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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086026
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61M25/092 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200878
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】吉原 章仙
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA32
4C267BB02
4C267BB43
4C267BB63
4C267CC07
4C267GG05
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG10
(57)【要約】
【課題】従来よりも高い固定強度で操作線を遠位端に固定でき、薬液等のデリバリー性を向上させやすいカテーテルを提供する。
【解決手段】カテーテル10は、生体管腔に挿入される管状本体20と、管状本体20の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線40と、管状本体20の遠位端に設けられ、操作線40の遠位側が固定されている固定部30と、を備える。固定部30は、操作線40が溶接される第1環状体31と、造影性を有する材料で形成された第2環状体32と、を有する。第1環状体31および第2環状体32のいずれか一方の部材は、第1環状体31および第2環状体32のいずれか他方の部材の外周に配置され、操作線40を他方の部材との間に挟み込む。他方の部材は、操作線40を介して外周側の一方の部材に押し当たるように管状本体20の遠位端に固定されている。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体管腔に挿入される管状本体と、
前記管状本体の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線と、
前記管状本体の遠位端に設けられ、前記操作線の遠位側が固定されている固定部と、を備え、
前記固定部は、
前記操作線が溶接される第1環状体と、
造影性を有する材料で形成された第2環状体と、を有し、
前記第1環状体および前記第2環状体のいずれか一方の部材は、前記第1環状体および前記第2環状体のいずれか他方の部材の外周に配置され、前記操作線を前記他方の部材との間に挟み込み、
前記他方の部材は、前記操作線を介して外周側の前記一方の部材に押し当たるように前記管状本体の遠位端に固定されている
カテーテル。
【請求項2】
前記一方の部材は、前記第1環状体であり、
前記他方の部材は、前記第2環状体である
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記一方の部材は、前記第2環状体であり、
前記他方の部材は、前記第1環状体である
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記第1環状体の材料は、前記操作線と溶接可能な金属である
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記操作線の溶接部において、前記操作線の長手方向と直交する断面で前記操作線の外周に対して前記溶接部の占める比率は、0.1以上0.7以下である
請求項4に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記一方の部材は、外周側から加圧処理されて前記他方の部材との間に配置された前記操作線を締め付ける
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記加圧処理は、前記第1環状体と前記操作線の溶接部を含む領域に施されている
請求項6に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記他方の部材は、前記一方の部材の内周に圧入されることで前記操作線を挟み込んで前記一方の部材に押し当てられる
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記一方の部材は、遠位側に向けて縮径するコニカル部と、前記コニカル部よりも近位側に位置するフェルール本体部を有し、
前記操作線は、前記一方の部材の前記フェルール本体部により前記他方の部材に押圧され、
前記操作線の遠位端は、前記他方の部材よりも遠位側に突出し、前記コニカル部と前記他方の部材の遠位端で挟み込まれる
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第1環状体の内径に対する前記操作線の外径の比は、0.04以上0.08以下である
請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記管状本体の遠位端は、前記操作線の近位側への牽引により屈曲する
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のカテーテル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、遠位端を屈曲させることにより体腔への進入方向が操作可能なカテーテルが提供されている。例えば、特許文献1には、薬液等が流れるメインルーメンの周囲に、溝またはスロットを形成して複数の操作線を挿通したカテーテルが開示されている。この種のカテーテルでは、近位端側で操作線を牽引することでカテーテルの遠位端を屈曲させる操作が可能である。なお、この種のカテーテルの操作線は、例えば、カテーテルの遠位端において、X線を透過しないマーカバンドにはんだ付けやろう付け、溶接などで固定されて終端する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5430528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のカテーテルでは、操作線を軸方向に牽引したときに操作線の固定部位に大きなせん断荷重がかかると、操作線が固定部位から抜けてしまう事象が生じうる。
【0005】
例えば、薬液等のデリバリー性の向上のためにカテーテルを大径化する場合、断面2次モーメントの増加に伴ってカテーテルの遠位端を屈曲させるための操作線の荷重は大きくなる。そのため、操作線の抜けを抑制するためには、固定部位での操作線の固定強度をより向上させることが求められる。
【0006】
また、薬液等のデリバリー性を向上させる観点からは、カテーテルを薄肉化してメインルーメンの径をできるだけ大きく確保することが好ましい。しかし、カテーテルを薄肉化すると、固定部位での操作線の固定強度が低下しやすくなる。
【0007】
そこで、本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、従来よりも高い固定強度で操作線を遠位端に固定でき、薬液等のデリバリー性を向上させやすいカテーテルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様のカテーテルは、生体管腔に挿入される管状本体と、管状本体の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線と、管状本体の遠位端に設けられ、操作線の遠位側が固定されている固定部と、を備える。固定部は、操作線が溶接される第1環状体と、造影性を有する材料で形成された第2環状体と、を有する。第1環状体および第2環状体のいずれか一方の部材は、第1環状体および第2環状体のいずれか他方の部材の外周に配置され、操作線を他方の部材との間に挟み込む。他方の部材は、操作線を介して外周側の一方の部材に押し当たるように管状本体の遠位端に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、従来よりも高い固定強度で操作線を遠位端に固定でき、薬液等のデリバリー性を向上させやすいカテーテルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のカテーテルの一例を示す側面図である。
図2】カテーテルのA-A線部分の拡大断面図である。
図3図2のB-B線断面図である。
図4】(a)は第1実施形態の固定部を示す模式図であり、(b)は図4(a)のC-C線断面図である。
図5】平線状の操作線を第1環状体に溶接するときの溶接例を示す図である。
図6】第1実施形態における固定部の加工工程を示す図である。
図7】(a)は第2実施形態の固定部を示す模式図であり、(b)は図7(a)のD-D線断面図である。
図8】第2実施形態における固定部の加工工程を示す図である。
図9】第3実施形態の固定部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態に係るカテーテルの構成例について説明する。なお、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。また、以下の説明では、カテーテルのオペレータからみて遠い方を遠位側と称し、オペレータからみて近い方を近位側と称する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のカテーテル10の一例を示す側面図である。図2は、カテーテル10のA-A線部分の拡大断面図である。図3は、図2のB-B線断面図である。
【0013】
第1実施形態のカテーテル10は、生体管腔に挿入される管状本体の一例であるシース20と、シース20の長手方向に沿ってシース20に挿通された複数本の操作線40と、シース20の近位側に設けられ、操作線40が接続された操作部50とを備えている。第1実施形態のカテーテル10は、操作部50で操作線40を個別に牽引操作することでシース20の遠位側を屈曲させることが可能である。
【0014】
シース20は、可撓性かつ長尺の管状体であって、内視鏡を通じてまたは直接に生体管腔内に挿通される。本実施形態のシース20の外径は、例えば、腹腔動脈などの血管、および肝動脈や内頸動脈枝などの末梢血管などに挿通可能な寸法である。
【0015】
図2図3に示すように、シース20は、内層21と、ブレード層22と、外層23とを有している。また、シース20の遠位端には、操作線40の遠位端側を固定する固定部30が設けられている。なお、固定部30の詳細な構成については後述する。
【0016】
シース20の内層21は、生体適合性を有する樹脂材料で管状に形成される。内層21は、薬液や造影剤などを流す中空管状のメインルーメン21aを内部に形成する。内層21は、円柱状の芯材35(図2図3では不図示)の表面に樹脂材料で内層21の皮膜を管状に形成した後、当該皮膜から芯材を引き抜くことで製造できる。
【0017】
例えば、図2に示すように、内層21の長手方向と直交する方向の断面形状は円形であり、周方向に略均一の厚みを有している。なお、内層21の厚みは、長手方向にわたって均一でもよく、シース20の長手方向の位置により異なっていてもよい。例えば、メインルーメン21aの直径が遠位側から近位側に向けて連続的に拡大するテーパー状をなすように内層21が形成されていてもよい。
【0018】
内層21の材料には、一例として、フッ素系の熱可塑性ポリマー材料を用いることができる。具体的には、内層21の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)などを用いることができる。内層21にフッ素系樹脂を用いることにより、カテーテル10のメインルーメン21aを通じて造影剤や薬液などを患部に供給する際のデリバリー性が良好となる。
【0019】
ブレード層22は、内層21の外周側に同心状に配置され、シース20の可撓性を保持しつつ内層21を外側から補強する補強層として機能する。ブレード層22は、例えば、内層の周囲にワイヤを巻回するか、またはワイヤをメッシュ状に編成して管状に形成されている。
【0020】
ブレード層22に適用できるワイヤとしては、タングステン(W)、ステンレス鋼(SUS)、ニッケルチタン合金、鋼、チタン、銅、チタン合金、または銅合金などの金属細線のほか、内層21および外層23よりもせん断強度の高いポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子ファイバーの細線を用いることができる。ブレード層22に適用できるワイヤの断面形状は特に限定されず、丸線でも平線でもよい。
【0021】
外層23は、生体適合性を有する樹脂材料により、内層21の外周側で管状をなすように内層21と一体に形成され、周方向に略均一の厚みを有している。外層23は、内層21よりも径方向厚さが厚く、ブレード層22を内包するとともにシース20の主たる肉厚部分を構成する。また、外層23の外周側には、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドンなどの材料で親水性被膜24が形成される。
【0022】
外層23は、内層21と同種または異種の樹脂材料で形成される。特に限定するものではないが、外層23の材料には熱可塑性ポリマーを広く用いることができる。例えば、外層23の材料としては、上記のPI、PAI、PETのほか、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ナイロンエラストマー、ポリウレタン(PU)、エチレン-酢酸ビニル樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVA)またはポリプロピレン(PP)などを用いることができる。なお、外層23の材料には、X線造影性を向上させるために、硫酸バリウムや次炭酸ビスマスなどの無機フィラーが混合されていてもよい。
【0023】
また、外層23の内部には、内層21およびブレード層22よりも外側に、シース20の長手方向に操作線40を挿通するための複数のサブルーメン25aが形成されている。サブルーメン25aは、メインルーメン21aよりも小径であり、外層23の周方向に所定間隔をあけて複数配置されている。例えば、各々のサブルーメン25aは、長手方向がメインルーメン21aの長手方向に沿うように並列に配置されている。図2図3では、外層23の周方向にサブルーメン25aが180度の間隔をあけて2つ配置された例を示している。なお、外層23内のサブルーメン25aの数および配置は上記の例に限定されない。例えば、サブルーメン25aは、3つ以上形成されていてもよい。また、サブルーメン25aは、メインルーメン21aに対して長手方向成分および周回方向成分を含むように傾いて延びていてもよい。
【0024】
各々のサブルーメン25aは、外層23に埋設された中空管25によって形成されている。中空管25は、図3に示すように遠位端側が固定部30に臨み、近位端側は操作部50内に導入されている。
【0025】
中空管25は、操作線40が長手方向に摺動可能な内径を有しており、中空管25の内部には、シース20の長手方向に沿って操作線40が摺動可能に遊挿されている。なお、中空管25の長手方向と直交する方向の断面形状は、図2に示すように円形であってもよく、例えば、楕円形や角丸長方形などの非円形であってもよい。
【0026】
中空管25の材料は、例えば内層21と同種または異種の樹脂材料で形成されている。一例として、中空管25の材料としては、操作線40との摺動性の観点から、PTFE、PVDFなどのフッ素系高分子材料や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSF)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエステルなどを用いることができる。
【0027】
操作線40は、シース20の長手方向に延びる線状部材であって、メインルーメン21aを隔てて各サブルーメン25aに1本ずつ配置されている。各操作線40の遠位端は固定部30に固定され、各操作線40の近位端は操作部50に接続されている。また、各操作線40は、操作部50の牽引によりサブルーメン25a内で長手方向にそれぞれ摺動可能である。なお、操作線40が挿通された中空管25はブレード層22の外側に配置されているため、メインルーメン21aは操作線40の摺動に対してブレード層22で保護されている。
【0028】
また、操作線40の材料としては、例えば、低炭素鋼(ピアノ線)、SUS、耐腐食性被覆を施した鋼鉄線、チタンもしくはチタン合金またはタングステンなどを用いることができる。なお、操作線40は、1本の金属線材で構成されていてもよく、複数本の金属細線の撚り線であってもよい。操作線40が撚り線である場合、1本の撚り線を構成する金属細線の数は特に限定されないが3本以上であることが好ましい。撚り線における金属細線の好適な例は、7本または3本である。また、操作線40が1本の金属線材で構成される場合、長手方向と直交する断面が矩形をなす平線状の金属線材を操作線40に適用してもよい。
【0029】
操作部50は、図1に示すように、シース20の近位側に装着される本体部51と、ハブコネクタ52と、ダイヤル53およびストッパ54とを有している。
【0030】
本体部51は、カテーテル10を操作するオペレータが手で把持するハウジングである。シース20の近位側の端部は、管状のプロテクタ55で保護された上で本体部51の内部に導入されている。
【0031】
ハブコネクタ52は、本体部51の近位側に装着され、その先端がシース20のメインルーメン21aと互いに連通している。また、ハブコネクタ52には薬液等を注入するシリンジ(不図示)が接続可能である。シリンジからハブコネクタ52内に薬液等を注入することで、シース20のメインルーメン21aを介して生体管腔内に薬液等が供給される。
【0032】
ダイヤル53は、本体部51に設けられ、シース20の長手方向と直交する回転軸回りに回動可能な部材である。ダイヤル53は、本体部51内でシース20から引き出された操作線40との係合部(不図示)を有し、回動により各操作線40に個別に牽引力を付与できる。
【0033】
操作部50では、ダイヤル53の回動によりいずれかの操作線40を巻き取ることで、操作線40を長手方向に摺動させる。例えば、図1(b)に示すようにダイヤル53を右回りに回動させると、シース20の一方の操作線40が摺動して近位側に牽引され、他方の操作線40は弛緩する。これにより、シース20の遠位端は一方の操作線40の側(図中上側)に屈曲する。
【0034】
また、例えば、図1(c)に示すようにダイヤル53を左回りに回動させると、シース20の他方の操作線40が摺動して近位側に牽引され、一方の操作線40は弛緩する。これにより、シース20の遠位端は他方の操作線40の側(図中下側)に屈曲する。以上のようにして、操作部50でのダイヤル53の回動に伴ってシース20の遠位端を屈曲させることができる。
【0035】
ストッパ54は、本体部51に設けられ、ダイヤル53に対して離接可能に摺動する操作部材である。ストッパ54は、ダイヤル53に向けて摺動させるとダイヤル53と係合し、ダイヤル53の回動を規制する。ストッパ54によりダイヤル53の回動が規制されるロック状態とすることで、カテーテル10はシース20の屈曲状態を保持できる。
【0036】
次に、シース20の固定部30の構成について説明する。
第1実施形態の固定部30は、内層21の外周側に同心状に配置される第1環状体31および第2環状体32を有し、第1環状体31と第2環状体32の間に各操作線40が挟み込まれて固定されている。なお、図3に示すように、固定部30は、シース20の遠位端において内層21の外周側に配置され、外層23によって外側から被覆されている。
【0037】
図4(a)は、第1実施形態の固定部30を示す模式図であり、図4(b)は、図4(a)のC-C線断面図である。図4では、簡単のため、外層23およびサブルーメン25aの図示は省略している。
【0038】
第1実施形態において、固定部30の外周側には一方の部材の一例として第1環状体31が配置され、固定部30の内周側には他方の部材の一例として第2環状体32が配置されている。これにより、内層21およびブレード層22の外周側には、固定部30の第2環状体32が臨んでいる。
【0039】
第1環状体31は、金属製の環状部材であり、各々の操作線40が溶接で固定される。第1実施形態での第1環状体31は、第2環状体32の外径よりも大きな内径を有する。また、第1環状体31の内周側には、周方向に180度の間隔をあけて2本の操作線40が配置される。一例として、第1環状体31の内径に対する操作線40の外径の比は、0.04以上0.08以下である。
【0040】
固定部30において、各々の操作線40は第1環状体31の軸方向に延びるように配置されている。図4(b)に示すように、操作線40は、第1環状体31の外周側から溶接され、第1環状体31の内周と溶接部33で固定されている。第1環状体31と操作線40の溶接は、例えば抵抗溶接などで行われる。
【0041】
第1環状体31は、操作線40と溶接可能な金属で形成される。例えば、第1環状体31は、操作線40の材料の構成元素の少なくとも1つを含む金属や、操作線40の材料に対して合金相を有する金属、あるいはこれら金属を含む合金などで形成されている。なお、操作線の材料に対して合金相を有する金属は、例えば、二元系状態図で操作線の材料と固溶体のできる範囲があるものをいう。
【0042】
第1環状体31が操作線40と溶接可能な金属で形成されることで、溶接時には第1環状体31と操作線40との溶接部33で金属元素の拡散が生じ、第1環状体31と操作線40を高い密着強度で固定できる。
【0043】
また、第1環状体31と操作線40との溶接部33は、第1環状体31に操作線40が接触する部位で部分的に形成される。操作線40の外周全体がハンダで覆われうるハンダ付けの場合と異なり、操作線40の長手方向と直交する断面での溶接部33の形成部位は、操作線40の外周の一部に留まっている。
【0044】
溶接部33の形成部位が操作線40の外周の一部である場合、第1環状体31と溶接される操作線40は溶接時に操作線40全体が溶接熱で鈍されずにすむ。これにより、第1環状体31との溶接で操作線40の強度が低下する事象を抑制できる。
【0045】
例えば、操作線40が7本の金属細線の撚り線である場合、溶接部33では1本から3本の金属細線が溶接されることが好ましい。また、操作線40が3本の金属細線の撚り線である場合、溶接部33では1本の金属細線が溶接されることが好ましい。上記の場合、操作線40の撚り線において溶接部33を有しない金属細線がいずれも複数本あるので、溶接熱で操作線40の強度が著しく低下する事象を抑制できる。なお、上記の場合、操作線40の断面上で操作線40の外周に対して溶接部33の占める比率は、0.1以上0.5以下の範囲に収まる。
【0046】
図5は、平線状の操作線40を第1環状体31に溶接するときの溶接例を示す図である。例えば、平線状の操作線40を第1環状体31に溶接する場合、図5(a)のように操作線40の底面を第1環状体31に溶接してもよく、図5(b)のように操作線40の底面および側面を第1環状体31に溶接してもよい。
【0047】
図5(a)の例では、平線状の操作線40の上面(溶接される底面と反対側の面)と側面の強度は溶接熱で低下しにくくなる。そのため、図5(a)の例では、操作線40の強度が比較的に高い領域を保持することができ、溶接熱で操作線40の強度が著しく低下する事象を抑制できる。また、操作線40の矩形断面における短軸側(側面)と長軸側(底面および上面)のアスペクト比が1:n(但し、2≦n≦8)であるとき、図5(a)では操作線40の断面上で操作線40の外周に対して溶接部33の占める比率は、0.33以上0.44以下の範囲に収まる。
【0048】
図5(b)の例では、平線状の操作線40の上面の強度は溶接熱で低下しにくくなる。そのため、図5(b)の例では、操作線40の強度が比較的に高い領域を保持することができ、溶接熱で操作線40の強度が著しく低下する事象を抑制できる。また、操作線40の矩形断面における短軸側(側面)と長軸側(底面および上面)のアスペクト比が1:n(但し、2≦n≦8)であるとき、図5(b)では操作線40の断面上で操作線40の外周に対して溶接部33の占める比率は、0.56以上0.7以下の範囲に収まる。
【0049】
以上の観点から、操作線40の長手方向と直交する断面で操作線40の外周に対して溶接部33の占める比率は、0.1以上0.7以下であることが好ましい。
【0050】
第2環状体32は、X線造影性を有する材料で形成された金属製の環状部材であり、シース20の遠位端をX線画像で外部から観察するときの造影マーカーとして機能する。第1実施形態での第2環状体32は、内径が内層21の外径よりも大きく、外径が第1環状体31の内径よりも小さい。また、第2環状体32の材料としては、例えば、プラチナ(Pr)、白金イリジウム(PrIr)、タングステンなどを用いることができる。
【0051】
また、第1実施形態の固定部30において、第1環状体31には外周側からカシメ加工や冷間鍛造加工(スウェージング)などによる加圧処理が施されている。加圧処理により、第1環状体31が径方向の内側に圧縮され、第2環状体32は外側から締め付けられている。これにより、第2環状体32は、第1環状体31の内周に押し当たって締め付けられ、シース20の遠位端に固定される。
【0052】
また、第1環状体31と第2環状体32の間に位置する操作線40は、加圧処理により第1環状体31の外側から締め付けられると、第2環状体32からの反力で第1環状体31に押し当てられる。これにより、操作線40は、第1環状体31と第2環状体32に挟み込まれて保持される。
【0053】
上記の加圧処理は、第1環状体31と操作線40の溶接部33を含む領域に施されることが好ましく、例えば、第1環状体31の全体に加圧処理が施されてもよい。これらの場合には、操作線40および溶接部33が直接外側から加圧されて第2環状体32に押し当たるので、第1環状体31と第2環状体32によって操作線40をより強い力で挟み込むことが容易となる。なお、第1環状体31において溶接部33を除く領域に加圧処理を施し、周囲に引っ張られた第1環状体31と第2環状体32との間で操作線40が挟み込まれてもよい。
【0054】
図6は、第1実施形態における固定部30の加工工程を示す図である。
まず、内層21およびブレード層22を外周に形成した芯材35を準備し、内層21およびブレード層22を形成した芯材35に第2環状体32を挿入する。そして、第2環状体32の外側に操作線40を配置し、第2環状体32および操作線40の外側に第1環状体31をさらに挿入する(図6(a))。
【0055】
次に、第1環状体31の外周から操作線40を溶接して溶接部33を形成し、操作線40を第1環状体31に固定する(図6(b))。その後、第1環状体31の外周側からカシメ加工などの加圧処理を施し、第1環状体31で外側から操作線40および第2環状体32を締め付けて固定部30が形成される(図6(c))。第2環状体32の内側には芯材35が配置されているため、第2環状体32は加圧処理で潰れずに円形の断面を保持できる。固定部30の形成後、外層23および親水性被膜24を形成することでシース20が製造される。なお、シース20の形成後、芯材35は内層21から引き抜かれる。
【0056】
以下、第1実施形態のカテーテルの効果を述べる。
第1実施形態のカテーテル10は、生体管腔に挿入されるシース20(管状本体)と、シース20の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線40と、シース20の遠位端に設けられ、操作線の遠位側が固定されている固定部30と、を備える。固定部30は、操作線40が溶接される第1環状体31と、造影性を有する材料で形成された第2環状体32と、を有する。一方の部材としての第1環状体31は、他方の部材としての第2環状体32の外周に配置され、操作線40を第2環状体32との間に挟み込む。第2環状体32は、操作線40を介して外周側の第1環状体31に押し当たるようにシース20の遠位端に固定されている。
【0057】
第1実施形態の固定部30では、操作線40を第1環状体31に溶接で固定するとともに、第1環状体31と第2環状体32で操作線40が挟み込まれて保持される。そのため、第1実施形態では、従来のようにマーカバンドに操作線をはんだ付けや溶接等で直接固定する場合と比べ、操作線40が第1環状体31と第2環状体32で挟み込まれる分、シース20の遠位端での操作線40の固定強度を向上させることができる。
また、第1実施形態の固定部30では、造影性を有する第2環状体32とは異なる第1環状体31に操作線40が溶接される。そのため、第1実施形態では、マーカバンドの材料よりも溶接しやすい第1環状体31に対して操作線40を溶接できるので、操作線40の溶接での固定強度を向上させることも容易である。
また、第1実施形態の固定部30では、操作線40の外周側は第1環状体31で覆われるため、操作線40が径方向外側に離脱することも抑制できる。これにより、従来のようにマーカバンドに操作線をはんだ付けや溶接等で直接固定する場合と比べて、第1実施形態では操作線40がより離脱しにくくなる。
また、第1実施形態の固定部30では、溶接による固定と、第1環状体31と第2環状体32との挟み込みによる固定の両方で操作線40の固定強度が確保される。そのため、第1環状体31や第2環状体32の肉厚を薄くしても、操作線40を高い固定強度でシース20の遠位端に固定することが容易である。したがって、第1実施形態の固定部30によれば、操作線40の高い固定強度の確保と、固定部30の肉厚を薄くすることによるメインルーメンの大径化を両立できるので、カテーテル10の薬液等のデリバリー性を向上させることもできる。
【0058】
第1実施形態において、第1環状体31は、外周側から加圧処理されて第2環状体32との間に配置された操作線40を締め付ける。これにより、第1実施形態では、外周側からの簡易な加工で第1環状体31および第2環状体32で操作線40が挟み込まれ、シース20の遠位端に操作線40を高い固定強度で固定できる。
【0059】
(第2実施形態)
図7(a)は第2実施形態の固定部30Aを示す模式図であり、図7(b)は図7(a)のD-D線断面図である。なお、以下の実施形態の説明では、第1実施形態と共通の要素には同じ符号を付して重複説明を適宜省略する。図7では、簡単のため、外層23およびサブルーメン25aの図示は省略している。
【0060】
第2実施形態において、固定部30Aの外周側には、一方の部材の一例として造影性を有する第2環状体32が配置され、固定部30Aの内周側には、他方の部材の一例として操作線が溶接される第1環状体31が配置されている。これにより、内層21およびブレード層22の外周側には、固定部30Aの第1環状体31が臨んでいる。
【0061】
第2実施形態での第1環状体31は、内径が内層の外径よりも大きく、外径が第1環状体31の内径よりも小さい。また、第1環状体31の外周側には、周方向に180度の間隔をあけて2本の操作線40が配置される。各々の操作線40は第1環状体31の軸方向に延びるように配置され、第1環状体31の外周側において操作線40が溶接され、第1環状体31の外周の溶接部33で固定される。
【0062】
また、第2実施形態での第2環状体32は、第1環状体31の外径よりも大きな内径を有する。第2実施形態において、第2環状体32には外周側からカシメ加工や冷間鍛造加工(スウェージング)などによる加圧処理が施されている。加圧処理により、第2環状体32が径方向の内側に圧縮され、第1環状体31は外側から締め付けられている。これにより、第1環状体31は、第2環状体32の内周に押し当たって締め付けられ、シース20の遠位端に固定される。
【0063】
また、第2実施形態において、第1環状体31と第2環状体32の間に位置する操作線40は、加圧処理により第2環状体32の外側から締め付けられると、第1環状体31からの反力で第2環状体32に押し当てられる。これにより、操作線40は、第1環状体31と第2環状体32に挟み込まれて保持される。なお、第2実施形態で第2環状体32に加圧処理を施す領域は、第1実施形態の場合と同様である。
【0064】
図8は、第2実施形態における固定部30Aの加工工程を示す図である。
まず、内層21およびブレード層22を外周に形成した芯材35を準備し、内層21およびブレード層22を形成した芯材35に第1環状体31を挿入する。そして、第1環状体31の外側に操作線40を配置する。次に、第1環状体31の外周から操作線40を溶接して溶接部33を形成し、操作線40を第1環状体31に固定する(図8(a))。
【0065】
次に、操作線40が溶接された第1環状体31の外側に第2環状体32を挿入する(図8(b))。その後、第2環状体32の外周側からカシメ加工などの加圧処理を施し、第2環状体32で外側から操作線40および第1環状体31を締め付けて固定部30Aが形成される(図8(c))。第1環状体31の内側には芯材35が配置されているため、第1環状体31は加圧処理で潰れずに円形の断面を保持できる。固定部30Aの形成後、外層23および親水性被膜24を形成することでシース20が製造される。なお、シース20の形成後、芯材35は内層21から引き抜かれる。
【0066】
第2実施形態のカテーテル10は、生体管腔に挿入されるシース20(管状本体)と、シース20の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線40と、シース20の遠位端に設けられ、操作線の遠位側が固定されている固定部30Aと、を備える。固定部30Aは、操作線40が溶接される第1環状体31と、造影性を有する材料で形成された第2環状体32と、を有する。一方の部材としての第2環状体32は、他方の部材としての第1環状体31の外周に配置され、操作線40を第1環状体31との間に挟み込む。第1環状体31は、操作線40を介して外周側の第2環状体32に押し当たるようにシース20の遠位端に固定されている。
上記の第2実施形態によれば、第1環状体31と第2環状体32の位置関係が入れ替わるが、上述の第1実施形態の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0067】
(第3実施形態)
図9は、第3実施形態の固定部30Bを示す模式図である。図9では、簡単のため、外層23およびサブルーメン25aの図示は省略している。
【0068】
第3実施形態は、一方の部材の一例である第2環状体32の内周に、芯材35ごと他方の部材の一例である第1環状体31を圧入して固定部30Bを形成している。図9に示す固定部30Bでは、造影性を有する第2環状体32が外周側に配置され、操作線40が溶接される第1環状体31が内周側に配置される。これにより、内層21およびブレード層22の外周側には、固定部30Bの第2環状体32が臨んでいる。
【0069】
第3実施形態での第1環状体31は、第2実施形態と同様であり、内径が内層の外径よりも大きく、外径が第2環状体32の内径よりも小さい。また、第1環状体31と操作線40の溶接による固定も第2実施形態と同様である。また、第3実施形態において、各操作線40の遠位端は、第1環状体31から遠位側にはみ出すように突出している。
【0070】
一方、第3実施形態の第2環状体32は、遠位側に向けて内径が縮径するコニカル部38と、コニカル部38よりも近位側に位置するフェルール本体部37を有している。第2環状体32のフェルール本体部37は、外周に操作線40が溶接で固定された第1環状体31に対してしまり嵌めとなる内径を有している。例えば、フェルール本体部37の内径は、第1環状体31の外径よりは大きいが、第1環状体31の外径に操作線40の径を加算した長さより小さい寸法である。
【0071】
第3実施形態の固定部30Bの加工では、内層21およびブレード層22を外周に形成した芯材35を準備し、内層21およびブレード層22の外周に第1環状体31を挿通した後に操作線40を溶接で固定する。そして、第2環状体32の内側に、操作線40を固定した第1環状体31を芯材35ごと近位側から圧入する。
【0072】
圧入により、第1環状体31は、第2環状体32のフェルール本体部37との間で操作線40を挟み込んで第2環状体32に押し当てられる。これにより、第1環状体31は第2環状体32のフェルール本体部37で締め付けられて、操作線40を挟み込んだ状態でシース20の遠位端に固定される。なお、第1環状体31の内側には芯材35が配置されているため、第1環状体31は圧入の際に潰れずに円形の断面を保持できる。
第3実施形態の構成においても、第1実施形態および第2実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。また、第3実施形態によれば、第1環状体31の外周に第2環状体32を取り付ける工程で、操作線40の挟み込みによる固定も同時に完了する。そのため、加圧処理の後工程を省くことができ、シース20の製造工程をより簡略化できる。
【0073】
また、第2環状体32のフェルール本体部37の遠位側には、遠位側に向けて縮径するコニカル部38が形成されている。一方、第1環状体31に溶接された操作線40の遠位端は、第1環状体31よりも遠位側に突出している。第2環状体32のフェルール本体部37の遠位側まで第1環状体31を圧入すると、第1環状体31から突出した操作線40は、コニカル部38と第1環状体31の遠位端で挟み込まれる。これにより、第3実施形態の固定部30Bでは、操作線40の近位側への引き抜きに対する固定強度をさらに向上させることができる。
【0074】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
【0075】
例えば、第3実施形態では、外周に操作線が溶接された第1環状体を第2環状体の内側に圧入する例を説明した。しかし、第3実施形態において、内周に操作線40が溶接された第1環状体31を外周側に配置し、第2環状体32を第1環状体31の内側に圧入するようにしてもよい。
【0076】
例えば、第3実施形態では、外周側の環状体の遠位側にコニカル部を形成する例を示したが、コニカル部は必ずしも設けなくてもよい。
【0077】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0078】
なお、上記の実施形態の開示は以下の技術的思想を包含する。
(1)生体管腔に挿入される管状本体と、前記管状本体の長手方向に沿って摺動可能に配置される金属製の操作線と、前記管状本体の遠位端に設けられ、前記操作線の遠位側が固定されている固定部と、を備え、前記固定部は、前記操作線が溶接される第1環状体と、造影性を有する材料で形成された第2環状体と、を有し、前記第1環状体および前記第2環状体のいずれか一方の部材は、前記第1環状体および前記第2環状体のいずれか他方の部材の外周に配置され、前記操作線を前記他方の部材との間に挟み込み、前記他方の部材は、前記操作線を介して外周側の前記一方の部材に押し当たるように前記管状本体の遠位端に固定されているカテーテル。
(2)前記一方の部材は、前記第1環状体であり、前記他方の部材は、前記第2環状体である上記(1)に記載のカテーテル。
(3)前記一方の部材は、前記第2環状体であり、前記他方の部材は、前記第1環状体である上記(1)に記載のカテーテル。
(4)前記第1環状体の材料は、前記操作線と溶接可能な金属である上記(1)から上記(3)のいずれか1項に記載のカテーテル。
(5)前記操作線の溶接部において、前記操作線の長手方向と直交する断面で前記操作線の外周に対して前記溶接部の占める比率は、0.1以上0.7以下である上記(4)に記載のカテーテル。
(6)前記一方の部材は、外周側から加圧処理されて前記他方の部材との間に配置された前記操作線を締め付ける上記(1)から上記(5)のいずれか1項に記載のカテーテル。
(7)前記加圧処理は、前記第1環状体と前記操作線の溶接部を含む領域に施されている上記(6)に記載のカテーテル。
(8)前記他方の部材は、前記一方の部材の内周に圧入されることで前記操作線を挟み込んで前記一方の部材に押し当てられる上記(1)から上記(7)のいずれか1項に記載のカテーテル。
(9)前記一方の部材は、遠位側に向けて縮径するコニカル部と、前記コニカル部よりも近位側に位置するフェルール本体部を有し、前記操作線は、前記一方の部材の前記フェルール本体部により前記他方の部材に押圧され、前記操作線の遠位端は、前記他方の部材よりも遠位側に突出し、前記コニカル部と前記他方の部材の遠位端で挟み込まれる上記(1)から上記(8)のいずれか1項に記載のカテーテル。
(10)前記第1環状体の内径に対する前記操作線の外径の比は、0.04以上0.08以下である上記(1)から上記(9)のいずれか1項に記載のカテーテル。
(11)前記管状本体の遠位端は、前記操作線の近位側への牽引により屈曲する上記(1)から上記(10)のいずれか1項に記載のカテーテル。
【符号の説明】
【0079】
10…カテーテル、20…シース(管状本体)、21…内層、21a…メインルーメン、22…ブレード層、23…外層、24…親水性被膜、25…中空管、25a…サブルーメン、30,30A,30B…固定部、31…第1環状体、32…第2環状体、33…溶接部、35…芯材、37…フェルール本体部、38…コニカル部、40…操作線、50…操作部、51…本体部、52…ハブコネクタ、53…ダイヤル、54…ストッパ、55…プロテクタ

図1
図2
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図4
図5
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図7
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図9