(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086025
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】光学分析装置、光学分析方法及び複合分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
G01N21/27 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200875
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】中原 達也
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059CC12
2G059EE01
2G059EE12
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ11
2G059JJ13
2G059KK01
(57)【要約】
【課題】単一の光源ユニットにより広い波長範囲の測定を可能とし、さらに十分な光量の複数の光を出力し、複数点の同時測定を効率よく行えるようにする。
【解決手段】試料を収容した光学セルに光を照射し、その透過光を検出することで前記試料を分析する光学分析装置であって、光源である重水素ランプ及びハロゲンランプと、前記重水素ランプからの光と前記ハロゲンランプからの光の合成光を出力する第1光出力ポート及び第2光出力ポートと、前記各光出力ポートに接続され、入射した前記合成光を分岐させて複数の前記光学セルに導く光ファイバとを備え、前記第1光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群を束ねた第1光ファイバが接続され、前記第2光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバが接続される光学分析装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を収容した光学セルに光を照射し、その透過光を検出することで前記試料を分析する光学分析装置であって、
光源である重水素ランプ及びハロゲンランプと、
前記重水素ランプからの光と前記ハロゲンランプからの光の合成光を出力する第1光出力ポート及び第2光出力ポートと、
前記各光出力ポートに接続され、入射した前記合成光を分岐させて複数の前記光学セルに導く光ファイバとを備え、
前記第1光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群を束ねた第1光ファイバが接続され、
前記第2光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバが接続される光学分析装置。
【請求項2】
前記第1光出力ポートが、前記第1光ファイバを介して、紫外光域~可視光域に感度波長範囲を持つ第1光検出器に接続されるものであり、
前記第2光出力ポートが、前記第2光ファイバを介して、赤外光域に感度波長範囲を持つ第2光検出器に接続されるものである請求項1に記載の光学分析装置。
【請求項3】
前記各ランプから出射された光を合成して前記各光出力ポートに導く光学系を更に備え、
前記第1光ファイバの入力端面において、前記複数のファイバ群を構成する複数のファイバを、前記光学系により当該入力端面の位置に形成される前記光源からの光の像の形状に合わせて配置した請求項1又は2に記載の光学分析装置。
【請求項4】
前記入力端面において、前記第1光ファイバのバンドル径と前記光源からの光の像サイズとが略同一である請求項3に記載の光学分析装置。
【請求項5】
前記第1光ファイバは、その入力端面において中心軸を基準にして、前記複数のファイバ群が互いに対称な関係となるように配置されたものである請求項1~4のいずれか一項に記載の光学分析装置。
【請求項6】
前記複数のファイバ群はいずれも、分岐後の出力端面においてその中心軸を通るファイバである1本の中心ファイバと、分岐後の出力端面において当該中心ファイバの周りに配置されるファイバである複数本の周囲ファイバとを備えており、
前記複数のファイバ群がそれぞれ備える前記中心ファイバが、前記入力端面において中心軸近傍に配置されている請求項5に記載の光学分析装置。
【請求項7】
前記第1光ファイバが、前記光源からの光を前記光学セルに導かないダミーファイバを、前記複数のファイバ群とともに束ねたものである請求項1~6のいずれか一項に記載の光学分析装置。
【請求項8】
光源である重水素ランプ及びハロゲンランプと、前記重水素ランプからの光と前記ハロゲンランプからの光の合成光を出力する第1光出力ポート及び第2光出力ポートと、前記各光出力ポートに接続され、入射した前記合成光を分岐させて複数の前記光学セルに導く光ファイバとを備え、試料を収容した光学セルに照射し、その透過光を検出することで前記試料を分析する光学分析装置を用いた光学分析方法であって、
前記第1光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群を束ねた第1光ファイバを接続し、
前記第2光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバを接続する光学分析方法。
【請求項9】
試料中の測定対象成分の濃度を測定するものであって、
請求項1~8のいずれか一項に記載の光学分析装置と、
前記試料の導電率を計測する導電率計、又は前記試料のpHを測定するpH計と、
前記光学分析装置が計測した前記試料の光吸収スペクトルと、前記導電率計又は前記pH計が計測した前記試料の導電率又はpHとを説明変数とした多変量解析により、前記測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部とを備える複合分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造プロセス等において薬液等の成分濃度を測定する光学分析装置、光学分析方法及び複合分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分析装置としては、例えば特許文献1に示すように、半導体製造装置に設けられた配管に接続されて、フッ酸(HF)等の薬液(液体試料)の濃度等を測定する光学分析装置がある。この光学分析装置は、光学セルと、光学セルに対して光を照射する光源ユニットと、光学セルを透過した光を検出する光検出部とを有しており、光検出器からの光強度信号を受信した演算部により、光学セルに収容した液体試料に含まれる所定成分の濃度を算出するよう構成されている。光源ユニットは、光源からの光を出力する光出力ポートと、この光出力ポートに接続される光ファイバとを有しており、光源からの光は、光ファイバを介して光学セルに照射される。このようにして得られる濃度を用いて、配管を流れる薬液の濃度等が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した光学分析装置では、一台の装置により、広い波長範囲を測定できるようにするのが望ましい。そのため例えば、光を照射する光源ユニットにおいて、紫外光域の光を発する重水素ランプと、可視光から赤外光の波長域の光を発するハロゲンランプの両方を光源として設けるとともに、複数の光出力ポートを設け、各光出力ポートから、ハロゲンランプからの光と重水素ランプからの光を目的とする測定波長に応じて適度なバランスで合成して出力することが考えられる。
【0005】
また一方で上述した光学分析装置では、流路の複数箇所の同時測定や、複数タンクの同時測定など、複数点の同時測定のニーズが増えている。従来、複数点を同時に測定するには、測定箇所毎に光学分析装置を一式設置する必要があり、複数台分のコストや設置スペースが問題となっている。
【0006】
このような問題を解消するために、複数点の同時測定に必要な装置台数を減らすべく、1つの光出力ポートから複数の光出力を得ることが考えられ、例えば、光出力ポートに分岐ファイバを接続する方法が考えられる。
【0007】
ここで、光源ユニットの光出力ポートに分岐ファイバを接続する場合に問題となるのが光量である。分岐ファイバを用いる場合、光出力ポートに接続される光ファイバの入力端面には、複数の分岐先に対応する複数のファイバが配置されることになるが、光出力ポートに到達した光源からの光を複数のファイバで分け合うため、シングルファイバを接続して光を取り出す場合に比べて、分岐先に到達する光量はどうしても低下してしまう。そのため、各光出力ポートから効率よく光を取り出すことが望ましい。
【0008】
本発明は上述した問題を一挙に解決すべくなされたものであり、単一の光源ユニットにより広い波長範囲の測定を可能とし、さらに十分な光量の複数の光を出力し、複数点の同時測定を効率よく行えるようにすることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る光学分析装置は、試料を収容した光学セルに光を照射し、その透過光を検出することで前記試料を分析する光学分析装置であって、光源である重水素ランプ及びハロゲンランプと、前記重水素ランプからの光と前記ハロゲンランプからの光の合成光を出力する第1光出力ポート及び第2光出力ポートと、前記各光出力ポートに接続され、入射した前記合成光を分岐させて複数の前記光学セルに導く光ファイバとを備え、前記第1光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群を束ねた第1光ファイバが接続され、前記第2光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバが接続されることを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば、重水素ランプから出射される紫外光域の光とハロゲンランプから出射される可視光域~赤外光域の光の合成光を出力する複数の光出力ポートを備えるので、各光出力ポートから出力される光をそれぞれ適した感度波長範囲の光検出器で検出するようにすれば、紫外光域から赤外光域までの広い波長範囲での測定が可能となる。例えば、第1光出力ポートから出力された光を紫外光域~可視光域に感度波長範囲をもつ光検出器で検出するようにすれば、紫外光域~可視光域の測定を行うことができる。一方で第2光出力ポートから出力された光を赤外光域に感度波長範囲を持つ光検出器で検出するようにすれば、赤外光域の測定を行うことができる。
【0011】
さらにこの構成によれば、出力された光を分岐させる光ファイバを各光出力ポートに接続しているので、各光出力ポートから複数の光を出力して複数点の同時測定を行うことができる。そして、第1光出力ポートと第2光出力ポートとで、異なるタイプの光ファイバを接続するようにすることで、広い波長範囲の光を十分な光量で複数出力することができるようになる。
【0012】
例えば、上述のように第1光出力ポートを紫外光域~可視光域の測定用として用いる場合には、重水素ランプとハロゲンランプの光を同程度の光量で出力させるのが望ましいが、ハロゲンランプに比べて重水素ランプはもともとの光量が少ないため、重水素ランプの光を効率よく取り出すことが求められる。ここで重水素ランプはその発光面が略円形状であるため、光ファイバの光入力端面に形成される重水素ランプからの光の像は円形状となる。そのため、円形状をなす光の像に合わせた入力端面を持つ光ファイバを用いる、即ち複数のファイバ群を束ねることで入力端面に複数のファイバが略円形状に配置される第1ファイバを用いることで、重水素ランプの光を効率よく取り出すことができる。
【0013】
一方で、例えば上述のように第2光出力ポートを赤外光域の測定用として用いる場合には、ハロゲンランプの光の光量のみを気にすればよい。ハロゲンランプはその発光面(フィラメント)が長方形状であるため、光ファイバの光入力端面に形成されるハロゲンランプからの光の像は横長なものとなる。そのため、横長形状をなす光の像に合わせた入力端面を持つ光ファイバを用いる、即ち複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバを用いることで、ハロゲンランプの光を効率よく、しかも低コストで取り出すことができる。
【0014】
前記光学分析装置は、前記第1光出力ポートが、前記第1光ファイバを介して、紫外光域~可視光域に感度波長範囲を持つ第1光検出器に接続されるものであり、前記第2光出力ポートが、前記第2光ファイバを介して、赤外光域に感度波長範囲を持つ第2光検出器に接続されるものであるのが好ましい。
このようにすれば、第1光出力ポートを紫外光域~可視光域の測定用として用いることができ、第2光出力ポートを赤外光域の測定用として用いるので、前記して本発明の効果を顕著に得ることができる。
【0015】
また前記光学分析装置は、前記各ランプから出射された光を合成して前記各光出力ポートに導く光学系を更に備え、前記第1光ファイバの入力端面において、前記複数のファイバ群を構成する複数のファイバを、前記光学系により当該入力端面の位置に形成される前記光源からの光の像の形状に合わせて配置したのが好ましい。
このようにすれば、光の複数のファイバ群を構成する複数のファイバが、光源からの光の像の形状(例えば円形状)に合わせて配置されているので、光のロスを少なくし、効率よく光を出力することができる。
【0016】
また前記光学分析装置は、前記入力端面において、前記第1光ファイバのバンドル径と前記光源からの光の像サイズとが略同一であるのが好ましい。
このようにすれば、光ファイバのバンドル径の大きさと光の像サイズとが略同一なので、光のロスをより少なくし、効率よく光を出力することができる。またファイバ数を増やしてバンドル径を大きくすることによるコストの増加を抑えることができる。
【0017】
また前記光学分析装置では、前記第1光ファイバは、その入力端面において中心軸を基準にして、前記複数のファイバ群が互いに対称な関係となるように配置されたものであるのが好ましい。
このようにすれば、複数のファイバ群に対してほぼ均等に光を取り込むことができるようになるので、それぞれの分岐先の光学セルに対して、ほぼ同じ光量の光を照射できるようになる。
【0018】
また前記複数のファイバ群はいずれも、分岐後の出力端面においてその中心軸を通るファイバである1本の中心ファイバと、当該分岐後の出力端面において当該中心ファイバの周りに配置されるファイバである複数本の周囲ファイバとを備えており、
前記複数のファイバ群がそれぞれ備える前記中心ファイバが、前記入力端面において中心軸近傍に配置されているのが好ましい。
このようにすれば、入力端面において中心近傍に位置し、強い光を取り込むことができるファイバを各ファイバ群の中心ファイバにすることができる。
【0019】
また前記光学分析装置は、前記第1光ファイバが、前記光源からの光を前記光学セルに導かないダミーファイバを、前記複数のファイバ群とともに束ねたものであるのが好ましい。
このようにすれば、ダミーファイバを備えることで光ファイバ自体の強度を上げることができる。
【0020】
また本発明の光学分析方法は、光源である重水素ランプ及びハロゲンランプと、前記重水素ランプからの光と前記ハロゲンランプからの光の合成光を出力する第1光出力ポート及び第2光出力ポートと、前記各光出力ポートに接続され、入射した前記合成光を分岐させて複数の前記光学セルに導く光ファイバとを備え、試料を収容した光学セルに照射し、その透過光を検出することで前記試料を分析する光学分析装置を用いた光学分析方法であって、前記第1光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群を束ねた第1光ファイバを接続し、前記第2光出力ポートには、分岐先が互いに異なる複数本の単芯ファイバを横並びに束ねた第2光ファイバを接続することを特徴とする。
このような光学分析方法であれば、前記した本発明の光学分析装置と同様の作用効果を奏し得る。
【0021】
また本発明の複合分析装置は、被検液中の測定対象成分の濃度を測定するものであって、前記した光学分析装置と、前記被検液の導電率を計測する導電率計、又は前記被検液のpHを測定するpH計と、前記光学分析装置が計測した前記被検液の光吸収スペクトルと、前記導電率計又は前記pH計が計測した前記被検液の導電率又はpHとを説明変数とした多変量解析により、前記測定対象成分の濃度を算出する濃度算出部とを備えることを特徴とする。
このような複合分析装置であれば、前記した本発明の光学分析装置と同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0022】
以上に述べた本発明によれば、単一の光源ユニットにより広い波長範囲の測定を可能とし、さらに十分な光量の複数の光を出力し、複数点の同時測定を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光学分析装置の全体構成を示す図。
【
図2】同実施形態に係る光源ユニットの構成を模式的に示す図。
【
図3】同実施形態における各光出力ポート形成される光の像の形状を模式的に示す図。
【
図4】同実施形態の第1光ファイバのバンドル径と重水素ランプ光の像サイズとの関係とを示す図。
【
図5】同実施形態の第2光ファイバのファイバ径とハロゲンランプ光の像サイズとの関係とを示す図。
【
図6】他の実施形態の第1光ファイバの光入力端面のバンドル径と光源の像サイズとの関係を示す図。
【
図7】他の実施形態に係る光源ユニットの構成を模式的に示す図。
【
図8】本実施形態の光源分析装置を含む複合分析装置の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る光学分析装置100について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態の光学分析装置100は、例えば半導体製造ラインに組み込まれて使用されるものであり、例えば半導体製造における洗浄工程に用いられる薬液(液体試料)の濃度等を測定するものであり、より具体的には、液体試料に光を照射して、当該液体試料の吸光度を計測することで濃度を計測する分光吸光光度計である。薬液としては、SC-1(アンモニア過酸化水素水溶液)、SC-2(塩酸過酸化水素水溶液)、SPM(硫酸過酸化水素水溶液)、FPM(フッ酸過酸化水素水溶液)、BHF(バッファードフッ酸溶液)等が挙げられる。
【0026】
具体的にこの光学分析装置100は、
図1に示すように、光源ユニット1と、光源ユニット1から出射された光が照射される光学セル2と、光学セル2を透過した光を検出する光検出器3と、演算部4とを有する。この光学分析装置100では、光学セル2には薬液等の液体試料が収容されており、光源ユニット1から出射された光が光学セル2に照射され、当該光学セル2を透過した光が光検出器3で検出され、そして光検出器3からの光強度信号を受信した演算部4により、液体試料に含まれる所定成分の濃度が算出される。このようにして得られる濃度を用いて、薬液の濃度等が制御される。
【0027】
光学セル2は、例えば半導体洗浄装置の薬液槽に接続された薬液配管により形成される循環経路に設けられたフローセルである。なお、光学セル2は、半導体洗浄装置内配管に直接組み込みインラインフローセルであってもよい。光学セル2の材質は、フッ酸等に対する薬液耐性が必要な場合はサファイアが好ましく、薬液耐性が不要な場合はより光透過性がよい石英を用いるのが好ましい。またセル長を変えることにより、測定したい波長域と吸光度を薬液毎に選択できるように構成されてもよい。
【0028】
光検出器3は、光学セル2を透過した光を分光して検出する分光器等を有するものである。この光検出器3により透過光の光吸収スペクトル(分光スペクトル)が得られる。なお、本実施形態の光吸収スペクトルは、透過光の光吸収スペクトルと入射光の光吸収スペクトルとから求まる吸光度スペクトルを含む概念である。
【0029】
しかして本実施形態の光学分析装置100は、1つの光源ユニット1により複数の光学セル2に対して同時に光を照射し、複数の液体試料の同時測定ができるように構成されている。具体的にこの光源ユニット1は、光を出力する2つの光出力ポート(第1光出力ポート1P1、第2光出力ポート1P2)を有している。この2つの光出力ポートは互いに異なる波長範囲を測定するのに用いられ、第1光出力ポート1P1は紫外光域~可視光域の測定を行うために用いられ、第2光出力ポート1P2は赤外光域の測定を行うために用いられる。そして当該2つの光出力ポート1P1、1P2には、出力される光を分岐させる光ファイバがそれぞれ接続されている。各光出力ポート1P1、1P2から出射された光は光ファイバにより分岐され、それぞれ異なる光学セル2に照射される。そして、各光学セル2を透過した光はそれぞれ、光検出器3により検出される。なお、各光出力ポート1P1、1P2にそれぞれ接続される光検出器3は、感度波長範囲が互いに異なるものである。ここでは、第1光出力ポート1P1には少なくとも紫外光域~可視光域に感度波長範囲を持つ光検出器3が接続され、第2光出力ポート1P2には少なくとも赤外光域に感度波長範囲を持つ光検出器3が接続される。なお各光出力ポート1P1、1P2に接続される光検出器3は、少なくとも例示した波長域に感度波長範囲を持っていればよく、さらにそれ以外の波長域に感度波長範囲を持っていてもよい。また「光出力ポートに光検出器が接続される」とは光学的に接続されることを意味し、例えば光ファイバ等を介して、光出力ポートから出力された光が光検出器に入るようにすることを意味する。
【0030】
具体的に光源ユニット1は、
図2に示すように、ケーシング1Cと、ケーシング1C内に収容された、互いに異なるスペクトルの光を出射する複数の光源(第1光源11及び第2光源12)と、各光源11、12から出射された光を出力する複数の光出力ポート(第1光出力ポート1P1と第2光出力ポート1P2)と、各光源11、12から出射された光を各光出力ポート1P1、1P2に導く光学系13と、各光出力ポート1P1、1P2にそれぞれ接続された複数の光ファイバ(第1光ファイバ14、第2光ファイバ15)とを備えている。第1光出力ポート1P1と第2光出力ポート1P2は、ケーシング1Cの一側壁に設けられている。なお、“互いに異なるスペクトルの光を出射する”とは、少なくとも一部の波長域におけるスペクトルが互いに異なる光を出射することを意味しており、全波長域におけるスペクトルが互いに異なる光を出射することも含む意味である。
【0031】
第1光源11は、例えば可視光域~赤外光域の光を出射するものであり、具体的にはハロゲンランプである。
【0032】
第2光源12は、例えば紫外光域の光を出射するものであり、具体的に重水素ランプである。
【0033】
光学系13は、第1光源11及び第2光源12のそれぞれの前方に置かれた前方集光レンズ131、132と、入射した光を透過及び/又は反射させる第1光学素子133及び第2光学素子134と、第1光出力ポート1P1及び第2光出力ポート1P2内又はその手前にそれぞれ置かれ、入射した光を収束する後方集光レンズ135、136とを備えている。
【0034】
前方集光レンズ131、132は、第1光源11及び第2光源12から出た光の広がりを調整するためのものである。この2つの前方集光レンズ131、132は、その光軸が各光源11、12の光軸と一致すると共に、互いの光軸が交差(例えば直交が好ましいが、これに限らない)するようにして配置されている。
【0035】
第1光学素子133は、前方集光レンズ131、132の光軸が交差する交差部CP近傍に配置されている。この第1光学素子133は、第1光源11からの光と第2光源12からの光とを合成して射出するものである。より具体的にこの第1光学素子133は、入射した光の一部を透過させ且つ一部を反射させるものであり、例えばノンコーティングの石英板からなるビームスプリッタである。
【0036】
本実施形態の第1光学素子133は、ノンコーティングの石英板を用いることで、光透過率(例えば約85~95%)が光反射率(例えば約5~15%)よりも高い光学特性を有している。
【0037】
ここで第1光学素子133は、第1光源11からの光の反射光と、第2光源12からの光の透過光の互いの光路が略一致するように、その角度及び位置が設定されている。すなわちこの第1光学素子133において、第1光源11からの光の反射光と第2光源12からの光の透過光とが合成される。ここで、ハロゲンランプの光量は重水素ランプの光量はよりも大きいという特性を持ち、また前述したように第1光学素子133は光透過率よりも光反射率が小さい光学特性を持つため、第1光学素子133で反射された第1光源11からの光と、第1光学素子133を透過した第2光源12からの光は、適度な光量バランスで合成される。そして、この合成した光(合成光)の光路上に第1光出力ポート1P1が設けられており、当該第1光出力ポート1P1から、第1光源11からの反射光と第2光源12からの透過光とが合成した合成光(紫外光域~赤外光域の光)が射出される。
【0038】
一方で、第1光学素子133を透過した第1光源からの光の光路上には、第2光学素子134が配置されている。この第2光学素子134は入射した光を反射させる平面鏡等の反射ミラーである。そしてこの第2光学素子134で反射された第1光源11からの光の光路上に第2光出力ポート1P2が設けられており、当該第2光出力ポート1P2から、第1光源11からの透過光(可視光域~赤外光域の光)が射出される。
【0039】
なおこの第2光出力ポート1P2には、第1光学素子133で反射される第2光源12からの光も到達するため、厳密には第2光出力ポート1P2からは、第1光源11からの透過光と第2光源12からの反射光とが合成された合成光(紫外光域~赤外光域)が射出される。しかしながら前述のように、重水素ランプの光量はハロゲンランプの光量よりも小さく、また第1光学素子133は光透過率よりも光反射率が小さい光学特性を持つため、第2光出力ポート1P2に到達する光の大部分が第1光源11からの透過光となっている。
【0040】
そして、2つの後方集光レンズ135、136は、第1光学素子133と第1光出力ポート1P1との間の光路上と、第1光学素子133(さらには第2光学素子134)と第2光出力ポート1P2との間の光路上との間にそれぞれ設けられている。
【0041】
このように、第1光出力ポート1P1と第2光出力ポート1P2からは、第1光源11であるハロゲンランプからの光と、第2光源12である重水素ランプからの光が、互いに異なる比率で混合した合成光が出力される。そして第1光源11であるハロゲンランプは長方形状の発光面(フィラメント)を有し、第2光源12である重水素ランプは略円形状の発光面を有するため、各光出力ポート1P1及び1P2には、
図3に示すように、第1光源11からの光による長方形状の像と、第2光源12からの光による円形状の像が、互いに重なり合って形成される。本実施形態の光学系13は、第1光源(ハロゲンランプ)11による長方形状の光の像内に、第2光源(重水素ランプ)12による円形状の光の像を重複して形成するように構成されている。
【0042】
そしてこの第1光出力ポート1P1と第2光出力ポート1P2には、入射した光を分岐させて、複数の分岐先に出力する第1光ファイバ14と第2光ファイバ15がそれぞれ接続されている。
【0043】
第1光ファイバ14は、複数のファイバを束ねたものであり、所謂バンドル型のものである。この第1光ファイバ14では、そのクラッド内に、複数のファイバがほぼ隙間なく配置されている。
【0044】
具体的にこの第1光ファイバ14は、第1光出力ポート1P1から入力された光を異なる複数の分岐先に出力するものであり、各分岐先において複数のファイバから光が出力されるものである。より具体的にこの第1光ファイバ14は、分岐先が互いに異なる複数のファイバ群(第1ファイバ群14A、第2ファイバ群14B)と、補強のためのダミーファイバ群14Cとをそのクラッド内に束ねて有している。第1ファイバ群14Aと第2ファイバ群14Bは、互いに同じ本数(ここでは7本)のファイバにより構成されており、またダミーファイバ群14cは、複数本(ここでは5本)のダミーファイバにより構成されている。
【0045】
図4は、第1光ファイバ14の、(a)光入力端面、(b)光出力端面1、(c)光出力端面2、におけるファイバの構成を模式的に示す図である。
図4(a)に示すように、光入力端面においては、クラッドの内壁の形状(平面視して円形状)に合わせて、複数のファイバが隙間なく密となるように配置されている。第1ファイバ群14Aと第2ファイバ群14Bを構成する複数のファイバは、第1光ファイバ14の中心軸P1を基準にして互いに対称な関係となるように配置されている。またダミーファイバ群14Cを構成する各ファイバは、第1光ファイバ14内の中心軸P1を基準にして互いに対称となるように配置されている。
【0046】
また
図4(b)、(c)に示すように、分岐後の各光出力端面では、第1ファイバ群14Aを構成するファイバと第2ファイバ群14Bを構成するファイバがそれぞれ、対称な関係で配置されている。
【0047】
また複数のファイバ群14A、14Bはいずれも、
図4(b)、(c)に示すように、分岐後の出力端面1、2においてその中心軸を通るファイバである1本の中心ファイバ(A1、B1と表記)と、当該出力端面1,2において当該中心ファイバの周りに配置されるファイバである複数本(6本)の周囲ファイバ(単にA,Bと表記)とを備えている。そして
図4(a)に示すように、これら複数のファイバ群14A、14Bがそれぞれ備える中心ファイバは、入力端面において光ファイバ14の中心軸P1近傍に配置されている。ここでは、光ファイバ14の中心軸P1上には1本のダミーファイバが配置されており、このダミーファイバに隣接して複数の中心ファイバが配置されている。
【0048】
ここでは、第1光出力ポート1P1において、第1光ファイバ14の光入力端面におけるバンドル径D(すなわち、複数のファイバ群を内包するクラッドの内径)と、光学系13により光入力端面の位置に形成(結像)される光源(重水素ランプ)12からの光の像サイズとが略同一となるように、光学系13のサイズや位置、第1光ファイバ14の差し込み深さ等が設定されている。ここでバンドル径と光の像サイズが略同一とは、完全同一だけでなく例えば±20%以内、好ましくは±10%以内までの差を含む範囲である。バンドル径より光の像サイズがわずかに大きい方が好ましい。
【0049】
一方で第2光ファイバ15は、複数本(ここでは2本)の単芯ファイバを横並びに束ねて構成した、所謂単芯分岐型のものである。この第2光ファイバ15は、第2光出力ポート1P2から入力された光を異なる複数の分岐先に出力するものであり、各分岐先において1本のファイバ心線から構成される単芯ファイバから光が出力されるものである。
図5は、第2光ファイバ15の、(a)光入力端面、(b)光出力端面1、(c)光出力端面2、におけるファイバの構成を模式的に示す図である。
図5(a)に示すように、光入力端面では、分岐する前の2本の単芯ファイバ15D、15Eが横並びになるように配置されている。そして
図5(b)、(c)に示すように、この2本の単芯ファイバが、各光出力端面にそれぞれ通じている。
【0050】
この第2光ファイバ15は、その2本の単芯ファイバが並ぶ向きと、光学系13により光入力端面の位置に形成される第1光源(ハロゲンランプ)11の像の長手方向とが一致するように、第2光出力ポート1P2に接続されている。
【0051】
このように構成した本実施形態の光源ユニット1を備える光学分析装置100によれば、重水素ランプ12から出射される紫外光域の光とハロゲンランプ11から出射される可視光域~赤外光域の光の合成光を出力する複数の光出力ポート1P1、1P2を備えるとともに、第1光出力ポート1P1から出力された光を紫外光域~可視光域に感度波長範囲をもつ光検出器3で検出し、一方で第2光出力ポート1P2から出力された光を赤外光域に感度波長範囲を持つ光検出器2で検出するようにしているので、第1光出力ポート1P1を用いて紫外光域~可視光域の測定を行うことができ、第2光出力ポート1P2を用いて赤外光域の測定を行うことができ、目的に応じた広い波長範囲の測定が可能となる。
【0052】
さらに、出力された光を分岐させる光ファイバ14、15を各光出力ポート1P1、1P2に接続しているので、各光出力ポート1P1、1P2から複数の光を出力して複数点の同時測定を行うことができる。
【0053】
紫外光域~可視光域の測定用として用いる第1光出力ポート1P1には、入力端面のファイバの配置形状が略円形状となるバンドル型の光ファイバを接続することで、ハロゲンランプ12に比べて光量が少ない重水素ランプ11の光を効率よく取り出すことができ、重水素ランプ12とハロゲンランプ11の光を同程度の光量で出力させることができ、分岐後の各出力端面においても各ランプ11,12からの光を十分な光量で出力できる。
【0054】
一方で、赤外光域の測定用として用いられ、ハロゲンランプ11の光の光量のみを気にすればよい第2光出力ポート1P2には、入力端面のファイバの配置形状が横長となる単芯分岐型の光ファイバを接続することで、コストを抑えながらもハロゲンランプの光を効率よく取り出すことができ、分岐後の各出力端面においてもハロゲンランプ11からの光を十分な光量で出力できる。
【0055】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば前記実施形態では、第1光出力ポート1P1において、第1光ファイバ14の光入力端面におけるバンドル径Dと、光学系13により光入力端面の位置に形成(結像)される光源(重水素ランプ)12からの光の像サイズとが略同一となるようにされていたが、これに限らない。他の実施形態では、
図6に示すように、第1光ファイバ14の光入力端面におけるバンドル径Dが、光源(重水素ランプ)12からの光の像サイズよりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0056】
また他の実施形態では、第1光源(ハロゲンランプ)11による長方形状の光の像内に、第2光源(重水素ランプ)12による円形状の光の像を重複して形成されていなくてもよい。例えば、第1光源11による光の像の一部と、第2光源12による光の像の一部とが重複するようにしてもよいし、第2光源12による光の像内に第1光源11による光の像が完全に収まるようにしてもよい。
【0057】
また前記実施形態では、ハロゲンランプである第1光源11から出射された光を光学系13によって一方向からのみ取り出すようにしていたがこれに限らない。他の実施形態では、様々な方向に光を出射するというハロゲンランプの特性を利用して、例えば
図7に示すように、光学系13とは異なる他の光学系を用いて、他の方向から光を取り出して出力するように構成してもよい。
【0058】
また他の実施形態の光学分析装置100は、薬液等の液体試料を分析するものに限らず、ガス等の気体試料を分析するものであってもよい。
【0059】
また前記した光学分析装置100は、液体試料の光吸収スペクトルと、電気化学的に計測される液体試料の特性値とを用いて液体試料に含まれる所定成分の濃度を測定する複合分析装置400に適用されてもよい。以下、このような複合分析装置400の一実施形態について、
図8を用いて説明する。
【0060】
<装置構成>
複合分析装置400は、例えば半導体製造装置で使用される薬液等の液体試料に含まれる測定対象成分の濃度を測定するものである。この複合分析装置400は、例えば前記薬液を供給する薬液配管に介在して設けられ、その薬液の測定対象成分の濃度を測定するものである。なお、このようにして得られた濃度を用いて、薬液の濃度等が制御される。なお、薬液としては、2成分以上の混合薬液(混合試料)であり、例えば、溶解時に導電性を生じる成分、導電性を生じない成分、又は、水素イオン(H+)に相関がある成分を含んでいる。
【0061】
具体的に複合分析装置400は、
図7に示すように、液体試料の光吸収スペクトルを計測する光学計測部(具体的には前記光学分析装置)100と、液体試料の特性値を電気化学的に計測する電気化学計測部200と、光学計測部100及び電気化学計測部200から得られる計測情報を処理する情報処理装置300とを備えている。なお、特性値とは、液体試料に含まれる測定対象成分濃度と相関のある物性値のことである。
【0062】
光学計測部100は、前述したように液体試料に光を照射して液体試料の吸光度を計測する吸光度計である。内部に収容された光学セル2は、例えば半導体製造装置の薬液槽Tに接続された薬液配管(不図示)により形成される第1のサンプル流路L1に設けられている。
【0063】
本実施形態の電気化学計測部200は、液体試料の導電率(電気伝導率)を計測する導電率計210と、液体試料のpHを計測するpH計220とを備えている。
【0064】
具体的に導電率計210は、2つの電極211、212間に交流電圧を印加して、流れる電流に基づいて液体試料の導電率(電気伝導率)を計測するものである。本実施形態の導電率計210は、前記光学計測部100が設けられた第1のサンプル流路L1において、光学計測部100の上流側又は下流側に設けられている。なお、導電率計210は、交流2極方式の他に、交流4極方式のものであっても良いし、電磁誘導方式のものであっても良い。また、導電率計210は、第1のサンプル流路L1とは別のサンプル流路に設けても良い。
【0065】
また、pH計220は、pHガラス電極(作用電極)221及び比較電極222の間に生じる電位差に基づいて液体試料のpHを計測するものである。本実施形態のpH計220は、第1のサンプル流路L1とは別に、薬液槽5に接続された薬液配管(不図示)により形成される第2のサンプル流路L2に設けられている。なお、pH計220は、第1のサンプル流路L1において、例えば光学計測部100の上流側又は下流側に設けても良い。
【0066】
情報処理装置300は、光学計測部100により得られた光吸収スペクトル(又は吸光度スペクトル)と、導電率計210により得られた導電率と、pH計220により得られたpHとを用いて、液体試料の測定対象成分の濃度を算出するものである。なお、情報処理装置300は、CPU、メモリ、入出力インターフェイス、AD変換器、ディスプレイ等の出力手段、キーボード等の入力手段を有するコンピュータである。そして、メモリに格納された成分濃度算出用プログラムに基づいて、CPU及び周辺機器が協働して濃度算出部310としての機能を発揮する。
【0067】
具体的に濃度算出部310は、光吸収スペクトル及び特性値(導電率及びpH)を説明変数とした多変量解析により、測定対象成分の濃度を算出するものである。なお、多変量解析としては、重回帰分析(MLR又はILS)、主成分回帰分析(PCR)、最小二乗法(CLS)、部分最小二乗法(PLS(PLS1又はPLS2))等が考えられる。
【0068】
ここで、濃度算出部310は、光吸収スペクトルを一次微分又は二次微分の微分処理し、その微分値を説明変数として多変量解析するものである。また、濃度算出部310は、光吸収スペクトルにおける複数の波長それぞれの値を説明変数として多変量解析するものである。
【0069】
具体的に濃度算出部310は、以下の式を用いた多変量解析により、測定対象成分の濃度を算出する。
【0070】
【0071】
ここで、Absi(吸光度)は、光吸収スペクトルを微分処理したものであり、複数の波長(λ1,λ2,・・・λn)それぞれの値である。
また、係数ai、b、cは、それぞれ、波長λiに対する濃度回帰係数、導電率に対する濃度回帰係数、pHに対する濃度回帰係数である。なお、濃度回帰係数が、各説明変数の重みに相当するものである。
さらに、kは、予め求められた検量線であり、Sは、光学計測部100及び電気化学計測部200の液体試料の計測データ(実測データ)である。ここで、検量線は、濃度既知の標準サンプルを測定した際に得られた光学計測部100及び電気化学計測部200の計測データを上記の式を用いて多変量解析することにより求められる。
なお、吸光度及び導電率の2つの説明変数を用いる場合には、上記の数1においてpHの項にゼロを入れれば良いし、吸光度及びpHの2つの説明変数を用いる場合には、上記の数1において導電率の項にゼロを入れれば良い。
【0072】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0073】
100・・・光学分析装置
1 ・・・光源ユニット
11 ・・・第1光源
12 ・・・第2光源
13 ・・・光学系
14 ・・・第1光ファイバ
15 ・・・第2光ファイバ
1P1・・・第1光出力ポート
1P2・・・第2光出力ポート
2 ・・・光学セル
3 ・・・光検出器