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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086009
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】クッション
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A47C27/15 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200853
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521498911
【氏名又は名称】松崎 浩一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】松崎 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】山邊 博伸
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AA00
3B096AB02
3B096AB05
(57)【要約】
【課題】上体反らし姿勢保持中に、いわゆるうつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作することが可能なクッションを提供する。
【解決手段】上体反らし姿勢が保持可能であり、基材2と上部部材3とを含み、基材2は、上面、底面、両側面、正面傾斜面4及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、傾斜面4は胸部を支持するためのものであり、傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも傾斜面4は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、上部部材3は基材2の上面上に位置し、上部部材3の上面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部5を有し、少なくとも支持部5は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体で形成されているクッションである。基材2と上部部材3は一体化されていてもよいし、分離されていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上体反らし姿勢が保持可能なクッションであって、
前記クッションは、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、
前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、
前記クッションの上面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体で形成されていることを特徴とするクッション。
【請求項2】
上体反らし姿勢が保持可能なクッションであって、
前記クッションは、基材と上部部材とを含み、
前記基材は、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、
前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、
前記上部部材は基材上面上に位置し、前記上部部材の上面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体であることを特徴とするクッション。
【請求項3】
前記傾斜面は、JIS K 6400-2:2012のD法(25%硬度)で測定される硬さが120~190Nである請求項1又は2に記載のクッション。
【請求項4】
前記頚部及び/又は顎部を支持する支持部の下方側には、密度30~50Kg/m3及び反発弾性35%以上の樹脂発泡体層が配置されている請求項1又は2に記載のクッション。
【請求項5】
前記頚部及び/又は顎部を支持する支持部には、上下方向の溝状部を有する請求項1又は2に記載のクッション。
【請求項6】
前記基材と前記上部部材とは分離している請求項2に記載のクッション。
【請求項7】
前記クッションは、上面に行くにしたがって幅が狭い請求項1又は2に記載のクッション。
【請求項8】
前記クッションは、側地(表皮材)に収納されている請求項1又は2に記載のクッション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上体反らし姿勢が保持可能なクッションに関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向ブームを反映して、現在、スポーツクラブ、トレーニングジム、または家の中で、各種ストレッチを行なうことが広く普及している。ストレッチングは、身体を柔らかくするためにとても身近に行われており、意図的に筋や関節を伸ばす運動である。体の柔軟性を高めるのに効果的であり、準備運動や整理運動の一要素としても活用されている。最近では、理学療法領域やスポーツ現場、高齢者の健康維持等のみならず、美しい姿勢の保持やリラクゼーションの効果も言われている。ストレッチングに用いられるポーズとして、いわゆる上体反らし姿勢がある。上体反らし姿勢には、両ひじを肩の下で床について上体を起こす姿勢と手のひらを床について上体を起こす姿勢がある。上体反らし姿勢は、ひじ又は手をつく姿勢が基本であり、ひじ又は手で荷重を支える必要がある。したがって、気楽にできる姿勢ではなく、何らかの補助部材があれば、より気軽に行うことができる。
特許文献1には、座椅子としての機能を有し、また着座用のクッションとして使用できるとともに、腰に負担が生じた際は背筋を伸ばすストレッチ運動も行うことができるクッションが開示されている。主として座椅子としての使用を想定しており、背筋を伸ばす使い方は副次的なものであり、それに対する検討はなされていない。特許文献1の図5の(a)のように、手をついて上体を反らす運動に関し、アシストとしては機能するが、手を離した状態になると断面が略三角形状では安定せずに折れてしまい、しかも首等の圧迫感が大きく、気楽に読書等はできない。特許文献1の図5(b)に開示される通り、座椅子という観点から上半身を覆うような背もたれが記載されているが、これはうつ伏せの場合、両手の動きに制限を伴うこととなり、携帯電話や携帯ゲーム機の操作等、手を実際に使う作業が実質出来なくなる。
特許文献2には、枕本体の左右方向の中央上面を前後に亘り膨出させた副枕部に形成している枕が開示されており、うつ伏せ状態でゲーム機等でのゲームや読書を行うための枕である。当該技術は、うつ伏せ状態でゲーム機等を操作しても快適性を維持できると想定されるが、詰め物として発泡スチロールビーズのような流動性のあるものが開示されている通り、クッション性ではなくフィット性を重視しており、「上体を反らす」というストレッチ的な観点は全く考えられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3176695号公報
【特許文献2】特開2022-92844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1及び2はいずれも上体反らし姿勢保持中に、携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作することを目的にしたクッションではなく、いわゆるうつ伏せ状態で操作することは困難であった。
【0005】
本発明は上記問題を解決するため、上体反らし姿勢保持中に、いわゆるうつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作することが可能なクッションを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1番目のクッションは、上体反らし姿勢が保持可能なクッションであって、前記クッションは、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、前記クッションの上面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体で形成されているクッションに関する。
【0007】
本発明の第2番目のクッションは、上体反らし姿勢が保持可能なクッションであって、前記クッションは、基材と上部部材とを含み、前記基材は、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、前記上部部材は基材上面上に位置し、前記上部部材の上面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体であるクッションに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1番目のクッションは、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、前記クッションの上面側、特に上部正面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度35~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体で形成されていることにより、上体反らし姿勢保持中に、いわゆるうつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作することが可能なクッションを提供できる。
本発明の第2番目のクッションは、基材と上部部材とを含み、前記基材は、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、前記傾斜面は胸部を支持するためのものであり、前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、少なくとも前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、前記上部部材は基材上面上に位置し、前記上部部材の上面側、特に上部正面側には、頚部及び/又は顎部を支持する支持部を有し、少なくとも前記支持部は、密度36~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体であることにより、上体反らし姿勢保持中に、いわゆるうつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作することが可能なクッションを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は本発明の一実施形態のクッションの前方から見た模式的斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態のクッションの使用状態を示す説明図である。
図3図3は本発明の一実施形態のクッションの模式的正面図である。
図4図4は本発明の一実施形態のクッションの模式的左側面図である。
図5図5Aは本発明の一実施形態の上部部材の模式的平面図、図5Bは同模式的正面図、図5Cは同模式的右側面図である。
図6図6は本発明の別の実施形態のクッションの模式的左側面図である。
図7図7は本発明のさらに別の実施形態のクッションの模式的斜視図である。
図8図8は本発明のさらに別の実施形態のクッションの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第1番目のクッションは、上体反らし姿勢が保持可能なクッションである。前記クッションは、上面、底面、両側面、正面傾斜面及び背面を有し、側面形状が略台形状であり、前記傾斜面は胸部を支持するためのものである。前記傾斜面で胸部を支持し、前記クッションの上面は頚部及び/又は顎部を支持する支持面であることにより、上体反らし姿勢が保持可能である。前記傾斜面の仰角は平均30~60度であり、好ましくは平均32~55度であり、より好ましくは平均35~50度である。ここで傾斜面の仰角とは、底面と傾斜面の角度をいう。また、傾斜線は直線だけでなく、多少の曲線ないしは屈曲線を含んでもよい。このことから仰角の平均値で特定する。
【0011】
前記傾斜面は、密度18~35Kg/m3の樹脂発泡体で形成されており、好ましい密度は23~33Kg/m3であり、より好ましくは25~30Kg/m3である。また、反発弾性は通常21~45%程度である。前記クッションの上面は、頚部及び/又は顎部を支持する支持面であり、少なくとも前記支持面は、密度36~90Kg/m3であり、好ましい密度は38~88Kg/m3であり、より好ましくは40~86Kg/m3である。また前記支持面の反発弾性20%以下であり、好ましくは0~20%であり、より好ましくは0~15%である。
【0012】
本発明の第2番目のクッションは、基材と上部部材とに分離されていることを除き、第1番目のクッションと同様である。
【0013】
上体反らし姿勢を保持するためには、流動性のある詰め物や綿材のような詰め物を用いるのは好ましくなく、軟質ポリウレタンフォームのような連続気泡でありクッション性のある樹脂発泡体が好ましい。密度及び硬さは姿勢保持に重要である。密度18~35Kg/m3及び硬さ120~190Nが好ましい。密度が低く硬さが低いものは、フィット性は良いかもしれないが、姿勢保持性が悪い。また密度が高いものは重く、手軽に使用できるものとはならない。また、硬さが高いものは、接触感的に好ましくない。
【0014】
前記ウレタンフォームの例として、軟質ポリウレタンフォームがある。軟質ポリウレタンフォームとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリマーポリオール等のポリオール成分およびトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート成分に、水等の発泡剤、アミン系、金属系等の触媒、シリコン整泡剤等の整泡剤、その他所望により難燃剤、助剤等を添加し、上記成分の重合反応により生成される。ポリオール成分、イソシアネート成分はもとより、発泡剤、触媒、整泡剤等を適宜配合することにより所望の物性が発現することが可能である。なお、成形方法については、スラブ発泡成形品から所望の形状に切削加工する方法、あらかじめ所望形状に設計した金型内で発泡させるモールド発泡成形方法のいずれであっても良い。
【0015】
本発明の傾斜面に用いるポリウレタンフォームは、傾斜面の表面にプロファイル加工なしの場合、密度18~35kg/m3であり、かつ硬度120~190Nが好ましい。密度が18kg/m3よりも小さい、または硬度が120Nよりも低い場合は、柔らかすぎる傾向にあり、またヘタリ性もあまり好ましくない。密度が35kg/m3よりも大きい、または硬度が190Nよりも高い場合は、柔軟性が低下することとなり、触感的に好ましくない。好ましくは密度23~33kg/m3であり、特に好ましくは25~30kg/m3である。また好ましい硬度130~180Nである。なお、傾斜面の表面にプロファイル加工などを行うと、未加工に比べて硬度が低くなる傾向がある。
【0016】
傾斜面に用いるポリウレタンフォームは、脱膜フォームであることが好ましい。脱膜フォームは通気性に優れるためである。なお、ポリウレタンフォームの脱膜処理には、いくつかの方法があるが、後処理法が工業上有用とされ、具体的には熱処理法、アルカリ処理法が実施されている。熱処理法とは、圧力容器中にウレタンフォームを充填し、水素及び酸素を混合した爆発性ガスに点火することによって瞬間的に膜を除去する方法である。またアルカリ処理法とは、ポリウレタンフォームを一定条件下、例えば水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬させて膜を除去する方法である。好ましくは、熱処理法であり、ウレタン骨格にダメージが残らず、機械強度・伸び等の物性が低下しにくい。
【0017】
本発明の支持面に用いるポリウレタンフォームは、反発弾性が20%以下である。好ましい反発弾性は0~20%であり、より好ましくは0~15%である。反発弾性が20%以下であることにより、その体圧分散性から頚部及び/又は顎部の圧迫感を良好に防ぐことができる。また、支持部の密度は35~90Kg/m3であり、好ましくは36~90Kg/m3、特に好ましくは38~90Kg/m3である。高密度の方が、より反発弾性の低いものを設計しやすいためである。
【0018】
頚部及び/又は顎部を支持する支持面の下方側には、密度30~50Kg/m3及び反発弾性35%以上の樹脂発泡体が配置されているのが好ましい。より好ましい密度は30~48g/m3であり、さらに好ましくは30~45Kg/m3である。また反発弾性は37~70%が好ましく、より好ましくは40~65%である。
【0019】
頚部及び/又は顎部を支持する支持面には、上下方向に延びる溝状部を有することが好ましい。上下方向に延びる溝状部は、一例として開口幅80mm、深さ50mmの空間断面三角形状又は半円状とすることができる。これにより、頚部及び/又は顎部を良好に支持できる。
【0020】
本発明のクッションは側地(表皮材)で覆うことが好ましい。側地で覆えば、汚れても洗濯によりきれいにできる。側地は織物、編み物などで作成する。
【0021】
基材と前記上部部材とは一体化してもよいし、分離していてもよい。一体化している場合は、一つの側地に収納でき、分離している場合は基材と上部部材をそれぞれの側地に収納する。分離している場合は、使用時に基材と上部部材を分離して移動できる。
【0022】
基材は、上面に行くにしたがって正面から見た幅が狭いことが好ましい。好ましい上面部分の幅は200~340mm、特に好ましくは230~320mmである。また、前記基材の上面の前後方向の長さが80~350mm、特に100~280mmであることが好ましい。これにより全体を略台形にすることができ、うつ伏せ時でも形状が安定する。ここで略台形とは、角を丸めたり、底面からの立ち上げ部を直角にすることなどを含む。なお、上部部材が分離している場合は、上部部材上面の前後方向の長さが80~250mm、特に90~200mmであることが好ましい。
【0023】
基材と前記上部部材が分離している場合、肩が当接する基材上部から側面の下に向いた斜め方向の長さと、基材背面の下部中央部付近までの長さの合計は、300~500mm程度が好ましい。この長さは上腕部と前腕部の長さに相当し、使用者が上体反らし姿勢を保持してうつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合がよい。基材と前記上部部材とは一体化している場合は、分離している場合で説明したのと同等の位置の長さで300~500mm程度が好ましい。
【0024】
以下図面によって本発明のクッションを説明する。以下の図面の説明においては、同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施形態のクッションの前方から見た模式的斜視図である。このクッション1は、基材2と上部部材3が一体化されていてもよいし、分離されていてもよい。基材2の正面は傾斜部4が形成されており、この部分は使用者の胸部を支持する。上部部材3の上部3aは、密度36~90Kg/m3及び反発弾性20%以下の樹脂発泡体で形成されており、下部3bは密度30~50Kg/m3及び反発弾性35%以上の樹脂発泡体層が配置されている。すなわち、上部3aは軟質で、接触感と圧迫感を良好に保ち、下部3bはやや硬質にして底つき感を改善している。部材の硬さは、接触感を加味して、上部3aは硬さ20~130Nであり、特に20~60Nである。下部3bは硬さ100~200Nであり、特に100~170Nである。また上部部材3の正面側は上下方向に溝状部5が形成されており、ここで頚部及び/又は顎部を支持する。上部部材3の上部3aと下部3bは接着剤により一体化している。接着剤としてはウレタン系接着剤が使用できる。
【0025】
図2は本発明の一実施形態のクッションの使用状態を示す説明図である。布団、カーペットなどの上にクッションを置き、うつ伏せ状態から上体反らし姿勢とし、傾斜部に胸部を当て、上部部材の溝状部で頚部及び/又は顎部を支持し、両手は基材の両側面から前方に伸ばし、携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作する。
【0026】
図3は本発明の一実施形態のクッション1の模式的正面図である。基材2は略台形である。この例の各寸法は、L1:380mm,L2:360mm,L3:210mm,L4:150mm,L5:270mm,L6:250mm,L7:50mm,L8:100mm,L9:20mmである。図4は本発明の一実施形態のクッション1の模式的左側面図である。底面と傾斜面4の仰角(θ)は約40度である。各寸法は、L11:460mm,L12:230mm,L13:130mm,L14:50mm,L15:100mmである。図5Aは本発明の一実施形態の上部部材3の模式的平面図、図5Bは同模式的正面図、図5Cは同模式的右側面図である。各寸法は、L16:50mm,L17:80mm,L18:85mm,L19:80mm,L20:85mm,L21:100mmである。
【0027】
図6は本発明の別の実施形態のクッション6の模式的左側面図である。このクッション6は、基材7と上部部材8が一体化されていてもよいし、分離されていてもよい。基材7の正面は傾斜部9が形成されており、この傾斜部に溝9a-9fが形成されている。各溝の寸法は、幅10mm、深さは溝9a,9e,9fが30mm、溝9b-9dが40mmである。溝を形成することにより、傾斜部に柔軟性を与えることができる。底面と傾斜面の仰角(θ)は約40度である。
【0028】
図7は本発明のさらに別の実施形態のクッション10の模式的斜視図である。このクッション10は、下から高反発層(密度高)11と、高反発層(密度低)12と、高反発層(密度高)13と、高反発層(密度低)14と、低反発層15と、低反発層16を積層し、正面傾斜面には傾斜面層17を配置し、各層はウレタン系接着剤により接着させている。低反発層16には上下方向に溝状部5が形成されており、ここで頚部及び/又は顎部を支持する。なお、図7において、傾斜面側に頚部及び/又は顎部が来ることを想定して溝状部を設けているが、反対側の携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作する側に付与しても良い。この例は、本発明の第1番目のクッション(上下一体型クッション)の例である。なお、この例においては「基材=クッション」という関係にあるため、前述のとおりクッション(基材)は、上面に行くにしたがって正面から見た幅が狭いことが好ましく、クッションの上面の前後方向の長さが80~350mmであることが好ましい。
【0029】
図8は本発明のさらに別の実施形態のクッション18の模式的斜視図である。このクッション18は、基材19と上部部材21が一体化されていてもよいし、分離されていてもよい。基材19の正面傾斜面には傾斜面層20が配置されている。なお、前述の脱膜フォームは、複雑な加工方法を伴うフォームであることから、基材における傾斜面層20に用いる使い方が経済的に有効であり、また通気性の観点からも好ましい。上部部材21は、軟質層21aと硬質層21bを一体化している。
【実施例0030】
以下実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<物性測定>
密度:JISK7222:2005法に準拠して測定する。いわゆるコア密度である。
硬さ:JIS K 6400-2:2012のD法(25%硬度)の値を用いる。
反発弾性:JISK6400-3:2011に準拠して測定する。
なお、各物性の用いる試験片は、最終製品から採取する必要はなく、いわゆるテストピースから採取すればよい。
【0031】
(実施例1)
図3-5に示すように、基材2と上部部材3を分離して形成した。各材料は次のとおりである。
・基材2:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“308H”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度28kg/m3、硬さ176.4N、反発弾性30%)
・上部部材3の上部3a:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“501EA”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度40kg/m3、硬さ29.4N、反発弾性10%)
・上部部材3の下部3b:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“451”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度35kg/m3、硬さ147N、反発弾性45%)
・上部部材3の上部3aと下部3bは、ウレタン系接着剤で接着した。
このようにして図1に示すクッションを作成し、基材2と上部部材3をそれぞれ側地に収納した。このクッションは、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合が良かった。
【0032】
(実施例2)
基材2と上部部材3をウレタン系接着剤接着一体化した以外は実施例1と同様にクッションを形成し、一つの側地に収納した。このクッションも、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合が良かった。
【0033】
(実施例3)
図6に示すように、基材7と上部部材8を分離して形成した。各材料は次のとおりである。
・基材7:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“400CR-20”(エーテル系ポリウレタン脱膜フォーム、密度30kg/m3、硬さ176.2N、反発弾性37%)
・上部部材8の上部8a:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“900EA”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度80kg/m3、硬さ39.2N、反発弾性2%)
・上部部材8の下部8b:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“451”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度35kg/m3、硬さ147N、反発弾性45%)
・上部部材8の上部8aと下部8bは、ウレタン系接着剤で接着した。
このようにして図6に示すクッションを作成し、基材2と上部部材3をそれぞれ側地に収納した。このクッションは、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合が良かった。
【0034】
(実施例4)
基材7と上部部材8をウレタン系接着剤接着一体化した以外は実施例3と同様にクッションを形成しし、一つの側地に収納した。このクッションも、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合が良かった。
【0035】
(実施例5)
図7に示すようなクッションを形成し、一つの側地に収納した。各材料は次のとおりである。
・傾斜面層:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“400CR-20”(エーテル系ポリウレタン脱膜フォーム、密度30kg/m3、硬さ176.2N、反発弾性37%)、表面プロファイル加工
・低反発層15、16:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“501EA”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度40kg/m3、硬さ29.4N、反発弾性10%)
・高反発層(密度低)12、14:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“451”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度35kg/m3、硬さ147N、反発弾性45%)
・高反発層(密度高)11、13:倉敷紡績社製、商品名“クラフォーム”、品番“650”(エーテル系ポリウレタンフォーム、密度55kg/m3、硬さ166.6N、反発弾性43%)
・各層間は、ウレタン系接着剤で接着した。
このクッションも、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに都合が良かった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明のクッションは、上体反らし姿勢保持中に、うつ伏せ状態で携帯電話、携帯ゲーム機、モバイル機器等を操作するのに好適である。また、読書する際にも好適である。
【符号の説明】
【0037】
1,6,10,18 クッション
2,7,19 基材
3,8,21 上部部材
3a,8a 上部部材の上部
3b,8b 上部部材の下部
4,9 傾斜部
9a-9f 溝
5 溝状部
11,13 高反発層(密度高)
12,14 高反発層(密度低)
15,16 低反発層
17,20 傾斜面層
21a 軟質層
21b 硬質層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8