイド支持部62が形成された底面対向部60を、底面部19に重ね合わせるとともに、引き出し片5を背面部13に沿って該底面対向部60から起立させる。これにより、引き出し片5及び支持板6が形成される。
【0044】
次いで、支持板6の上に、注出部31を正面側に向けた内装容器3を載置する。次いで、正面部11の横方向X1両側に連接された正面継ぎしろ部11aを、公知の接合手段によって側面部15の内面に接合して、正面部11を固定する。すなわち、縦方向Y1(奥行方向Y)における一対の側面部15,15、上面部17、及び底面部19の正面部11側の端縁により形成される開口を、該正面部11によって閉塞する。この正面部11の外面には、粘着テープ等を貼付して、該正面部11による前記開口の閉塞をより安定化してもよい。
以上の方法により、本実施形態のバッグインボックス1を製造することができる。
本実施形態のバッグインボックス1は、挿通開口等の開口が形成されていない外装容器10に、内装容器3が収容された状態が使用前の状態(開封前の状態)であり、当該状態で流通される。
【0045】
本実施形態のバッグインボックス1は、初回の使用時、すなわち開封時に、正面部11を易破断線に沿って破断し、挿通フラップ部20a及び挿通開口20bを形成する。これにより、正面部11に挿通部20が形成される。次いで、挿通フラップ部20aをめくり上げて形成された開口に注出部31を通し、該注出部31の管部33を挿通開口20bに挿通させ、挿通部20を介して注出部31を正面部11から露出させる。斯かる操作により、バッグインボックス1は、注出部31を介しての内容物Sの注出が可能な状態となる。
【0046】
本発明の外装容器及びこれを具備するバッグインボックスは、
図1~7に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る外装容器及びこれを具備するバッグインボックスの別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図1~7に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図1~7に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0047】
上述した実施形態のバッグインボックス1は、外装容器10が、単数の被係合部53を有する引き出し片5を具備するものであったが、これに限られない。
図8に示すバッグインボックス1aは、外装容器10が、複数の被係合部53を有する引き出し片5aを具備している。具体的には、
図8に示す引き出し片5aは、上下方向Zに離間した複数の被係合部53を有している。斯かる構成により、引き出し片5の蓋部22を介した引き出しの程度を多段階で調整することができるので、前傾状態における支持板6の前傾角度(
図8において図示せず)も多段階で調整することができる。
斯かる調整をより容易にする観点から、引き出し片5aは、上下方向Zに離間した被係合部53を、好ましくは2個以上4個以下有している。
【0048】
内容物Sの残量に応じた前傾角度の調整をより容易にする観点から、上下方向Zに隣り合った異なる被係合部53に蓋部22の係合片23を係合させたときの、支持板6の前傾角度の差は好ましくは6°以上、より好ましくは9°以上である。
【0049】
本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態において背面部13は、上面連接板17a、底面連接板19a、及び一対の側面連接板15a,15aを重ね合わせて形成されたものであったが、該背面部13は、正面部11や側面部15と同様に、一枚の板状部であってもよい。また、底面部19又は上面部17が、複数の連接板を重ね合わせて形成されたものであってもよい。
また支持板6は、サイド傾斜面B1を有するサイド支持部62を有しないものであってもよい。例えば、支持板6が、底面対向部60のみから形成されていてもよい。
また支持板6がサイド支持部62を有する場合、サイド傾斜面B1の下に三角柱状の支持構造を有しないものであってもよい。例えば、底面対向部60が、幅方向X中央部分を底部とし、幅方向X両側部が該中央部分から斜めに起立したV字状のものであってもよい。斯かる形態において、底面対向部60の幅方向X両側部が、サイド傾斜面B1を形成する傾斜面部63となる。
【符号の説明】
【0050】
1,1a バッグインボックス
3 内装容器
30 内装本体部
31 注出部
32 スパウト部
33 管部
10 外装容器
11 正面部
11a 正面継ぎしろ部
13 背面部
15 側面部
15a 側面連接板
17 上面部
17a 上面連接板
17b 上面継ぎしろ部
19 底面部
19a 底面連接板
20 挿通部
20a 挿通フラップ部
20b 挿通開口
22 蓋部
22a 上部開口
23 係合片
24 蓋側開口
25 連接部
26 取っ手開口
27 視認用開口
5,5a 引き出し片
51 取っ手開口
53 被係合部
54 易破断線
6 支持板
60 底面対向部
61 中央支持部
62 サイド支持部
63 傾斜面部
64 起立部
65 サイド支持形成部
66 差し込み開口
67 差込部
68 介在連続部
4 ブランク
4A 内部形成部
4B 本体形成部
B1 サイド傾斜面
S 内容物
X 幅方向
Y 奥行方向
Z 上下方向
X1 横方向
Y1 縦方向
θ1 前傾角度
θ2 傾斜角度