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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086067
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20240620BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/231 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/33 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20240620BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240620BHJP
   F25B 47/02 20060101ALI20240620BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240620BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H4/02 F
F24H15/231
F24H15/33
F24H15/375
F24H15/31
F25B47/02 D
F25B47/02 560
F24H1/00 A
F25B47/02 520Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200954
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 靖仁
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB60
3L122AC34
3L122AC36
3L122BA02
3L122BA13
3L122BA32
3L122BA37
3L122BB02
3L122BB13
3L122BB14
3L122BC34
3L122DA02
3L122DA13
3L122DA21
3L122EA01
3L122EA63
3L122FA02
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA27
(57)【要約】
【課題】ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しつつヒートポンプの蒸発器を除霜することができる技術を提供する。
【解決手段】加熱装置は、冷媒の熱により被加熱流体を加熱するヒートポンプと、燃焼排ガスの熱により被加熱流体を加熱する燃焼熱源機とを備えている。制御装置は、ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときに、所定の除霜実行条件が成立する場合に、燃焼熱源機により被加熱流体を加熱している場合は、加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用してヒートポンプの蒸発器を除霜する第1除霜運転を実行してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の熱により被加熱流体を加熱するヒートポンプと、燃焼排ガスの熱により被加熱流体を加熱する燃焼熱源機と、制御装置と、を備える加熱装置であって、
前記ヒートポンプは、
冷媒を加圧する圧縮機と、
冷媒と被加熱流体との熱交換により被加熱流体を加熱する凝縮器と、
冷媒を減圧する膨張弁と、
外気と冷媒との熱交換により冷媒を加熱する蒸発器と、
前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁、前記蒸発器の順に冷媒を循環させる冷媒経路と、を備え、
前記燃焼熱源機は、
燃焼排ガスと被加熱流体との熱交換により被加熱流体を加熱する加熱用熱交換器を備え、
前記制御装置は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときに、所定の除霜実行条件が成立する場合に、前記燃焼熱源機により被加熱流体を加熱している場合は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用して前記ヒートポンプの前記蒸発器を除霜する第1除霜運転を実行する、加熱装置。
【請求項2】
前記燃焼熱源機は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスを前記ヒートポンプの前記蒸発器に向けて排出する第1排気口を備え、
前記第1除霜運転では、前記第1排気口から前記蒸発器に向けて排出される燃焼排ガスの熱により前記蒸発器が除霜される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記燃焼熱源機は、
前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスを前記ヒートポンプの前記蒸発器に向けずに排出する第2排気口と、
前記第1排気口から燃焼排ガスが排出される第1状態と、前記第2排気口から燃焼排ガスが排出される第2状態とを切り替え可能な切替弁と、を備え、
前記制御装置は、前記第1除霜運転を実行する場合は前記切替弁を前記第1状態に切り替え、前記第1除霜運転を実行しない場合は前記切替弁を前記第2状態に切り替える、請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記燃焼熱源機は、
前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスと冷媒との熱交換により冷媒を加熱する除霜用熱交換器と、
前記ヒートポンプの前記膨張弁から前記蒸発器までの前記冷媒経路の区間と、前記除霜用熱交換器とを接続する第1除霜経路と、を備え、
前記第1除霜運転では、前記除霜用熱交換器で加熱された後に前記ヒートポンプの前記蒸発器を通過する冷媒の熱により前記蒸発器が除霜される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときに、前記除霜実行条件が成立する場合に、前記燃焼熱源機により被加熱流体を加熱していない場合は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱する運転を停止して、前記ヒートポンプの前記圧縮機で加圧された後に前記蒸発器を通過する冷媒の熱により前記蒸発器を除霜する第2除霜運転を実行する、請求項1から4のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記ヒートポンプは、
前記凝縮器から前記膨張弁までの前記冷媒経路の区間と、前記膨張弁から前記蒸発器までの前記冷媒経路の区間とを、前記膨張弁を介さずに接続する第2除霜経路と、
前記第2除霜経路を開閉する除霜弁と、を備え、
前記制御装置は、前記除霜弁を開弁することにより前記第2除霜運転を実行する、請求項5に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ヒートポンプと燃焼熱源機を備える加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にヒートポンプ装置が開示されている。特許文献1のヒートポンプ装置は、空気と冷媒の間で熱交換する蒸発器と、冷媒を加圧する圧縮機と、冷媒と被加熱流体の間で熱交換する凝縮器と、冷媒を減圧する膨張弁と、蒸発器、圧縮機、凝縮器、膨張弁の順に冷媒を循環させる冷媒経路と、凝縮器から膨張弁に至る冷媒経路の区間と、膨張弁から蒸発器に至る冷媒経路の区間とを、膨張弁を介することなく互いに接続する除霜経路と、除霜経路を開閉する除霜弁と、を備えている。特許文献1のヒートポンプ装置は、除霜弁を閉じた状態で圧縮機を運転させることによって、圧縮機から流出した冷媒を凝縮器及び膨張弁を順に経由させて蒸発器に流入させる加熱運転と、除霜弁を開いた状態で圧縮機を運転させることによって、圧縮機から流出した冷媒を、凝縮器及び除霜経路を順に経由させて蒸発器へ流入させる除霜運転とを実施可能であり、加熱運転から除霜運転に切り替える際に、圧縮機を運転させた状態で、除霜弁を閉じた状態から開いた状態に切り替える構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-21643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のヒートポンプ装置では、加熱運転と除霜運転を切り替えて実行するので、加熱運転と除霜運転を並行して実行することができない。本明細書は、ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しつつヒートポンプの蒸発器を除霜することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術の第1の態様では、加熱装置が、冷媒の熱により被加熱流体を加熱するヒートポンプと、燃焼排ガスの熱により被加熱流体を加熱する燃焼熱源機と、制御装置と、を備えている。前記ヒートポンプは、冷媒を加圧する圧縮機と、冷媒と被加熱流体との熱交換により被加熱流体を加熱する凝縮器と、冷媒を減圧する膨張弁と、外気と冷媒との熱交換により冷媒を加熱する蒸発器と、前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁、前記蒸発器の順に冷媒を循環させる冷媒経路と、を備えていてもよい。前記燃焼熱源機は、燃焼排ガスと被加熱流体との熱交換により被加熱流体を加熱する加熱用熱交換器を備えていてもよい。前記制御装置は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときに、所定の除霜実行条件が成立する場合に、前記燃焼熱源機により被加熱流体を加熱している場合は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用して前記ヒートポンプの前記蒸発器を除霜する第1除霜運転を実行してもよい。
【0006】
この構成によれば、燃焼排ガスの余熱を利用して蒸発器を除霜することにより、ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときであっても、蒸発器を除霜することができる。よって、ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しつつヒートポンプの蒸発器を除霜することができる。
【0007】
第2の態様では、上記の第1の態様において、前記燃焼熱源機は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスを前記ヒートポンプの前記蒸発器に向けて排出する第1排気口を備えていてもよい。前記第1除霜運転では、前記第1排気口から前記蒸発器に向けて排出される燃焼排ガスの熱により前記蒸発器が除霜されてもよい。
【0008】
この構成によれば、簡潔な構成で素早く蒸発器を除霜することができる。
【0009】
第3の態様では、上記の第2の態様において、前記燃焼熱源機は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスを前記ヒートポンプの前記蒸発器に向けずに排出する第2排気口と、前記第1排気口から燃焼排ガスが排出される第1状態と、前記第2排気口から燃焼排ガスが排出される第2状態とを切り替え可能な切替弁と、を備えてもよい。前記制御装置は、前記第1除霜運転を実行する場合は前記切替弁を前記第1状態に切り替え、前記第1除霜運転を実行しない場合は前記切替弁を前記第2状態に切り替えてもよい。
【0010】
この構成によれば、蒸発器を除霜するときは燃焼排ガスの熱を有効利用することができ、蒸発器を除霜しないときは燃焼排ガスの熱を外部に逃がすことができる。
【0011】
第4の態様では、上記の第1の態様において、前記燃焼熱源機は、前記加熱用熱交換器を通過した後の燃焼排ガスと冷媒との熱交換により冷媒を加熱する除霜用熱交換器と、前記ヒートポンプの前記膨張弁から前記蒸発器までの前記冷媒経路の区間と、前記除霜用熱交換器とを接続する第1除霜経路と、を備えていてもよい。前記第1除霜運転では、前記除霜用熱交換器で加熱された後に前記ヒートポンプの前記蒸発器を通過する冷媒の熱により前記蒸発器が除霜されてもよい。
【0012】
この構成によれば、燃焼熱源機とヒートポンプの蒸発器が離れていても除霜用熱交換器により燃焼排ガスの余熱を回収することができ、回収した熱を除霜のために有効利用することができる。
【0013】
第5の態様では、上記の第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記制御装置は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱しているときに、前記除霜実行条件が成立する場合に、前記燃焼熱源機により被加熱流体を加熱していない場合は、前記ヒートポンプにより被加熱流体を加熱する運転を停止して、前記ヒートポンプの前記圧縮機で加圧された後に前記蒸発器を通過する冷媒の熱により前記蒸発器を除霜する第2除霜運転を実行してもよい。
【0014】
この構成によれば、燃焼排ガスの熱により被加熱流体を加熱しないときであっても、ヒートポンプの蒸発器を除霜することができる。
【0015】
第6の態様では、上記の第5の態様において、前記ヒートポンプは、前記凝縮器から前記膨張弁までの前記冷媒経路の区間と、前記膨張弁から前記蒸発器までの前記冷媒経路の区間とを、前記膨張弁を介さずに接続する第2除霜経路と、前記第2除霜経路を開閉する除霜弁と、を備えていてもよい。前記制御装置は、前記除霜弁を開弁することにより前記第2除霜運転を実行してもよい。
【0016】
この構成によれば、ヒートポンプの圧縮機で加圧された冷媒を温度低下させることなく蒸発器に送ることができる。そのため、圧縮機で加圧された冷媒の熱を除霜のために有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施例の給湯装置2を模式的に示す図。
図2】第1実施例の除霜運転処理のフローチャート。
図3】第2実施例の給湯装置2を模式的に示す図。
図4】第2実施例の除霜運転処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施例)
図1に示すように、第1実施例の給湯装置2は、HP(ヒートポンプ)ユニット4と、タンクユニット6と、バーナユニット8を備えている。給湯装置2は、例えばカラン等の給湯箇所に湯を供給する装置である。
【0019】
HPユニット4は、外気から吸熱して水(被加熱流体の一例)を加熱する熱源機である。HPユニット4は、圧縮機10と、凝縮器12と、膨張弁14と、蒸発器16と、冷媒経路19からなるヒートポンプ17を備えている。ヒートポンプ17は、冷媒(例えばR32やR410AといったHFC冷媒や、R744といったCO2冷媒)を、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒経路19を通じて循環させることで、外気から吸熱して水を加熱する。
【0020】
圧縮機10は、冷媒を加圧して高温高圧にする。凝縮器12は、循環経路29を流れる水と冷媒との熱交換により、水を加熱すると共に冷媒を冷却して凝縮させる。循環経路29は、タンクユニット6内の貯湯タンク30とHPユニット4内の凝縮器12の間で水を循環させる経路である。膨張弁14は、冷媒を減圧して低温低圧にする。蒸発器16は、ファン13により送風される外気と冷媒との熱交換により冷媒を加熱して蒸発させる。蒸発器16には、蒸発器16の温度を検出する蒸発器サーミスタ15が取り付けられている。
【0021】
また、第1実施例のHPユニット4は、第2除霜経路140と、第2除霜弁142を備えている(なお、第1除霜経路と第1除霜弁については後述する第2実施例で説明する。)。第2除霜経路140は、凝縮器12から膨張弁14までの冷媒経路19の区間19aと、膨張弁14から蒸発器16までの冷媒経路19の区間19bとを、膨張弁14を介さずに接続する冷媒の経路である。第2除霜経路140の上流端は、凝縮器12の出口側の冷媒経路19の区間19aに接続されており、第2除霜経路140の下流端は、蒸発器16の入口側の冷媒経路19の区間19bに接続されている。第2除霜弁142は、第2除霜経路140上に設けられており、第2除霜経路140を開通/閉鎖するための開閉弁である。第2除霜弁142は、その開閉を電気的に制御可能な電気制御弁である。
【0022】
HPユニット4はさらに、循環経路29の水を貯湯タンク30と凝縮器12の間で循環させる循環ポンプ18と、凝縮器12に流れ込む水の温度を検出する戻りサーミスタ20と、凝縮器12から流れ出る水の温度を検出する往きサーミスタ22と、外気温度を検出する外気温度サーミスタ23と、HPユニット4の各構成要素の動作を制御するHPコントローラ24を備えている。
【0023】
タンクユニット6は、貯湯タンク30と、混合弁32と、バイパス制御弁34を備えている。貯湯タンク30は、外側が断熱材で覆われており、内部に水を蓄える密閉型の容器である。貯湯タンク30の容量は、例えば100リットルである。HPユニット4の循環ポンプ18が駆動すると、貯湯タンク30の底部から循環経路29に水が吸い出されて凝縮器12へ送られる。凝縮器12で加熱されて高温となった水は、循環経路29を流れて、貯湯タンク30の頂部から貯湯タンク30内に戻される。HPユニット4によって加熱された水が貯湯タンク30に流れ込むと、貯湯タンク30の内部には、低温の水の層の上に高温の水の層が積み重なった温度成層が形成される。
【0024】
貯湯タンク30には、上部の水の温度を検出する上部サーミスタ36と、中間部の水の温度を検出する中間部サーミスタ37と、下部の水の温度を検出する下部サーミスタ38と、底部の水の温度を検出する底部サーミスタ39が取り付けられている。例えば、上部サーミスタ36は貯湯タンク30の頂部から6リットルの位置に配置されており、中間部サーミスタ37は貯湯タンク30の頂部から12リットルの位置に配置されており、下部サーミスタ38は貯湯タンク30の頂部から30リットルの位置に配置されており、底部サーミスタ39は貯湯タンク30の頂部から70リットルの位置に配置されている。
【0025】
タンクユニット6には、給水経路40を介して給水源から水道水が供給される。給水経路40には、給水圧力を減圧する減圧弁42と、給水温度を検出する入水サーミスタ44が取り付けられている。給水経路40は、貯湯タンク30の底部に連通するタンク給水経路46と、混合弁32に連通するタンクバイパス経路48に分岐している。タンク給水経路46とタンクバイパス経路48には、それぞれ逆止弁50、52が取り付けられている。また、タンクバイパス経路48には、混合弁32に流入する水道水の流量を検出する水側水量センサ54が取り付けられている。貯湯タンク30の頂部と混合弁32は、タンク出湯経路56を介して連通している。タンク出湯経路56には、逆止弁58と、混合弁32に流入する貯湯タンク30からの水の流量を検出する湯側水量センサ60が取り付けられている。
【0026】
混合弁32は、タンクバイパス経路48から流れ込む水道水と、タンク出湯経路56から流れ込む貯湯タンク30の水を混合して、第1給湯経路62に送り出す。混合弁32は、ステッピングモータによって弁を駆動し、タンクバイパス経路48側の開度(水側の開度)と、タンク出湯経路56側の開度(湯側の開度)を調整する。第1給湯経路62には、混合弁32から送り出される水の温度を検出する混合サーミスタ64が取り付けられている。
【0027】
タンクユニット6からは、第2給湯経路66を介して、カラン等の給湯箇所への給湯が行われる。第2給湯経路66には、給湯箇所へ供給される水の温度を検出する給湯サーミスタ68と、逆止弁70が取り付けられている。第1給湯経路62と第2給湯経路66の間は、給湯バイパス経路72によって連通している。給湯バイパス経路72には、バイパス制御弁34が取り付けられている。
【0028】
タンクユニット6は、タンクコントローラ74と、タンクコントローラ74と通信可能なリモコン76を備えている。タンクコントローラ74は、タンクユニット6の各構成要素の動作を制御する。タンクコントローラ74は、不揮発性のメモリ75を備えている。リモコン76は、スイッチやボタン等を介して、ユーザからの各種の操作入力を受け入れる。また、リモコン76は、表示や音声によってユーザに給湯装置2の設定や動作に関する各種の情報を通知する。
【0029】
バーナユニット8は、バーナ80と、加熱用熱交換器(一次熱交換器81及び二次熱交換器82)と、バイパスサーボ84と、水量サーボ86と、湯はり弁88を備えている。バーナユニット8は、バーナ80によるガスの燃焼によって、加熱用熱交換器81、82を流れる水を加熱する燃焼熱源機である。
【0030】
バーナユニット8の二次熱交換器82には、バーナ往路90を介して、タンクユニット6の第1給湯経路62からの水が流れ込む。二次熱交換器82を通過した水が一次熱交換器81に流れ込む。一次熱交換器81及び二次熱交換器82では、バーナ80で発生する燃焼排ガスと水との熱交換により水が加熱される。一次熱交換器81は、燃焼排ガスの顕熱を回収することにより水を加熱する。二次熱交換器82は、燃焼排ガスの潜熱を回収することにより水を加熱する。一次熱交換器81を通過した水は、バーナ復路92を介して、タンクユニット6の第2給湯経路66へ流れ出る。
【0031】
バーナ往路90には、バーナ往路90を流れる水の流量を調整する水量サーボ86と、バーナ往路90を流れる水の流量を検出する水量センサ91が取り付けられている。バーナ往路90とバーナ復路92の間は、バーナバイパス経路94を介して連通している。バーナ往路90とバーナバイパス経路94の接続部に、バイパスサーボ84が取り付けられている。バイパスサーボ84は、バーナ往路90から二次熱交換器82へ流れる水の流量とバーナバイパス経路94へ流れる水の流量とを調整する。バーナ復路92には、一次熱交換器81から流れ出る水の温度をバーナ出口温度として検出するバーナ出口サーミスタ96が取り付けられている。バーナユニット8では、バーナ出口温度と目標加熱温度の差が小さくなるように、バーナ80の加熱能力が調整される。バーナ復路92からは、湯はり経路98が分岐している。湯はり経路98には、湯はり弁88が取り付けられている。バーナユニット8からは、湯はり経路98を介して、給湯箇所である浴槽への湯はりが行われる。バーナユニット8はさらに、バーナユニット8の各構成要素の動作を制御するバーナコントローラ100を備えている。
【0032】
HPコントローラ24とタンクコントローラ74は、互いに通信可能である。タンクコントローラ74とバーナコントローラ100は、互いに通信可能である。したがって、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100が協調して制御を行うことで、給湯装置2は沸上げ運転や給湯運転等の各種の動作を行うことができる。以下では、HPコントローラ24と、タンクコントローラ74と、バーナコントローラ100を総称して、単にコントローラ(制御装置の一例)と呼ぶことがある。
【0033】
第1実施例のバーナユニット8はさらに、燃焼排ガスを排出するための排気ダクト120を備えている。排気ダクト120は、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスをバーナユニット8の外部に排出する。排気ダクト120は、加熱用熱交換器81、82の上方に配置されている。排気ダクト120は、共通ダクト122と、第1ダクト124と、第2ダクト126と、切替弁128とを備えている。共通ダクト122は、二次熱交換器82に向けて開口するガス入口130を備えている。一次熱交換器81と二次熱交換器82を通過した後の燃焼排ガスがガス入口130から共通ダクト122に流入する。
【0034】
第1ダクト124と第2ダクト126は、共通ダクト122から分岐して互いに異なる方向に延びている。第1ダクト124は、HPユニット4の蒸発器16に向けて延びている。第2ダクト126は、蒸発器16と異なる方向に向けて延びている。第1ダクト124は、HPユニット4の蒸発器16に向けて開口する第1排気口132を備えており、第1排気口132から蒸発器16に向けて燃焼排ガスが排出される。第2ダクト126は、蒸発器16と異なる方向に向けて開口する第2排気口134を備えており、第2排気口134から蒸発器16と異なる方向に向けて燃焼排ガスが排出される。第2排気口134は、燃焼排ガスを蒸発器16に向けずに排出する。
【0035】
切替弁128は、第1ダクト124と第2ダクト126の分岐部分に配置されている。切替弁128は、第1ダクト124が開かれて第2ダクト126が閉じられる第1状態と、第2ダクト126が開かれて第1ダクト124が閉じられる第2状態とに切り替え可能である。第1状態では、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスが、共通ダクト122と第1ダクト124を流れて第1排気口132から蒸発器16に向けて排出される。第2状態では、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスが、共通ダクト122と第2ダクト126を流れて第2排気口134から蒸発器16と異なる方向に向けて排出される。変形例では、バーナユニット8が、切替弁128に代えて、第1ダクト124を開閉する開閉弁(不図示)と、第2ダクト126を開閉する開閉弁(不図示)とを備えていてもよい。第1状態では、第1ダクト124の開閉弁が開弁すると共に第2ダクト126の開閉弁が閉弁し、第2状態では、第1ダクト124の開閉弁が閉弁すると共に第2ダクト126の開閉弁が開弁する構成であってもよい。
【0036】
(沸上げ運転)
沸上げ運転では、給湯装置2は、HPユニット4を駆動して、貯湯タンク30内の水を沸かし上げる。沸上げ運転を開始するタイミングは、様々な観点から設定することが可能である。例えば、後述する非燃焼給湯運転の実行中に貯湯タンク30の上部サーミスタ36の検出温度が所定温度以下になる(即ち、いわゆる湯切れが生じる)と共に、後述する燃焼給湯運転が開始される場合に、タンクコントローラ74がHPコントローラ24に沸上げ運転の開始を指示してもよい。あるいは、割安な深夜電力を利用可能な時間帯が終了する直前に、貯湯タンク30内の水の沸かし上げが終了するように、タンクコントローラ74が沸上げ運転の開始タイミングを決定して、HPコントローラ24に沸上げ運転の開始を指示してもよい。あるいは、浴槽への湯はり等の大量の給湯が開始される場合に、タンクコントローラ74がHPコントローラ24に沸上げ運転の開始を指示してもよい。あるいは、前日までの給湯実績に基づいて、大きな給湯需要の発生が予想される時刻の直前に、貯湯タンク30の水の沸かし上げが終了するように、タンクコントローラ74が沸上げ運転の開始タイミングを決定して、HPコントローラ24に沸上げ運転の開始を指示してもよい。あるいは、ユーザがリモコン76を介して貯湯タンク30の水の沸かし上げを指示することで、タンクコントローラ74がHPコントローラ24に沸上げ運転の開始を指示してもよい。
【0037】
沸上げ運転の開始が指示されると、HPコントローラ24は、ヒートポンプ17の圧縮機10を駆動して、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に冷媒を循環させると共に、循環ポンプ18を駆動して、貯湯タンク30と凝縮器12の間で水を循環させる。これによって、貯湯タンク30の底部から吸い出された水は、凝縮器12において目標沸上げ温度まで加熱されて、貯湯タンク30の頂部に戻される。タンクコントローラ74は、上部サーミスタ36、中間部サーミスタ37、下部サーミスタ38及び底部サーミスタ39の検出温度の情報や、HPコントローラ24から取得する戻りサーミスタ20の検出温度の情報から、貯湯タンク30内の水が全て高温の水で置き換えられたと判断すると、HPコントローラ24に沸上げ運転の終了を指示する。タンクコントローラ74から沸上げ運転の終了が指示されると、HPコントローラ24は沸上げ運転を終了する。
【0038】
(給湯運転)
給湯運転では、給湯装置2は、給湯設定温度に調温された水を給湯箇所へ給湯する。給湯装置2は、タンクユニット6の上部サーミスタ36で検出される貯湯タンク30の上部の温度が給湯設定温度以上である場合、非燃焼給湯運転を行う。非燃焼給湯運転では、タンクコントローラ74は、バーナコントローラ100にバーナ80の燃焼運転を禁止する。また、タンクコントローラ74は、バイパス制御弁34を開くと共に、混合サーミスタ64で検出される温度が給湯設定温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、貯湯タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合されることで給湯設定温度に調温されて、給湯箇所へ供給される。
【0039】
上部サーミスタ36で検出される貯湯タンク30の上部の温度が給湯設定温度に満たない場合、給湯装置2は、燃焼給湯運転を行う。燃焼給湯運転では、タンクコントローラ74は、バーナコントローラ100にバーナ80の燃焼運転を許可して、バーナユニット8における目標加熱温度として給湯設定温度を指示する。また、タンクコントローラ74は、バイパス制御弁34を閉じると共に、混合サーミスタ64で検出される温度が、給湯設定温度よりもバーナ80の最小加熱能力の分だけ低い温度となるように、混合弁32の開度を調整する。この場合、貯湯タンク30の上部から供給される高温の水と、給水経路40から供給される低温の水が、混合弁32において混合された後、バーナ80によって目標加熱温度、すなわち給湯設定温度まで加熱されて、給湯箇所へ供給される。なお、燃焼給湯運転の際に、貯湯タンク30内の水を沸かし上げる沸上げ運転が同時に行われることもある。
【0040】
(除霜運転)
給湯装置2では、外気温度が低いときにHPユニット4の蒸発器16に霜が付着することがある。給湯装置2は、蒸発器16に付着した霜を除霜する除霜運転(第1除霜運転及び第2除霜運転)を実行可能である。
【0041】
(第1除霜運転)
第1除霜運転は、バーナユニット8の加熱用熱交換器(一次熱交換器81及び二次熱交換器82)を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用して蒸発器16を除霜する運転である。第1実施例の第1除霜運転では、コントローラが、排気ダクト120に設けられている切替弁128を第1状態に切り替える。切替弁128が第1状態に切り替わると、一次熱交換器81及び二次熱交換器82を通過した後の燃焼排ガスが、第1ダクト124を流れ、第1排気口132から蒸発器16に向けて排出される。第1除霜運転では、第1排気口132から蒸発器16に向けて排出される燃焼排ガスの熱により蒸発器16が除霜される。
【0042】
(第2除霜運転)
第2除霜運転は、HPユニット4の圧縮機10で加圧された後に蒸発器16を通過する冷媒の熱を利用して蒸発器16を除霜する運転である。第2除霜運転では、コントローラが、HPユニット4の圧縮機10を駆動した状態で、循環ポンプ18を停止すると共に、第2除霜経路140に設けられている第2除霜弁142を開弁する。循環ポンプ18が停止すると、貯湯タンク30内の水が循環経路29を循環しなくなり、凝縮器12で水が加熱されなくなる。そのため、圧縮機10で加圧されて温度上昇した冷媒が凝縮器12で放熱しなくなる。(放熱したとしても僅かな放熱量である。)一方、第2除霜経路140に設けられている第2除霜弁142が開弁すると、圧縮機10で加圧されて温度上昇した冷媒が、膨張弁14を通過せずに第2除霜経路140を流れる。圧縮機10で加圧された冷媒は、凝縮器12で放熱せずに高温のまま第2除霜経路140を流れる。また、圧縮機10で加圧された冷媒は、膨張弁14を通過しないので、膨張弁14で温度低下することなく第2除霜経路140を流れる。そのため、圧縮機10で加圧された冷媒が高温のまま蒸発器16へ送られる。この冷媒が蒸発器16を通過することにより蒸発器16が除霜される。
【0043】
(除霜運転処理;図2
図2に示す第1実施例の除霜運転処理は、例えば、給湯装置2で沸上げ運転が開始されると開始される。沸上げ運転の実行中に除霜運転処理が実行される。第1実施例の除霜運転処理が開始される段階では、バーナユニット8の排気ダクト120に設けられている切替弁128が第2状態にされている。
【0044】
除霜運転処理のS2では、コントローラが、所定の除霜実行条件が成立するか否かを監視する。除霜実行条件は、例えば、蒸発器サーミスタ15により検出される蒸発器16の温度T16が所定の除霜実行温度Tr未満になる場合に成立する。除霜実行温度Trは、例えば、外気温度サーミスタ23により検出される外気温度Thよりも所定温度(例えば10℃)低い温度である。即ち、T16<Tr(=Th-10℃)の場合に除霜実行条件が成立する。除霜実行条件が成立する場合(S2でYES)、処理はS4に進む。除霜実行条件が成立しない場合(S2でNO)、処理はS22に進む。
【0045】
S2でNOの後のS22では、コントローラが、沸上げ運転の所定の終了条件が成立するか否かを監視する。沸上げ運転の終了条件は、例えば、貯湯タンク30が満蓄になると成立する。例えば、HPユニット4の戻りサーミスタ20の検出温度が目標沸上げ温度(例えば、70℃)以上になる場合に貯湯タンク30が満蓄であると判断される。また、沸上げ運転の終了条件は、例えば、沸上げ運転の終了指示がリモコン76から入力されると成立する。沸上げ運転の終了条件が成立する場合(S22でYES)、処理はS24に進む。沸上げ運転の終了条件が成立しない場合(S22でNO)、処理はS2に戻る。S22でYESの後のS24では、コントローラが、沸上げ運転を終了する。沸上げ運転が終了すると図2の処理が終了する。
【0046】
一方、S2でYESの後のS4では、コントローラが、バーナ80が動作中であるか否かを判断する。バーナ80が動作中である場合(S4でYES)、処理はS6に進む。バーナ80が動作中でない場合(S4でNO)、処理はS12に進む。給湯装置2では、燃焼給湯運転が実行される場合にバーナ80が動作する。バーナ80が動作中である場合、貯湯タンク30から給湯箇所へ供給される水がバーナ80により加熱される。燃焼給湯運転では、ガスの燃焼による燃焼排ガスの熱が加熱用熱交換器81、82により回収される。
【0047】
S4でYESの後のS6では、コントローラが、第1除霜運転を実行する。具体的には、コントローラが、排気ダクト120に設けられている切替弁128を第2状態から第1状態に切り替える。切替弁128が第1状態に切り替わると、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスが、共通ダクト122と第1ダクト124を通過して第1排気口132からバーナユニット8の外部に排出される。第1排気口132から排出される燃焼排ガスは、HPユニット4の蒸発器16に向けて排出される。一次熱交換器81と二次熱交換器82で回収されずに余った熱が蒸発器16に向けて排出される。第1除霜運転では、蒸発器16に向けて排出される燃焼排ガスの熱により蒸発器16が除霜される。なお、第1除霜運転の実行中は、ファン13による蒸発器16への送風が継続して実行されている。また、第1除霜運転の実行中は、沸上げ運転が継続して実行されている。
【0048】
続くS8では、コントローラが、所定の除霜終了条件が成立するか否かを監視する。除霜終了条件は、例えば、蒸発器サーミスタ15により検出される蒸発器16の温度T16が所定の除霜終了温度Tf(例えば2℃)以上になる場合に成立する。変形例では、除霜終了条件は、上記のS6の第1除霜運転が開始されてから所定の第1除霜運転時間(例えば、10分)が経過する場合に成立する。除霜終了条件が成立する場合(S8でYES)、処理はS10に進む。除霜終了条件が成立しない場合(S8でNO)、処理はS4に戻る。
【0049】
S10では、コントローラが、第1除霜運転を終了する。具体的には、コントローラが、排気ダクト120に設けられている切替弁128を第1状態から第2状態に切り替える。切替弁128が第2状態に切り替わると、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスが、共通ダクト122と第2ダクト126を通過して第2排気口134からバーナユニット8の外部に排出される。第2排気口134から排出される燃焼排ガスは、HPユニット4の蒸発器16と異なる方向に向けて排出される。S10の後、処理はS2に戻る。
【0050】
上記のS4でNOの後のS12では、コントローラが、現在実行中の沸上げ運転を停止すると共に、第2除霜運転を実行する。具体的には、コントローラが、HPユニット4の循環ポンプ18を停止する。循環ポンプ18が停止すると、貯湯タンク30内の水が凝縮器12で加熱されなくなる。したがって、圧縮機10で加圧された冷媒が凝縮器12で放熱しなくなる。(放熱したとしても僅かな放熱量である。)
【0051】
また、コントローラが、HPユニット4の圧縮機10を駆動した状態で、第2除霜経路140に設けられている第2除霜弁142を開弁する。第2除霜弁142が開弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が、膨張弁14を経由せずに第2除霜経路140を流れる。ヒートポンプ17の冷媒が、圧縮機10、凝縮器12、第2除霜弁142、蒸発器16の順に循環する。圧縮機10で加圧された冷媒は、凝縮器12で放熱しないので、温度低下せずに高温のまま冷媒経路19を流れる。また、第2除霜経路140を流れる冷媒は、膨張弁14を通過しないので、温度低下せずに高温のまま蒸発器16へ送られる。第2除霜運転では、圧縮機10で加圧された後に高温のまま蒸発器16を通過する冷媒の熱により蒸発器16が除霜される。
【0052】
なお、上記のS6の処理が実行された後、S8でNOの後のS4でNOの場合(即ち、第1除霜運転の実行中に燃料給湯運転が終了した場合)、S12では、コントローラが、切替弁128を第1状態から第2状態に切り替える。
【0053】
続くS14では、コントローラが、所定の除霜終了条件が成立するか否かを監視する。除霜終了条件は、例えば、蒸発器サーミスタ15により検出される蒸発器16の温度T16が所定の除霜終了温度Tf(例えば2℃)以上になる場合に成立する。変形例では、除霜終了条件は、上記のS12の第2除霜運転が開始されてから所定の第2除霜運転時間(例えば、20分)が経過する場合に成立する。除霜終了条件が成立する場合(S14でYES)、処理はS16に進む。除霜終了条件が成立しない場合(S14でNO)、処理は待機する。
【0054】
S16では、コントローラが、第2除霜運転を終了すると共に、上記のS12で停止した沸上げ運転を再開する。具体的には、コントローラが、第2除霜経路140に設けられている第2除霜弁142を閉弁する。第2除霜弁142が閉弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が、第2除霜経路140を流れずに、膨張弁14を通過して蒸発器16へ送られる。ヒートポンプ17の冷媒が、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、蒸発器16の順に循環する。また、コントローラが、ヒートポンプ17の循環ポンプ18を駆動する。これにより、貯湯タンク30内の水が循環経路29を流れ、凝縮器12により加熱される。S16の後、処理はS2に戻る。
【0055】
(効果)
以上、第1実施例の給湯装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、給湯装置2では、コントローラが、HPユニット4により水を加熱しているときに、除霜実行条件が成立する場合に、バーナユニット8により水を加熱している場合は、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用してHPユニット4の蒸発器16を除霜する第1除霜運転を実行する(図2のS2-S6)。第1除霜運転では、HPユニット4の第1排気口132から蒸発器16に向けて排出される燃焼排ガスの熱により蒸発器16が除霜される。
【0056】
この構成によれば、燃焼排ガスの余熱を利用して蒸発器16を除霜することにより、HPユニット4により水を加熱しているときであっても、蒸発器16を除霜することができる。よって、HPユニット4により水を加熱しつつHPユニット4の蒸発器16を除霜することができる。また、簡潔な構成で素早く蒸発器を除霜することができる。
【0057】
バーナユニット8は、第1排気口132から燃焼排ガスが排出される第1状態と、第2排気口134から燃焼排ガスが排出される第2状態とを切り替え可能な切替弁128を備えている。コントローラは、第1除霜運転を実行する場合は切替弁128を第1状態側に切り替え、第1除霜運転を実行しない場合は切替弁128を第2状態側に切り替える(図2のS6、S12)。この構成によれば、蒸発器16を除霜するときは燃焼排ガスの熱を有効利用することができ、蒸発器16を除霜しないときは燃焼排ガスの熱を外部に逃がすことができる。
【0058】
コントローラは、HPユニット4により水を加熱しているときに、所定の除霜実行条件が成立する場合に、バーナユニット8により水を加熱していない場合は、HPユニット4により水を加熱する沸上げ運転を停止して、HPユニット4の圧縮機10で加圧された後に蒸発器16を通過する冷媒の熱により蒸発器16を除霜する第2除霜運転を実行する(図2のS4、S12)。この構成によれば、燃焼排ガスの熱により水を加熱しないときであっても、HPユニット4の蒸発器16を除霜することができる。
【0059】
HPユニット4は、凝縮器12から膨張弁14までの冷媒経路19の区間19aと、膨張弁14から蒸発器16までの冷媒経路19の区間19bとを、膨張弁14を介さずに接続する第2除霜経路140を備えている。また、HPユニット4は、第2除霜経路140を開閉する第2除霜弁142を備えている。コントローラは、第2除霜弁142を開弁することにより第2除霜運転を実行する(図2のS12)。この構成によれば、圧縮機10で加圧された冷媒を温度低下させることなく蒸発器16に送ることができる。そのため、圧縮機10で加圧された冷媒の熱を除霜のために利用することができる。
【0060】
(第2実施例)
以下では第2実施例の給湯装置2について説明する。なお、第2実施例において、第1実施例と同様の構成については詳細な説明を省略する。図3に示すように、第2実施例のバーナユニット8は、除霜用熱交換器150と、第1除霜経路(除霜往路152及び除霜復路154)とを備えている。第2実施例のHPユニット4は、第1除霜弁156と開閉弁157を備えている。
【0061】
第1除霜経路(152、154)は、膨張弁14から蒸発器16までの冷媒経路19の区間19bと、除霜用熱交換器150とを接続する冷媒の経路である。除霜往路152の上流端は、膨張弁14の出口側の冷媒経路19の区間19bに接続されている。除霜往路152の下流端は、除霜用熱交換器150に接続されている。除霜復路154の上流端は、除霜用熱交換器150に接続されている。除霜復路154の下流端は、蒸発器16の入口側の冷媒経路19の区間19bに接続されている。第1除霜弁156は、除霜往路152上に設けられており、除霜往路152を開通/閉鎖するための開閉弁である。第1除霜弁156は、その開閉を電気的に制御可能な電気制御弁である。開閉弁157は、除霜往路152の上流端と除霜復路154の下流端との間の冷媒経路19上に設けられており、両者の間の冷媒経路19を開通/閉鎖するための弁である。開閉弁157は、その開閉を電気的に制御可能な電気制御弁である。
【0062】
除霜用熱交換器150には、除霜往路152を介して、HPユニット4の冷媒経路19の区間19bであって開閉弁157よりも上流側の区間からの冷媒が流れ込む。除霜用熱交換器150では、加熱用熱交換器(一次熱交換器81及び二次熱交換器82)を通過した後の燃焼排ガスと冷媒との熱交換により冷媒が加熱される。除霜用熱交換器150は、燃焼排ガスの余熱を回収することにより冷媒を加熱する。除霜用熱交換器150で加熱された冷媒は、除霜復路154を介して、HPユニット4の冷媒経路19の区間19bであって開閉弁157よりも下流側の区間へ流れ出る。したがって、除霜用熱交換器150で加熱された冷媒が蒸発器16に供給される。
【0063】
(第1除霜運転)
第1除霜運転は、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスの熱を利用して蒸発器16を除霜する運転である。第2実施例の第1除霜運転では、コントローラが、除霜往路152に設けられている第1除霜弁156を開弁すると共に、冷媒経路19に設けられている開閉弁157を閉弁する。第1除霜弁156が開弁すると共に開閉弁157が閉弁すると、HPユニット4の圧縮機10で加圧された冷媒が、第1除霜経路(152、154)を流れる。したがって、ヒートポンプ17の冷媒が除霜用熱交換器150を通過した後に蒸発器16へ送られる。除霜用熱交換器150では、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスと冷媒との熱交換により冷媒が加熱される。除霜用熱交換器150で加熱された冷媒が除霜復路154を流れて蒸発器16へ送られる。第1除霜運転では、除霜用熱交換器150で加熱された後に蒸発器16を通過する冷媒の熱により蒸発器16が除霜される。
【0064】
(除霜運転処理)
次に、第2実施例の除霜運転処理について説明する。図4に示す第2実施例の除霜運転処理が開始される段階では、第1除霜弁156及び第2除霜弁142が閉弁している。また、開閉弁157が開弁している。
【0065】
第2実施例の除霜運転処理では、S4でバーナ80が動作中である場合(S4でYES)、処理はS30に進む。バーナ80が動作中でない場合(S4でNO)、処理はS34に進む。
【0066】
S4でYESの後のS30では、コントローラが、第1除霜運転を実行する。具体的には、コントローラが、除霜往路152に設けられている第1除霜弁156を開弁すると共に、冷媒経路19に設けられている開閉弁157を閉弁する。第1除霜弁156が開弁すると共に開閉弁157が閉弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が、第1除霜経路(除霜往路152及び除霜復路154)を流れる。ヒートポンプ17の冷媒が、圧縮機10、凝縮器12、膨張弁14、第1除霜弁156、除霜用熱交換器150、蒸発器16の順に循環する。
【0067】
また、S30では、バーナ80が動作中であり(S4でYES)、貯湯タンク30から給湯箇所へ供給される水がバーナ80により加熱されている。加熱用熱交換器(一次熱交換器81及び二次熱交換器82)において、バーナ80の燃焼排ガスと水との熱交換によりで水が加熱される。バーナ80の燃焼排ガスは、加熱用熱交換器81、82を通過した後に除霜用熱交換器150を通過する。除霜用熱交換器150では、燃焼排ガスの余熱と冷媒との熱交換により冷媒が加熱される。第1除霜運転では、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスの熱により冷媒が加熱される。除霜用熱交換器150で加熱された冷媒は、除霜復路154を流れてHPユニット4の蒸発器16へ送られる。第1除霜運転では、除霜用熱交換器150で加熱された後に蒸発器16を通過する冷媒の熱により蒸発器16が除霜される。
【0068】
続くS8では、コントローラが、所定の除霜終了条件が成立するか否かを監視する。除霜終了条件が成立する場合(S8でYES)、処理はS32に進む。除霜終了条件が成立しない場合(S8でNO)、処理はS4に戻る。
【0069】
S32では、コントローラが、第1除霜運転を終了する。具体的には、コントローラが、除霜往路152に設けられている第1除霜弁156を閉弁すると共に、冷媒経路19に設けられている開閉弁157を開弁する。第1除霜弁156が閉弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が第1除霜経路(152、154)を流れなくなる。開閉弁157が開弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が開閉弁157を通過して蒸発器16へ送られる。
【0070】
上記のS4でNOの後のS34では、コントローラが、現在実行中の沸上げ運転を停止すると共に、第2除霜運転を実行する。第2除霜運転については、第1実施例で説明したので(図2のS12参照)、詳細な説明を省略する。
【0071】
なお、上記のS30処理が実行された後、S8でNOの後のS4でNOの場合(即ち、第1除霜運転の実行中に燃料給湯運転が終了した場合)、S34では、コントローラが、除霜往路152に設けられている第1除霜弁156を閉弁すると共に、冷媒経路19に設けられている開閉弁157を開弁する。第1除霜弁156が閉弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が、第1除霜経路(152、154)に流れなくなる。開閉弁157が開弁すると、圧縮機10で加圧された冷媒が開閉弁157を通過して蒸発器16へ送られる。
【0072】
続くS14では、コントローラが、所定の除霜終了条件が成立するか否かを監視する。除霜終了条件が成立する場合(S14でYES)、処理はS16に進む。除霜終了条件が成立しない場合(S14でNO)、処理は待機する。
【0073】
(効果)
以上、第2実施例の給湯装置2について説明した。以上の説明から明らかなように、第2実施例の給湯装置2では、バーナユニット8が、加熱用熱交換器81、82を通過した後の燃焼排ガスと冷媒との熱交換により冷媒を加熱する除霜用熱交換器150を備えている。また、バーナユニット8は、膨張弁14から蒸発器16までの冷媒経路19の区間19bと、除霜用熱交換器150とを接続する第1除霜経路(152、154)を備えている。第1除霜運転では、除霜用熱交換器150で加熱された後にHPユニット4の蒸発器16を通過する冷媒の熱により蒸発器16が除霜される。
【0074】
この構成によれば、バーナユニット8とHPユニット4の蒸発器16が離れていても、除霜用熱交換器150により燃焼排ガスの余熱を回収することができ、回収した熱を除霜のために有効利用することができる。
【0075】
(変形例)
上記の各実施例では、HPユニット4が第2除霜経路140と第2除霜弁142を備えていたが、これらを省略してもよい。この場合、コントローラは、第2除霜運転において、沸上げ運転のときよりも膨張弁14の開度を大きくしてもよい。これにより、蒸発器16に送られる冷媒の温度を沸上げ運転のときよりも高温にすることができ、高温の冷媒の熱により蒸発器16を除霜することができる。
【0076】
上記の各実施例では、加熱装置の一例として給湯装置2について説明したが、この構成に限定されない。変形例では、上記の技術は、タンクと暖房負荷との間で被加熱流体を循環させる暖房装置(加熱装置の他の一例)にも適用可能である。暖房装置では、被加熱流体として例えば不凍液が用いられる。
【0077】
バーナユニット8が一次熱交換器81と二次熱交換器82を備えていたが、この構成に限定されない。変形例では、二次熱交換器82を省略してもよい。バーナユニット8が一次熱交換器81のみを備える構成であってもよい。
【0078】
上記の第2実施例では、第1除霜弁156が除霜往路152上に設けられていたが、この構成に限定されない。また、第1除霜弁156がHPユニット4に設けられていたが、この構成に限定されない。変形例では、第1除霜弁156が除霜復路154上に設けられていてもよい。また、第1除霜弁156がバーナユニット8に設けられていてもよい。
【0079】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0080】
2:給湯装置、4:HPユニット、6:タンクユニット、8:バーナユニット(燃焼熱源機)、10:圧縮機、12:凝縮器、13:ファン、14:膨張弁、15:蒸発器サーミスタ、16:蒸発器、17:ヒートポンプ、18:循環ポンプ、19:冷媒経路、20:戻りサーミスタ、22:往きサーミスタ、23:外気温度サーミスタ、24:HPコントローラ、29:循環経路、30:貯湯タンク、32:混合弁、34:バイパス制御弁、36:上部サーミスタ、37:中間部サーミスタ、38:下部サーミスタ、39:底部サーミスタ、40:給水経路、42:減圧弁、44:入水サーミスタ、46:タンク給水経路、48:タンクバイパス経路、54:水側水量センサ、56:タンク出湯経路、60:湯側水量センサ、62:第1給湯経路、64:混合サーミスタ、66:第2給湯経路、68:給湯サーミスタ、72:給湯バイパス経路、74:タンクコントローラ、76:リモコン、80:バーナ、81:一次熱交換器、82:二次熱交換器、84:バイパスサーボ、86:水量サーボ、90:バーナ往路、91:水量センサ、92:バーナ復路、94:バーナバイパス経路、96:バーナ出口サーミスタ、100:バーナコントローラ、120:排気ダクト、122:共通ダクト、124:第1ダクト、126:第2ダクト、128:切替弁、130:ガス入口、132:第1排気口、134:第2排気口、140:第2除霜経路、142:第2除霜弁、150:除霜用熱交換器、152:除霜往路、154:除霜復路、156:第1除霜弁、157:開閉弁
図1
図2
図3
図4