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  • 特開-制御装置、空気調和機及び制御方法 図1
  • 特開-制御装置、空気調和機及び制御方法 図2
  • 特開-制御装置、空気調和機及び制御方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086071
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】制御装置、空気調和機及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240620BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240620BHJP
   F24F 11/86 20180101ALI20240620BHJP
   F24F 11/84 20180101ALI20240620BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20240620BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240620BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240620BHJP
   F24F 140/20 20180101ALN20240620BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/64
F24F11/86
F24F11/84
F24F11/74
F24F110:10
F24F110:20
F24F140:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200961
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】宇野 順道
(72)【発明者】
【氏名】中西 道明
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260AB13
3L260BA16
3L260BA24
3L260BA34
(57)【要約】
【課題】冷房運転または除湿運転の後に、室内機内部の乾燥を目的として実行される暖房運転を含んだ内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぐことができる制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置は、冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機内部の乾燥や除菌を目的とする暖房運転を運転内容の一部に含んだ内部クリーン運転の実行後に冷房運転を実行する制御部、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機の内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する制御部、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転において、前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下とならないように、圧縮機の回転数と、膨張弁の開度と、前記室内機のファンの回転数と、を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、室内温度と相対湿度ごとに、前記圧縮機の回転数と、前記膨張弁の開度と、前記室内機のファンの回転数と、を定めたデータテーブルを記憶し、室内温度と、室内の相対湿度と、前記データテーブルと、に基づいて、前記圧縮機の回転数と、前記膨張弁の開度と、前記ファンの回転数と、を制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、室内温度が前記冷房運転または前記除湿運転の終了時の温度となると、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転を終了する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下となると、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転を終了する、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
室内熱交換器と、前記室内熱交換器の温度を計測する温度センサと、室内温度を計測する温度センサと、室内の湿度を計測する湿度センサと、ファンと、を備える室内機と、
圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、を備える室外機と、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の制御装置と、
を備える空気調和機。
【請求項7】
冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機の内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、空気調和機及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷房運転や除湿運転を行うと、室内機内は湿度が高い状態となり、カビや細菌が発生する原因となる。これを防ぐために、冷房運転や除湿運転の後に送風や暖房運転を行って、室内機の内部を乾燥させる機能(クリーン機能、内部クリーン運転などと称される。)が搭載された空気調和機が提供されている。例えば、特許文献1には、冷房運転の後に、空気調和機の運転状態を、強送風状態、弱送風状態、暖房状態の順に切り替えて、室内機を乾燥させる制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-299983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
暖房運転が一部に組み込まれた内部クリーン運転を行うと、暖房運転によって室内温度が上昇することがある。室内温度の上昇は、ユーザにとって、不快感の原因となる可能性がある。
【0005】
上記課題を解決することができる制御装置、空気調和機及び制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の制御装置は、冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する制御部、を備える。
【0007】
また、本開示の空気調和機は、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の温度を計測する温度センサと、室内温度を計測する温度センサと、室内の湿度を計測する湿度センサと、ファンと、を備える室内機と、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、を備える室外機と、上記の制御装置と、を備える。
【0008】
また、本開示の制御方法は、冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する。
【発明の効果】
【0009】
上述の制御装置、空気調和機及び制御方法によれば、冷房運転または除湿運転の後に室内機内の乾燥や除菌を目的として実行される暖房運転が一部に組み込まれた内部クリーン運転による、室内温度の意図しない上昇を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態における空気調和機の一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施形態における制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、本開示の一実施形態による空気調和機の制御方法について図1図3を参照して説明する。
【0012】
(空気調和機の構成)
図1は、本開示の一実施形態における空気調和機の一例を示す図である。
図1に、空気調和機100の一例を示す。図1に示すように空気調和機100は、圧縮機1、室内熱交換器2、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5、及びそれらを接続する冷媒配管6、室内ファン12などを含む冷媒回路と、この冷媒回路を制御する制御装置20とを備える。室内機9には室内熱交換器2と室内ファン12が設けられ、室外機10には、圧縮機1、膨張弁3、室外熱交換器4、四方弁5が設けられる。室内熱交換器2には室内熱交温度センサ11が設けられている。室内熱交温度センサ11は室内熱交換器2の温度を計測する。室内熱交換器2の近傍には室内ファン12が設けられている。室内ファン12を運転することにより、室内の空気が室内熱交換器2へ供給される。室内機9の吸込口(図示せず)の近傍には、室内温度センサ13と、室内湿度センサ14が設けられている。室内温度センサ13は室内温度を計測し、室内湿度センサ14は室内の湿度を計測する。室内機9の吹出口(図示せず)には、ルーバー15が設けられている。ルーバー15は、吹出口の開閉や風向の調節を行う。図1に示す構成は、空気調和機100の基本的な構成を模式的に示した図であって、さらに他の構成要素が含まれていてもよい。
【0013】
圧縮機1は、冷媒を圧縮し、高温、高圧となった冷媒を吐出する。暖房運転では、制御装置20は、四方弁5のポート5aとポート5bを接続し、ポート5cとポート5dを接続する。このとき冷媒は矢印8の方向に流れる。圧縮機1で圧縮された高温、高圧の冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器2(凝縮器)に供給され、室内熱交換器2で放熱し、凝縮して液化する。室内熱交換器2で凝縮した冷媒は、膨張弁3によって減圧され、低圧の冷媒となる。低圧の冷媒は、室外熱交換器4(蒸発器)へ供給され、外気からの吸熱により気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高温、高圧の冷媒を吐出する。
【0014】
また、冷房運転や除湿運転では、制御装置20は、四方弁5のポート5aとポート5dを接続し、ポート5bとポート5cを接続する。このとき冷媒は矢印7の方向に流れる。圧縮機1で圧縮された高温、高圧の冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器4(凝縮器)に供給され、放熱し凝縮する。凝縮した冷媒は膨張弁3によって減圧され、室内熱交換器2(蒸発器)へ供給される。室内熱交換器2では、冷媒は、室内空気からの吸熱により気化する。気化した冷媒は、四方弁5を通過して圧縮機1へ吸入される。圧縮機1は低圧の冷媒を圧縮して高温、高圧の冷媒を吐出する。
【0015】
図1に示す冷媒回路では、上記の過程が繰り返されて冷媒が循環する。これにより空気調和機100は、暖房運転、冷房運転、除湿運転を行う。制御装置20は、四方弁5の制御により暖房運転と冷房運転や除湿運転の切り替えを行う。また、制御装置20は、室内温度センサ13が計測する室内温度とユーザが設定した設定温度の差に基づいて、室内温度が設定温度となるように圧縮機1の回転数や膨張弁3の開度を調整し、暖房運転、冷房運転を実行する。また、制御装置20は、室内湿度センサ14が計測する相対湿度が所望の湿度となるように圧縮機1の回転数や膨張弁3の開度を調整し、除湿運転を実行する。
【0016】
(制御装置の構成)
図2は、本開示の一実施形態における制御装置の一例を示すブロック図である。
制御装置20は、例えばマイコン等のCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)を備えたコンピュータである。制御装置20は、室内機9、室外機10を構成する機器に関する種々の制御を行う。以下、本実施形態に係る冷房運転又は除湿運転後の内部クリーン運転による意図しない室内温度の上昇を打ち消す制御に関係する機能に絞って説明を行う。図示するように制御装置20は、センサ情報取得部21と、指示情報取得部22と、制御部23とを備えている。
【0017】
センサ情報取得部21は、室内熱交温度センサ11が計測した室内熱交換器2の温度と、室内温度センサ13が計測した室内温度と、室内湿度センサ14が計測した室内の湿度と、を取得し、取得した温度や湿度を制御部23へ出力する。
【0018】
指示情報取得部22は、ユーザが不図示のリモコンを操作する等して入力した、空調に関する指示や設定を受け付ける。例えば、指示情報取得部22は、室内の設定温度や、暖房運転、冷房運転、除湿運転の実行開始および終了の指示、冷房運転や除湿運転の後に内部クリーン運転を行うかどうかの設定などを取得する。指示情報取得部22は、取得した各種設定を記憶し、取得した各種の指示を制御部23へ出力する。内部クリーン運転とは、冷房運転や除湿運転の終了後に実行される室内機9内部の乾燥や除菌を目的とする運転である。空気調和機100で冷房運転や除湿運転を行うと、室内機9の内部は湿度が高い状態となる。内部クリーン運転では、暖房運転や室内ファン12の運転を行うことにより、カビや細菌の原因となる室内機9内部の湿気を取り除く。内部クリーン運転の内容は、様々である。例えば、暖房運転のみを行ってもよいし、暖房運転の前や後に室内ファン12を運転して送風を行ってもよい。内部クリーン運転の運転内容の一部に暖房運転が組み込まれている場合、(例えば、冷房していたにもかかわらず)内部クリーン運転を実行することにより、室内温度が上昇してしまう場合がある。本実施形態では、内部クリーン運転の実行終了後に、内部クリーン運転によって生じた意図しない室内温度の上昇を打ち消す運転を行う。
【0019】
制御部23は、圧縮機1の起動停止や回転数の制御、膨張弁3の開度制御、四方弁5の切り替え制御、室内ファン12の起動停止や回転数、ルーバー15の開度の制御などを行う。例えば、制御部23は、指示情報取得部22が冷房運転の実行指示を取得すると、四方弁5の各ポートの接続を冷房運転用に切り替え、室内温度センサ13が計測する温度が設定温度となるように圧縮機1の回転数などを制御する。例えば、制御部23は、指示情報取得部22が内部クリーン運転を実行する設定を取得している場合、冷房運転や除湿運転の終了後に内部クリーン運転を行い、内部クリーン運転の終了後に冷房運転を行う。以下、一般的な冷房運転と区別するために、内部クリーン運転の実行終了後の冷房運転を室温上昇防止運転と呼ぶ。
【0020】
室温上昇防止運転では、制御部23は、室内熱交換器2の潜熱変化のみを許容し、顕熱変化が生じないように、室内熱交換器2の温度に影響を与える機器の制御を行う。具体的には、制御部23は、ルーバー15の開度と、圧縮機1の回転数と、膨張弁3の開度と、室内ファン12の回転数を制御する。例えば、制御部23は、室内熱交温度センサ11が計測する室内熱交換器2の温度が露点温度以下とならないように、圧縮機1の回転数と、膨張弁3の開度と、室内ファン12の回転数を制御する。例えば、室内温度センサ13が計測する室内温度が27℃、室内湿度センサ14が計測する室内の相対湿度が47%の場合、露点温度は14.7℃である。露点温度は、室内温度と相対湿度と所定の計算式あるいは飽和湿度曲線(湿り空気線図)によって算出することができる。制御部23は、室内熱交温度センサ11が計測する温度が露点温度以下とならないように、圧縮機1の回転数、膨張弁3の弁開度、室内ファン12の回転数を制御する。室温上昇防止運転(冷房運転)を行うことにより、内部クリーン運転によって上昇した温度を低下させつつ、室内熱交温度センサ11が計測する温度が露点温度以下とならないように制御することにより、室内熱交換器2が除湿を行い、結露することを防ぐ。
【0021】
(動作)
図3を参照して、室温上昇防止運転の制御の流れについて説明する。
図3は、本開示の一実施形態における制御方法の一例を示すフローチャートである。
前提として、指示情報取得部22は、冷房運転や除湿運転の後に内部クリーン運転を実行する設定を取得し、この設定を記憶しているとする。
制御部23は、ユーザの指示に基づき冷房運転または除湿運転を実行する(ステップS1)。ユーザが冷房運転または除湿運転の終了指示を行うと、指示情報取得部22は、その指示情報を取得する。制御部23は、終了指示に基づいて、冷房運転または除湿運転を終了する(ステップS2)。制御部23は、冷房運転または除湿運転の終了時に室内温度センサ13が計測した温度を、センサ情報取得部21を通じて取得し、この温度を記憶する。
【0022】
次に制御部23は、内部クリーン運転を実行する(ステップS3)。内部クリーン運転の内容は様々であってよいが、実行される運転の一部に暖房運転が組み込まれているとする。制御部23は、暖房運転や室内ファン12の運転などを行う。所定の終了条件が成立すると、制御部23は、内部クリーン運転を終了する(ステップS4)。例えば、制御部23は、内部クリーン運転を開始してから所定の時間が経過すると内部クリーン運転を終了する。
【0023】
次に制御部23は、室温上昇防止運転を実行する(ステップS5)。制御部23は、四方弁5のポート5aとポート5dを接続し、ポート5bとポート5cを接続して、ルーバー15を所定の角度だけ開いて、冷房運転を実行する。例えば、制御部23は、室温上昇防止運転時の圧縮機1の回転数と、膨張弁3の開度と、室内ファン12の回転数とが設定されたデータテーブルを記憶していて、このデータテーブルに基づいて、圧縮機1の回転数と、膨張弁3の開度と、室内ファン12の回転数を制御し、(弱)冷房運転を実行する。
【0024】
室温上昇防止運転は、内部クリーン運転によって上昇した室内温度を元の温度(例えば、ステップS2のときに計測された室内温度)に戻すために行われる。また、室温上昇防止運転は、室内機9内部の湿気を除去するために行った内部クリーン運転が無駄にならないように(室内熱交換器2が露点温度以下となり、室内熱交換器2が室内空気の湿気を吸収して再び室内機9の内部の湿度が上昇しないように)、緩やかに行われる。室温上昇防止運転における圧縮機1の回転数、膨張弁3の開度、室内ファン12の回転数には、室内熱交換器2が露点温度以下とならないようにすること以外に特に制限はないが、例えば、データテーブルの圧縮機1の回転数は、通常の冷房運転で室内温度を設定温度に近づけるときの回転数よりも低速(例えば、最低回転数、最低回転数に近い所定の範囲内の回転数、可能な限り低速な回転数、室内熱交換器2が露点温度以下となる可能性がある回転数より低速な回転数など)に設定されている。これにより、室内熱交換器2が露点温度以下となることを防ぎつつ、省電力化を実現することができる。
【0025】
また、室内ファン12の回転数に関し、あまりにも高速で運転すると、冷房運転等を終了したにもかかわらず、送風や騒音がユーザの快適性を損なう原因になる。その反面、あまりにも低速で運転すると、室内熱交換器2が露点温度以下となる可能性が高くなる。従って、データテーブルには、例えば、ユーザの不快の原因とならないような範囲でなるべく高速な回転数が設定される。
【0026】
制御部23は、時々刻々と室内温度センサ13が計測する室内温度と室内湿度センサ14が計測する相対湿度から、所定の計算式あるいは飽和湿度曲線などを用いて露点温度を計算する。露点温度の計算には、公知の任意の方法を用いることができる。制御部23は、室内熱交温度センサ11が計測する温度が、計算した露点温度以下とならないように、圧縮機1の回転数、膨張弁3の開度、室内ファン12の回転数を調整する。例えば、データテーブルには、室内温度、相対湿度などの条件ごとに、室内熱交換器2の温度が露点温度以下とならないような、圧縮機1の回転数、膨張弁3の開度、室内ファン12の回転数が登録されていて、制御部23は、データテーブルから条件に応じた制御値を読み出して、圧縮機1の回転数、膨張弁3の開度、室内ファン12の回転数を調整してもよい。さらにデータテーブルには、圧縮機1の回転数、膨張弁3の開度、室内ファン12の回転数に加えて、ルーバー15の開度が設定されていて、制御部23は、室内温度、相対湿度などの条件に応じた開度でルーバー15を制御してもよい。
【0027】
次に制御部23は、所定の終了条件が成立すると、室温上昇防止運転を終了する(ステップS6)。例えば、制御部23は、以下の(終了条件1)~(終了条件3)の何れかが成立すると、室温上昇防止運転を終了する。
(終了条件1)室内温度センサ13が計測する室内温度が、ステップS2で記憶した冷房運転または除湿運転の終了時の室内温度(この温度は、例えば、ユーザがそれ以上の空調は必要ないと判断したときの温度と考えられる。)に達する。
(終了条件2)室内熱交温度センサ11が計測する温度が、現在の室内温度と相対湿度から算出される露点温度に達する。
(終了条件3)室温上昇防止運転を開始してから所定の時間が経過する。
このほかにも例えば、室内温度センサ13が計測する室内温度が、設定温度(冷房運転の場合)に達することを終了条件としてもよい。
【0028】
(効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、冷房運転または除湿運転の後に実行される、一部に暖房運転を含む内部クリーン運転の終了後に、室内温度の低下を目的とする冷房運転を行う。これにより、室温を低下させ、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を打ち消すことができる。また、室内熱交換器2の温度が露点温度以下とならないように冷房運転を行うことで、内部クリーン運転により低下した室内機9内部の湿度の再上昇を防ぐことができる。
【0029】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0030】
<付記>
各実施形態に記載の制御装置、空気調和機及び制御方法は、例えば以下のように把握される。
【0031】
(1)第1の態様に係る制御装置は、冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する制御部、を備える。
これにより、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぎ、室内温度を低下させることができる。
【0032】
(2)第2の態様に係る制御装置は、(1)の制御装置であって、前記制御部は、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転において、前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下とならないように、圧縮機の回転数と、膨張弁の開度と、室内機のファンの回転数と、を制御する。
室内熱交換器2の温度が露点温度以下とならないように冷房運転を行うことで、内部クリーン運転により低下した室内機の内部の湿度の上昇を防ぐことができる。
【0033】
(3)第3の態様に係る制御装置は、(1)~(2)の制御装置であって、前記制御部は、室内温度と室内の相対湿度ごとに、圧縮機の回転数と、膨張弁の開度と、室内機のファンの回転数と、を定めたデータテーブルを記憶し、室内温度と、室内の相対湿度と、前記データテーブルと、に基づいて、前記圧縮機の回転数と、前記膨張弁の開度と、前記室内機のファンの回転数と、を制御する。
これにより、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぎ、室内温度を冷房運転または除湿運転の終了時の温度まで低下させることができる。
【0034】
(4)第4の態様に係る制御装置は、(1)~(3)の制御装置であって、前記制御部は、室内温度が前記冷房運転または前記除湿運転の終了時の温度となると、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転を終了する。
これにより、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぎ、室内温度を冷房運転または除湿運転の終了時の温度まで低下させることができる。
【0035】
(5)第5の態様に係る制御装置は、(1)~(4)の制御装置であって、前記制御部は、前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下となると、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転を終了する。
これにより、内部クリーン運転により低下した室内機の内部の湿度の上昇を防ぐことができる。
【0036】
(6)第5の態様に係る制御装置は、(1)~(5)の制御装置であって、前記制御部は、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転において、圧縮機の回転数を最低回転数又は前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下とならないような所定の回転数以下に制御する。
これにより、室内熱交換器の過度な温度低下を防ぐことができる。
【0037】
(7)第7の態様に係る制御装置は、(1)~(6)の制御装置であって、前記制御部は、前記内部クリーン運転の実行後の前記冷房運転において、前記室内機のファンの回転数を、前記室内機の熱交換器の温度が露点温度以下とならず且つユーザの快適性を損なわないよう設定された所定の範囲の回転数(例えば、当該範囲の最大回転数)に制御する。
これにより、ユーザの快適性を損なうことなく、効果的に室温を低下させることができる。
【0038】
(8)第8の態様に係る空気調和機は、室内熱交換器と、前記室内熱交換器の温度を計測する温度センサと、室内温度を計測する温度センサと、室内の湿度を計測する湿度センサと、ファンと、を備える室内機と、圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、を備える室外機と、(1)~(7)に記載の制御装置と、を備える。
これにより、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぎ、室内温度を低下させることができる。
【0039】
(9)第9の態様に係る制御方法は、冷房運転または除湿運転の後に実行される、室内機内部の乾燥を目的とする暖房運転を含んだ内部クリーン運転の実行終了後に冷房運転を実行する。
これにより、内部クリーン運転による室内温度の意図しない上昇を防ぎ、室内温度を低下させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1・・・圧縮機
2・・・室内熱交換器
3・・・膨張弁
4・・・室外熱交換器
5・・・四方弁
5a、5b、5c、5d・・・ポート
6・・・冷媒配管
9・・・室内機
10・・・室外機
11・・・室内熱交温度センサ
12・・・室内ファン
13・・・室内温度センサ
14・・・室内湿度センサ
15・・・ルーバー
20・・・制御装置
21・・・センサ情報取得部
22・・・指示情報取得部
23・・・制御部
100・・・空気調和機
図1
図2
図3