(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086036
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】情報処理システム及びその制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 40/166 20200101AFI20240620BHJP
G06F 40/279 20200101ALI20240620BHJP
【FI】
G06F40/166
G06F40/279
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200897
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】390002761
【氏名又は名称】キヤノンマーケティングジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189751
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 友輔
(74)【代理人】
【識別番号】100227857
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 圭
(72)【発明者】
【氏名】中島 淳
【テーマコード(参考)】
5B091
5B109
【Fターム(参考)】
5B091AB06
5B109QB11
(57)【要約】
【課題】 そこで本発明では、マスク処理を効率的に行うことを可能とする仕組みを提供することを目的する。
【解決手段】 文書に含まれる特定の文字列について、当該文字列として認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工手段と、
前記加工手段による加工の対象の文字列を識別可能に表示した文書と、加工対象の当該文字列の一覧とを表示するように制御する表示制御手段と、
前記一覧に対する操作を受け付けることで、前記特定の加工の対象の修正を受け付ける受付手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書に含まれる特定の文字列について、当該文字列として認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工手段と、
前記加工手段による加工の対象の文字列を識別可能に表示した文書と、加工対象の当該文字列の一覧とを表示するように制御する表示制御手段と、
前記一覧に対する操作を受け付けることで、前記特定の加工の対象の修正を受け付ける受付手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記受付手段は、前記一覧に表示された文字列に対する前記特定の加工の有無を切り替える操作を受け付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記受付手段は、前記特定の加工を施す理由を受け付け、
前記表示制御手段は、前記受付手段により受け付けた理由に応じて前記特定の文字列を識別表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記理由に応じて前記特定の文字列に対する色を変更して表示するよう制御することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記受付手段は、前記理由をさらに特定する情報の選択を受け付けることを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記加工手段によって加工された文書に対して前記特定の加工について修正を行うと、その修正内容が前記一覧に反映されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記加工手段は、文書に含まれる文字列以外の任意の場所を認識できない形態になるよう特定の加工を施すことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記受付手段は、前記加工手段によって加工された文書から文字列を検索し、当該文字列に対して前記特定の加工を施すように修正するよう受け付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記受付手段は、前記加工手段によって加工された文書内から文字列を指定し、当該文字列に対して前記特定の加工を施すように修正するよう受け付けることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記特定の加工とは、特定の色で塗りつぶす処理であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記特定の加工とは、特定の文字列に置き換える処理であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
文書に含まれる特定の文字列について、当該文字列として認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工ステップと、
前記加工ステップによる加工の対象の文字列を識別可能に表示した文書と、加工対象の当該文字列の一覧とを表示するように制御する表示制御ステップと、
前記一覧に対する操作を受け付けることで、前記特定の加工の対象の修正を受け付ける受付ステップと、
を備えることを特徴とする情報処理システムの制御方法。
【請求項13】
少なくとも1つのコンピュータを請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システムとして機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスキング文書の作成に係る情報処理システム及びその制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
行政機関においては情報公開法に基づく開示請求があった場合には、原則として開示請求の対象となった文書を請求者に対して開示しなければならないとされている。ただし、開示することで差し障りのある情報(例えば国の安全等に関する情報や個人情報など)は不開示とすることができ、不開示情報が記載された部分については黒塗りにして文書を開示することが認められている。
また、一般企業等においても、実例をベースにした書類の記入見本を作成したり、アンケート結果やユーザからの意見・要望などを公開する際に、個人情報に係る部分や機密情報を隠して公開することが行われている。
【0003】
このように、文書等を公開するにあたり、公開すべきではない部分を隠す(マスクする)ことが行われているが、マスクする処理を施す作業の効率化や、マスク対象の抜け漏れを防ぐことを目的として、システムによりマスク対象を自動で特定する技術が存在する。
【0004】
特許文献1には、画像内の文字領域・図形領域・写真領域・表領域等を抽出し、当該領域に設定された公開レベルとユーザの閲覧権レベルに応じて当該領域を黒一色で塗りつぶすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の開示請求の対象となる文書は、ページ数も膨大でマスク対象の文字列も膨大になることもあり、そのような場合には効率的にマスク処理を行うことが求められる。また、システムによりマスク対象と判断された文字列について、マスク対象として適切なのか判断し必要であれば修正したり、追加でマスク対象を設定することが必要となり、これらの作業の効率化も求められる。
そこで本発明では、マスク処理を効率的に行うことを可能とする仕組みを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
文書に含まれる特定の文字列について、当該文字列として認識できない形態になるよう特定の加工を施す加工手段と、
前記加工手段による加工の対象の文字列を識別可能に表示した文書と、加工対象の当該文字列の一覧とを表示するように制御する表示制御手段と、
前記一覧に対する操作を受け付けることで、前記特定の加工の対象の修正を受け付ける受付手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マスク処理を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】各種装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】マスキング修正・追加作業画面の一例を示す図である。
【
図6】検索文字列を追加した際の画面の一例を示す図である。
【
図7】コメント追加ボタン押下時の画面の一例を示す図である。
【
図8】文書の任意の箇所にマスキングする際の画面の一例を示す図である。
【
図9】指定された文字列をマスキングする際の画面の一例を示す図である。
【
図10】マスキング確定画面の一例を示す図である。
【
図11】請求書のマスキングの一例を示す図である。
【
図12】不開示理由書作成の手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0011】
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態における情報処理システムの構成の一例について説明する。
【0012】
本発明の情報処理システムは、クライアント端末100、サーバ110がネットワーク101によって通信可能に接続されて構成されている。
【0013】
クライアント端末100は、例えばパーソナルコンピュータ(以下、PC)やスマートフォン等の携帯端末であり、マスキング処理を実施するソフトウェアがインストールされている。サーバ110は、例えばクライアント端末100によりマスキング処理を実施された文書を保存する。
【0014】
次に
図2を参照して、本発明の実施形態における、各種装置のハードウェア構成の一例について説明する。
図2は、クライアント端末100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図2において、内部バス250に対してCPU201、メモリ202、不揮発性メモリ203、画像処理部204、ディスプレイ205、操作部206、記録媒体I/F207、外部I/F209、通信I/F210が接続されている。内部バス250に接続される各部は、内部バス250を介して互いにデータのやりとりを行うことができるようにされている。
【0016】
メモリ202は、例えばRAM(半導体素子を利用した揮発性のメモリなど)からなる。CPU201は、例えば不揮発性メモリ203に格納されるプログラムに従い、メモリ202をワークメモリとして用いて、クライアント端末100の各部を制御する。不揮発性メモリ203には、画像データや音声データ、その他のデータ、CPU201が動作するための各種プログラムなどが格納される。不揮発性メモリ203は例えばハードディスク(HD)やROMなどで構成される。
【0017】
画像処理部204は、CPU201の制御に基づいて、不揮発性メモリ203や記録媒体208に格納された画像データや、外部I/F209を介して取得した映像信号、通信I/F210を介して取得した画像データ、撮像された画像などに対して各種画像処理を施す。画像処理部204が行う画像処理には、A/D変換処理、D/A変換処理、画像データの符号化処理、圧縮処理、デコード処理、拡大/縮小処理(リサイズ)、ノイズ低減処理、色変換処理、マスキング処理などが含まれる。画像処理部204は特定の画像処理を施すための専用の回路ブロックで構成しても良い。また、画像処理の種別によっては画像処理部204を用いずにCPU201がプログラムに従って画像処理を施すことも可能である。
【0018】
ディスプレイ205は、CPU201の制御に基づいて、画像やGUI(Graphical User Interface)を構成するGUI画面などを表示する。CPU201は、プログラムに従い表示制御信号を生成し、ディスプレイ205に表示するための映像信号を生成してディスプレイ205に出力するようにクライアント端末100の各部を制御する。ディスプレイ205は出力された映像信号に基づいて映像を表示する。なお、クライアント端末100自体が備える構成としてはディスプレイ205に表示させるための映像信号を出力するためのインターフェースまでとし、ディスプレイ205は外付けのモニタ(テレビなど)で構成してもよい。
【0019】
操作部206は、キーボードなどの文字情報入力デバイスや、マウスやタッチパネルといったポインティングデバイス、ボタン、ダイヤル、ジョイスティック、タッチセンサ、タッチパッドなどを含む、ユーザ操作を受け付けるための入力デバイスである。なお、タッチパネルは、ディスプレイ205に重ね合わせて平面的に構成され、接触された位置に応じた座標情報が出力されるようにした入力デバイスである。
【0020】
記録媒体I/F207は、メモリーカードやCD、DVDといった記録媒体208が装着可能とされ、CPU201の制御に基づき、装着された記録媒体208からのデータの読み出しや、当該記録媒体208に対するデータの書き込みを行う。外部I/F209は、外部機器と有線ケーブルや無線によって接続し、映像信号や音声信号の入出力を行うためのインターフェースである。通信I/F210は、外部機器やインターネット211などと通信して、ファイルやコマンドなどの各種データの送受信を行うためのインターフェースである。例えば、TCP/IPを用いた通信やISDNなどの電話回線、および携帯電話の4G回線、5G回線等を用いた通信が可能である。
【0021】
カメラ部212は、光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像素子(撮像センサー)等で構成されるカメラユニットである。
【0022】
次に
図3を参照して、本発明の実施形態における、マスキング文書及び一覧作成の基本処理について説明する。なお、各ステップの処理は、クライアント端末100のCPU201が実行する。クライアント端末100でマスキングアプリの実行が指示されると
図3の処理が開始される。
【0023】
S301では、CPU201は、マスキングアプリのメニュー画面を表示する。メニュー画面の表示例を
図4(a)に示す。メニュー画面は行政文書開示請求書個人情報マスクボタン301と、開示文書マスクボタン302と、開示文書マスク確認ボタン303を備える。行政文書開示請求書個人情報マスクボタン301の押下を受け付けると、請求書の個人情報に対してマスク処理を実施することができる。詳しくはS313以降で説明する。開示文書マスクボタン302の押下を受け付けると、対象の文書に対してマスク処理を実施することができる。開示文書マスク確認ボタン303の押下を受け付けると、マスク処理を施された文書を確認できる。
【0024】
S302では、CPU201は、開示文書マスクボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS303へ進み、そうでない場合はS314へ進む。
【0025】
S303では、CPU201は、マスキング対象の文書のアップロードを受け付ける。アップロード方法は、例えば
図4(b)に示すように電子ファイルを直接アプリにアップロードするか、紙文書をスキャンしてアップロードするかを選択することができる。
【0026】
S304では、CPU201は、アップロードされた文書からテキストを抽出し、当該テキストからマスキング対象を特定する。本実施例では、抽出されたテキストからマスキング対象を特定するために自然言語処理を用いる。マスキング対象として特定される部分は、人名、組織名、日時、住所、電話番号、メールアドレス等、主に個人情報に関わる。マスキング対象を特定する際に手作業で実施すると、一つ一つ特定してマスキングしていくので大変な労力を要し、またマスキングすべき箇所を漏らしてしまう場合がある。これに対して、本実施例のようにマスキング対象を自動で特定することにより、文書ファイルをアップロードするだけで特定できるので作業時間が短縮でき、マスキング対象箇所の抜け落ちも減らすことが出来る。
【0027】
S305では、CPU201は、マスキング修正・追加作業画面をディスプレイ205に表示する。具体的には、
図5(a)のようにマスキング文書の下書き領域401(以下、単に下書き領域ともいう)と、マスキング候補一覧402が表示される。初期画面では下書き領域401には、S302で特定されたマスキング対象の文字列に黄色のマーカーが表示されている。マスキング候補一覧402は、S303で特定されたマスキング対象の文字列の一覧であり、それぞれの文字列に対応するマスクの有無を切り替えるチェックボックス、マスクデータ、ハイライト表示の色、データの種類、事由選択欄403で構成される。マスクの有無を切り替えるチェックボックスについて、「入」の場合マスキング候補対象として下書き領域401内で識別表示する。「切」の場合マスキング対象候補から外し、下書き領域401でも識別表示から通常の表示状態に切り替える。
【0028】
このように、下書き領域401とマスキング候補一覧402は対応しているため、後述するS306、S307で一方を修正する処理を実行するともう一方にも修正が反映され、両方を同時に作成しながら進められる。なお、後述するステップにおいて表示する場合の表示先はすべてディスプレイ205であるものとする。
【0029】
S306では、CPU201は、各種修正操作を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合は、S307に処理を進め、そうでない場合には、S308に処理を進める。
【0030】
S307では、S306で受け付けた各種修正操作に基づいて修正処理を実行する。修正処理は、
図5に示す事由選択欄403への入力または選択を受け付けることで実施される。また、修正処理を受け付けるボタンとして、
図5に示すように検索文字列追加ボタン405、コメント追加ボタン406、マスキング(丸形・角型)ボタン407、マスキング(文字指定)ボタン408が表示され、各ボタンに対する操作を受け付けることで、ボタンに応じた修正処理を実施することができる。
【0031】
まず事由選択欄403について説明する。本実施例における事由とは、テキストをマスキング対象とした根拠となる事由(条文)である。情報開示請求に対する文書開示において、非開示とする場合には根拠を示さなければならない。マスキング候補一覧402では、事由選択欄403に該当する事由をユーザによる手入力またはプルダウンより選択することで、追加することが可能である。追加された事由には色が対応付けられており、事由に応じてマスキング文書の下書き領域401のハイライト表示の色を変更する。具体的には、初期画面では
図5(a)のように黄色のマーカーで表示されているが、事由選択欄403で選択された事由に応じて
図5(b)のように青色や紫色等に変更する。これにより、どの事由に基づいてマスキング処理されているのかが視覚的に把握しやすくなるため、誤った事由を選択していないか確認しやすくなる。なお、S305で表示される初期画面を
図5(b)のような予め事由が入力された状態の画面を表示しても良い。その場合、S304で文書から言語処理技術を用いてマスク対象を特定する際、マスク対象のテキストを特定するだけでなく、その種類まで特定する。例えば、そのテキストが人名・住所・メールアドレス・電話番号等のいずれに該当するかまで特定する。そして、予めその種類と条文番号を対応付けておくことで、特定された種類に応じて条文番号を事由として表示することが可能となる。
【0032】
次に
図6では、「第一営業部」という文字列501をテキストボックス404に入力して検索した例を示している。テキストボックス404に「第一営業部」という文字列501を入力し、検索文字列追加ボタン405の押下を受け付けると、事由選択画面(不図示)を表示する。事由選択画面で、当該文字列に該当する事由を選択し完了ボタンの押下を受け付けると、下書き領域401の全頁から「第一営業部」という文字列501を検索し、検索された当該文字列を事由に応じた色でハイライト表示させる。当該文字列はマスキング候補一覧402に追加される。
また、次のような処理の流れでも良い。テキストボックス404に入力された「第一営業部」という文字列501を下書き領域401の全頁から検索し、検索された「第一営業部」という文字列501をハイライト表示させる。また、テキストボックス404に「第一営業部」という文字列501が入力された状態で、検索文字列追加ボタン405の押下を受け付けると、当該文字列をマスキング候補としてマスキング候補一覧402に追加する。
【0033】
次に
図7を用いてコメント追加ボタン406押下時の処理について説明する。コメント追加ボタン406の押下を受け付け、マスキング文書の下書き領域401の中から任意の場所を選択すると、その場所にコメント入力テキストボックス601を配置する。また、コメント入力テキストボックス601が下書き領域401に配置されると、当該コメントをマスキング候補一覧402に追加する。これにより、ワークフローの中で次の人への申し送り事項を記入することが出来るようになる。また、当該コメントは、誤ってコメントの内容が公にならないようにするために、S306でマスキング箇所を確定ボタンの押下を受け付けると削除される。
【0034】
次に
図8を用いてマスキング(丸型・角型)ボタン407押下時の処理について説明する。マスキング(丸型・角型)ボタン407の押下を受け付けると、事由選択画面(不図示)を表示して事由の選択を受け付ける。そして、マスキング文書の下書き領域401の中から任意の場所(領域)をマウスで囲む等により指定すると、その場所にボタンの選択に応じた図形701を配置する。また、図形701が下書き領域401に配置されると、当該図形によって特定される領域をマスキング候補としてマスキング候補一覧402に追加する。これにより、文書内の文字列だけでなく言語処理では抽出できないようなロゴ、記号、印影等までマスキングの対象とすることが出来る。なお、文書の範囲選択はマウスのドラッグ操作に限らず、例えば下書き領域401内の任意の場所を選択すると、選択された場所に丸型又は角型の図形を追加するといった方法でもよい。
【0035】
最後に
図9では、下書き領域401の中から「提案を実施しました。…」という文字列801を指定した例について示している。マスキング(文字指定)ボタン408の押下を受け付けると、事由選択画面(不図示)を表示して事由の選択を受け付ける。そして、下書き領域401内の「提案を実施しました。…」という文字列801をドラッグ操作等で選択すると、選択された当該文字列をマスキング候補として特定する。さらに、「提案を実施しました。…」という文字列801はマスキング候補一覧402に追加される。
【0036】
また、事由書保存ボタン409の押下を受け付けると、マスキング候補一覧402をCSV等のファイルに出力する。中間ファイル保存ボタン410の押下を受け付けると、作業中の中間ファイルを出力する。
【0037】
S308では、CPU201は、マスキング箇所を確定ボタン411が押下されたか否かを判定する。押下されたと判定した場合には、S309に処理を進め、そうでない場合には、S313に処理を進める。
【0038】
S309では、CPU201は、マスキング確定画面を表示する。
図10にマスキング確定画面の一例を示す。マスキング確定画面には、イメージ画像901とマスキング箇所を訂正ボタン902、PDF出力ボタン903を備える。
【0039】
S310では、CPU201は、マスキング箇所を訂正ボタン902が押下されたか否かを判定する。押下されたと判定した場合には、S305に処理を進め、そうでない場合には、S311に処理を進める。
【0040】
S311、S312では、CPU201は、PDF出力ボタンの押下を受け付けるとマスキング確定画面に表示されている内容をPDF出力する。
【0041】
S313では、CPU201は、アプリの終了を指示する操作があった場合にはマスキングアプリを閉じ、
図3の処理を終了する。
【0042】
続いて、S314では、CPU201は、
図4のメニュー画面で行政文書開示請求書個人情報マスクボタン301の押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS315へ進み、そうでない場合はS321へ進む。
【0043】
S315では、CPU201は、請求書番号の入力とスキャン開始ボタンの押下を受け付ける。
図11(a)では、請求書番号の入力を受け付け、スキャン開始ボタン1001の押下を受け付ける。請求書番号の入力は番号を特定できれば、プルダウンリストから選択等のように手入力でなくてもよい。
【0044】
S316では、CPU201は、請求書個人情報マスク下書き画面を表示する。請求書個人情報マスク画面の表示例を
図11(b)に示す。スキャンされた請求書から個人情報の部分について言語処理技術を用いて特定し、マスク候補1002として表示する。マスク候補1002は、例えばドラッグ操作で移動させることができたり、新たにマスク候補1002を追加することができる。また、マスク候補1002を選択することで、その範囲を拡大したり縮小したりすることができる。
【0045】
S317では、CPU201は、PDF出力ボタン1003の押下を受け付けると請求書個人情報マスク画面を表示する。請求書個人情報マスク画面の表示例を
図11(c)に示す。
図11(b)でマスク候補1002となっていた部分について、実際にマスキングされたプレビュー画面を表示する。PDF出力ボタン1003の押下を受け付けると、マスキングされた請求書がPDFで出力される。また、PDFは、例えば文書を一元管理している部門で管理しておく文書と、各省庁内で共有するための資料のように複数出力されるようにしてもよい。×ボタン1005の押下を受け付けると、
図3の処理を終了する。これにより、行政文書開示請求書は各省庁内で資料を共有する際に、個人情報が公にならないようにマスク処理を施すことが出来る。
【0046】
続いて、S318では、CPU201は、
図4のメニュー画面で開示文書確認ボタンの押下を受け付けたか否かを判定する。受け付けた場合はS319に進み、そうでない場合はS301へ戻る。
【0047】
S319では、CPU201は、開示文書確認画面を表示する。開示文書確認画面(不図示)では、マスキング修正・追加作業画面の中間ファイル保存ボタン410の押下を受け付け、作業途中で保存された文書を確認するための画面である。例えば、各文書は一覧で表示されており、各文書に付与されている請求受け付け番号を用いて検索したり、日付などでソートしたりすることが出来る。
【0048】
【0049】
以上説明したように、本実施形態によればマスク処理を効率的に行うことが可能となる。具体的には、マスキング候補一覧を表示することにより、マスキング対象を一目で把握することが可能となる。また、マスキング候補一覧からマスクの有無を選択することが出来るため、マスク対象を効率的かつ適切に設定することが出来る。
【0050】
なお、上述の実施形態では、
図5(a)でマスキング候補として特定された文字列について、マスク処理を施す例を説明したが、特定された文字列を伏せることが可能であればこれに限るものではない。例えば、人名を「山田太郎」と置き換えたり、特定の文字(*マーク等)に置き換えたりしてもよい。
【0051】
なお、上述の実施形態では、マスキング候補一覧の表示例を説明したがこれに限るものではない。マスキング候補一覧を編集することで、一覧を並べ替えたり、マスクの有無のチェックボックスを一括切替が出来たりしても良い。
【0052】
なお、上述の実施形態では、マスキング修正・追加作業画面の表示例を説明したがこれに限るものではない。例えば、
図12(a)のように不開示理由書作成ボタン1101を備えていてもよい。不開示理由書作成ボタン1101の押下を受け付けると、
図12(b)の画面へ遷移する。この画面では、マスク候補としてマーカーで識別表示されている箇所の位置1102と、その事由1103と不開示とした理由欄1104を表示している。不開示とした理由欄1104で右クリックをすると
図12(c)の画面へ遷移する。
図12(c)では、マスク候補の事由に基づいて表示される不開示とした理由が表示され、チェックボックス1105による選択を受け付ける。すなわち、根拠となる事由(条文)を更に特定するための情報の選択を受け付ける。OKボタン1106の押下を受け付けると、
図12(d)の画面へ遷移し、不開示とした理由欄1104に
図12(c)で選択された不開示とした理由が表示される。これにより、不開示とした理由を省庁内で共有するための不開示理由書や、不開示とした理由を請求者に説明するための開示決定通知書を容易に作成することが出来る。
【0053】
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0054】
なお、CPU201が行うものとして説明した上述の各種制御は1つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェア(例えば、複数のプロセッサーや回路)が処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0055】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0056】
また、上述した実施形態においては、本発明をPCにおけるマスキングアプリに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されず、文書を編集することができるような装置、ソフトウェアであれば適用可能である。すなわち、本発明はパーソナルコンピュータやスマートフォン等の携帯電話端末などに適用可能である
【0057】
(他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0058】
100 クライアント端末
101 ネットワーク
110 サーバ