(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086083
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ラップフィルムの巻付け装置
(51)【国際特許分類】
B65B 11/02 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
B65B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200991
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】392017048
【氏名又は名称】株式会社ティー・エム・ピー
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】弁理士法人日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一雄
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051AB02
3E051AB09
3E051BA01
3E051BA13
3E051CA01
3E051DA07
3E051EA01
3E051EB05
3E051FA06
3E051KA02
3E051KB07
3E051LA02
3E051LA03
3E051LB04
(57)【要約】
【課題】フィルムを荷物集合体の外周面に対して水平方向に巻付けが可能で、さらに自動的に巻付け作業を行うことができる、ラップフィルムの巻付け装置を提供することである。
【解決手段】荷物集合体20へのフィルム40の巻付け開始状態で、フィルム40を引き出すためのフィルムロール30を、荷物集合体20の外周面22に沿って、一周以上移動した状態で、フィルムロール30を保持部230における荷物集合体20の反対側を越えて、予め設定した長さ移動した状態で、端部処理装置210の保持部230で挟み込んでいたフィルム巻付け開始端44を開放し、さらに保持部230を下方向にフィルム40の幅を越えて移動し、その後、端部処理装置21退避させるようにした、ラップフィルム巻付け装置100。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の荷物を有する荷物集合体の外周面に巻付けるためのフィルムを供給するフィルムロールと、前記フィルムロールを前記荷物集合体の前記外周面に沿って移動するためのフィルムロール移動装置と、前記フィルムロールから供給された前記フィルムにおける前記外周面への巻付けのための開始端となるフィルム巻付け開始端を保持する端部処理装置と、を備え、
前記端部処理装置は、前記荷物集合体を搬送する搬送装置の両サイドの内の一方側に設けられ、
前記端部処理装置は、前記フィルム巻付け開始端を挟み込んで保持するための保持部を有し、
前記荷物集合体が前記搬送装置により搬送されてくる状態では、前記端部処理装置は、前記保持部を前記一方側における設定された退避ラインよりも外側に移動して保持し、
前記荷物集合体に前記フィルムの巻付けを開始する巻付け開始状態では、前記端部処理装置は前記フィルム巻付け開始端を保持する前記保持部を、前記退避ラインを越えて、前記退避ラインの内側方向である、前記荷物集合体の前記外周面に向けて移動して、前記フィルム巻付け開始端を前記荷物集合体の前記外周面に近接して保持し、
前記巻付け開始状態では、前記フィルムロール移動装置は前記フィルムロールを前記荷物集合体の前記外周面に沿って移動し、
前記フィルムロールが前記荷物集合体の前記外周面に沿って一周した状態で、前記フィルムロール移動装置は、前記保持部における前記荷物集合体の反対側を通るように、前記フィルムロールを移動し、
前記フィルムロールが前記保持部における前記荷物集合体の反対側を越えて移動した状態で、前記端部処理装置の前記保持部が、挟み込んでいた前記フィルム巻付け開始端を開放し、さらに前記保持部を上下方向に前記フィルムの幅の長さを越えて移動し、さらに前記端部処理装置は前記保持部を設定された前記退避ラインを越えて前記一方側に於ける外側に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置は、前記保持部に加えて、前記保持部に並べて配置された、前記フィルムを切断するための切断処理部を、有しており、
さらに前記保持部は前記フィルムロールに近い側に設けられ、また前記切断処理部は前記フィルムロールから遠い側に設けられている、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置の前記保持部は、保持用受板と前記保持用受板に向かって移動することにより前記フィルムを挟み込んで保持するための押圧板とを有し、
前記端部処理装置の前記切断処理部は、切断穴を備えた切断用台と前記切断穴に向かって移動することにより前記フィルムを挟み込んで切断するための切断刃とを有し、
前記荷物集合体に対する前記フィルムによる巻付け作業の終了時に、前記保持部の前記保持用受板と前記切断処理部の前記切断用台とが前記荷物集合体の前記外周面に向かって移動し、前記外周面の近傍で前記保持用受板と前記切断用台とが上下方向に移動して、前記フィルムロールから引き出された前記フィルムの最終部分と前記荷物集合体の前記外周面に巻付けられた前記フィルムの内の最表面側フィルムとの間に前記保持用受板と前記切断用台とを入り込ませ、
前記押圧板が前記保持用受板に向かって移動することにより前記フィルムロールから引き出された前記フィルムの前記最終部分の内の前記フィルムロールに近い部分を保持し、
前記切断処理部が前記切断刃を前記切断用台の前記切断穴に向かって移動し、前記切断穴と前記切断刃との間に前記フィルムの前記最終部分における、前記保持部よりも前記フィルムロールから遠い位置の前記最終部分を挟み込んで切断し、
その後、前記フィルムロールおよび前記保持部、前記切断処理部を、前記一方側の方向において設定された前記退避ラインよりも外に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置は、前記切断用台における前記フィルムロールとは反対側の位置に空間を有し、さらに前記空間に対向して移動する密着用突起を備えており、
前記荷物集合体に対する前記フィルムによる巻付け作業の終了時において、前記フィルムの前記最終部分と、巻付けられた前記フィルムにおける前記荷物集合体の前記最表面側フィルムと、の間に、前記保持用受板と前記切断穴を有する前記切断用台とが入り込み込んだ前記状態で、前記端部処理装置は前記密着用突起を前記空間に向けて移動し、前記フィルムの前記最終部分における前記切断用台に対し前記フィルムロールとは反対側に位置する部分を、前記空間を通して前記荷物集合体に巻付けられた前記フィルムにおける最表面側フィルムに押付けて密着させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【請求項5】
請求項4に記載のラップフィルム巻付け装置において、
前記荷物集合体はその水平面での断面が四角形の形状をなし、
前記荷物集合体の前記フィルムによる巻付けを開始する状態において、前記荷物集合体の水平方向における前記四角形の外周面の内の第一辺の外周面ある第1外周面が、前記フィルムロール移動装置が配置されている側に位置し、
前記フィルムロール移動装置は、前記荷物集合体の搬送方向に沿う方向であるX方向に沿って前記フィルムロールを移動するX方向移動機構と、前記荷物集合体の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向に前記フィルムロールを移動するY方向移動機構と、前記フィルムロールを上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構と、を有し、
前記荷物集合体への前記フィルムの前記巻付け開始状態で、前記端部処理装置は前記フィルム巻付け開始端を保持する前記保持部を、前記退避ラインの外側から前記退避ラインを越えて前記荷物集合体の前記第1外周面の近傍に移動して、
前記フィルムロール移動装置は、前記端部処理装置の前記保持部に前記フィルム巻付け開始端が保持された状態で、先ず前記第1外周面に沿う方向である前記X方向に沿って前記フィルムロールを前記X方向移動機構により移動し、次に前記第1外周面の端部で前記搬送方向を横切る方向である前記Y方向に沿った前記荷物集合体の外周面である第2外周面に沿って前記Y方向移動機構により前記フィルムロールを移動し、次に前記荷物集合体の水平方向における前記外周面の内の前記第1外周面と対向する位置にある第3外周面に沿って前記X方向移動機構により前記フィルムロールを移動し、その次の第4外周面に沿って前記X方向移動機構により前記フィルムロールを移動して、再び前記第1外周面に沿う方向に前記フィルムロールを移動するときに、前記保持部が有する前記押圧板における前記保持用受板の反対側の面を前記フィルムロールが移動し、
その後前記保持部が挟み込んでいた前記フィルム巻付け開始端を開放し、
さらに前記押圧板および前記保持用受板を上下させて、前記押圧板および前記保持用受板を前記フィルム巻付け開始端とは対向しない位置まで移動し、さらに前記押圧板および前記保持用受板を、前記退避ラインを越えて前記フィルムロールの移動領域の外に退避させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【請求項6】
請求項3に記載のラップフィルム巻付け装置において、
前記荷物集合体の水平方向における断面が四角形の形状をなし、前記四角形の外周面の内の第1辺の外周面ある第1外周面が、前記フィルムロール移動装置が配置されている側に位置し、
前記フィルムロール移動装置は、前記荷物集合体の搬送方向に沿う方向であるX方向に沿って前記フィルムロールを移動するX方向移動機構と、前記荷物集合体の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向に前記フィルムロールを移動するY方向移動機構と、前記フィルムロールを上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構と、を有し、
前記荷物集合体への前記フィルムの巻付け作業の前記終了時において、前記フィルムロールが前記第1外周面を通り過ぎた状態で、前記フィルムを巻付けるための前記フィルムロールの移動を停止し、
次に前記端部処理装置の前記保持用受板および前記切断用台を前記フィルムロールより引き出された前記フィルムにおける前記退避ラインとは反対側の面に対向するように移動し、
さらに前記フィルムロールより引き出された前記フィルムを前記保持用受板および前記押圧板で挟み込んで保持し、
前記フィルムロールより引き出された前記フィルムの内の前記切断用台より前記荷物集合体に近い側の前記フィルムを、前記切断処理部の側面で、前記外周面における最表面側フィルムに押圧して密着させる、とともに、前記フィルムロールより引き出された前記フィルムを前記切断用台および前記切断刃で挟み込んで切断する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の荷物を有する荷物集合体の補強などのために、その外周にラップ用のフィルムを巻付ける、ラップフィルムの巻付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数個の荷物を集めて、運搬あるいは保管に適した大きさの荷物集合体を作り、前記荷物集合体の外周にラップ用のフィルムを巻付けて、前記荷物集合体を補強することが、以前から行われている。荷物集合体の外周にラップフィルムを巻付ける方法としては、例えば特許文献1に記載の方法がある。この方法は、商品を段ボール箱に詰め、前記段ボール箱を積み重ねて荷物集合体である荷物80を作る。荷物80をターンテーブル51に載せ、ターンテーブル51を回転させる。このようにすることで、ストレッチフィルムロール60から引き出されたストレッチフィルムが、前記荷物集合体である荷物80の外周に巻付けられる。
【0003】
また特許文献2にも同様の技術が記載つれている。このように背景技術として、包装対象の荷物集合体自身を回転させて、包装用フィルムを巻付ける方式が、特許文献に記載されている。しかしこの方式は、包装対象の荷物集合体を回転台に載せるための移動作業が必要となる。一般に処理量を増やすためには搬送用コンベアが用いられる。この場合に搬送用コンベアから、包装対象の荷物集合体を回転台に移動する作業が加わることになる。
【0004】
特許文献3には、搬送用コンベアであるコンベアベルト26により運ばれてきた荷体24にフィルムウエブ58を巻付ける技術が記載されている。ここに記載されているフィルムウエブ58の巻付け方向は、上下方向言い換えると縦方向である。また作業員が付き添って巻付け作業が行われることが記載されている。縦方向に巻く方式は、なにも対策しなければ、コンベアベルト26を荷体24と共に巻きつけてしまうことになる。特許文献3では、給送コンベア12と取出しコンベア20とを分離し、両コンベアの間を空け、ここにリング包装装置10を配置している。このようにリング包装装置10を設ける場合に、コンベアを切り離すことが必要となる。望ましくは、このようなコンベアを分離する方法はできるだけ取りたくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-84648号公報
【特許文献2】特開2016-216052号公報
【特許文献3】特公昭59-46845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送用コンベアにより搬送されてきた荷物集合体に対して、搬送用コンベアに載せた状態で、補強のためのフィルムを荷物集合体に巻付けことが可能となることが望ましい。このためには、荷物集合体の重力が作用する方向である縦方向に対して、これを横切る方向である横方向のフィルムを巻付けることが可能なラップフィルムの巻付け装置が望ましい。さらに加えて、荷物集合体に対して自動的にフィルムの巻付けが可能な、ラップフィルムの巻付け装置が得られることが望ましい。
【0007】
自動的に荷物集合体に対してフィルムを巻付け可能とするためには、新たな課題を解決することが必要となる。例えば特許文献3に記載の方法では、巻付け用のフィルムを荷物集合体に対して上記縦方向に巻付けている。この場合はフィルムを荷物集合体に巻付けるときに生じる力が、荷物集合体を載せている台の方向となる。従ってフィルムの巻付けにより荷物集合体に加えられる力が、荷物集合体を載せている上記台によりくい止められる。このため荷物集合体が歪んだり崩れたりするのを防止できる。
【0008】
台に載せられている荷物集合体に対して、重力の方向である縦方向にフィルムを巻付ける場合には、フィルムにより荷物集合体に加えられる力が、上述したように、上記台により受け止められるので、荷物集合体のずれや崩れを防止できる。しかし荷物集合体の横方向に対しては支えが無い。もちろん横方向の支えを設けても良いが、支えが無くてもフィルムを横方向に巻付けることが可能となることが望ましい。複数の荷物が寄せ合わされて荷物集合体ができている場合でも、自動的にフィルムによる荷物集合体への巻付けが可能となることが望ましい。この場合、荷物どうしが接着されているのではなく、単に並べられて配置しているだけであり、荷物集合体に横方向の力が加わると、荷物集合体を構成している荷物がずれてしまう。
【0009】
このためには、フィルムの巻付け作業において、フィルムの張力が荷物集合体にできるだけ加わらないことが望ましい。巻付け用のフィルムによる大きな力が荷物集合体に加わると、荷物集合体がずれたり崩れたりする。もちろん荷物集合体にフィルムを巻付けていくと、フィルムにより補強され、だんだん崩れにくくなる。従って荷物集合体へのフィルムの巻き始めが、最もずれや崩れが起きやすい。現状では作業員が傍にいて、巻き始めの作業は作業員が行っている。しかし巻き始めの作業も含めて自動化できることが望ましい。
【0010】
本発明の目的は、フィルムを荷物集合体の外周面に対して水平方向に巻付けが可能で、さらに自動的に巻付け作業を行うことができる、ラップフィルムの巻付け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔第1の発明〕
第1の発明は、複数個の荷物を有する荷物集合体の外周面に巻付けるためのフィルムを供給するフィルムロールと、前記フィルムロールを前記荷物集合体の前記外周面に沿って移動するためのフィルムロール移動装置と、前記フィルムロールから供給された前記フィルムにおける前記外周面への巻付けのための開始端となるフィルム巻付け開始端を保持する端部処理装置と、を備え、
前記端部処理装置は、前記荷物集合体を搬送する搬送装置の両サイドの内の一方側に設けられ、
前記端部処理装置は、前記フィルム巻付け開始端を挟み込んで保持するための保持部を有し、
前記荷物集合体が前記搬送装置により搬送されてくる状態では、前記端部処理装置は、前記保持部を前記一方側における設定された退避ラインよりも外側に移動して保持し、
前記荷物集合体に前記フィルムの巻付けを開始する巻付け開始状態では、前記端部処理装置は前記フィルム巻付け開始端を保持する前記保持部を、前記退避ラインを越えて、前記退避ラインの内側方向である、前記荷物集合体の前記外周面に向けて移動して、前記フィルム巻付け開始端を前記荷物集合体の前記外周面に近接して保持し、
前記巻付け開始状態では、前記フィルムロール移動装置は前記フィルムロールを前記荷物集合体の前記外周面に沿って移動し、
前記フィルムロールが前記荷物集合体の前記外周面に沿って一周した状態で、前記フィルムロール移動装置は、前記保持部における前記荷物集合体の反対側を通るように、前記フィルムロールを移動し、
前記フィルムロールが前記保持部における前記荷物集合体の反対側を越えて移動した状態で、前記端部処理装置の前記保持部が、挟み込んでいた前記フィルム巻付け開始端を開放し、さらに前記保持部を上下方向に前記フィルムの幅の長さを越えて移動し、さらに前記端部処理装置は前記保持部を設定された前記退避ラインを越えて前記一方側に於ける外側に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0012】
〔第1の発明の作用効果〕
搬送されてきた荷物集合体にフィルムを自動的に巻付けることが可能なラップフィルム巻付け装置を得ることは、作業の効率向上の観点から大変重要である。しかし作業員が傍にいて、フィルムによる荷物集合体の巻付け開始や巻付け終了の作業を行っているのが現状である。前記荷物集合体は、複数個の前記荷物を重ねて、多くの場合は、多数の荷物を重ねて作られる。このため前記荷物がずれたり、崩れたりし易い。これを防ぐために前記荷物集合体の前記外周面に前記フィルムを幾重にも巻付けて補強される。
【0013】
前記フィルムによる補強をこれから開始することになる巻き始め時点では、前記荷物が最もずれ易く、また崩れ易い。第1の発明では、フィルム巻付け開始端を新しい荷物集合体における前記外周面に近接して配置し、さらにフィルムロールを前記新しい荷物集合体の前記外周面に沿って移動する。前記フィルムによる巻き始め時点、すなわち前記フィルムロールが回転を始め、前記フィルムロールから前記フィルムが引き出される最初の状態では、前記フィルムの張力は安定しない、色々変化する状態である。このような巻き始めの状態での前記フィルムの張力は、第1の発明では、前記荷物集合体に作用するのではなく、前記フィルム巻付け開始端を保持している前記保持部に作用する。もちろん前記フィルムロールは前記荷物集合体の前記外周面に沿って移動するので、前記外周面の角を通過した状態では、前記フィルムの張力が、前記荷物集合体を構成する前記荷物に作用する。しかし巻き始め状態と比較すると、前記フィルムロールの回転は安定しており、前記フィルムの張力は安定している。このため、前記フィルムの張力のピーク値を低くすることができる。例えば前記フィルムを円軌道で移動させた場合、前記荷物集合体の断面が四角形であるとすると、前記四角形の角に大きな力が加わり、前記荷物がずれたり崩れたりする可能性が高くなる。
【0014】
前記荷物集合体の前記外周面を一周するためには、前記フィルムロールは移動方向を変えるので、前記フィルムロールが移動を開始した後、前記フィルムの張力は前記荷物集合体に加わることになる。しかし第1の発明では、前記荷物集合体の前記外周面に沿って前記フィルムロールを移動することにより、前記フィルムロールからの前記フィルムの引出し速度を安定化することができる。このため前記フィルムの張力を小さい状態に維持することが可能となる。
【0015】
前記フィルムロールが、前記荷物集合体の前記外周面に沿って一周して、前記端部処理装置の前記保持部における、前記荷物集合体の反対側を越えて、前記フィルムロールが移動した状態で、前記保持部が挟み込んでいた前記フィルムの前記フィルム巻付け開始端を開放し、前記端部処理装置の前記保持部を、前記退避ラインの外に退避させる。前記フィルム巻付け開始端に、新たに前記フィルムロールから引き出された前記フィルムが密着することで、両フィルム間の空気が排除されて吸着する。このため、前記荷物集合体に大きな力が加わる可能性が低減される。このため、安定した状態で自動的に前記荷物集合体への前記フィルムの巻付けを行うことができる。
【0016】
〔第2の発明〕
第2の発明は、第1の発明のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置は、前記保持部に加えて、前記保持部に並べて配置された、前記フィルムを切断するための切断処理部を、有しており、
さらに前記保持部は前記フィルムロールに近い側に設けられ、また前記切断処理部は前記フィルムロールから遠い側に設けられている、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0017】
〔第2の発明の作用効果〕
搬送されてきた前記荷物集合体に対する前記フィルムの巻付け作業が終了した後、新たな荷物集合体に対する巻付け作業をスムーズに開始できることが、巻付け作業の自動化において大変重要である。第2の発明では、前記保持部と前記切断処理部とを、並べて配置するとともに、前記保持部を前記フィルムロールに近い側に設け、前記切断処理部を前記フィルムロールから遠い側に設けている。このようにすることで、前記保持部と前記切断処理部とを、相互に助け合う状態で動作させることができるので、作業性が向上するだけでなく、作業に伴う動作を安定して行うことができる。
【0018】
前記荷物集合体に対する前記フィルムの巻付け作業の終了時点で、前記フィルムロールから引き出されたフィルムを前記保持部で保持することができ、これにより前記フィルムを固定することができる。このため前記切断処理部による切断動作を安定して行うことができ、信頼性が向上する。一方前記保持部は、並べて配置された前記切断処理部で切断でき、前記保持部の直後で前記フィルムを切断できる。これにより前記フィルム巻付け開始端となる部分を正確に保持でき、次の作業に繋ぐことができる。
【0019】
〔第3の発明〕
第3の発明は、第2の発明のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置の前記保持部は、保持用受板と前記保持用受板に向かって移動することにより前記フィルムを挟み込んで保持するための押圧板とを有し、
前記端部処理装置の前記切断処理部は、切断穴を備えた切断用台と前記切断穴に向かって移動することにより前記フィルムを挟み込んで切断するための切断刃とを有し、
前記荷物集合体に対する前記フィルムによる巻付け作業の終了時に、前記保持部の前記保持用受板と前記切断処理部の前記切断用台とが前記荷物集合体の前記外周面に向かって移動し、前記外周面の近傍で前記保持用受板と前記切断用台とが上下方向に移動して、前記フィルムロールから引き出された前記フィルムの最終部分と前記荷物集合体の前記外周面に巻付けられた前記フィルムの内の最表面側フィルムとの間に前記保持用受板と前記切断用台とを入り込ませ、
前記押圧板が前記保持用受板に向かって移動することにより前記フィルムロールから引き出された前記フィルムの前記最終部分の内の前記フィルムロールに近い部分を保持し、
前記切断処理部が前記切断刃を前記切断用台の前記切断穴に向かって移動し、前記切断穴と前記切断刃との間に前記フィルムの前記最終部分における、前記保持部よりも前記フィルムロールから遠い位置の前記最終部分を挟み込んで切断し、
その後、前記フィルムロールおよび前記保持部、前記切断処理部を、前記一方側の方向において設定された前記退避ラインよりも外に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0020】
〔第3の発明の作用効果〕
搬送されてくる前記荷物集合体の前記フィルムによる巻付け作業を前記ラップフィルム巻付け装置により自動的にしかも安定して行うには、前記フィルムによる巻付け作業の終了時点での処理作業がたいへん重要となる。具体的には、前記フィルムの前記最終部分における切断作業や前記フィルム巻付け開始端となる部分の保持作業が正確に行うわれることが重要である。このため第3の発明では、端部処理装置の保持部の保持用受板と切断処理部の切断用台とが、互いに連動して荷物集合体の外周面に向かって移動する。さらに上下方向に移動することにより、前記フィルムロールから引き出された前記フィルムの最終部分と前記荷物集合体の前記外周面に巻付けられた前記フィルムの内の最表面側フィルムとの間に、前記保持用受板と前記切断用台との両方を入り込ませる。こうすることにより、前記端部処理装置が有する前記保持部による保持作業と前記切断処理部による切断作業とが互いに相乗効果を発揮する。
【0021】
前記荷物集合体の前記外周面に巻付ける前記フィルムは、互いの間に空気が存在しない状態とすることにより、大気圧により密着する。このため前記フィルムは薄く、またたいへん柔らかい性質を有している。このような柔らかい性質を持つ前記フィルムを正確に切断するためには固定することがたいへん重要となる。さらに前記フィルムロールは、巻付け作業において前記フィルムに掛かる張力を小さくするために、小さい力で前記フィルムを前記フィルムロールから引き出すことができる。このため前記フィルムが固定されていない状態で前記切断刃による押圧により切断しようとすると、前記フィルムロールから前記フィルムが引き出される状態となり、正確な切断が困難となる。第3の発明では、前記切断処理部に対する前記フィルムロールの側が固定されるので、正確にしかも安定して切断作業を行うことができる。
【0022】
〔第4の発明〕
第4の発明は、第3の発明のラップフィルム巻付け装置において、
前記端部処理装置は、前記切断用台における前記フィルムロールとは反対側の位置に空間を有し、さらに前記空間に対向して移動する密着用突起を備えており、
前記荷物集合体に対する前記フィルムによる巻付け作業の終了時において、前記フィルムの前記最終部分と、巻付けられた前記フィルムにおける前記荷物集合体の前記最表面側フィルムと、の間に、前記保持用受板と前記切断穴を有する前記切断用台とが入り込み込んだ前記状態で、前記端部処理装置は前記密着用突起を前記空間に向けて移動し、前記フィルムの前記最終部分における前記切断用台に対し前記フィルムロールとは反対側に位置する部分を、前記空間を通して前記荷物集合体に巻付けられた前記フィルムにおける最表面側フィルムに押付けて密着させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0023】
〔第4の発明の作用効果〕
第4の発明では、前記フィルムの前記最終部分が前記切断刃により切断されたときに、前記荷物集合体の前記外周面の前記最表面側フィルムに、前記切断刃により切断された巻き終り部分を密着させることができる。前記切断された巻き終り部分を前記外周面の前記最表面側フィルムに密着させることにより、大気圧により、前記巻き終り部分が前記最表面側フィルムに密着した状態で維持される。大変簡単な構成で、前記荷物集合体の巻付け作業を終了することができる。さらに次の新たな荷物集合体に対する巻付け開始作業に、悪影響を及ぼすことが無い。
【0024】
〔第5の発明〕
第5の発明は、第4の発明のラップフィルム巻付け装置において、
前記荷物集合体はその水平面での断面が四角形の形状をなし、
前記荷物集合体の前記フィルムによる巻付けを開始する状態において、前記荷物集合体の水平方向における前記四角形の外周面の内の第一辺の外周面ある第1外周面が、前記フィルムロール移動装置が配置されている側に位置し、
前記フィルムロール移動装置は、前記荷物集合体の搬送方向に沿う方向であるX方向に沿って前記フィルムロールを移動するX方向移動機構と、前記荷物集合体の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向に前記フィルムロールを移動するY方向移動機構と、前記フィルムロールを上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構と、を有し、
前記荷物集合体への前記フィルムの前記巻付け開始状態で、前記端部処理装置は前記フィルム巻付け開始端を保持する前記保持部を、前記退避ラインの外側から前記退避ラインを越えて前記荷物集合体の前記第1外周面の近傍に移動して、
前記フィルムロール移動装置は、前記端部処理装置の前記保持部に前記フィルム巻付け開始端が保持された状態で、先ず前記第1外周面に沿う方向である前記X方向に沿って前記フィルムロールを前記X方向移動機構により移動し、次に前記第1外周面の端部で前記搬送方向を横切る方向である前記Y方向に沿った前記荷物集合体の外周面である第2外周面に沿って前記Y方向移動機構により前記フィルムロールを移動し、次に前記荷物集合体の水平方向における前記外周面の内の前記第1外周面と対向する位置にある第3外周面に沿って前記X方向移動機構により前記フィルムロールを移動し、その次の第4外周面に沿って前記X方向移動機構により前記フィルムロールを移動して、再び前記第1外周面に沿う方向に前記フィルムロールを移動するときに、前記保持部が有する前記押圧板における前記保持用受板の反対側の面を前記フィルムロールが移動し、
その後前記保持部が挟み込んでいた前記フィルム巻付け開始端を開放し、
さらに前記押圧板および前記保持用受板を上下させて、前記押圧板および前記保持用受板を前記フィルム巻付け開始端とは対向しない位置まで移動し、さらに前記押圧板および前記保持用受板を、前記退避ラインを越えて前記フィルムロールの移動領域の外に退避させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0025】
〔第5の発明の作用効果〕
第5の発明では、前記荷物集合体の水平方向における四角形の前記外周面のそれぞれの面に沿って、前記フィルムロールを移動するために、前記荷物集合体の搬送方向に沿った方向である前記X方向に沿って移動するX方向移動機構と、前記搬送方向を横切る方向であるY方向に沿って前記フィルムロールを移動する前記Y方向移動機構と、前記フィルムロールを上下方向に移動するZ方向移動機構と、を備える。
【0026】
第5の発明では、このような構成により、前記荷物集合体の前記外周面を構成する各外周面に沿って、さらに各外周面に近い位置を前記フィルムロールの移動領域とすることができる。前記フィルムロールの移動領域と前記荷物集合体の前記外周面を構成する各外周面とが近くて、その間の距離が徹底していることにより、前記フィルムロールの移動速度の変化を抑制できる。完全に前記フィルムロールの移動速度が一定であれば、前記フィルムロールから引き出される前記フィルムに加わる張力を一定にしかも小さい値に維持することができる。実際には前記フィルムロールの移動速度が変化するが、その変化を従来の装置に比べて小さく抑えられる。このため前記荷物が積み上げられて構成された前記荷物集合体に加わる力を小さくできる。このため前記荷物集合体における前記荷物のずれや崩れを防止できる。
【0027】
前記フィルムロールの移動速度が変化すると、前記フィルムを引き出すための前記フィルムロールの回転むらが大きくなる。前記転むらによる前記フィルムのたわみが生じ易い。このため前記フィルムロールの回転を抑制するブレーキ力である回転抑制力を大きくすることが必要となる。従って前記フィルムロールから引き出される前記フィルムに加わる張力が大きくなる。上述した障害が起きやすくなる。第5の発明では、このような課題を解決できる。
【0028】
〔第6の発明〕
第6の発明は、第3の発明のラップフィルム巻付け装置において、
前記荷物集合体の水平方向における断面が四角形の形状をなし、前記四角形の外周面の内の第1辺の外周面ある第1外周面が、前記フィルムロール移動装置が配置されている側に位置し、
前記フィルムロール移動装置は、前記荷物集合体の搬送方向に沿う方向であるX方向に沿って前記フィルムロールを移動するX方向移動機構と、前記荷物集合体の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向に前記フィルムロールを移動するY方向移動機構と、前記フィルムロールを上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構と、を有し、
前記荷物集合体への前記フィルムの巻付け作業の前記終了時において、前記フィルムロールが前記第1外周面を通り過ぎた状態で、前記フィルムを巻付けるための前記フィルムロールの移動を停止し、
次に前記端部処理装置の前記保持用受板および前記切断用台を前記フィルムロールより引き出された前記フィルムにおける前記退避ラインとは反対側の面に対向するように移動し、
さらに前記フィルムロールより引き出された前記フィルムを前記保持用受板および前記押圧板で挟み込んで保持し、
前記フィルムロールより引き出された前記フィルムの内の前記切断用台より前記荷物集合体に近い側の前記フィルムを、前記切断処理部の側面で、前記外周面における最表面側フィルムに押圧して密着させる、とともに、前記フィルムロールより引き出された前記フィルムを前記切断用台および前記切断刃で挟み込んで切断する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置、である。
【0029】
〔第6の発明の作用効果〕
第6の発明では、切断された前記フィルムの切断位置より前記荷物集合体側に位置する巻付け部分の最終部分を、切断処理部を前記荷物集合体の側へ移動することにより、簡単に巻き付けを終了している部分に密着させることができる。また前記フィルムの切断位置よりフィルムロールの側を、前記保持部で保持し、反対の側である前記荷物集合体の側を前記外周面における最表面側フィルムに押圧して密着させるので、切断作業が容易である。さらにまた切断位置より荷物集合体側のフィルムである巻き付けられたフィルムの最終部分が密着するので、剥がれない状態で保持される。荷物集合体へのフィルムの巻き付け作業を自動化する上で大変有効である。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フィルムロールから引き出されたフィルムを、搬送されていた荷物集合体における外周面に対して水平方向にフィルムの前記巻付けが可能で、さらに自動的に巻付け作業を行うことができる、ラップフィルムの巻付け装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明が適用されたラップフィルム巻付け装置100とフィルム40の巻付け対象である荷物集合体20との関係を説明する説明図である。
【
図2】本発明が適用されたラップフィルム巻付け装置100の概要を説明する説明図である。
【
図3】荷物集合体20へのフィルム40の巻き始めに関する作業の開始前の状態を説明する説明図である。
【
図4】フィルム40による巻き始めの状態でのフィルムロール30の移動を説明する説明図である。
【
図5】荷物集合体へのフィルムの巻き始めの状態におけるフィルムロール30の移動動作について説明する説明図である。
【
図6】荷物集合体へのフィルムの巻き付作業において、巻付け開始の状態から通常の巻付け作業の状態への移行について説明する説明図である。
【
図7】端部処理装置210の構成、およびフィルム40による巻付け作業の終了時の動作について説明する説明図である。
【
図8】端部処理装置210の保持部230の具体的な構成をおよび保持部230が有する支持機構240に関する構成の説明図である。
【
図9】フィルムロール30が荷物集合体20の外周面22などに接触したことを検出する構成の説明図である。
【
図10】荷物集合体20へのフィルム40の巻付け終了作業の代案を説明するための説明図である。
【
図11】荷物集合体20へのフィルム40の巻付け終了作業の代案において使用する切断処理部220の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明が適用されたラップフィルム巻付け装置100について、実施例を用いて説明する。なお以下の実施例で、同一符号は同様の作用を為し、同様の効果を奏する。説明の煩雑さを避けるために、同一符号に対する作用や効果を含む説明を省略することがある。
【0033】
1.本発明が適用されたラップフィルム巻付け装置100の基本構成
図1は、本発明が適用されたラップフィルム巻付け装置100と、フィルム40の巻付け対象である荷物集合体20との関係を説明する説明図である。また
図2はラップフィルム巻付け装置100の基本的な構成を説明する説明図である。荷物集合体20は、複数個の荷物10を寄せ集めて構成されており、パレット14に載せられた状態で、搬送用コンベア16に載せられて搬送されてくる。なお本実施例では、搬送方向18を矢印で示す。
図3は荷物集合体20に対するフィルム40による巻付け作業の開始前の状態を示す。
【0034】
この実施例は一例であるが、例えば共通する性質の荷物10が搬送用コンベア16の移動に基づいて集められ、運搬用のパレット14の上に荷物集合体20として積み上げられる。次に荷物集合体20自信を固定すると共に、荷物集合体20とパレット14とを一体に、フィルム40により固定する。パレット14に荷物集合体20を固定することにより、パレット14を、一般に用いられている運搬車により自由に運搬することが可能になる。
【0035】
搬送用コンベア16により荷物集合体20が搬送されてきた状態では、搬送用コンベア16により運ばれてくるパレット14の上に、複数の荷物10が単に積み上げられている状態であり、積み上げられた荷物10自身が互いに固定されて状態ではない。さらにこれら積み上げられた荷物10により構成される荷物集合体20とパレット14とは、固定されていない状態である。このため、複数個の荷物10で構成されている荷物集合体20自信を補強することが必要であり、さらに荷物集合体20をパレット14に固定することが必要である。
【0036】
複数あるいは多数の荷物10が積み上げられて構成されている荷物集合体20自身の固定や荷物集合体20とパレット14との固定には、例えば、フィルムロール30状に巻かれたフィルム40が以前から使用されている。パレット14の上に積み上げられた荷物10をフィルム40で巻付けるには、パレット14状の荷物集合体20が不安定であり、荷物10がずれたり崩れたりするため、補助のために作業員が付いていて、一部を手作業で行うことが必要であった。特にフィルム40による荷物集合体20への巻付け作業の開始時には、複数あるいは多数の荷物10が積み上げられた状態で構成される荷物集合体20自身がたいへん不安定であり、積み上げられた複数あるいは多数の荷物10は非常にずれ易く、また崩れやすい。以下説明する実施例では上記巻付け作業を自動化することができる。以下の実施例では、フィルム40による荷物集合体20への巻付け作業の開始時における積み上げられた複数あるいは多数の荷物10は非常にずれ易いにもかかわらず、これら荷物10のずれを抑制でき、さらに積み上げられた荷物集合体20の崩れを防止できる。この結果として、フィルム40による荷物集合体20自身の補強や、荷物集合体20とパレット14との固定の作業を、自動化できる。
【0037】
図1では、搬送用コンベア16とラップフィルム巻付け装置100との配置関係が分かるように、搬送用コンベア16と搬送用コンベア16により搬送されてきた荷物集合体20との関係を記載している。しかし
図2では、ラップフィルム巻付け装置100の基本的な構成を説明する目的から、搬送用コンベア16や荷物集合体20の記載を削除している。また
図3では、巻き始め状態を説明するためにフィルムロール移動装置120の記載の大部分を省略している。
【0038】
図3は搬送用コンベア16により運ばれてくる荷物集合体20の上から見た平面図である。記載を一部省略しているがラップフィルム巻付け装置100が、搬送用コンベア16の両サイドの内の一方のサイドである一方側17を示す矢印の方に設けられている。
図1から
図3において、ラップフィルム巻付け装置100の全体を支えるための底部102が、パレット14や荷物集合体20を搬送するための搬送用コンベア16の下に配置されている。この底部102の内部には、ラップフィルム巻付け装置100に関する全体の動作を制御する制御装置104や必要な電力を各駆動機構に供給するための電力供給装置106が設けられている。これは一例であり、制御装置104や電力供給装置の配置106は、底部102に限る必要が無く、他の場所、例えば支持装置126の内部にあっても良い。
【0039】
ラップフィルム巻付け装置100は底部102に支えられた支持装置126を有しており、以下で説明するフィルムロール移動装置120や端部処理装置210が、搬送用コンベア16の両サイドにおける一方のサイド17に設けられている。端部処理装置210は、フィルム40のフィルム巻付け開始端44を挟み込んで保持する保持部230と、フィルム40のフィルム巻付け終了端46を切り離すための切断処理部220と、を備えている。またフィルムロール移動装置120は、フィルムロール30を搬送用コンベア16の移動方向に沿った方向であるX方向に移動するためのX方向移動機構140と、フィルムロール30を搬送用コンベア16の移動方向を横切る方向であるY方向に移動するY方向移動機構170と、荷物集合体20の重力の方向に沿った方向である上下方向にフィルムロール30を移動する上下方向移動機構180とを有している。X方向移動機構140やY方向移動機構170、上下方向移動機構180は、底部102に固定された支持装置126により支持されている。X方向移動機構140やY方向移動機構170、上下方向移動機構180は、移動するための複数のモータが設けられている。ここではこれらモータの図示は、省略している。これらのモータを駆動するための電力や制御信号は、制御装置104や電力供給装置106から支持装置126を介して送られる。
【0040】
X方向移動機構130は搬送用コンベア16の搬送方向に沿ってフィルムロール30を移動するためのガイド134を有しており、フィルムロール30を備えたZ方向移動機構190やY方向移動機構170をガイド134に沿って移動することができる。
図3に示す荷物集合体20の外周面22に沿って外周面22を一周するためには、
図2に記載の矢印132の示す方向および矢印133の示す方向の動きが必要であり、制御装置104からの指示に従いY方向移動機構170の内部に設けられたモータの回転方向が制御される。さらに切断処理部220や保持部230を備えた端部処理装置210もガイド134に沿ってX方向131に移動することができる。制御装置104からの信号に基づき、端部処理装置210に設けられたモータが制御され、矢印132や矢印133の示す方向に移動する。なお、切断処理部220や保持部230を備えた端部処理装置210はX方向131に移動する必要は必ずしもない。端部処理装置210の使用方法として、X方向131に移動しても良いし、移動しなくても自動化が実現できる。端部処理装置210の具体的な説明は以下で行う。
【0041】
フィルムロール移動装置120によりX方向131に移動するY方向移動機構170は、Z方向移動機構190を備えていて、搬送用コンベア16の搬送方向を横切る方向であるY方向171に沿って、フィルムロール30を支持するZ方向移動機構190を移動させる機能を有している。フィルムロール30を支持しているZ方向移動機構190を、Y方向移動機構170によりY方向171に沿って移動できるので。結果としてフィルムロール30をY方向171に移動することが可能となる。
図3に記載のように、荷物集合体20は水平方向の断面がほぼ四角形である。従って荷物集合体20の外周面22を一周させるためには、X方向131に沿ってフィルムロール30を矢印132や矢印133の方向に移動することが必要であり、またY方向171に沿って矢印172や矢印173の方向に移動することが必要となる。
【0042】
荷物集合体20は上下方向において所定の長さを有しており、また荷物集合体20とパレット14とを固定するためにも、フィルムロール30を上下させることが必要となる。Z方向移動機構190は図示していないが、フィルムロール30を支持する回転軸50を上下させるためのモータを内蔵している。制御装置104からの指示により、上記内蔵されているモータが制御され、回転軸50がZ方向191に沿って矢印192に示す方向あるいは矢印193に示す方向に移動する。
【0043】
回転軸50に対して回転可能な回転軸受60が設けられており、この回転軸受60の外周にフィルムロール30の内側の孔がはまり込む状態で、フィルムロール30が回転軸受60に固定される。回転軸受60の回転摩擦がゼロに近い場合には、フィルムロール30の回転変動でフィルムロール30が必要以上にフィルム40が引き出され、フィルム40たわむ恐れがある。トルクブレーキ62が設けられており、回転軸受60による回転に対して小さな制動力が加えられる。この制動力の大きさは調整可能であり、経時変化に対応できる構成となっている。
【0044】
2.フィルム40による荷物集合体20への巻付け作業の開始動作
2.1 ラップフィルム巻付け装置100の全体構成および基本動作の説明
図3は、これからフィルム40による巻付け作業を行う対象の荷物集合体20が搬送用コンベア16により搬送されてくる状態を示す。退避ライン70が設定されており、フィルムロール30や保持部230や切断処理部220が搬送用コンベア16の両側面の内の一方側17において、退避ライン70よりも外に退避状態に維持される。退避ライン70は、荷物集合体20の到着状態での予定された外周面22より所定距離L1の余裕を見て設定されている。この実施例では、一例として搬送方向18に従って荷物集合体20が搬送されてくる。荷物集合体20の形状が変化しても、あるいは搬送用コンベア16に対する荷物集合体20の位置が変動しても、荷物集合体20の外周面22が退避ライン70を超えることが無い。
【0045】
荷物集合体20は、
図1や
図2などに記載のフィルムロール移動装置120や端部処理装置210に対応した位置で停止する。荷物集合体20には、複数個、通常は多数の荷物10を積み上げており、
図3の例では、荷物集合体20の最上部に9個の荷物10が配置されている。この実施例では、パレット14は表れていないが、荷物集合体20はパレット14の上に配置されている。上述したようにパレット14に載せられた荷物集合体20が搬送用コンベア16により移動している状態では、フィルムロール30や、端部処理装置210が有する切断処理部220や保持部230は、少なくとも退避ライン70の外側、すなわち退避ライン70の外側である支持装置126の側に、退避した状態で保持される。フィルムロール30は、搬送されてくる荷物集合体20との接触を避ける目的では、荷物集合体20より高い位置に退避しても良い。しかし、次に記載の理由で、荷物集合体20の側面から所定距離L1以上離れた退避ライン70の支持装置126側に退避することが望ましい。
【0046】
荷物集合体20へのフィルム40による巻付け作業の開始状態では、保持部230により保持されているフィルム巻付け開始端44とフィルムロール30との間に存在するフィルム40は、ゆるみが無い方が望ましく、さらに、上記フィルム40は張力が均一であること、さらに上記張力の値が小さいことが望ましい。フィルム巻付け開始端44とフィルムロール30との間のフィルム40にしわやゆるみがあると、フィルム40と荷物集合体20の外周面との間に空気の層ができ、フィルム40が荷物集合体20の外周面22に密着し難くなる。また巻付けたフィルム40の二層目においても、巻付けたフィルム40の一層目との間に空気の層ができないことが望まして。もし空気の層ができると密着し難くなる。このため、巻き始めの状態では、フィルムロール30の高さが、保持部230に保持されたフィルム巻付け開始端44と同じ高さ関係であることが望ましい。この観点からフィルムロール30と保持部230に保持されたフィルム巻付け開始端44とは、共にフィルムロール移動装置120の支持装置126が設けられている搬送用コンベア16の一方のサイド17に、フィルムロール30とフィルム巻付け開始端44とがほぼ同じ高さで、退避ライン70の外側に退避されることが望ましい。
【0047】
搬送用コンベア16により搬送されてきたパレット14に載せられた荷物集合体20が、ラップフィルム巻付け装置100が配置されている位置まで搬送されてきて、指定された位置である、フィルムロール移動装置120や端部処理装置210に対応した位置で停止する。荷物集合体20の移動停止に基づき、退避ライン70の外側に退避していたフィルムロール30と端部処理装置210の保持部230に保持されていたフィルム巻付け開始端44とが共に連動して、荷物集合体20の外周面に近接した位置に移動する。この時フィルムロール30と保持部230に保持されたフィルム巻付け開始端44とが同じ高さにあるので、フィルムロール30と保持部230との間のフィルム40にしわが生じる可能性が低減される。具体的には、フィルムロール30は
図2に記載のY方向移動機構170により、退避ライン70の外側に保持されていた退避状態から荷物集合体20の外周面に近接するように矢印172の方向に移動する。またフィルム巻付け開始端44を保持する保持部230も、同様に退避ライン70の外側に保持されていた退避状態から荷物集合体20の外周面に近接するように矢印172の方向に移動する。上述したフィルムロール30の移動と保持部230の移動は互いに連携した状態で、制御装置104により制御された状態で行われる。このため、フィルムロール30と保持部230との間のフィルム巻付け開始端44は、一定の低い値の張力が作用し続け、しわの無い状態に維持される。
【0048】
フィルムロール30や保持部230の矢印172の方向への移動時に、これらが荷物集合体20に勢いよく衝突すると、荷物集合体20を構成する荷物10がずれたり崩れたりする恐れがある。このためフィルムロール30や保持部230には、荷物集合体20の外周面に密着した状態を検出するセンサが設けられている。例えば
図9にフィルムロール30の荷物集合体20の外周面22にフィルムロール30が接触した状態を検知するセンサの一例を示す。フィルムロール30を回転可能に支える回転軸受60の内部に、フィルムロール30の外周が他と接した時の反力を検知する検出器を内蔵している。回転軸50と回転軸受60の内面との変化をY1センサ32やY2センサ34、X1センサ36、X2センサ38の出力の相対変化で検知する。フィルムロール30が矢印172の方向に移動してフィルムロール30の外周面が荷物集合体20の外周面22に接するとY1センサ32が押圧され、Y2センサ34が減圧される。Y1センサ32とY2センサ34との出力の変化により、フィルムロール30が荷物集合体20の側面に衝突したことを検知できる。他の方向についても同様である。衝突した時の反力を検出して移動を停止したり逆方向に移動させたりして、フィルムロール30と荷物集合体20の外周面や荷物集合体20巻付けられたフィルム40の外周面との位置関係を制御することができる。さらにこの検出器により、フィルムロール30から引き出されるフィルム40の張力の変化を検知して、フィルムロール30の張力の変化を抑制したり異常状態の発生を検知したりすることができる。またフィルム40のたるみも検知できる。
【0049】
同様に端部処理装置210の保持部230や切断処理部220にも、荷物集合体20の外周面22や外周面22に巻付けられたフィルム40を検出する検出器が設けられている。例えば検出用の突起が設けられており、上記突起が荷物集合体20の外周面22や外周面22に巻付けられたフィルム40に当たると信号が発生して制御装置104に伝え、保持部230や切断処理部220の移動を停止する機能を有している。
【0050】
2.2端部処理装置210に関する構成の説明
図1から
図7においては端部処理装置210に関する詳細な記載を省略している。端部処理装置210の具体的な構成および保持部230や切断処理部220の具体的な構成を
図7および
図8を用いて説明する。
図7は、フィルム40による荷物集合体20への巻付け作業における終了状態を示している。巻付け作業における終了作業での動作は、以下で説明する。巻付け作業における各構成の配置図を基にここでは、端部処理装置210の構成を説明する。
図7は、保持部230や切断処理部220における動作状態を示している。なお、
図7や
図8は、保持部230や切断処理部220の構成の一例である。また
図8は
図7のA―A断面図であり、保持部230に対してフィルムロール30の反対側の方から見た図である。本来ならば断面には斜線をお記載すべきであるが、煩雑になるので斜線を省略する。
【0051】
図7と
図8に記載の端部処理装置210は、
図2などに記載のフィルムロール移動装置120により搬送用コンベア16の搬送方向であるX方向131に沿って移動可能である。具体的には支持機構240がフィルムロール移動装置120のX方向移動機構130により、ガイド134に沿って移動することができる。支持機構240は、保持部230の保持用受板232や切断処理部220の切断用台221を、退避ライン70の外側である荷物集合体20に対して反対方向の退避位置に退避させたり、退避位置から退避ライン70を越えて荷物集合体20の外周面22に接近させたりする移動機構242を有している。これらの移動は、底部102に設けられている制御装置104による指令により行われる。
【0052】
移動機構242には支持手段246に支えられた上下機構244が設けられている。上下機構244は上下支柱248を上下させて、上下支柱248に固定された退避台212を上下される機能を有している。退避台212を上下されることにより、退避台212に固定された保持用受板232や切断用台221を上下することができる。さらに退避台212を上下させることにより、退避台212に沿って移動する支持手段228や押圧板234を上下することができる。支持手段228と押圧板234とが常に連動して上下するので、支持手段228や押圧板234は保持用受板232や切断用台221に対して常に所定の上下関係で上下する。なお、支持手段228には切断刃223や密着用突起227が固定されており、切断刃223や密着用突起227は切断用台221に対して常に一定の上下関係に保持される。
【0053】
押圧軸236や切断刃223および密着用突起227を備える支持手段228は、退避台212の上面を移動する。退避台212に対して固定された位置にある移動手段245により押圧軸236や操作軸226を移動させて、保持用受板232と押圧板234との間隔や、切断刃223と密着用突起227を有する支持手段228と切断用台221との間の距離を変えることができる。また密着用突起227を密着用空間225を通して荷物集合体20の外周面22に密着させることができる。支持手段246により押圧軸236を保持用受板232の方に移動することで、保持用受板232と押圧板234との間にフィルム巻付け開始端44を挟み込むことができる。また逆に押圧板234を保持用受板232から遠ざけることにより挟み込んだフィルム巻付け開始端44を開放することができる。
【0054】
この実施例では、上下機構244により、保持用受板232や切断用台221を備えた支持手段228を、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の下の位置まで下げることができる。
図8で〇印は移動用のローラを表している。上下支柱248に支持された退避台212および押圧軸236を下げた状態で、移動機構242を荷物集合体20側に移動することにより、退避台212に設けられた保持用受板232や切断用台221を、フィルムロール30から引き出されたフィルム40における荷物集合体20の側に移動することができる。
【0055】
この状態で、上下機構244により上下支柱248を上側に移動すると、フィルムロール30から引き出されたフィルム40と、荷物集合体20の外周面22に巻かれた最表面側フィルム25との間に、保持用受板232や切断用台221を挿入することが可能となる。この状態を
図7に示す。例えば保持用受板232の上端部を薄くすると、保持用受板232を、新たにフィルムロール30から引き出されたフィルム40と、荷物集合体20の外周面22における最表面側フィルム25と、の間に挿入し易くなる。
【0056】
保持用受板232をフィルム40と荷物集合体20の外周面22との間に挿入した後、移動手段245により、押圧軸236を保持用受板232の方に移動し、保持部230の押圧板234を保持用受板232に向けて押圧軸236により移動して、巻き終り部分のフィルム40を挟み込むことで、これを保持することができる。同様に移動手段245により、切断刃223や密着用突起227を有する支持手段228を、操作軸226により切断用台221の方に移動することができる。支持手段228を切断用台221に向けて移動することにより、切断用台221のフィルムロール30に対して反対方向の脇に形成された密着用空間225に、密着用突起227が挿入され、例えばフィルム40の巻き終り部分を、荷物集合体20の外周面22に巻付けられた最表面側フィルム25に密着させることができる。
【0057】
例えばフィルム40による荷物集合体20の外周面22への巻付けの最後で、フィルム40のフィルムロール30に対して反対側を密着用突起227により、荷物集合体20の外周面22に巻付けられた最も外側に位置する最表面側フィルム25に密着させ、さらにフィルム40のフィルムロール30側を保持用受板232と押圧板234とで挟み込むことで、フィルム40を固定できるので、切断刃223によるフィルム40の切断時に、切断処理部分のフィルム40のたわみを防止できる。この状態で切断刃223が上述の固定されたフィルム40を切断用台221に設けられた切断穴222に押付ける。この動作により、巻付け作業の最終部分のフィルム40を正確にしかも確実に切断できる。密着用突起227による上述の密着動作により、切断されたフィルム40において、フィルムロール30に対して反対側の部分は、荷物集合体20に巻付けられたフィルム40の最終部分41として荷物集合体20の巻付けられたフィルム40の最表面側フィルム25に密着した状態で長く維持される。
【0058】
本実施例では、密着用突起227によりフィルム40を、密着用空間225を介して荷物集合体20の外周面22に密着させることにより、切断された最終部分41は、荷物集合体20の外周面22に巻付けられた最表面側フィルム25に対して、密着した状態を維持するので、最終部分41と荷物集合体20の外周面22に巻付けられた最も表面側の最表面側フィルム25との間には空気の層ができにくく、大気圧により、最終部分41が荷物集合体20の外周面22に巻付けられた最も表面側のフィルム40に密着した状態で維持される。
【0059】
2.3 全体構成および端部処理装置210の構成に関する作用効果の説明
ラップフィルム巻付け装置100がコンパクトになり、搬送用コンベア16への据え付けが容易となる。具体的に歯、ラップフィルム巻付け装置100の底部102を搬送用コンベア16の下側に設けることができ、専用の使用面積を大幅に低減できる。また搬送用コンベア16の両サイドの内の一方にラップフィルム巻付け装置100の主要構成を集めることができるので。搬送用コンベア16のサイドの他方側を開放できる。さらに搬送用コンベア16の上を覆う構成を非常に小さくでき、搬送用コンベア16への負担を少なくできる。搬送用コンベア16やラップフィルム巻付け装置100のメンテナンス等観点で大変有効である。さらにフィルム40の巻きつれ作業が終わった荷物集合体20が固定されたパレット14を運搬するための運搬車両を、解放された搬送用コンベア16の上記他方側に配置することができる。
【0060】
以下で具体的に説明するが、フィルムロール30とフィルム巻付け開始端44を保持する保持部230とを連携して移動することができ、互いに連携して退避することができる。フィルム40の巻付け開始時には、フィルム巻付け開始端44を保持する保持部230とフィルムロール30とを連携して、退避ライン70を越えて退避位置から荷物集合体20の外周面22の方に移動できる。このためフィルムロール30とフィルム巻付け開始端44との間のフィルム40を、しわの無い状態に維持し易い。さらに巻付け開始時点の力が保持部230に加わることになり、荷物集合体20には強い力が加わらない。このため、フィルム40の巻付け開始状態における荷物10のずれや崩れを防止できる。さらに保持部230を備える端部処理装置210とフィルムロール30を備えるY方向移動機構170とが、共に保持部230のガイド134に沿って、
図2に示すX方向131の方向に移動可能である。フィルムロール30と保持部230との間の距離を適正に維持することが可能となる。
【0061】
荷物集合体20に対する巻付け作業の最終状態で、荷物集合体20に巻付けられたフィルム40の最終部分41を切り離すための切断処理部220とフィルムロール30との間に保持部230が位置する配置関係となる。このため保持部230でフィルムロール30からのフィルム40を固定した状態で、切断刃223によりフィルム40の最終部分41を切り離すことが可能となる。この結果、フィルム40の最終部分41の切離し作業において、フィルムロール30から不必要にフィルム40が引き出される恐れが無い。さらに切断処理部220によりフィルム40の最終部分41が切り離されたことにより、保持部230により保持されたフィルム40が、そのまま次の荷物集合体20に対するフィルム巻付け開始端44として利用できる。このことは自動化を実現するうえで大変大きな効果を奏する。
【0062】
フィルム40による巻付け作業の最終状態で、切り離されたフィルム巻付け開始端44が保持部230により保持されたまま、フィルムロール30と連携して退避ライン70の外側に退避できる。次の荷物集合体20が搬送されてきた状態で、フィルムロール30と保持部230とが、連携して巻き始め作業の開始状態に移ることができる。この状態で、荷物集合体20における巻き始め作業の開始位置に、フィルムロール30と保持部230とが連携した状態で、最適な距離を維持しながら移動できる。このようなことにより自動化が可能となり、自動化の作業においてを最もトラブルが生じ易い巻付け開始作業を、非常に安定した状態で行うことができる。
【0063】
巻付け作業の終了時点で、切断処理部220の切断用台221が保持部230の保持用受板232と共に、フィルムロール30から引き出されたフィルム40と、既に荷物集合体20の外周面22に巻付けられている最表面側フィルム25と、の間に入り込む状態となり、維持される。上述したように切断処理部220には、切断刃223の保持部230から遠い側に密着用空間225が設けられている。切断処理部220の支持手段228は、切断刃223に加えて密着用突起227を有している。切り離しの対象となるフィルム40の最終部分41において、切断刃223が作用する切断穴222の両サイドの内の一方側を保持部230で固定し、さらに他方側を密着用突起227が密着用空間225に入り込むことにより固定する。この結果、切断刃223と切断穴222とによる最終部分41の切離し作業がたいへん容易となり、安定して切断作業を行うことが可能となる。
【0064】
さらに優れていることは、切り離された最終部分41が、既に荷物集合体20の外周面22に巻付けられている最表面側フィルム25に、密着することである。この密着動作により、最終部分41と荷物集合体20の外周面22に巻付けられている最表面側フィルム25との間の空気層を除去でき、密着状態を長く維持することができる。
【0065】
3.荷物集合体20へのフィルム40の巻付け開始作業に関する具体的な動作の説明
図3から
図6を用いて荷物集合体20へのフィルム40の巻付け開始作業を説明する。
図3は新たな荷物集合体20を待つ、保持部230や切断処理部220の退避状態を示している。なお、フィルムロール30や保持部230の状態を説明するために、X方向移動機構130やY方向移動機構170の記載を削除している。既に上述したが、荷物集合体20が搬送用コンベア16により搬送されている状態では、上記搬送の邪魔にならないように、フィルムロール30や保持部230は退避ライン70の外に退避している。フィルムロール30と保持部230とは互いに接近した状態で、保持されているので、保持部230により保持されたフィルム巻付け開始端44とフィルムロール30との間のフィルム40の引出し長さが短く、維持されている。このためフィルムロール30から引き出されたフィルム40は、風などの影響を受けることがない。さらに互いにその位置が固定しているので、振動によりフィルムロール30からフィルム40が不必要に引き出されることもない。
図2に記載のようにフィルムロール30の自由な回転を抑制するトルクブレーキ62が回転軸受60に付いており、常に弱い制動力が働いている。このことからも、フィルムロール30からフィルム40が不必要に引き出されるのが抑制される。
【0066】
このトルクブレーキ62は、フィルムロール30の回転速度のむらにより、フィルムロール30から不必要にフィルム40が引き出されるのを防止することもできる。上述したようにフィルムロール30の移動速度における変動が大きいと、フィルムロール30から不必要にフィルム40が引き出されるのを防止するために、トルクブレーキ62の制動力を大きくすることが必要となる。この場合、
図5に示す荷物集合体20の角24に与える力が大きくなる。荷物集合体20を構成する荷物10のずれや崩れを防ぐには、荷物集合体20の角24に与える力が小さい方が望ましい。このことは荷物集合体20の他の角に対しても同じである。フィルムロール30の移動速度を安定させることにより、トルクブレーキ62の制動力を小さくできる。このため、荷物集合体20の外周面22に沿って移動させることにより、フィルムロール30の移動速度の変動を少なくし、フィルムロール30の回転変動を小さくすることが可能となる効果は、たいへん大きい。
【0067】
荷物集合体20の搬送が停止すると、フィルムロール30と保持部230が連動して、退避場所から荷物集合体20の外周面22に近接した位置に移動する。上述したようにフィルムロール30に荷物集合体20の外周面22に接触した状態を検出する検出手段を有していても良い。フィルムロール30と保持部230が共に荷物集合体20の外周面22に近接した位置に移動すると、
図4に記載のごとく、フィルムロール30が保持部230から離れる方向に移動する。この移動は、
図2に示すX方向移動機構130のガイド134に沿うようにして行われるので、荷物集合体20の外周面22に沿ってフィルムロール30が移動する。このため、フィルムロール30の移動に伴う力がフィルム40を介して保持部230に加わる。フィルムロール30の移動開始時に大きな力が発生したとしても、その力は保持部230に作用し、荷物集合体20にほとんど作用しない。このため、荷物集合体20を構成する荷物10のずれや崩れが生じにくくなる。
【0068】
図6は、荷物集合体20へのフィルム40の巻付け開始作業から、通常の巻付け作業への移行を説明するための図である。
図4で説明したように、フィルム巻付け開始端44が保持部230に保持された状態で、荷物集合体20へのフィルム40の巻付け作業が開始される。その後、フィルムロール30が荷物集合体20の外周面22を少なくとも一周した状態を、
図6は示している。保持部230はフィルム40のフィルム巻付け開始端44を保持しており、フィルムロール30は、フィルム巻付け開始端44を保持している状態の保持部230の保持用受板232と押圧板234とを挟み込むようにして、押圧板234の一方側17を越えて、移動する。このため。フィルム巻付け開始端44を保持している保持部230の保持用受板232と押圧板234とが、フィルムロール30から新たに引き出されたフィルム40と、荷物集合体20の外周面22と、の間に挟まれた状態となる。なお、
図4で移動領域122は、フィルムロール30が荷物集合体20の外周面22に沿って移動する場合の、移動の領域を示す。この移動領域は、荷物集合体20の外周面22に基づいて予め設定される。荷物集合体20の外周面22には、その都度バラツキに基づく違いがあるが、荷物10を構成する大きさが特定されれば、荷物集合体20の外周もほぼ定まる。このため移動領域122を予め設定することができる。
【0069】
図4に記載のごとく、フィルムロール30は予め設定した移動領域122を移動する。移動領域122は荷物集合体20の外周面22に近接して設けられており、フィルムロール30と荷物集合体20の外周面22との間は、ほぼ一定に保たれる。このことにより、フィルムロール30を一定速度で移動すると、フィルムロール30からフィルム40が引き出されることによるフィルムロール30の回転速度が、ほぼ一定であり、安定に保たれる。このことから上述したように、フィルムロール30からフィルム40が必要以上に引き出されて、有り余る状態となったり、逆にフィルム40の引出しのために大きな力がフィルム40に加わったりすることが生じ難くなる。このため
図2に記載のトルクブレーキ62の制動力を小さな値に設定することができる。荷物集合体20を構成する荷物10に作用する力が大きく変動するのを抑制できる。
【0070】
上述のとおり、荷物集合体20の外周面22を少なくとも一周したフィルムロール30が、押圧板234の保持用受板232とは反対側を通過して移動し、先に巻付けられたフィルム40の最表面側フィルム25において、重なり長さが所定の長さである長さL2の位置に達すると、
図7や
図8に記載の押圧軸236が一方側17の方に少し移動し、保持用受板232と押圧板234との間に挟み込んでいたフィルム巻付け開始端44を開放する。この押圧板234の一方側17への動きにより、新たにフィルムロール30から引き出されたフィルム40を少し一方側17に膨らませる。このことにより新たに引き出されたフィルム40と保持用受板232との間に若干の空間ができ、押圧板234と新たに引き出されたフィルム40とが引っかかることが無い。この動きは、荷物集合体20の外周面22における四角形の一片の長さからすると、無視できる程度であり、若干空気が入り込むが、問題にならない程度である。
【0071】
次に
図8に記載の上下支柱248が上下機構244により下方向に移動させられる。
図8に記載の退避台212は、かなり下方に位置する状態を示している。しかし実際にフィルム40の巻付け開始状態では、退避台212はもう少し上の位置である所定の長さだけ高い位置にある。この所定の長さは、フィルム40の幅に対して数倍の長さよりあるかに長い長さに対応した高さの位置である。この高さから、上下支柱248が下方に移動することのより、上下支柱248に支持された退避台212が、フィルム40の横幅の長さ以上の長さ分、下方に移動する。退避台212を下方に移動することにより、押圧板234や保持用受板232が下方に移動する。この結果、押圧板234や保持用受板232は、押圧板234の一方側17に存在したフィルム40とは対向しない状態、すなわち押圧板234の一方側17に存在していたフィルム40に対して、十分に下方側に外れた位置に、押圧板234や保持用受板232、切断用台221、が下げられて保持される。
【0072】
次に移動機構242が一方側17の方向に移動して、押圧板234や保持用受板232、および切断用台221を備えた退避台212が、退避ライン70を越えて一方側17に移動し、退避状態となる。一方フィルムロール30は荷物集合体20の外周面22に沿って移動しフィルム40による巻付け作業を続ける。
図2に記載のようにフィルムロール30はZ方向移動機構190により、高さ方向においても連続的に移動方向を変化させることが可能であり、荷物集合体20の上下方向においても全体に、フィルム40を巻付けることができる。荷物集合体20はフィルム40により補強されるとともに、パレット14との間もフィルム40により固定される。
【0073】
保持部230の保持用受板232や、切断処理部220の切断用台221には、フィルム40を挟み込むための力やフィルム40を切断するための力が加わるが、これらの力はその値が非常に小さい値であるので、保持用受板232や切断用台221を薄くすることができる。また押圧板234も薄くすることができる。従って
図6に示す、荷物集合体20の外周面22と、保持部230の押圧板234の外側を移動したフィルムロール30から引き出されたフィルム40との間の長さおよび空間は、実際には、荷物集合体20の四角形の外周面22の一片の長さに対して、非常に小さい値である。このため保持用受板232や押圧板234によりできる空間は、ほとんど悪影響を生じない大きさである。
【0074】
4.荷物集合体20へのフィルム40の巻付け終了作業に関する具体的な動作の説明
先に説明した
図7は、フィルムロール30から引き出されたフィルム40による荷物集合体20の巻付けの最終状態を示している。巻付け作業の最終状態になると、フィルムロール30が、退避状態にある端部処理装置210の保持部230や切断処理部220の対向位置で、移動を停止する。退避状態にあった保持部230や切断処理部220は、停止したフィルムロール30から引き出されているフィルム40に対して、十分に低い位置に保持されている。
図8に記載の移動機構242が荷物集合体20の外周側に移動する。この移動機構242の移動により、保持用受板232や切断用台221は、荷物集合体20の外周面22に巻付けられたフィルム40の内の最表面側フィルム25に近接した状態となる。
【0075】
保持用受板232や切断用台221、あるいはこれらを保持する退避台212の荷物集合体20側の端部に、接触を検知するセンサを設けることにより、より正確に保持用受板232や切断用台221を外周面22に巻付けられたフィルム40の内の最表面側フィルム25に対して位置決めすることができる。
【0076】
移動機構242により保持用受板232や切断用台221と荷物集合体20の外周面22に巻付けられたフィルム40の内の最表面側フィルム25との位置関係が決まると、次に
図8に示す上下機構244により上下支柱248が上昇する。保持用受板232や切断用台221が、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分41の裏側である最表面側フィルム25側に入り込む。これによりフィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分41が保持用受板232と押圧板234との間に入り込む。
図7に記載の状態となる。
【0077】
次に
図8に記載の移動手段245により押圧軸236や操作軸226が、保持用受板232や切断用台221の方に移動する。この移動により、フィルム40の最終部分41は保持用受板232と押圧板234との間に挟まれて保持される。さらに操作軸226の移動により、操作軸226に保持された支持手段228が荷物集合体20の方に移動し、密着用突起227が密着用空間225を通して、荷物集合体20の外周面22側に移動する。上述したように最終部分41が、密着用突起227により、荷物集合体20の外周面22に巻付けられたフィルム40の最表面側フィルム25に密着した状態で保持される。切断用台221の切断穴222の両側が保持部230や密着用突起227により固定されるので、切断刃223が切断穴222に入り込むことにより、最終部分41が正確にしかも安定した状態で、切断される。
【0078】
この後、フィルムロール30と退避台212とが連携して一方側17の側に退避する。切断刃223により切断された最終部分41は、上述した密着状態を維持する。一方保持用受板232と押圧板234とにより挟まれた最終部分41は、フィルム巻付け開始端44として、新しい荷物集合体20へのフィルム40の巻付け開始作業に使用される。以上の動作を繰り返すことにより、荷物集合体20に対するフィルム40の巻付け作業を自動的に行うことができる。
【0079】
5.荷物集合体20へのフィルム40の巻付け終了作業に関する代案の説明
図7と
図8を用いて。荷物集合体20へのフィルム40の巻付け終了作業を説明した。次に
図10と
図11を用いて、代案を説明する。
図7では、荷物集合体20の外周面22における最表面側フィルム25へのフィルム40の最終部分41の密着作業を密着用突起227で行っている。一方
図10および
図11に示す代案では、最表面側フィルム25へのフィルム40の最終部分41の密着作業を、図荷物10に記載の切断処理部220の矢印132方向への移動と
図11に記載の支持手段228により、行う。
【0080】
図10において、荷物集合体20に対するフィルム40の巻付け作業の終了状態で、保持部230や切断処理部220を備える端部処理装置210を、フィルムロール30と共に、X方向移動機構130により矢印132の方向に移動する。矢印132はフィルムロール30から引き出されたフィルム40を荷物集合体20に巻付けるためにフィルムロール30が移動する進行方向である。フィルムロール30や端部処理装置210の保持部230や切断処理部220が共に、荷物集合体20の角24を通り過ぎた状態で、フィルムロール30と共に端部処理装置210を矢印172の方向に少し移動する。その結果
図10に記載の状態となる。
【0081】
この状態では、切断処理部220に対して進行方向側である矢印132で示す方向に、フィルムロール30と保持部230とが移動して停止する。一方進行方向とは逆側の方向に、荷物集合体20におけるフィルム40を巻付けた最表面側フィルム25が位置する。この状態のままでも良いが、好ましくは端部処理装置210をほんの少しだけ矢印132の方に移動する。上述した動作により、次に説明するように、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分41が最表面側フィルム25に押付けられ、最終部分41が最表面側フィルム25に密着した状態となる。すなわち最終部分41と最表面側フィルム25との間の空気の層がほとんどなくなり、大気圧により最終部分41が最表面側フィルム25に吸着した状態となる。
【0082】
図11は
図7に記載の内容とほぼ同じである。従って参照符号で示す構成は、既に説明した。ここでは、
図7と異なる点についてのみ説明する。荷物集合体20へのフィルム40による巻付け作業の最終状態で、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の支持機構240とは反対方向への、保持用受板232や切断用台221の移動動作は、
図7で説明した動作とほぼ同じである。
図8に記載の移動機構242が荷物集合体20の方向に移動する。この状態では、保持用受板232や切断用台221を備える退避台212は、フィルム40よりも低い位置にある。保持用受板232や切断用台221が、フィルムロール30から引き出されたフィルム40における、支持機構240とは反対の位置に移動した状態で、言い換えると保持用受板232や切断用台221がフィルムロール30から引き出されたフィルム40の位置を越えた状態で、
図8に記載の上下機構244により退避台212を上昇する。この動作により
図11に記載のように、フィルムロール30から引き出されたフィルム40が保持用受板232と押圧板234との間に入り込み、またフィルムロール30から引き出されたフィルム40が切断用台221の切断穴222と支持手段228の切断刃223との間に入り込む。
【0083】
次に端部処理装置210を矢印132の方に少し移動することにより、切断処理部220の支持手段228の側面で、荷物集合体20の最表面側フィルム25に対向するフィルム40を最外周巻付け面26に押付けることができる。この結果、フィルムロール30より引き出されたフィルム40を、対向する荷物集合体20の最表面側フィルム25に密着することができる。切断刃223に対する荷物集合体20の側が最表面側フィルム25に密着して固定され、切断刃223に対するフィルムロール30の側が保持用受板232と押圧板234とにより、固定されるので、切断刃223を切断穴222の方に操作軸226により移動することにより、フィルム40正確にしかも安定して切断される。切断刃223に対して荷物集合体20の側は、フィルム40のよる巻き付けの最終部分41として荷物集合体20の最表面側フィルム25のさらに外側に保持される。上記保持部230で挟まれた部分は、次の荷物集合体20における、フィルム巻付け開始端44となる。フィルムロール30や保持部230、切断処理部220は、この後退避ライン70から外に移動して退避状態となる。しかし、フィルムロール30と保持部230とは連携して移動し、退避中もフィルムロール30と保持部230は一定の距離関係を維持し、保持部230はフィルム巻付け開始端44の保持状態を維持する。次に、新しい荷物集合体20が移動してきて停止すると、新しい荷物集合体20への巻付け開始動作が開始される。この動作は、
図3から
図6を用いて説明したとおりである。
【0084】
一方保持用受板232と押圧板234とにより挟み込まれたフィルム巻付け開始端44は、次の荷物集合体20の巻き付けのためのフィルム巻付け開始端44となる。フィルムロール30と保持部230とは互いに連携して、
図3に記載の退避位置に移動し、次の荷物集合体20が搬送されてくるのを待つ。
【0085】
図7に基づいて説明した作用効果は、基本的には、
図11に関しても同じである。
図7の密着用突起227の作用効果が、
図11では支持手段228により発生される。
【0086】
6.
図1から
図11に記載の実施例の特徴と作用効果の説明
図1から
図11を用いて、ラップフィルム巻付け装置100の実施例を説明した。上記実施例の特徴及び作用効果を整理すると以下のようになる。
【0087】
〔特徴1〕
特徴1は、複数個の荷物10を有する荷物集合体20の外周面22に巻付けるためのフィルム40を供給するフィルムロール30と、フィルムロール30を荷物集合体20の外周面22に沿って移動するためのフィルムロール移動装置120と、フィルムロール30から供給されたフィルム40における外周面22への巻付けのための開始端となるフィルム巻付け開始端44を保持する端部処理装置210と、を備え、
端部処理装置210は、荷物集合体20を搬送する搬送装置16の両サイドの内の一方側17に設けられ、
端部処理装置210は、フィルム巻付け開始端44を挟み込んで保持するための保持部230を有し、
荷物集合体20が搬送装置16により搬送されてくる状態では、端部処理装置210は、保持部230を一方側17における設定された退避ライン70よりも外側に移動して退避し、
荷物集合体20にフィルム40の巻付けを開始する巻付け開始状態では、端部処理装置210はフィルム巻付け開始端44を保持する保持部230を、退避ライン70を越えて、退避ライン70の内側方向である、荷物集合体20の外周面22に向けて移動して、フィルム巻付け開始端44を荷物集合体20の外周面22に近接して保持し、
巻付け開始状態ではまた、フィルムロール移動装置120はフィルムロール30を荷物集合体20の外周面22に沿って移動し、
フィルムロール30が荷物集合体20の外周面22に沿って一周した状態で、フィルムロール移動装置120は、保持部230における荷物集合体20の反対側を通るように、フィルムロール30を移動し、
フィルムロール30が保持部230における荷物集合体20の反対側を越えて移動した状態で、端部処理装置210の保持部230が、挟み込んでいたフィルム巻付け開始端44を開放し、さらに保持部230を上下方向にフィルム40の幅の長さを越えて移動し、さらに端部処理装置210は保持部230を設定された退避ライン70を越えて一方側17に於ける外側に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0088】
〔特徴1の作用効果〕
搬送されてきた荷物集合体20にフィルム40を自動的に巻付けることが可能なラップフィルム巻付け装置100を得ることは、作業の効率向上の観点から大変重要である。しかし作業員が傍にいて、フィルム40による荷物集合体20の巻付け開始や巻付け終了の作業を行っているのが現状である。荷物集合体20は、複数個の荷物10を重ねて、多くの場合は、多数の荷物10を重ねて作られる。このため荷物10がずれたり、崩れたりし易い。これを防ぐために荷物集合体20の外周面22にフィルム40を幾重にも巻付けて補強される。
【0089】
フィルム40による補強をこれから開始することになる巻き始め時点では、荷物10が最もずれ易く、また崩れ易い。特徴1では、フィルム巻付け開始端44を新しい荷物集合体20における外周面22に近接して配置し、さらにフィルムロール30を新しい荷物集合体20の外周面22に沿って移動する。フィルム40による巻き始め時点、すなわちフィルムロール30が回転を始め、フィルムロールフィルムロール30からフィルム40が引き出される最初の状態では、フィルム40の張力は安定しない。前記張力が色々変化する状態である。このような巻き始めの状態でのフィルム40の張力は、特徴1では、荷物集合体20に作用するのではなく、フィルム巻付け開始端44を保持している保持部230に作用する。もちろんフィルムロール30は荷物集合体20の外周面22に沿って移動するので、外周面22の角を通過した状態では、フィルム40の張力が、荷物集合体20を構成する荷物10に作用する。しかし巻き始め状態と比較すると、フィルムロール30の回転は安定しており、フィルム40の張力は安定している。このため、フィルム40の張力のピーク値を低くすることができる。例えばフィルム40を円軌道で移動させた場合、荷物集合体20の断面が四角形であるとすると、四角形の角に大きな力が加わり、荷物10がずれたり崩れたりする可能性が高くなる。
【0090】
荷物集合体20の外周面22を一周するためには、フィルムロール30は移動方向を変えるので、フィルムロール30が移動を開始した後、フィルム40の張力は荷物集合体20に加わることになる。しかし荷物集合体20の外周面22に沿ってフィルムロール30を移動することにより、フィルムロール30からのフィルム40の引出し速度を安定化することができる。このためフィルム40の張力を小さい状態に維持することが可能となる。
【0091】
フィルムロール30が、荷物集合体20の外周面22に沿って一周して、端部処理装置210の保持部230における、荷物集合体20の反対側を越えて、フィルムロール30が移動した状態で、保持部230が挟み込んでいたフィルム40のフィルム巻付け開始端44を開放し、端部処理装置210の保持部230を、退避ライン70の外に退避させる。フィルム巻付け開始端44に、新たにフィルムロール30から引き出されたフィルム40が密着することで、両フィルム間の空気が排除されて吸着する。このため、荷物集合体20に大きな力が加わることが無い。このため、安定した状態で自動的に荷物集合体20へのフィルム40の巻付けを行うことができる。
【0092】
〔特徴2〕
特徴2は、特徴1のラップフィルム巻付け装置100において、
端部処理装置210は、保持部230に加えて、保持部230に並べて配置された、フィルム40を切断するための切断処理部220を、有しており、
さらに保持部230はフィルムロール30に近い側に設けられ、また切断処理部220はフィルムロール30から遠い側に設けられている、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0093】
〔特徴2の作用効果〕
搬送されてきた荷物集合体20に対するフィルム40の巻付け作業が終了した後、新たな荷物集合体20に対する巻付け作業をスムーズに開始できることが、巻付け作業の自動化において大変重要である。特徴2では、保持部230と切断処理部220とを、並べて配置するとともに、保持部230をフィルムロール30に近い側に設け、切断処理部220をフィルムロール30から遠い側に設けている。このようにすることで、保持部230と切断処理部220とを、相互に助け合う状態で動作させることができるので、作業性が向上するだけでなく、作業に伴う動作を安定して行うことができる。
【0094】
荷物集合体20に対するフィルム40の巻付け作業の終了時点で、フィルムロール30から引き出されたフィルム40を保持部230で保持することができ、これによりフィルム40を固定することができる。このため切断処理部220による切断動作を安定して行うことができ、信頼性が向上する。一方保持部230は、並べて配置された切断処理部220で切断でき、保持部230の直後でフィルム40を切断できる。これによりフィルム巻付け開始端44となる部分を正確に保持でき、次の作業に繋ぐことができる。
【0095】
〔特徴3〕
特徴3は、特徴2のラップフィルム巻付け装置100において、
端部処理装置210の保持部230は、保持用受板232と保持用受板232に向かって移動することによりフィルム40を挟み込んで保持するための押圧板234とを有し、
端部処理装置210の切断処理部220は、切断穴222を備えた切断用台221と切断穴222に向かって移動することによりフィルム40を挟み込んで切断するための切断刃223とを有し、
荷物集合体20に対するフィルム40による巻付け作業の終了時に、保持部230の保持用受板232と切断処理部220の切断用台221とが荷物集合体20の外周面22に向かって移動し、外周面22の近傍で保持用受板232と切断用台221とが上下方向に移動して、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分41と荷物集合体20の外周面22に巻付けられたフィルム40の内の最表面側フィルム25との間に保持用受板232と切断用台221とを入り込ませ、
押圧板234が保持用受板232に向かって移動することによりフィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分41の内のフィルムロール30に近い部分を保持し、
切断処理部220が切断刃223を切断用台221の切断穴222に向かって移動し、切断穴222と切断刃223との間にフィルム40の最終部分41における、保持部230よりもフィルムロール30から遠い位置の最終部分41を挟み込んで切断し、
その後、フィルムロール30および保持部230、切断処理部220を、一方側17の方向において設定された退避ライン70よりも外に移動して保持する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0096】
〔特徴3の作用効果〕
搬送されてくる荷物集合体20のフィルム40による巻付け作業をラップフィルム巻付け装置100により自動的にしかも安定して行うには、フィルム40による巻付け作業の終了時点での処理作業がたいへん重要となる。具体的には、フィルム40の最終部分における切断作業やフィルム巻付け開始端44となる部分の保持作業が正確に行うわれることが重要である。このため特徴3では、端部処理装置210の保持部230の保持用受板232と切断処理部220の切断用台221とが、互いに連動して荷物集合体20の外周面に向かって移動する。さらに上下方向に移動することにより、フィルムロール30から引き出されたフィルム40の最終部分と荷物集合体20の外周面22に巻付けられたフィルム40の内の最表面側フィルム25との間に、保持用受板232と切断用台221との両方を入り込ませる。こうすることにより、端部処理装置210が有する保持部230による保持作業と切断処理部220による切断作業とが互いに相乗効果を発揮する。
【0097】
荷物集合体20の外周面22に巻付けるフィルム40は、互いの間に空気が存在しない状態とすることにより、大気圧により密着する。このためフィルム40は薄く、またたいへん柔らかい性質を有している。このような柔らかい性質を持つフィルム40を正確に切断するためには固定することがたいへん重要となる。さらにフィルムロール30は、巻付け作業においてフィルム40に掛かる張力を小さくするために、小さい力でフィルム40をフィルムロール30から引き出すことができる。このためフィルム40が固定されていない状態で切断刃223による押圧により切断しようとすると、フィルムロール30からフィルム40が引き出される状態となり、正確な切断が困難となる。特徴3では、切断処理部220に対するフィルムロール30の側が固定されるので、正確にしかも安定して切断作業を行うことができる。
【0098】
詳述のとおり、フィルムロール30から引き出されたフィルム40を弱い力でしかも正確に切断できるので、切断刃223が切断用台221を押す力を小さくできる。このことにより、切断用台221を薄くできる。さらに保持用受板232と押圧板234との挟み込みの単位面積当たりの押圧力を小さくできる。このため保持用受板232を薄くできる。従ってフィルムロール30から引き出された最終部分41と、荷物集合体20の外周面に巻付けられた最表面側フィルム25との間を狭くできる。最終部分41を荷物集合体20の外周面に巻付けられた最表面側フィルム25に密着させるうえで好ましい。
【0099】
荷物集合体20の外周面22へのフィルム40の巻付け開始状態においても、同様の効果が生じる。保持部230の保持用受板232を薄くできるだけでなく、押圧板234の厚さを薄くできる。従って
図6で説明したごとく、フィルムロール30が荷物集合体20の外周面22を一周した状態で、一周したフィルム40と荷物集合体20の外周面22との間に、保持用受板232と押圧板234とが挟み込まれる状態となる。保持用受板232や押圧板234を薄くできることで、保持用受板232や押圧板234を一周したフィルム40と荷物集合体20の外周面22との間から外し易くなる。また一周したフィルム40と荷物集合体20の外周面22との間が狭くなる方向となる。このことにより、一周したフィルム40のゆるみを少なくでき、巻付け開始作業がより安定化する。
【0100】
〔特徴4〕
特徴4は、特徴3のラップフィルム巻付け装置100において、
端部処理装置210は、切断用台221におけるフィルムロール30とは反対側の位置に空間225を有し、さらに空間225に対向して移動する密着用突起227を備えており、
荷物集合体20に対するフィルム40による巻付け作業の終了時において、フィルム40の最終部分と、巻付けられたフィルムにおける荷物集合体20の最表面側フィルム25と、の間に、保持用受板232と切断穴222を有する切断用台221とが入り込み込んだ前記状態で、端部処理装置210は密着用突起227を空間225に向けて移動し、フィルム40の前記最終部分における切断用台221に対しフィルムロール30とは反対側に位置する部分を、空間225を通して荷物集合体20に巻付けられた記フィルム40における最表面側フィルム25に押付けて密着させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0101】
〔特徴4の作用効果〕
特徴4では、フィルム40の最終部分が切断刃223により切断されたときに、荷物集合体20の外周面22の最表面側フィルム25に、切断刃223により切断された巻き終り部分を密着させることができる。前記切断された巻き終り部分を外周面22の最表面側フィルム25に密着させることにより、大気圧により、前記巻き終り部分が外周面22の最表面側フィルム25に密着した状態で維持される。大変簡単な構成で、荷物集合体20の巻付け作業を終了することができる。さらに次の新たな荷物集合体20に対する巻付け開始作業に、悪影響を及ぼすことが無い。
【0102】
〔特徴5〕
特徴5は、特徴4のラップフィルム巻付け装置100において、
荷物集合体20はその水平面での断面が四角形の形状をなし、
荷物集合体20のフィルム40による巻付けを開始する状態において、荷物集合体20の水平方向における前記四角形の外周面の内の第一辺の外周面ある第1外周面が、フィルムロール移動装置120が配置されている側に位置し、
フィルムロール移動装置120は、荷物集合体20の搬送方向に沿う方向であるX方向131に沿ってフィルムロール30を移動するX方向移動機構130と、荷物集合体20の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向171にフィルムロール30を移動するY方向移動機構170と、フィルムロール30を上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構130と、を有し、
荷物集合体20へのフィルム40の前記巻付け開始状態で、端部処理装置210はフィルム巻付け開始端44を保持する保持部230を、退避ライン70の外側から退避ライン70を越えて荷物集合体20の前記第1外周面の近傍に移動して、
フィルムロール移動装置120は、端部処理装置210の保持部230にフィルム巻付け開始端44が保持された状態で、先ず前記第1外周面に沿う方向であるX方向131に沿ってフィルムロール30をX方向移動機構130により移動し、次に前記第1外周面の端部で前記搬送方向を横切る方向であるY方向171に沿った荷物集合体20の外周面である第2外周面に沿ってY方向移動機構170によりフィルムロール30を移動し、次に荷物集合体20の水平方向における前記外周面の内の前記第1外周面と対向する位置にある第3外周面に沿ってX方向移動機構130によりフィルムロール30を移動し、その次の第4外周面に沿ってX方向移動機構130によりフィルムロール30を移動して、再び前記第1外周面に沿う方向にフィルムロール30を移動するときに、保持部230が有する押圧板234における保持用受板232の反対側の面をフィルムロール30が移動し、
その後保持部230が挟み込んでいたフィルム巻付け開始端44を開放し、
さらに押圧板234および保持用受板232を上下させて、押圧板234および保持用受板232をフィルム巻付け開始端44とは対向しない位置まで移動し、さらに押圧板234および保持用受板232を、退避ライン70を越えてフィルムロール30の移動領域の外に退避させる、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0103】
〔特徴5の作用効果〕
特徴5では、荷物集合体20の水平方向における四角形の前記外周面のそれぞれの面に沿って、フィルムロール30を移動するために、荷物集合体20の搬送方向に沿った方向である前記X方向に沿って移動するX方向移動機構130と、前記搬送方向を横切る方向であるY方向171に沿ってフィルムロール30を移動するY方向移動機構170と、フィルムロール30を上下方向に移動するZ方向移動機構190と、を備える。
【0104】
特徴5では、このような構成により、荷物集合体20の外周面22を構成する各外周面に沿って、さらに各外周面に近い位置をフィルムロール30の移動領域122とすることができる。フィルムロール30の移動領域122と荷物集合体20の外周面22を構成する各外周面とが近くて、その間の距離が徹底していることにより、フィルムロール30の移動速度の変化を抑制できる。完全にフィルムロール30の移動速度が一定であれば、フィルムロール30から引き出されるフィルム40に加わる張力を一定にしかも小さい値に維持することができる。実際にはフィルムロール30の移動速度が変化するが、その変化を従来の装置に比べて小さく抑えられる。このため荷物10が積み上げられて構成された荷物集合体20に加わる力を小さくできる。このため荷物集合体20における荷物10のずれや崩れを防止できる。
【0105】
フィルムロール30の移動速度が変化すると、フィルム40を引き出すためのフィルムロール30の回転むらが大きくなる。前記転むらによるフィルム40のたわみが生じ易い。このためフィルムロール30の回転を抑制するブレーキ力である回転抑制力を大きくすることが必要となる。従ってフィルムロール30から引き出されるフィルム40に加わる張力が大きくなる。上述した障害が起きやすくなる。第5の発明では、このような課題を解決できる。
【0106】
〔特徴6〕
特徴6は、第3の発明のラップフィルム巻付け装置100において、
荷物集合体20の水平方向における断面が四角形の形状をなし、前記四角形の外周面の内の第1辺の外周面ある第1外周面が、フィルムロール移動装置120が配置されている側に位置し、
フィルムロール移動装置120は、荷物集合体20の搬送方向に沿う方向であるX方向131に沿ってフィルムロール30を移動するX方向移動機構130と、荷物集合体20の前記搬送方向を横切る方向に沿う方向であるY方向171にフィルムロール30を移動するY方向移動機構170と、フィルムロール30を上下方向であるZ方向に移動するX方向移動機構130と、を有し、
荷物集合体20へのフィルム40の巻付け作業の終了時において、フィルムロール30が前記第1外周面を通り過ぎた状態で、フィルム40を巻付けるためのフィルムロール30の移動を停止し、
次に端部処理装置210の保持用受板232および切断用台221をフィルムロール30より引き出されたフィルム40における退避ライン70とは反対側の面に対向するように移動し、
さらにフィルムロール30より引き出されたフィルム40を保持用受板232および押圧板234で挟み込んで保持し、
フィルムロール30より引き出されたフィルム40の内の切断用台221より荷物集合体20に近い側のフィルム40を、切断処理部220の側面で、外周面22における最表面側フィルム25に押圧して密着させる、とともに、フィルムロール30より引き出されたフィルム40を切断用台221および切断刃223で挟み込んで切断する、
ことを特徴とするラップフィルム巻付け装置100、である。
【0107】
〔特徴6の作用効果〕
特徴6では、切断されたフィルム40の切断位置より荷物集合体20側に位置する巻付け部分の最終部分41を、切断処理部220を荷物集合体20の側へ移動することにより、簡単に巻き付けを終了している部分に密着させることができる。またフィルム40の切断位置よりフィルムロール30の側を、保持部230で保持し、反対の側である荷物集合体20の側を外周面22における最表面側フィルム25に押圧して密着させるので、切断作業が容易である。さらにまた切断位置より荷物集合体20側のフィルム40である巻き付けられたフィルム40の最終部分41が密着するので、はがれにくく、必着状態が保持される。
【符号の説明】
【0108】
10・・・荷物、14・・・パレット、16・・・搬送用コンベア、20・・・荷物集合体、22・・・外周面、25・・・最表面側フィルム、30・・・フィルムロール、40・・・フィルム、41・・・最終部分、44・・・フィルム巻付け開始端、46・・・フィルム巻付け終了端、50・・・回転軸、60・・・回転軸受、62・・・トルクブレーキ、70・・・退避ライン、100・・・ラップフィルム巻付け装置、102・・・底部、104・・・制御装置、106・・・電力供給装置、120・・・フィルムロール移動装置、122・・・移動領域、126・・・支持装置、130・・・X方向移動機構、131・・・X方向、132・・・矢印、133・・・矢印、134・・・ガイド、141・・・矢印、170・・・Y方向移動機構、171・・・Y方向、172・・・矢印、173・・・矢印、190・・・Z方向移動機構、191・・・Z方向、192・・・矢印、193・・・矢印、210・・・端部処理装置、212・・・退避台、220・・・切断処理部、221・・・切断用台、222・・・切断穴、223・・・切断刃、225・・・密着用空間、226・・・操作軸、227・・・密着用突起、230・・・保持部、受板232・・・保持用、234・・・押圧板、235・・・開口、・・・押圧軸236、240・・・支持機構、242・・・移動機構、244・・・上下機構。