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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086000
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】感知器ベース
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240620BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G08B17/00 G
H05K5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200837
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【テーマコード(参考)】
4E360
5G405
【Fターム(参考)】
4E360AA03
4E360AB12
4E360AB17
4E360EB03
4E360EC05
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED17
4E360GA52
4E360GB99
5G405AA01
5G405CA57
5G405FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通線孔の廃止によりベース本体を薄型化すると共に機種の相違に対し共通した構造で対応可能とする感知器ベースを提供する。
【解決手段】感知器ベース10において、ベース本体14の一面側(表面側)に火災感知器が電気的、且つ、機械的に着脱自在に接続される一対の嵌合金具16が配置され、ベース本体14の他面側(裏面側)に開口して形成された回路収納部24に嵌合金具16のリード端子16aが接続されたプリント基板20が配置され、回路収納部24には端子穴26aがベース本体14の一面外側(裏面外側)に位置するように2組のケーブル端子26が配置され、配線ケーブル34が接続される。ベース本体14は、アクリル樹脂などの導光材質であり、プリント基板20に接続されたLED32によりベース本体14の周壁を光らせる発報表示構造を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器を取り付ける感知器ベースであって、
一面と他面を有するベース本体と、
前記ベース本体の一面側に配置され、前記火災感知器が電気的且つ機械的に着脱自在に接続される一対の嵌合金具と、
前記ベース本体の他面側に形成された回路収納部と、
前記回路収納部に組み込まれ、前記嵌合金具が接続された回路基板と、
端子穴が前記ベース本体の他面外側に露出して位置するように前記回路収納部に配置され、配線ケーブルが接続されるケーブル端子と、
を備えたことを特徴とする感知器ベース。
【請求項2】
請求項1記載の感知器ベースに於いて、
前記ベース本体を導光構造又は導光材質とし、前記回路基板に接続された発光素子の光により前記ベース本体の周壁の全部又は一部を光らせる発報表示構造が設けられたことを特徴とする感知器ベース。
【請求項3】
請求項1記載の感知器ベースに於いて、
前記回路基板及び前記ケーブル端子が配置された前記回路収納部の他面外側を覆う屋根構造が設けられたことを特徴とする感知器ベース。
【請求項4】
請求項1記載の感知器ベースに於いて、前記ベース本体の一面側に配置された前記嵌合金具の近傍の空スペースに、レーザー光の照射によりマーキングされた端子ラベルが配置されたことを特徴とする感知器ベース。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の感知器ベースに於いて、
前記ベース本体は、一面側に火災感知器の一部を収納する所定深さの円筒開口形状となる感知器埋込部が形成されるとともに前記円筒開口の外周縁に鍔部が形成されたことを特徴とする感知器ベース。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井面に設置されて火災感知器を電気的且つ機械的に着脱自在に取り付ける感知器ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災報知設備の火災感知器は感知器ベースと対になっており、図5に示すように、天井面11に取付け固定された感知器ベース100の下側に火災感知器12は電気的且つ機械的に着脱自在に取り付けられている。
【0003】
ここで、図5の説明では、X-Y-Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、火災検知器の任意の位置を正面に見て、X方向を左右方向とし、Y方向を上下方向とし、Z方向を前後方向とする。また、X方向における+X側を右側、-X側を左側とし、Y方向における+Y側を上側、-Y側を下側とし、Z方向における+Z側を前側、-Z側を後側とする。この点は、図6図7図1乃至図4においても同様となる。
【0004】
従来の感知器ベースを図6及び図7に取り出して示す。ここで、図6(A)は感知器ベースを下側から見て一面側となる表面側を示し、図6(B)は側面を示し、また、図7は従来の感知器ベースの断面を示している。
【0005】
図6に示すように、従来の感知器ベース100は円盤状に形成されたベース本体114の中央に略矩形の通線孔104が形成されており、通線孔104の周囲となるベース本体114の表面側(図示の下面側)に2組の嵌合金具116とケーブル端子126が配置され、また、2つの取付孔118が形成されている。また、2組の嵌合金具116の近傍には、一方は「L」とし他方は「C」と表記した端子ラベル122がそれぞれ貼られ、更に、ベース本体114の周囲には張出部130が形成され、張出部130にLED132が配置されている。
【0006】
図5に示すように、天井面11に設置された感知器ベース100に対しては、下側から火災感知器12を嵌め入れて回すことで、火災感知器12の裏面に配置された嵌合金具を感知器ベース100の嵌合金具116に嵌め入れ、感知器ベース100に対し火災感知器12を電気的且つ機械的に接続する。感知器ベース100に火災感知器12が取り付けられると、図6(A)に示したLED132の外側を覆って火災感知器12の表示カバーが位置することで、発報表示灯134が配置される。
【0007】
また図7に示すように、ベース本体114の内部には表示灯回路や避雷回路などの電気回路を実装した回路基板としてプリント基板120が収納されており、プリント基板120に対しては図6に示した一方の嵌合金具116が直接接続され、他方の嵌合金具116がリード線で接続され、また、ケーブル端子126からのリード線が接続されている。
【0008】
ベース本体114に設けられた通線孔104は、図7に示すように、受信機から引き出された配線ケーブル32を天井面11の取付穴11aから引き込んでケーブル端子126に接続するために使用しており、配線ケーブル32の余長分をベース本体114と天井面11の間のスペースに収納するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000-194967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近年、火災報知設備の分野においては、建築意匠の追求により防災機器の薄型化の要請が高まっており、感知器ベースについても薄型化の必要性が高まっている。
【0011】
しかしながら、従来の感知器ベース100にあっては、図6及び図7に示したように、通線孔104から引き出した配線ケーブル32をケーブル端子126に接続し、配線ケーブル32の余長分を天井面との間のスペースに入れるようにしていたため、感知器ベース104を薄型化できない問題があった。
【0012】
また、感知器ベース100は火災感知器の種類毎にベース本体104の構造や回路が異なっており、ベース本体114の中央に通線孔104が設けられているため、火災感知器の種類に応じて形や構造の異なる嵌合金具116の配置が制限され、また、回路が異なるとプリント基板120のサイズや形状が異なり、多種多様な感知器ベースが存在することから製造や製品管理に手間とコストがかる問題がある。
【0013】
更に、電気回路が同一であっても、海外向けの機種などでは端子記号が異なるため、機種毎に端子ラベルを準備して感知器ベースに貼り付けており、製造や製品管理に手間とコストがかかる問題がある。
【0014】
本発明は、通線孔の廃止によりベース本体を薄型化すると共に機種の相違に対し共通した構造で対応可能とする感知器ベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(感知器ベース)
本発明は、火災感知器を取り付ける感知器ベースであって、
一面と他面を有するベース本体と、
ベース本体の一面側に配置され、火災感知器が電気的且つ機械的に着脱自在に接続される一対の嵌合金具と、
ベース本体の他面側に形成された回路収納部と、
回路収納部に組み込まれ、嵌合金具が接続された回路基板と、
端子穴がベース本体の他面外側に露出して位置するように回路収納部に配置され、配線ケーブルが接続されるケーブル端子と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
(ベース本体の発報表示構造)
ベース本体を導光材質又は導光構造とし、回路基板に接続された発光素子の光によりベース本体の周壁の全部又は一部を光らせる発報表示構造が設けられる。
【0017】
(回路収納部の屋根構造)
回路基板及びケーブル端子が配置された回路収納部の他面外側を覆う屋根構造が設けられる。
【0018】
(端子ラベルのレーザーマーキング)
ベース本体の一面側に配置された嵌合金具の近傍の空スペースに、レーザー光の照射によりマーキングされた端子ラベルが配置される。
【0019】
(埋込型の感知器ベース)
ベース本体は、一面側に火災感知器の一部を収納する所定深さの円筒開口形状となる感知器埋込部が形成されるとともに円筒開口の外周縁に鍔部が形成される。
【発明の効果】
【0020】
(基本的な効果)
本発明は、火災感知器を取り付ける感知器ベースであって、一面と他面を有するベース本体と、ベース本体の一面側に配置され、火災感知器が電気的且つ機械的に着脱自在に接続される一対の嵌合金具と、ベース本体の他面側に形成された回路収納部と、回路収納部に組み込まれ、嵌合金具が接続された回路基板と、端子穴がベース本体の他面外側に露出して位置するように回路収納部に配置され、配線ケーブルが接続されるケーブル端子とが設けられたため、ベース本体に通線孔が設けられていないことから感知器ベースが薄型化し、優れた意匠性が得られることを可能とする。
【0021】
また、ベース本体に通線孔が設けられていないことから嵌合金具を配置する自由度が増加し、ベース本体の他面側(裏面側)に設けられた回路収納部に回路基板が配置されていることから機種により回路基板に実装する電気回路が異なっても回路基板の形状が共通となり、製造と管理が容易となってコストダウンを可能とする。
【0022】
また、ケーブル端子がベース本体の他面側となって天井裏面側に位置するため、配線ケーブルをケーブル端子に接続した場合のケーブル余長分を収納するスペースを、ベース本体を厚くすることなく、十分に確保可能とする。
【0023】
(ベース本体の発報表示構造による効果)
また、ベース本体を導光材質又は導光構造とし、回路基板に接続された発光素子の光によりベース本体の周壁の全部又は一部を光らせる発報表示構造が設けられたため、例えばベース本体をアクリル樹脂等の光を拡散透過する材質とすることで、火災感知器の取付け状態で外部に露出しているベース本体の周壁を火災発報時に光らせ、全部を光らせる場合には任意の方向からの発報表示を確認することを可能とする。
【0024】
(回路収納部の屋根構造による効果)
また、回路基板及びケーブル端子が配置された回路収納部の他面外側を覆う屋根構造が設けられたため、天井裏面側で雨漏りが発生しても,ベース本体に形成された回路収納部が浸水することを確実に防止可能とする。
【0025】
(端子ラベルのレーザーマーキングによる効果)
また、ベース本体の一面側に配置された嵌合金具の近傍の空スペースに、レーザー光の照射によりマーキングされた端子ラベルが配置されたため、通線孔の廃止により十分な空きスペースが確保されたことで、レーザー光を照射して表面を例えば焦がして変色させることで端子記号等の端子ラベルを簡単且つ容易に形成することが可能となり、更に、施工説明などを追加することも可能となる。
【0026】
(埋込型の感知器ベースによる効果)
また、ベース本体は、一面側に火災感知器の一部を収納する所定深さの円筒開口形状となる感知器埋込部が一体に形成されるとともに円筒開口の外周縁に鍔部が形成される埋込型の感知器ベースとした場合にも、前述したと同じ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態の感知器ベースを用いた火災感知器の天井取付けを示した説明図である。
図2】本実施形態の感知器ベースを示した説明図である。
図3図2の感知器ベースの内部構造を天井取付け状態で示した説明図である。
図4】埋込型の感知器ベースの実施形態を示した説明図である。
図5】従来の感知器ベースを用いた火災感知器の天井取付けを示した説明図である。
図6】従来の感知器ベースを示した説明図である。
図7】従来の感知器ベースの内部構造を天井取付け状態の断面で示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る感知器ベースの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0029】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、天井面などに火災感知器を取り付ける感知器ベースに関するものである。
【0030】
ここで、「火災感知器」とは、監視領域の火災を検出する機器であって、防災受信機に対して電気的に接続される機器であり、火災の(火災に伴い発生する:以下同じ)煙を検出する煙検出部を備える「煙感知器」、火災の熱を検出する熱検出部を備える「熱感知器」、火災の赤外線を検出する光学式炎検出部を備える「炎感知器」、火災のガスを検出するガス検出部を備える「ガス検出器」、および前記検出対象を組み合わせて検出する「複合型検知器」等の各種の感知器を含む概念である。
【0031】
実施形態の「感知器ベース」は、ベース本体、一対の嵌合金具、回路収納部及びケーブル端子から構成されるものである。
【0032】
ここで、「ベース本体」とは、一面と他面を有する薄型の部材であり、「端子金具」とは、ベース本体の一面側に配置され、火災感知器が電気的且つ機械的に着脱自在に接続されるものであり、「回路収納部」とは、ベース本体の他面側に形成された収納部であり、「回路基板」とは、回路収納部に組み込まれ、嵌合金具が接続されるものであり、「ケーブル端子」とは、端子穴がベース本体の他面外側に露出して位置するように回路収納部に配置され、配線ケーブルが接続されるものである。
【0033】
なお、「ベース本体の一面側」とは、天井面に感知器ベースを取付け固定した状態で監視区画となる室内に面した下面側であり、表面側を含む概念である。また、「ベース本体の他面側」とは、天井面に感知器ベースを取付け固定した状態で天井面に相対する面側であり、裏面側を含む概念である。
【0034】
このように実施形態の感知器ベースは、ベース本体に通線孔が設けられていないことから感知器ベースが薄型化し、優れた意匠性が得られることを可能とするものである。また、ベース本体に通線孔が設けられていないことから嵌合金具を配置する自由度が増加し、ベース本体の裏面側に設けられた回路収納部に回路基板が配置されていることから機種により回路が異なっても回路基板の形状が共通となり、製造と管理が容易となってコストダウンを可能とするものである。
【0035】
また、ケーブル端子がベース本体の他面側となって天井裏面側に位置するため、配線ケーブルをケーブル端子に接続した場合のケーブル余長分を収納するスペースを、ベース本体を厚くすることなく、十分に確保可能とするものである。
【0036】
また、「ベース本体」は、導光材質又は導光構造であり、回路基板に接続された発光素子の光によりベース本体の周壁の全部又は一部を光らせる発報表示構造が設けられるものである。ベース本体の導光材質や導光構造は任意であるが、例えば、ベース本体をアクリル樹脂等の光を拡散透過する材質とすることで、火災感知器の取付け状態で外部に露出しているベース本体の周壁を火災発報時に光らせ、全部を光らせた場合には任意の方向からの発報表示を確認することを可能とするものである。
【0037】
また、回路基板及びケーブル端子が配置された回路収納部の他面外側を覆う屋根構造が設けられるものである。このため、天井裏面側で雨漏りが発生しても,ベース本体に形成された回路収納部が浸水することを確実に防止可能とするものであ。
【0038】
また、ベース本体の一面側に配置された嵌合金具の近傍の空スペースに、レーザー光の照射によりマーキングされた端子ラベルが配置されるものである。ここで、「レーザー光の照射によるマーキング」とは、対象物にレーザー光を照射して表面を溶かす、焦がす、剥離する、酸化させる、削る、変色させるなどすることで、文字、図形、符号等を表示させる方法であり、「レーザーマーキング」として知られているものである。
【0039】
このため、通線孔の廃止により十分な空きスペースが確保されたことで、レーザー光を照射して、表面を例えば焦がして変色させることで端子記号等の端子ラベルを簡単且つ容易に形成することが可能となり、更に、施工説明などを追加することも可能となるものである。
【0040】
また、「ベース本体」は、一面側に火災感知器の一部を収納する所定深さの円筒開口形状となる感知器埋込部が形成されるとともに円筒開口の外周縁に鍔部が形成されることで、埋込型の感知器ベースを構成するものであり、この場合にも、前述とした場合と同様の効果が得られるものである。
【0041】
以下、具体的な実施形態を説明する。実施形態では、「ベース本体」を天井面の取付孔の下側に配置する「露出型の感知器ベース」と、「ベース本体」を天井面の取付孔の中に配置する「埋込型の感知器ベース」に分けて説明する。また、「回路基板」を「プレント基板」とし、「回路収納部」を「箱形」とした場合について説明する。
【0042】
[実施形態の具体的内容]
感知器ベースについて、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.感知器ベースの概要
b.感知器ベースの構造
c.埋込型の感知器ベース
d.本発明の変形例
【0043】
[a.感知器ベースの概要]
露出型の感知器ベースの概要について説明する。当該説明にあっては、感知器ベースを用いた火災感知器の天井取付けを示した図1を参照する。
【0044】
図1に示すように、天井面11には本実施形態の感知器ベース10が取付け固定され、感知器ベース10に対し下側から火災感知器12を押し当てて回すことにより、両者の嵌合金具が連結されて電気的且つ機械的に着脱自在に取り付けられている。
【0045】
本実施形態の感知器ベース10は、図5に示した従来の感知器ベース100に比べ、十分に薄型化されており、意匠的なデザイン性が向上している。
【0046】
また、火災感知器12により火災が検出された場合、感知器ベース12内に設けられたLEDを駆動すると、本実施形態にあっては、感知器ベース10の周壁全体が光ることで発報表示が行われ、どの方向から見ても発報表示を確認することを可能とする。
【0047】
[b.感知器ベースの構造]
感知器ベースの構造について、より詳細に説明する。当該説明にあっては、本実施形態の感知器ベースを示した図2及び感知器ベースの内部構造を天井取付け状態で示した図3を参照する。なお、図2(A)は下側から見た一面側(表面側)を示し、図2(B)は側面を示す。
【0048】
図2及び図3に示すように、本実施形態の感知器ベース10は、円盤状のベース本体14を有し、ベース本体14は導光材質で形成されている。ベース本体14の導光材質は光を通過させる材質であれば任意であり、例えば、アクリル樹脂等より形成されている。
【0049】
また、ベース本体14には従来のように通線孔は設けられておらず、通線孔を介してケーブル端子に接続した配線ケーブルの余長分を収納するスペースの確保が必要ないことから、ベース本体14は図1に示したように、従来の感知器ベースに比べて十分に薄型化されている。
【0050】
ベース本体14の一面側(表面側)には一対の嵌合金具16が配置される。嵌合金具16は煙感知器の裏面に配置された嵌合金具の嵌め込みを受けて感知器ベース10に対し煙感知器を電気的且つ機械的に着脱自在に取り付け可能としている。
【0051】
ベース本体14に配置された嵌合金具16の近傍の空スペースには、レーザー光の照射により本体表面を例えば焦がして変色させることにより、「L」及び「C」といった所定の端子符号を示す端子ラベル22が形成されている。レーザー光による端子ラベル22を形成する方法は、レーザーマーキングとして知られており、対象物にレーザー光を照射して表面を溶かす、焦がす、剥離する、酸化させる、削る、変色させるなどすることで、文字、図形、符号等を表示させる方法である。
【0052】
本実施形態にあっては、ベース本体14に通線孔が設けられていないことから、嵌合端子16を配置していても、ベース本体14の一面側に十分に広い空スペースが確保されており、レーザーマーキングを行える面積が広がることで、端子ラベル22の形成が容易となる。また、感知器ベース14のレーザーマーキングを行える面積が増加したことで、端子ラベル22に加え、施工説明等を追加することが可能となり、レーザーマーキングにより施工説明が形成された場合には、感知器ベース14に対する配線ケーブルや火災感知器の誤接続などが防止可能となる。
【0053】
また、ベース本体14には一対の取付孔18が貫通され、下側から取付孔18に木ねじ等を通して天井面11にねじ込むことで、天井面11に感知器ベース10が取付け固定される。
【0054】
ベース本体14の他面側(裏面側)には、図3に示すように、回路収納部24が他面側に開口して形成されている。回路収納部24にはプリント基板20が配置され、一面側に配置された嵌合金具16のリード端子16aがプリント基板20に接続されている。
【0055】
また、プリント基板20には2組のケーブル端子26が配置されている。ケーブル端子26は一対の端子孔26aがベース本体14の他面外側(裏面外側)に位置するようにプリント基板20に配置されている。
【0056】
回路収納部24の開口部にはケーブル端子26を裏面側に露出させた状態でカバー28が装着され、カバー28の上には屋根構造30が設けられ、回路収納部24の他面外側(裏面外側)を覆うようにしている。回路収納部24は感知器ベース10を天井面11に取り付けた状態で、図4に示すように、取付孔11aの中に位置する。
【0057】
回路収納部24に配置されたケーブル端子26の端子穴26aには受信機から引き出された配線ケーブル34の先端の絶縁被覆を剥がしてケーブル芯線を挿入することで接続され、配線ケーブル34の余長分を収納するスペースは、天井面11の裏側の広いスペースとなり、感知器ベース10にケーブル収納スペースを確保する必要がないため、感知器ベース10の薄型化を簡単に実現できる。
【0058】
なお、図4の配線ケーブル34の接続は、受信機から見て終端に配置された感知器ベース10に対する配線ケーブル34の接続を例にとっており、途中に配置している感知器ベース10に対しては、受信機側からの配線ケーブル34を一方のケーブル端子26に接続し、他方のケーブル端子26に別の配線ケーブルを接続して終端側となる次の感知器ベースに渡り接続することになる。また、ケーブル端子26は、ノブを押すことで端子穴26aの端子金具を開いてケーブル芯線を通し、ノブを離すことで端子穴26aの端子金具を閉じてケーブル芯線を挟み込んで接続固定する所謂ワンタッチ接続構造としてもよい。
【0059】
また、プリント基板20には発光素子として機能するLED32が接続されており、感知器ベース10の嵌合金具16に接続された火災感知器で火災が検出された場合に受信機からの配線ケーブル34を介して流れる発報電流によりLED32が点灯する。点灯したLED32からの光はアクリル樹脂等の導光材質で形成されたベース本体14自体を光らせることとなり、図1に示すように、火災感知器12の取付け状態で感知器ベース10におけるベース本体14の周壁部分が外部に露出していることから、ベース本体14の周壁全体が光ることで発報表示が行われる。
【0060】
なお、本実施形態はベース本体14を導光材質とすることで、LED32の点灯によりベース本体14全体が光るようにしているが、ベース本体14を光を通さない合成樹脂で成型し、プリント基板20に接続されたLED32とベース本体14の周壁の間にライトガイド等の導光部材を配置し、ベース本体14の周壁の一部を光らせて発報表示させる導光構造としても良い。
【0061】
また、プリント基板20及びケーブル端子26が配置された回路収納部24の他面外側(裏面外側)を覆う屋根構造30が設けられたことで、天井裏面側で雨漏りが発生しても,ベース本体14に形成された回路収納部24が浸水することを確実に防止可能としている。
【0062】
また、感知器ベース10は、薄型化に加え、機種毎に嵌合金具16が異なっても、十分な配置スペースが確保されているため、機種毎に異なる嵌合金具16の配置が制限を受けることがなく、嵌合金具16を配置する自由度が増加する。
【0063】
また、機種毎に感知器ベース14に設ける回路が異なるが、回路収納部24の内部を例えば箱形領域として矩形のプリント基板20が配置されており、広い実装面積を備えたプリント基板20とすることを可能とし、機種毎に電気回路が異なっても同じ形状とサイズのプリント基板20に回路部品を実装して回路収納部24に組み込むことができる。その結果、機種毎に嵌合金具16及び電気回路が異なっても、ベース本体14は共通化することができ、機種に対応して多種多様な感知器ベースを準備する必要がなく、ベース本体14の共通化により感知器ベースの製造及び製品管理を容易にし、コストを低減することが可能となる。
【0064】
[c.埋込型の感知器ベース]
埋込型の感知器ベースの実施形態について説明する。当該説明にあっては、埋込型の感知器ベースの実施形態を示した図4を参照する。
【0065】
図4に示すように、本実施形態による埋込型感知器ベース36は、ベース本体14の一面側(表面側)に所定深さをもつ円筒開口形状の感知器埋込部38が形成され、感知埋込部38の円筒開口の外周縁には鍔部40が形成され、天井面11の取付穴11aに下側から嵌め入れて取付け固定した場合に、天井面11の取付孔11aとの隙間を覆うようにしている。
【0066】
ベース本体14における嵌合金具16、回路収納部24、プリント基板20、ケーブル端子26、カバー28及び屋根構造30の構成及び機能は、図2及び図3に示した実施形態と基本的に同じになることから、同一符号を付して説明は省略する。
【0067】
本実施形態のベース本体14は不透明な合成樹脂で作られており、プリント基板20に接続されたLED32と鍔部40に切欠開口された発報表示部42との間にライトガイド44が配置され、LED32からの光をライトガイド44により発報表示部42に導き、発報表示部42に露出したライトガイド44の部分を光らせて発報表示させる導光構造としている。
【0068】
なお、ライトガイド44による導光構造とせず、ベース本体14をアクリル等の導光材質とし、鍔部40全体をLED32からの光により光らせて発報表示させるようにしても良い。この場合、鍔部40全体ではなく、内面に一部を開口させた塗装等を行うことで、鍔部40の一部をLED32からの光により光らせて発報表示させるようにしてもよい。
【0069】
[d.本発明の変形例]
本発明による感知器ベースの変形例について説明する。本発明の感知器ベースは、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0070】
上記の実施形態は、ベース本体を円盤形状としているがこれに限らない。一面(表面)と他面(裏面)を有する板状の形態を有していれば、その正面視は円盤状に限られず、楕円や多角形状のものとしてもよい。
【0071】
上記の実施形態は、ベース本体の他面側(裏面側)に開口して箱形の回路収納部を形成し、その中に矩形のプリント基板を配置しているが、回路収納部の形は任意であり、例えば、ベース本体の裏面側に開口して円筒形の回路収納部を形成し、その中に円形のプリント基板を配置してもよい。
【0072】
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0073】
10:感知器ベース
12:火災感知器
14:ベース本体
16:嵌合金具
18:取付孔
20:プリント基板
22:端子ラベル
24:回路収納部
26:ケーブル端子
26a:端子孔
28:カバー
30:屋根構造
32:LED
34:配線ケーブル
36:埋込型感知器ベース
38:感知器埋込部
40:鍔部
42:発報表示部
44:ライトガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7