(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085973
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/28 20060101AFI20240620BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20240620BHJP
【FI】
C12M1/28
C12N5/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200788
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】西岡 美玖
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB11
4B029HA01
4B029HA05
4B065AA93X
4B065CA44
(57)【要約】
【課題】作業者の熟練度によらず組織から十分な水切りを行うことのできる採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法を提供する。
【解決手段】先端と基端とが開口する内腔13を有する外筒部10と、先端側に穿刺部24を有し、内腔13に挿通される内針部20と、を備え、外筒部10は、先端側に向かって延びる針状部15bを複数有する第1保持部15を備え、内針部20は、内腔13より先端側に露出して展開した状態で基端側に向かって延びる針状部26bを複数有する第2保持部26を備え、第2保持部26は、内腔13の内部に格納されるように変形可能である採取組織水切りデバイス1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部と、
先端側に穿刺部を有し、前記内腔に挿通される内針部と、を備え、
前記外筒部は、先端側に向かって延びる針状部を複数有する第1保持部を備え、
前記内針部は、前記内腔より先端側に露出して展開した状態で基端側に向かって延びる針状部を複数有する第2保持部を備え、
前記第2保持部は、前記内腔の内部に格納されるように変形可能である採取組織水切りデバイス。
【請求項2】
前記第1保持部は、前記外筒部の周方向に沿って複数設けられる請求項1に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項3】
前記第2保持部は、前記内針部の周方向に沿って90°ごとに4本が設けられる請求項1または2に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項4】
前記外筒部は、外周側に向かって突出する持ち手部を有する請求項1または2に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項5】
採取組織を水切りする方法であって、
針状部を複数有する第1保持部を備えた外筒部の先端を前記採取組織の表面に近接させることで、前記第1保持部の前記針状部を前記採取組織に表面に当接させるステップと、
先端側に穿刺部を有し前記外筒部が有する内腔の内部に格納されるように変形した第2保持部を備えた内針部が前記内腔に挿通された状態から、前記穿刺部を前記採取組織に穿刺し、前記内針部に前記採取組織を貫通させるステップと、
前記採取組織より先端側に貫通した前記第2保持部を展開させ、前記第2保持部が有する複数の針状部を前記採取組織の表面に当接させるステップと、
前記第1保持部の前記針状部と、前記第2保持部の前記針状部とで、前記採取組織を把持し、水切りを行うステップと、
を有する採取組織を水切りする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から採取した組織を把持して水切りする採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、重症心不全治療の解決策として新しい再生医療の開発が進められている。その一例として、重症心筋梗塞等において組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いて作製したシート状細胞培養物を心臓表面に適用する手法が試みられている。シート状細胞培養物を用いる手法は、大量の細胞を広範囲に安全に移植することが可能であり、例えば、心筋梗塞(心筋梗塞に伴う慢性心不全を含む)、拡張型心筋症、虚血性心筋症、収縮機能障害(例えば、左室収縮機能障害)を伴う心疾患(例えば、心不全、特に慢性心不全)などの治療に特に有用である。
【0003】
組織は、生体の所定部を切除することによって採取される。心不全治療に用いられるシート状細胞培養物を製造するための組織は、通常、大腿部の筋肉組織が用いられる。生体の一部を切除し、組織を採取するためのデバイスとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート状細胞培養物を形成するため、生体から採取された筋肉などの採取組織は、組織輸送液などの液体に浸漬した状態で、培養を行う施設に輸送される。採取組織は、液体に浸漬されているため、輸送中に水分を吸収する。培養を行う施設では、採取組織の重量に基づきシート状細胞培養物を製造するため、採取組織に含まれる水分量の大小により、製造のばらつきを生じる。また、採取組織が液体に浸漬されていることから、採取組織中には血球成分が含まれる。これによって、シート状細胞培養物を形成する際の酵素反応を阻害し、十分な細胞数を得ることができない可能性がある。
【0006】
このため、採取組織からシート状細胞培養物を製造する際には、まず、採取組織に含まれる水分量を減少させる水切りを行う必要がある。これまで、採取組織の水切りは、作業者が採取組織をピンセットなどで掴み、採取組織を絞ることで行っていた。しかし、この方法では、採取組織から十分に水分を除去できないことがあり、また、作業者の熟練度によって水分除去の程度にばらつきが生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、作業者の熟練度によらず採取組織から十分な水切りを行うことのできる採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する(1)採取組織水切りデバイスは、先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部と、先端側に穿刺部を有し、前記内腔に挿通される内針部と、を備え、前記外筒部は、先端側に向かって延びる針状部を複数有する第1保持部を備え、前記内針部は、前記内腔より先端側に露出して展開した状態で基端側に向かって延びる針状部を複数有する第2保持部を備え、前記第2保持部は、前記内腔の内部に格納されるように変形可能である。
【0009】
上記目的を達成する(5)採取組織を水切りする方法は、採取組織を水切りする方法であって、針状部を複数有する第1保持部を備えた外筒部の先端を前記採取組織の表面に近接させることで、前記第1保持部の前記針状部を前記採取組織に表面に当接させるステップと、先端側に穿刺部を有し前記外筒部が有する内腔の内部に格納されるように変形した第2保持部を備えた内針部が前記内腔に挿通された状態から、前記穿刺部を前記採取組織に穿刺し、前記内針部に前記採取組織を貫通させるステップと、前記採取組織より先端側に貫通した前記第2保持部を展開させ、前記第2保持部が有する複数の針状部を前記採取組織の表面に当接させるステップと、前記第1保持部の前記針状部と、前記第2保持部の前記針状部とで、前記採取組織を把持し、水切りを行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した採取組織水切りデバイスは、第1保持部の針状部と第2保持部の針状部とで採取組織を把持できるので、採取組織を厚み方向に圧縮する、あるいは採取組織をねじる操作を容易に行うことができる。このため、採取組織水切りデバイスは、採取組織の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)の採取組織水切りデバイスにおいて、前記第1保持部は、前記外筒部の周方向に沿って複数設けられてもよい。これにより、採取組織水切りデバイスは、採取組織をより強固に把持することができ、確実に水切りを行うことができる。
【0012】
(3)上記(1)または(2)の採取組織水切りデバイスにおいて、前記第2保持部は、前記内針部の周方向に沿って90°ごとに4本が設けられてもよい。これにより、第2保持部を内腔内に格納可能としつつ、展開した状態では採取組織を強固に把持することができ、確実に水切りを行うことができる。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの採取組織水切りデバイスにおいて、前記外筒部は、外周側に向かって突出する持ち手部を有してもよい。これにより、作業者は、持ち手部を把持して作業を行うことができるので、水切り作業時の操作性を向上させることができる。
【0014】
上記のように構成した採取組織を水切りする方法は、第1保持部の針状部と第2保持部の針状部とで採取組織を把持し、採取組織を厚み方向に圧縮する、あるいは採取組織をねじる操作を容易に行うことができる。このため、採取組織を水切りする方法は、採取組織の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態における採取組織水切りデバイスの斜視図である。
【
図2】
図1の状態から内針部を先端側に移動させた状態の採取組織水切りデバイスの斜視図である。
【
図3】内針部の先端部付近の拡大正面図であって、第2保持部の展開前後の状態を表した図である。
【
図4】変形例に係る内針部の先端部付近の拡大正面図であって、第2保持部の展開前後の状態を表した図である。
【
図5】採取組織水切りデバイスで採取組織の水切りを行う手順を表した断面図であって、(a)は外筒部を採取組織に近接させた状態を、(b)は内針部の先端部を採取組織に進入させた状態を、(c)は内針部に採取組織を貫通させて第2保持部を展開した状態を、(d)は第1保持部と第2保持部で把持した採取組織の水切りを行っている状態を、それぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
本実施形態の採取組織水切りデバイス1は、シート状細胞培養物を製造するために生体から採取された組織を把持し、当該組織に含まれる水分量を減少させるように水切りするために用いられる。本実施形態の採取組織水切りデバイス1によって水切りされる採取組織は、骨格筋組織である。ただし、採取組織は骨格筋組織に限られず、例えば、筋組織、脂肪組織、皮膚組織、軟骨組織、腱組織、靭帯組織、間柔組織、脳組織、循環器系組織、消化器系組織、代謝系組織、リンパ系組織、骨髄組織など他の組織であってもよい。
【0018】
図1に示すように、採取組織水切りデバイス1は、筒状に形成された外筒部10と、外筒部10に挿通される内針部20とを有している。本実施形態において、内針部20を採取組織に向かって移動させる側を「先端側」、内針部20を操作する側を「基端側」と称する。外筒部10の内腔13が延びる方向を「長軸方向」とし、長軸方向を基準軸とした回転方向を「周方向」とする。また、先端(最先端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「先端部」とし、基端(最基端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「基端部」とする。
【0019】
外筒部10は、先端と基端とが開口する内腔13を有する筒状部12を備えている。外筒部10は、筒状部12の基端部に外周側に向かって突出する操作用の持ち手部14を有している。外筒部10は、筒状部12の先端部に複数の第1保持部15を有している。第1保持部15は、筒状部12の外周面から外周側に向かって突出する線状の支持部15aと、支持部15aから先端側に向かって延びる複数の針状部15bとを有している。外筒部10は、第1保持部15を周方向に沿って4つ有している。各第1保持部15は、周方向に90°の間隔を有して配置されている。
【0020】
内針部20は、外筒部10の内腔13に挿通され、外筒部10の長軸方向に沿って移動することができる。内針部20は、長尺な棒状の本体部22と、本体部22の先端から先端側に向かって延びる細径部23と、細径部23の先端に設けられる針状の穿刺部24と、細径部23の先端部に設けられる第2保持部26と、を有している。また、内針部20は、本体部22の基端部に操作用の拡径部26を有している。
【0021】
第2保持部26は、内腔13の内部に配置された状態で、当該内腔13に格納できるように変形している。
図2に示すように、内針部20を外筒部10に対して先端側に移動させることで、内針部20の先端部に設けられた第2保持部26は、内腔13の外部に露出する。内腔13の外部に露出した第2保持部26は、展開した状態となる。第2保持部26は、細径部23から外周側に向かって突出する線状の支持部26aと、支持部26aから基端側に向かって延びる複数の針状部26bとを有している。内針部20は、第2保持部26を周方向に沿って4つ有している。各第2保持部26は、周方向に90°の間隔を有して配置されている。
【0022】
図3に示すように、第2保持部26は、支持部26aの根元部に屈曲部26cを有している。屈曲部26cは、内腔13の内壁によって弾性変形し、第2保持部26が内腔13の内部に格納された状態となることができる。第2保持部26が内腔13の外部に露出すると、屈曲部26cは、内腔13の内壁による拘束がなくなり、
図3の破線で示すように屈曲が解除される。これによって、第2保持部26は、細径部23から外周側に向かって延びるように展開する。
【0023】
外筒部10と、内針部20のうち本体部22と拡径部25は、樹脂または金属で形成することができる。第1保持部15と第2保持部26は、金属の線材で形成することができる。
【0024】
第2保持部26は、他の機構により変形するようにしてもよい。
図4に示すように、変形例に係る内針部20は、支持部27aと針状部27bとを備えた第2保持部27を有している。第2保持部27は、細径部23の先端に設けられたヒンジ部27cを中心に回動可能となっている。内針部20は、細径部23と平行に延びる操作棒28を有している。操作棒28の先端には、回動中心部28aが設けられている。操作棒28と支持部27aとの間には、回動中心部28aを中心に回動可能な2つの腕部27dが設けられている。腕部27dの一端は回動中心部28aに支持され、腕部27dの他端は支持部27aに対してスライド移動可能なスライド回動部27eに支持されている。
【0025】
2つの腕部27dは、操作棒28を下方に移動させることで、互いに開くように回動しつつ、スライド回動部27eに支持される他端が支持部27aの先端側にスライド移動する。これにより、支持部27aがヒンジ部27cを中心に回動して展開することができる。
【0026】
次に、採取組織水切りデバイス1を用いて採取組織の水切りを行う方法について説明する。
図5(a)に示すように、内針部20の第2保持部26を外筒部10の内腔13内に格納した状態で、外筒部10の先端を採取組織50の表面に近接させる。これにより、外筒部10の先端部に設けられている第1保持部15の針状部15bが、採取組織50の表面に当接する。作業者は、外筒部10の持ち手部14を把持することで、水切りの作業を円滑に進めることができる。
【0027】
次に、
図5(b)に示すように、内針部20を先端側に向かって移動させる。これにより、穿刺部24が採取組織50に穿刺される。また、穿刺部24に続いて、第2保持部26も採取組織50内に進入する。作業者は、内針部20の拡径部25を把持することで、内針部20の移動や回転操作を円滑に進めることができる。
【0028】
内針部20を先端側に向かってさらに移動させると、内針部20は採取組織50を貫通する。内針部20を採取組織50に貫通させる際には、採取組織50をピンセットなどで摘まみ上げる、あるいは採取組織50を容器の角部に配置させるなどにより、採取組織50の穿刺した側と反対側を浮かせることで、穿刺部24および第2保持部26を円滑に貫通させることができる。
【0029】
図5(c)に示すように、内針部20が採取組織50を貫通したら、採取組織50より先端側に位置する第2保持部26を展開させる。第2保持部26は、
図3に示すように、外部に露出することで自己拡張し、展開される。また、第2保持部27が
図4に示す構造である場合、作業者が操作棒28を先端側に移動させることで、第2保持部26が展開される。第2保持部26が展開することにより、第2保持部26の針状部26bが基端側を向き、採取組織50の表面に当接する。これによって、採取組織50は、第1保持部15の針状部15bと第2保持部26の針状部26bによって把持された状態となる。
【0030】
採取組織50を第1保持部15と第2保持部26で把持したら、
図5(d)に示すように、内針部20を基端側に少し戻し、第2保持部26を第1保持部15側に近づける。第1保持部15と第2保持部26とが近づくことで、把持されている採取組織50は、厚み方向に圧縮される。これによって、採取組織50は、第1保持部15と第2保持部26により絞られ、内部の水分が外部に放出される。また、内針部20を外筒部10に対し周方向に回転させることもできる。第1保持部15は針状部15bによって、第2保持部26は針状部26bによって、それぞれ採取組織50を掴んだ状態となっているので、内針部20を回転させることで、採取組織50をねじることができる。これにより、採取組織50が絞られ、内部の水分が外部に放出される。これらの操作を組み合わせて、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50の水切りを行うことができる。
【0031】
採取組織50は、第1保持部15の針状部15bと第2保持部26の針状部26bで把持されているので、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50の厚み方向の圧縮やねじり操作を容易に行うことができる。このため、水切りの作業を効率的にばらつきなく行うことができる。採取組織50の水切りが確実に行われることで、シート状細胞培養物の製造に使用する筋肉重量が正確に測定でき、製造の確実性を向上させることができる。また、採取組織50が十分に水切りされることで、採取組織50中の血球成分が除去され、その後の工程において酵素反応効率が向上するために、細胞回収効率を高くすることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る(1)採取組織水切りデバイス1は、先端と基端とが開口する内腔13を有する外筒部10と、先端側に穿刺部24を有し、内腔13に挿通される内針部20と、を備え、外筒部10は、先端側に向かって延びる針状部15bを複数有する第1保持部15を備え、内針部20は、内腔13より先端側に露出して展開した状態で基端側に向かって延びる針状部26bを複数有する第2保持部26を備え、第2保持部26は、内腔13の内部に格納されるように変形可能である。このように構成した採取組織水切りデバイス1は、第1保持部15の針状部15bと第2保持部26の針状部26bとで採取組織を把持できるので、採取組織を厚み方向に圧縮する、あるいは採取組織をねじる操作を容易に行うことができる。このため、採取組織水切りデバイス1は、採取組織の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0033】
(2)上記(1)の採取組織水切りデバイス1において、第1保持部15は、外筒部10の周方向に沿って複数設けられてもよい。これにより、採取組織水切りデバイス1は、採取組織をより強固に把持することができ、確実に水切りを行うことができる。
【0034】
(3)上記(1)または(2)の採取組織水切りデバイス1において、第2保持部26は、内針部20の周方向に沿って90°ごとに4本が設けられてもよい。これにより、第2保持部26を内腔13内に格納可能としつつ、展開した状態では採取組織を強固に把持することができ、確実に水切りを行うことができる。
【0035】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの採取組織水切りデバイス1において、外筒部10は、外周側に向かって突出する持ち手部14を有してもよい。これにより、作業者は、持ち手部14を把持して作業を行うことができるので、水切り作業時の操作性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態に係る(5)採取組織50を水切りする方法は、採取組織50を水切りする方法であって、針状部15bを複数有する第1保持部15を備えた外筒部10の先端を採取組織50の表面に近接させることで、第1保持部15の針状部15bを採取組織50に表面に当接させるステップと、先端側に穿刺部24を有し外筒部10が有する内腔13の内部に格納されるように変形した第2保持部26を備えた内針部20が内腔13に挿通された状態から、穿刺部24を採取組織50に穿刺し、内針部20に採取組織50を貫通させるステップと、採取組織50より先端側に貫通した第2保持部26を展開させ、第2保持部26が有する複数の針状部26bを採取組織50の表面に当接させるステップと、第1保持部15の針状部15bと、第2保持部26の針状部26bとで、採取組織50を把持し、水切りを行うステップと、を有する。このように構成した採取組織50を水切りする方法は、第1保持部15の針状部15bと第2保持部26の針状部26bとで採取組織50を把持し、採取組織50を厚み方向に圧縮する、あるいは採取組織50をねじる操作を容易に行うことができる。このため、採取組織50を水切りする方法は、採取組織50の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0037】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。上述の実施形態において、第1保持部15と第2保持部26は、それぞれ周方向に4つ設けられているが、少なくとも3つ以上あればよい。
図6に示すように、第1保持部15は、外筒部10の周方向に多数形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 採取組織水切りデバイス
10 外筒部
12 筒状部
13 内腔
14 持ち手部
15 第1保持部
15a 支持部
15b 針状部
20 内針部
22 本体部
23 細径部
24 穿刺部
25 拡径部
26 第2保持部
26a 支持部
26b 針状部
26c 屈曲部
50 採取組織