(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086015
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240620BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
H02J9/06 120
H02J7/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200862
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(72)【発明者】
【氏名】岡部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森川 実穂
(72)【発明者】
【氏名】森川 真人
【テーマコード(参考)】
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5G015FA06
5G015GA05
5G015GA11
5G015HA12
5G015JA21
5G015JA52
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA10
5G503DA05
5G503DA18
5G503GB06
(57)【要約】
【課題】外部への電力の供給を安定化させる。
【解決手段】給電システム1は、外部からの交流電力が供給される充電線ペアPL1と、給電線ペアPL2と、充電線ペアPL1に供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリEに供給する充電モードと、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して給電線ペアPL2に供給する給電モードとを切り替え可能な双方向充電器7と、双方向充電器7と並列接続されるようにバッテリEに接続され、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して出力するACインバータ9と、充電モードの時はACインバータ9から出力された交流電力をアウトレット15に供給する第1切替状態と、給電モードの時は給電線ペアPL2から供給された交流電力をアウトレット15に供給する第2切替状態とに切り替え可能なスイッチ37を有する分電ユニット11と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの交流電力が供給される一対の充電線と、
一対の給電線と、
バッテリ、前記充電線、及び前記給電線に接続され、前記充電線に供給された交流電力を直流電力に変換して前記バッテリに供給する第1モードと、前記バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換して前記給電線に供給する第2モードとを切り替え可能な双方向充電器と、
前記双方向充電器と並列接続されるように前記バッテリに接続され、前記バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換して出力するACインバータと、
前記第1モードの時は前記ACインバータから出力された交流電力を第1のアウトレットに供給する第1切替状態と、前記第2モードの時は前記給電線から供給された交流電力を前記第1のアウトレットに供給する第2切替状態とに切り替え可能な切替部を有する分電ユニットと、
を備える給電システム。
【請求項2】
前記分電ユニットは、前記第1切替状態の時、前記ACインバータから供給された交流電力を前記第1のアウトレット及び第2のアウトレットに供給し、前記第2切替状態の時、前記給電線から供給された交流電力を前記第1のアウトレットに供給するとともに前記ACインバータから供給された交流電力を前記第2のアウトレットに供給するように構成されている、
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記分電ユニットは、前記一対の給電線のうちの一方の給電線及び前記ACインバータの一方の出力端子と、前記第1のアウトレットの一対の端子のうちの一方の端子及び前記第2のアウトレットの一対の端子のうちの一方の端子との間を接続する第1の接続線と、前記一対の給電線のうちの他方の給電線と第1のアウトレットの一対の端子のうちの他方の端子との間を接続する第2の接続線と、前記ACインバータの他方の出力端子と前記第2のアウトレットの一対の端子のうちの他方の端子との間を接続する第3の接続線と、前記第2の接続線と前記第3の接続線との間を接続する第4の接続線とを有し、
前記切替部は、前記第4の接続線に設けられている、
請求項2に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、バッテリを充電器を用いて充電するとともに、バッテリから供給された直流電力をインバータによって交流電力に変換して出力することが可能な電力供給システムが用いられている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電力変換システムにおいては、バッテリからインバータを介して外部に電力が供給されている。そのために、インバータを介した電力供給が何らかの原因で停止した場合に外部に電力を供給することができない傾向があった。
【0005】
そこで、本開示は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、外部への電力の供給を安定化させることが可能な給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る給電システムは、外部からの交流電力が供給される一対の充電線と、一対の給電線と、バッテリ、充電線、及び給電線に接続され、充電線に供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリに供給する第1モードと、バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換して給電線に供給する第2モードとを切り替え可能な双方向充電器と、双方向充電器と並列接続されるようにバッテリに接続され、バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換して出力するACインバータと、第1モードの時はACインバータから出力された交流電力を第1のアウトレットに供給する第1切替状態と、第2モードの時は給電線から供給された交流電力を第1のアウトレットに供給する第2切替状態とに切り替え可能な切替部を有する分電ユニットと、を備える。
【0007】
給電システムによれば、双方向充電器が第1モードに切り替えられた場合、分電ユニットの切替部が第1切替状態とされることにより、バッテリから供給された直流電力を基にACインバータから出力された交流電力が、第1のアウトレットに供給される。一方、双方向充電器が第2モードに切り替えられた場合、分電ユニットの切替部が第2切替状態とされることにより、バッテリから供給された直流電力を基に双方向充電器から出力された交流電力が、第1のアウトレットに供給される。これにより、ACインバータを介した外部への電力供給が何らかの原因で停止しても、双方向充電器を介して外部へ電力が供給される。また、双方向充電器を用いてバッテリを充電している間においては、バッテリからACインバータを介して外部へ電力が供給される。その結果、外部への電力の供給を安定化させることができる。
【0008】
給電システムにおいては、分電ユニットは、第1切替状態の時、ACインバータから供給された交流電力を第1のアウトレット及び第2のアウトレットに供給し、第2切替状態の時、給電線から供給された交流電力を第1のアウトレットに供給するとともにACインバータから供給された交流電力を第2のアウトレットに供給するように構成されていてもよい。かかる構成を採れば、双方向充電器がバッテリを充電する第1モードに切り替えられた場合には、バッテリからACインバータを介して、第1のアウトレット及び第2のアウトレットへ電力が供給される。また、双方向充電器が交流電力を供給する第2モードに切り替えられた場合には、双方向充電器及びACインバータのそれぞれから出力される交流電力が第1のアウトレット及び第2のアウトレットに供給される。これにより、双方向充電器の動作モードに関わらずに、2つのアウトレットへの電力の供給を安定化することができる。加えて、ACインバータを介した外部への電力供給が何らかの原因で停止しても、双方向充電器を用いて第1のアウトレットへ電力を供給することができる。
【0009】
また、給電システムにおいては、分電ユニットは、一対の給電線のうちの一方の給電線及びACインバータの一方の出力端子と、第1のアウトレットの一対の端子のうちの一方の端子及び第2のアウトレットの一対の端子のうちの一方の端子との間を接続する第1の接続線と、一対の給電線のうちの他方の給電線と第1のアウトレットの一対の端子のうちの他方の端子との間を接続する第2の接続線と、ACインバータの他方の出力端子と第2のアウトレットの一対の端子のうちの他方の端子との間を接続する第3の接続線と、第2の接続線と第3の接続線との間を接続する第4の接続線とを有し、切替部は、第4の接続線に設けられていてもよい。このような構成によれば、切替部の切替動作によって、第1切替状態と第2切替状態とを切り替えることができる。従って、簡易な回路構成により2つのアウトレットへの電力の供給を安定化することができる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、外部への電力の供給を安定化させることが可能な給電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る給電システム1の回路構成を示す図である。
【
図2】
図2は、双方向充電器7が給電モードに切り替えられた時の給電システム1におけるスイッチ切替状態を示す回路図である。
【
図3】
図3は、双方向充電器7が充電モードに切り替えられた時の給電システム1におけるスイッチ切替状態を示す回路図である。
【
図4】
図4は、本発明の変形例に係る給電システム1Aの回路構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の変形例に係る給電システム1Bの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る給電システム1の回路構成を示す図である。同図に示される給電システム1は、バッテリ(蓄電池)から供給される電力を各種の負荷に供給するシステムである。給電システム1は、車両に搭載される。給電システム1は、一対の充電線PL1a,PL1bを有する充電線ペアPL1、一対の給電線PL2a,PL2bを有する給電線ペアPL2、一対の給電線PL3a,PL3bを有する給電線ペアPL3、一対の給電線PL4a,PL4bを有する給電線ペアPL4、一対の給電線PL5a,PL5bを有する給電線ペアPL5、スイッチ回路3,5、双方向充電器7、ACインバータ9、分電ユニット11、充電インレット13、制御部51、アウトレット(第1のアウトレット)15、及び、アウトレット(第2のアウトレット)17を備える。
【0014】
双方向充電器7は、外部から供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリEに供給する機能と、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して外部に供給する機能とを有する。すなわち、双方向充電器7は、絶縁型DC/AC変換器19と、スイッチ21a,21bと、一対のDC端子23a,23bと、一対のAC端子25a,25bと、一対のAC端子27a,27bとを含む。絶縁型DC/AC変換器19は、一対のDC端子29a,29bと一対のAC端子31a,31bとを有し、一対のDC端子29a,29bから入力された直流電力を交流電力に変換し、変換した交流電力を一対のAC端子31a,31bから出力し、一対のAC端子31a,31bから入力された交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を一対のDC端子29a,29bから出力する。絶縁型DC/AC変換器19の一対のDC端子29a,29bは、それぞれ、双方向充電器7内部で一対のDC端子23a,23bと接続される。絶縁型DC/AC変換器19のAC端子31aは、双方向充電器7内部のスイッチ21aを介して、AC端子25a又はAC端子27aに接続され、絶縁型DC/AC変換器19のAC端子31bは、双方向充電器7内部のスイッチ21bを介して、AC端子25b又はAC端子27bと接続される。スイッチ21aは、AC端子31aと2つのAC端子25a,27aとの導通/非導通を切り替え可能な単極双投型のスイッチであり、スイッチ21bは、AC端子31bと2つのAC端子25b,27bとの導通/非導通を切り替え可能な単極双投型のスイッチである。すなわち、スイッチ21aによって、AC端子31aとAC端子25aとが導通した場合、AC端子27aは、AC端子31a及びAC端子25aと非導通となり、AC端子31aとAC端子27aとが導通した場合、AC端子25aは、AC端子31a及びAC端子27aと非導通となる。
【0015】
同様に、スイッチ21bによって、AC端子31bとAC端子25bとが導通した場合、AC端子27bは、AC端子31b及びAC端子25bと非導通となり、AC端子31bとAC端子27bとが導通した場合、AC端子25bは、AC端子31b及びAC端子27bと非導通となる。
【0016】
本実施形態では、2つのスイッチ21a,21bは、切替状態が同期するように制御される。詳述すると、スイッチ21aは、AC端子31aとAC端子25aとを導通させるときにはスイッチ21bはAC端子31bとAC端子25bとを導通させる。スイッチ21aは、AC端子31aとAC端子27aとを導通させるときにはスイッチ21bはAC端子31bとAC端子27bとを導通させる。これにより、2つのスイッチ21a、21bが第1モードに切り替えられた際には、絶縁型DC/AC変換器19のAC端子31a,31bのそれぞれがAC端子25a,25bと接続され、2つのスイッチ21a、21bが第2モードに切り替えられた際には、絶縁型DC/AC変換器19のAC端子31a,31bのそれぞれがAC端子27a,27bと接続される。2つのスイッチ21a,21bは、例えば、MOS(Metal Oxide Semiconductor)FETを含む回路である。
【0017】
上記双方向充電器7において、一対のDC端子23a,23bのそれぞれは、スイッチ回路3に含まれるそれぞれのスイッチ3a,3bを介して、バッテリEの正極及び負極と接続される。スイッチ3a,3bは、それぞれ、バッテリEと一対のDC端子23a,23bのそれぞれとの導通/非導通を切り替えるスイッチであり、例えば、MOSFETである。また、一対のAC端子25a,25bは、それぞれ、一対の充電線ペアPL1を構成する充電線PL1a,PL1bを介して充電インレット13と接続される。また、一対のAC端子27a,27bは、それぞれ、一対の給電線ペアPL2を構成する給電線PL2a,PL2bを介して分電ユニット11と接続される。このような接続構成により、双方向充電器7は、2つのスイッチ21a、21bがAC端子31a,31bとAC端子25a,AC端子25bとを各々導通させた際に、充電インレット13及び充電線ペアPL1を介して外部から供給される交流電力を直流電力に変換してバッテリEに供給し、2つのスイッチ21a、21bがAC端子31a,31bとAC端子27a,AC端子27bとを各々導通させた際に、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して給電線ペアPL2に供給する。すなわち、双方向充電器7は、バッテリE、充電線ペアPL1、及び給電線ペアPL2に接続され、充電線ペアPL1に供給された交流電力を直流電力に変換してバッテリEに供給する第1モード(充電モード)と、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して給電線ペアPL2に供給する第2モード(給電モード)とを切り替え可能な機能を有するともいえる。
【0018】
ACインバータ9は、バッテリEに対して双方向充電器7と並列接続されるように接続され、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して出力する。ACインバータ9は、一対の入力端子33a,33bと一対の出力端子35a,35bを有する。一対の入力端子33a,33bのそれぞれは、スイッチ回路5に含まれるそれぞれのスイッチ5a,5bを介して、バッテリEの正極及び負極に接続され、一対の出力端子35a,35bのそれぞれは、給電線ペアPL3を構成する給電線PL3a,PL3bを介して分電ユニット11に接続される。スイッチ5a,5bは、それぞれ、バッテリEと一対の入力端子33a,33bのそれぞれの導通/非導通を切り替えるスイッチであり、例えば、MOSFETである。このような接続構成により、ACインバータ9は、バッテリEから供給された直流電力を交流電力に変換して、変換した交流電力を給電線ペアPL3に供給する。
【0019】
分電ユニット11は、バッテリEから給電線ペアPL2及び給電線ペアPL3を介して供給された交流電力を、分電ユニット11と給電線ペアPL4及び給電線ペアPL5のそれぞれを介して接続されたアウトレット15,17に分配する回路部である。詳細には、分電ユニット11は、接続線(第1の接続線)W1、接続線(第2の接続線)W2、接続線(第3の接続線)W3、及び、接続線(第4の接続線)W4と、スイッチ(切替部)37,39,41,43,45とを備える。
【0020】
接続線W1は、給電線ペアPL2の一方の給電線PL2b、及び、ACインバータ9の一方の出力端子35aに繋がる給電線PL3aと、アウトレット15の一対の端子のうちの一方の端子に接続された給電線PL4b、及びアウトレット17の一対の端子のうちの一方の端子に接続された給電線PL5aとを接続する導電ラインである。すなわち、接続線W1は、給電線PL2bを介して双方向充電器7のAC端子27bと接続され、給電線PL3aを介してACインバータ9の一方の出力端子35aと接続され、給電線PL4bを介してアウトレット15の一対の端子のうちの一方の端子と接続され、給電線PL5aを介してアウトレット17の一対の端子のうちの一方の端子と接続される。
【0021】
接続線W2は、給電線ペアPL2の他方の給電線PL2aと、アウトレット15の一対の端子のうちの他方の端子に接続された給電線PL4aとを接続する導電ラインである。すなわち、接続線W2は、給電線PL2aを介して双方向充電器7のAC端子27aと接続され、給電線PL4aを介してアウトレット15の一対の端子のうちの他方の端子と接続される。
【0022】
接続線W3は、ACインバータ9の他方の出力端子35bに繋がる給電線PL3bと、アウトレット17の他方の端子に接続された給電線PL5bとを接続する導電ラインである。すなわち、接続線W3は、給電線PL3bを介してACインバータ9の他方の出力端子35bに接続され、給電線PL5bを介してアウトレット17の他方の端子と接続される。
【0023】
接続線W4は、接続線W2と接続線W3とを接続する導電ラインである。
【0024】
スイッチ37は、接続線W4上に設けられ、接続線W4の導通/非導通を切り替える切替素子である。スイッチ39は、接続線W2上の接続線W4との接続点よりも給電線PL2a側に設けられ、接続線W2の導通/非導通を切り替える切替素子である。スイッチ43は、接続線W2上の接続線W4との接続点よりも給電線PL4a側に設けられ、接続線W2の導通/非導通を切り替える切替素子である。すなわち、接続線W2は、スイッチ39及びスイッチ43がオンすることで導通する。スイッチ41は、接続線W3上の接続線W4との接続点よりも給電線PL3b側に設けられ、接続線W3の導通/非導通を切り替える切替素子である。スイッチ45は、接続線W3上の接続線W4との接続点よりも給電線PL5b側に設けられ、接続線W3の導通/非導通を切り替える切替素子である。すなわち、接続線W3は、スイッチ41及びスイッチ45がオンすることで導通する。本実施形態では、スイッチ37,39,41,43,45は、例えば、MOSFETである。
【0025】
上記構成の分電ユニット11は、双方向充電器7が第1モード(充電モード)に切り替えられた時には、スイッチ回路3、スイッチ回路5、スイッチ37、スイッチ41、スイッチ43及びスイッチ45がオン(第1切替状態)に設定されることにより、ACインバータ9から給電線ペアPL3に供給された交流電力を、接続線W1,W3及び給電線ペアPL5を介してアウトレット17に供給するとともに、接続線W1,W2,W3,W4及び給電線ペアPL4を介してアウトレット15に供給する。また、分電ユニット11は、双方向充電器7が第2モード(給電モード)に切り替えられた時には、スイッチ37がオフ(第2切替状態)に設定するとともにスイッチ回路3、スイッチ回路5、スイッチ39、スイッチ41、スイッチ43及びスイッチ45がオン(第1切替状態)に設定されることにより、ACインバータ9から給電線ペアPL3に供給された交流電力を接続線W1,W3及び給電線ペアPL5を介してアウトレット17に供給するとともに、双方向充電器7から給電線ペアPL2に供給された交流電力を接続線W1,W2及び給電線ペアPL4を介してアウトレット15に供給する。
【0026】
制御部51は、絶縁型DC/AC変換器19、スイッチ21a,21b、スイッチ回路3,5、ACインバータ9及びスイッチ37,39,41,43,45を制御する。すなわち、制御部51は、双方向充電器7、ACインバータ9及び分電ユニット11を制御するものであるといえる。
【0027】
図2は、双方向充電器7が第2モード(給電モード)に切り替えられた時の給電システム1におけるスイッチ切替状態を示す回路図である。給電モードの時には、双方向充電器7が第2モードに切り替えられ、スイッチ37がオフに設定され、スイッチ回路3、スイッチ回路5、スイッチ39、スイッチ41、スイッチ43及びスイッチ45がオンに設定される。これにより、双方向充電器7から出力された交流電力が、給電線ペアPL2、分電ユニット11、及び給電線ペアPL4を介してアウトレット15に給電されるとともに、ACインバータ9から出力された交流電力が、給電線ペアPL3、分電ユニット11、及び給電線ペアPL5を介してアウトレット17に給電される。
【0028】
一方、
図3は、双方向充電器7が第1モード(充電モード)に切り替えられた時の給電システム1におけるスイッチ切替状態を示す回路図である。充電モードの時には、双方向充電器7が第1モードに切り替えられ、スイッチ39がオフに設定され、スイッチ回路3、スイッチ回路5、スイッチ37、スイッチ41、スイッチ43及びスイッチ45がオンに設定される。これにより、充電インレット13から供給された交流電力が、充電線ペアPL1を介して双方向充電器7に入力され、双方向充電器7によって直流電力に変換されてバッテリEに供給される。また、ACインバータ9から出力された交流電力が、給電線ペアPL3、分電ユニット11、及び給電線ペアPL4を介してアウトレット15に給電されるとともに、給電線ペアPL3、分電ユニット11、及び給電線ペアPL5を介してアウトレット17に給電される。このとき、スイッチ39がオフに設定されることにより、充電インレット13側から分電ユニット11側に交流電力が入力されることを防止でき、分電ユニット11及びアウトレット15,17に接続される負荷を保護することができる。
【0029】
以上説明した実施形態に係る給電システム1の作用効果について説明する。
【0030】
給電システム1においては、双方向充電器7が第1モードに切り替えられた場合、分電ユニット11のスイッチ37がオンに設定されることにより、バッテリEから供給された直流電力を基にACインバータ9から出力された交流電力が、アウトレット15に供給される。一方、双方向充電器7が第2モードに切り替えられた場合、分電ユニット11のスイッチ37がオフに設定されることにより、バッテリEから供給された直流電力を基に双方向充電器7から出力された交流電力が、アウトレット15に供給される。これにより、ACインバータ9を介したアウトレット15への電力供給が何らかの原因で停止しても、双方向充電器7を介してアウトレット15への電力供給が可能となる。また、双方向充電器7を用いてバッテリEを充電している間においては、バッテリEからACインバータ9を介してアウトレット15への電力供給が可能となる。その結果、外部負荷への電力の供給を安定化させることができる。
【0031】
また、給電システム1においては、分電ユニット11は、双方向充電器7が第1モードに切り替えられた際、ACインバータ9から供給された交流電力をアウトレット15及びアウトレット17に供給し、双方向充電器7が第2モードに切り替えられた際、双方向充電器7から供給された交流電力をアウトレット15に供給するとともにACインバータ9から供給された交流電力をアウトレット17に供給するように構成されている。かかる構成を採れば、双方向充電器7がバッテリEを充電する第1モードに切り替えられた場合には、バッテリEからACインバータ9を介して、アウトレット15及びアウトレット17へ電力が供給される。また、双方向充電器7が交流電力を供給する第2モードに切り替えられた場合には、双方向充電器7及びACインバータ9のそれぞれから出力される交流電力をアウトレット15及びアウトレット17に供給される。これにより、双方向充電器7の動作モードに関わらずに、2つのアウトレット15,17への電力の供給を安定化することができる。加えて、ACインバータ9を介した外部への電力供給が何らかの原因で停止しても、双方向充電器7を介してアウトレット15へ電力が供給される。また、双方向充電器7からの給電になんらかの異常が発生した場合には、スイッチ39をオフに設定し、スイッチ37をオンに設定することによって、分電ユニット11及びアウトレット15,17に接続される負荷を保護しながら、2つのアウトレット15,17への電力の供給を安定化することができる。
【0032】
特に、給電システム1に含まれる分電ユニット11は、接続線W1~W5とスイッチ37,39,41,43,45によって構成されている。このような構成によれば、スイッチ37の切替動作によって、第1切替状態と第2切替状態とを切り替えることができる。従って、簡易な回路構成により2つのアウトレット15,17への電力の供給を安定化することができる。
【0033】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0034】
図4は、本発明の変形例に係る給電システム1Aの回路構成を示す図である。給電システム1Aの構成における給電システム1との相違点は、分電ユニット11に2つの接続線W5,W6が追加される点、位相差を検出する位相差検出部53が設けられる点、給電線ペアPL6及びアウトレット47が追加される点である。
【0035】
接続線W5は、分電ユニット11の内部で接続線W2に接続される。また、接続線W5は、分電ユニット11の外部において給電線ペアPL6を構成する一方の給電線PL6aの一端部と接続される。接続線W6は、分電ユニット11の内部で接続線W3に接続される。また、接続線W6は、分電ユニット11の外部において給電線ペアPL6を構成する他方の給電線PL6bの一端部と接続される。また、給電線PL6aの他端部及び給電線PL6bの他端部は、アウトレット47と接続される。
【0036】
位相差検出部53は、給電線ペアPL2から分電ユニット11に入力された交流電圧の位相と、給電線ペアPL3から分電ユニット11に入力された交流電圧の位相との間の位相差を検出し、位相差に関するデータを制御部51に送信する。例えば、位相差検出部53は、接続線W1と接続線W2との間の電圧と接続線W1と接続線W3との間の電圧とを検出し、それらの電圧を基に上記位相差を検出する。なお、位相差検出部53は、給電線ペアPL2から分電ユニット11に入力された交流電流の位相と、給電線ペアPL3から分電ユニット11に入力された交流電流の位相との間の位相差を検出してもよい。
【0037】
制御部51は、位相差検出部53から受信した位相差に関するデータを基に、給電線ペアPL2から分電ユニット11に入力される交流電圧の位相と給電線ペアPL3から分電ユニット11に入力される交流電圧の位相とが合うように、ACインバータ9を制御する。
【0038】
上記構成の給電システム1Aによれば、双方向充電器7の出力端子と接続される接続線W2が、接続線W5及び給電線PL6aを介してアウトレット47の一方の端子と接続され、ACインバータ9の出力端子と接続される接続線W3が、接続線W6及び給電線PL6bを介してアウトレット47の他方の端子と接続される。さらに、位相差検出部53と制御部51とを使って、給電線ペアPL2から分電ユニット11に入力される交流電圧の位相と給電線ペアPL3から分電ユニット11に入力される交流電圧の位相とを一致させる。これにより、給電線ペアPL2から分電ユニット11に入力される交流電圧と、給電線ペアPL3から分電ユニット11に入力される交流電圧とを合成して、振幅が増加された交流電圧を有する交流電力をアウトレット47に供給することができる。また、給電システム1Aによれば、3つのアウトレット47,15,17に交流電力を同時に供給することができる。
【0039】
図5は、本発明の変形例に係る給電システム1Bの回路構成を示す図である。給電システム1Bの構成における給電システム1との相違点は、双方向充電器7、検出回路61が設けられる点、アウトレット15,17のそれぞれに操作スイッチ57,59が設けられる点である。
【0040】
アウトレット15,17のそれぞれに設けられる操作スイッチ57,59は、分電ユニット11からアウトレット15,17への交流電力の供給を開始あるいは停止するために、オンとオフとを切り替え可能なトグル、ボタン等の部品である。検出回路61は、操作スイッチ57,59に電気的に接続され、操作スイッチ57,59のそれぞれの状態を検出し、制御部51に検出結果を送信する。
【0041】
制御部51は、検出回路61から受信した検出結果に基づいてスイッチ43,45のオン/オフを制御する。具体的には、操作スイッチ57がオンからオフへ切り替えられた際には、制御部51は、スイッチ43をオンからオフに切り替え、操作スイッチ57がオフからオンへ切り替えられた際には、制御部51は、スイッチ43をオフからオンに切り替える。また、操作スイッチ59がオンからオフへ切り替えられた際には、制御部51は、スイッチ45をオンからオフに切り替え、操作スイッチ59がオフからオンへ切り替えられた際には、制御部51は、スイッチ45をオフからオンに切り替える。
【0042】
上記構成の給電システム1Bによれば、アウトレット15,17から交流電力の供給を開始あるいは停止させることができる。また、分電ユニット11及びアウトレット15,17に接続される負荷を、充電インレット13から供給される交流電力、ACインバータ9から出力される異常な交流電力から保護することができる。
【0043】
なお、上記の給電システム1,1A,1Bにおいては、双方向充電器7、ACインバータ9、あるいは分電ユニット11内に通信手段が別途設けられていてもよく、通信手段から制御部51に、各回路部内のスイッチの状態等の各種の状態を通知してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B…給電システム、7…双方向充電器、9…ACインバータ、11…分電ユニット、15…アウトレット(第1のアウトレット)、17…アウトレット(第2のアウトレット)、35a,35b…出力端子、37…スイッチ(切替部)、E…バッテリ、PL1a,PL1b…充電線、PL2a,PL2b…給電線、W1…接続線(第1の接続線)、W2…接続線(第2の接続線)、W3…接続線(第3の接続線)、W4…接続線(第4の接続線)。