(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086005
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20240620BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240620BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200847
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227983
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴士
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH01
2C002CH04
2C002MM02
2C002MM04
(57)【要約】
【課題】打撃フェースとクラウン面又はソール面との境界部を新規な形状とすることでヘッド性能を高めたゴルフクラブヘッドの提供。
【解決手段】ヘッド4は、打撃フェース10aとクラウン面12aとの境界部が曲率半径Rを有し、打撃フェース10aとクラウン面12aとの境界部が曲率半径Sを有する。トウ側において、ヘッド4は、曲率半径Rt、曲率半径St、フェース高さFt及びヘッド厚Ttを有する。センターにおいて、ヘッド4は、曲率半径Rc、曲率半径Sc、フェース高さFc及びヘッド厚Tcを有する。ヒール側において、ヘッド4は、曲率半径Rh、曲率半径Sh、フェース高さFh及びヘッド厚Thを有する。Ft/Ttが、Fh/Thがよりも小さい。ヘッド4は次の関係(a)及び(b)の少なくとも一方を満たす。
(a)Rt>Rc≧Rh (b)St>Sc≧Sh
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェースセンターを含む打撃フェースと、クラウン面と、ソール面を有しており、
前記打撃フェースと前記クラウン面との境界部が、曲率半径Rを有しており、
前記打撃フェースと前記ソール面との境界部が、曲率半径Sを有しており、
前記打撃フェースが、フェース高さFを有しており、
前記ヘッドが、ヘッド厚Tを有しており、
前記フェースセンターから15mmトウ側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rtであり、前記曲率半径Sが曲率半径Stであり、前記フェース高さFがフェース高さFtであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Ttであり、
前記フェースセンターの位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rcであり、前記曲率半径Sが曲率半径Scであり、前記フェース高さFがフェース高さFcであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Tcであり、
前記フェースセンターから15mmヒール側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rhであり、前記曲率半径Sが曲率半径Shであり、前記フェース高さFがフェース高さFhであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Thであるとき、
Ft/Ttが、Fh/Thよりも小さく、
次の関係(a)及び(b)の少なくとも一方を満たすゴルフクラブヘッド。
(a)Rt>Rc≧Rh
(b)St>Sc≧Sh
【請求項2】
次の前記関係(a)を満たす請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
(a)Rt>Rc≧Rh
【請求項3】
Rt/Rhが1.2以上である請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
ドライバーヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、9.5mm以上13.5mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、7.5mm以上11.5mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、6.0mm以上10.0mm以下である請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
ロフト角が13°よりも大きく、
ヘッド体積が300cm3よりも小さく、
前記曲率半径Stが、前記曲率半径Rtよりも小さく、
前記曲率半径Scが、前記曲率半径Rcよりも小さく、
前記曲率半径Shが、前記曲率半径Rhよりも小さい請求項1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
フェアウェイウッド型ヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、10.0mm以上14.0mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、8.0mm以上12.0mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、6.0mm以上10.0mm以下である請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
ハイブリッド型ヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、7.5mm以上11.5mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、6.0mm以上10.0mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、4.5mm以上8.5mm以下である請求項5に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
クラウンを有するゴルフクラブヘッドが知られている。例えば、特開2021-132995号公報に開示されている通り、このヘッドでは、通常、クラウン面と打撃フェースとの境界部に丸みが形成されており、ソール面と打撃フェースとの境界部にも丸みが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、上記丸みの形態により新たな作用効果が生じうることを見出した。
【0005】
本発明の目的の一つは、打撃フェースとクラウン面又はソール面との境界部を新規な形状とすることでヘッド性能を高めたゴルフクラブヘッドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、本発明のゴルフクラブヘッドは、フェースセンターを含む打撃フェースと、クラウン面と、ソール面を有している。前記打撃フェースと前記クラウン面との境界部が、曲率半径Rを有している。前記打撃フェースと前記ソール面との境界部が、曲率半径Sを有している。前記打撃フェースが、フェース高さFを有している。前記ヘッドが、ヘッド厚Tを有している。前記フェースセンターから15mmトウ側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rtであり、前記曲率半径Sが曲率半径Stであり、前記フェース高さFがフェース高さFtであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Ttである。前記フェースセンターの位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rcであり、前記曲率半径Sが曲率半径Scであり、前記フェース高さFがフェース高さFcであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Tcである。前記フェースセンターから15mmヒール側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rhであり、前記曲率半径Sが曲率半径Shであり、前記フェース高さFがフェース高さFhであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Thである。Ft/Ttが、Fh/Thがよりも小さい。このヘッドは、次の関係(a)及び(b)の少なくとも一方を満たす。すなわち、このヘッドは、(a)のみを満たすか、(b)のみを満たすか、又は、(a)及び(b)を満たす。
(a)Rt>Rc≧Rh
(b)St>Sc≧Sh
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、打撃フェースとクラウン面又はソール面との境界部における新規な形状により、ヘッド性能が向上しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態のヘッドが装着されたゴルフクラブを示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態のヘッドをクラウン側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図である。
図3は、基準状態のヘッドを示している。
【
図4】
図4(a)は
図3と同じ正面図であり、
図4(b)は
図4(a)のE1線に沿った断面図である。
図4(b)では、ヘッド外面の断面線のみが示されている。
【
図5】
図5(a)は
図3のa-a線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図5(b)は
図3のb-b線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図5(c)は
図3のc-c線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線である。
【
図6】
図6は、
図5(b)の拡大図である。
図5(b)は、曲率半径R、曲率半径S、ヘッド厚T及びヘッド厚Tの定義の説明図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のヘッドをクラウン側から見た平面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図である。
図8は、基準状態のヘッドを示している。
【
図9】
図9(a)は
図8のa-a線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図9(b)は
図8のb-b線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図9(c)は
図8のc-c線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線である。
【
図10】
図10は、第3実施形態のヘッドをクラウン側から見た平面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図である。
図11は、基準状態のヘッドを示している。
【
図12】
図12(a)は
図11のa-a線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図12(b)は
図11のb-b線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図12(c)は
図11のc-c線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線である。
【
図13】
図13は、第4実施形態のヘッドをクラウン側から見た平面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図である。
図14は、基準状態のヘッドを示している。
【
図15】
図15(a)は
図14のa-a線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図15(b)は
図14のb-b線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線であり、
図15(c)は
図14のc-c線に沿った断面図におけるヘッド外面の断面線である。
【
図16】
図16は、第5実施形態のヘッドをフェース側から見た正面図である。
図16は、基準状態のヘッドを示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0010】
本願では、基準状態、基準垂直面、トウ-ヒール方向、フェース-バック方向、上下方向、フェースセンター及び縦断面が定義される。
【0011】
所定のライ角で接地平面HP上にヘッドが載置された状態が、基準状態とされる。
図18が示すように、この基準状態では、接地平面HPに対して垂直な平面VPに、シャフト軸線Zが含まれている。シャフト軸線Zは、シャフトの中心線である。通常、シャフト軸線Zは、ホーゼル孔の中心線に一致する。前記平面VPが、基準垂直面とされる。所定のライ角は、例えば製品カタログに掲載されている。
【0012】
なお、シャフトの先端部に設けられたスリーブ等の回転位置によってロフト角、ライ角及びフェース角を調整できる可変機構を備えたクラブが知られている。このようなクラブに用いられるヘッドにおいて、上記基準状態では、全ての調整項目をニュートラルとして、シャフト軸線Zが特定される。ニュートラルとは、調整幅の中心を意味する。
【0013】
この基準状態では、フェース角が0度とされる。すなわち、上側から見た平面視において、打撃フェースのフェースセンターにおける法線がトウ-ヒール方向に対して垂直とされる。フェースセンター及びトウ-ヒール方向の定義は、後述の通りである。
【0014】
本願においてトウ-ヒール方向とは、前記基準垂直面VPと前記接地平面HPとの交線NLの方向である(
図18参照)。
【0015】
本願においてフェース-バック方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記接地平面HPに対して平行な方向である。
【0016】
本願において上下方向とは、前記トウ-ヒール方向に対して垂直であり且つ前記フェース-バック方向に対して垂直な方向である。換言すれば、本願において上下方向とは、前記接地平面HPに対して垂直な方向である。
【0017】
本願において、フェースセンターは次のように決定される。まず、上下方向およびトウ-ヒール方向において、打撃フェースの概ね中央付近の任意の点Prが選択される。次に、この点Prを通り、当該点Prにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pxが決定される。次に、この中点Pxを通り、当該点Pxにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pyが決定される。次に、この中点Pyを通り、当該点Pyにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつトウ-ヒール方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pxが新たに決定される。次に、この新たな中点Pxを通り、当該点Pxにおける打撃フェースの法線方向に沿って延び、かつ上下方向に平行な平面が決定される。この平面と打撃フェースとの交線を引き、その中点Pyが新たに決定される。この工程を繰り返して、Px及びPyが順次決定される。この工程の繰り返しの中で、新たな中点Pyとその直前の中点Pyとの間の距離が最初に0.5mm以下となったときの当該新たな位置Py(最後の位置Py)が、フェースセンターである。
【0018】
本願において縦断面とは、トウ-ヒール方向に対して垂直な平面による断面である。縦断面は、フェース-バック方向に対して平行である。縦断面は、接地平面HPに対して垂直である。縦断面におけるヘッド外面の断面線が、縦断面線とも称される。縦断面は、トウ-ヒール方向の各位置で設定されうる。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態のヘッド4を含むゴルフクラブ2の全体図である。
図1が示すように、ゴルフクラブ2は、ゴルフクラブヘッド4と、シャフト6と、グリップ8とを含む。シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。ヘッド4は、シャフト6のチップ端部に取り付けられている。グリップ8は、シャフト6のバット端部に取り付けられている。
【0020】
ゴルフクラブ2は、ドライバー(1番ウッド)である。ヘッド4は、ドライバーヘッドである。通常、ドライバーのクラブ長さは、43インチ以上である。ゴルフクラブ2は、ウッド型ゴルフクラブである。
【0021】
シャフト6は、管状体である。シャフト6は中空構造を有する。シャフト6の材質は、炭素繊維強化樹脂である。軽量化の観点から、シャフト6の材質として、炭素繊維強化樹脂が好ましい。シャフト6は、いわゆるカーボンシャフトである。好ましくは、シャフト6は、プリプレグシートを硬化させてなる。このプリプレグシートでは、繊維は実質的に一方向に配向している。このように繊維が実質的に一方向に配向したプリプレグは、UDプリプレグとも称される。「UD」とは、ユニディレクションの略である。UDプリプレグ以外のプリプレグが用いられても良い。例えば、プリプレグシートに含まれる繊維が編まれていてもよい。シャフト6は、金属線を含んでいてもよい。シャフト6の材質は限定されず、例えば金属であってもよい。
【0022】
グリップ8は、スイング中においてゴルファーにより握られる部分である。グリップ8の材質として、ゴム組成物及び樹脂組成物が例示される。グリップ8の前記ゴム組成物は、気泡を含んでいてもよい。
【0023】
ヘッド4は中空構造を有する。本実施形態では、ヘッド4は、ウッド型である。ヘッド4は、ハイブリッド型であってもよい。ヘッド4の好ましい材質として、金属及び繊維強化プラスチックが例示される。この金属として、チタン合金、純チタン、ステンレス鋼、マレージング鋼及び軟鉄が例示される。繊維強化プラスチックとして、炭素繊維強化プラスチックが例示される。ヘッド4は、金属部分と繊維強化プラスチック部分とを有する複合ヘッドであってもよい。
【0024】
図2は、ヘッド4を上側から見た平面図である。
図3はヘッド4の正面図である。
図3は、前記基準状態にあるヘッド4をフェース側から見た図である。
図4(a)は、
図3と同じ正面図である。
図4(b)は
図4(a)のE1線に沿った断面図である。
図4(b)は、ヘッド外面の断面線のみを示している。
【0025】
図2及び
図3が示すように、ヘッド4は、フェース部10、クラウン部12、ソール部14及びホーゼル部16を有する。フェース部10は、打撃フェース10aを有する。打撃フェース10aは、フェース部10の外面により構成されている。打撃フェース10aは、ヘッド外側に向かって凸の曲面を構成している。打撃フェース10aは、フェースバルジ及びフェースロールを有する。打撃フェース10aは、単にフェース又はフェース面とも称される。クラウン部12は、クラウン外面12aを形成している。クラウン外面12aは、単にクラウン面とも称される。ソール部14は、ソール外面14aを形成している。ソール外面14aは、単にソール面とも称される。打撃フェース10a、クラウン面12a及びソール面14aは、ヘッド外面である。
【0026】
打撃フェース10aは、上述の通り定義されたフェースセンターC1を有する。
【0027】
打撃フェース10aは、外縁k1を有する。外縁k1は、打撃フェース10aの輪郭線である。外縁k1は、打撃フェース10aと他の部分との境界線である。打撃フェース10aの外縁k1は、次のように定義されうる。
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、ヘッド4の重心とスイートスポットSSとを結ぶ直線を含む多数の平面E1、E2、E3・・・が存在する。これらの各平面E1等での断面において、ヘッド外面の断面線の曲率半径rがスイートスポットSS側から打撃フェース10aの外側に向かって初めて200mmとなる点P1が決定される。この点P1の集合が、打撃フェース10aの外縁k1とされうる。なお、スイートスポットSSは、打撃フェース10aに垂直であり且つヘッド4の重心を通る直線と打撃フェース10aとの交点である。
【0028】
図2が示すように、クラウン部12は、クラウン凸部20を有する。クラウン凸部20は、クラウン面12aに凸を形成している。フェース側から見たヘッド4の正面図(
図3)では、クラウン凸部20は見えない。クラウン凸部20の全体が、フェースセンターC1よりもヒール側に位置する。
【0029】
図5(a)は
図3のa-a線に沿った断面図であり、
図5(b)は
図3のb-b線に沿った断面図であり、
図5(c)は
図3のc-c線に沿った断面図である。
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)では、縦断面線が示されている。
図5(a)は、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における縦断面線である。
図5(b)は、フェースセンターC1の位置における縦断面線である。
図5(c)は、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における縦断面線である。
【0030】
ヘッド4は、打撃フェース10aとクラウン面12aとの境界に、曲率半径Rを有している。曲率半径Rは、縦断面線において測定される。曲率半径Rは、トウ-ヒール方向の各位置において定まる。
図5(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径Rが、曲率半径Rtである。
図5(b)が示すように、フェースセンターC1の位置における曲率半径Rが、曲率半径Rcである。
図5(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径Rが、曲率半径Rhである。なお、理解を容易とする観点から、本願では、「R」、「Rt」、「Rc」、「Rh」等は、曲率半径の種類を特定する記号であると共に、図面の符号としても用いられる。これらの曲率半径の単位は、mmである。
【0031】
ヘッド4は、打撃フェース10aとソール面14aとの境界に、曲率半径Sを有している。曲率半径Sは、縦断面線において測定される。曲率半径Sは、トウ-ヒール方向の各位置において測定される。
図5(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径Sが、曲率半径Stである。
図5(b)が示すように、フェースセンターC1の位置における曲率半径Sが、曲率半径Scである。
図5(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径Sが、曲率半径Shである。なお、理解を容易とする観点から、本願では、「S」、「St」、「Sc」、「Sh」等は、曲率半径の種類を特定する記号であると共に、図面の符号としても用いられる。これらの曲率半径の単位は、mmである。
【0032】
打撃フェース10aは、フェース高さFを有している。フェース高さFは、縦断面線において測定される。フェース高さFは、トウ-ヒール方向の各位置において測定される。
図5(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるフェース高さFが、フェース高さFtである。
図5(b)が示すように、フェースセンターC1の位置におけるフェース高さFが、フェース高さFcである。
図5(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるフェース高さFが、フェース高さFhである。なお、理解を容易とする観点から、本願では、「F」、「Ft」、「Fc」、「Fh」等は、曲率半径の種類を特定する記号であると共に、図面の符号としても用いられる。これらのフェース高さの単位は、mmである。
【0033】
打撃フェース10aは、ヘッド厚Tを有している。ヘッド厚Tは、縦断面線において測定される。ヘッド厚Tは、トウ-ヒール方向の各位置において測定される。
図5(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるヘッド厚Tが、ヘッド厚Ttである。
図5(b)が示すように、フェースセンターC1の位置におけるヘッド厚Tが、ヘッド厚Tcである。
図5(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるヘッド厚Tが、ヘッド厚Thである。なお、理解を容易とする観点から、本願では、「T」、「Tt」、「Tc」、「Th」等は、曲率半径の種類を特定する記号であると共に、図面の符号としても用いられる。これらのヘッド厚の単位は、mmである。
【0034】
フェースセンターC1から15mmトウ側の位置から、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置までの領域では、打撃がなされる確率が高い。この領域が、主打撃領域と称される。
【0035】
図6は、
図5(b)の拡大図である。
図6を参照して、曲率半径R、曲率半径S、フェース高さF及びヘッド厚Tの定義が説明される。
【0036】
曲率半径Rの定義は次の通りとされうる。縦断面線において、外縁k1を構成する点P1とクラウン部12との間で曲率半径が最小の点P2が決定される。曲率半径が最小である部分が点ではなく範囲を有する場合、その範囲の中点が、点P2とされる。この中点は、縦断面線の道のり距離に基づいて決定される。更に、点P2のクラウン側に、点P3が決定される。点P3は、点P2が点P3と点P1との間の中点となるように、決定される。この中点は、道のり距離に基づいて決定される。即ち、点P2と点P3との間の距離(道のり距離)が、点P1と点P2との間の距離(道のり距離)に等しい。3つの点P1、P2、P3を通る円の半径が、曲率半径Rと定義されうる。
【0037】
曲率半径Sの定義は次の通りとされうる。縦断面線において、外縁k1を構成する点P1とソール部14との間で曲率半径が最小の点P4が決定される。曲率半径が最小である部分が点ではなく範囲を有する場合、その範囲の中点が、点P4とされる。この中点は、縦断面線の道のり距離に基づいて決定される。更に、点P4のソール側に、点P5が決定される。点P5は、点P4が点P5と点P1との間の中点となるように、決定される。点P1と点P4との間の距離(道のり距離)が、点P4と点P5との間の距離(道のり距離)に等しい。3つの点P1、P4、P5を通る円の半径が、曲率半径Sと定義されうる。
【0038】
フェース高さFの定義は次の通りとされうる。上側の点P1と下側の点P2との距離(縦断面線における2点間の直線距離)が、フェース高さFとされうる。
【0039】
ヘッド厚Tの定義は次の通りとされうる。縦断面線の上側に接する水平な直線L1と、縦断面線の下側に接する水平な直線L2とが決定される。直線L1と直線L2との距離が、ヘッド厚Tとされうる。直線L1及びL2は、接地平面HPに平行である。ヘッド厚Tの測定の方向は、上下方向である。
【0040】
したがって、ヘッド厚Tは、トウ-ヒール方向の各位置における、ヘッドの最大厚みに相当する。
図5(a)から(c)が示す通り、直線L1と接するヘッド最高点Pmのフェース-バック方向位置は、変化している。フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるヘッド最高点Pm1(
図5(a))は、フェースセンターC1の位置におけるヘッド最高点Pm2(
図5(b))よりもバック側である。フェースセンターC1の位置におけるヘッド最高点Pm2(
図5(b))は、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置におけるヘッド最高点Pm3(
図5(c))よりもバック側である。主打撃領域において、ヘッド最高点Pmのフェース-バック方向位置は、トウ側にいくにつれてバック側に移動している。
【0041】
ヘッド4において、クラウン側の曲率半径Rは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Rは変化している。この変化は、連続的である。ヘッド4は、次の関係(a)を満たしている。
(a)Rt>Rc≧Rh
【0042】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径R(曲率半径Rt)が、フェースセンターC1の位置における曲率半径R(曲率半径Rc)よりも大きい。また、フェースセンターC1の位置における曲率半径R(曲率半径Rc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における曲率半径R(曲率半径Rh)よりも大きいか又は等しい。
【0043】
更に、ヘッド4は、次の関係(a1)を満たしている。
(a1)Rt>Rc>Rh
【0044】
ヘッド4では、フェースセンターC1の位置における曲率半径R(曲率半径Rc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における曲率半径R(曲率半径Rh)よりも大きい。
【0045】
ヘッド4において、ソール側の曲率半径Sは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Sは変化している。この変化は、連続的である。ヘッド4は、次の関係(b)を満たしていない。ヘッド4は、次の関係式(b1)を満たしていない。ヘッド4は、次の関係(b2)を満たしている。
(b)St>Sc≧Sh
(b1)St>Sc>Sh
(b2)St<Sc>Sh
【0046】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における曲率半径S(曲率半径St)が、フェースセンターC1の位置における曲率半径S(曲率半径Sc)よりも小さい。また、フェースセンターC1の位置における曲率半径S(曲率半径Sc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における曲率半径S(曲率半径Sh)よりも大きい。
【0047】
ヘッド厚Tに関して、ヘッド4は、次の関係(c)を満たしている。
(c)Tt>Tc>Th
【0048】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるヘッド厚T(ヘッド厚Tt)が、フェースセンターC1の位置におけるヘッド厚T(ヘッド厚Tc)よりも大きい。ヘッド4では、フェースセンターC1の位置におけるヘッド厚T(ヘッド厚Tc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置におけるヘッド厚T(ヘッド厚Th)よりも大きい。
【0049】
フェース高さFに関して、ヘッド4は、次の関係(d)を満たしている。
(d)Ft<Fc>Fh
【0050】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるフェース高さF(フェース高さFt)が、フェースセンターC1の位置におけるフェース高さF(フェース高さFc)よりも小さい。ヘッド4では、フェースセンターC1の位置におけるフェース高さF(フェース高さFc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置におけるフェース高さF(フェース高さFh)よりも大きい。
【0051】
ヘッド4(ドライバーヘッド)において、フェース高さFtは抑制されている。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも大きいが、フェース高さFhに近い。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも小さくてもよい。差(Ft-Fh)の絶対値は、3mm以下、更には2.5mm以下、更には2mm以下とされうる。
【0052】
フェース高さFとヘッド厚Tとの比に関して、ヘッド4は、次の関係(e)を満たしている。
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0053】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Ft/Tt)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Fh/Th)よりも小さい。
【0054】
更に、ヘッド4は、次の関係(f)及び(f1)を満たしている。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0055】
ヘッド4では、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Ft/Tt)が、フェースセンターC1の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Fc/Tc)よりも小さい。ヘッド4では、フェースセンターC1の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Fc/Tc)が、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置におけるフェース高さFとヘッド厚Tとの比(Fh/Th)よりも小さい。
【0056】
ヘッド4では、曲率半径Stが、曲率半径Rtよりも小さい。すなわち、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置において、ソール側の曲率半径S(曲率半径St)が、クラウン側の曲率半径R(曲率半径Rt)よりも小さい。ヘッド4では、曲率半径Scが、曲率半径Rcよりも小さい。すなわち、フェースセンターC1の位置において、ソール側の曲率半径S(曲率半径Sc)が、クラウン側の曲率半径R(曲率半径Rc)よりも小さい。ヘッド4では、曲率半径Shが、曲率半径Rhよりも大きい。すなわち、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置において、ソール側の曲率半径S(曲率半径Sh)が、クラウン側の曲率半径R(曲率半径Rh)よりも大きい。
【0057】
ドライバーヘッドの一例である第1実施形態において、各寸法は以下の通りとされうる。
・クラウン側の曲率半径Rt:11.94mm
・クラウン側の曲率半径Rc: 9.43mm
・クラウン側の曲率半径Rh: 7.76mm
・ソール側の曲率半径St: 9.01mm
・ソール側の曲率半径Sc: 9.38mm
・ソール側の曲率半径Sh: 9.16mm
・フェース高さFt: 38.06mm
・フェース高さFc: 39.27mm
・フェース高さFh: 37.25mm
・ヘッド厚Tt: 58.84mm
・ヘッド厚Tc: 58.01mm
・ヘッド厚Th: 53.80mm
【0058】
図7は、第2実施形態のヘッド24を上側から見た平面図である。
図8は、ヘッド24の正面図である。
図8は、前記基準状態にあるヘッド24をフェース側から見た図である。
図9(a)は
図8のa-a線に沿った断面図であり、
図9(b)は
図8のb-b線に沿った断面図であり、
図9(c)は
図8のc-c線に沿った断面図である。
図9(a)、
図9(b)及び
図9(c)では、縦断面線が示されている。
図9(a)は、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における縦断面線である。
図9(b)は、フェースセンターC1の位置における縦断面線である。
図9(c)は、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における縦断面線である。
【0059】
ヘッド24は、フェース部30、クラウン部32、ソール部34及びホーゼル部36を有する。フェース部30は、打撃フェース30aを有する。打撃フェース30aは、フェース部30の外面により構成されている。打撃フェース30aは、ヘッド外側に向かって凸の曲面を構成している。打撃フェース30aは、フェースバルジ及びフェースロールを有する。クラウン部32は、クラウン面32aを形成している。ソール部34は、ソール面34aを形成している。打撃フェース30a、クラウン面32a及びソール面34aは、ヘッド外面である。ヘッド24は中空構造を有する。ヘッド24は、ドライバーヘッドである。
【0060】
図7が示すように、クラウン部32は、クラウン凸部40を有する。クラウン凸部40は、クラウン面32aに凸を形成している。フェース側から見たヘッド24の正面図(
図8)では、クラウン凸部40は見えない。クラウン凸部40の全体が、フェースセンターC1よりもヒール側に位置する。
【0061】
ヘッド24において、クラウン側の曲率半径Rは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Rは変化している。この曲率半径Rの変化は、連続的である。ヘッド24は、次の関係(a)を満たしている。更に、ヘッド24は、次の関係(a1)を満たしている。
(a)Rt>Rc≧Rh
(a1)Rt>Rc>Rh
【0062】
ヘッド24において、ソール側の曲率半径Sは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Sは変化している。この曲率半径Sの変化は、連続的である。ヘッド24は、次の関係(b)を満たしていない。ヘッド24は、次の関係(b1)を満たしていない。ヘッド24は、次の関係(b2)を満たしている。関係(b2)により、曲率半径Stが抑制されうる。
(b)St>Sc≧Sh
(b1)St>Sc>Sh
(b2)St<Sc>Sh
【0063】
ヘッド厚Tに関して、ヘッド24は、次の関係(c)を満たしている。
(c)Tt>Tc>Th
【0064】
フェース高さFに関して、ヘッド24は、次の関係(d)を満たしている。
(d)Ft<Fc>Fh
【0065】
フェース高さFとヘッド厚Tとの比について、ヘッド24は、次の関係(e)を満たしている。
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0066】
ヘッド24は、次の関係(f)を満たしている。ヘッド24は、次の関係(f1)を満たしていない。ヘッド24では、センターでの比(Fc/Tc)が、ヒールでの比(Fh/Th)に等しい。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0067】
ヘッド24では、曲率半径Stが、曲率半径Rtよりも小さい。また、曲率半径Scが、曲率半径Rcよりも小さい。また、曲率半径Shが、曲率半径Rhよりも大きい。
【0068】
ドライバーヘッドの他の例である第2実施形態において、各寸法は以下の通りである。
・クラウン側の曲率半径Rt:11.40mm
・クラウン側の曲率半径Rc: 9.43mm
・クラウン側の曲率半径Rh: 7.99mm
・ソール側の曲率半径St: 8.89mm
・ソール側の曲率半径Sc: 9.30mm
・ソール側の曲率半径Sh: 9.08mm
・フェース高さFt: 41.58mm
・フェース高さFc: 42.41mm
・フェース高さFh: 39.42mm
・ヘッド厚Tt: 60.75mm
・ヘッド厚Tc: 59.91mm
・ヘッド厚Th: 55.69mm
【0069】
図10は、第3実施形態のヘッド44を上側から見た平面図である。
図11は、ヘッド44の正面図である。
図11は、前記基準状態にあるヘッド44をフェース側から見た図である。
図12(a)は
図11のa-a線に沿った断面図であり、
図12(b)は
図11のb-b線に沿った断面図であり、
図12(c)は
図11のc-c線に沿った断面図である。
図12(a)、
図12(b)及び
図12(c)では、縦断面線が示されている。
図12(a)は、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における縦断面線である。
図12(b)は、フェースセンターC1の位置における縦断面線である。
図12(c)は、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における縦断面線である。
【0070】
ヘッド44は、フェース部50、クラウン部52、ソール部54及びホーゼル部56を有する。フェース部50は、打撃フェース50aを有する。打撃フェース50aは、フェース部50の外面により構成されている。打撃フェース50aは、ヘッド外側に向かって凸の曲面を構成している。打撃フェース50aは、フェースバルジ及びフェースロールを有する。クラウン部52は、クラウン面52aを形成している。ソール部54は、ソール面54aを形成している。打撃フェース50a、クラウン面52a及びソール面54aは、ヘッド外面である。ヘッド44は中空構造を有する。ヘッド44は、フェアウェイウッド型ヘッドである。ヘッド44は、5番ウッドである。
【0071】
図10が示すように、クラウン部52は、クラウン段差60を有する。クラウン段差60は、クラウン面52aに段差を形成している。
図12(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置において、クラウン段差60は、そのフェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。
図12(b)が示すように、フェースセンターC1の位置において、クラウン段差60は、そのフェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。
図12(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置において、クラウン段差60は、そのフェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。主打撃領域の全体において、クラウン段差60は、そのフェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。このクラウン段差60により、クラウン部52は、フェース-バック方向に伸縮しやすくなる。このクラウン段差60は、反発性能の向上に寄与しうる。
【0072】
ヘッド44において、クラウン側の曲率半径Rは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Rは変化している。この曲率半径Rの変化は、連続的である。ヘッド44は、次の関係(a)を満たしている。更に、ヘッド44は、次の関係(a1)を満たしている。
(a)Rt>Rc≧Rh
(a1)Rt>Rc>Rh
【0073】
ヘッド44において、ソール側の曲率半径Sは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Sは変化している。この曲率半径Sの変化は、連続的である。ヘッド44は、次の関係(b)を満たしていない。ヘッド44は、次の関係(b1)を満たしていない。ヘッド44は、次の関係(b2)を満たしていない。ヘッド44は、次の関係(b3)を満たしている。ヘッド44では、曲率半径Stが曲率半径Scよりも小さい。ヘッド44では、曲率半径Scが曲率半径Shよりも小さい。関係(b3)により、曲率半径Stが抑制されうる。
(b)St>Sc≧Sh
(b1)St>Sc>Sh
(b2)St<Sc>Sh
(b3)St<Sc<Sh
【0074】
ヘッド厚Tに関して、ヘッド44は、次の関係(c)を満たしていない。ヘッド44は、次の関係(c1)を満たしている。ヘッド44では、ヘッド厚Ttがヘッド厚Tcよりも小さい。ヘッド44では、ヘッド厚Tcがヘッド厚Thよりも大きい。
(c)Tt>Tc>Th
(c1)Tt<Tc>Th
【0075】
ヘッド44(フェアウェイウッド型ヘッド)では、ヘッド厚Ttとヘッド厚Thとの差は、ドライバーヘッドと比べて小さくされうる。差(Tt-Th)は、5.0mm以下、更には4.5mm以下、更には4.0mm以下とされうる。差(Tt-Th)は、1.0mm以上、更には1.5mm以上、更には2.0mm以上とされうる。
【0076】
フェース高さFに関して、ヘッド44は、次の関係(d)を満たしている。
(d)Ft<Fc>Fh
【0077】
ヘッド44(フェアウェイウッド型ヘッド)において、フェース高さFtは抑制され、フェース高さFhに近い。フェース高さFtは、フェース高さFcよりも小さい。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも大きい。しかし、フェース高さFtは、フェース高さFhに略等しい。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも小さくてもよい。差(Ft-Fh)の絶対値は、1.5mm以下、更には1.0mm以下、更には0.5mm以下とされうる。
【0078】
フェース高さFとヘッド厚Tとの比について、ヘッド44は、次の関係(e)を満たしている。
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0079】
更に、ヘッド44は、次の関係(f)及び(f1)を満たしている。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0080】
ヘッド44では、曲率半径Stが、曲率半径Rtよりも小さい。ヘッド44では、曲率半径Scが、曲率半径Rcよりも小さい。ヘッド44では、曲率半径Shが、曲率半径Rhよりも小さい。
【0081】
フェアウェイウッド型ヘッドの一例である第3実施形態において、各寸法は以下の通りとされうる。
・クラウン側の曲率半径Rt:12.33mm
・クラウン側の曲率半径Rc:10.11mm
・クラウン側の曲率半径Rh: 7.72mm
・ソール側の曲率半径St: 3.25mm
・ソール側の曲率半径Sc: 3.47mm
・ソール側の曲率半径Sh: 3.63mm
・フェース高さFt: 22.81mm
・フェース高さFc: 24.46mm
・フェース高さFh: 22.72mm
・ヘッド厚Tt: 36.37mm
・ヘッド厚Tc: 36.39mm
・ヘッド厚Th: 33.45mm
【0082】
図13は、第4実施形態のヘッド64を上側から見た平面図である。
図14は、ヘッド64の正面図である。
図14は、前記基準状態にあるヘッド64をフェース側から見た図である。
図15(a)は
図14のa-a線に沿った断面図であり、
図15(b)は
図14のb-b線に沿った断面図であり、
図15(c)は
図14のc-c線に沿った断面図である。
図15(a)、
図15(b)及び
図15(c)では、縦断面線が示されている。
図15(a)は、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置における縦断面線である。
図15(b)は、フェースセンターC1の位置における縦断面線である。
図15(c)は、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置における縦断面線である。
【0083】
ヘッド64は、フェース部70、クラウン部72、ソール部74及びホーゼル部76を有する。フェース部70は、打撃フェース70aを有する。打撃フェース70aは、フェース部70の外面により構成されている。打撃フェース70aは、ヘッド外側に向かって凸の曲面を構成している。打撃フェース70aは、フェースバルジ及びフェースロールを有する。クラウン部72は、クラウン面72aを形成している。ソール部74は、ソール面74aを形成している。打撃フェース70a、クラウン面72a及びソール面74aは、ヘッド外面である。なお、ヘッド64は中空構造を有する。ヘッド64は、ハイブリッド型ヘッドである。
【0084】
図13が示すように、クラウン部72は、クラウン段差80を有する。クラウン段差80は、クラウン面72aに段差を形成している。
図15(a)が示すように、フェースセンターC1から15mmトウ側の位置において、クラウン段差80は、フェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。
図15(b)が示すように、フェースセンターC1の位置において、クラウン段差80は、フェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。
図15(c)が示すように、フェースセンターC1から15mmヒール側の位置において、クラウン段差80は、フェース側がバック側に対して高くなるような段差を形成している。
【0085】
ヘッド64において、クラウン側の曲率半径Rは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Rは変化している。この曲率半径Rの変化は、連続的である。ヘッド64は、次の関係(a)を満たしている。更に、ヘッド64は、次の関係(a1)を満たしている。
(a)Rt>Rc≧Rh
(a1)Rt>Rc>Rh
【0086】
ヘッド64において、ソール側の曲率半径Sは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Sは変化している。この曲率半径Sの変化は、連続的である。ヘッド64は、次の関係(b)を満たしていない。ヘッド64は、次の関係(b1)を満たしていない。ヘッド64は、次の関係(b3)を満たしていない。ヘッド64は、次の関係(b2)を満たしている。
(b)St>Sc≧Sh
(b1)St>Sc>Sh
(b2)St<Sc>Sh
(b3)St<Sc<Sh
【0087】
ヘッド厚Tに関して、ヘッド64は、次の関係(c)を満たしていない。ヘッド64は、次の関係(c1)を満たしている。
(c)Tt>Tc>Th
(c1)Tt<Tc>Th
【0088】
ヘッド厚Ttは、ヘッド厚Thよりも大きい。ヘッド64(ハイブリッド型ヘッド)では、ヘッド厚Ttとヘッド厚Thとの差は、ドライバーヘッドと比べて小さくされうる。差(Tt-Th)は、4.0mm以下、更には3.5mm以下、更には3.0mm以下とされうる。差(Tt-Th)は、0.5mm以上、更には1.0mm以上、更には1.5mm以上とされうる。
【0089】
フェース高さFに関して、ヘッド64は、次の関係(d)を満たしている。
(d)Ft<Fc>Fh
【0090】
ヘッド64(ハイブリッド型ヘッド)において、フェース高さFtは抑制され、フェース高さFhに近い。フェース高さFtは、フェース高さFcよりも小さい。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも小さい。フェース高さFtは、フェース高さFhに略等しい。フェース高さFtは、フェース高さFhよりも大きくてもよい。差(Ft-Fh)の絶対値は、2.0mm以下、更には1.5mm以下、更には1.0mm以下とされうる。
【0091】
フェース高さFとヘッド厚Tとの比について、ヘッド64は、次の関係(e)を満たしている。
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0092】
更に、ヘッド64は、次の関係(f)及び(f1)を満たしている。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0093】
ヘッド64では、曲率半径Stが、曲率半径Rtよりも小さい。また、曲率半径Scが、曲率半径Rcよりも小さい。また、曲率半径Shが、曲率半径Rhよりも小さい。
【0094】
ハイブリッド型ヘッドの一例である第4実施形態において、各寸法は以下の通りとされうる。
・クラウン側の曲率半径Rt: 9.50mm
・クラウン側の曲率半径Rc: 8.02mm
・クラウン側の曲率半径Rh: 6.50mm
・ソール側の曲率半径St: 3.49mm
・ソール側の曲率半径Sc: 3.50mm
・ソール側の曲率半径Sh: 3.49mm
・フェース高さFt: 25.85mm
・フェース高さFc: 27.14mm
・フェース高さFh: 25.87mm
・ヘッド厚Tt: 35.57mm
・ヘッド厚Tc: 35.83mm
・ヘッド厚Th: 33.49mm
【0095】
図16は、第5実施形態のヘッド84の正面図である。ヘッド84は、フェース部90、クラウン部92、ソール部94及びホーゼル部96を有する。フェース部90は、打撃フェース90aを有する。クラウン部92は、クラウン面92aを形成している。ソール部94は、ソール面94aを形成している。ヘッド84は中空構造を有する。ヘッド84は、フェアウェイウッド型ヘッドである。
【0096】
ヘッド84において、クラウン側の曲率半径Rは、少し変化しているか又は一定である。主打撃領域において、曲率半径Rの変化量は、1.0mm以下、更には.0.8mm以下、更には0.6mm以下、更には0.4mm以下とされうる。ヘッド84は、次の関係(a)及び(a1)を満たしていない。ヘッド84は、関係(a)及び/又は(a1)を満たしていてもよい。
(a)Rt>Rc≧Rh
(a1)Rt>Rc>Rh
【0097】
ヘッド84において、ソール側の曲率半径Sは一定ではない。トウ-ヒール方向の位置によって、曲率半径Sは変化している。この曲率半径Sの変化は、連続的である。ヘッド84は、次の関係(b)を満たしている。ヘッド84は、次の関係(b1)を満たしている。
(b)St>Sc≧Sh
(b1)St>Sc>Sh
【0098】
曲率半径R及び曲率半径Sを除き、ヘッド84は、第3実施形態のヘッド44と同じである。ヘッド44では曲率半径Sよりも曲率半径Rの変化が大きいが、ヘッド84では曲率半径Rよりも曲率半径Sの変化が大きい。
【0099】
フェース高さFに関して、ヘッド84は、次の関係(d)を満たしていない。ヘッド84は、次の(d1)を満たしている。
(d)Ft<Fc>Fh
(d1)Ft<Fc<Fh
【0100】
ヘッド84(フェアウェイウッド型ヘッド)では、曲率半径Stが大きくされ、フェース高さFtは小さくされている。フェース高さFtはフェース高さFhよりも小さい。
【0101】
フェース高さFとヘッド厚Tとの比について、ヘッド84は、次の関係(e)を満たしている。
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0102】
更に、ヘッド84は、次の関係(f)及び(f1)を満たしている。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0103】
ヘッド84では、曲率半径Stが、曲率半径Rtよりも小さい。また、曲率半径Scが、曲率半径Rcよりも小さい。また、曲率半径Shが、曲率半径Rhよりも小さい。
【0104】
上述した各実施形態は、以下の効果を奏する。
【0105】
下記関係(a)及び関係(b)の少なくとも一方を満たし、トウ側の曲率半径Rt及び曲率半径Stの少なくとも一方を大きくすることで、フェース高さFtが抑制され、下記関係(e)が成立しうる。この場合、トウ側での打撃において、曲率半径が大きい境界部(曲率半径Rt及び/又は曲率半径Stの部分)が撓み、且つ、フェース高さFtが小さいため、フェース部への負荷は低減される。よってヘッドの耐久性が向上する(トウ耐久性向上効果)。フェース高さFtが抑制されると、フェース部の撓みが小さくなり、反発性能が低下する原因となりうる。しかし、曲率半径Rt及び/又はStが大きい境界部が撓むため、トウ側における全体的な撓み量は維持されうる。よって、反発性能は維持されうる(トウ反発維持効果)。一方、ヒール側では、ヘッドの構造として基本的にフェース高さFhは小さいため、耐久性において有利である。曲率半径Rh及び/又は曲率半径Shを小さくすることで、フェース高さFhを確保することができる。フェース高さFhを確保することで、ヒール側においてフェース部10の撓みが確保され、反発性能を高めることができる(ヒール反発向上効果)。また、ヒール側においてフェース高さFhを維持することで、視認される打撃フェースが狭くならず、アドレスでの安心感が得られる。これらの観点から、下記の(a1)及び(b1)の少なくとも一方を満たすのがより好ましい。
(a)Rt>Rc≧Rh
(b)St>Sc≧Sh
(a1)Rt>Rc>Rh
(b1)St>Sc>Sh
(e)Ft/Tt < Fh/Th
【0106】
主打撃領域における上記関係が成立することで、実際の打撃において上記効果が高められている。
【0107】
上記第1、第2、第3及び第4実施形態は、上記関係(a)又は(a1)を満たし、上記関係(e)が成立している。このため、トウ側での打撃において、大きな曲率半径Rtを有するクラウン側境界部が撓むと共に、トウ側のフェース高さFtが抑制されている。よって、トウ側においてフェース部への負荷が低減され、ヘッドの耐久性が向上する(トウ耐久性向上効果)。フェース高さFtが抑制されると、フェース部の撓みが小さくなり反発性能が低下しうるが、曲率半径Rtの部分が撓むため、全体としての撓み量は維持されうる。よってトウ側の反発性能は維持されうる(トウ反発維持効果)。一方、ヒール側では、基本的にフェース高さFhが小さく、耐久性において有利である。曲率半径Rhを小さくすることで、フェース高さFhを確保することができる。フェース高さFhを確保することで、ヒール側においてフェース部の撓みを確保することができ、反発性能を高めることができる(ヒール反発向上効果)。これらの効果により、フェース部全体での反発性能と耐久性とを向上させることができる。また、ヒール側においてフェース高さFhを維持することで、視認される打撃フェースが小さくならず、アドレスでの安心感が得られる。
【0108】
上記第1、第2、第3及び第4実施形態は、下記関係(f)を満たす。更に、上記第1、第3及び第4実施形態は、下記関係(f1)を満たす。よって、上記関係(e)に基づく効果が更に高められている。
(f)Ft/Tt < Fc/Tc ≦ Fh/Th
(f1)Ft/Tt < Fc/Tc < Fh/Th
【0109】
上記第1、第2、第3及び第4実施形態は、関係(b)及び(b1)を満たしていない。ヘッドは、関係(a)に代えて、関係(b)を満たしていてもよい。また、ヘッドは、関係(a1)に代えて、関係(b1)を満たしていてもよい。ヘッドは、関係(a)及び(b)を満たしていてもよい。また、ヘッドは、関係(a1)及び(b1)を満たしていてもよい。フェース高さFtが過小であると、打撃フェースが狭く見えて、アドレスでの安心感が減少しうる。この観点から、関係(a)を満たしている場合は関係(b)を満たしていないのが好ましく、関係(b2)又は(b3)を満たしているのがより好ましい。関係(a1)を満たしている場合は、関係(b1)を満たしていないのが好ましく、関係(b2)又は(b3)を満たしているのがより好ましい。
【0110】
上記第5実施形態は、関係(b)及び(b1)を満たしている。関係(b)及び(b1)を満たす場合、ソール側の曲率半径Sの変化が大きいため、ソール面の形状に対する影響が増加しやすい。ソール面の形状は、ヘッドの接地抵抗に影響する。ソール面の形状の設計自由度の観点からは、関係(b)及び(b1)を満たさないヘッドが好ましい。一方、関係(b)又は(b1)を満たす場合、曲率半径Rを変化させなくても、関係(e)が達成されうる。曲率半径Rを変化させる場合、アドレスにおけるヘッドの見え方に影響しやすい。アドレスにおけるヘッドの見え方を従来のヘッドと同じにしたい場合、関係(b)又は(b1)を満たすことができる。
【0111】
上記第5実施形態は、関係(b)及び(b1)を満たしている。フェース面における打点分布は、ヒールの下側からトウの上側にかけての領域において分布密度が高い。関係(b)又は(b1)を満たすことで、打点の分布密度が高い領域に打撃フェースを形成することが可能となる。
【0112】
フェースセンターC1から15mmトウ側の位置が、トウ基準位置とも称される。フェースセンターC1の位置が、センター位置とも称される。フェースセンターC1から15mmヒール側の位置が、ヒール基準位置とも称される。前記主打撃領域は、ヒール基準位置からトウ基準位置までの領域である。
【0113】
上記第1実施形態では、主打撃領域において、曲率半径Rは連続的に変化している。この主打撃領域では、曲率半径Rは、トウ側に行くにつれて大きくなっている。これらの点は、上記第2、第3及び第4実施形態も同じである。上記第5実施形態では、主打撃領域において、曲率半径Sは連続的に変化している。この主打撃領域では、曲率半径Sは、トウ側に行くにつれて大きくなっている。
【0114】
上記第1実施形態では、主打撃領域よりもトウ側においても、曲率半径Rが変化している(
図3参照)。トウ基準位置から5mmトウ側における曲率半径Rが、曲率半径Rt1である。曲率半径Rt1は、曲率半径Rtよりも大きい。トウ基準位置から15mmトウ側における曲率半径Rが、曲率半径Rt2である。曲率半径Rt2は、曲率半径Rtよりも大きい。曲率半径Rt2は、曲率半径Rt1よりも大きい。これらの点は、上記第2、第3及び第4実施形態も同じである。
【0115】
第3実施形態(フェアウェイウッド型ヘッド)及び第4実施形態(ハイブリッド型ヘッド)では、ソール側の曲率半径Sが、クラウン側の曲率半径Rよりも小さい。すなわち、曲率半径Stが曲率半径Rtよりも小さく、曲率半径Scが曲率半径Rcよりも小さく、且つ、曲率半径Shが曲率半径Rhよりも小さい。フェアウェイウッド型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドでは、ティーアップせず芝生に直接置かれたボールを打つ機会が多い。曲率半径Sが大きいと、接地面からリーディングエッジまでの鉛直方向距離が大きくなりやすい。この場合、芝生に直接置かれたボールを打つ際に、ミスショット(いわゆるトップ、英語ではthin shot)が生じやすい。第3及び第4実施形態では、このミスショットが抑制される。
【0116】
上記ミスショットを抑制する観点から、フェアウェイウッド型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドでは、以下が好ましい。曲率半径Stは、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がより好ましい。フェース高さFtを抑制する観点から、曲率半径Stは、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、2.5mm以上がより好ましい。
【0117】
上記ミスショットを抑制する観点から、フェアウェイウッド型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドでは、以下が好ましい。曲率半径Scは、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がより好ましい。接地抵抗の観点から、曲率半径Scは、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、2.5mm以上がより好ましい。
【0118】
上記ミスショットを抑制する観点、及びフェース高さFhを維持する観点から、フェアウェイウッド型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドでは、以下が好ましい。曲率半径Shは、7.0mm以下が好ましく、6.0mm以下がより好ましく、5.0mm以下がより好ましく、4.0mm以下がより好ましい。接地抵抗の観点から、曲率半径Shは、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、2.5mm以上がより好ましい。
【0119】
ドライバーヘッドでは、フェアウェイウッド型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドに比較して、曲率半径Sが大きく設定されうる。ドライバーヘッドは、ティーアップされたボールを打撃するため、上記ミスショットを生じにくい。また、ドライバーヘッドでは、フェース高さFが比較的大きく、フェース高さFを減らす余地が大きい。これらの観点から、ドライバーヘッドでは、曲率半径Sを比較的大きくして、ソール側の境界部の撓みを増やし、反発性能を高めるのがよい。ドライバーヘッドでは、曲率半径St、曲率半径Sc及び曲率半径Shは、7.5mm以上、更には8.0mm以上、更には8.5mm以上とされうる。過小な曲率半径フェース高さFtを防止する観点から、ドライバーヘッドでは、曲率半径St、曲率半径Sc及び曲率半径Shは、12.0mm以下、更には11.0mm以下、更には10.0mm以下とされうる。
【0120】
上記ミスショットを抑制する観点から、Rt/Stは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がより好ましい。曲率半径St及びフェース高さFtの好ましい値を考慮すると、Rt/Stは、5.0以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4.0以下がより好ましい。
【0121】
上記ミスショットを抑制する観点から、Rc/Scは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がより好ましい。曲率半径Sc及びフェース高さFcの好ましい値を考慮すると、Rc/Scは、5.0以下が好ましく、4.5以下がより好ましく、4.0以下がより好ましい。
【0122】
上記ミスショットを抑制する観点から、Rh/Shは、1.0以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がより好ましい。曲率半径Sh及びフェース高さFhの好ましい値を考慮すると、Rh/Shは、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下がより好ましい。
【0123】
Rt/Rhは、トウ側の曲率半径Rtとヒール側の曲率半径Rhとの比である。トウ耐久性向上効果、トウ反発維持効果及びヒール反発向上効果の観点から、Rt/Rhは、1.20以上が好ましく、1.25以上がより好ましく、1.30以上がより好ましく、1.35以上がより好ましく、1.40以上がより好ましい。曲率半径Rtが過大であると、フェース高さFtが過小となり、アドレス時の安心感が低下しうる。この観点から、Rt/Rhは、1.80以下が好ましく、1.75以下がより好ましく、1.70以下がより好ましい。
【0124】
上記関係(a)又は(a1)を満たしており、Rt/Rhが大きい場合、St/Shは小さいのが好ましい。Rt/Rh及びSt/Shが大きいと、フェース高さFtが過小となりうる。フェース高さFtが過小であると、アドレスでの安心感が低下しうる。この観点から、Rt/Rhが1.20以上の上記好ましい範囲である場合、St/Shは、1.15以下が好ましく、1.10以下がより好ましく、1.05以下がより好ましい。曲率半径Stが過小であると、フェース高さFtが増加し、上記トウ耐久性向上効果が低下しうる。この観点から、St/Shは、0.80以上が好ましく、0.85以上がより好ましく、0.90以上がより好ましい。
【0125】
Ft/Fhは、トウ側のフェース高さFtとヒール側のフェース高さFhとの比である。トウ耐久性向上効果、トウ反発維持効果及びヒール反発向上効果の観点から、Ft/Fhは、1.15以下が好ましく、1.12以下がより好ましく、1.09以下がより好ましく、1.06以下がより好ましい。曲率半径Rt又は曲率半径Stが過大となり、フェース高さFtが過小となると、アドレス時の安心感が低下しうる。この観点から、Ft/Fhは、0.85以上が好ましく、0.90以上がより好ましく、0.95以上がより好ましい。
【0126】
図3が示すように、トウ基準位置から5mmトウ側の位置における曲率半径Rが、曲率半径Rt1である。曲率半径Rt1は、曲率半径Rtよりも大きい。この位置におけるフェース高さFは、フェース高さFt1である。フェース高さFt1は、フェース高さFtよりも小さい。
【0127】
図3が示すように、トウ基準位置から15mmトウ側の位置におけるフェース高さFが、フェース高さFt2である。フェース高さFt2は、フェース高さFtよりも小さい。この位置における曲率半径Rが曲率半径Rt2であり、この位置における曲率半径Sが曲率半径St2である。前述の通り、曲率半径Rt2は、曲率半径Rtよりも大きい。大きな曲率半径Rt2により、フェース高さFt2は小さい。
【0128】
上記効果を主打撃領域よりもトウ側に拡張する観点から、Ft2/Fhは、0.97以下が好ましく、0.94以下がより好ましく、0.91以下がより好ましい。曲率半径Rt2又は曲率半径St2が過大となり、フェース高さFt2が過小となると、アドレス時の安心感が低下しうる。この観点から、Ft2/Fhは、0.55以上が好ましく、0.60以上がより好ましく、0.65以上がより好ましい。
【0129】
上記関係(a)又は(a1)と関係(e)とを満たしつつ、これらの関係に基づく上記効果を高め、且つ、各ヘッドタイプの仕様に適合させる観点から、曲率半径Rは以下の範囲とされうる。以下の記載において、(x)が好ましい範囲であり、(y)がより好ましい範囲であり、(z)が更に好ましい範囲である。
【0130】
[ドライバーヘッドの曲率半径Rt]
(x)9.5mm以上13.5mm以下
(y)10.0mm以上13.0mm以下
(z)10.5mm以上12.5mm以下
【0131】
[ドライバーヘッドの曲率半径Rc]
(x)7.5mm以上11.5mm以下
(y)8.0mm以上11.0mm以下
(z)8.5mm以上10.5mm以下
【0132】
[ドライバーヘッドの曲率半径Rh]
(x)6.0mm以上10.0mm以下
(y)6.5mm以上9.5mm以下
(z)7.0mm以上9.0mm以下
【0133】
[フェアウェイウッド型ヘッドの曲率半径Rt]
(x)10.0mm以上14.0mm以下
(y)10.5mm以上13.5mm以下
(z)11.0mm以上13.0mm以下
【0134】
[フェアウェイウッド型ヘッドの曲率半径Rc]
(x)8.0mm以上12.0mm以下
(y)8.5mm以上11.5mm以下
(z)9.0mm以上11.0mm以下
【0135】
[フェアウェイウッド型ヘッドの曲率半径Rh]
(x)6.0mm以上10.0mm以下
(y)6.5mm以上9.5mm以下
(z)7.0mm以上9.0mm以下
【0136】
[ハイブリッド型ヘッドの曲率半径Rt]
(x)7.5mm以上11.5mm以下
(y)8.0mm以上11.0mm以下
(z)8.5mm以上10.5mm以下
【0137】
[ハイブリッド型ヘッドの曲率半径Rc]
(x)6.0mm以上10.0mm以下
(y)6.5mm以上9.5mm以下
(z)7.0mm以上9.0mm以下
【0138】
[ハイブリッド型ヘッドの曲率半径Rh]
(x)4.5mm以上8.5mm以下
(y)5.0mm以上8.0mm以下
(z)5.5mm以上7.5mm以下
【0139】
上記関係(e)、(f)又は(f1)を満たしつつ、これらの関係に起因する上記効果を高め、且つ、各ヘッドタイプの仕様に適合させる観点から、比(F/T)は以下の範囲とされうる。以下の記載において、(x)が好ましい範囲であり、(y)がより好ましい範囲であり、(z)が更に好ましい範囲である。
【0140】
[ドライバーヘッドのFt/Tt]
(x)0.61以上0.71以下
(y)0.62以上0.70以下
(z)0.63以上0.69以下
【0141】
[ドライバーヘッドのFc/Tc]
(x)0.62以上0.72以下
(y)0.63以上0.71以下
(z)0.64以上0.70以下
【0142】
[ドライバーヘッドのFh/Th]
(x)0.64以上0.74以下
(y)0.65以上0.73以下
(z)0.66以上0.72以下
【0143】
[フェアウェイウッド型ヘッドのFt/Tt]
(x)0.58以上0.68以下
(y)0.59以上0.67以下
(z)0.60以上0.66以下
【0144】
[フェアウェイウッド型ヘッドのFc/Tc]
(x)0.62以上0.72以下
(y)0.63以上0.71以下
(z)0.64以上0.70以下
【0145】
[フェアウェイウッド型ヘッドのFh/Th]
(x)0.63以上0.73以下
(y)0.64以上0.72以下
(z)0.65以上0.71以下
【0146】
[ハイブリッド型ヘッドのFt/Tt]
(x)0.68以上0.78以下
(y)0.69以上0.77以下
(z)0.70以上0.76以下
【0147】
[ハイブリッド型ヘッドのFc/Tc]
(x)0.71以上0.81以下
(y)0.72以上0.80以下
(z)0.73以上0.79以下
【0148】
[ハイブリッド型ヘッドのFh/Th]
(x)0.72以上0.82以下
(y)0.73以上0.81以下
(z)0.74以上0.80以下
【0149】
ドライバーヘッド(ドライバーに準ずるミニドライバーを含む)の一般的な仕様として、以下の(1a)から(1e)が挙げられる。
(1a)曲面の打撃フェース
(1b)中空構造
(1c)300cm3以上470cm3以下の体積
(1d)7度以上13度以下のリアルロフト角
(1e)クラウンの存在
【0150】
フェアウェイウッド型ヘッドの番手として、3番ウッド(W#3)、4番ウッド(W#4)、5番ウッド(W#5)、7番ウッド(W#7)、9番ウッド(W#9)、11番ウッド(W#11)及び13番ウッド(W#13)が例示される。一般的なフェアウェイウッド型ヘッドの仕様として、以下の(2a)から(2e)が挙げられる。
(2a)曲面の打撃フェース
(2b)中空構造
(2c)100cm3以上で300cm3より小さい体積
(2d)13度より大きく33度以下のリアルロフト角
(2e)クラウンの存在
【0151】
ハイブリッド型ヘッドの番手として、ハイブリッド3番(H3)、ハイブリッド4番(H4)、ハイブリッド5番(H5)及びハイブリッド6番(H6)が例示される。一般的なハイブリッド型ヘッドの構成として、以下の(3a)から(3e)が挙げられる。
(3a)曲面の打撃フェース
(3b)中空構造
(3c)90cm3以上140cm3以下の体積
(3d)15度以上33度以下のリアルロフト角
(3e)クラウンの存在
【0152】
ハイブリッド型ヘッドは、日本ではユーティリティ型ヘッドとも称される。また、ハイブリッド型ヘッドは、ウッド型とアイアン型とに区別される場合がある。アイアン型のハイブリッドヘッドは、クラウンを有さない。
【0153】
クラウンを有し、ロフト角(リアルロフト角)が13度よりも大きく、且つ、体積が300cm
3より小さいヘッドは、フェアウェイウッド型ヘッド又はハイブリッド型ヘッドとされうる。フェアウェイウッド型ヘッドとハイブリッド型ヘッドとは、W1/W2で区別されうる。
図13において両矢印W1で示されるのは、ヘッドのフェース-バック方向幅である。
図13において両矢印W2で示されるのは、ヘッドのトウ-ヒール方向幅である。ハイブリッド型ヘッドでは、W1/W2が0.65未満である。フェアウェイウッド型ヘッドでは、W1/W2が0.65以上である。クラウンを有し、体積が300cm
3以上であるヘッドは、ドライバーヘッドとされうる。
【0154】
図17(a)は
図3のa-a線に沿った断面図であり、
図17(b)は
図3のb-b線に沿った断面図であり、
図17(c)は
図3のc-c線に沿った断面図である。
図5(a)から(c)と異なり、これらはヘッド肉厚の断面を含む完全な断面図である。
図17(a)は、トウ基準位置における断面図である。
図17(b)は、センター位置における断面図である。
図17(c)は、ヒール基準位置における断面図である。
【0155】
図6で説明した通り、各縦断面において、ヘッド4の外面は、クラウン側に点P1、P2及びP3を有しており、且つ、ソール側に点P1、P4及びP5を有している。
【0156】
クラウン側において、点P1における肉厚がX1(mm)とされ、点P2における肉厚がX2(mm)とされ、点P3における肉厚がX3(mm)とされる。ソール側において、点P1における肉厚がY1(mm)とされ、点P4における肉厚がY2(mm)とされ、点P5における肉厚がY3(mm)とされる。肉厚は、ヘッド4の外面と内面との間の厚みである。肉厚は、縦断面において測定され、ヘッド4の外面の法線に沿って測定される。
【0157】
図17(a)が示すように、トウ基準位置におけるX1がXt1とされ、トウ基準位置におけるX2がXt2とされ、トウ基準位置におけるX3がXt3とされる。また、トウ基準位置におけるY1がYt1とされ、トウ基準位置におけるY2がYt2とされ、トウ基準位置におけるY3がYt3とされる。
【0158】
図17(b)が示すように、センター位置におけるX1がXc1とされ、センター位置におけるX2がXc2とされ、センター位置におけるX3がXc3とされる。また、センター位置におけるY1がYc1とされ、センター位置におけるY2がYc2とされ、センター位置におけるY3がYc3とされる。
【0159】
図17(c)が示すように、ヒール基準位置におけるX1がXh1とされ、ヒール基準位置におけるX2がXh2とされ、ヒール基準位置におけるX3がXc3とされる。また、ヒール基準位置におけるY1がYh1とされ、ヒール基準位置におけるY2がYh2とされ、ヒール基準位置におけるY3がYc3とされる。
【0160】
肉厚Xt3は、肉厚Xc3よりも小さい。肉厚Xc3は、肉厚Xh3よりも小さい。クラウン側において、次の関係(g)が成立している。
(g)Xt3<Xc3<Xh3
【0161】
主打撃領域において、肉厚X3はトウ-ヒール方向において連続的に変化している。この主打撃領域では、肉厚X3は、トウ側に行くにつれて薄くなっている。
【0162】
図17(a)が示すように、肉厚Xt1は、肉厚Xt2より大きい。肉厚Xt1は、肉厚Xt3よりも大きい。肉厚Xt2は、肉厚Xt3よりも大きい。肉厚Yt1は、肉厚Yt2より大きい。肉厚Yt1は、肉厚Yt3よりも大きい。肉厚Yt2は、肉厚Yt3よりも大きい。
【0163】
図17(b)が示すように、肉厚Xc1は、肉厚Xc2より大きい。肉厚Xc1は、肉厚Xc3よりも大きい。肉厚Xc2は、肉厚Xc3よりも大きい。肉厚Yc1は、肉厚Yc2より大きい。肉厚Yc1は、肉厚Yc3よりも大きい。肉厚Yc2は、肉厚Yc3よりも大きい。
【0164】
図17(c)が示すように、肉厚Xh1は、肉厚Xh2より大きい。肉厚Xh1は、肉厚Xh3よりも大きい。肉厚Xh2は、肉厚Xh3よりも大きい。肉厚Yh1は、肉厚Yh2より大きい。肉厚Yh1は、肉厚Yh3よりも大きい。肉厚Yh2は、肉厚Yh3よりも大きい。
【0165】
このように、トウ基準位置、センター位置及びヒール基準位置において、クラウン側では、次の関係(i1)及び(i2)が成立している。
(i1)X1>X3
(i2)X1>X2>X3
【0166】
また、トウ基準位置、センター位置及びヒール基準位置において、ソール側では、次の関係(j1)及び(j2)が成立している。
(j1)Y1>Y3
(j2)Y1≧Y2>Y3
【0167】
トウ耐久性向上効果及びトウ反発維持効果の観点から、上記第1から第4実施形態のように、上記関係(a)又は(a1)を満たす場合、上述した次の関係(g)を満たすのが好ましい。
(g)Xt3<Xc3<Xh3
【0168】
トウ耐久性向上効果及びトウ反発維持効果の観点から、上記第5実施形態のように、上記関係(b)又は(b1)を満たす場合、肉厚Yt3が肉厚Yc3よりも小さいのが好ましく、肉厚Yc3は肉厚Yh3よりも小さいのが好ましく、下記の関係(h)が成立しているのがより好ましい。またこの場合、主打撃領域において、肉厚Y3はトウ-ヒール方向において連続的に変化しているのが好ましい。
(h)Yt3<Yc3<Yh3
【0169】
トウ耐久性向上効果及びトウ反発維持効果の観点から、肉厚Xt3は、1.2mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、1.0mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Xt3は、0.4mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上がより好ましい。
【0170】
反発性能の観点から、肉厚Xc3は、1.2mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、1.0mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Xc3は、0.4mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上がより好ましい。
【0171】
反発性能の観点から、肉厚Xh3は、1.2mm以下が好ましく、1.1mm以下がより好ましく、1.0mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Xh3は、0.4mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましく、0.6mm以上がより好ましい。
【0172】
トウ耐久性向上効果及びトウ反発維持効果の観点から、肉厚Yt3は、1.3mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.1mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Yt3は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0173】
反発性能の観点から、肉厚Yc3は、1.3mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.1mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Yc3は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0174】
反発性能の観点から、肉厚Yh3は、1.3mm以下が好ましく、1.2mm以下がより好ましく、1.1mm以下がより好ましい。ヘッドの耐久性の観点から、肉厚Yh3は、0.5mm以上が好ましく、0.6mm以上がより好ましく、0.7mm以上がより好ましい。
【0175】
打撃フェースとクラウン面との境界部の肉厚がバック側に向かうにつれて薄くなることで、フェース寄りの部分ほど強くしつつ応力集中を分散させ、当該境界部を撓ませることができる。ヘッドの耐久性及び反発性能の観点から、上記第1から第5実施形態(ヘッド4、24、44、64、84)は、主打撃領域における少なくとも一断面において、次の関係(i1)を満たすのが好ましく、関係(i2)を満たすのがより好ましい。
(i1)X1>X3
(i2)X1>X2>X3
【0176】
打撃フェースとソール面との境界部の肉厚がバック側に向かうにつれて薄くなることで、フェース寄りの部分ほど強くしつつ応力集中を分散させ、当該境界部を撓ませることができる。ヘッドの耐久性及び反発性能の観点から、上記第1から第5実施形態(ヘッド4、24、44、64、84)は、主打撃領域における少なくとも一断面において、次の関係(j1)を満たすのが好ましく、関係(j2)を満たすのがより好ましい。
(j1)Y1>Y3
(j2)Y1≧Y2>Y3
【0177】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。以下の付記は、本願日本出願時のクレームセットである。
[付記1]
フェースセンターを含む打撃フェースと、クラウン面と、ソール面を有しており、
前記打撃フェースと前記クラウン面との境界部が、曲率半径Rを有しており、
前記打撃フェースと前記ソール面との境界部が、曲率半径Sを有しており、
前記打撃フェースが、フェース高さFを有しており、
前記ヘッドが、ヘッド厚Tを有しており、
前記フェースセンターから15mmトウ側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rtであり、前記曲率半径Sが曲率半径Stであり、前記フェース高さFがフェース高さFtであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Ttであり、
前記フェースセンターの位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rcであり、前記曲率半径Sが曲率半径Scであり、前記フェース高さFがフェース高さFcであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Tcであり、
前記フェースセンターから15mmヒール側の位置において、前記曲率半径Rが曲率半径Rhであり、前記曲率半径Sが曲率半径Shであり、前記フェース高さFがフェース高さFhであり、且つ、前記ヘッド厚Tがヘッド厚Thであるとき、
Ft/Ttが、Fh/Thがよりも小さく、
次の関係(a)又は(b)を満たすゴルフクラブヘッド。
(a)Rt>Rc≧Rh
(b)St>Sc≧Sh
[付記2]
次の前記関係(a)を満たす付記1に記載のゴルフクラブヘッド。
(a)Rt>Rc≧Rh
[付記3]
Rt/Rhが1.2以上である付記2に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記4]
ドライバーヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、9.5mm以上13.5mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、7.5mm以上11.5mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、6.0mm以上10.0mm以下である付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記5]
ロフト角が13°よりも大きく、
ヘッド体積が300cm3よりも小さく、
前記曲率半径Stが、前記曲率半径Rtよりも小さく、
前記曲率半径Scが、前記曲率半径Rcよりも小さく、
前記曲率半径Shが、前記曲率半径Rhよりも小さい付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記6]
フェアウェイウッド型ヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、10.0mm以上14.0mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、8.0mm以上12.0mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、6.0mm以上10.0mm以下である付記5に記載のゴルフクラブヘッド。
[付記7]
ハイブリッド型ヘッドであって、
前記曲率半径Rtが、7.5mm以上11.5mm以下であり、
前記曲率半径Rcが、6.0mm以上10.0mm以下であり、
前記曲率半径Rhが、4.5mm以上8.5mm以下である付記5に記載のゴルフクラブヘッド。
【符号の説明】
【0178】
2・・・ゴルフクラブ
4、24、44、64、84・・・ヘッド
6・・・シャフト
8・・・グリップ
10、30、50、70、90・・・フェース部
10a、30a、50a、70a、90a・・・打撃フェース
12、32、52、72、92・・・クラウン部
12a、32a、52a、72a、92a・・・クラウン面
14、34、54、74、94・・・ソール部
14a、34a、54a、74a、94a・・・ソール面
16、36、56、76、96・・・ホーゼル部
k1・・・打撃フェースの外縁
F・・・フェース高さ
Ft・・・トウ基準位置におけるフェース高さ
Fc・・・センター位置におけるフェース高さ
Fh・・・ヒール基準位置におけるフェース高さ
T・・・ヘッド厚
Tt・・・トウ基準位置におけるヘッド厚
Tc・・・センター位置におけるヘッド厚
Th・・・ヒール基準位置におけるヘッド厚
R・・・打撃フェースと前記クラウン面との境界部の曲率半径
Rt・・・トウ基準位置における、打撃フェースとクラウン面との境界部の曲率半径
Rc・・・センター位置における、打撃フェースとクラウン面との境界部の曲率半径
Rh・・・ヒール基準位置における、打撃フェースとクラウン面との境界部の曲率半径
S・・・打撃フェースとソール面との境界部の曲率半径
St・・・トウ基準位置における、打撃フェースとソール面との境界部の曲率半径
Sc・・・センター位置における、打撃フェースとソール面との境界部の曲率半径
Sh・・・ヒール基準位置における、打撃フェースとソール面との境界部の曲率半径
Z・・・シャフト軸線