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特開2024-85974採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法
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  • 特開-採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085974
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20240620BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240620BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/00 A
C12N5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200789
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】西岡 美玖
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA09
4B029BB11
4B029HA01
4B029HA05
4B065AA93X
4B065CA44
(57)【要約】
【課題】作業者の熟練度によらず組織から十分な水切りを行うことのできる採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法を提供する。
【解決手段】先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部10と、先端側に穿刺部23を有し、内腔13に挿通される内針部20と、を備え、外筒部10は、内腔13を有する筒状部12と、該筒状部12の先端から先端側に向かって延び、当該筒状部12の先端側に位置する採取組織50を取り囲む包囲部14を備え、包囲部14は、先端部に穿刺部23に吸着する先端部材17を有する採取組織水切りデバイス1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部と、
先端側に穿刺部を有し、前記内腔に挿通される内針部と、を備え、
前記外筒部は、前記内腔を有する筒状部と、該筒状部の先端から先端側に向かって延び、当該筒状部の先端側に位置する採取組織を取り囲む包囲部を備え、
前記包囲部は、先端部に前記穿刺部に吸着する先端部材を有する採取組織水切りデバイス。
【請求項2】
前記包囲部は、周方向に沿って複数配置される糸状部材で形成される請求項1に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項3】
前記包囲部は、周方向に沿って連続する網状部材で形成される請求項1に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項4】
前記包囲部は表面が疎水性である請求項1~3のいずれか1項に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項5】
前記包囲部は、前記筒状部に対し当該筒状部の長軸方向に沿って移動可能である請求項1~3のいずれか1項に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項6】
前記穿刺部に吸着する先端部材は、磁性体からなる請求項1~3のいずれか1項に記載の採取組織水切りデバイス。
【請求項7】
採取組織を水切りする方法であって、
先端に穿刺部を有する内針部を採取組織に穿刺して貫通させるステップと、
前記内針部を挿通させた外筒部を前記採取組織に向かって移動させ、前記外筒部の先端側に設けられる包囲部で前記採取組織を取り囲むステップと、
前記包囲部の先端部に設けられる先端部材を、前記採取組織を貫通した前記穿刺部に吸着させることで、前記包囲部で前記採取組織を覆うステップと、
前記包囲部を前記採取組織に密着させて水切りを行うステップと、
を有する採取組織を水切りする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体から採取した組織を水切りする採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、重症心不全治療の解決策として新しい再生医療の開発が進められている。その一例として、重症心筋梗塞等において組織工学を応用した温度応答性培養皿を用いて作製したシート状細胞培養物を心臓表面に適用する手法が試みられている。シート状細胞培養物を用いる手法は、大量の細胞を広範囲に安全に移植することが可能であり、例えば、心筋梗塞(心筋梗塞に伴う慢性心不全を含む)、拡張型心筋症、虚血性心筋症、収縮機能障害(例えば、左室収縮機能障害)を伴う心疾患(例えば、心不全、特に慢性心不全)などの治療に特に有用である。
【0003】
組織は、生体の所定部を切除することによって採取される。心不全治療に用いられるシート状細胞培養物を製造するための組織は、通常、大腿部の筋肉組織が用いられる。生体の一部を切除し、組織を採取するためのデバイスとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表平9-503404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シート状細胞培養物を形成するため、生体から採取された筋肉などの採取組織は、組織輸送液などの液体に浸漬した状態で、培養を行う施設に輸送される。採取組織は、液体に浸漬されているため、輸送中に水分を吸収する。培養を行う施設では、採取組織の重量に基づきシート状細胞培養物を製造するため、採取組織に含まれる水分量の大小により、製造のばらつきを生じる。また、採取組織が液体に浸漬されていることから、採取組織中には血球成分が含まれる。これによって、シート状細胞培養物を形成する際の酵素反応を阻害し、十分な細胞数を得ることができない可能性がある。
【0006】
このため、採取組織からシート状細胞培養物を製造する際には、まず、採取組織に含まれる水分量を減少させる水切りを行う必要がある。これまで、採取組織の水切りは、作業者が採取組織をピンセットなどで掴み、採取組織を絞ることで行っていた。しかし、この方法では、採取組織から十分に水分を除去できないことがあり、また、作業者の熟練度によって水分除去の程度にばらつきが生じる可能性があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、作業者の熟練度によらず採取組織から十分な水切りを行うことのできる採取組織水切りデバイスおよび採取組織を水切りする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する(1)採取組織水切りデバイスは、先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部と、先端側に穿刺部を有し、前記内腔に挿通される内針部と、を備え、前記外筒部は、前記内腔を有する筒状部と、該筒状部の先端から先端側に向かって延び、当該筒状部の先端側に位置する採取組織を取り囲む包囲部を備え、前記包囲部は、先端部に前記穿刺部に吸着する先端部材を有する。
【0009】
上記目的を達成する(7)採取組織を水切りする方法は、採取組織を水切りする方法であって、先端に穿刺部を有する内針部を採取組織に穿刺して貫通させるステップと、前記内針部を挿通させた外筒部を前記採取組織に向かって移動させ、前記外筒部の先端側に設けられる包囲部で前記採取組織を取り囲むステップと、前記包囲部の先端部に設けられる先端部材を、前記採取組織を貫通した前記穿刺部に吸着させることで、前記包囲部で前記採取組織を覆うステップと、前記包囲部を前記採取組織に密着させて水切りを行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した採取組織水切りデバイスは、包囲部で採取組織を取り囲み、先端部材が採取組織を貫通した穿刺部に吸着することで、包囲部によって採取組織の全体を覆いながら絞ることができる。このため、採取組織水切りデバイスは、採取組織の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0011】
(2)上記(1)の採取組織水切りデバイスにおいて、前記包囲部は、周方向に沿って複数配置される糸状部材で形成されてもよい。これにより、採取組織水切りデバイスは、採取組織を包囲部で確実に覆って絞ることができる。
【0012】
(3)上記(1)の採取組織水切りデバイスにおいて、前記包囲部は、周方向に沿って連続する網状部材で形成されてもよい。これにより、採取組織水切りデバイスは、包囲部が採取組織により多く接触し、効率的に採取組織を絞ることができる。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの採取組織水切りデバイスにおいて、前記包囲部は表面が疎水性であってもよい。これにより、採取組織水切りデバイスは、採取組織から絞った水分を確実に除去できる。
【0014】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの採取組織水切りデバイスにおいて、前記包囲部は、前記筒状部に対し当該筒状部の長軸方向に沿って移動可能であってもよい。これにより、採取組織水切りデバイスは、包囲部で採取組織を覆った後、包囲部を移動させることで採取組織を容易に絞ることができる。
【0015】
(6)上記(1)~(5)のいずれかの採取組織水切りデバイスにおいて、前記穿刺部に吸着する先端部材は、磁性体からなるようにしてもよい。これにより、先端部材を穿刺部に容易に吸着させることができる。
【0016】
上記のように構成した採取組織を水切りする方法は、包囲部で採取組織を取り囲み、先端部材が採取組織を貫通した穿刺部に吸着することで、包囲部によって採取組織の全体を覆いながら絞ることができる。このため、採取組織を水切りする方法は、採取組織の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態における採取組織水切りデバイスの斜視図である。
図2】内針部の斜視図である。
図3】採取組織水切りデバイスで採取組織の水切りを行う手順を表した断面図であって、(a)は内針部を採取組織に穿刺した状態を、(b)は採取組織の周囲に糸状部材を配置した状態を、(c)は糸状部材の先端部材が内針部の穿刺部に吸着した状態を、それぞれ示す図である。
図4】採取組織水切りデバイスで採取組織の水切りを行う手順を表した断面図であって、(a)は糸状部材の先端部材が内針部の穿刺部に吸着してから糸状部材を引き上げた状態を、(b)は糸状部材の先端部材が内針部の穿刺部に吸着してから内針部を引き下げた状態を、それぞれ示す図である。
図5】変形例に係る包囲部を有する採取組織水切りデバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
本実施形態の採取組織水切りデバイス1は、シート状細胞培養物を製造するため生体から採取された組織に含まれる水分量を減少させるように水切りするために用いられる。本実施形態の採取組織水切りデバイス1によって水切りされる採取組織は、骨格筋組織である。ただし、採取組織は骨格筋組織に限られず、例えば、筋組織、脂肪組織、皮膚組織、軟骨組織、腱組織、靭帯組織、間柔組織、脳組織、循環器系組織、消化器系組織、代謝系組織、リンパ系組織、骨髄組織など他の組織であってもよい。
【0020】
図1に示すように、採取組織水切りデバイス1は、筒状に形成された外筒部10と、外筒部10に挿通される内針部20とを有している。本実施形態において、内針部20を採取組織に向かって移動させる側を「先端側」、内針部20を操作する側を「基端側」と称する。外筒部10の内腔13が延びる方向を「長軸方向」とし、長軸方向を基準軸とした回転方向を「周方向」とする。また、先端(最先端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「先端部」とし、基端(最基端)から長軸方向における一定の範囲を含む部分を「基端部」とする。
【0021】
外筒部10は、先端と基端とが開口する内腔13を有する筒状部12を備えている。外筒部10は、先端から先端側に向かって延びる複数の糸状部材15で形成された包囲部14を有している。包囲部14は、外筒部10の先端側に配置された採取組織を取り囲むことができるように構成されている。それぞれの糸状部材15は、鉄、コバルト、ニッケルなどの磁性体からなる球状の先端部材17を先端に有している。糸状部材15は、ナイロンやポリエチレンなどの樹脂材料で形成することができる。また、糸状部材15の表面は、採取組織を絞るために、疎水性を有して水を弾くことができることが好ましい。
【0022】
複数の糸状部材15は、筒状部12の内部で1本の引き手部16に接続されている。引き手部16は、筒状部12の基端部から外部に引き出されている。作業者は、引き手部16を引くことにより、包囲部14を筒状部12の長軸方向に沿って移動させることができる。
【0023】
内針部20は、外筒部10の内腔13に挿通され、外筒部10の長軸方向に沿って移動することができる。図2に示すように、内針部20は、長尺な棒状の本体部22と、本体部22の先端に設けられる針状の穿刺部23と、を有している。また、内針部20は、本体部22の基端部に操作用の拡径部25を有している。穿刺部23は、磁石によって形成されており、外筒部10の先端部材17を吸着させることができる。
【0024】
外筒部10と内針部20は、樹脂または金属で形成することができる。内針部20の穿刺部23は、前述のように磁石で形成される。
【0025】
次に、採取組織水切りデバイス1を用いて採取組織の水切りを行う方法について説明する。図3(a)に示すように、作業者は、外筒部10を基端側に移動させた状態で、内針部20を採取組織50に穿刺して貫通させる。これにより、穿刺部23は、採取組織50の外部に露出する。内針部20を穿刺する際、作業者は、内針部20の拡径部25を把持することで、穿刺の作業を円滑に進めることができる。なお、内針部20を採取組織50に貫通させる際には、採取組織50をピンセットなどで摘まみ上げる、あるいは採取組織50を容器の角部に配置させるなどにより、採取組織50の穿刺した側と反対側を浮かせることで、穿刺部23を円滑に貫通させることができる。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、作業者は、外筒部10を採取組織50に向かって移動させることで、外筒部10の先端側に設けられる包囲部14で採取組織50を取り囲む。包囲部14は、周方向に沿って複数配置される糸状部材15によって形成されているので、糸状部材15が採取組織50の周囲に配置された状態となる。糸状部材15の先端に設けられた先端部材17は、採取組織50より先端側に垂れ下がった状態となる。
【0027】
次に、図3(c)に示すように、作業者は、包囲部14の先端部に設けられる先端部材17を、採取組織50を貫通した穿刺部23に吸着させる。採取組織50より先端側に垂れ下がった先端部材17は、採取組織水切りデバイス1を左右に振る、あるいは、採取組織50を容器の底面に押し付けるなどすることで、穿刺部23の近傍に移動させることができる。穿刺部23の近傍に移動した先端部材17は、磁力により穿刺部23に吸着する。先端部材17が穿刺部23に吸着することで、包囲部14は採取組織50を覆うことができる。
【0028】
次に、包囲部14を採取組織50に密着させて水切りを行う。図4(a)に示すように、作業者が引き手部16を引いて包囲部14を基端側に移動させることにより、包囲部14を形成する糸状部材15は、採取組織50に密着し、密着した採取組織50を基端側に引っ張り上げる。この動作により、包囲部14は、採取組織50を絞って、内部の水分を外部に放出させることができる。このとき、作業者は、内針部20を回転させて糸状部材15をねじることもできる。これによって、採取組織50は、密着した糸状部材15によってねじられ、より効率的に内部の水分を外部に放出させることができる。
【0029】
また、図4(b)に示すように、作業者が内針部20を先端側に移動させることにより、穿刺部23に吸着した先端部材17が先端側に移動する。これにより、包囲部14を形成する糸状部材15は、採取組織50に密着し、密着した採取組織50を側方から挟むことができる。この動作により、包囲部14は、採取組織50を絞って、内部の水分を外部に放出させることができる。このとき、作業者は、内針部20を回転させて糸状部材15をねじることもできる。これによって、採取組織50は、密着した糸状部材15によってねじられ、より効率的に内部の水分を外部に放出させることができる。
【0030】
このように、包囲部14を基端側に移動させる、内針部20を先端側に移動させる、および内針部20を回転させる操作を組み合わせて、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50の水切りを行うことができる。
【0031】
採取組織50は、包囲部14によって全体が絞られ、あるいはねじられるので、水切りの作業を効率的にばらつきなく行うことができる。採取組織50の水切りが確実に行われることで、シート状細胞培養物の製造に使用する筋肉重量が正確に測定でき、製造の確実性を向上させることができる。また、採取組織50が十分に水切りされることで、採取組織50中の血球成分が除去され、その後の工程において酵素反応効率が向上するために、細胞回収効率を高くすることができる。
【0032】
包囲部14の変形例について説明する。図5に示すように、包囲部14は、周方向に沿って連続する網状部材18で形成されていてもよい。網状部材18は、筒状部12の先端から先端部材17が設けられる先端部までを全周に渡って覆っている。包囲部14は、網状部材18で形成されることで、採取組織50に対してより多く接触するので、より効率的に採取組織50から水分を除去することができる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係る(1)採取組織水切りデバイス1は、先端と基端とが開口する内腔を有する外筒部10と、先端側に穿刺部23を有し、内腔13に挿通される内針部20と、を備え、外筒部10は、内腔13を有する筒状部12と、該筒状部12の先端から先端側に向かって延び、当該筒状部12の先端側に位置する採取組織50を取り囲む包囲部14を備え、包囲部14は、先端部に穿刺部23に吸着する先端部材17を有する。このように構成した採取組織水切りデバイス1は、包囲部14で採取組織50を取り囲み、先端部材17が採取組織50を貫通した穿刺部23に吸着することで、包囲部14によって採取組織50の全体を覆いながら絞ることができる。このため、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0034】
(2)上記(1)の採取組織水切りデバイス1において、包囲部14は、周方向に沿って複数配置される糸状部材15で形成されてもよい。これにより、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50を包囲部14で確実に覆って絞ることができる。
【0035】
(3)上記(1)または(2)の採取組織水切りデバイス1において、包囲部14は、周方向に沿って連続する網状部材18で形成されてもよい。これにより、採取組織水切りデバイス1は、包囲部14が採取組織50により多く接触し、効率的に採取組織50を絞ることができる。
【0036】
(4)上記(1)~(3)のいずれかの採取組織水切りデバイス1において、包囲部14は表面が疎水性であってもよい。これにより、採取組織水切りデバイス1は、採取組織50から絞った水分を確実に除去できる。
【0037】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの採取組織水切りデバイス1において、包囲部14は、筒状部12に対し当該筒状部12の長軸方向に沿って移動可能であってもよい。これにより、採取組織水切りデバイス1は、包囲部14で採取組織50を覆った後、包囲部14を移動させることで採取組織50を容易に絞ることができる。
【0038】
(6)上記(1)~(5)のいずれかの採取組織水切りデバイス1において、穿刺部23に吸着する先端部材17は、磁性体からなるようにしてもよい。これにより、先端部材17を穿刺部23に容易に吸着させることができる。
【0039】
本実施形態に係る(7)採取組織50を水切りする方法は、採取組織50を水切りする方法であって、先端に穿刺部23を有する内針部20を採取組織50に穿刺して貫通させるステップと、内針部20を挿通させた外筒部10を採取組織50に向かって移動させ、外筒部10の先端側に設けられる包囲部14で採取組織50を取り囲むステップと、包囲部14の先端部に設けられる先端部材17を、採取組織50を貫通した穿刺部23に吸着させることで、包囲部14で採取組織50を覆うステップと、包囲部14を採取組織50に密着させて水切りを行うステップと、を有する。このように構成した採取組織50を水切りする方法は、包囲部14で採取組織50を取り囲み、先端部材17が採取組織50を貫通した穿刺部23に吸着することで、包囲部14によって採取組織50の全体を覆いながら絞ることができる。このため、採取組織50を水切りする方法は、採取組織50の水切りを効率よくばらつきなく行うことができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。上述の実施形態では、穿刺部23が磁石で先端部材17が磁性体であるが、先端部材17のうち少なくとも1つが磁石で、穿刺部23が磁性体であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 採取組織水切りデバイス
10 外筒部
12 筒状部
13 内腔
14 包囲部
15 糸状部材
16 引き手部
17 先端部材
18 網状部材
20 内針部
22 本体部
23 穿刺部
25 拡径部
50 採取組織

図1
図2
図3
図4
図5