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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086061
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】双方向電力連系装置及び多相変圧器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20240620BHJP
   H01F 30/12 20060101ALI20240620BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H02M7/06 U
H01F30/12 F
H01F30/12 C
H01F30/12 N
H01F30/12 T
H01F30/12 R
H01F27/28 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200946
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】516131843
【氏名又は名称】ANP株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516091112
【氏名又は名称】神崎産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100224269
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 佑太
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【テーマコード(参考)】
5E043
5H006
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5H006CA01
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC05
5H006CC08
5H006DB01
(57)【要約】
【課題】電子制御ユニットによる自動制御が不要であり、自律的動作によって双方向の交流直流電力連系装置及び多相変圧器を提供する。
【解決手段】交流電力部と直流電力部とを双方向に連系する双方向電力連系装置であって、 前記交流電力部の三相交流を3n相の多相交流に変換する多相変圧器と、前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して前記直流電力部に出力可能な複数の第1の整流素子を具備する第1の全波整流部と、前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して抵抗素子に出力可能な複数の第2の整流素子を具備する第2の全波整流部と、前記複数の第1の整流素子の各々とそれぞれ並列である複数のスイッチ素子を具備し、各スイッチ素子は前記複数の第2の整流素子の各々と関係し、関係する第2の整流素子の非導通時にオフであり導通時にオンであるように切り換わるスイッチ部と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力部と直流電力部とを双方向に連系する双方向電力連系装置であって、
前記交流電力部の三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器と、
前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して前記直流電力部に出力可能な複数の第1の整流素子を具備する第1の全波整流部と、
前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して抵抗素子に出力可能な複数の第2の整流素子を具備する第2の全波整流部と、
前記複数の第1の整流素子の各々とそれぞれ並列である複数のスイッチ素子を具備し、各スイッチ素子は前記複数の第2の整流素子の各々と関係し、関係する第2の整流素子の非導通時にオフであり導通時にオンであるように切り換わるスイッチ部と、を有する双方向電力連系装置。
【請求項2】
前記第1の全波整流部の前記複数の第1の整流素子は、
前記多相変圧器の各二次側端子にアノードがそれぞれ接続されかつ前記直流電力部の正極端にカソードが共通接続された3n個の第1の正側整流素子と、
前記多相変圧器の各二次側端子にカソードがそれぞれ接続されかつ前記直流電力部の負極端にアノードが共通接続された3n個の第1の負側整流素子と、を有し、
前記第2の全波整流部の前記複数の第2の整流素子は、
前記多相変圧器の各二次側端子にアノードがそれぞれ接続されかつ前記抵抗素子の一端にカソードが共通接続された3n個の第2の正側整流素子と、
前記多相変圧器の各二次側端子にカソードがそれぞれ接続されかつ前記抵抗素子の他端にアノードが共通接続された3n個の第2の負側整流素子と、を有する請求項1に記載の双方向電力連系装置。
【請求項3】
前記スイッチ素子のオンオフを切り換える駆動部は、
前記第2の整流素子と直列に挿入接続され前記第2の整流素子の導通時にのみ発光する発光素子と、前記発光素子の光を受光する受光素子と、を有し、
前記受光素子は、前記発光素子からの光の受光時に前記スイッチ素子をオンとし非受光時にオフとする駆動信号を出力する請求項2に記載の双方向電力連系装置。
【請求項4】
前記第1の整流素子は、電界効果トランジスタの寄生ダイオード又は寄生ダイオードと並列接続されたダイオードであり、
前記スイッチ素子は、前記電界効果トランジスタのドレインとソース間の電流路であり、前記電界効果トランジスタのゲートが前記駆動部の駆動信号により駆動される請求項3に記載の双方向電力連系装置。
【請求項5】
前記多相変圧器が、二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している請求項1~4のいずれかに記載の双方向電力連系装置。
【請求項6】
前記多相変圧器が、二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している請求項1~4のいずれかに記載の双方向電力連系装置。
【請求項7】
前記多相変圧器が、二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に1つの主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる主巻線及び1又は複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している請求項1~4のいずれかに記載の双方向電力連系装置。
【請求項8】
三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器であって、
二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線が接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、各巻線の巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している多相変圧器。
【請求項9】
三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器であって、
二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線が接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、各巻線の巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している多相変圧器。
【請求項10】
三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器であって、
二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力し、
前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に1つの主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる主巻線及び1又は複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している多相変圧器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流と直流の間で双方向に電力変換する双方向電力連系装置及びそれに用いる多相変圧器に関する。
【背景技術】
【0002】
商用交流電力系統と、発電システムや蓄電池等の直流電力設備との間で電力変換する双方向電力連系装置が知られている。特許文献1には、風力発電装置及び蓄電池を、系統連系インバータを介して電力会社系統と連系させたシステムが開示されている。
【0003】
特許文献2、3では、双方向ではないが、交流を整流して直流に変換する際にAC/DCコンバータを使用せずに多相変圧器を使用することで高周波スイッチングノイズの問題を解消している。また、変圧器の二次側端子の結線方法として、特許文献2ではスター結線を、特許文献3ではデルタ結線を基本とする変形的な結線を提案している。これらの変形的な結線においては、多相変圧器の各相に独立した巻線を設けることによる変圧器の大型化の問題を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-250227号公報
【特許文献2】特開2022-71713号公報
【特許文献3】特開2022-540927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1等の従来の交直双方向連系技術においては、双方向コンバータ等の電子制御のために制御用IC等の電子制御ユニットが必要であった。また、特許文献2、3の多相変圧器を用いた交直連系は、多相変圧器の出力を全波整流して直流変換しているが、全波整流回路のみでは双方向連系を実現できない。
【0006】
以上に鑑み本発明の目的は、電子制御ユニットによる自動制御が不要であり、自律的動作による双方向の交流直流電力連系を行う装置及び多相変圧器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。
本発明の第1の態様は、交流電力部と直流電力部とを双方向に連系する双方向電力連系装置であって、
前記交流電力部の三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器と、
前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して前記直流電力部に出力可能な複数の第1の整流素子を具備する第1の全波整流部と、
前記多相変圧器の二次側の多相交流を全波整流して抵抗素子に出力可能な複数の第2の整流素子を具備する第2の全波整流部と、
前記複数の第1の整流素子の各々とそれぞれ並列である複数のスイッチ素子を具備し、各スイッチ素子は前記複数の第2の整流素子の各々と関係し、関係する第2の整流素子の非導通時にオフであり導通時にオンであるように切り換わるスイッチ部と、を有する。
上記態様において、
前記第1の全波整流部の前記複数の第1の整流素子は、
前記多相変圧器の各二次側端子にアノードがそれぞれ接続されかつ前記直流電力部の正極端にカソードが共通接続された3n個の第1の正側整流素子と、
前記多相変圧器の各二次側端子にカソードがそれぞれ接続されかつ前記直流電力部の負極端にアノードが共通接続された3n個の第1の負側整流素子と、を有し、
前記第2の全波整流部の前記複数の第2の整流素子は、
前記多相変圧器の各二次側端子にアノードがそれぞれ接続されかつ前記抵抗素子の一端にカソードが共通接続された3n個の第2の正側整流素子と、
前記多相変圧器の各二次側端子にカソードがそれぞれ接続されかつ前記抵抗素子の他端にアノードが共通接続された3n個の第2の負側整流素子と、を有する。
上記態様において、
前記スイッチ素子のオンオフを切り換える駆動部は、
前記第2の整流素子と直列に挿入接続され前記第2の整流素子の導通時にのみ発光する発光素子と、前記発光素子の光を受光する受光素子と、を有し、
前記受光素子は、前記発光素子からの光の受光時に前記スイッチ素子をオンとし非受光時にオフとする駆動信号を出力する。
上記態様において、
前記第1の整流素子は、電界効果トランジスタの寄生ダイオード又は寄生ダイオードと並列接続されたダイオードであり、
前記スイッチ素子は、前記電界効果トランジスタのドレインとソース間の電流路であり、前記電界効果トランジスタのゲートが前記駆動部の駆動信号により駆動される。
上記態様において、前記多相変圧器が、二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力する。
二次側巻線の1つの実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
二次側巻線の別の実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
二次側巻線のさらに別の実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に1つの主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる主巻線及び1又は複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
【0008】
本発明の別の態様は、三相交流を3n相(nは2以上の自然数)の多相交流に変換する多相変圧器であって、二次側端子として第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子と、を有し、所定の二次側端子間の線間電圧として、第1の三相交流と、前記第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流と、をそれぞれ出力する。
二次側巻線の1つの実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
二次側巻線の別の実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に2つ以上の互いに分断された主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の分断された2つの前記主巻線の間に、他の2相の2つの補助巻線がV結線され、かつ前記2つの補助巻線同士の接続点は1つの前記サブ端子に接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
二次側巻線のさらに別の実施態様では、前記第1の三相交流を生成する第1と第2、第2と第3、第3と第1のメイン端子間に1つの主巻線がそれぞれ接続され、
1つの相の前記主巻線の1又は複数の分岐点と、1又は複数の前記サブ端子との間に、他の2相のいずれかの相の単独の補助巻線が接続され、
前記第1と第2メイン端子の間、第2と第3のメイン端子の間、第3と第1のメイン端子の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる主巻線及び1又は複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子制御ユニットによる自動制御を不要とし、自律的動作による双方向の交流直流電力連系を行う装置及び多相変圧器が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、双方向電力連系装置を含む全体構成を概略的に示した図である。
図2図2は、図1の連系回路部の具体的構成の一例を示している。
図3図3は、図2のスイッチ素子の別の例を示す。
図4図4(a)(b)は、図6(a)の波形のx点における連系回路部の動作の一例を示している。
図5図5(a)(b)は、図6(a)の波形のy点における連系回路部の動作の一例を示している。
図6図6(a)は12相交流の電圧波形、(b)は(a)に示した12相交流の電圧波形を全波整流した波形である。
図7図7(a)は、12相変圧器の二次側の12個の端子と、12個の線間電圧との対応関係を示した図である。(b)は線間電圧の位相関係のベクトル図である。
図8図8は、図4(b)及び図5(b)に示した蓄電池から放電される場合に多相変圧器の一次側で観測された三相交流の波形を示す。
図9図9は、図1に示した多相変圧器の構成を模式的に示した図である。
図10図10(a)は、図9の二次側巻線のベクトル図を詳細に示したものであり、(b)の表は、第1の三相交流の線間電圧と、(a)の各巻線の相電圧の数値例を示している。
図11図11は、図10のベクトル図に基づいた多相変圧器の巻線接続図である。
図12図12(a)~(j)は、図10(a)に示した12相変圧器の二次側結線の変形形態を示している。
図13図13(a)は、多相変圧器の別の例を示し、(b)の表は、第1の三相交流の線間電圧と、(a)の各巻線の相電圧の数値例を示している。
図14図14(a)は、多相変圧器の二次側結線の別の例を示す、図10(a)と同様のベクトル図である。(b)は二次側の線間電圧のベクトル図である。
図15図15(a)は、多相変圧器の二次側結線のさらに別の例を示す、図10(a)と同様のベクトル図である。(b)は二次側の線間電圧のベクトル図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明による双方向電力連系装置の実施形態について説明する。本明細書において「三相交流」は対称三相交流を指す。対称三相交流は、大きさと周波数が等しく互いに120度の位相差がある3相の正弦波からなる。
【0012】
(1)連系回路部の構成及び動作
図1は、双方向電力連系装置を含む全体構成を概略的に示した図である。双方向電力連系装置は、交流電力部と直流電力部との間で電力を双方向に需給するための装置である。交流電力部は、ここではラインR0、S0、T0に三相交流が流れる系統電力とする。直流電力部は、ここでは蓄電池5とする。蓄電池5に、太陽発電システム等の直流発電設備をさらに接続することもできる。双方向電力連系装置は、多相変圧器1と、連系回路部10とを有する。
【0013】
多相変圧器1の一次側巻線は、系統電力の三相ラインR0、S0、T0と接続されている。図1の多相変圧器1は、一次側の三相交流を12相の多相交流に変換し、12個の二次側端子R1..T4から出力する。12相交流電圧の各々は、12個の二次側端子R1..T4のうちの所定の2端子間からそれぞれ出力される線間電圧であり、4組の三相交流からなる。図6(a)に12相交流電圧の波形を示している。多相変圧器1の詳細な構成は後述する。
【0014】
連系回路部10は、図1では模式的に表している。連系回路部10は、多相変圧器1の出力を全波整流して蓄電池5に出力する機能と、蓄電池5からの電力を多相変圧器1の二次側端子に出力する機能とを有する。連系回路部10は、多相変圧器1の各二次側端子R1..T4にそれぞれ接続された同じ構成の12個の正側回路11と、同じ構成の12個の負側回路12とを有する。
【0015】
端子R1を例として説明する。端子R1には、正側回路11の第1の正側整流素子P1のアノードと第2の正側整流素子P2のアノードが接続されている。さらに端子R1には、負側回路12の第1の負側整流素子N1のカソードと第2の負側整流素子N2のカソードが接続されている。「アノード」は陽極であり電流が流れ込む電極である。「カソード」は陰極であり、電流が流れ出す電極である。「整流素子」は典型的にはダイオードである。しかしながら、第1の正側整流素子P1及び第1の負側整流素子N1については、独立した素子ではなく他の素子の一部に組み込まれた整流要素である場合も整流素子に含むものとする。そのような整流要素は、例えば電界効果トランジスタ(FET)の寄生ダイオードである。
【0016】
第1の正側整流素子P1のカソードは蓄電池5の正極接続端子6に接続され、第1の負側整流素子N1のアノードは蓄電池6の負極接続端子7に接続されている。
【0017】
第2の正側整流素子P2のカソードは抵抗素子4の一端に接続され、第2の負側整流素子N2のカソードは抵抗素子4の他端に接続されている。なお、第2の正側整流素子P2のカソードと抵抗素子4の一端との間、並びに、第2の負側整流素子N2のカソードと抵抗素子4の他端との間には、後述するフォトボルのフォトダイオードがそれぞれ順方向に挿入接続されているが、第2の正側整流素子P2及び第2の負側整流素子N2の機能には影響を及ぼさないので、このように間接的に抵抗素子4と接続されている場合も「接続されている」と称する。
【0018】
さらに、第1の正側整流素子P1及び第1の負側整流素子N1は、それぞれスイッチ素子SWと並列接続されている。ここでの「スイッチ素子」は、制御端と電流路を有し制御端を駆動されて電流路の非導通又は導通を切り換え可能な素子を含む。そのような素子は、例えばFET、バイポーラトランジスタ、IGBT等の半導体素子である。
【0019】
第1の正側整流素子P1と並列のスイッチ素子SWは、関係する第2の正側整流素子P2の非導通時にオフであり導通時にオンであるように切り換わる。同様に、第1の負側整流素子N1と並列のスイッチ素子SWは、第2の負側整流素子N2が非導通時にオフであり導通時にオンであるように切り換わる。各スイッチ素子SWは、その制御端を駆動するための駆動部を備えている。図1では、各スイッチ素子SWの駆動部の一部を、第2の正側整流素子P2及び第2の負側整流素子N2とそれぞれ直列接続されたフォトダイオードで簡略的に表している。このスイッチ素子SWの動作機構の詳細は後述する。
【0020】
他の二次側端子R2..T4の各々と蓄電池5との間、他の二次側端子R2..T4と抵抗素子4との間にも、上記と同じ構成の回路がそれぞれ接続されている。
【0021】
総じて見ると、12個の第1の正側整流素子P1は、各アノードが各二次側端子R1..T4にそれぞれ接続されかつ各カソードが蓄電池5の正極接続端子6に共通接続されている。また、12個の第1の負側整流素子N1は、各カソードが各二次側端子R1..T4にそれぞれ接続されかつ各アノードが蓄電池5の負極接続端子7に共通接続されている。したがって、これら12個の第1の正側整流素子P1と12個の第1の負側整流素子N1は、多相変圧器1の二次側の多相交流を全波整流して蓄電池5に出力する第1の全波整流部を構成している。
【0022】
同様に、12個の第2の正側整流素子P2は、各アノードが各二次側端子R1..T4にそれぞれ接続されかつ各カソードが抵抗素子4の一端に共通接続されている。また、12個の第2の負側整流素子N2は、各カソードが各二次側端子R1..T4にそれぞれ接続されかつ各アノードが抵抗素子4の他端に共通接続されている。したがって、これら12個の第2の正側整流素子P2と12個の第2の負側整流素子N2は、多相変圧器1の二次側の多相交流を全波整流して抵抗素子4に出力する第2の全波整流部を構成している。
【0023】
第1の全波整流部と第2の全波整流部の整流動作は、基本的に同じであり、出力先が蓄電池5であるか抵抗素子4であるかが異なる。整流動作においては、二次側端子R1..T4から出力される12個の線間電圧のうち、最大電圧を出力する2つの端子間、すなわち最高電位の二次側端子と最低電位の二次側端子の間にのみ全波整流された電流が流れることができる。
【0024】
ただし、第1の全波整流部については、多相変圧器1の二次側端子の電位が蓄電池5の正極接続端子6の電位よりも低いときは、多相変圧器1から蓄電池5の方へ電流が流れることができない。またこのとき、第1の全波整流部においては、正側整流素子P1及び負側整流素子N1が逆方向となるため、蓄電池5から多相変圧器1の方へも電流が流れることができない。
【0025】
そこで本発明では、第2の全波整流部を流れる電流をトリガーとしてスイッチ素子SWをオンさせることによって、第1の全波整流部の整流素子P1、N1をバイパスさせ、蓄電池5から多相変圧器1へ電流がスイッチ素子SWを通って流れるようにしている。第2の全波整流部は、スイッチ素子SWを動作させるために設けられている。この仕組みによって交流電力部と直流電力部との双方向連系を実現している。また、この仕組みは、連系回路部10の回路素子のみによって自律的に実現されるので、電子制御ユニットによる自動制御を必要としない。
【0026】
多相変圧器1と蓄電池5の間で電力を需給するための主電流は第1の全波整流回路を流れる。第2の全波整流回路は、スイッチ部の各スイッチ素子SWを駆動するための電流検出回路であるから、検出に必要な程度の電流が流れればよい。よって、第2の全波整流回路の負荷である抵抗素子4の抵抗値は、電流検出感度に応じて設定される。
【0027】
図2は、図1の連系回路部10の具体的構成の一例を示している。図2では、1つの線間電圧V1r(図6(a)参照)を出力する二次側端子R1とS1との間に接続された回路のみを示している。
【0028】
二次側端子R1に接続された正側回路11rについて説明する。スイッチ素子SWprはNチャネルMOS電界効果トランジスタ(MOSFET)である。このMOSFETは、ドレインが蓄電池5の正極に、ソースが端子R1にそれぞれ接続されている。また、MOSFETの寄生ダイオードが、第1の全波整流部における正側整流素子P1rに相当する。ここでは、寄生ダイオードと並列に外付けダイオードを接続しており、これも正側整流素子P1rの役割を果たす。スイッチ素子がMOSFETの場合、この外付けダイオードはは必須ではない。
【0029】
さらに、第2の全波整流部の正側整流素子P2rであるダイオードのアノードが端子R1に接続され、カソードがフォトボルPVprの入力側の一端に接続されている。フォトボルPVprの入力側の他端は抵抗素子4の一端に接続されている。よって、フォトボルPVprの入力側の発光素子であるフォトダイオードは、正側整流素子P2rと直列に挿入接続されており、正側整流素子P2rを流れる電流を検出したときに発光する。フォトボルPVprの出力側の受光ダイオードは、入力側のフォトダイオードが発光したとき、所定の電流を外部に出力する。フォトボルPVprの出力電流は、抵抗素子8を流れることによりMOSFETであるスイッチ素子SWprのゲート駆動電圧を生成する。このように、フォトボルPVprは、正側整流素子P2rが導通したとき、スイッチ素子SWprの駆動部に対する駆動信号を出力する。
【0030】
二次側端子S1に接続された正側回路11sは、上述した正側回路11rと全く同じ構成を有する。
【0031】
次に、二次側端子R1に接続された負側回路12rについて説明する。スイッチ素子SWnrはNチャネルMOSFETである。このMOSFETは、ドレインが端子R1に、ソースが蓄電池5の正極にそれぞれ接続されている。また、MOSFETの寄生ダイオードが、第1の全波整流部における負側整流素子N1rに相当する。ここでは、寄生ダイオードと並列に外付けダイオードを接続しており、これも負側整流素子N1rの役割を果たす。なお、この外付けダイオードは必須ではない。
【0032】
さらに、第2の全波整流部の負側整流素子N2rであるダイオードのアノードがフォトボルPVnrの入力側の一端に接続され、カソードが端子R1に接続されている。フォトボルPVnrの入力側の他端は抵抗素子4の他端に接続されている。よって、フォトボルPVnrの入力側の発光素子であるフォトダイオードは、負側整流素子N2rと直列に挿入接続されており、負側整流素子N2rを流れる電流を検出したときに発光する。フォトボルPVnrの出力側の受光ダイオードは、入力側のフォトダイオードが発光したとき、所定の電流を外部に出力する。フォトボルPVnrの出力電流は、抵抗素子8を流れることによりMOSFETであるスイッチ素子SWnrのゲート駆動電圧を生成する。このように、フォトボルPVnrは、負側整流素子N2rが導通したとき、スイッチ素子SWnrの駆動部に対する駆動信号を出力する。
【0033】
二次側端子S1に接続された負側回路12sは、上述した負側回路12rと全く同じ構成を有する。
【0034】
図3は、図2のスイッチ素子SWpr、SWnr、SWps、SWnsの別の例を示す。スイッチ素子がIGBT又はバイポーラトランジスタの場合、スイッチ素子の導通時に流れる電流とは逆方向の電流を流すための外付けダイオードは必須である。外付けダイオードは、第1の全波整流部の正側整流素子P1r、P1s又は負側整流素子N1r、N1sとして機能する
【0035】
図4(a)(b)は、図6(a)の波形のx時点における連系回路部10の動作を示している。x時点では、R1端子とS1端子間の線間電圧V1rが最大(R1端子が高電位、S1端子が低電位)となっており、よってR1端子は12個の二次側端子の中で最高電位となっている。
【0036】
図4(a)は、R1端子の電位が蓄電池5の正極の電位よりも高い場合である。第1の全波整流回路には太線の経路で電流I1が流れ、第2の全波整流回路には細線の経路で電流I2が抵抗素子4を通って流れる。正側整流素子P2r及び負側整流素子N2sに電流I2が流れることによってスイッチ素子SWpr、SWnsはオンとなる。この場合、正側整流素子P1r及び負側請求素子N1sは、電流I1に対して順方向であるので、スイッチ素子SWpr、SWnsがオンであるかオフであるかに関わらず、端子R1から蓄電池5の正極へ、そして蓄電池5の負極から端子S1へと、蓄電池5を充電する電流I1が流れることができる。
【0037】
図4(b)は、蓄電池5の正極の電位がR1端子の電位よりも高い場合である。蓄電池5から端子R1に向かう電流I1に対して、正側整流素子P1r及び負側請求素子N1sは逆方向となる。一方、第2の全波整流回路には、図4(a)と同じ方向の電流I2が抵抗素子4を通って流れる。正側整流素子P2r及び負側整流素子N2sに電流I2が流れることによってスイッチ素子SWpr、SWnsはオンとなる。その結果、電流I1はスイッチ素子SWpr、SWnsを通って流れることができる。すなわち、正側整流素子P1r及び負側請求素子N1sは、スイッチ素子SWpr、SWnsによってバイパスされることとなる。
【0038】
図5(a)(b)は、図6(a)の波形のy時点における連系回路部10の動作の一例を示している。y時点では、R1端子とS1端子間の線間電圧V1rが最大(S1端子が高電位、R1端子が低電位)となっており、よってS1端子は12個の二次側端子の中で最高電位となっている。
【0039】
図5(a)は、S1端子の電位が蓄電池5の正極の電位よりも高い場合である。第1の全波整流回路には太線の経路で電流I1が流れ、第2の全波整流回路には細線の経路で電流I2が抵抗素子4を通って流れる。正側整流素子P2s及び負側整流素子N2rに電流I2が流れることによってスイッチ素子SWps、SWnrはオンとなる。この場合、正側整流素子P1s及び負側請求素子N1rは、電流I1に対して順方向であるので、スイッチ素子SWps、SWnrがオンであるかオフであるかに関わらず、端子S1から蓄電池5の正極へ、そして蓄電池5の負極から端子R1へと、蓄電池5を充電する電流I1が流れることができる。
【0040】
図5(b)は、蓄電池5の正極の電位がS1端子の電位よりも高い場合である。蓄電池5から端子S1に向かう電流I1に対して、正側整流素子P1s及び負側請求素子N1rは逆方向となる。一方、第2の全波整流回路には、図5(a)と同じ方向の電流I2が抵抗素子4を通って流れる。正側整流素子P2s及び負側整流素子N2rに電流I2が流れることによってスイッチ素子SWps、SWnrはオンとなる。その結果、電流I1はスイッチ素子SWps、SWnr通って流れることができる。すなわち、正側整流素子P1s及び負側請求素子N1rは、スイッチ素子SWps、SWnrによってバイパスされることとなる。
【0041】
図6(b)は、図6(a)に示した12相交流電圧波形を全波整流した波形である。これは、図4(a)及び図5(a)のように蓄電池5が充電される場合の蓄電池5の両端電圧波形である。12相変圧器の二次側端子R1..T4から出力される12個の線間電圧V1r~V4tは位相15度毎に最大電圧が入れ替わり、最高電位の端子から最低電位の端子へと、第1の全波整流回路を通って電流が流れる。多相変圧器の相数が多くなるほど、整流された波形の脈流が小さくなり完全な直流に近くなる。
【0042】
図7(a)は、12相変圧器の二次側の12個の端子R1~T4と、12個の線間電圧Vr1~Vt4との対応関係を示した図である。(b)は12個の線間電圧Vr1~Vt4の位相関係をベクトル図で示したものである(時計回りが進み方向)。12個の線間電圧Vr1~Vt4は第1~第4の4組の三相交流からなり、以下の通りである。括弧内はいずれの端子間の線間電圧であるかを示す。
・第1の三相交流:V1r(R1-S1間)、V1s(S1-T1間)、V1t(T1-R1間)
・第2の三相交流:V2r(R1-R3間)、V2s(S1-S3間)、V2t(T1-T3間)
・第3の三相交流:V3r(R1-R2間)、V3s(S1-S2間)、V3t(T1-T2間)
・第4の三相交流:V4r(R1-R4間)、V4s(S1-S4間)、V4t(T1-T4間)
【0043】
第2の三相交流、第3の三相交流、第4の三相交流は、第1の三相交流に対して位相が15度、30度、45度それぞれ遅れている。
【0044】
図8は、図4(b)及び図5(b)のように蓄電池5から多相変圧器1へ放電される場合に多相変圧器1の一次側に出力される三相交流の計測波形を示す。本発明の双方向電力連系装置によれば、電子制御ユニットによる自動制御なしで、連系回路部自体の自律動作によって直流電力部から安定した三相交流波形を生成して系統に電力を供給することができる。これにより、系統に及ぼす悪影響が低減される。
【0045】
(2)多相変圧器の構成及び動作
図9は、図1に示した多相変圧器1の構成を模式的に示した図である。このベクトル図図において、1つの線分は1つの巻線を表し、線分の長さは巻線の巻数すなわち巻線の起電力(相電圧)に対応し、黒丸は巻線の極性を示し、線分同士の角度は相電圧の位相関係を示している(以下のベクトル図においても同じ)。互いに平行又は同一直線上にある線分同士は、同じコアに巻かれ同じ磁束が通るので同位相である。
【0046】
本例では多相変圧器1は、12相変圧器である。一次側はスター結線された3相巻線の各端子が、系統電力の三相交流の各ラインR0、S0、T0に接続される。スター結線の中性点は接地される。二次側では、複数の巻線が基本的にデルタ結線されている。一般的に、一次側スター結線と二次側デルタ結線の組合せは、降圧変圧器においてよく用いられる。図6(a)の線間電圧波形のうちV1r、V1s、V1tの3つからなる第1の三相交流は基本三相交流であり、他の三相交流は基本三相交流から派生的に生成されている。
【0047】
図10(a)は、図9の二次側巻線のベクトル図を詳細に示したものである。各線分の長さはベクトルの大きさであり、黒丸のある側をベクトルの矢印側とみなす。最も大きい正三角形の頂点に位置する端子R1、端子S1、端子T1を、メイン端子と称する。互いに120度の位相差をもつ第1の三相交流を構成する線間電圧V1r、V1s、V1tはそれぞれ、端子R1とS1間、端子S1とT1間、端子T1とR1間の電圧であり、これらをR相、S相、T相と称する。
【0048】
メイン端子R1、S1、T1以外に以下の9個のサブ端子が設けられている。
・メイン端子R1の向かい側にサブ端子R3、サブ端子R2、サブ端子R4
・メイン端子S1の向かい側にサブ端子S3、サブ端子S2、サブ端子S4
・メイン端子T1の向かい側にサブ端子T3、サブ端子T2、サブ端子T4
【0049】
ベクトル図において、メイン端子R1の向かい側の3つのサブ端子R3、R2、R4は、メイン端子R1を中心として線分R1-S1を半径とする円c上に位置し、線分R1-S1からそれぞれ15度、30度、45度の位置にある。サブ端子R3、R2、R4からメイン端子R1へ向かう各ベクトルは、それぞれ図6に示した線間電圧V2r、V3r、V4rに対応する。
【0050】
同様に、サブ端子S3、S2、S4からメイン端子S1へ向かう各ベクトルは、それぞれ図6に示した線間電圧V2s、V3s、V4sに対応する。サブ端子T3、T2、T4からメイン端子T1へ向かう各ベクトルは、それぞれ図6に示した線間電圧V2t、V3t、V4tに対応する。
【0051】
本来の12相変圧器は、各メイン端子同士を直接結ぶ3つの線分と、各メイン端子とその向かい側のサブ端子とを直接結ぶ9つの線分に対応する巻線をそれぞれ設けることで実現できる。その場合、各メイン端子同士の間の3本の主巻線と、それらの主巻線と同じ巻数の9本の補助巻線を設ける必要がある。このように12相の各相を単独の巻線で設けると、変圧器が大型化するという問題がある。それに対し本発明では、比較的巻数の少ない複数の補助巻線を設けることで、二次側巻線全体の巻数を節減している。例えば、補助巻線を主巻線から分岐させたり、分断した主巻線の間を補助巻線で連結したりする。その結果、変圧器を小型化することができる。
【0052】
ここで、「主巻線」とは、ベクトル図において、メイン端子R1、S1、T1同士を結ぶ線分上に位置する巻線をいう。また「補助巻線」はそれ以外の位置にある巻線をいう。
【0053】
図10(a)の具体例では、R相の主巻線はr1とr2に2つに分断され、S相の主巻線はs1とs2の2つに分断され、T相の主巻線がt1とt2の2つに分断されている。そして、R相の分断された2つの主巻線r1とr2の間には、S相の補助巻線s4とT相の補助巻線t3が直列接続されている。補助巻線s4と補助巻線t3の接続点は、サブ端子T2に接続されている。
【0054】
主巻線r1の分岐点とサブ端子T3との間にS相の補助巻線s6が単独で接続されている。主巻線r1は、当該分岐点を境として部分主巻線r11と部分主巻線r12に区別される。主巻線r2の分岐点とサブ端子T4との間にT相の補助巻線t5が単独で接続されている。主巻線r2は当該分岐点を境として部分主巻線r21と部分主巻線r22に区別される。
【0055】
同様に、S相の分断された2つの主巻線s1とs2の間には、T相の補助巻線t4とR相の補助巻線r3が直列接続されている。補助巻線t4と補助巻線r3の接続点は、サブ端子R2に接続されている。
【0056】
主巻線s1の分岐点とサブ端子R3との間にT相の補助巻線t6が単独で接続されている。主巻線s1は、当該分岐点を境として部分主巻線s11と部分主巻線s12に区別される。主巻線s2の分岐点とサブ端子R4との間にR相の補助巻線r5が単独で接続されている。主巻線s2は当該分岐点を境として部分主巻線s21と部分主巻線s22に区別される。
【0057】
同様に、T相の分断された2つの主巻線t1とt2の間には、R相の補助巻線r4とS相の補助巻線s3が直列接続されている。補助巻線r4と補助巻線s3の接続点は、サブ端子S2に接続されている。
【0058】
主巻線t1の分岐点とサブ端子S3との間にR相の補助巻線r6が単独で接続されている。主巻線t1は、当該分岐点を境として部分主巻線t11と部分主巻線t12に区別される。主巻線t2の分岐点とサブ端子S4との間にS相の補助巻線s5が単独で接続されている。主巻線t2は当該分岐点を境として部分主巻線t21と部分主巻線t22に区別される。
【0059】
ここで、メイン端子R1とS1の間、メイン端子S1とT1の間、メイン端子T1とR1の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。
例えば、主巻線r1と補助巻線s4の位相関係は、主巻線s1と補助巻線t4の位相関係と一致し、主巻線t1と補助巻線r4の位相関係と一致している。また例えば、部分主巻線r11とs11とt11とは巻数が一致し、部分主巻線r12とs12とt12とは巻数が一致している。また例えば、補助巻線s4とt3の接続関係と、補助巻線t4とr3の接続関係と、補助巻線r4とs3の接続関係とは一致している。
【0060】
言い換えると、ベクトル図の正三角形の3辺に関して対応する位置にある3つの巻線は、互いに120度の位相差でありかつ同じ巻数である。そのような3つの巻線の組合せは以下の通りである。
・主巻線r1とs1とt1 ・主巻線r2とs2とt2
・部分主巻線r11とs11とt11 ・部分主巻線r12とs12とt12
・部分主巻線r21とs21とt21 ・部分主巻線r22とs22とt22
・補助巻線r3とs3とt3 ・補助巻線r4とs4とt4
・補助巻線r5とs5とt5 ・補助巻線r6とs6とt6
この構成により、各相から均等に出力電流を取り出すことになり相バランスがよいという効果を奏する。
【0061】
上記のような変則的なデルタ結線によって、12相変圧器の二次側巻線を全体として節減でき、変圧器を小型化することができる。例えば、線間電圧Vr1から15度位相が遅れた線間電圧Vr2は、サブ端子R3からメイン端子R1へ向かうベクトルに相当する。この1つのベクトルは、補助巻線t6、部分主巻線s11、主巻線r2、補助巻線t3、補助巻線t4、主巻線r1の各ベクトルを合成したものと一致する。すなわち、線間電圧Vr2を生成するために、サブ端子R3とメイン端子R1とを直接接続する1つの巻線を設ける替わりに、補助巻線t6、部分主巻線s11、主巻線r2、補助巻線t3、補助巻線t4、主巻線r1が利用される。その場合、補助巻線t6以外の各巻線は、他の線間電圧の生成にも利用されるので兼用されることになる。これによって巻線を全体的に節減することができる。
【0062】
さらに特徴的な点は、互いに分断された主巻線r1と主巻線r2が補助巻線s4と補助巻線t3により連結され、さらに補助巻線s4と補助巻線t3の接続点がサブ端子T2に接続されたV字状結線である。サブ端子R2及びサブ端子S2の各々においても同様のV字状結線が形成されている。このように、位相差120度の2つの相の同じ巻数の2つの補助巻線の一端同士が接続された部分を「V結線部分」と称することとする。この構成により、サブ端子T2、R2、S2においては、2つの巻線から電流が供給されるので、出力される電流が大きくなりインピーダンスが小さくなるという効果を奏する。V結線部分は、各相の少なくとも1つのサブ端子に設けられる。
【0063】
図10(b)の表は、各メイン端子間の第1の三相交流の線間電圧と、図10(a)の各巻線の相電圧の数値例を示している。各巻線の巻数は、各々の相電圧の数値に比例した値となる。
【0064】
図11は、図10(a)のベクトル図に基づいた12相変圧器の巻線接続図である。一次側のR相の巻線と二次側のR相のr1~r6の巻線は同じコアに巻かれ、一次側のS相の巻線と二次側のS相のs1~s6の巻線は同じコアに巻かれ、一次側のT相の巻線と二次側のT相のt1~t6の巻線は同じコアに巻かれている。同じコアに巻かれた巻線の相電圧は同じ位相をもつ。
【0065】
図12(a)~(j)は、図10(a)に示した12相変圧器の二次側結線の変形形態を示している。
上述した通り、メイン端子R1とS1の間、メイン端子S1とT1の間、メイン端子T1とR1の間にそれぞれに配置された3つの巻線群の各群に含まれる複数の主巻線及び複数の補助巻線は、相対的な位相関係、相対的な巻数、及び巻線同士の接続関係において一致している。この条件を満たす限りにおいて多様な変形形態が可能である。図12に示した各例は、多様な変形形態の一部である。
【0066】
図12(a)(b)(c)では、サブ端子R3、R4、S3、S4、T3、T4に接続される各補助巻線の位相を変えている。
図12(d)(e)では、V結線部分の位置を変えている。各相の2つの主巻線の巻数が異なり、一方の主巻線の2つの分岐点から2つの補助巻線が分岐して2つのサブ端子に接続され、他方の主巻線には分岐点がない。
図12(f)(g)(h)では、各相にV結線部分を2つ設け、さらにその位置を変えている。各相に、分断された3つの主巻線がある。
図12(i)では、各相にV結線部分を3つ設けている。単独の補助巻線はない。このように、V結線部分は、各相の少なくとも1つのサブ端子において設けられる。
図12(j)は、V結線部分を設けない例である。この場合、各主巻線は、分断されていない1本の巻線であり、各サブ端子に接続される補助巻線も単独の巻線である。この場合も、一般的なデルタ結線による多相変圧器に比べて、全体の巻線を節減できる効果がある。
【0067】
図13(a)は、多相変圧器1の別の例を示す。本例も12相変圧器である。一次側はデルタ結線された3相巻線の各端子が、系統電力の三相交流の各ラインR0、S0、T0に接続される。二次側では、複数の巻線が基本的にスター結線されている。中性点は接地される。一般的に、一次側デルタ結線と二次側スター結線の組合せは、昇圧変圧器においてよく用いられる。
【0068】
主巻線r1、s1、t1は、メイン端子R1、S1、T1に接続される。図10(a)のデルタ結線と同様に、メイン端子R1を中心としメイン端子R1とS1を結ぶ線分を半径とする円c上には、15度の間隔でサブ端子R3、R2、R1が設けられる。同様にサブ端子S3、S2、S1及びサブ端子T3、T2、T1が設けられる。中性点とサブ端子R2、S2、T2の各々との間には、補助巻線r2、s2、t2が接続されている。主巻線r1の分岐点に補助巻線t3とs4の一端が接続され、主巻線s1の分岐点に補助巻線r3とt4の一端が接続され、主巻線t1の分岐点に補助巻線s3とr4の一端が接続され、それぞれの他端は各サブ端子に接続されている。本例の場合も、二次側の12個の端子R1~T4から、図6(a)に示した12相の線間電圧V1r~Vt4が出力される。
【0069】
図13(b)の表は、各メイン端子間の第1の三相交流の線間電圧と、図13(a)の各巻線の相電圧の数値例を示している。各巻線の巻数は、各々の相電圧の数値に比例した値となる。
【0070】
図14(a)は、多相変圧器1の二次側結線の別の例を示す、図10(a)と同様のベクトル図である。(b)は二次側の線間電圧のベクトル図である。本例の多相変圧器1は9相変圧器である。メイン端子R1の向かい側にサブ端子R2とR3が、メイン端子S1の向かい側にサブ端子S2とS3が、メイン端子T1の向かい側にサブ端子T2とT3がそれぞれ配置され、合計9個の二次側端子が設けられる。この場合、第1の三相交流Vr1、Vs1、Vt1と、第1の三相交流から位相が20度遅れた第2の三相交流Vr2、Vs2、Vt2と、第1の三相交流から位相が40度遅れた第3の三相交流Vr3、Vs3、Vt3が線間電圧としてそれぞれ出力される。
【0071】
図14(a)に示すように、サブ端子R2、T2、S3は、上述したV結線部分となっている。サブ端子R3、S3、T3は、単独の補助巻線で主巻線から分岐している。9相変圧器の場合も、12相変圧器について図12で示したものと同様に、V結線部分及び/又は補助巻線についての変形形態が存在する。また9相変圧器の場合も、12相変圧器について図12(j)で示したV結線部分がない変形形態が存在する。
【0072】
9相変圧器に接続する連系回路部は、多相変圧器の二次側端子の数が異なるのみで図1図5に示したものと同様である。
【0073】
図15(a)は、多相変圧器1の二次側結線のさらに別の例を示す、図10(a)と同様のベクトル図である。(b)は二次側の線間電圧のベクトル図である。本例の多相変圧器1は6相変圧器である。メイン端子R1の向かい側にサブ端子R2が、メイン端子S1の向かい側にサブ端子S2が、メイン端子T1の向かい側にサブ端子T2がそれぞれ配置され、合計6個の二次側端子が設けられる。この場合、第1の三相交流Vr1、Vs1、Vt1と、第1の三相交流から位相が30度遅れた第2の三相交流Vr2、Vs2、Vt2が線間電圧としてそれぞれ出力される。
【0074】
図15(a)に示すように、サブ端子R2、T2、S3は、上述したV結線部分となっている。また6相変圧器の場合も、12相変圧器について図12(j)で示したV結線部分がない変形形態が存在する。
【0075】
6相変圧器に接続する連系回路部は、多相変圧器の二次側端子の数が異なるのみで図1図5に示したものと同様である。
【0076】
原理的には、多相変圧器1は、12相、9相、6相に限られず、三相交流を3n相の多相交流に変換するものが含まれる。nは2以上の自然数である。n=4のとき12相変圧器、n=3のとき9相変圧器、n=2のとき6相変圧器となる。二次側端子は、第1の三相交流を出力する第1~第3のメイン端子と、第4~第3nのサブ端子とからなる。二次側の線間電圧は、第1の三相交流Vr1、Vs1、Vstと、第1の三相交流の各相から60/n度、2×(60/n)度..(n-1)×(60/n)度だけ位相がそれぞれ遅れた第2~第nの三相交流となる。
【0077】
nが大きくなるほど、図6(b)に示した全波整流波形における脈流が少なくなり、直流に近くなる。しかしながら、nが大きくなると、多相変圧器及び連系回路部の構成が複雑となり部品数も多くなる。本発明の多相変圧器としては、n=4の12相変圧器が好適である。
【0078】
以上、本発明の実施形態を、例示としての構成を参照して説明したが、具体的な構成はこれらに限定されない。本発明の原理に従う限り、多様な変形形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 多相変圧器
10 連系回路部
11 正側回路
12 負側回路
4 抵抗素子
5 蓄電池
6、7 直流接続端子
P1 第1正側整流素子
P2 第2正側整流素子
N1 第1負側整流素子
N2 第2負側整流素子
SW スイッチ
R0、S0、T0 三相交流ライン
R1、S1、T1 メイン端子
R2、R3、R4、S2、S3、S4、T2、T3、T4 サブ端子
r1、r2、s1、s2、t1、t2 主巻線
r11、r12、r21、r22、s11、s12、s21、s22、t11、t12、t21、t22 部分主巻線
r3、r4、r5、r6、s3、s4、s5、s6、t3、t4、t5、t6 補助巻線
V1r、V1s、V1t 第1の三相交流(線間電圧)
V2r、V2s、V2t 第2の三相交流(線間電圧)
V3r、V3s、V3t 第3の三相交流(線間電圧)
V4r、V4s、V4t 第4の三相交流(線間電圧)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図15