(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086020
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】運送支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20240620BHJP
【FI】
G06Q10/083
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200867
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】503039853
【氏名又は名称】株式会社アイ・ティー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲川 日出男
(72)【発明者】
【氏名】曽我 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 心一
(72)【発明者】
【氏名】富岡 泰資
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることで、安全な貨物の運送を支援する。
【解決手段】運送支援システム1は、注意情報を、運転者によって入力可能とする入力部23と、入力部23によって入力された注意情報を音声データと画像データとを用いて出力する音出力部28及び表示部24と、現在位置を特定可能な現在位置認識部29と、を備えた移動型端末3と、移動型端末3によって入力された注意情報と、現在位置認識部29によって特定される運転者の位置に関する位置情報と、を含む各種情報を、注意情報DB15cに記憶するサーバー装置2とを備え、移動型端末3は、運転者の音声を入力可能とする音入力部23bを用いて入力の行われた注意情報を、音声を出力可能な音出力部28によって別の運転者が認識可能に出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が利用可能な移動型端末と、該移動型端末とネットワークを介して接続されるサーバー装置とを備え、貨物の運送作業を行う運転者が安全に運送作業を実施し易くすることを可能とするための情報を前記移動型端末の表示画面に表示可能に構成された運送支援システムであって、
前記移動型端末は、
貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を、運転者によって入力可能とする入力手段と、
前記入力手段によって入力された前記注意情報を、当該注意情報の入力を実施した運転者とは別の運転者によって認識可能に出力する注意情報出力手段と、
現在位置を特定可能な位置特定手段と、を備え、
前記移動型端末または前記サーバー装置の少なくともいずれかは、
前記入力手段によって入力された前記注意情報と、前記位置特定手段によって特定される運転者の位置に関する位置情報と、を少なくとも含む情報を記憶する注意情報記憶手段を備え、
前記入力手段は、運転者の音声を入力可能とする音声入力手段を有し、
前記注意情報出力手段は、音声を出力可能な音声出力手段を有し、前記音声入力手段を用いて入力の行われた前記注意情報、又は、当該入力の行われた前記注意情報に対応して入力される注意対応情報を、前記音声出力手段によって別の運転者によって認識可能に出力するものであることを特徴とする運送支援システム。
【請求項2】
前記移動型端末は、所定の停車状態中である場合において、所定の操作を実行することにより前記注意情報を識別可能な所定の表示態様で表示画面に表示し、
前記所定の停車状態中でない場合においては、前記所定の操作を実行しても、前記注意情報を表示画面に表示しない、又は、前記所定の表示態様よりも前記注意情報が識別し難い別の表示態様にて前記注意情報を表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の運送支援システム。
【請求項3】
前記注意情報記憶手段は、
前記注意情報として、前記音声出力手段によって音声により前記注意情報を出力可能とする注意音声データと、前記移動型端末の表示画面によって前記注意情報を出力可能とする注意表示データとを記憶可能に構成され、
前記移動型端末は、前記所定の停車状態中でない場合において、前記注意音声データに基づいた前記注意情報の音声出力を実行可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の運送支援システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の運送支援システムが備える前記移動型端末が、前記入力手段と、前記注意情報出力手段と、前記位置特定手段として動作するための演算処理を実行させることが可能に構成されていることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の運送支援システムが備える前記サーバー装置に記憶されることにより、前記移動型端末を通じて前記注意情報を出力する演算処理を実行させることが可能に構成されていることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を、複数の運転者で共有可能とし、運送作業を行う運転者が安全に運送作業を実施し易くすることが可能な運送支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運送事業として、複数の車輌を保有する事業所に複数の運転者が在籍し、納入先(取引先)に対して発注を受けた貨物を運送する事業が知られている。この運送事業において、納入先に安全に貨物を運送するために、荷物の積み下ろしに注意が必要なポイントや、作業が禁止されている事項、危険な状況を回避するために必要となる情報(危険情報)等を、各運転者に適切に提供することが好ましい。
【0003】
このため、従来においては、納入先毎に運転者を固定し、運転者が変更される際には運転者間での口頭による情報伝達を行って、情報の共有を図っていた。また、運送事業者の事務所に設置される紙ファイル、或いは、車輌に保管された配送のための指示書などを利用して各種情報を共有し、安全に貨物を運送するための工夫が行われていた。また、ネットワークを介して運転者の所持するユーザ端末と管理サーバとを接続し、貨物を運送する際に必要な情報を運転者に提供する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、運転者に提供される情報の更新方法が煩雑であると、日々の業務に追われる運転者が、最新の情報への更新に時間を割くことが難しい可能性がある。この場合、一部の運転者が認識している情報が他の運転者に共有できず、危険な状況を生じさせてしまったり、事故につながってしまう可能性も考えられる。すなわち、注意が必要な状況に関する情報を各運転者に提供する方法について、未だ改善の余地がある可能性があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることで、安全な貨物の運送を支援することが可能な運送支援システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の運送支援システムは、運転者が利用可能な移動型端末と、該移動型端末とネットワークを介して接続されるサーバー装置とを備え、貨物の運送作業を行う運転者が安全に運送作業を実施し易くすることを可能とするための情報を前記移動型端末の表示画面に表示可能に構成された運送支援システムであって、前記移動型端末は、貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を、運転者によって入力可能とする入力手段と、前記入力手段によって入力された前記注意情報を、当該注意情報の入力を実施した運転者とは別の運転者によって認識可能に出力する注意情報出力手段と、現在位置を特定可能な位置特定手段と、を備え、前記移動型端末または前記サーバー装置の少なくともいずれかは、前記入力手段によって入力された前記注意情報と、前記位置特定手段によって特定される運転者の位置に関する位置情報と、を少なくとも含む情報を
記憶する注意情報記憶手段を備え、前記入力手段は、運転者の音声を入力可能とする音声入力手段を有し、前記注意情報出力手段は、音声を出力可能な音声出力手段を有し、前記音声入力手段を用いて入力の行われた前記注意情報、又は、当該入力の行われた前記注意情報に対応して入力される注意対応情報を、前記音声出力手段によって別の運転者によって認識可能に出力するものであることを特徴とする。
【0008】
この請求項1に記載の運送支援システムによれば、貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を、運転者が音声入力手段を通じて音声によって入力することができる。また、入力の行われた注意情報または注意情報に対応して入力される注意対応情報が、音声出力手段により別の運転者によって認識可能に出力することができる。
【0009】
また、請求項2に記載の運送支援システムは、請求項1に記載の運送支援システムにおいて、前記移動型端末は、所定の停車状態中である場合において、所定の操作を実行することにより前記注意情報を識別可能な所定の表示態様で表示画面に表示し、前記所定の停車状態中でない場合においては、前記所定の操作を実行しても、前記注意情報を表示画面に表示しない、又は、前記所定の表示態様よりも前記注意情報が識別し難い別の表示態様にて前記注意情報を表示画面に表示することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の運送支援システムは、請求項2に記載の運送支援システムにおいて、前記注意情報記憶手段は、前記注意情報として、前記音声出力手段によって音声により前記注意情報を出力可能とする注意音声データと、前記移動型端末の表示画面によって前記注意情報を出力可能とする注意表示データとを記憶可能に構成され、前記移動型端末は、前記所定の停車状態中でない場合において、前記注意音声データに基づいた前記注意情報の音声出力を実行可能に構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載のプログラムは、請求項1から3のいずれかに記載の運送支援システムが備える前記移動型端末が、前記入力手段と、前記注意情報出力手段と、前記位置特定手段として動作するための演算処理を実行させることが可能に構成されている。
【0012】
また、請求項5に記載のプログラムは、請求項1から3のいずれかに記載の運送支援システムが備える前記サーバー装置に記憶されることにより、前記移動型端末を通じて前記注意情報を出力する演算処理を実行させることが可能に構成されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の運送支援システムによれば、貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を、運転者が音声入力手段を通じて音声によって入力することができる。このため、運転中などであっても運転者が注意情報を登録することができ、その登録された注意情報は、別の運転者が音声出力手段により出力される音声を通じて認識することができる。このため、注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることができ、安全な貨物の運送を支援することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の運送支援システムによれば、所定の停車状態中であるか否かによって注意情報が表示画面に表示されるか表示されないかといった表示有無や、表示の態様を異ならせることができる。このため、所定の停車状態中でない車輌走行中の場合等には、表示画面を通じた注意情報の確認を制限することができ、これにより、安全な貨物の運送を支援することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の運送支援システムによれば、注意情報を、音声と表示とによって出力することで、運転者が注意情報を出発前に記憶し易くすることができる。また、所
定の停車状態中でない車輌走行中の場合等において、注意音声データに基づいた注意情報の音声出力を実行することで、注意情報の音声出力を契機として表示画面を通じて認識した注意情報を想起し易くすることができる。
【0016】
また、請求項4及び5に記載のプログラムによれば、請求項1から3のいずれかに記載の運送支援システムを構成する移動型端末及びサーバー装置としての動作を可能とするプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は運送支援システムの構成図、(b)は注意情報を出力した表示画面を例示した図、(c)は注意情報の音声出力の内容を例示した図である。
【
図2】運送支援システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】(a)は初期情報登録の流れを説明するフローチャート、(b)から(d)は移動型端末の表示画面を例示した図である。
【
図4】(a)は運転者の使用手順例を説明するフローチャート、(b)は道路注意情報の登録の流れを説明するフローチャート、(c)は納入先注意情報の登録の流れを説明するフローチャートである。
【
図6】注意情報が表示された移動型端末を例示した図である。
【
図7】移動型端末とサーバー装置との通信制御を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の運送支援システム1は、運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることを可能とし、安全な貨物の運送を支援することができるシステムである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1(a)は運送支援システム1の構成図である。運送支援システム1は、ネットワークTを介して複数の端末を通信可能に接続したシステムであり、サーバー装置2と、移動型端末3とを含めて構成される。サーバー装置2は、複数の移動型端末3に出力される情報を管理するサーバ機能を備えた装置であり、例えば、運送事業者の事務所に設置されるパーソナルコンピュータにより構成される。
【0020】
移動型端末3は、運送作業を行う運転者が利用可能なように移動可能に構成された端末であり、例えば、タブレット3a、スマートフォン3b、又は、ノートパソコン3c等により構成される。この移動型端末3は、運転者が予め登録した個人情報(ログインID)とパスワードとを用いることで、サーバー装置2に対して運転者を特定した通信を可能とし、事業所(営業所)で管理される複数台のいずれの移動型端末3であっても各運転者が利用可能とすることが好ましい。また、個人が所持する移動型端末3としてのスマートフォン3b等も利用可能とし、タブレット3aやスマートフォン3b等に予め運送支援システム1の利用に必要なプログラム(以下、「運送支援アプリ」ともいう。)をインストールしておくことで運送支援システム1を利用可能に構成してもよい。なお、移動型端末3は、貨物車輌に搭載される表示画面を含む端末3dを利用するなど、運転者が利用可能な他の端末を利用してもよい。
【0021】
運送支援システム1は、運転者が登録した注意情報を管理するなどの管理者が利用可能な装置を含めて構成される。管理者は、サーバー装置2を利用して管理の操作を実行したり、移動型端末3を利用して管理の操作を実行することができる。なお、タブレット3a、スマートフォン3b、及び、ノートパソコン3c等は、運転者と管理者の双方が利用可能に構成してもよいし、運転者はタブレット3a、管理者はノートパソコン3cといった
ように利用可能な機種を限定してもよい。
【0022】
注意情報は、運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する情報である。例えば、出発前に必要な情報、納品途中の道路上において必要な情報、及び、納入先において必要な情報が注意情報として例示できる。注意情報は、危険な状況や箇所を示す危険情報であってもよく、これに限らず、納入先との取り決め事項などの注意が必要な情報を含めてもよい。
【0023】
具体的には、出発前の注意情報としては、納入先の担当者へ事前に到着予定時刻を連絡する必要があるとか、雨天の場合には荷台に屋根のある車輌を利用する必要があるなどの情報が例示できる。納品途中の道路上の注意情報としては、分かり難い一方通行の箇所や、児童が飛び出し易い箇所などが例示できる。納入先の注意情報としては、作業が禁止されている事項として、例えば、積み下ろしの禁止箇所が設定されている場合や、フォークリフトが頻繁に出入りする危険な箇所などが例示できる。以下においては、一部の注意情報を例示して説明するが、以下に例示した情報に限らず、その他の種々の注意情報であっても運送支援システム1には登録することが可能であり、これにより、安全な貨物の運送を可能とすることができる。
【0024】
図1(b)は、運転者の移動型端末3の表示画面5に、注意情報6が表示される場合を例示した図であり、
図1(c)は、注意情報6の一部として音声出力される内容(音声データ6c)を例示した図である。
図1(b)及び
図1(c)には、注意情報として、文字データ6aと、画像データ6bと、音声データ6cと、時間データ6dとを含めて構成される場合を例示しており、これら各種データは、注意情報の出力が必要となる位置データを含めて、1つの注意情報毎に関連付けされた状態にして、例えば、データベースの各レコードのデータとして、運送支援システム1の記憶装置に記憶される。
【0025】
文字データは、例えば、注意情報のタイトルに対応するタイトルデータと、注意情報の一部を構成するテキスト注意データとを含めて構成される。
図1(b)には、注意情報6の文字データ6aとして、タイトルデータとしては、納入先の現場レイアウトのデータが登録されていることを示す「お客様受入現場レイアウト」の文字が表示され、テキスト注意データとしては、納入可能な車輌の制限についての「小型・大型・トレーラー1軸」の文字が表示される場合を例示している。文字データは、音声データとして音声により出力可能な情報を含めて構成してもよいし、音声データに含まれない情報を含めて構成してもよい。
図1(b)及び
図1(c)には、文字データ6aの内容は、音声データ6cに含まれない場合を例示している。
【0026】
画像データは、運転者が表示画面5を視認して注意が必要な状況を認識するためのデータであり、例えば、単純な図形と文字とを組み合わせたイラストデータにより構成される。また、画像データは、イラストデータに限らず、これに代えて、または、これに加えて、写真として撮影された静止画像を登録してもよいし、静止画像にイラストデータを組み合わせてもよいし、また、静止画像に限らず、ビデオカメラの機能により撮影した動画を登録可能としてもよく、複数の視点からの画像を組み合わせた立体的な表示が可能な動画を登録可能としてもよい。静止画像や動画としては、衛星から納入先を撮影した画像(衛星写真)や、タブレット3aやスマートフォン3bに搭載されるカメラで撮影した画像や、車輌に搭載されるカメラで撮影した画像等を登録してもよく、また、1つの注意情報に対して1つの画像だけでなく、複数の画像を登録可能にしてもよい。
【0027】
図1(b)には、注意情報6の画像データ6bがイラストデータにより構成される場合を例示している。画像データ6bには、道路に対しての納入先の入口を示す情報と、車輌の待機場所や、荷降ろしをする荷降ろしヤードなどの現場レイアウトを示す情報、納入先
を間違えないようにする目印となる「空地」やカーブの位置や角度などの情報が図形と文字とにより表示される。
【0028】
画像データは、音声データとして音声により出力可能な情報を含めて構成してもよいし、音声データに含まれない情報を含めて構成してもよい。
図1(b)及び
図1(c)には、イラストデータにより示される注意情報が音声によっても運転者が確認可能に出力される場合を例示している。
【0029】
音声データは、注意情報として運転者に注意を促す内容を音声により出力可能としたデータにより構成される。音声データは、文字データや画像データにより表示される注意情報の中でも特に注意が必要なポイントを含めて登録することが好ましく、
図1(c)には、注意情報6のうち音声出力される音声データ6cとして、画像データ6bにより表示された情報が出力される場合を例示している。音声データは、運転者による直接的な音声の入力データであってもよいし、テキストデータを音声データとして登録し、音声合成ソフトウェアによって音声データに対応した音声を出力可能に構成してもよい。また、複数の画像や動画像と音声データとを組み合わせて、複数の画像や動画像の表示の更新に合わせて音声が出力されるようにして注意情報を出力可能に構成することが好ましい。
【0030】
時間データは、注意情報に関する時間に関しての情報であり、注意情報の作成日に対応する作成日データ、更新日に対応する更新日データなどが例示できる。
図1(b)には、作成日データと更新日データとが時間データ6dとして表示される場合を例示している。なお、時間データは、日付に限らず、時間までを含めて登録可能とし、また、表示可能としてもよく、また、注意情報として注意が必要となる期間(期限)が限定的な場合、例えば、開始や終了までの期間が定まっている場合に対応するように、注意を必要とする期間に対応する期間データを含めて構成してもよく、期間データがある場合には、音声出力される内容に期間データを含めてもよい。
【0031】
ここで、運転者は、画像データによる視覚によっての注意情報の認識に加えて、音声データによる聴覚によっての注意情報の認識を可能とすることが好ましい。運転者が運転中の状況では、視点を表示画面5に移すことは危険である。このため、注意情報を、視覚と聴覚とによって予め認識(確認)させておき、運転者に対しては音声データの音声出力によって、視覚で確認していた画像データを思い起こす契機とすることが好ましい。これにより、運転者は、短時間で注意情報を確認しておくだけでも、音声データに基づいた音声出力を聴くことで、注意情報を運転者に想起させて安全な行動を実行させ易くすることができる。従って、運送支援システム1では、注意情報による注意が必要となる箇所や、その箇所に到達する前の運転中において、表示画面5に画像データを表示せず、音声データに基づいて注意情報の音声出力を実行する制御を行うように構成される。
【0032】
位置データは、注意情報の出力が必要となる位置を特定するためのデータであり、全地球測位システム(GPS)を利用した位置情報や、納入先の住所のデータにより構成される。位置データと、移動型端末3に搭載されるGPSの受信機など現在位置を特定可能な機器とを用いることにより、音声データや画像データに基づいた注意情報を必要に応じた適切なタイミングで移動型端末3から出力することができる。
【0033】
なお、運送支援システム1に登録される注意情報は、必ずしも上記したデータにより構成する必要はなく、一部のデータは省略してもよいし、他のデータを含めて構成してもよい。また、注意情報が登録される際に必ずしも設定されている全てのデータを入力させる必要はなく、一部を省略してもよいし、必須項目を含めた構成にして一部のデータについては登録のためには入力を必須とする構成としてもよい。
【0034】
また、音声データとして、納入先の敷地へ入る前に必要な到着前音声データ(例えば、納入先の入口周辺で注意を必要とする情報)と、納入先に到着した後に必要な到着後音声データ(例えば、受入れ現場のレイアウトに関する情報)とを記憶可能に、音声データを複数種類に分けて登録可能としてもよい。これにより、運送支援システム1として、納入先に近づいた時点においては、運転者に対して到着前音声データを音声出力し、到着したタイミング、また到着後において到着後音声データを音声出力することで、注意情報を必要に応じて適切に出力することができる。また、「納入車輌制限」といった出発前に必要なデータと、出発後に必要なデータとを識別可能に、運送支援システム1に注意情報を記憶する構成としてもよく、これにより、出発後においては、出発前に必要な注意情報は出力せず、出発後の納品途中や、納入先で必要となる情報のみを出力可能とすることができる。
【0035】
図2は、運送支援システム1の電気的構成を示すブロック図である。運送支援システム1は、注意情報の入出力に関する制御を実行可能とする支援プログラム17a,27aを含む各種プログラムに基づいて演算処理装置としてのCPU11,21を備えたコンピュータにより各種制御を可能とした装置により構成されている。運送支援システム1は、例えば、サーバー装置2としてのコンピュータと、移動型端末3としてのタブレット3a、スマートフォン3b、ノートパソコン3c、及び、貨物車輌に搭載される端末3d等により構成される。
【0036】
サーバー装置2は、CPU11と、ネットワーク管理部12と、キーボードやマウスなどの入力部13と、液晶表示装置などの表示部14と、記憶装置としてのストレージ15、ワークメモリ16およびプログラムメモリ17とを備えている。ネットワーク管理部12は、インターネットに代表される通信回線(ネットワークT)を介して、移動型端末3との通信を可能とする機能部(例えば、通信機器とプログラムとの組合せ)により構成される。
【0037】
ストレージ15は、運送支援システム1において登録される各種データを記憶可能な記憶部である。ストレージ15には、納入先情報を記憶するデータベース(納入先情報DB15a、以下、データベースを「DB」ともいう。)、運転者、管理者、代表者などの使用者情報を記憶する使用者情報DB15b、注意情報を記憶する注意情報DB15cなどが記憶(記録)される。
図2には、注意情報DB15cに、文字データ15d、画像データ15e、音声データ15f、時間データ15g、及び、位置データ15hが記憶される場合を例示している。これら各種データが注意情報の各々毎に関連付けされたデータベースの各レコードとして記憶され、注意情報の出力が必要な状況において、サーバー装置2の制御により移動型端末3へ出力される。
【0038】
ワークメモリ16は、プログラムの実行に必要な情報を記憶するRAMであり、プログラムメモリ17は、各種のプログラムを記憶する記憶領域である。プログラムメモリ17には、運送支援システム1を動作させるための支援プログラム17aが記憶され、支援プログラム17aとしては、各種情報の登録に利用される情報登録プログラム17b、運送作業中において移動型端末3に注意情報を送信して出力させるための注意情報出力プログラム17c、運送作業前に移動型端末3を利用して注意情報を確認するための注意情報教育プログラム17dなどが記憶されている。各プログラムの詳細については、
図3以降を参照して後述する。
【0039】
移動型端末3は、CPU21、ネットワーク管理部22、入力部23、表示部24、ストレージ25、ワークメモリ26、運送支援アプリとしての支援プログラム27aを含む各種プログラムを記憶するプログラムメモリ27、音出力部28、現在位置認識部29とを備えている。ネットワーク管理部22は、移動体通信ネットワークに接続可能な機能部
(例えば、通信機器とプログラムとの組合せ)により構成され、インターネット等のネットワークTを通じて、サーバー装置2との通信を可能とする。
【0040】
入力部23は、表示部24(表示画面5)に表示されるボタンをタッチ操作したり、キーボードを操作したりすることにより端末利用者の入力操作を可能とする操作入力部23a、音声を入力可能なマイクにより構成される音入力部23b、静止画や動画を撮影可能なカメラにより構成される撮影部23c、外部情報入力部23dとを含めて構成される。
【0041】
外部情報入力部23dは、外部機器と接続可能なコネクタやネットワーク管理部22を通じて情報を入力可能とする機能部により構成される。外部情報入力部23dとしては、ICチップが内蔵された運転免許証から必要な情報を取得可能なカードリーダを通じて個人情報を入力する機能部や、フラッシュメモリとして機能するカード型の記憶媒体に記録された注意情報に関する画像データを入力する機能部等が例示される。音出力部28は、移動型端末3に搭載されるスピーカや、無線通信を通じて車輌のスピーカやイヤホンから音声を出力可能とする通信機器及び制御部により構成される。
【0042】
現在位置認識部29は、移動型端末3の現在位置を認識するための機能部により構成され、例えば、移動型端末3に内蔵されるGPSの受信機によって現在位置を特定するための制御部や、無線通信ネットワークの通信機器による測位情報を取得する制御部を用いて構成される。移動型端末3は、現在位置認識部29を利用して現在位置が移動しているか否かを検出することができ、これにより、車輌が停車した停車状態中であるかや、車輌が移動している状況であるかを識別することができる。
【0043】
なお、移動型端末3として、タブレット3aを例示して説明したが、スマートフォン3bやノートパソコン3c、貨物車輌に搭載される端末3dについても、同様の構成で実現することができる。また、移動型端末3において、サーバー装置2と同様の構成としている部分については、説明を省略している。タブレット3aは、例えば、10インチ程度の表示画面を有する表示装置を備えた移動型端末3であり、スマートフォン3bは、電話機能を備えた移動型端末3である。貨物車輌に搭載される端末3dは、例えば、運転席から視認可能な位置に表示画面が設置され、タブレット3aと同様の制御が可能な機器及びプログラムが車輌に搭載された形式の装置により構成される。
【0044】
また、運送支援システム1は、支援プログラム17a,27aに基づいて移動型端末3を所持する運転者に対して注意情報を出力可能な構成であればよく、移動型端末3とサーバー装置2との両方に支援プログラム17a,27aを搭載して運送支援システム1を構成してもよいし、サーバー装置2には支援プログラム17aを設ける一方で移動型端末3には支援プログラム27aを搭載せず、移動型端末3では一般的なウェブブラウザを利用してサーバー装置2にアクセスし、注意情報を確認したり、各種情報の登録をする表示を実行するように構成してもよい。以下の説明においては、サーバー装置2と、移動型端末3との双方に支援プログラム17a,27aがインストールされている場合を例示して説明する。
【0045】
また、以下の説明においては、移動型端末3の表示部24を構成する表示画面5に、各種ボタン等の操作部が表示され、各操作部を指でタッチしたり、スライド操作したりすることが可能なタッチセンサが操作入力部23aとして設けられる場合の一部の例を示して説明する。しかしながら、タッチセンサのないパソコンの表示画面に各操作部が表示され、マウスやキーボードでカーソルを操作して各操作部に対して設定された操作を実行可能に入力部23aを構成してもよいし、また、各種操作部の表示レイアウトについて、表示画面5の大きさに対応させて異なる項目を設定したり、異なる大きさの比率で各操作部や表示項目を表示してもよい。
【0046】
次に、
図3以降を参照して、移動型端末3から注意情報を出力する運送支援システム1の具体的な構成例について更に説明する。
図3(a)は初期情報登録の流れを説明するフローチャートであり、
図3(b)から(d)は、移動型端末3の表示画面5を例示した図である。
【0047】
運送支援システム1を利用する場合、注意情報を出力するための基本的な情報を、運送作業を実施する前に入力する。この入力は、情報登録プログラム17b(
図2参照)の実行によって行われ、サーバー装置2に対する直接の操作によって入力可能に構成してもよいし、これに代えて、又は、これに加えて、移動型端末3を操作して入力可能に構成してもよい。なお、各種情報を入力してサーバー装置2のデータベースへ登録する制御や、登録された情報を、サーバー装置2から移動型端末3へ出力して移動型端末3の表示画面5に表示する制御は、一般的なプログラムを利用して実施できるものであり、これら入力や表示制御についての具体的な説明は省略し、注意情報の出力に必要なデータの種類や表示画面5の表示対象等について説明する。
【0048】
図3(a)に示すように、管理者又は運転者は、初期情報登録として、運送業者の名称や位置(住所)などの運送業者情報、運転者や管理者などの個人情報、運送業者が所持する車輌の種類やナンバーや必要な免許の情報などの車輌情報を登録し(S11)、また、納入先の名称や位置などの納入先情報を登録し(S12)、運送途中の道路上や納入先において必要となる注意情報を登録する(S13)。なお、情報登録の順序は上記に限らず、いずれの情報から登録してもよい。また、運転者が仮登録した情報を管理者が承認して本登録することを条件にして登録された情報を別の運転者が確認可能にしてもよいし、運転者が直接本登録に相当する操作を可能としてもよいが、以下には、注意情報の登録としては、運転者による仮登録と管理者による本登録とがある場合を例示して説明する。
【0049】
運転者や管理者の個人情報には、運送支援システム1を利用するためのログイン情報を含む構成とし、ログインIDと、パスワードとを入力させてログイン操作をすることで運送支援アプリを利用可能とすることが好ましい。これにより、運転者や管理者が、注意情報を入力した場合に、誰が操作をしている状況であるかをサーバー装置2により識別することができるので、運転者や管理者などのシステム利用者に対して必要な情報を多量の情報の中から絞り込むことができる。よって、多くの注意情報の中から利用者に必要な情報を適切なタイミングで出力することができる。
【0050】
図3(b)には、運送支援システム1の表示画面5として、ログイン操作後に最初に表示されるトップページ5aを例示している。トップページ5aには、複数の営業所がある場合に、運転者や管理者が所属する営業所に向けて掲示される事項(お知らせ情報)や、注意情報についての更新情報が、所属する営業所に必要な情報のみに絞り込みされた状態にして表示される。また、トップページ5aの下部には、「仮登録未完了一覧」の表示があり、運転者が仮登録して本登録が未完了の注意情報が1件ある場合を例示している。この「仮登録未完了一覧」の表示部分をタッチ操作すると、未完了の注意情報の登録画面へと移行し、運転者であれば仮登録された注意情報の編集が可能となり、管理者であれば仮登録された注意情報に対する本登録の操作や編集が可能となる。
【0051】
トップページ5aに表示される情報の絞り込みの設定は、表示画面5内の「設定」の表示部分をタッチ操作することで編集可能に構成されている。運転者の担当地域や、運転者の免許の情報に基づいて、配送可能な納入先に絞り込みされた注意情報を表示するか、全てを表示するかなどの絞り込みの設定を可能とし、これら情報の絞り込みと表示の制御は、支援プログラム17a,27a(
図2参照)と各種データとを用いた制御により実現できる。
【0052】
納入先情報の登録は、例えば、
図3(b)に示すように、情報を登録する納入先を、テキスト入力で検索するための「テキスト入力」の表示部分をタッチ操作して行われる。トップページ5aには、テキスト入力ボタンと、地図画面を表示して納入先の位置を指定するマップ表示ボタンとが設けられている。なお、操作部の説明について、タッチ操作によって入力操作を可能とするボタンを利用した操作部を利用して説明するが、操作部の構成は、これに限らず、スライド操作やプルダウンメニューから選択するなど、他の構成としてもよい。
【0053】
図3(c)には、トップページ5aのマップ表示ボタンを操作した場合に表示されるマップ表示5bの表示画面5を例示している。マップ表示5bには、運送支援システム1において納入先情報や注意情報が登録された位置に対応して、登録された位置を示すマーカーが、地図を表示した地図表示領域内に表示される。予め登録が済んでいる納入先には、マーカーが表示される一方、未登録の納入先にはマーカーが表示されていない。未登録の納入先に対応した納入先情報は、マップ表示5bの地図表示領域内の中で、納入先の位置をタッチ操作することで新たな納入先を登録することができる。なお、地図の表示は、既存の地図を表示するソフトウェアを利用し、テキスト入力による名称や住所による位置検索、タッチしてからのスライド操作や2本の指を利用したピンチ操作による移動や拡大縮小の機能などを備えた既存のソフトウェアを利用してもよく、その既存のソフトウェアの地図表示領域内に重なるように、運送支援システム1のマーカーを配置して表示する構成としてもよいし、専用の地図表示の機能を運送支援システム1に付加して構成してもよい。
【0054】
図3(c)に示すように、マーカーには、複数の異なる態様(色、模様、大きさ、形など)のマーカーが設定され、マーカーの態様を通じて、情報の種類を識別可能に構成される。例えば、
図3(c)には、使用中の移動型端末3の位置を示すマーカーが逆三角形で表示され、納入先を示すマーカーと、道路上の注意すべき箇所を示すマーカーとが異なる色の雫形で表示される場合を例示し、更に、道路上の注意すべき箇所には、期限の設定があるものと、期限の設定がないものとが異なる色のマーカーで表示される場合を例示している。マーカーをタッチすると、そのマーカーが配置された位置に対応する情報(納入先情報や注意情報)が表示される。例えば、
図3(c)の右下部分の「○○工業」の文字が表示されたマーカーをタッチすると、注意情報として、
図3(d)に示すように、納入先の注意情報を表示する納入先注意情報表示5cの表示画面5が表示される。
【0055】
ここで、マップ表示5bの表示画面5には、「お気に入り」のタッチ操作が可能な操作部が表示される構成とし、お気に入りのボタンをタッチ操作することで、ログインした利用者が予め登録した箇所がリスト表示されることが好ましい。また、「営業所に戻る」のボタンが表示される構成とし、当該ボタンを操作すると、マップ表示5bとして、ログインした利用者の所属する営業所が、表示画面5に表示されることが好ましい。また、「雨雲情報」は、地図が表示された領域内における天候の変化を示す情報を表示するためのボタンであり、タッチ操作することで、マップ表示5bの地図表示領域に重なるようにして、雨雲が表示される構成とすることが好ましい(
図6(c)参照)。
【0056】
マップ表示5bの中で納入先のマーカーを選択操作するか、注意情報を登録したい箇所を長押しすると、注意情報の登録用の表示画面5が表示される。
図3(d)には、注意情報の登録用の表示画面5として、納入先注意情報表示5cを例示している。納入先注意情報表示5cは、
図3(d)に示すように、「納入先注意情報」のタイトルが上部に表示され、その下側に、注意情報の各種データを入力するための複数の項目が表示される。具体的には、注意情報を表示する位置(例えば、納入先の名称や住所)が表示された位置表示部31と、文字データを入力する内容入力部32と、画像や動画を選択して登録する画像
動画入力部33と、期限指定の有無と期限指定があれば期限を入力する期限設定入力部34と、重要度を設定する重要度入力部35とが設けられる場合を例示している。
【0057】
また、納入先注意情報表示5cの表示画面5には、注意情報として、音声データや画像データを新たに登録したり、編集したりするためのボタンが複数配置された入力操作部36が設けられている。入力操作部36には、操作入力部23a(
図2参照)により図形データを手操作で入力することが可能な画面へ移行する図形入力ボタンと、移動型端末3の音入力部23b(
図2参照)により注意情報の音声データを入力することが可能な音声入力ボタンと、表示画面5に表示されるキーボードを用いて注意情報の内容入力を編集操作することが可能なキーボード入力ボタンと、移動型端末3の撮影部23c(
図2参照)を用いて静止画や動画の画像を撮影して入力する撮影入力ボタンとが左から順に並んで設けられる。運転者や管理者は、これらボタンを操作して注意情報のデータ入力を行い、データが登録されている場合には、登録されているデータを追加したり、データの編集を行う。
【0058】
納入先注意情報表示5cの下部には、
図3(d)に示すように、「仮登録」と表示された仮登録操作部37と、「キャンセル」と表示されたキャンセル操作部38とが設けられる。仮登録操作部37を操作した場合、入力した注意情報を仮登録することができ、管理者に対して注意情報の本登録を申請した状態とすることができる。キャンセル操作部38を操作した場合、納入先注意情報表示5cの表示を開始して入力した内容をキャンセルし、納入先注意情報表示5cの表示をする前の元の状態にデータが戻される。これにより、運転者や管理者は、途中まで入力した内容が誤っていた場合に容易に元の状態に戻すことができる。
【0059】
図3(b)に示す仮登録未完了一覧の件数部分を操作すると、仮登録された注意情報が表示される。複数件の注意情報が仮登録されている場合は、複数件がリスト表示された表示部(例えば、複数件が上下に並んで表示される表示部)が新たなウィンドウにより前面に重なるようにポップアップして表示される。仮登録された案件の1つを選ぶと、
図3(d)と同様の表示画面が管理者用の表示画面として表示される。
【0060】
また、管理者用の表示画面では、
図3(d)に示す納入先注意情報表示5cに対して、「仮登録」の表示がある仮登録操作部37の代わりに、「本登録」の文字が表示された本登録操作部(図示せず)が表示される。管理者は、仮登録の操作と同様の表示画面を通じて、本登録の操作を実行することができるし、各データの追加や編集を実行することができる。
【0061】
次に、
図4以降を参照して、運転者が納入先に貨物を納品する場合の制御例を説明する。
図4(a)は、運転者の使用手順例を説明するフローチャート、
図4(b)は道路注意情報の登録の流れを説明するフローチャート、
図4(c)は納入先注意情報の登録の流れを説明するフローチャートである。
図5(a)から
図5(d)は、移動型端末3の表示画面5を例示した図である。
【0062】
運転者は、貨物の運送業務が指示されたら、出発前に、運送支援システム1に対応するアプリケーション(運送支援アプリ)を起動してログイン操作を行う。運送支援アプリの起動は、表示画面5をタッチした後に、運送支援アプリに相当するアイコンをタッチ操作したり、移動型端末3の外面に設けられる特定のキーを操作することで起動可能にショートカットキーを設定して実現してもよいし、特定の音声(例えば、「ヘイ、ドラ」)を音入力部23b(
図2参照)から入力することで運送支援アプリを起動する設定としてもよい。また、個人の個体識別情報を、運送支援システム1に個人情報として登録し、個体識別情報に基づいて、利用者を特定し、運送支援アプリを起動してログインされた状態とし
てもよい。個体識別情報としては、顔認証、指紋認証、音声認証、虹彩認証などのいずれか又は組合せで実現でき、また、運転者の運転免許証のICチップの情報を読み取ってもよい。なお、音声認証によって運送支援アプリを起動する機能は少なくとも含めることが好ましく、これにより、運転中においても、移動型端末3を音声認証が可能な待機状態としておくことで、視線を移動型端末3に移動することなく、安全に運送支援アプリを起動し、注意情報の音声出力等を可能な状態とすることができる。
【0063】
運送支援アプリが起動するとトップページ5a(
図3(b)参照)が表示される。トップページ5aから納入先を選択し(S21)、現在地から納入先までの経路をマップ表示5d(
図5(a)参照)で確認する。現在地としては、マップ表示5dにおいて、使用中の移動型端末3の位置を示すマーカー(地図左上の▽印)により確認できる。運転者は、現在地を示すマーカーと、納入先との間の道路上に、注意情報に対応するマーカーがないか確認する(S22)。なお、現在地と納入先との経路を決定する経路決定プログラムを、支援プログラム17a,27a(
図2参照)の一部として含め、支援プログラム17a,27aにより決定した経路上のマーカーを支援プログラム17a,27aによって抽出して表示するようにしてもよい。
【0064】
マップ表示5bにおいて、注意情報が登録された箇所(例えば、注意情報の登録箇所)に相当するマーカーが存在する場合、マーカーをタッチ操作して注意情報の内容を確認する(S23)。また、運転者は、納入先のマーカーをタッチ操作して納入先の注意情報があれば、内容を確認する(S24)。
【0065】
図5(b)には、納入先の注意情報を示す納入先注意情報表示5eの表示画面5を例示している。運転者は、納入先注意情報表示5eを確認することで、納入先の注意情報を予め認識する。ここで、注意情報の確認は、現地に到着してから実施していると時間を要してしまう場合があり、できれば出発前に記憶しておいて納入先に向かうことが好ましい。しかし、多数の納入先があったり、複数の注意情報があると、すべての注意情報を記憶することは困難で、予め認識したはずの注意情報を忘れてしまう可能性がある。
【0066】
これに対して、本発明の運送支援システム1においては、音声データと、画像データとを組み合わせた注意情報を出発前に確認し、納入先に向かった後は、注意情報を音声出力することで、画像データを想起させ易くする構成としている。これにより、運転者は、納入先に向かう途中で、移動型端末3から出力される注意情報に対応する音声データを聴いて、その後に注意すべき箇所と内容を把握することができる。また、仮に、どのような内容であるか忘れてしまい、音声のみでは判別できない場合には、表示画面5を通じて、注意情報の内容を、画像データも利用して詳細に確認する。これにより、画像データも含めた注意情報の確認によって、運転者は、より詳細な注意情報の内容を認識し、安全に貨物を運送することができる。
【0067】
ここで、注意情報の確認として、
図5(b)に示す納入先注意情報表示5eには、3種類の確認が可能な操作部41~43が設けられている。1つ目は、メガホンの図形で表示された音声データを確認する音声確認操作部41であり、音声確認操作部41をタッチすることで、表示されている注意情報に登録された音声データが出力される。2つ目は、ビデオカメラの図形で表示された動画を確認する動画確認操作部42であり、動画確認操作部42をタッチすることで注意情報に登録された動画があれば、その動画が表示画面で再生されて動画の表示に対応して音声が出力される。これら音声データと動画とによる注意情報の確認のための制御は、サーバー装置2の注意情報出力プログラム17c(
図2参照)が実行されて注意情報DB15cの中から必要な情報を抽出することにより行われる。
【0068】
3つ目は、VRの文字が表示された立体視が可能な動画を確認する立体視確認操作部4
3であり、立体視確認操作部43をタッチすることで立体視が可能な動画があれば、移動型端末3に仮想現実に対応したVR動画の立体的な表示が可能なヘッドマウントディスプレイを搭載した装置を接続することで、注意情報の動画が立体視可能な状態で出力され、その動画に対応した音声が出力される。このVR動画を用いて運転者を教育するための制御は、サーバー装置2の注意情報教育プログラム17d(
図2参照)が実行されて注意情報DB15cの中から必要な情報を抽出することにより行われる。
【0069】
このように、注意情報を、イラストや写真、文字の表示だけでなく、音声を含めて出力したり、また、音声データに加えて、動画や、VR動画のデータを含めて運転者に出力することで、注意情報の内容を運転者に深く印象付けることができる。そして、注意情報により注意が必要となる箇所に近づいた場合に、予め確認させておいた注意情報を音声出力すると、注意情報の内容を想起させ易くすることができ、迅速な納品作業を可能とすることができる。なお、運送支援システム1には、運転者毎に、注意情報を確認した履歴を記録しておく機能を備えることが好ましく、例えば、注意情報教育プログラム17dによって運転者毎の注意情報の確認履歴を記録し、管理者が、運行前に適切に運転者が注意情報の確認を行っているかを運転者毎の確認履歴のデータに基づいて確認可能とすることが好ましい。
【0070】
注意情報の確認後には、納入先へ移動する移動予定時間の天気を確認する(S25)。天気の確認は、マップ表示5dの画面に重なるように、雨雲の位置が色付けされた天気確認用マップ表示5f(
図5(c)参照)によって確認でき、雨雲が時間毎に移動するよう内容が定期的に更新されて表示される。運転者は、移動予定時間において雨雲が運送経路上に位置する場合には、屋根付きのトラックを利用したり、ビニールシートを被せた状態にして貨物を運送するといった対応をとることができる。
【0071】
S21からS25の処理は、出発前において行われ、その後のS31,S32の処理は、出発後において行われる。車輌を運転して納入先へ向かう場合には、運転席の近くに移動型端末3が位置するようにして車輌に移動型端末3を積載し、ログインされた状態としておく。すると、道路上に沿って現在地が移動することを移動型端末3が識別し、道路上の注意情報のマーカーに近づいたら、移動型端末3は、注意情報に対応した音声データを音声出力により読み上げる。また、雨雲が一定範囲内に接近した場合には、雨雲の接近に対応したアラーム音を出力する(S31)。運転者は、道路上に注意が必要な箇所が近づいていることや、近いうちに雨が降る可能性があることを事前に認識し、注意が必要な箇所や、雨天に対応した行動を実施することができる。
【0072】
納入先まで一定距離以内(例えば、500m以内)に近づいたら、移動型端末3は、納入先の注意情報に対応した音声データを音声出力により読み上げる(S32)。運転者は、注意情報の音声出力により内容を想起し、また、内容が思い出せない場合には停車して移動型端末3を操作して内容確認する。これにより、運転者は、注意情報に対応した注意を行いながら、その後の運送作業を継続することができる。
【0073】
図5(d)には、停車状態中でない車輌走行中(車輌の移動中)の状況に対応した走行中表示5gを例示している。走行中表示5gは、内容を視覚により確認することが不能な状態であることを示す操作不能情報を含み、例えば、「位置情報が移動しています。運転中は操作できません。」という文字が表示される。走行中表示5gの表示中は、注意情報の文字や画像による確認は不能であり、注意情報は、音声データに基づく音声によってのみ確認することができる。
【0074】
また、走行中表示5gには、走行不能情報よりも小さな文字で、車輌の移動中でも操作を可能とすることを示す操作可能化操作部が表示され、例えば、「ドライブモードを解除
する」の文字が表示された操作部が設けられる。操作可能化操作部をタッチ操作すると、ドライブモードが解除され、トップページ5a(
図3(b)参照)、マップ表示5d(
図5(a)参照)、納入先注意情報5e(
図5(b)参照)などの表示が可能な表示画面5へ移行する。また、移動型端末3は、車輌走行中の状況において、ドライブモードに対応する走行中表示5gを行った後、停車状態中であって運転中でないと判断できる条件が成立した場合(例えば、停車した後に一定時間以上(例えば、30秒以上)が経過した場合や、移動型端末3が道路上から外れた場合など)に、ドライブモードを解除し、マップ表示5d等の他の画面表示を行う。
【0075】
ここで、ドライブモードの解除が簡単であると、車輌走行中に移動型端末3の表示画面5を操作してしまう可能性が考えられるため、ドライブモードの解除は運転中において困難にする制御を含めることが好ましい。例えば、ドライブモードの解除操作が1種類でなく、2種以上設定され、いずれの解除操作を必要とするかを不規則に選択して入力を促してもよく、例えば、操作可能化操作部は、表示画面5の上部に表示される場合と、下部に表示される場合とを設定したり、表示画面5の2箇所以上に表示して同時に2箇所以上にタッチすることを要求して、表示画面5を注視せずにドライブモードを解除することを困難にしてもよい。
【0076】
また、必ずしもドライブモード中において注意情報を全く表示しない構成とする必要はなく、注意情報としての通常の表示(例えば、天気確認用マップ表示5f)の態様を、容易には識別できない程度に薄く表示(例えば、透過率60%以上にして表示)したり、通常の表示よりも小さく、例えば、50%以下に縮小して表示して、通常の表示態様よりも注意情報が識別し難い別の表示態様にて注意情報を表示画面5に表示する構成としてもよい。この場合であっても、停車して表示画面5を注視しなければ、注意情報は確認できないし、停車した場合には、通常の表示態様に復帰させるまでもなく、表示画面5を通じて注意情報としての画像の内容を想起する契機にして、迅速に運送業務に復帰させることができる。
【0077】
次に、納品途中における道路注意情報の登録機能について説明する。道路上を運送している納品途中で、道路上に、注意すべき箇所を発見した場合、運転者は、注意情報の登録開始に対応した特定の音声(例えば、「ヘイ、ドラ」の音声)を発音する。移動型端末3は、特定の音声を識別することで道路上での注意情報の登録が必要な状況であることを認識し、その特定の音声を契機として、注意情報の登録の制御を開始する(S41)。具体的には、特定の音声が発せられた位置情報に対応する位置データと、登録時間に対応する時間データとを記憶(記録)し、特定の音声の後に、「ピーという音の後に、注意情報を話してください。」といった音声の登録を促す情報を出力する。音声の登録を促す情報の出力後に、運転者が、注意情報として、例えば、「工事中、12月31日まで道幅減少」といった情報を発すると、その音声に対応した音声データが、位置データと時間データと共に、注意情報として登録される。
【0078】
登録された情報は、車輌が移動していない停車状態中においてトップページ5a(
図3(b)参照)を表示した場合に、登録未完了の情報として表示され、マップ表示5b(
図3(c)参照)においてマーカーにより表示される。運転者は、納入先へ到着した後や、営業所に戻った後で、道路上で音声登録した注意情報を表示画面5に表示し、注意情報の登録画面を操作して、文字データなどを含めて他の注意情報を入力操作して仮登録を行う(S42)。仮登録された注意情報は、管理者が移動型端末3又はサーバー装置2にログインした場合に表示画面に仮登録の注意情報があるとして表示される。管理者は、本登録の操作を行うことで、注意情報が本登録となり(S43)、これにより、他の運転者が確認可能となる。
【0079】
なお、注意情報の登録として、静止画像や動画像を含めて注意情報として登録することが好ましく、例えば、特定の音声が発せられて道路注意情報の登録開始となったタイミングに対応して、車輌に搭載された運転の状況を記録する運転記録装置(ドライブレコーダー)に含まれるカメラの動画を記録する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。また、ゴーグル型のカメラを運転者が装着して運転や納品作業を行い、注意が必要な箇所の立体的な動画を撮影し、VR動画として後に利用可能な動画を注意情報の一部として登録するようにしてもよい。
【0080】
納入先注意情報についても、道路注意情報と同様に登録することができる。例えば、納入先において、注意情報の登録開始に対応した特定の音声(例えば、「ヘイ、ドラ」の音声)を運転者が発した場合、移動型端末3は、特定の音声を識別することで注意情報の登録が必要な状況であることを認識し、その特定の音声を契機として、注意情報の登録の制御を開始して、特定の音声が発せられた位置情報に対応する位置データと、登録時間に対応する時間データと、注意情報の音声に対応する音声データとを記録する。また、車輌の移動が検出されない状況であれば、納入先注意情報表示5c(
図3(d)参照)を表示して、運転者が納入先注意情報を画面操作とカメラ撮影とを含めて入力する。納入先や営業所に戻った後で運転者による仮登録が行われたら(S51)、その後に、管理者が、移動型端末3に対して本登録の画面操作を行い、注意情報が本登録された状態となる(S52)。
【0081】
図6は、納入先注意情報を表示した表示画面5を含む移動型端末3を例示している。タブレット3aなどの横向きと縦向きの画面表示を選択して表示する制御が可能な移動型端末3では、表示画面5の向きによって、注意情報の画像データの大きさを異ならせて表示することが好ましい。例えば、
図6(a)には、縦向きの表示画面5の場合において、注意情報の画像データが小さく表示される一方、文字データが大きく表示される場合を例示している。この縦向きの表示画面5を用いて、出発前に、大きめに表示された文字データで注意情報を容易に確認可能としている。
【0082】
図6(b)には、横向きの表示画面5において、縦向きの場合よりも注意情報の画像データが大きく表示され、画像データを編集するための各種ツールがボタンで表示された表示画面5を例示している。注意情報の画像データが、縦向きの表示画面5より大きく表示されることにより、画像データの内容確認や編集を容易に行うことができる。この縦向きと横向きの表示画面5の切り替えは、移動型端末3に重力センサを内蔵し、移動型端末3の向きを検出して表示内容を切り替える制御を含むように構成することが好ましい。
【0083】
次に、
図7を参照して、サーバー装置2と移動型端末3との通信制御を例示して説明する。
図7は、運転者と管理者の移動型端末3と、サーバー装置2との通信制御を例示した図である。
【0084】
運転者が納入先に向かって運転している道路上において、注意情報が登録された位置まで一定距離以内(例えば、100m以内)に接近した場合、運転者の個人情報と、道路上で注意情報に接近した位置を特定可能な位置情報をサーバー装置2へ送信する(T11)。サーバー装置2は、個人情報と位置情報とから、その位置情報に対応して注意情報の出力が必要な位置データを含む注意情報を検索し、注意情報として変更の履歴を記録していれば最新の注意情報を抽出し、運転者の移動型端末3へ送信する(C11)。なお、複数の運転者のうち、いずれの運転者の移動型端末3からのサーバー装置2への通信であるかは、例えば、移動型端末3を識別する識別情報を移動型端末3からサーバー装置2へ送信することで識別してもよく、運転者の移動型端末3とサーバー装置2とのやりとりは、履歴データとして記憶しておくことが好ましい。
【0085】
サーバー装置2から送信された注意情報は、移動型端末3によって、運転者に向けた注意情報として、音声出力される(T12)。その後、納入先まで一定距離以内(例えば、100m以内)に接近した場合、運転者の個人情報と、納入先を特定可能な位置情報をサーバー装置2へ送信する(T21)。サーバー装置2は、個人情報と位置情報とから、その位置情報に対応した最新の注意情報を抽出して運転者の移動型端末3へ送信する(C12)。
【0086】
サーバー装置2から送信された注意情報は、移動型端末3によって、運転者に向けた注意情報として音声出力され(T22)、納入先に到着したことが位置情報により特定できたら、注意情報が移動型端末3の表示画面5に表示される。
【0087】
次に、注意情報が登録される場合の通信制御を説明する。
図7には、運転者の移動型端末3に加えて、管理者の使用する端末として移動型端末3が使用された場合を例示している。運転者の移動型端末3によって、注意情報が入力されたら、個人情報と注意情報の入力データがサーバー装置2へ送信される(T31)。サーバー装置2では、送信された注意情報を仮登録の状態として記録し、仮登録が完了したことを示す情報を運転者の移動型端末3へ送信する(C13)。また、管理者の移動型端末3がログインされた状態であれば、管理者の移動型端末3にも、注意情報の仮登録完了の情報を送信し、仮登録が新たに実行されたことを管理者の移動型端末3の表示画面5に出力する。管理者がログイン中でなければ、次に、管理者のログインがあった時にトップページ5a(
図3(b)参照)に仮登録が新たに実行されたことを表示する。なお、管理者には、電子メールを通じて仮登録があったことを通知するなど、表示画面5の表示だけでなく、他の方法も利用して通知をすることが好ましい。
【0088】
管理者が注意情報の本登録操作を行うと、本登録操作がされたことを示す本登録情報がサーバー装置2へ送信される(M12)。サーバー装置2では、注意情報が本登録の状態であるとして記録し、本登録が完了されたことを示す本登録完了情報を、運転者の移動型端末3や、管理者の移動型端末3へ送信する(C14)。本登録完了の情報は、運転者と管理者の移動型端末3のトップページ5aの表示画面5等に画面出力され(T41,M21)、運転者と管理者とが本登録が完了されたことを認識できる。
【0089】
以上説明した本発明の運送支援システム1は、貨物の運送作業を行う運転者が安全に運送作業を実施し易くすることを可能とするための注意情報を移動型端末3の表示画面5に表示可能に構成されている。そして、移動型端末3は、注意情報を、運転者によって入力可能とする入力部23と、入力部23によって入力された注意情報を、注意情報の入力を実施した運転者とは別の運転者によって認識可能に、音声データと画像データとを用いて表示と音声とにより出力する音出力部28及び表示部24と、現在位置を特定可能な現在位置認識部29と、を備えている。サーバー装置2は、移動型端末3の入力部23によって入力された注意情報と、現在位置認識部29によって特定される運転者の位置に関する位置情報と、を含む各種情報を、注意情報DB15cに記憶する。移動型端末3は、注意情報を入力する手段として、運転者の音声を入力可能とする音入力部23bを有し、音入力部23bを用いて入力の行われた注意情報を、音声を出力可能な音出力部28によって別の運転者によって認識可能に出力する。
【0090】
貨物の運送作業を行う運転者にとって注意が必要な状況に関する注意情報は、音入力部23bを通じて運転者が音声によって入力することができる。このため、運転中などであっても運転者が注意情報を、前方を視認しながら簡易且つ安全に登録することができ、その登録された注意情報は、別の運転者が音出力部28により出力される音声を通じて認識することができる。従って、注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることができる。
【0091】
また、移動型端末3は、所定の停車状態中である場合(現在位置認識部29の位置確認によって車輌走行中でないと判断される場合)において、所定の操作(表示画面5をタッチする操作や特定のボタンを押下する操作)を実行することにより注意情報を識別可能な表示態様(例えば、
図5(b)に示す納入先注意情報表示5e)で表示画面5に表示し、所定の停車状態中でない場合においては、注意情報の確認が不能な表示画面5が表示され(例えば、
図5(d)に示す走行中表示5g)、上記した所定の操作を実行しても、注意情報を表示画面5に表示しない。このため、所定の停車状態中でない車輌走行中の場合等には、表示画面5を通じた注意情報の確認を制限することができ、安全な貨物の運送を支援することができる。
【0092】
また、注意情報は、出発前の確認においては音声と画像(表示)とによって出力可能に構成される。このため、運転者が注意情報を出発前に記憶し易くすることができる。また、所定の停車状態中でない車輌走行中の場合等において、音声データに基づいた注意情報の音声出力が実行されることで、注意情報の音声出力を契機として、表示画面5を通じて認識した注意情報を想起させ易くすることができる。
【0093】
また、運送支援システム1にインストールされる支援プログラム17a,27aは、移動型端末3が、注意情報を入力可能とする入力部23と、注意情報を出力する音出力部28及び表示部24(表示画面5)と、現在位置認識部29の機能を発揮させるために動作するための演算処理を実行させることが可能に構成され、また、サーバー装置2が、移動型端末3を通じて注意情報を出力する演算処理を実行させることが可能に構成されている。このため、注意情報を効率よく登録し、且つ、活用し易くすることが可能な運送支援システム1を、既存のコンピュータや移動型端末に支援プログラム17a,27aを記憶させることで構築することができる。
【0094】
なお、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されず、上記した各効果と同様の効果を奏する別の実施の形態に変更できることは勿論である。
【0095】
例えば、運送支援システム1に登録する情報として、上記した以外の他の情報を含めて登録する構成とし、その情報を、注意情報の出力に関連させてもよい。例えば、運転免許の種類、取得している作業資格(玉掛、クレーンなど)、運送業務の履歴、運送業務の経験(年数など)のいずれか又は複数の組合せを個人情報として予め登録し、個人情報の具体的な項目によって出力される注意情報を異ならせる制御を含めてもよい。例えば、クレーンの資格に関する注意情報は、クレーンの資格のある運転者に限定して表示したり、トレーラーに関する注意情報は、トレーラーの運転免許のある運転者に限って表示する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0096】
また、注意情報は、必ずしも運転者本人が入力する必要はなく、運転者本人が危険な状況を登録し、運転者以外の人に危険な状況を確認してもらい、その危険な状況を回避する回避策(回答)は他の運転者が入力可能な制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。例えば、注意情報に対する意見に相当するコメントデータを入力可能に構成し、他の運転者は注意情報に対してのコメントデータを入力し、運転者とコメントデータとを関連付けて注意情報に登録する構成としてもよく、コメントデータは文字データだけでもよいが、音声データを含めて登録可能とし、注意情報の一部として注意が必要なタイミングで他の運転者のコメントとしての音声データを音声により出力するようにしてもよく、他の運転者による画像データも登録可能にして注意情報として出力可能とする制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0097】
また、注意情報として、納入先に対して持参が必要なもの(例えば、入門許可証)があ
る場合に注意を促す注意情報(例えば、入門許可証の所持)を、出発時又は出発直後に音声で出力して、所持の忘れを防止する構成としてもよい。また、納入先と貨物の内容を出発前に登録する構成とし、貨物の納入に対応して作業資格(玉掛、フォークリフト、ホイストクレーンの作業資格など)として必要な資格があれば、運転者が必要な作業資格を所持しているか個人情報に基づいて識別し、所持していない人に限定して資格情報が必要なことを示す注意情報を出力する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0098】
納品可能な時間帯の制限がある場合には、納品可能な時間を登録可能に注意情報を記憶する構成とし、当該時間内に到着可能なタイミングで納入先に向かって車輌が進行している場合には当該注意情報を納品途中で出力せず、当該時間から外れる可能性が生じた場合は、その時点で注意情報を出力する(例えば、出発する際に納入先を選択する構成とし、納品途中で地図データに基づいて到着時間を予測し、納品可能な時間に間に合わない又は早すぎる場合に注意情報を音声により出力する)制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0099】
マップ表示5b(
図3(b)参照)として、1つの納入先を検索したら、当該納入先のみマーカーを表示し、他の納入先のマーカーは非表示とする制御を含めてもよく、又は、当該検索を行った納入先と、運転者の運送業務の履歴に基づいて自身が納品した経験のある納入先に限定して納入先を表示するようにし、検索を行った納入先は他の納入先とは異なる態様(例えば、検索した対象は点滅表示、他は非点滅)で表示する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0100】
降雪の予報を可能とする制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。例えば、納品の予定時間を登録した場合に、納品途中で雪が降る状況であるか否かを予測し、雪が降る状況であることを注意情報として出力する構成としてもよい。また、雪が降る状況であると予測された場合には、納入に使用する車輌を識別する構成とし、当該車輌がスタッドレスタイヤなどの雪が降る情報に対応していれば注意情報を出力せず、チェーンを積載しておく必要がある車輌であれば雪が降る可能性があってチェーンを積載しておくことを注意情報として出力する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0101】
車輌の情報を登録して、運送作業に使用する車輌を選択する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。例えば、手押し車、自転車、バイク、軽自動車の荷台付き車輌(軽トラ)、屋根のない荷台のトラック(平ボデー)、羽根状に両開きする屋根の付いたトラック(ウィング)、トレーラーなど運送手段の種別を登録してもよいし、これに加えて、最大積載量や、1軸、2軸といった車輌情報を含めて登録をするようにしてもよく、登録された車輌の種別に基づいて、注意情報として出力するか否かを決定する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0102】
例えば、大型の車輌など、一部の車輌では通過できない経路(ルート)に関する注意情報については、注意情報に車輌の情報を関連付けし、運送する車輌を出発前に登録(確認)してから運送作業を行う設定とし、使用する車輌の情報によって出力が必要な注意情報を絞り込んで、注意情報の出力が必要な車輌に該当する場合に限って当該注意情報を出力する制御を含めてもよい。
【0103】
車輌に搭載されたカメラを利用して、注意情報の画像データや音声データを登録する制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。カメラの位置としては、車輌の前方を撮影するカメラ、車輌の側方(例えば、死角となりやすい助手席側)、車輌の後方を撮影するカメラ、荷台(貨物)を撮影するカメラ、運転者を撮影するカメラ、などが例示され、これらのいずれか、又は複数の組合せのカメラで撮影した画像データや、画像データと音声データの組み合わせを登録するようにしてもよい。登録のタイミングとしては、急ブ
レーキや急ハンドルを、車輌に搭載したセンサや、移動型端末3に内蔵されるセンサで検出して、そのタイミングの前後における画像データや音声データを登録する制御を含めてもよい。
【0104】
荷台に向けたカメラの情報を、急ハンドルや急ブレーキによって荷台の状況が変化した状況において登録し、荷崩れを起こしたり、貨物が破損したりした状況を注意情報の一部データとして登録する制御を含めてもよい。また、事故が起きた場合に、その原因を解析するために事項の状況を撮影した画像データを、注意情報の一部として登録する制御を含めてもよい。
【0105】
このように、注意情報として、実際に失敗した失敗例を登録することで、注意が必要な状況を判り易く、他の運転者にも伝達することができ、危険な状況や、安全にするための方法を感覚から体感することができ、この場合には、VR画像を利用することが好ましい。また、失敗例に対応した成功例の動画も登録することが好ましく、音声データとして注意するポイントの解説の音声も付加することも好ましく、これによっても、注意情報を判り易く周知させることができる。
【0106】
注意情報の登録または出力の少なくともいずれかの制御に、人工知能(AI)を利用した制御を含めて運送支援システム1を構成してもよい。例えば、車輌に搭載したセンサや、移動型端末3に内蔵されるセンサの変化を情報登録の契機とし、その時間の前後の一定時間の画像データを、運転者の操作なしでも注意情報として、登録したり、仮登録したりする制御を含めてもよいし、注意情報の出力の制御についてもAIを利用した制御を含めてもよい。
【0107】
乗車前の車輌の点検に関する情報を注意情報として登録して出力可能に構成してもよい。また、納入先に加えて、納入先に運送する貨物を指定する項目を設定し、運送する貨物の種類に応じて注意情報を出力する制御を含めてもよい。例えば、納入までの時間が限定されていることで注意が必要な貨物(例えば、コンクリートなど)を運ぶ場合には、貨物を積載してから一定の移動時間が経過した場合に、残り時間を示す情報を注意情報として出力してもよい。
【0108】
管理者が、移動型端末3を所持する運転者の業務実行状況に関する注意情報を出力する機能を含めて運送支援システム1を構成してもよい。例えば、運送作業中における運転者の個人情報と位置データと時間データとを一定時間毎(例えば、1分毎)に、移動型端末3からサーバー装置2へ出力し、予め設定した規定を超える時間の運送業務が行われている場合には、この状況に対応した注意情報を、管理者に向けて出力してもよい。
【0109】
移動型端末3の位置データと時間データとに基づいて、納入先への到着時間に関する情報をサーバー装置2又は移動型端末3から納入先へ出力する機能(例えば、納入先まで一定以内の距離範囲内に入ったら電子メールを送信する機能)を含めて運送支援システム1を構成してもよい。
【0110】
また、必ずしも納入先への移動において注意情報を出力する構成とする必要はなく、これに代えて、または、これに加えて運送する貨物を車載する元となる取引先への移動や納入を終えた後の帰路における移動など、他の移動において注意情報を出力する構成としてもよい。
【0111】
また、必ずしも運転者による仮登録として、運転中に運転者が音声により入力した音声データを注意情報としてサーバー装置2に記憶する必要はなく、これに代えて、または、これに加えて、運転者が入力した音声データに基づいた注意情報としての注意対応情報を
別途音声データとして記憶するようにしてもよい。注意対応情報としては、例えば、音声以外の雑音(ノイズ)を除去したり、聞き取り易い順序や発音にして音声を登録し直した情報を音声データとしてサーバー装置2に記憶してもよく、この注意対応情報は、運転者自身が改めて登録してもよいし、運転者とは別の者(例えば、管理者)が登録してもよいし、運転者や管理者がテキスト入力した文字データを音声として合成出力可能な音声合成ソフトウェアを利用して注意情報を出力する制御を含め、注意情報の音声データに対応したテキストデータを登録してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の運送支援システム及びプログラムは、運転者が運送業務中に注意が必要となる注意情報を活用し易くすることができ、安全な貨物の運送を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 :運送支援システム
2 :サーバー装置
3 :移動型端末
5 :表示画面(注意情報出力手段の一部)
6 :注意情報
15 :ストレージ
15c :注意情報DB(注意情報記憶手段)
15e :画像データ(注意表示データ)
15f :音声データ(注意音声データ)
17a :支援プログラム(プログラム)
23 :入力部(入力手段の一部)
23b :音入力部(音声入力手段の一部)
24 :表示部(注意情報出力手段の一部)
27a :支援プログラム(プログラム)
28 :音出力部(注意情報出力手段の一部)
29 :現在位置認識部(位置特定手段の一部)
T :ネットワーク