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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086068
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240620BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240620BHJP
   C08K 9/04 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
C08K9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200956
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(72)【発明者】
【氏名】郷田 隼
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA011
4J002AA021
4J002AB021
4J002AB041
4J002AB051
4J002AC011
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BC061
4J002BD041
4J002BF021
4J002BG051
4J002BG101
4J002BK001
4J002BN151
4J002CB001
4J002CC031
4J002CC161
4J002CC181
4J002CD051
4J002CD061
4J002CF061
4J002CF071
4J002CF081
4J002CF211
4J002CG001
4J002CH011
4J002CH071
4J002CH121
4J002CJ001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CM001
4J002CM011
4J002CM041
4J002CN011
4J002CN031
4J002CP031
4J002DA026
4J002DA036
4J002DA076
4J002DA086
4J002DB016
4J002DE076
4J002DE086
4J002DE096
4J002DE106
4J002DE116
4J002DE126
4J002DE136
4J002DE146
4J002DE186
4J002DE216
4J002DF016
4J002DG026
4J002DG046
4J002DG056
4J002DH046
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DL006
4J002FB086
4J002FD016
4J002FD116
4J002GF00
4J002GH00
4J002GJ01
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】
無機粒子の含有量の多い樹脂組成物において、無機粒子の分散性が高く、樹脂との密着性が良好であり、成形時の流動性に優れた無機粒子を含有する樹脂組成物を提供することである。
【解決手段】
炭素被覆層を有する無機粒子と樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記炭素被覆層が、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)を加熱した炭素材料からなる層であることを特徴とする樹脂組成物である。当該炭素被覆層を有することにより、樹脂への分散性と密着性が両立する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素被覆層を有する無機粒子と樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記炭素被覆層が、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)を加熱した炭素材料からなる層である樹脂組成物。
【請求項2】
前記無機粒子が、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物からなる群から選ばれるいずれか1種を含む無機粒子である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記無機粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化マグネシウム粒子、ポリ酸粒子、その表面の少なくとも一部が酸化された金属粒子、複合酸化物粒子、固溶体酸化物粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記化合物(A)が、加熱によって分解して芳香族環上にラジカルを発生する芳香族化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記化合物(A)が、縮合反応によって、2種以上の基から1つの中性分子が形成されて脱離する化合物である、請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記縮合反応が、
(a)-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応、
(b)-H基と-OR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからROHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(c)-H基と-X基(XはハロゲンまたはCN)とからHXが形成されて脱離することによる縮合反応、
(d)-H基と-NH基とからNHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(e)-H基と-NHR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRNHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(f)-H基と-NR基(R、Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからR1R2NHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(g)-H基と-SH基とからHSが形成されて脱離することによる縮合反応、
(h)-H基と-SR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRSHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(i)-H基と-OOCR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRCOOHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(j)-H基と-OSO(OH)基とからHSOが形成されて脱離することによる縮合反応、
(k)-H基と-OSOR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRSO(OH)が形成されて脱離することによる縮合反応、
(l)-H基と-OSO(OR)基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからROSOHが形成されて脱離することによる縮合反応、および、
(m)-H基と-OSO(OH)基とからHSOが形成されて脱離することによる縮合反応、
からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項5に記載の樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素被覆無機粒子と樹脂とを含む樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂の成型体、フィルム、又はフィルムの積層物では、樹脂単独では達成し難い機械特性や光学特性を達成する為に、目的とする物性値を有する無機粒子を種々の方法にて複合化する手法が古くから試みられてきた。光学特性を主軸とした用途として、UV、もしくは、熱線遮蔽又は屈折率調整などの物性付与が挙げられるが、多くの場合、樹脂の透明性を維持する必要性があることから、無機粒子をナノレベルまで分散する必要がある。
【0003】
しかし、無機粒子は粒子表面の親水性および粒子形状や粒径が不揃いである理由から、粒子凝集しやすく樹脂への分散不良や濡れ性不良および樹脂の劣化を引き起こし、得られた成形品中に気泡のような空隙が生じたり、特に高温高速加工されたフィルムに発泡やブツ凝集、ボイド、粒子脱落等が生じるため、良好なフィルムが得られないのが現状であった。
【0004】
上記問題を解決するために、特許文献1には、シリカ、ガラスビーズ等にエポキシ系シランカップリング剤を表面処理する技術が開示されている。また、特許文献2には、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アセチレングリコール及びその誘導体を表面処理する技術が開示されている。しかしながら、何れの技術も無機粒子の分散性は不十分であり、無機粒子を含有した樹脂で無機粒子の分散性、流動性、凝集物、透明性低下による成型品外観不良が生じ成型品の品質が低下する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-52870号公報
【特許文献2】特開平10-59466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、無機粒子の含有量の多い樹脂組成物において、無機粒子の分散性が高く、樹脂との密着性が良好であり、成形時の流動性に優れた無機粒子を含有する樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成する為に種々検討を行ない、本発明に想到した。すなわち、本発明の樹脂組成物は、炭素被覆層を有する無機粒子と樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記炭素被覆層が、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)を加熱した炭素材料からなる層である樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物は、成形加工性に優れる。本発明の実施形態によって、分散安定性、流動性に優れ、高い透明性を有し、種々の樹脂に適応可能であり、無機粒子と樹脂間の相互作用を向上し、成型用樹脂の黄変ならびにブリードアウトを抑制可能な無機粒子分散体、及び前記無機分散体を含む成形用組成物、成型体、並びに積層物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
【0010】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、炭素被覆層を有する無機粒子と樹脂とを含む樹脂組成物であって、前記炭素被覆層が、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)を加熱した炭素材料からなる層である樹脂組成物である。前記炭素被覆層を有することにより、無機粒子と樹脂との密着性が良好な樹脂組成物とすることができる。
【0011】
本発明の樹脂組成物は、樹脂に対する炭素被覆無機粒子の量は特に限定されず、好ましくは、樹脂100質量部に対し、0.001質量部~10000質量部であり、より好ましくは0.01質量部~1000質量部であり、さらに好ましくは、0.1質量部~100質量部である。
【0012】
本発明の樹脂組成物は、前記無機粒子が、酸化物、窒化物、硫化物、炭化物からなる群から選ばれるいずれか1種を含むことが好ましい。
【0013】
本発明の樹脂組成物は、前記無機粒子が、シリカ粒子、アルミナ粒子、チタニア粒子、酸化マグネシウム粒子、ポリ酸粒子、その表面の少なくとも一部が酸化された金属粒子、複合酸化物粒子、固溶体酸化物粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
本発明の樹脂組成物は、その他添加剤を含んでいてもよい。、例えば、過酸化物、酸化防止剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、顔料、硬化剤、難燃剤、収縮防止剤、可塑剤、発泡剤、無機系充填剤、有機系充填材、無機系繊維、有機系繊維等が挙げられる。
【0015】
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、炭素被覆層を有する無機粒子と樹脂とを混合する工程を含み、製造することが好ましい。
上記混合する工程は、バルクで混合しても良く、分散媒体もしくは溶剤の存在下で混合しても良い。上記混合する工程は、特に限定されないが、不活性雰囲気下で行っても良い。樹脂組成物の製造方法は、乾燥工程、精製工程、洗浄工程、成形工程、硬化工程など、任意の工程を含んでも良い。
【0016】
本発明の樹脂組成物は、特に限定されないが、フィルム状、繊維状、粉末状、ペレット状等の任意の形状に成形しても良い。
本発明の樹脂組成物は、加熱や光照射等により、硬化させても良い。
【0017】
[樹脂]
本発明の樹脂組成物に使用できる樹脂は特に制限されず、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂としては、具体的には、アニリン樹脂;ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;メラミン樹脂;尿素樹脂;シアネート樹脂;フラン樹脂;ケトン樹脂;不飽和ポリエステル樹脂;ウレタン樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0018】
また、熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、環状ポリオレフィン樹脂、アクリロニトリル-スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミドなどが挙げられる。
【0019】
天然系高分子化合物およびそれらの変性物としては、アラビアゴム、カンテン、デンプン、デキストリン、トラガシトガム、キチン、キトサン、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヘミセルロース、リグニン等が例示される。
【0020】
水溶性もしくは親水性高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム等のラクタム系ポリマー;ポリビニルアルコール等の水酸基含有ポリマー;ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンなどのポリアルキレンイミン;ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等のアミノ基含有重合体;ポリアクリルアミド、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアセトアミド等のアミド基含有重合体等が例示される。
【0021】
樹脂としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
[無機粒子]
本発明の樹脂組成物に使用できる無機粒子は特に限定されない。無機粒子としては、例えば、ケイ酸カルシウム,ケイ酸バリウム,ケイ酸マグネシウム,ケイ酸亜鉛,ケイ酸アルミニウム,ケイ酸銅等のケイ酸塩、リン酸カルシウム,リン酸バリウム,リン酸マグネシウム等のリン酸塩、硫酸カルシウム,硫酸バリウム,硫酸マグネシウム等の硫酸塩、酸化ケイ素(シリカ),酸化マグネシウム,酸化アルミニウム,酸化亜鉛,酸化鉄,酸化チタン,酸化コバルト,酸化ニッケル,酸化マンガン,酸化アンチモン,酸化スズ,酸化カルシウム,酸化カリウム,酸化ケイ素,酸化クロム等の酸化物、水酸化鉄,水酸化ニッケル,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化クロム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛等の水酸化物、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物、タングステンカーバイド、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化ケイ素などの炭化物、硫化銅、硫化鉄、硫化コバルト、硫化亜鉛、硫化スズ、硫化鉛、硫化カドミウム、二硫化モリブデン等の硫化物、炭酸亜鉛,炭酸アルミニウム,炭酸コバルト,炭酸ニッケル,炭酸カルシウム、塩基性炭酸銅等の炭酸塩、フッ化ホウ素等のフッ化物、ウォラストナイト、ゾノトナイト等の珪酸塩鉱物、タルク、マイカ、ハイドロタルサイト、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム等、ガラス等、カーボン,グラファイト等の黒鉛粒子、鉄,銅,金,銀等の金属粉末等が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらは、樹脂組成物に付与する機能等に応じて最適なものを適宜選択することができる。
【0023】
本発明の実施形態に用い得る無機粒子としては、その形状は特に限定されず、鱗片状、針状、球状、丸み状、円筒状、多面体状等が挙げられ、球状、丸み状が好ましい。
【0024】
本発明の実施形態に用い得る無機粒子の大きさとしては、平均粒子径として、好ましくは0.01μm~10mmであり、より好ましくは0.1μm~1mmであり、さらに好ましくは1μm~500μmであり、特に好ましくは3μm~300μmである。
【0025】
[炭素被覆無機粒子]
炭素被覆無機粒子は、表面が炭素材料で被覆された無機粒子である。炭素被覆無機粒子は、好ましくは、無機粒子に炭素材料をコーティングさせてなる。炭素被覆無機粒子は、無機粒子部分と炭素材料部分(炭素被覆部分)を含む。
【0026】
炭素被覆無機粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造することができる。
【0027】
炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態Aは、溶媒(S)に可溶な可溶性炭素材料と無機粒子とを、該溶媒(S)中で混合する工程(混合工程(I))を含む製造方法によって得られる炭素被覆無機粒子である。炭素被覆無機粒子の別の一つの好ましい実施形態Bは、加熱によって同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)と無機粒子を含む組成物を加熱して得られる炭素被覆無機粒子である。
【0028】
[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態A]
炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態Aは、炭素材料と無機粒子とを、溶媒(S)中で混合する工程(混合工程(I))を含む製造方法によって得られる炭素被覆無機粒子である。この実施形態Aにおける炭素材料は、好ましくは、溶媒(S)に可溶な可溶性炭素材料である。
【0029】
混合の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な混合方法を採用することができる。このような混合方法としては、例えば、炭素材料と無機粒子と溶媒(S)とを、任意の適切な方法(例えば、超音波処理など)で混合する方法が挙げられる。この場合、炭素材料や無機粒子は、任意の適切な処理(例えば、解砕、破砕、粉砕など)を行って混合してもよい。
【0030】
混合の温度としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な混合温度を採用することができる。このような混合温度としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0℃~100℃であり、より好ましくは10℃~90℃であり、さらに好ましくは20℃~80℃である。上記の温度範囲にあることで、炭素材料を十分に迅速に溶解して無機粒子と混合することができる。
【0031】
混合の際には、本発明の効果を損なわない範囲で、炭素材料と無機粒子と溶媒(S)以外の、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分としては、例えば、触媒、母材、担体などが挙げられる。
【0032】
炭素材料と無機粒子との配合割合は、無機粒子100質量部に対して、炭素材料が、好ましくは0.01質量部~1000000質量部であり、より好ましくは0.1質量部~100000質量部であり、特に好ましくは1質量部~1000質量部である。炭素材料と無機粒子との配合割合が上記範囲内にあれば、炭素被覆無機粒子をより温和な条件でより簡便に製造することができる。これらの炭素材料と無機粒子との配合割合は、目的とする炭素被覆無機粒子の物性に応じて、任意に調整することができる。
【0033】
炭素材料は、好ましくは、溶媒(S)に可溶な可溶性炭素材料である。ここで、炭素材料が溶媒(S)に可溶である場合とは、従来の炭素材料に比べて溶媒への溶解性に優れ、良好な取り扱い性を実現することができる場合である。
【0034】
炭素材料が溶媒(S)に可溶であるという実施態様としては、好ましくは、下記の実施態様である。
(実施態様1)炭素材料の全てが溶媒(S)に溶解する実施態様。すなわち、炭素材料が、溶媒(S)に溶解する成分(成分A)のみからなる実施態様。
(実施態様2)炭素材料の一部が溶媒(S)に溶解する態様。すなわち、炭素材料が、溶媒(S)に溶解する成分(成分A)と溶媒(S)に溶解しない成分(成分B)からなる実施態様。
【0035】
本発明において「溶媒(S)に可溶」とは、任意の適切な溶媒(S)に溶解する成分がある態様を意味する。このような溶媒(S)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な溶媒を採用することができる。このような溶媒(S)としては、好ましくは、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン等が挙げられる。すなわち、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、水(酸性、塩基性水を含む)からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒に溶解する成分がある態様が好ましい。溶媒(S)は、1種の溶媒のみからなるものであってもよいし、2種以上の溶媒の混合溶媒であってもよい。
【0036】
炭素材料が溶媒(S)に可溶である一つの実施形態は、炭素材料が、溶媒(S)に可溶である炭素系化合物を含む実施形態である。
【0037】
溶媒(S)に可溶であるか否かの判定方法としては、例えば、炭素材料を溶媒(S)に対して0.001質量%となるように混合したのち、超音波処理を1時間行い、得られた液をPTFE製濾紙(孔径0.45μm)に通したとき、濾紙を通過した液に炭素系化合物が含まれるか否かで判定することができる。濾紙を通過した液に炭素系化合物が含まれる場合、炭素材料が溶媒に可溶である炭素系化合物を含むと判定される。上記PTFE製濾紙としては、例えば、ジーエルサイエンス株式会社製のGLクロマトディスク(型式13P)を用いることができる。
【0038】
炭素材料は、代表的には、加熱によって同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)を加熱して得られる。
【0039】
化合物(A)の加熱温度は、化合物(A)の縮合反応温度がT℃であるときに、好ましくは(T-150)℃以上であり、より好ましくは(T-150~T+50)℃であり、さらに好ましくは(T-130~T+45)℃であり、さらに好ましくは(T-100~T+40)℃であり、特に好ましくは(T-80~T+35)℃であり、最も好ましくは(T-50~T+30)℃である。
【0040】
化合物(A)の縮合反応温度は、TG-DTA分析によって決定できる。具体的には、下記の通りである。
(1)化合物(A)として1種の化合物を用いる場合には、化合物(A)のTG-DTA分析を、窒素ガス雰囲気下、40℃から、昇温速度10℃/分で昇温し、DTAの最も低温側のピークトップ温度を化合物(A)の縮合反応温度(T℃)と決定する。
(2)化合物(A)として2種以上の化合物の混合物を用いる場合には、該混合物のTG-DTA分析を、窒素ガス雰囲気下、40℃から、昇温速度10℃/分で昇温し、DTAの最も低温側のピークトップ温度を化合物(A)(2種以上の化合物の混合物)の縮合反応温度(T℃)と決定する。
(3)ただし、1種の化合物や2種以上の化合物の混合物としての化合物(A)に、例えば、溶媒や水分や水和水等の不純物が含まれている場合は、該不純物の脱離に伴うDTAピーク(不純物ピークと称することもある)が縮合反応温度よりも低温で観測されることがある。このような場合には、上記の不純物ピークは無視して、その化合物(A)の縮合反応温度を決定する。通常は、上記の不純物ピークは無視した上で、DTAの最も低温側のピークトップ温度を、その化合物(A)の縮合反応温度と決定する。
【0041】
化合物(A)の加熱温度は、具体的な加熱温度として、好ましくは200℃~500℃であり、より好ましくは220℃~400℃であり、さらに好ましくは230℃~350℃であり、最も好ましくは250℃~300℃である。化合物(A)の加熱温度を上記範囲に調整することにより、溶媒への可溶性により優れる可溶性炭素材料や、構造がより精密に制御された可溶性炭素材料をより温和な条件でより簡便に製造することができる。
【0042】
化合物(A)の加熱時間は、具体的な加熱時間として、好ましくは0.1時間~120時間であり、より好ましくは0.5時間~100時間であり、さらに好ましくは1時間~50時間であり、最も好ましくは2時間~24時間である。加熱時間を上記範囲に調整することにより、溶媒への可溶性により優れる可溶性炭素材料や、構造がより精密に制御された可溶性炭素材料をより温和な条件でより簡便に製造することができる。
【0043】
化合物(A)は、好ましくは、23℃環境下で固体であって融点を有する。融点を有することで、焼成の過程で融解し、分子間での反応が良好に進行する。仮に融点を有さない場合、焼成の過程で融解しないので、分子の位置が固定され、分子間での反応が促進されにくく、炭素材料化しにくい。このような化合物(A)を採用することにより、縮合反応を促進し、分解反応を抑制したり、得られる炭素材料の溶媒への溶解性がより優れる(例えば、溶媒に溶解する成分がより多くなったり、溶解できる溶媒の種類がより増えたりする)。
【0044】
化合物(A)は、縮合に寄与しない骨格が芳香族構造であることが好ましい。骨格が芳香族であることによって、得られる可溶性炭素材料の炭素成分がより安定になり得る。このような芳香族構造としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンのような炭素原子からなる芳香族構造;ピリジン、ピリミジン、フラン、チオフェンのような炭素原子およびヘテロ原子(窒素や酸素など)からなるヘテロ芳香族構造;などが好ましく、これらの中でも、ベンゼン、ピリジンのような六員環構造をもつ芳香族構造およびヘテロ芳香族構造がより好ましい。
【0045】
化合物(A)の分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分子量を採用することができる。このような分子量としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは500以下であり、より好ましくは75~450であり、さらに好ましくは80~400であり、最も好ましくは100~350である。
【0046】
化合物(A)の縮合反応温度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な縮合反応温度を採用することができる。このような縮合反応温度としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは450℃以下であり、より好ましくは400℃以下であり、さらに好ましくは200℃~370℃であり、特に好ましくは250℃~350℃である。
【0047】
化合物(A)の代表的な実施形態は、その縮合反応によって、2種以上の基から1つの中性分子が形成されて脱離する化合物である。この実施形態においては、1つの化合物(A)が2種以上の基を有している場合であってもよいし、2つ以上の化合物(A)のそれぞれの有する基を組み合わせて2種以上の基となる場合であってもよい。このような化合物(A)が、同一分子間および/または異種分子間で縮合反応を起こし、炭素材料となり得る。
【0048】
縮合反応としては、2種以上の基から1つの中性分子が形成されて脱離することによる縮合反応であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な縮合反応を採用することができる。このような縮合反応とすることにより、比較的低温で反応を行うことが可能となり得る。このような縮合反応としては、例えば、
(a)-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応、
(b)-H基と-OR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからROHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(c)-H基と-X基(XはハロゲンまたはCN)とからHXが形成されて脱離することによる縮合反応、
(d)-H基と-NH基とからNHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(e)-H基と-NHR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRNHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(f)-H基と-NR基(R、Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRNHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(g)-H基と-SH基とからHSが形成されて脱離することによる縮合反応、
(h)-H基と-SR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRSHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(i)-H基と-OOCR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRCOOHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(j)-H基と-OSO(OH)基とからHSOが形成されて脱離することによる縮合反応、
(k)-H基と-OSOR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRSO(OH)が形成されて脱離することによる縮合反応、
(l)-H基と-OSO(OR)基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからROSOHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(m)-H基と-OSO(OH)基とからHSOが形成されて脱離することによる縮合反応、
などが挙げられ、
(a)-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応、
(b)-H基と-OR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからROHが形成されて脱離することによる縮合反応、
(i)-H基と-OOCR基(Rは任意の適切な置換または無置換のアルキル基)とからRCOOHが形成されて脱離することによる縮合反応、
が好ましい。特に、脱離した中性成分が該脱離温度(焼成温度)で気体成分であると、可溶性炭素材料に取り込まれることなく、気相部にあるため、不純物となりにくい。
【0049】
縮合反応として、上記(a)の縮合反応、すなわち、-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応を代表例として説明する。
【0050】
上記(a)の縮合反応に好適な化合物(A)の一つの実施形態(実施形態(X)と称することがある)は、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)または2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)であり、該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の半数が-OH基であり、もう半数が-H基である。
【0051】
実施形態(X)においては、
(i)化合物(A)が、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)である場合、
(ii)化合物(A)が、2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)である場合、
の2つの場合のいずれかを採り得る。
【0052】
実施形態(X)において、「骨格の構造形成に寄与していない置換基」とは、上記(i)の場合の「1個の炭素6員環構造からなる骨格」または上記(ii)の場合の「2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格」の該骨格の構造形成に寄与していない置換基を意味する。例えば、上記(i)の場合として、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)が後に示す化学式(a1-1)で表される場合、1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は6個の-OH基と6個の-H基であり、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)が後に示す化学式(a1-2)で表される場合、1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は3個の-OH基と3個の-H基である。また、例えば、上記(ii)の場合として、2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)が後に示す化学式(a2-1)で表される場合、2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格の構造形成に寄与していない置換基は6個の-OH基と6個の-H基である。
【0053】
実施形態(X)においては、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の半数が-OH基であり、もう半数が-H基であり、2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の半数が-OH基であり、もう半数が-H基である。このような置換基の構成を有することにより、化合物(A)は、加熱により、同一分子同士および/または異なる分子間で効果的に脱水反応が起き得る。
【0054】
実施形態(X)において採用することができる化合物(A)としては、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)または2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)であり、該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の半数が-OH基であり、もう半数が-H基である化合物であれば、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な化合物を採用することができる。このような化合物(A)としては、例えば、下記のような化合物が挙げられる。
【0055】
【化1】
【0056】
実施形態(X)において採用することができる化合物(A)の中でも、-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応が起こりやすいと推察され、低温で反応が進行しやすいと推察される点で、フロログルシノール(化合物(a1-2))、ヘキサヒドロキシトリフェニレン(HHTP)(化合物(a2-1))が好ましい。
【0057】
上記(a)の縮合反応に好適な化合物(A)の別の一つの実施形態(実施形態(Y)と称することがある)は、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)および/または2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)から選ばれる2種以上であり、該化合物(a1)の骨格の構造形成に寄与していない置換基の数および該化合物(a2)の骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の合計の半数が-OH基であり、もう半数が-H基である。
【0058】
実施形態(Y)においては、
(i)化合物(A)が、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)から選ばれる2種以上からなる場合、
(ii)化合物(A)が、2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)から選ばれる2種以上からなる場合、
(iii)化合物(A)が、1個の炭素6員環構造からなる骨格を有する化合物(a1)から選ばれる1種以上と2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格を有する化合物(a2)から選ばれる1種以上とからなる場合、
の3つの場合のいずれかを採り得る。
【0059】
実施形態(Y)において、「化合物(a1)の骨格の構造形成に寄与していない置換基の数および化合物(a2)の骨格の構造形成に寄与していない置換基の数の合計」とは、下記のような意味である。すなわち、上記(i)の場合、2種以上の化合物(a1)のそれぞれにおける「1個の炭素6員環構造からなる骨格」の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数を、全て合計した数を意味する。上記(ii)の場合、2種以上の化合物(a2)のそれぞれにおける「2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格」の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数を、全て合計した数を意味する。上記(iii)の場合、1種以上の化合物(a1)のそれぞれにおける「1個の炭素6員環構造からなる骨格」の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数と、1種以上の化合物(a2)のそれぞれにおける「2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格」の該骨格の構造形成に寄与していない置換基の数とを、全て合計した数を意味する。
【0060】
実施形態(Y)において、例えば、上記(i)の場合として、2種以上の化合物(a1)が下記の化学式(a1-5)および化学式(a1-6)で表される場合、化学式(a1-5)で表される化合物の1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は2個の-OH基と4個の-H基であり、化学式(a1-6)で表される化合物の1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は4個の-OH基と2個の-H基であり、それらの合計は、6個の-OH基と6個の-H基である。また、例えば、上記(iii)の場合として、1種以上の化合物(a1)が下記の化学式(a1-5)および化学式(a1-7)で表され、1種以上の化合物(a2)が下記の化学式(a2-3)で表される場合、化学式(a1-5)で表される化合物の1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は2個の-OH基と4個の-H基であり、化学式(a1-7)で表される化合物の1個の炭素6員環構造からなる骨格の構造形成に寄与していない置換基は6個の-OH基であり、化学式(a2-3)で表される化合物の2個以上の炭素6員環構造が結合および/または縮環した骨格の構造形成に寄与していない置換基は2個の-OH基と6個の-H基である。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
このような化合物(A)を用いることにより、反応触媒を必要とすることなく、自身の脱水反応による反応が起こるため、化学反応の副生成物や反応触媒が炭素材料中に存在してしまって致命的な不純物となることを抑制でき、より高品質な炭素材料を得ることができる。また、このような化合物(A)を用いることにより、可燃性ガスを使用することなく、比較的温和な温度環境下において、炭素材料を得ることができる。また、このような化合物(A)は、触媒作用を必要としない高反応性を有することができる。
【0064】
上記(a)の縮合反応に好適な化合物(A)の好ましい実施形態として、分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。
【0065】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な、分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を採用することができる。
【0066】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物において、該フェノール性ヒドロキシル基が結合する芳香環は炭化水素芳香環であることが好ましい。フェノール性ヒドロキシル基が結合する芳香環がヘテロ芳香環であっても本発明の効果を発揮することができるが、環構造がより安定な炭化水素芳香環であるほうが、得られる炭素材料がより安定となり得る。なお、ヘテロ芳香環とは、炭素によって環構造が構成されている炭化水素芳香環とは異なり、炭素と炭素以外の元素によって環構造が構成されている芳香環を意味する。
【0067】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物は、フェノール性ヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な置換基を採用することができる。このような置換基としては、本発明の効果をより高める点では、ヒドロキシル基のみであることが好ましい。ヒドロキシル基以外の置換基が存在しても本発明の効果は発揮され得るが、ヒドロキシル基以外の置換基が存在しないほうが、副反応を防ぎやすく、より炭素材料化しやすい。なお、ここにいうフェノール性ヒドロキシル基以外の置換基としての「ヒドロキシル基」は、フェノール性ではないヒドロキシル基を意味する。なお、当然のことであるが、置換基とは、水素基(-H)に代わって置き換えられた基である。
【0068】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を構成する元素としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な元素を採用することができる。このような元素としては、本発明の効果を高める点では、炭素、酸素、水素のみであることが好ましい。炭素、酸素、水素以外の元素が存在しても本発明の効果は発揮され得るが、炭素、酸素、水素以外の元素が存在しないほうが、副反応を防ぎやすく、より炭素材料化しやすい。
【0069】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物としては、本発明の効果をより発揮させ得るため、該化合物の縮合反応温度が200℃~450℃の範囲であることが好ましく、200~400℃の範囲であることがより好ましい。これにより、効果的に炭素材料化することができる。
【0070】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。2種以上の場合でも、分子間での縮合反応温度は上述の範囲内であることが好ましい。
【0071】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、一般式(1)~(11)に示す化合物が挙げられる。
【0072】
【化4】
【0073】
一般式(1)~(11)のそれぞれにおいて、Xは水素原子または水酸基を表し、Xの中の3つ以上が水酸基(フェノール性ヒドロキシル基)である。
【0074】
ここで、フェノール性ヒドロキシル基とは、芳香環に結合した水酸基を意味する。すなわち、一般式(1)においては、芳香環に結合した6つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(2)においては、芳香環に結合した6つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(3)においては、芳香環に結合した10個のXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(4)においては、芳香環に結合した11個のXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(5)においては、芳香環に結合した9つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(6)においては、芳香環に結合した9つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(7)においては、芳香環に結合した10個のXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(8)においては、芳香環に結合した11個のXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(9)においては、芳香環に結合した9つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(10)においては、芳香環に結合した9つのXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基であり、一般式(11)においては、芳香環に結合した12個のXの中の3つ以上がフェノール性ヒドロキシル基である。
【0075】
分子内に3つ以上のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物の中でも、-H基と-OH基とからHOが形成されて脱離することによる縮合反応が起こりやすいと推察され、反応が進行しやすいと推察される点で、好ましくは、フロログルシノール、ヘキサヒドロキシトリフェニレンであり、より好ましくは、フロログルシノールである。
【0076】
炭素被覆粒子の製造方法の一つの実施形態Aにおいては、混合工程(I)以外に、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な工程を含んでいてもよい。例えば、混合工程(I)の後、
(1)溶媒(S)の少なくとも一部を除去する溶媒除去工程(IIa)、
(2)炭素材料の少なくとも一部を除去する炭素材料除去工程(IIb)、
(3)加熱工程(III)、
からなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの順序は、目的に応じて、適宜設定することができる。
【0077】
溶媒除去工程(IIa)においては、溶媒(S)の少なくとも一部を除去する。代表的には、溶媒除去工程(IIa)においては、溶媒(S)の実質的に全てを除去する。
【0078】
溶媒除去工程(IIa)において、溶媒(S)の少なくとも一部を除去する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な溶媒除去手段を採用することができる。このような溶媒除去手段としては、例えば、蒸留、透析などが挙げられる。
【0079】
炭素材料除去工程(IIb)においては、炭素材料の少なくとも一部を除去する。代表的には、炭素材料除去工程(IIb)においては、炭素材料部分の中で、無機粒子部分の最表面と強固に相互作用して該無機粒子部分の表面に固着している炭素材料部分(この部分は炭素材料除去工程(IIb)によって除去されない)以外の、炭素材料除去工程(IIb)によって除去することができる炭素材料部分の少なくとも一部を除去する。代表的には、炭素材料除去工程(IIb)によって除去することができる炭素材料部分の実質的に全てを除去する。
【0080】
炭素材料除去工程(IIb)において、炭素材料の少なくとも一部を除去する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な炭素材料除去手段を採用することができる。このような炭素材料除去手段としては、例えば、任意の適切な溶媒による洗浄などが挙げられる。洗浄は適切な溶媒で可溶部分を溶かし出した後、ろ過や遠心分離を行うことで達成できる。このような溶媒としては、回収した溶媒でもよいが、洗浄効果を上げる点で、フレッシュな溶媒が好ましい。また、洗浄は、1回でもよいし、2回以上の複数回でもよい。
【0081】
加熱工程(III)においては、代表的には、炭素材料部分が高炭素化される。
【0082】
加熱工程(III)における加熱温度としては、具体的な加熱温度として、好ましくは300℃~3000℃であり、より好ましくは400℃~2000℃であり、さらに好ましくは500℃~1200℃である。加熱工程(III)における加熱温度を上記範囲に調整することにより、炭素材料部分を効果的に高炭素化させることができる。上記温度は粒子の耐熱温度以下であることが好ましい。
【0083】
加熱工程(III)における加熱時間は、具体的な加熱時間として、好ましくは0.1時間~120時間であり、より好ましくは0.5時間~100時間であり、さらに好ましくは1時間~50時間であり、最も好ましくは2時間~24時間である。加熱時間を上記範囲に調整することにより、炭素材料部分を効果的に高炭素化させることができる。
【0084】
炭素被覆無機粒子の製造方法の一つの実施形態Aにおいては、精製工程が含まれていてもよい。精製工程としては、例えば、精製対象物を、任意の適切な溶媒によって洗浄する工程などが挙げられる。このような溶媒としては、回収した溶媒でもよいが、洗浄効果を上げる点で、フレッシュな溶媒が好ましい。また、洗浄は、1回でもよいし、2回以上の複数回でもよい。なお、このような洗浄は、例えば、前述の各種工程の中で行われてもよい。
【0085】
炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態Aとしては、代表的には、有機無機複合体、コアシェル粒子、高炭素化コアシェル粒子などが挙げられる。もちろん、これら以外の実施形態の炭素被覆無機粒子も、本発明の炭素被覆無機粒子となり得る。
【0086】
実施形態Aにおける有機無機複合体は、代表的には、混合工程(I)の後に溶媒除去工程(IIa)を行って得られる炭素被覆無機粒子であって、無機粒子部分と炭素材料部分(炭素被覆部分)を含み、該炭素材料部分が、該無機粒子部分の最表面と強固に相互作用して該無機粒子部分の表面に固着している炭素材料部分のみの態様、または、該炭素材料部分および可溶性炭素材料除去工程(IIb)によって除去することができる炭素材料部分との両方を含む態様とを有する炭素被覆無機粒子である。
【0087】
実施形態Aにおけるコアシェル粒子は、代表的には、上記の有機無機複合体に対して、可溶性炭素材料除去工程(IIb)を行って得られる、無機粒子部分と炭素材料部分(実質的に、該無機粒子部分の最表面と強固に相互作用して該無機粒子部分の表面に固着している炭素材料部分のみ)とを有する炭素被覆無機粒子である。
【0088】
実施形態Aにおける高炭素化コアシェル粒子は、代表的には、上記のコアシェル粒子に対して、加熱工程(III)を行って得られる、炭素被覆無機粒子である。
【0089】
[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態B]
炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態Bは、加熱によって同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)と無機粒子を含む組成物を加熱して得られる炭素被覆無機粒子である。
【0090】
化合物(A)と無機粒子との配合割合は、無機粒子100質量%に対して、化合物(A)が、好ましくは0.01質量%~1000000質量%であり、より好ましくは0.1質量%~100000質量%であり、特に好ましくは1質量%~1000質量%である。化合物(A)と無機粒子との配合割合が上記範囲内にあれば、構造がより精密に制御された炭素被覆無機粒子をより温和な条件でより簡便に製造することができる。無機粒子と化合物(A)の配合割合は、目的とする炭素被覆無機粒子の物性に応じて、任意に調整することができる。例えば、化合物(A)と無機粒子の配合割合を調整することにより、得られる炭素被覆無機粒子の物性、形態(例えば、溶媒への溶解性や、炭素成分または無機成分の形状(粒子状や非粒子状)、炭素成分または無機成分のサイズなど)を制御することができる。
【0091】
化合物(A)と無機粒子を含む組成物中には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分としては、例えば、溶媒、触媒、母材、担体などが挙げられる。
【0092】
化合物(A)と無機粒子を含む組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で調製すればよい。このような方法としては、例えば、化合物(A)と無機粒子とを、任意の適切な方法(例えば、破砕、粉砕など)で固体状態のまま混合する方法が挙げられる。また、化合物(A)と無機粒子と溶剤と、必要に応じて溶剤以外の他の成分とを、任意の適切な方法(例えば、超音波処理など)で混合し、任意の適切な方法(例えば、真空乾燥)によって溶剤を除去する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、解砕を行ってもよい。
【0093】
化合物(A)と無機粒子を含む組成物の加熱温度は、好ましくは200℃~500℃であり、より好ましくは220℃~400℃であり、さらに好ましくは230℃~350℃であり、最も好ましくは250℃~300℃である。加熱温度を上記範囲に調整することにより、構造がより精密に制御された炭素被覆無機粒子をより温和な条件でより簡便に製造することができる。
【0094】
化合物(A)と無機粒子を含む組成物の加熱時間は、好ましくは0.1時間~120時間であり、より好ましくは0.5時間~100時間であり、さらに好ましくは1時間~50時間であり、最も好ましくは2時間~24時間である。加熱時間を上記範囲に調整することにより、構造がより精密に制御された炭素被覆無機粒子をより温和な条件でより簡便に製造することができる。
【0095】
化合物(A)の詳細については、[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態A]における化合物(A)の説明を援用することができる。
【0096】
炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態Bとしては、代表的には、有機無機複合体、コアシェル粒子、高炭素化コアシェル粒子などが挙げられる。もちろん、これら以外の実施形態の炭素被覆無機粒子も、本発明の炭素被覆無機粒子となり得る。
【0097】
実施形態Bにおける有機無機複合体は、加熱によって同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)と無機粒子を含む組成物を加熱して得られ、化合物(A)の加熱によって生成する炭素材料と無機粒子を含む。炭素材料の詳細については、[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態A]における炭素材料の説明を援用することができる。
【0098】
実施形態Bにおけるコアシェル粒子は、加熱によって同一分子間および/または異種分子間で縮合反応が起きる化合物(A)と無機粒子を含む組成物を加熱した後に、代表的には、化合物(A)の加熱によって生成する炭素材料の少なくとも一部を除去することによって得られ得る。化合物(A)の加熱によって生成する炭素材料の少なくとも一部を除去する方法としては、代表的には、[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態A]における可溶性炭素材料除去工程(IIb)の方法を援用することができる。
【0099】
実施形態Bにおける高炭素化コアシェル粒子は、代表的には、コアシェル粒子に対して、さらに加熱を行うことによって得られ得る。このような加熱の方法としては、代表的には、[炭素被覆無機粒子の一つの好ましい実施形態A]における加熱工程(III)の方法を援用することができる。
【0100】
上記のような炭素被覆技術によれば、対象の粒子の形状は問わず、鱗片状、球状、針状、丸み状など種々の形状にコーティングが可能である。
【0101】
上記のような炭素被覆技術によれば、炭素被覆された原料を用いて、樹脂組成物とした際に、炭素被覆されていない原料を用いた場合と比べて、粒子同士の界面相互作用が上昇し、結果として密度、硬度、熱・電気伝導性などが上がる。また、製造プロセスにおいても、炭素被覆された原料は、炭素被覆されていない原料と比べて、潤滑性や流動性が高いことから、配管中の移送性や、型枠への充填性が向上するというメリットや、解砕性がますというメリットがある。また、潤滑性が高いことから、2次凝集(2次粒子の形成)なども抑制できる。
【0102】
上記のような炭素被覆技術によれば、炭素被覆無機粒子は、好ましくは、表面導電性を有する。これにより帯電防止がなされ、粉体が舞い上がったり充填しにくかったりなどの、静電気による影響を改善できる。
【0103】
上記のような高炭素化処理はその有無や、加熱温度を調整することで、表面性状(特に極性や、疎水性)を適宜調整できる。樹脂との相互作用を高めるために樹脂の構造により表面性状を調整可能である。
【0104】
本発明の樹脂組成物は、特に限定されないが、接着剤(土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用等)、電子材料用の接着剤(多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、半導体用接着剤)、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、積層板、封止材料、レジスト用材料、電子部品用材料、3Dプリンティング材料、プリプレグ等の用途に使用することができる。
【実施例0105】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<実施形態Aに用いる溶媒(S)に可溶な可溶性炭素材料の調製>
フロログルシノール(東京化成工業製)10gをチューブ炉(柴田科学製GTO-350RG)を用いて300℃で2時間加熱した。得られた固体を乳鉢ですりつぶし、可溶性炭素材料粉体を得た。
[調製例(X)]
【0106】
シリカ(日本触媒製)、アルミナ(Denka製)、マグネシア(富士フイルム和光純薬製)、チタニア(富士フイルム和光純薬製)、窒化アルミニウム(トクヤマ製)、窒化ホウ素(昭和電工製)、アルミニウム(東洋アルミニウム製)のそれぞれ10gをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、富士フイルム和光純薬製)100gに懸濁させ、そこに0.1gの可溶性炭素材料粉体を投入し、撹拌しながら超音波処理を行った。処理後、ろ過、DMFによる洗浄を繰り返すことで、表面が炭素被覆された炭素被覆無機粒子が得られた。得られた炭素被覆無機粒子はチューブ炉(光洋サーモ製)で700℃2時間焼成することで、高炭素化した炭素被覆無機粒子(すなわち高炭素化コアシェル粒子)が得られた。
それぞれを炭素被覆シリカ(X)、炭素被覆アルミナ(X)、炭素被覆マグネシア(X)、炭素被覆チタニア(X)、炭素被覆窒化アルミニウム(X)、炭素被覆窒化ホウ素(X)、炭素被覆アルミニウム(X)と呼ぶ。
[調製例(Y)]
【0107】
シリカ(日本触媒製)、アルミナ(Denka製)、マグネシア(富士フイルム和光純薬製)、チタニア(富士フイルム和光純薬製)、窒化アルミニウム(トクヤマ製)、窒化ホウ素(昭和電工製)、アルミニウム(東洋アルミニウム製)のそれぞれ10gをアセトン100g中に懸濁し、そこへフロログルシノール0.2gを溶解し、超音波処理により混合した。ロータリーエバポレーターにより乾固させたのち、チューブ炉を用いて300℃で2時間加熱した。加熱後DMF中で超音波処理し、ろ過、DMFによる洗浄を繰り返すことで、表面が炭素被覆された炭素被覆無機粒子が得られた。得られた炭素被覆無機粒子はチューブ炉で700℃2時間焼成することで、高炭素化した炭素被覆無機粒子(すなわち高炭素化コアシェル粒子)が得られた。
それぞれを炭素被覆シリカ(Y)、炭素被覆アルミナ(Y)、炭素被覆マグネシア(Y)、炭素被覆チタニア(Y)、炭素被覆窒化アルミニウム(Y)、炭素被覆窒化ホウ素(Y)、炭素被覆アルミニウム(Y)と呼ぶ。
[実施例・比較例]
【0108】
調製例(X)、(Y)で得られたそれぞれ高炭素化した炭素被覆無機粒子と未処理の原料粒子(比較例)を、以下の表の通り樹脂組成物とし、硬化前の分散性を評価した。
[樹脂組成・評価方法]
【0109】
(1)SYLGARD184(DOW社製)に、各粒子が50体積%となるようにサンプル管中で混合し、分散性と流動性を確認した。混合後、150℃1時間で硬化させた。
(2)ポリカーボネート(帝人製)に各粒子が50体積%となるように混合し、280℃で加熱しながら混錬し、分散性と流動性を確認した。冷却後、樹脂組成物の外観を確認した。
【0110】
【表1】
【0111】
【表2】
【0112】
以上のように、本発明の処理a、bを施すことで、硬化性や、硬化後の樹脂組成物に悪影響することなく、樹脂混合時の分散性を向上できることが分かった。