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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085977
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】運転支援装置、及び運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240620BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240620BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/005
G08G1/0968
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200812
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】重田 朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 侑太
(72)【発明者】
【氏名】長橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】冨田 崇文
(72)【発明者】
【氏名】早見 直樹
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129AA03
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129EE27
2F129EE35
2F129EE50
2F129EE78
2F129HH18
2F129HH20
5H181AA21
5H181BB13
5H181FF35
(57)【要約】
【課題】より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる運転支援装置、及び運転支援方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る運転支援装置10は、設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する運転支援装置である。運転支援装置10は、生体情報取得部11と心理状態判定部12と制御部13とを備える。生体情報取得部11は、運転者の生体情報を取得する。心理状態判定部12は、運転者の生体情報から運転者の心理状態を判定する。制御部13は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態判定部12が、運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定した場合、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する運転支援装置であって、
前記運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記運転者の生体情報から前記運転者の心理状態を判定する心理状態判定部と、
前記マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、前記心理状態判定部が、運転者が前記マイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定した場合、前記振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する制御部と、を備えた
運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、視線感知部及びスイッチセンサの少なくともいずれかを備えており、前記振動又は光の点滅による報知を運転者が確認していないことを制御部が判定した場合、前記報知を強調するように制御する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記マイクロモビリティの走行状態を検出する走行情報検出部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記走行状態が適切でないと判定した場合、前記振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する、
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記経路を含む情報から前記マイクロモビリティの走行に適した道路か否かを判定する道路環境判定部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、前記経路がマイクロモビリティの走行に適していない道路である場合、前記振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する、
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する運転支援方法であって、
前記運転者の生体情報を取得するステップと、
前記運転者の生体情報から前記運転者の心理状態を判定するステップと、
前記マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、前記運転者の心理状態が、前記マイクロモビリティの運転に集中できていない状態であると判定した場合、前記振動又は光の点滅を強調するように制御して報知するステップと、を備えた
運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、及び運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脱炭素社会の実現に向けて、電動駆動するマイクロモビリティが注目されている。マイクロモビリティの運転者は、自身の保有する携帯端末に表示される経路を確認しながら運転する。
【0003】
特許文献1には、ユーザの生体情報が所定条件を満たす場合、車両進行方向を示す画像を強調表示している。特許文献1に開示された情報処理装置では、画像レイヤの表示を前後させることにより、タイミングに応じて、運転者に必要な情報を強調表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-042236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、マイクロモビリティの運転者は、車道の側方を走行することが多く、周囲を走行する自動車との接近や路面状況などの周囲環境に注意しながら緊張、不安、怯えなどの状態のまま運転する場合がある。そのため、マイクロモビリティの運転者は、進行方向が表示された画面を凝視することが困難であるため、特許文献1に開示された情報処理装置では、効果的に進行方向を伝えることができない。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みなされたものであって、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる運転支援装置、及び運転支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る運転支援装置は、
設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する運転支援装置であって、
前記運転者の生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記運転者の生体情報から前記運転者の心理状態を判定する心理状態判定部と、
前記マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、前記心理状態判定部が、運転者が前記マイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定した場合、前記振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する制御部と、を備えたものである。
【0008】
本開示に係る運転支援装置は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御する。そのため、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる。
【0009】
本開示に係る運転支援方法は、
設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する運転支援方法であって、
前記運転者の生体情報を取得するステップと、
前記運転者の生体情報から前記運転者の心理状態を判定するステップと、
前記マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、前記運転者の心理状態が、前記マイクロモビリティの運転に集中できていない状態であると判定した場合、前記振動又は光の点滅を強調するように制御して報知するステップと、を備えたものである。
【0010】
本開示に係る運転支援方法は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御する。そのため、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる運転支援装置、及び運転支援方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る運転支援装置を例示したブロック図である。
図2】マイクロモビリティが左折する場合を示した模式図である。
図3】実施形態1に係る運転支援装置を搭載したマイクロモビリティのハンドル部の拡大図である。
図4】実施形態1に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
図5】マイクロモビリティが左折する場合の模式図を示した図である。
図6】実施形態1に係る運転支援装置を搭載したマイクロモビリティのハンドル部の拡大図である。
図7】実施形態2に係る運転支援装置を例示したブロック図である。
図8】実施形態2に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
図9】実施形態3に係る運転支援装置を例示したブロック図である。
図10】実施形態3に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、図面が煩雑にならないように、いくつかの符号は省略されている。
【0014】
(実施形態1)
<運転支援装置>
まず、実施形態1に係る運転支援装置10を説明する。図1は、実施形態1に係る運転支援装置を例示したブロック図である。運転支援装置10は、生体情報取得部11、心理状態判定部12、制御部13、報知部14を備えている。
【0015】
運転支援装置10は、設定された目的地までの経路に基づいて、マイクロモビリティを用いて移動中の運転者に対して進行方向を振動又は光の点滅により報知する。以下の説明では、運転者はマイクロモビリティの運転者を示す。
【0016】
マイクロモビリティとは、自動車よりコンパクトで機動性が高く、屋内外における短距離を移動するのに適した車両である。マイクロモビリティは、運転者が立った状態で運転する車両、例えば、電動キックボードである。また、マイクロモビリティは、運転者が座った状態で運転する車両、例えば、車いすを含む。また、マイクロモビリティは、運転者が立った状態と座った状態を選択して運転する車両、例えば、自転車を含む。
【0017】
生体情報取得部11は、マイクロモビリティの運転者の生体情報を取得する。生体情報とは、体温、脈拍、血圧、心拍、脳波の少なくとも1種類以上を含む情報である。
【0018】
生体情報取得部11は、例えば、体温計、脈拍センサ、血圧センサ、脳波センサであり、体温、脈拍や心拍、血圧、脳波を測定する。また、生体情報取得部11は、カメラやマイクであり、運転者の画像や音声を取得する。取得した運転者の画像から、体温を測定してもよい。その他の例として、生体情報取得部11は、生体情報取得部11は、運転者の腕に装着されたスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスによって体温、脈拍や心拍、血圧、脳波を測定し、その情報を取得してもよい。
【0019】
心理状態判定部12は、生体情報取得部11によって取得した運転者の生体情報から運転者の心理状態を判定する。心理状態とは、自律神経又は覚醒度を示す感情や、緊張、不安、怯え、怒り、リラックス、疲労度、眠気などの、運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない状態である。マイクロモビリティの運転者は、例えば、比較的に狭い道路において自動車がマイクロモビリティを追い越す場合に怯えを感じたり、自動車が後方に接近して走行している場合に緊張や不安を感じたりして、運転に集中することができないことがある。心理状態判定部12は、そのような運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない心理状態を判定する。
【0020】
例えば、生体情報取得部11によって取得された運転者の脈拍間隔が短い場合、心理状態判定部12は、緊張、不安、怯え、怒りなどの、運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない心理状態であると判定する。その他の例として、生体情報取得部11によって測定した脈拍が通常通りである場合、心理状態判定部12は運転者がリラックス状態であると判定する。
また、生体情報取得部11によって測定された運転者の顔画像から体温を用いて、心理状態判定部12は運転者の眠気や疲労度を判定してもよい。このほか、体温、血圧、脳波などの生体情報をひとつまたは組み合わせて用いることにより、運転者の心理状態を判定する公知の手段が用いられてよい。
また、心理状態判定部12は、運転者の顔画像や発した音声から、運転者の感情を判定する公知の技術を用いて、緊張、不安、怯え、怒りなどの、運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない心理状態の判定を行ってもよい。
【0021】
報知部14は、マイクロモビリティが右左折をおこなう場合、運転者に対して進行方向を報知する。報知部14は、例えば、マイクロモビリティに取り付け可能または運転者に装着可能な振動装置である。振動装置は、例えば、バイブレータである。バイブレータは、ハンドルに内蔵または装着され、運転者が把持する左右のハンドル部にそれぞれ装着されることが好ましい。マイクロモビリティが右折する場合、右側のハンドルに取り付けられたバイブレータが振動する。また、マイクロモビリティが左折する場合、左側のハンドルに取り付けられたバイブレータが振動する。
【0022】
その他の例として、報知部14は、マイクロモビリティに取り付け可能または運転者に装着可能な点滅装置である。点滅装置は、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明である。LED照明は、運転者が把持する左右のハンドル部にそれぞれ装着されることが好ましい。マイクロモビリティが右折する場合、右側のハンドルに取り付けられたLED照明が点滅する。また、マイクロモビリティが左折する場合、左側のハンドルに取り付けられたLED照明が点滅する。
また、LED照明の形状は、運転者が点滅に気づきやすい形状が好ましく、例えば、左右いずれかを示す矢印の形状である。
【0023】
なお、当然のことながら、報知部14は、振動装置と発光装置とのどちらか一方に限定されることはなく、振動装置と点滅装置との両方であってもよい。
【0024】
報知部14が振動装置又は発光装置であるため、運転者はハンドルから手を放さずに、安全に方向指示を確認することができる。また、騒音環境下でも運転者は方向指示を確認することができる。
【0025】
制御部13は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅による報知の強弱又は周期を制御する。より具体的には、制御部13は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、例えばマイクロモビリティが右左折を行う交差点の30m手前や50m手前の地点を通過した際に、心理状態判定部12が判定した心理状態に基づいて、報知部14による報知の強弱又は周期を制御する制御信号を生成する。制御部13は、生成した制御信号を報知部14に送信する。報知部14は、受信した当該制御信号に基づいて、報知の強弱又は周期を変化させる。報知部14の周期は、生体情報取得部11により測定した脈拍または心拍に対応させた周期としてもよい。
【0026】
報知部14がバイブレータである場合の制御例について説明する。心理状態判定部12によって緊張、不安、怯え、怒りなどの運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない心理状態にあると判定した場合、報知部14による進行方向の報知に、運転者が気が付かない可能性があるため、制御部は、バイブレータを強い振動とする。このとき、制御部13は、バイブレータの振動周期を早くしてもよい。これにより、報知部14は、強調した態様によって進行方向の報知を行うことができ、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、効果的に運転者に対して進行方向を報知できる。
【0027】
また、報知部14がLED照明である場合の制御例について説明する。心理状態判定部によって運転者が緊張、不安、怯え、怒りなどの運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない心理状態にあると判定した場合、制御部は、LED照明の明るさを明るくする。このとき、制御部は、LED照明の点滅間隔を早くしてもよい。これにより、報知部14は、強調した態様によって進行方向の報知を行うことができ、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、効果的に運転者に対して進行方向を報知できる。
【0028】
ここで、生体情報取得部11により測定した脈拍が通常通りであり、心理状態判定部12によって運転者がリラックス状態であると判定した場合、制御部13は報知部14による報知の強弱又は周期を変化させなくてもよい。この場合、報知部14は、報知部の基準(デフォルト)設定に基づいて、運転者に対して進行方向を報知する。これにより、報知部14は、運転者が運転に集中している状態を妨げずに、運転者に対して進行方向を報知できる。
【0029】
図2及び図3を参照しながら、実施形態1に係る運転支援装置を用いて、運転者に対して進行方向を報知する例について説明する。図2は、マイクロモビリティが左折する場合を示した模式図である。また、図3は、実施形態1に係る運転支援装置を搭載したマイクロモビリティのハンドル部の拡大図である。
【0030】
図2に示すように、運転者U1は、スマートウォッチS1を身に着けている。スマートウォッチS1は、運転者U1の脈拍を測定している。また、図2では、車道201は、車両50の交通量が多い道路である。
【0031】
図2に示すように、マイクロモビリティM1のハンドル部は、運転支援装置10を備えている。図3に示すように、運転支援装置10は、筐体部101と報知部14とを備えている。筐体部101は、生体情報取得部11、心理状態判定部12、及び制御部13を備えている。図3では、筐体部101における生体情報取得部11、心理状態判定部12、及び制御部13は省略されている。報知部14は、矢印形状を有するLED照明141、142を備えている。
【0032】
LED照明141は、マイクロモビリティが右折する場合、図3の左方向から右方向に流れるように複数回点滅することによって、運転者U1に対して方向指示を報知する。より具体的には、LED照明141は、LED照明1413、1412、1411の順に複数回点滅することによって、運転者U1に対して方向指示を報知する。
【0033】
一方で、LED照明142は、マイクロモビリティが右折する場合、図3の右方向から左方向に流れるように複数回点滅することによって、運転者U1に対して方向指示を報知する。より具体的には、LED照明142は、LED照明1423、1422、1421の順に複数回点滅することによって、運転者U1に対して方向指示を報知する。また、LED照明141、142の点滅は、運転者U1が右左折を完了するまでおこなわれる。
【0034】
図2に示すように、マイクロモビリティM1の運転者U1は、車道201の側道202を走行している。側道202は、車両50の交通量が多い車道201の側方である。運転者U1は、車両50の追い越しや接近に気を付けながら運転しているため、緊張、不安、怯えを感じ、スマートウォッチS1により測定される運転者U1の脈拍は早くなる。生体情報取得部11は、スマートウォッチS1により測定された脈拍情報を取得する。ここでは、心理状態判定部12は、生体情報取得部11が取得した脈拍情報に基づいて、運転者U1が緊張、不安、怯えなどの状態であると判定する。
【0035】
制御部13は、図3に示したLED照明141、142の強弱又は周期を制御する。図2に示した例では、運転者U1が左折する場合であるため、図3に示したLED照明142の強弱又は周期を制御する。
【0036】
制御部13は、運転者U1が緊張、不安、怯えなどの状態であるため、LED照明142の明るさを大きくする。このとき、制御部13は、時間帯によってLED照明142の明るさや色を制御してもよい。例えば、時間帯が夜間である場合、制御部13は、LED照明142の明るさを大きくする。また、制御部13は、時間帯が昼間である場合、LED照明142の色を赤色系統に変化させてもよい。これにより、報知部14は、効果的に運転者U1に対して進行方向を報知できる。
【0037】
さらに、制御部13は、運転者U1が緊張、不安、怯えなどの状態であるため、LED照明142の点滅周期を早くしてもよい。すなわち、制御部13は、図3に示したLED照明1423、1422、1421の点滅間隔を早くしてもよい。これにより、報知部14は、効果的に運転者U1に対して進行方向を報知できる。
【0038】
図2では、車両50の交通量が多い道路の場合の報知部の制御例について説明した。ここでは、車両50の交通量が少ない道路の場合の報知部の制御例について説明する。車道201を車両が走行しておらず、車両の追い越しや接近に気を付ける必要性が低い場合、スマートウォッチS1により測定される運転者U1の脈拍は、通常通りである。生体情報取得部11は、スマートウォッチS1により測定された脈拍情報を取得する。心理状態判定部12は、生体情報取得部11が取得した脈拍情報に基づいて、運転者U1がリラックス状態であると判定する。
【0039】
このとき、制御部13は、図3に示したLED照明142の報知を基準(デフォルト)設定とするように制御する。これにより、報知部14は、運転者U1が運転に集中している状態を妨げずに、運転者U1に対して進行方向を報知できる。
【0040】
<運転支援方法>
続いて、実施形態1に係る運転支援方法を説明する。図4は、実施形態1に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
【0041】
まず、運転者の生体情報を取得する(ステップST1)。次に、運転者の生体情報から運転者の心理状態を判定する(ステップST2)。次に、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御して報知する(ステップST3)。より具体的には、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、運転者の心理状態が、マイクロモビリティの運転に集中できていない状態であると判定した場合、振動又は光の点滅を強調するように制御して報知する。
【0042】
<変形例>
ここで、心理状態判定部12は、運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない状態として、例えば、運転者が眠気や疲労を感じている状態である場合、マイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定してもよい。
【0043】
図5及び図6を参照しながら、心理状態判定部12が運転者がマイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定した場合、制御部が報知を強調するように制御する例について説明する。図5は、マイクロモビリティが左折する場合の模式図を示した図である。図5では、マイクロモビリティM1の運転者U2は、車道301の側道302を走行している。側道302は、車両の交通量が少ない車道301の側方である。
【0044】
図6は、実施形態1に係る運転支援装置を搭載したマイクロモビリティのハンドル部の拡大図である。図6(a)は、制御部により報知部の報知を基準(デフォルト)設定とするように制御する例を示した図である。図6(b)は、制御部により報知部の報知を強調するように制御する例を示した図である。
【0045】
図5に示すように、マイクロモビリティM1のハンドル部は、運転支援装置10を備えている。図6に示すように、運転支援装置10は、筐体部101と報知部14とを備えている。筐体部101は、生体情報取得部11、心理状態判定部12、及び制御部13を備えている。図6では、筐体部101における生体情報取得部11、心理状態判定部12、及び制御部13は省略されている。報知部14は、バイブレータ143、144を備えている。
【0046】
バイブレータ143は、マイクロモビリティが右折する場合、図6の左方向から右方向に流れるように振動することによって、運転者に対して進行方向を報知する。一方で、バイブレータ144は、マイクロモビリティが左折する場合、図6の右方向から左方向に流れるように振動することによって、運転者に対して進行方向を報知する。
【0047】
図5に示すように、運転者U2は、スマートウォッチS1を身に着けている。スマートウォッチS1は、運転者U2の脈拍を測定している。生体情報取得部11は、スマートウォッチS1により測定された脈拍情報を取得する。ここでは、心理状態判定部12は、運転者U2が眠気を感じている状態であると判定したとする。
【0048】
制御部13は、運転者U2が眠気を感じている状態であるため、運転者U2がマイクロモビリティの運転に集中できていない状態と判定する。この場合、制御部13は、図6に示すバイブレータ144による報知を強調するように制御する。
【0049】
より具体的には、制御部13は、報知部の報知を図6(a)に示した基準(デフォルト)設定から図6(b)に示すようにバイブレータ144の振動を大きくする。また、制御部13は、バイブレータ144の振動周期を早めてもよい。これにより、報知部14は、効果的に運転者U2に対して進行方向を報知できる。
【0050】
ここでは、運転者U2が眠気を感じている状態の場合を例にして説明した。例えば、運転者が不安状態である場合、制御部13は、バイブレータ144の振動を大きく、周期を遅くして、気付きを促すけれども不安をさらに高めることがないように制御してもよい。例えば、制御部13は、運転者U1の生体リズムに応じて、バイブレータ144の振動を制御しても良い。生体リズムとは、例えば、一般的に夜になると体温や血圧、脈拍などが低くなり、朝から昼にかけて高くなる現象である。制御部13は、体温や血圧、脈拍などの検出や時間帯に基づいて運転者U1の生体リズムを推定し、バイブレータ144の振動の強さ及び周期を制御しても良い。また、制御部13は、バイブレータ144の振動の強さ及び周期を、1/fゆらぎになるよう制御してもよい。
【0051】
また、制御部13は、報知部14による報知を運転者U1が確認していない場合、報知を強調するように制御してもよい。図3及び図6を参照しながら、より詳細に説明する。
【0052】
図3に示すように、報知部14がLED照明141、142である場合、制御部13は視線感知部あるいはスイッチセンサを備える。また、図6に示すように、報知部14がバイブレータ143、144である場合、制御部13はスイッチセンサを備える。
【0053】
まず、報知部14がLED照明141、142であり、かつ制御部13が視線感知部を備える場合について説明する。視線感知部は、運転者が報知部14のLED照明141、142の点滅を確認しているか否かを、感知した運転者の視線方向が報知部14のLED照明141、142の位置と一致しているか否かに基づいて判定する。視線感知部によって運転者が報知部14のLED照明の点滅を確認していることを判定した場合、制御部13は、報知部14のLED照明の点滅を強調しない。一方で、視線感知部によって運転者が報知部14のLED照明の点滅を確認していないことを判定した場合、制御部13は、報知部14のLED照明の点滅を強調する。制御部13によるLED照明の強調方法は、図3に示した例と同じであるため、説明を省略する。
【0054】
次に、報知部14がバイブレータ143、144であり、かつ制御部13がスイッチセンサを備える場合について説明する。運転者がバイブレータ143、144による振動を確認した場合、運転者がスイッチセンサを押下する。制御部13は、運転者がスイッチセンサを押下したか否かに基づいて、報知を強調するように制御する。運転者がスイッチセンサを押下したか否かを制御部13が判定するタイミングは、右左折をおこなう地点よりも所定の距離手前であることが好ましい。
【0055】
運転者がスイッチセンサを押下したと判定した場合、制御部13は、バイブレータ143、144を強調しない。一方で、運転者がスイッチセンサを押下しないと判定した場合、制御部13は、バイブレータ143、144による報知を強調する。制御部13によるバイブレータの強調方法は、図6に示した例と同じであるため、説明を省略する。
【0056】
このように、実施形態1に係る運転支援装置は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御する。そのため、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる。
【0057】
(実施形態2)
<運転支援装置>
続いて、実施形態2に係る運転支援装置20を説明する。図7は、実施形態2に係る運転支援装置を例示したブロック図である。運転支援装置20は、生体情報取得部21、心理状態判定部22、制御部23、報知部24、走行情報検出部25を備えている。
生体情報取得部21、心理状態判定部22、報知部24は、実施形態1に係る運転支援装置10と同様であるため、説明を省略する。ここでは、制御部23及び走行情報検出部25について説明する。
【0058】
走行情報検出部25は、マイクロモビリティの走行状態を検出する。マイクロモビリティの走行状態とは、例えば、マイクロモビリティの揺れや運転速度などの運転安定度を示す状態である。走行情報検出部25は、例えば、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサである。
【0059】
制御部23は、運転者の心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御し、さらに、走行情報検出部25によって取得した走行状態が適切でないと判定した場合、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。マイクロモビリティの車輪は自動車の車輪に比べて、小さいため、道路の影響を受けやすい。例えば、道路が平坦ではない場合、走行情報検出部25はマイクロモビリティの揺れを検出する。制御部23は、運転者が揺れによる緊張、不安、怯えを感じている可能性が高い状態と判定し、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。
【0060】
その他の例として、道路が坂道である場合、走行情報検出部25はマイクロモビリティの速度を検出する。制御部23は、運転者が走行速度を操作することが困難であり、緊張、不安、怯えを感じている可能性が高い状態と判定した場合、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。
制御部23による報知の強調方法は、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
【0061】
<運転支援方法>
続いて、実施形態2に係る運転支援方法を説明する。図8は、実施形態2に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
【0062】
まず、運転者の生体情報を取得する(ステップST01)。次に、運転者の生体情報から運転者の心理状態を判定する(ステップST02)。マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御する(ステップST03)。ステップST01~ステップST03は、実施形態1に係るステップST1~ステップST3と同等である。
次に、マイクロモビリティの走行状態を検出する(ステップST04)。次に、検出した走行状態が適切か否かを判定する。(ステップST05)マイクロモビリティの走行状態が適切である場合(ステップST05YES)、心理状態に基づいた、振動又は光の点滅を報知する(ステップST06)。また、マイクロモビリティの走行状態が適切でない場合(ステップST05NO)、にも、運転者が緊張、不安、怯えを感じている可能性が高い状態と判断して、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御して報知する(ステップST07)。
【0063】
このように、実施形態2に係る運転支援装置は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、マイクロモビリティの走行状態が適切でない場合、運転者が緊張、不安、怯えを感じている可能性が高い状態と判断して、振動又は光の点滅を強調するように制御する。そのため、マイクロモビリティの走行状態が適切でない場合に、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる。
【0064】
(実施形態3)
<運転支援装置>
続いて、実施形態3に係る運転支援装置を説明する。図9は、実施形態3に係る運転支援装置を例示したブロック図である。運転支援装置30は、生体情報取得部31、心理状態判定部32、制御部33、報知部34、道路環境判定部35を備えている。
生体情報取得部31、心理状態判定部32、報知部34は、実施形態1に係る運転支援装置10と同様であるため、説明を省略する。ここでは、制御部33及び道路環境判定部35について説明する。
【0065】
道路環境判定部35は、経路を含む情報からマイクロモビリティの走行に適した道路か否かを判定する。経路を含む情報とは、例えば、目的地までの経路、車両の交通量、走行幅、自転車走行路が設けられた道路であるかなどの情報を含む。道路環境判定部35は、運転者が保有する携帯端末から取得した経路を含む情報に基づいて、マイクロモビリティの走行に適した道路か否かを判定してもよい。
【0066】
道路環境判定部35は、経路を含む情報から、例えば、車両の交通量や、走行幅、自転車走行路がある道路であるかなどの情報を取得して、マイクロモビリティの走行に適した道路か否かを判定する。例えば、車両の交通量が、予め定めた閾値よりも少ない場合や、走行幅が予め定めた閾値よりも広く、自転車走行路がある道路の場合、道路環境判定部35はマイクロモビリティの運転に適していると判定する。一方で、車両の交通量が予め定めた閾値よりも多い場合や、走行幅が予め定めた閾値よりも狭く、自転車走行路がない道路の場合、道路環境判定部35はマイクロモビリティの運転に適していないと判定する。車両の交通量とは、リアルタイムに検出された値であってもよく、曜日や時間帯ごとの予測値、または過去に実測された値の平均値などであってもよい。また予め定めた閾値とは、それぞれの道路によって個別に定められてよい。
【0067】
制御部33は、運転者の心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御し、さらに、道路環境判定部35によって経路がマイクロモビリティの走行に適していない道路であると判定された場合、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。例えば、走行幅が狭く、自転車走行路がない道路である場合、道路環境判定部35はマイクロモビリティの運転に適していないと判定する。このとき、制御部33は、運転者が緊張、不安、怯えを感じる可能性が高いと判断して、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御する。
制御部33による報知の強調方法は、実施形態1と同じであるため、説明を省略する。
<運転支援方法>
続いて、実施形態3に係る運転支援方法を説明する。図10は、実施形態3に係る運転支援方法を例示したフローチャートである。
【0068】
まず、運転者の生体情報を取得する(ステップST001)。次に、運転者の生体情報から運転者の心理状態を判定する(ステップST002)。マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、心理状態に基づいて、振動又は光の点滅を制御する(ステップST003)。ステップST001~ステップST003は、実施形態1に係るステップST1~ステップST3と同等である。
次に、経路を含む情報からマイクロモビリティの走行に適した道路か否かを判定する(ステップST004)。マイクロモビリティの走行に適している道路である場合(ステップST004YES)、心理状態に基づいた、振動又は光の点滅を報知する(ステップST005)。また、マイクロモビリティの走行に適していない道路である場合(ステップST004NO)にも、運転者が緊張、不安、怯えを感じる可能性が高いと判断して、振動又は光の点滅による報知を強調するように制御して報知する(ステップST006)。
【0069】
このように、実施形態3に係る運転支援装置は、マイクロモビリティが右左折をおこなう地点に近づくときに、マイクロモビリティの走行に適していない道路である場合、運転者が緊張、不安、怯えを感じている可能性が高い状態と判断して、振動又は光の点滅を強調するように制御する。そのため、マイクロモビリティの走行に適していない道路を走行する場合に、より効果的にマイクロモビリティの運転者に対して進行方向を報知できる。
【0070】
実施の形態1~3に係る運転支援装置は、物理的に単一な装置に限られるものではない。すなわち、運転支援装置は、複数の装置に分散して配置されていてもよい。例えば、生体情報取得部11、心理状態判定部12、制御部13が物理的に単一のパーソナルコンピュータで構成され、報知部14が別装置で構成されていてもよい。
【0071】
また、上述した運転支援装置10、20、30における処理の一部又は全部は、コンピュータプログラムとして実現可能である。このようなプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0072】
以上、本開示を上記実施の形態に即して説明したが、本開示は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
10、20、30 運転支援装置
11、21、31 生体情報取得部
12、22、32 心理状態判定部
13、23、33 制御部
14、24、34 報知部
25 走行情報検出部
35 道路環境判定部
50 車両
101 筐体部
141、1411、1412、1413 LED照明
142、1421、1422、1423 LED照明
143、144 バイブレータ
201、301 車道
202、302 側道
M1 マイクロモビリティ
S1 スマートウォッチ
U1、U2 運転者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10