(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085968
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】検出装置の取付構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/18 20060101AFI20240620BHJP
G01S 7/03 20060101ALI20240620BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240620BHJP
B62D 21/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B62D25/18 A
G01S7/03 240
G01S13/931
B62D21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200781
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩太郎
【テーマコード(参考)】
3D203
5J070
【Fターム(参考)】
3D203AA13
3D203BA03
3D203BA06
3D203CA56
3D203CB19
3D203CB20
3D203DB02
5J070AE01
5J070AE09
5J070AF03
5J070AK40
5J070BF09
(57)【要約】
【課題】車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保する。
【解決手段】検出装置の取付構造は、車両2の車体フレーム10に取り付けられるとともに、車両2の車輪後方に配置され、車幅方向外側の外側面部20Aと外側面部20Aに連設された車長方向後方の後面部20Bとを有し、外側面部20Aに開口部24が設けられたマッドガード20と、車両2の側方の物体を検出するために設けられ、マッドガード20の開口部24に配置された検出装置1と、後面部20Bよりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部20Aに重複して配置され、一端において車体フレームに取り付けられるとともに他端に検出装置1が取り付けられており、検出装置1を開口部24に配置した状態で片持ち支持するブラケット30と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と前記車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、
前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、
前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持するブラケットと、を備えた
ことを特徴とする検出装置の取付構造。
【請求項2】
前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、
前記車長方向の一端において前記ブラケットに取り付けられ、前記車長方向の他端において前記後面側ステーに取り付けられており、前記ブラケットと前記後面側ステーとを接続する補助ブラケットと、を更に備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置の取付構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記検出装置が前記開口部に配置された状態で前記開口部に対し非接触に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置の取付構造。
【請求項4】
前記ブラケットの前記車長方向後方の面に沿って前記検出装置の配線が配設された
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置の取付構造。
【請求項5】
前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、前記マッドガードにおいて上側の壁面をなす上面部に固定される上面側ステーと、前記マッドガードの前記車長方向前端部に固定される前端側ステーと、を備え、
前記ブラケットは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記上面側ステーよりも下方に配置された
ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置の取付構造。
【請求項6】
前記上面側ステーは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されており、
前記ブラケットは、前記上面側ステーを介して間接的に前記車体フレームに取り付けられた
ことを特徴とする請求項5に記載の検出装置の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の側方に存在する人や車両などの物体を検出し、ドライバーへの警報や車両制御などを行う技術が開発されている。例えば、特許文献1には、車両の側方に存在する人や車両などの物体を検出するためのレーダ装置をトラックの車体側方の燃料タンク近傍に取り付けた取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術のように、燃料タンク近傍にレーダ装置を取り付けた場合、レーダ装置によるレーダ照射範囲を十分に確保できない場合がある。すなわち、車両側方監視のレギュレーション改正により、従来よりも広い範囲の側方を監視しなければならず、特許文献1の技術のように燃料タンク近傍にレーダ装置を取り付けた場合、レギュレーションに対応できない場合がある。
【0005】
すなわち、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置において、車両の側方をより広い範囲で監視するためには、検出装置の搭載位置を変更する必要が生じる。
しかし、車両の側方は他部品とのレイアウトとの関係上、検出装置の搭載位置が制限されることがある。したがって、特許文献1に開示されるような従来の技術は、検出装置の搭載性を確保するうえで、改善の余地がある。
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
【0007】
(1)本適用例に係る検出装置の取付構造は、車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と前記車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持するブラケットと、を備えている。
【0008】
これによれば、ブラケットが、マッドガードの後面部よりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部に重複して配置されるとともに、検出装置を外側面部の開口部に配置した状態で片持ち支持する。すなわち、ブラケットがマッドガードの内側に配置されるため、検出装置をマッドガードに取り付けることが可能になる。このようにブラケットがマッドガードの内側に配置された構造であっても、検出装置は外側面部の開口部から外側へ向けてレーダを照射可能である。そのため、マッドガードに検出装置を適切に取り付けることが可能である。よって、検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保することができる。
【0009】
(2)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、前記車長方向の一端において前記ブラケットに取り付けられ、前記車長方向の他端において前記後面側ステーに取り付けられており、前記ブラケットと前記後面側ステーとを接続する補助ブラケットと、を更に備えていてもよい。
これによれば、補助ブラケットがブラケットとマッドガードの後面部との間に車長方向に沿って介装されるため、ブラケットと後面側ステーとが補助ブラケットを介して接続される。そのため、補助ブラケットは、車長方向に沿う外力の影響を抑制するように、ブラケットを支持する。よって、ブラケットが補強される。その結果、検出装置に対する振動が抑制される。
【0010】
(3)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記ブラケットが、前記検出装置が前記開口部に配置された状態で前記開口部に対し非接触に設けられていてもよい。これにより、ブラケットとマッドガードとの擦れを防止することができる。また、マッドガードからブラケットへ振動が伝達されにくいので、検出装置に対する振動が抑制される。
(4)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記ブラケットの前記車長方向後方の面に沿って前記検出装置の配線が配設されていてもよい。この場合、ブラケットが、配線に対し車両の走行中の前方から飛び石等の衝突を防ぐ保護部材として機能することができる。
【0011】
(5)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、前記マッドガードにおいて上側の壁面をなす上面部に固定される上面側ステーと、前記マッドガードの前記車長方向前端部に固定される前端側ステーと、を備え、前記ブラケットは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記上面側ステーよりも下方に配置されていてもよい。
これによれば、ブラケットが後面側ステーよりも車長方向前方且つ前端側ステーよりも車長方向後方に配置されるとともに、上面側ステーよりも下方に配置される。そのため、マッドガードを支持するステーに干渉せずに、ブラケットをマッドガード内側に配置することができる。
【0012】
(6)また、本適用例に係る検出装置の取付構造では、前記上面側ステーは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されており、前記ブラケットは、前記上面側ステーを介して間接的に前記車体フレームに取り付けられてもよい。
これによれば、マッドガードを支持するステーに干渉せずに、ブラケットをマッドガード内側に配置することができるとともに、上面側ステーを介して安定して車体フレームにラケットを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本件によれば、車両の側方に存在する物体を検出するための検出装置の取付構造において検出装置の搭載性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】適用例に係る本適用例に係る検出装置の取付構造を適用した車両の前部を左後方から視た斜視図である。
【
図2】
図1からマッドガードを取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の検出装置の取付構造を拡大して示す側面図である。
【
図4】
図1の検出装置の取付構造を車長方向後方から見た背面図である。
【
図5】
図1の検出装置の取付構造の一部を拡大して示す側面図である。
【
図6】
図1の検出装置をBSAブラケットの他端をマッドガードの内側から見た拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、本件の実施形態について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
なお、各図において、「FR」は車両の前方,「UP」は「上方」,「IN」は車幅方向内側をそれぞれ示す。車幅方向内側の反対側が車幅方向外側である。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0016】
[1.構成]
図1は、本適用例に係る検出装置(
図1中破線で示す)1の取付構造を適用した車両2の前部を左後方から視た斜視図であり、一部を省略して示している。なお、検出装置1の取付構造は車両2の左右に設けられており、左右で略同様の(左右対称の)構成を有するため、以下では、左側について説明し、右側の詳細な説明は省略する。
検出装置1は、車両2の側方に存在する人や他車両などの物体を検出する車両側方監視である。検出装置1の検出信号は、車両2の側方に存在する人や他車両などを検出した際に運転者に警報を発生するためのBSA(ブラインドスポットアシスト)装置に利用されている。検出装置1の例としては、例えば車両2の側方の照射範囲に向けてミリ波を発信するミリ波レーダが挙げられる。
【0017】
図1の車両2は、車体フレーム10と車体フレーム10の前部の上方に配置されたキャブ(図示省略)とを備えたトラックである。
車体フレーム10は、ラダーフレーム構造をなす。具体的にいえば、車体フレーム10は、車長方向(前後方向)に延びるとともに車幅方向(左右方向)に互いに離隔する一対のサイドレール11(図中左側の一方のみ示す)と複数のクロスメンバ(図示省略)とを有し、梯子形状をなす。
車体フレーム10の前部にはキャブの後端部を下方から支持するためのキャブブリッジ12が設けられている。キャブブリッジ12は、一対のサイドレール11のそれぞれから上方に延びるとともにサイドレール11間に跨って固定され、逆U字型若しくはアーチ状をなす。
【0018】
車体フレーム10に対し外側(車幅方向外側)にマッドガード20が設けられている。
マッドガード20は、車両2の前輪(図示省略)後方に配置された泥除け部材である。
このマッドガード20は、外側面、後面及び上面の三方を囲むカバー体として構成されている。具体的には、マッドガード20には、車幅方向外側の壁面をなす外側面部20Aと、外側面部20Aの後端部に連設され車長方向後方の壁面をなす後面部20Bと、外側面部20A及び後面部20Bの上端部に連設され上側の壁面をなす上面部20Cとが設けられている。本明細書では、外側面部20A、後面部20B及び上面部20Cで囲まれた空間側を「マッドガード20の内側」と称する。
【0019】
外側面部20Aには、開口部24が車幅方向に沿って貫設されている。開口部24は、車幅方向外側と内側とを連通する窓部であり、後述する外カバー32をマッドガード20の外側へ突出(挿通)させるために設けられている。すなわち、マッドガード20の後面部20Bよりも前側に位置する外側面部20Aに開口部24が設けられており、その開口部24に検出装置1が係合されるようになっている。開口部24の大きさ及び形状は、検出装置1の外観形状及び大きさに応じて設定される。
【0020】
図2は
図1からマッドガード20を取り除いた状態示す。
図1及び
図2に示すように、マッドガード20は、後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23により、マッドガード20の後面部20Bと上面部20Cと前端部20D(上面部20Cの前端部)との三箇所で車体フレーム10に固定されている。
後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23のうち、後面側ステー21及び上面側ステー22は、マッドガード20よりも上方(サイドレール11よりも上方)においてキャブブリッジ12から外側へ延設された上ブラケット12Aに固定されている。前端側ステー23は、サイドレール11の外側面に固定されている。
【0021】
後面側ステー21は、L字型をなすパイプ部材で形成されており、マッドガード20の後方に配置されている。後面側ステー21は、その上端部において上ブラケット12Aに固定され、上ブラケット12Aから後面部20Bに沿って下方へ延びるとともに、後面部20Bの下端部において外側へ向かって屈曲され、車幅方向の外側へ延びている。後面側ステー21は、車幅方向に延在する部位において車幅方向に離隔して配置された二つの支持金具21A,21Bにより後面部20Bの下端部に対して固定されている。
なお、
図1に示すように、後面部20Bは、キャブブリッジ12の下端部から外側へ突出した後面側サブステー21Cにも固定されている。
【0022】
上面側ステー22は、後面側ステー21よりも車長方向前方且つ前端側ステー23よりも車長方向後方に配置されており、上ブラケット12Aから外側へ向かって延出した第一部材22Aと上ブラケット12Aから前方(車長方向前方)へ向かって延出した第二部材22Bとを含む。上面側ステー22の第一部材22Aは車幅方向に沿って離隔した二箇所(複数個所)でマッドガード20の上面部20Cに固定されている。上面側ステー22の第二部材22Bは、上面部20Cの車長方向の略全長にわたり延在しており、上面部20Cに接触するとともに、その前端部で上面部20Cに固定されている。
【0023】
前端側ステー23は、サイドレール11から外側且つ上方へ延び、上面部20Cの前端部(マッドガード20の前端部上面)を下面側から支持している。
前端側ステー23と上面部20Cの前端部とは、車幅方向に沿って離隔した二箇所(複数個所)で固定されている。
【0024】
上記のように、後面側ステー21,上面側ステー22及び前端側ステー23によりマッドガード20が車体フレーム10の外側に取り付けられている。
本適用例に係る検出装置1の取付構造においては、マッドガード20の内側に検出装置1を支持するためのBSAブラケット30(「ブラケット」,
図1中破線で示す)が配置されている。
【0025】
マッドガード20の内側に配置されたBSAブラケット30(
図1中破線で示す)は、
図1に示すように、マッドガード20の後面部20Bよりも前方に位置しており、且つ、車幅方向の外側から見てマッドガード20の外側面部20Aに重複して配置されたものとなる。言い換えれば、BSAブラケット30は、
図2に示すように、後面側ステー21よりも前方に配置されており、且つ、前端側ステー23よりも後方に配置されたものとなる。また、BSAブラケット30は、上面側ステー22よりも下方、且つ、サイドレール11の下端よりも上方に配置される。
【0026】
BSAブラケット30は、
図1及び
図2に示すように、車幅方向内側の一端30Aにおいて車体フレーム10側に固定され、車体フレーム10側(車幅方向内側)から外側且つ下方へ延びており、他端30Bに検出装置1が外カバー32とともに取り付けられている。
すなわち、BSAブラケット30は、
図1に示すように検出装置1を開口部24に配置(係合)した状態で片持ち支持する。
【0027】
図3は
図1の検出装置1の取付構造を拡大して示す側面図である。また、
図4は検出装置1の取付構造を車長方向後方から見た背面図である。なお、
図3においてマッドガード20を破線で示す。また、
図4においてマッドガード20の一部を一点鎖線で示すとともに、検出装置1の取付構造の一部を省略している。
図3及び
図4に示すように、BSAブラケット30は、車幅方向及び上下方向の双方に延在する面部を有する平板部材を折り曲げて形成されている。具体的には、
図3に示すように車幅方向に沿って視たとき、BSAブラケット30は、下方へ向かうほど車長方向後方に位置する傾斜部位と上下方向に延びた部位とが連設された「くの字型」をなす。また、
図4に示すように車長方向に沿って視たとき、BSAブラケット30は、一端30Aから上下方向に延びた部位と下方へ向かうほど車幅方向外側に位置する部位と車幅方向外側へ延びた部位とが連設された「Cの字型」に形成されている。
【0028】
BSAブラケット30の一端30Aは、マッドガード20の上面部20Cと共に上面側ステー22に固定されている。
図5は、BSAブラケット30と、マッドガード20及び上面側ステー22との固定箇所の拡大図である。
図3に示すように、マッドガード20の上面部20C上に上面側ステー22の第一部材22Aを重ね合わせた状態で、第一部材22Aの上面に配置された支持ブラケット26と、マッドガード20の上面部20Cの下面側に配置されたBSAブラケット30の一端30Aとをネジで締結する。これにより、BSAブラケット30の一端30Aと上面側ステー22とマッドガード20の上面部20Cとが固定(共締め)される。そのため、本実施形態のBSAブラケット30は、上面側ステー22とマッドガード20の上面部20Cとを介して間接的に車体フレーム10に取り付けられたものである。
【0029】
図6は、BSAブラケット30の他端30Bをマッドガード20の内側から見た拡大斜視図である。なお、
図6では、マッドガード20は省略している。
図6に示すように、BSAブラケット30の他端30Bは車幅方向及び上下方向に沿って延在する面部をなす。この他端30Bに対して、検出装置1を保持するためのホルダ31と、ホルダ31を外側から覆う外カバー32と、ホルダ31に保持された検出装置1を内側から覆う保護カバー33(図中破線で示す)とが設けられている。
【0030】
ホルダ31は、上面視L字型に形成されており、他端30Bに対する固定面をなす第一面部31Aと、検出装置1の保持面をなす第二面部31Bとを含む。
第一面部31Aは、他端30Bと同様な車幅方向及び上下方向に沿って延在する面部である。第二面部31Bは、第一面部31Aの車幅方向外側端部に接続されており、第一面部31Aから前方へ延出している。第二面部31Bには、車幅方向内側から外側へ連通した窓部31Cが設けられており、この窓部31Cに検出装置1が保持されている。
【0031】
外カバー32は、断面がハット状に形成された車外側カバー部材であり、
図1に示すように検出装置1(
図1中破線で示す)に対して車幅方向外側に配置されている。外カバー32は、ホルダ31の外側を向いた面に固定され検出装置1を外側から覆う。
外カバー32は、検出装置1から発信されたミリ波が通過し得る材料及び板厚で形成されている。また、外カバー32の外寸は、マッドガード20の外側面部20Aに設けられた開口部24の口径よりも小さく設定されており、開口部24を通じてマッドガード20の内側から外側へ外カバー32を突出(挿通)させ得る。
【0032】
保護カバー33は、車両2の走行中の飛び石等から、ホルダ31に保持された検出装置1を保護するカバー部材である。例えば、保護カバー33は、ホルダ31の車幅方向内側を向いた面に対し、車幅方向内側,上側,下側及び車長方向前側の四面を覆うように設けられており、ホルダ31の第一面部31Aと共にBSAブラケット30の他端30Bに取り付けるためのネジ穴(図示省略)を有している。
【0033】
ホルダ31,外カバー32及び保護カバー33をBSAブラケット30の他端30Bに取り付ける際は、ホルダ31に検出装置1を装着した状態でホルダ31に外カバー32を固定する。それから、ホルダ31及び外カバー32は、開口部24に配置された状態でBSAブラケット30の他端30Bにセットされる。そして、ホルダ31の内側に保護カバー33を装着して、ホルダ31の第一面部31Aと保護カバー33とをBSAブラケット30の他端30Bに固定(共締め)する。
【0034】
BSAブラケット30の他端30Bにホルダ31,外カバー32及び保護カバー33を取り付けた状態で、
図4に示すように、開口部24と外カバー32との間には隙間24Xが設けられている。すなわち、外カバー32(BSAブラケット30の一部)は、開口部24に対し隙間24Xだけ離隔して配置されるように、外カバー32の外寸と開口部24の口径とが設定されている。言い換えれば、BSAブラケット30は、検出装置1が開口部24に配置された状態で開口部24に対し非接触に設けられている。
隙間24Xは、外カバー32(ブラケット30側)と開口部24(マッドガード20側)との接触(干渉)を防止し得る適宜の寸法に設定される。マッドガード20の泥除け性能や、走行時の空力性能、マッドガード20の美的外観の確保等の観点から、隙間24Xを広すぎず、接触(干渉)を防止し得る最小限に設定するのが好ましい。
【0035】
図6の例では、ホルダ31に保持された検出装置1の配線34は、BSAブラケット30の車長方向後面に沿って配設されている。配線34は図示しない制御装置に接続されており、検出装置1の検出信号を伝達する。
この場合、配線34に対し前方側にBSAブラケット30が配置されているので、BSAブラケット30は、配線34に対し車両2の走行中の前方から飛び石等が衝突することを防ぐ保護部材としての機能を兼ねる。
【0036】
本適用例に係るBSAブラケット30では、BSAブラケット30に作用する前後方向の外力に対して、BSAブラケット30を補強するために、
図3に示すようにリブ35が形成されているとともに、
図2及び
図3に示す補助ブラケット40が設けられている。
補助ブラケット40は、BSAブラケット30とマッドガード20の後面部20Bとの間に車長方向に沿って介装された支持部材である。
補助ブラケット40は、BSAブラケット30に加わる車長方向(前後方向)の外力を抑制する観点から、車長方向及び上下方向の双方に延在する面部を有する平板部材で形成されている。
【0037】
補助ブラケット40は、車長方向前方の一端40Aにおいて、BSAブラケット30に固定されている。補助ブラケット40とBSAブラケット30との固定位置は、例えばBSAブラケット30の他端30B近傍であって、ホルダ31の取り付け位置よりも車幅方向内側に設定される。
【0038】
補助ブラケット40は、車長方向後方の他端40Bにおいて、マッドガード20の後面部20Bに固定されている。詳しくは、補助ブラケット40は、車長方向後方の他端40Bにおいて、マッドガード20の後面部20Bを固定している後面側ステー21に対して支持金具21A,21Bを介して固定(共締め)されている。すなわち、補助ブラケット40は、BSAブラケット30と後面側ステー21とを車長方向(前後方向)に接続している。
【0039】
[2.作用効果]
以上説明した本実施形態は以下のような作用効果を奏する。
本適用例に係る検出装置1の取付構造は、上記の検出装置1と、マッドガード20と、BSAブラケット30とを含む。この検出装置1の取付構造では、BSAブラケット30は、マッドガード20の後面部20Bよりも前方に位置し、且つ、車幅方向外側から見て外側面部20Aに重複して配置されるとともに、検出装置1を外側面部20Aの開口部24に配置した状態で片持ち支持する。
これによれば、BSAブラケット30がマッドガード20の内側に配置されるため、検出装置1をマッドガード20の内側に取り付けることが可能になる。このようにBSAブラケット30がマッドガード20の内側に配置された構造であっても、検出装置1は外側面部20Aの開口部24から外側へ向けてレーダを照射可能である。そのため、マッドガード20に検出装置1を適切に取り付けることが可能である。よって、検出装置1の取付構造において検出装置1の搭載性を確保することができる。
【0040】
また、本適用例に係る検出装置1の取付構造では、補助ブラケット40がBSAブラケット30とマッドガード20の後面部20Bとの間に車長方向に沿って介装されるため、BSAブラケット30と後面側ステー21とが補助ブラケット40を介して接続される。そのため、補助ブラケット40は、車長方向に沿う外力の影響を抑制するようにBSAブラケット30を支持する。よって、BSAブラケット30が補強される。その結果、検出装置1に対する振動が抑制される。
【0041】
また、本適用例に係る検出装置1の取付構造では、BSAブラケット30は、検出装置1が開口部24に配置された状態で開口部24に対し非接触に設けられている。これにより、BSAブラケット30とマッドガード20との擦れを防止することができる。また、マッドガード20からBSAブラケット30へ振動が伝達されにくいため、検出装置1に対する振動が抑制される。
また、本適用例に係る検出装置1の取付構造では、検出装置1の配線34がBSAブラケット30の車長方向後面に沿って配設されるので、BSAブラケット30は、配線34に対し前方からの飛び石等の衝突を防ぐ保護部材として機能する。
【0042】
また、本適用例に係る検出装置1の取付構造では、BSAブラケット30が後面側ステー21よりも車長方向前方且つ前端側ステー23よりも車長方向後方に配置されるとともに、上面側ステー22よりも下方に配置されている。そのため、マッドガード20を支持するステー21~23に干渉することなく、BSAブラケット30をマッドガード20内側に配置することができる。
また、本適用例に係る検出装置1の取付構造では、BSAブラケット30は、後面側ステー21よりも車長方向前方且つ前端側ステー23よりも車長方向後方に配置された上面側ステー22を介して間接的に車体フレーム10に取り付けられている。そのため、マッドガード20を支持するステー21~23に干渉することなく、BSAブラケット30をマッドガード20内側に配置することができるとともに、上面側ステー22を介して安定してBSAブラケット30を車体フレーム10に取り付けられる。
[3.その他]
【0043】
上述した実施形態では、BSAブラケット30が、上面側ステー22を介して間接的に車体フレーム10に取り付けられる構成を説明したが、BSAブラケット30は、例えばサイドレール11やキャブブリッジ12等の車体フレーム10に直接的に取り付けられてもよい。
また、補助ブラケット40の他にも、BSAブラケット30の補強用ブラケットを付設してもよい。補強用ブラケットの例としては、キャブブリッジ12の下端部から外側へ突出した後面側サブステー21C(
図1参照)から車幅方向外側へ延出し、後面側サブステー21CとBSAブラケット30とを接続するものを挙げることができる。
BSAブラケット30や、補助ブラケット40を補強するために、リブを形成したり、BSAブラケット30や、補助ブラケット40を断面L字型や断面C型をなす剛性の高い部材で形成したりしてもよい。
【0044】
なお、本明細書においてBSA(ブラインドスポットアシスト)と称した装置には、様々な呼称がある。このような装置は、BSAの他、例えばBSM(ブラインドスポットモニタリング)などとも呼ばれる。そのため、本明細書中の「BSA」なる用語を「BSM」等他の周知の呼称に置き換えてもよい。
また、本明細書における「BSA」とは、自車両の側方に存在する人や他車両などを検出した際に運転者に警報を発生するものでもよいし、或いは、上記の警報に替えて、若しくは警報に加えて、自車両の側方に存在する人や他車両などを検出した際に自車両に制動制御や操舵制御などの自車両の制御を行うものであってもよい。
【0045】
[4.付記]
上記の変形例を含む実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
車両の車体フレームに取り付けられるとともに、前記車両の車輪後方に配置され、車幅方向外側の壁面をなす外側面部と前記外側面部に連設されており車長方向後方の壁面をなす後面部とを有し、前記外側面部に前記車幅方向外側と前記車幅方向内側とを連通する開口部が設けられたマッドガードと、
前記車両の側方の物体を検出するために設けられており、前記マッドガードの前記開口部に配置された検出装置と、
前記後面部よりも前方に位置し、且つ、前記車幅方向外側から見て前記外側面部に重複して配置され、一端において前記車体フレームに直接的又は間接的に取り付けられるとともに他端に前記検出装置が取り付けられており、前記検出装置を前記開口部に配置した状態で片持ち支持するブラケットと、を備えた
ことを特徴とする検出装置の取付構造。
(付記2)
前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、
前記車長方向の一端において前記ブラケットに取り付けられ、前記車長方向の他端において前記後面側ステーに取り付けられており、前記ブラケットと前記後面側ステーとを接続する補助ブラケットと、を更に備えた
ことを特徴とする付記1に記載の検出装置の取付構造。
(付記3)
前記ブラケットは、前記検出装置が前記開口部に配置された状態で前記開口部に対し非接触に設けられた
ことを特徴とする付記1又は2に記載の検出装置の取付構造。
(付記4)
前記ブラケットの前記車長方向後方の面に沿って前記検出装置の配線が配設された
ことを特徴とする付記1~3の何れか1つに記載の検出装置の取付構造。
(付記5)
前記マッドガードの前記後面部よりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記後面部に固定される後面側ステーと、前記マッドガードにおいて上側の壁面をなす上面部に固定される上面側ステーと、前記マッドガードの前記車長方向前端部に固定される前端側ステーと、を備え、
前記ブラケットは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されるとともに、前記上面側ステーよりも下方に配置された
ことを特徴とする付記1~4の何れか1つに記載の検出装置の取付構造。
(付記6)
前記上面側ステーは、前記後面側ステーよりも前記車長方向前方且つ前記前端側ステーよりも前記車長方向後方に配置されており、
前記ブラケットは、前記上面側ステーを介して間接的に前記車体フレームに取り付けられた
ことを特徴とする付記5に記載の検出装置の取付構造。
【符号の説明】
【0046】
1 検出装置
2 車両
10 車体フレーム
11 サイドレール
12 キャブブリッジ
12A 上ブラケット
20 マッドガード
20A 外側面部
20B 後面部
20C 上面部
20D 前端部
21 後面側ステー
21A 支持金具
21B 支持金具
21C 後面側サブステー
22 上面側ステー
22A 第一部材
22B 第二部材
23 前端側ステー
24 開口部
24X 隙間
26 治具
30 BSAブラケット(ブラケット)
30A :一端
30B :他端
31 ホルダ
31A 第一面部
31B 第二面部
31C 窓部
32 外カバー
33 保護カバー
34 配線
35 リブ
40 補助ブラケット
40A :一端
40B :他端