IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-開閉装置用操作器 図1
  • 特開-開閉装置用操作器 図2
  • 特開-開閉装置用操作器 図3
  • 特開-開閉装置用操作器 図4
  • 特開-開閉装置用操作器 図5
  • 特開-開閉装置用操作器 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086046
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】開閉装置用操作器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/42 20060101AFI20240620BHJP
   H01H 33/38 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01H33/42 Q
H01H33/42 K
H01H33/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200911
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】守部 綾香
(72)【発明者】
【氏名】立川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】土井 達也
【テーマコード(参考)】
5G028
【Fターム(参考)】
5G028AA04
5G028AA08
5G028DB03
5G028EB01
5G028EB10
5G028EB12
(57)【要約】
【課題】ラッチと動力伝達機構の係止レバーとの係止を解除する構成の小型化を図ること。
【解決手段】開閉装置用操作器(20)は、動力伝達機構(21)の係止レバー(29)と係止するラッチ(34)と、ラッチと係止レバーとの係止を解除操作する引き外し操作部(40)とを備えている。引き外し操作部は、回動することでラッチを変位し、ラッチと係止レバーとの係止を解除するアーム(42)と、該係止を解除する方向にアームを押圧して回動させる第1押圧部(43)及び第2押圧部(44)と、調整部(60)とを備えている。第1押圧部は、遮断指令を介して下方向となる第1方向に変位してアームを押圧する。第2押圧部は、作業者の操作力付与により、第1方向とは異なった左方向となる第2方向に変位してアームを押圧する。調整部は、第2押圧部からアームに作用する押圧力の作用方向(F)を第2方向に比べて第1方向に近付けるよう調整する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉接点を構成する可動接触子と固定接触子を接離する方向に駆動する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構を介して前記可動接触子を前記固定接触子から引き離す方向に駆動力を蓄勢可能な遮断ばねと、
前記遮断ばねの蓄勢状態を保持する位置で前記動力伝達機構のレバーと係止して前記動力伝達機構の動作を規制するラッチと、
前記ラッチと前記レバーとの係止を解除操作する引き外し操作部と、を備えた開閉装置用操作器であって、
前記引き外し操作部は、回動することで前記ラッチを変位して前記ラッチと前記レバーとの係止を解除するアームと、前記ラッチと前記レバーとの係止を解除する方向に前記アームを押圧して回動させる第1押圧部及び第2押圧部と、前記第2押圧部から前記アームに作用する押圧力の作用方向を調整する調整部と、を備え、
前記第1押圧部は、所定の遮断指令を介して第1方向に変位することで、該第1方向に前記アームを押圧し、
前記第2押圧部は、作業者による操作力の付与により、前記第1方向とは異なる第2方向に変位して前記アームを押圧し、
前記調整部は、前記第2方向に比べて前記作用方向を前記第1方向に近付けることを特徴とする開閉装置用操作器。
【請求項2】
前記第2押圧部は、前記第2方向に変位する変位部材を備え、
前記調整部は、前記変位部材及び前記アームの何れか一方に設けられる第1摺動部材と、前記変位部材及び前記アームの何れか他方に設けられて前記第1摺動部材と相互に摺動する第2摺動部材とを備え、
前記第1摺動部材は、前記第2方向に対して傾斜する方向に形成される押圧面を有することを特徴とする請求項1に記載の開閉装置用操作器。
【請求項3】
前記第2摺動部材は、前記押圧面との接触部分が凸状の湾曲面に形成されることを特徴とする請求項2に記載の開閉装置用操作器。
【請求項4】
前記第1摺動部材と前記第2摺動部材とが摺動する位置は、前記第1押圧部が前記アームを押圧する位置の近傍とされる請求項2または請求項3に記載の開閉装置用操作器。
【請求項5】
前記アームの回動中心軸方向から見て、前記第1方向と前記第2方向とは直交する方向に向けられる請求項1に記載の開閉装置用操作器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置用操作器に関し、特に、電流の投入及び遮断を実施するために用いられる開閉装置用操作器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、開閉接点を構成する可動接触子と固定接触子を接離する方向に駆動する動力伝達機構と、動力伝達機構を介して可動接触子を固定接触子から引き離す方向に駆動力を付与する蓄勢された遮断ばねと、遮断ばねの蓄勢状態を保持する位置で動力伝達機構の動きを拘束するラッチ機構と、ラッチ機構による動力伝達機構の拘束を解除する引き外し操作部とを備えた遮断器を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-323989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮断器においては、前記ラッチ機構による動力伝達機構の拘束を解除する構成として、遮断指令が入力される引き外し用ソレノイドによる操作に加え、作業者の手動による操作で前記拘束を解除可能とし、遮断ばねを放勢できるようにする要求がある。しかも、遮断器においては、引き外し用ソレノイドに押圧されるトリガ等を含むユニットが大型化することを抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、遮断指令に加えて手動によってもラッチと動力伝達機構のレバーとの係止を解除でき、かかる係止を解除する構成の小型化を図ることができる開閉装置用操作器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一態様の開閉装置用操作器は、開閉接点を構成する可動接触子と固定接触子を接離する方向に駆動する動力伝達機構と、前記動力伝達機構を介して前記可動接触子を前記固定接触子から引き離す方向に駆動力を蓄勢可能な遮断ばねと、前記遮断ばねの蓄勢状態を保持する位置で前記動力伝達機構のレバーと係止して前記動力伝達機構の動作を規制するラッチと、前記ラッチと前記レバーとの係止を解除操作する引き外し操作部と、を備えた開閉装置用操作器であって、前記引き外し操作部は、回動することで前記ラッチを変位して前記ラッチと前記レバーとの係止を解除するアームと、前記ラッチと前記レバーとの係止を解除する方向に前記アームを押圧して回動させる第1押圧部及び第2押圧部と、前記第2押圧部から前記アームに作用する押圧力の作用方向を調整する調整部と、を備え、前記第1押圧部は、所定の遮断指令を介して第1方向に変位することで、該第1方向に前記アームを押圧し、前記第2押圧部は、作業者による操作力の付与により、前記第1方向とは異なる第2方向に変位して前記アームを押圧し、前記調整部は、前記第2方向に比べて前記作用方向を前記第1方向に近付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1押圧部によりアームを押圧する第1方向と、手動等により第2押圧部でアームを押圧する第2方向とが異なる構成において、第2押圧部からアームに作用する押圧力の作用方向を調整部によって第1方向に近付けることができる。これにより、第1押圧部によるアームの押圧位置と、第2押圧部によるアームの押圧位置とを接近させることができ、アームの寸法を小さくして引き外し操作部の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態における開閉装置の内部構造を示す概略構成図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】第1押圧部によってアームを押圧した状態を示す図2と同様の拡大図である。
図4】第2押圧部によってアームを押圧した状態を示す図2と同様の拡大図である。
図5】比較構造の引き外し操作部を示す図2と同様の拡大図である。
図6】変形例の引き外し操作部を示す図2と同様の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態にかかる開閉装置について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。また、以下の説明において、特に明示しない限り、「上」、「下」、「左」、「右」は、図1図4を基準として用いる。但し、以下の実施の形態での各構成の向きは、一例にすぎず、任意の向きに変更することができる。
【0010】
図1は、実施の形態における開閉装置の内部構造を示す概略構成図である。図1に示すように、開閉装置1は、筐体(不図示)の仕切壁2における左側に設けられた真空遮断器10と、右側に設けられる開閉装置用操作器(以下、単に「操作器」という)20とを備えている。
【0011】
真空遮断器10は、開閉接点を構成する可動接触子11と固定接触子12と、図1にて二点鎖線で簡略化して図示した真空容器13とを備えている。可動接触子11及び固定接触子12は、真空容器13の内部で接離可能に設けられ、接触状態で通電(閉路)し、図1に示す離間状態で通電を遮断(開路)する。
【0012】
操作器20は、可動接触子11と固定接触子12とを接離する方向に駆動する動力伝達機構21を備えている。動力伝達機構21は、仕切壁2に装着されたシールフランジ3を貫通して左右方向に延びる接続部材としての絶縁ロッド22を備えている。絶縁ロッド22は、本実施の形態では、シールフランジ3を介して左右方向に変位するよう支持されている。絶縁ロッド22は、左端(一端)側にて可動接触子11に連結されて可動接触子11と共に変位可能に設けられる。
【0013】
動力伝達機構21は、絶縁ロッド22の右端側にピン22aを介して相対回転可能に連結される調整機構23と、調整機構23の右端から右側に延びる連結軸24とを更に備えている。調整機構23は、内部にスプリングを収納しており、可動接触子11と固定接触子12との接圧を付与可能に設けられる。
【0014】
動力伝達機構21は、図1の紙面直交方向に延びる開閉軸26と、開閉軸26に固定された概ねL字型のレバー部材27とを更に備えている。レバー部材27は、開閉軸26から上方に延出し、先端(上端)側にて連結軸24の右端側にピン24aを介して相対回転可能に連結される連結レバー28を備えている。また、レバー部材27は、開閉軸26から右方向に延出し、円弧状となる先端(右端)側にて後述するラッチ34に係止する係止レバー(レバー)29を備えている。
【0015】
操作器20は、図示省略した適宜なリンク機構や連結構造等を介して開閉軸26に回転力を加える遮断ばね31を更に備えている。更に述べると、遮断ばね31は、図1に示す状態にて開閉軸26を時計方向に回転する力を蓄勢し、連結レバー28の先端、連結軸24、調整機構23及び絶縁ロッド22を右方向に移動する力を蓄勢している。よって、遮断ばね31は、動力伝達機構21を介して可動接触子11を固定接触子12から引き離す方向に駆動力を蓄勢可能に設けられる。
【0016】
操作器20は、図1の紙面直交方向に延びる回転軸33と、回転軸33を中心位置として回転可能に支持されたラッチ34とを更に備えている。ラッチ34は、回転軸33から左上方向に延出して係止レバー29と係止する第1ラッチレバー35と、第1ラッチレバー35と略直角となる向きとして回転軸33から右上方向に延出する第2ラッチレバー36とを備えている。
【0017】
ラッチ34は、第1ラッチレバー35が係止レバー29と係止することで、遮断ばね31の駆動力を受けるレバー部材27及び開閉軸26の時計方向の回転を規制している。言い換えると、ラッチ34は、遮断ばね31の蓄勢状態を保持する位置で第1ラッチレバー35が係止レバー29と係止し、動力伝達機構21の動作を規制している。
【0018】
操作器20は、ラッチ34の第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止を解除操作する引き外し操作部40を更に備えている。以下、図2を参照して、引き外し操作部40の構成について説明する。図2は、図1の部分拡大図である。図2は、ラッチ34の第1ラッチレバー35と係止レバー29とが係止した状態であり、遮断ばね31(図2では不図示)の蓄勢状態を保持しつつ、動力伝達機構21の動作を規制した状態である。
【0019】
図2に示すように、引き外し操作部40は、図2の紙面直交方向に延びる支持軸41と、支持軸41を中心位置として回動するアーム42と、アーム42の上方に設けられる第1押圧部43と、アーム42の右側に設けられる第2押圧部44とを備えている。
【0020】
アーム42は、支持軸41から上方に延出する接続アーム部46を備えている。接続アーム部46には、ラッチ34の第2ラッチレバー36を上下方向から挟むように上挟込片47及び下挟込片48が設けられている。上挟込片47及び下挟込片48は、第2ラッチレバー36と非固定として接触または若干の隙間を介して設けられる。支持軸41を中心とするアーム42の回動によって接続アーム部46、上挟込片47及び下挟込片48が揺動し、該揺動によって第2ラッチレバー36を含むラッチ34を回転変位させる。
【0021】
下挟込片48は、接続アーム部46の右端より右方向に延長する形状を備え、かかる延長した部分に引張コイルばねからなるラッチ復帰ばね49の一端が固定されている。ラッチ復帰ばね49の他端は、筐体(不図示)の一部に固定される。
【0022】
アーム42は、支持軸41から右方向に延出してから上向きに屈曲する形状を有する押圧アーム部51を更に備えている。押圧アーム部51は、接続アーム部46と同様に支持軸41側を基部とする。押圧アーム部51は、基部から屈曲位置まで接続アーム部46と直交する方向(左右方向)に延出する第1形成体53と、屈曲位置から上方に延出する第2形成体54を備えている。第2形成体54は、接続アーム部46と平行となる上下方向に向けられている。第2形成体54の上端は、押圧アーム部51の先端部とされ、図2の紙面直交方向に延びるよう折り曲げ形成される受け片55が形成される。
【0023】
第1押圧部43は、ソレノイド43aによりプランジャ43bを上下方向に進退させるアクチュエータによって構成することが例示できる。第1押圧部43は、制御部(不図示)から送信される所定の遮断指令を介してプランジャ43bを第1方向となる下方向に変位(駆動)する。かかる下方向の変位によって、第1押圧部43はプランジャ43bの下端でアーム42の一部となる受け片55を下方向に押圧し、アーム42を時計方向に回動させる。ここで、受け片55は、第1押圧部43がアーム42を押圧する位置とされる。
【0024】
第2押圧部44は、筐体(不図示)より外側に露出するように設けられて作業者によって押圧操作可能なボタン44aと、作業者によるボタン44aへの押圧操作力の付与によって第2方向となる左方向に変位する変位部材44bとを備えている。図2の紙面直交方向となるアーム42の回動中心軸方向から見て、第2押圧部44の変位部材44bの変位方向(下方向)と、第1押圧部43のプランジャ43bの変位方向(左方向)とは異なっており、本実施の形態では直交する方向に向けられる。ここで、引き外し操作部40は調整部60を更に備え、第2押圧部44は、調整部60を介してアーム42を押圧して回動させる。
【0025】
調整部60は、第2押圧部44からアーム42に作用する押圧力の作用方向Fを調整する機構とされる。調整部60は、第2押圧部44における変位部材44bの先端(左端)に設けられる第1摺動部材61と、アーム42の押圧アーム部51に設けられ、第1摺動部材61と相互に摺動する第2摺動部材62とを備えている。
【0026】
第1摺動部材61は、変位部材44bと共に左右方向に変位可能とされる。第1摺動部材61は、ボタン44aの押圧操作により、変位部材44bが変位する方向となる左方向に対して傾斜する方向に形成される押圧面61aを有する。更に述べると、押圧面61aは、左上から右下方向に傾斜しており、第1摺動部材61の左下面を形成している。
【0027】
第2摺動部材62は、押圧アーム部51における第1形成体53と第2形成体54との交差領域に連結され、図2の紙面直交方向に延びる丸軸状に形成されている。よって、第2摺動部材62は、第1摺動部材61の押圧面61aとの接触部分が円柱外周面となって凸状の湾曲面に形成される。
【0028】
第2摺動部材62は、受け片55の直下に配置される。また、第2摺動部材62は、支持軸41から右方向に所定距離離れ、且つ、上下方向の位置が支持軸41より若干上方となるように配置されている。よって、第2摺動部材62にて第1摺動部材61と摺動する位置となる右上側外周面は、受け片55の近傍に配置される。
【0029】
本実施の形態の操作器20にあっては、引き外し操作部40の第1押圧部43及び第2押圧部44によってアーム42を押圧し、ラッチ34の第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止を解除することができる。以下、第1押圧部43及び第2押圧部44によって係止を解除する際の各構成の動作について図3及び図4を参照して説明する。図3は、第1押圧部43の動作によってアーム42を回転させた状態を示し、図4は、第2押圧部44の動作によってアーム42を回転させた状態を示す。
【0030】
図3に示すように、落雷等が発生して第1押圧部43に遮断指令が入力されると、プランジャ43bが下方に変位し、アーム42の受け片55を下方に押圧する。かかる押圧によって、アーム42が支持軸41を中心位置として時計方向に回動し、アーム42の接続アーム部46に連結される上挟込片47によってラッチ34の第2ラッチレバー36が押圧される。すると、ラッチ34が時計方向に回動され、第1ラッチレバー35が右上方向に変位し、係止レバー29の先端と摺動してから離間する。これにより、第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止が解除される。かかる係止の解除によって、蓄勢状態の遮断ばね31が放勢され、動力伝達機構21を介して可動接触子11が固定接触子12から引き離されて通電を遮断(開路)する。
【0031】
メンテナンス作業時等、図4に示すように、第1押圧部43を動作させずに第2押圧部44の操作によっても、第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止を解除できる。具体的には、第2押圧部44のボタン44aが作業者によって左方向に押圧されると、変位部材44b及び第1摺動部材61が左方向に変位し、第1摺動部材61から第2摺動部材62を介してアーム42に押圧力が作用する。
【0032】
かかる押圧力は、調整部60にて、第1摺動部材61の傾斜する押圧面61aと、丸軸状の第2摺動部材62との接触及び摺動を介してアーム42の押圧アーム部51に作用する。このとき、押圧力の作用方向Fは、第2摺動部材62と押圧面61aとの接触位置における第2摺動部材62の外周面の法線方向となり、図4中斜め左下方向に調整される。これにより、支持軸41を中心位置としてアーム42が図3と同様に時計方向に回動し、ラッチ34を回動させて第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止が解除される。
【0033】
このように、本実施の形態では、押圧面61a及び第2摺動部材62を含む調整部60によって、第2押圧部44でのボタン44aの押圧方向となる左方向に対し、アーム42に作用する押圧力の作用方向Fを斜め左下方向に変えることができる。言い換えると、第2押圧部44でのボタン44aの押圧方向となる左方向に比べて、第1押圧部43のプランジャ43bが変位する方向となる下方向に作用方向Fを近付けることができる。これにより、第1押圧部43のプランジャ43bの変位方向に対し、第2押圧部44でのボタン44aの押圧方向が異なっていても、両方の押圧部43、44によってアーム42を押圧及び回動させることができる。
【0034】
次いで、本実施の形態における引き外し操作部40の構成と、図5に示す従来構造の引き外し操作部40Aの構成とを比較して説明する。図5は、比較構造の引き外し操作部を示す図2と同様の拡大図である。図5の比較構造は、上記実施の形態の構成に対し、アーム42A、第1摺動部材61A及び第2摺動部材62Aの構成が相違している。なお、比較構造にて、上記実施の形態と共通または類似する構成については同一符号を付す。
【0035】
比較構造にて、アーム42Aは、支持軸41から下方に延出する縦アーム部101を備えている。第2摺動部材62Aは、縦アーム部101の下端側に連結され、図5の紙面直交方向に延びる軸状に形成される。
【0036】
また、比較構造にて、第2押圧部44は、上下方向の設置位置が第2摺動部材62Aに対応し、アーム42Aにおける押圧アーム部51の下方に配置される。第1摺動部材61Aは、押圧面61aAが上下方向に平行に形成されている。
【0037】
比較構造においても、第1押圧部43及び第2押圧部44によってアーム42Aを押圧して回動できる。ところが、比較構造は、第1摺動部材61Aの押圧面61aAが上下方向に平行となるので、第2押圧部44による押圧によってアーム42Aを回動させるべく、縦アーム部101を形成して第2摺動部材62Aを支持軸41の下方に配置することが必要になる。これにより、比較構造のアーム42Aは上下方向寸法が大きくなり、ひいては、引き外し操作部40A全体が大型化してしまう。
【0038】
この点、上記実施の形態では、図2に示すように、調整部60として第1摺動部材61の押圧面61aを上述のように傾斜する方向に形成している。これにより、アーム42を支持する支持軸41、第2摺動部材62及び第2押圧部44が概ね左右方向に並べられ、ボタン44aの操作方向が支持軸41を中心する円の径方向(概ね左方向)に略一致しても、アーム42を回動させるモーメント力を確保可能となる。よって、上記実施の形態では、アーム42にて第1押圧部43の押圧位置となる受け片55と、第2押圧部44の押圧位置となる第2摺動部材62とを近傍に配置して接近させることができる。その結果、アーム42の上下方向寸法を小さくでき、引き外し操作部40の小型化を図ることができる。
【0039】
また、上記実施の形態では、第1摺動部材61にて押圧面61aの傾斜角度を変えることで、アーム42に作用する押圧力の作用方向Fを容易に調整することができる。
【0040】
更に、第2摺動部材62における押圧面61aとの接触領域が湾曲面に形成されるので、それらが摺動する際の動作抵抗を小さくすることができ、第1ラッチレバー35と係止レバー29との係止の解除を円滑に行うことができる。
【0041】
また、第1押圧部43のプランジャ43bの変位方向(左方向)と、第2押圧部44の変位部材44bの変位方向(下方向)とを直交する方向に向けたので、引き外し操作部40の装置設計を行い易くすることができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、向きなどについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0043】
上記実施の形態における引き外し操作部40は、図示構成例に限定されるものでなく、種々の変更が可能であり、例えば、図6に示す変形例のように変更してもよい。図6は、変形例の引き外し操作部を示す図2と同様の拡大図である。図6の変形例にて、引き外し操作部40を構成する調整部70は、アーム42の押圧アーム部51に設けられて押圧面71aを有する第1摺動部材71と、変位部材44bの左端に設けられ、押圧面71aと相互に摺動する第2摺動部材72とを備えている。
【0044】
押圧面71aは、変位部材44bが変位する方向となる左方向に対して傾斜する方向に形成され、具体的には左上から右下方向に傾斜して第1摺動部材71の右上面を形成している。第2摺動部材72は、図6の紙面直交方向に延びる丸軸状に形成されている。
【0045】
図6の変形例にて、変位部材44b及び第2摺動部材72が左方向に変位する際の押圧力は、調整部70における第2摺動部材72と、第1摺動部材71の傾斜する押圧面71aとの接触及び摺動を介してアーム42に作用する。このとき、アーム42に作用する押圧力の作用方向Fは、上記実施の形態と同様に図6中斜め左下方向に調整され、アーム42を時計方向に回動させることができる。
【0046】
また、上記の第2摺動部材62、72は、丸軸状の部材に代えてローラ等を用いた構成としてもよい。第1摺動部材61、71及び第2摺動部材62、72は、相互に接触を維持しつつ早退移動することで上記実施の形態のように第2押圧部44からアーム42に作用する押圧力の作用方向Fを調整可能であれば、適宜変更してもよい。
【0047】
また、第1押圧部43のプランジャ43bの変位方向となる第1方向と、第2押圧部44の変位部材44bの変位方向となる第2方向とは、直交する角度以外としてもよく、例えば、45°等の90°より小さい角度としてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 :開閉装置
11 :可動接触子
12 :固定接触子
20 :操作器(開閉装置用操作器)
21 :動力伝達機構
29 :係止レバー(レバー)
31 :遮断ばね
34 :ラッチ
40 :引き外し操作部
42 :アーム
43 :第1押圧部
44 :第2押圧部
44b :変位部材
60 :調整部
61 :第1摺動部材
61a :押圧面
62 :第2摺動部材
70 :調整部
71 :第1摺動部材
71a :押圧面
72 :第2摺動部材
F :作用方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6