(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086086
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20240620BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240620BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240620BHJP
H05B 47/10 20200101ALI20240620BHJP
F21W 107/00 20180101ALN20240620BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240620BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21S43/15
H05B47/10
F21W107:00
F21W103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200996
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 浩之
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA25
3K273RA04
3K273TA38
3K273UA22
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】二つの機能を切り替え可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】灯具2は、第一方向に光を出射するように構成された第一光学系と、第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成された第二光学系と、第一光学系の光源を支持する第一基板23と、第二光学系の光源を支持し、第一基板とは異なる第二基板24と、を備える。第一光学系の光源および第二光学系の光源はそれぞれ、互いに独立して光を出射するように構成されている。第一光学系から出射される光の色は、第二光学系から出射される光の色と異なる。第一基板23と第二基板24は連結されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に光を出射するように構成された第一光学系と、
前記第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成された第二光学系と、
前記第一光学系の光源を支持する第一基板と、
前記第二光学系の光源を支持し、前記第一基板とは異なる第二基板と、を備え、
前記第一光学系の光源および前記第二光学系の光源はそれぞれ、互いに独立して光を出射するように構成されており、
前記第一光学系から出射される光の色は、前記第二光学系から出射される光の色と異なり、
前記第一基板と前記第二基板は連結されている、車両用灯具。
【請求項2】
前記第一光学系の光源の数は、前記第二光学系の光源の数よりも多い、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記第一光学系の光源を覆うとともに当該光源から出射された光を集光するように構成された集光領域と、前記第二光学系の光源から出射された光が通過する切り欠き部と、を有する、インナーレンズと、を更に備える、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第一光学系は、前記車両用灯具が取り付けられる車両の走行中、点滅制御され、
前記第二光学系は、前記車両の停車中、点灯制御される、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
車両用灯具の制御方法であって、
前記車両用灯具は、
第一方向に光を出射するように構成された第一光学系と、
前記第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成された第二光学系と、を備え、
前記第一光学系から出射される光の色は、前記第二光学系から出射される光の色と異なり、
前記制御方法は、
前記第一光学系の光の出射と、前記第二光学系の光の出射とを、切り替える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両用灯具の一例としてリアコンビネーションランプを開示している。特許文献1のランプは、第一の半導体発光素子と、第一の半導体発光素子とは発光色の異なる第二の半導体発光素子と、インナーレンズと、を備える。インナーレンズは、第一の半導体発光素子から出射された光を配光制御する第一の領域と、第二の半導体発光素子から出射された光を配光制御する第二の領域と、を含む。第一の領域にはランプの左右方向に帯状に延びる第一のステップが設けられ、第二の領域にはランプの上下方向に帯状に延びる第二のステップが設けられている。このような構成により、少なくとも2方向に光を出射することができる。
【0003】
特許文献2は、車両用灯具の他の一例として車両用マーカランプを開示している。特許文献2のランプは、光源と、レンズとを備える。レンズは外側レンズと内側レンズを有し、外側レンズは無色透明であり、内側レンズは赤色、黄色、緑色、青色等に着色されてれる。光源は、白色光を発する複数個のLEDチップであり、前方、上方及び両側方は内側レンズの色の光が出射され、下方は内側レンズの切欠部を通してLEDの原光である白色光が出射される。この下方に出射される白色光によって、夜間路側帯の位置などを運転者が運転席から容易に確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-165021号公報
【特許文献2】意匠登録第1545289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、救急車などの緊急車両の車体には、回転式の警光灯に加えて、周囲への注意喚起をより高めるために、非回転式の警光灯が設けられる場合がある。このような非回転式の警光灯は、当該車両が緊急走行時に、赤色光で点滅するように構成されている。また、緊急車両の車体には、救急処置の作業領域を明るく照らすための作業灯が設けられる場合がある。このような作業灯は、救急処置時に、白色光で点灯するように構成されている。
【0006】
ここで、周囲への注意喚起を行う警光灯と、救急処置の作業領域を照らす作業灯の両方を車体に設ける場合、このような複数種類の灯具を設けるためのスペースには限りがある。さらに従来の作業灯は、車体の高所に取り付けられ、車体の水平方向に光を照射していた。救急処置は救急車両の周囲の道路などで行われることもあり、作業灯から水平方向に出射された光が、救急処置の作業領域を必ずしも明るく照らしているわけではなく、作業領域へ光を照射させるには改善の余地があった。
【0007】
そこで本開示は、二つの機能を切り替え可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の車両用灯具は、
第一方向に光を出射するように構成された第一光学系と、
前記第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成された第二光学系と、
前記第一光学系の光源を支持する第一基板と、
前記第二光学系の光源を支持し、前記第一基板とは異なる第二基板と、を備え、
前記第一光学系の光源および前記第二光学系の光源はそれぞれ、互いに独立して光を出射するように構成されており、
前記第一光学系から出射される光の色は、前記第二光学系から出射される光の色と異なり、
前記第一基板と前記第二基板は連結されている。
【0009】
本開示の制御方法は、車両用灯具の制御方法であって、
前記車両用灯具は、
第一方向に光を出射するように構成された第一光学系と、
前記第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成された第二光学系と、を備え、
前記第一光学系から出射される光の色は、前記第二光学系から出射される光の色と異なり、
前記制御方法は、
前記第一光学系の光の出射と、前記第二光学系の光の出射とを、切り替える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、二つの機能を切り替え可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の車両用灯具を備えた車両を例示する斜視図である。
【
図2】
図2は、車両用灯具を例示する斜視図である。
【
図3】
図3は、車両用灯具を例示する分解斜視図である。
【
図4】
図4は、車両用灯具の第一光学系から出射される光と、車両用灯具の第二光学系から出射される光を例示する概要断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
また、本実施形態の説明では、説明の便宜上、「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」について適宜言及する場合がある。これらの方向は、
図1に例示する車両1について設定された相対的な方向である。ここで、「左右方向」は、「左方向」および「右方向」を含む方向であると共に、車両1の水平方向でもある。「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「前後方向」は、「前方向」および「後方向」を含む方向である。前後方向は、左右方向および上下方向に直交する方向である。なお、各図において図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。
【0014】
図1を参照して、本実施形態に係る灯具2を備えた車両1について説明する。
図1は、本実施形態に係る灯具2を備えた車両1を例示する斜視図である。
【0015】
図1に示すように、灯具2は、車両1の高所に取り付けられる。本実施形態において高所とは、車両1の上部であって、車両1のフロントガラスよりも高いことをいう。高所は、人の目線よりも高い(地上高180cm以上)ことが好ましい。さらに灯具2は、車両1の左右側面それぞれに取り付けられる。灯具2は、車両1の前方に取り付けられる回転式の前方警光灯3と、車両1の後方に取り付けられる回転式の後方警光灯4との間に設けられてもよい。
図1は、車両1の左側面に2つの灯具2が取り付けられている様子を示している。一つの側面に取り付けられる灯具の数は2に限定されず、1つでも、3つ以上でもよい。灯具2は、車両1の左右側面のいずれか一方にのみ取り付けられてもよいし、車両1の背面に取り付けられてもよい。車両1は、例えば救急車両である。灯具2は、車両用灯具の一例である。
【0016】
次に
図2および
図3を参照して、本実施形態に係る灯具2について説明する。
図2は、灯具2を例示する下方斜視図である。
図3は、灯具2を例示する分解斜視図である。
【0017】
図2および
図3に例示するように、灯具2は、第一光源21と、第二光源22と、第一基板23と、第二基板24と、インナーレンズ25と、アウターレンズ26と、ボディ27、と、基台28と、を備える。第一光源21と、インナーレンズ25と、アウターレンズ26は、第一光学系の一例である。この第一光学系は警光灯として機能する。第二光源22と、インナーレンズ25と、アウターレンズ26は、第二光学系の一例である。この第二光学系は作業灯として機能する。以下、各構成について説明する。
【0018】
第一光源21は、第一方向に光を出射するように構成されている。第一光源21は、例えばLED(発光ダイオード)チップである。第一光源21は、例えば白色の光を出射する。第一基板23は、この第一光源21を複数支持する基板である。第一基板23には、一行に6個の第一光源21が2列に並んで、支持されている。第一基板23は、ボディ27および基台28を介してコードで外部の制御部(不図示)とつながっており、この制御部により第一光源21が制御され得る。外部の制御部は例えば車両1の車両制御部でもよい。本実施形態において、第一方向は、車両1の水平方向であり、第一基板23の法線方向である。
【0019】
第二光源22は、第一方向とは異なる第二方向に光を出射するように構成されている。本実施形態では、第二光源22の構成は、第一光源の構成と同一であり、例えばLED(発光ダイオード)チップである。第二光源22は、例えば白色の光を出射する。第二基板24は、この第二光源22を複数支持する基板である。第二基板24は、第一基板23とは異なる。第二基板24には、一行に6個の第二光源22が1列に並んで、支持されている。第二基板24は、第一基板23、ボディ27および基台28を介してコードで外部の制御部(不図示)とつながっており、この制御部により第二光源22が制御され得る。本実施形態において、第二方向は、第一方向よりも下向きであり、第二基板24の法線方向である。第二方向は、第一方向に対して下方に垂直な方向ではなく、第一方向に対して斜め下方であることが好ましい。すなわち本実施形態において下向きとは、上下方向における下方向ではなく、水平方向に対して斜め下方である。第二方向は、例えば第一方向に対して20度以上70度以下、下方である。
【0020】
第一光源21および第二光源22は、互いに独立して光を出射する。例えば制御部(不図示)が第一光源21の光の出射と、第二光源22の光の出射とを、切り替えてもよい。例えば、第一光源21が第一方向に光を出射している間は、第二光源22は光を出射せず、逆に第二光源22が第二方向に光を出射している間は、第一光源21は光を出射しなくてもよい。例えば第一光源21は光を点滅させ、第二光源22は光を点灯させてもよい。第一光源21および第二光源22の光の出射の詳細は後述する。
【0021】
第一基板23と第二基板24は、互いに連結されている。より具体的には、第一基板23の下方に形成される凹部23Aと、第二基板24の上方に形成される凸部24Aとが互いに係合する。この係合により、第一基板23と第二基板24とが、物理的にも電気的にも接続されている。
【0022】
第一基板23の面積は、第二基板24の面積よりも大きい。また、第一基板23に支持される第一光源21の数は、第二基板24に取り付けられる第二光源22の数よりも多い。
【0023】
インナーレンズ25は、集光領域25Aと、切り欠き部25Bと、を有する。集光領域25Aは、第一光源21を覆うとともに第一光源21から出射された光を集光するように構成されている。集光領域25Aの出射面には、例えば複数のステップが形成されており、光がこれらステップから出射されることで、集光された光が配光されてもよい。切り欠き部25Bでは、第二光源22から出射された光が通過する。本実施形態のインナーレンズ25は着色されている。インナーレンズの色は例えば赤色である。
【0024】
アウターレンズ26は、灯具2の外形を成す無色透明のカバーである。アウターレンズ26は、第一出射面26Aと、第二出射面26Bと、側面26Cと、を有する。これら第一出射面26Aと、第二出射面26Bと、側面26Cを含めて、アウターレンズ26は一体成型により、形成されている。第一出射面26Aは、インナーレンズ25の集光領域25Aを覆うとともに、第一光源21から出射され、集光領域25Aで集光された光を透過させるように構成されている。第二出射面26Bは、インナーレンズ25の切り欠き部25Bを覆うとともに、第二光源22から出射され、切り欠き部25Bを通過した光を透過させるように構成されている。第一出射面26Aは水平方向に略垂直である。第二出射面26Bは、第一出射面26Aよりも下向きである。側面26Cは、アウターレンズ26のうち第一出射面26Aおよび第二出射面26B以外の、インナーレンズ25を覆う面である。側面26Cには複数の溝部が形成されている。これら溝部は主に、灯具2の内部を外から視認させにくくしつつ、灯具2の見栄えを高める、いわゆるシボとして機能する。
【0025】
第一光源21から、インナーレンズ25の集光領域25Aおよびアウターレンズ26の第一出射面26Aを通過する光の色は、第二光源22から、インナーレンズ25の切り欠き部25Bおよびアウターレンズの第二出射面26Bを通過する光の色と異なる。本実施形態において、第一光源21から、インナーレンズ25の集光領域25Aおよびアウターレンズ26の第一出射面26Aを通過する光の色は、例えば赤色である。第二光源22から、インナーレンズ25の切り欠き部25Bおよびアウターレンズの第二出射面26Bを通過する光の色は、例えば白色である。第一光源21から、インナーレンズ25の集光領域25Aおよびアウターレンズ26の第一出射面26Aを通過する光は、第一光学系から出射される光の一例である。第二光源22から、インナーレンズ25の切り欠き部25Bおよびアウターレンズの第二出射面26Bを通過する光は、第二光学系から出射される光の一例である。
【0026】
ボディ27は、第一シート27Aを介して第一基板23を支持し、第二シート27Bを介して第二基板24を支持する。第一シート27Aは第一基板23の断熱と絶縁を担っている。第二シート27Bは第二基板24の断熱と絶縁を担っている。ボディ27はさらに、インナーレンズ25およびアウターレンズ26も支持している。基台28は、このボディ27を介して、各構成を支持する。基台28は、例えば弾性材で形成されており、車両1の外形に合わせて灯具2を車両1に取り付けやすくする。基台28は、アウターレンズ26のネジ穴から、インナーレンズ25のネジ穴と、ボディ27のネジ穴、基台28のネジ穴を貫通したネジにより、車両1に取り付けられる。基台28は、車両1からアウターレンズ26までネジを貫通させて、車両1に取り付けられてもよい。
【0027】
次に、本実施形態の灯具2の使用について説明する。
図4は、第一光学系から出射される光と、第二光学系から出射される光を例示する概要断面図である。外部の制御部(不図示)は、以下のように第一光学系の光の出射と、前記第二光学系の光の出射とを、切り替える。
【0028】
まず第一光学系から出射される光について説明する。
図4に示すように、第一光源21から第一方向に出射された光は、まずインナーレンズ25の集光領域25Aを通過することにより、集光される。また、インナーレンズ25は赤色に着色されている。このため、第一光源21から出射された光は白色であるが、集光領域25Aを通過した光は赤色となる。この集光された、赤い光は、アウターレンズ26の第一出射面26Aを透過して、第一方向へ出射される。このように第一光学系から出射される光の強度は強く、色も赤色で目立つ。さらに第一光源21の個数は第二光源22の個数よりも多いため、第一光学系は比較的高い輝度の光を第一方向へ出射する。
【0029】
第一光学系は、外部の制御部(不図示)により、車両1の走行中に点滅するように制御される。例えば車両1が救急搬送中の場合、第一光学系は比較的輝度の高く、目立つ赤色で光を、第一方向に点滅させる。こうすることで、車両1の水平方向の広範囲に、周囲に注意喚起を促すことができる。
【0030】
次に第二光学系から出射される光について説明する。
図4に示すように、第二光源22からは、第一方向よりも下向きである、第二方向に光が出射される。より具体的には、第二方向は第一方向に対して斜め下方である。第二方向に出射された光は、まずインナーレンズ25の切り欠き部25Bを通過する。第二光源22から出射された光は白色であり、白色のまま、光は切り欠き部25Bを通過する。言い換えると、第一光源21から出射され集光領域25Aを通過する光と異なり、第二光源22から出射され切り欠き部25Bを通過する光は、集光されず、着色もされない。切り欠き部25Bを通過した光は、アウターレンズ26の第二出射面26Bを通過して、第二方向に出射される。このように第二光学系からは、集光されていない、明度の高い色で光が、第一方向よりも下向きに出射される。
【0031】
第二光学系は、外部の制御部(不図示)により、車両1の停車中に点灯するように制御される。例えば車両1が停車中であって、車両1の周囲で救急処置が行われる場合、第二光学系は、集光されていない、明度の高い白色の光を、下向きに点灯させる。このため、救急処置が行われる、車両1の近傍を広く明るく照らすことができる。
【0032】
以上説明したように、本開示の灯具2は、第一光学系と、第二光学系と、を備える。第一光学系は、第一方向に光を出射する第一光源21と、インナーレンズ25と、アウターレンズ26と、を有する。第二光学系は、第二方向に光を出射する第二光源22と、インナーレンズ25と、アウターレンズ26と、を有する。第一光源21および第二光源22は、互いに独立して光を出射するように構成されている。さらに第一光学系から出射される光の色と、第二光学系から出射される光の色とは、互いに異なる。このため、一台の灯具2で、二種類の光を、互いに異なる方向へ、独立して出射することができ、車両1に設置するためのスペースを確保することができる。
【0033】
さらに、第一光源21を支持する第一基板23と、第二光源22を支持する第二基板24とが連結されている。このため、簡易な構造で、互いに異なる二つの方向へ光を出射することができる。
【0034】
本実施形態の制御方法によれば、灯具2一台で、二種類の光を、互いに異なる方向へ、切り替えて出射することが可能となる。
【0035】
本実施形態の灯具2は、車両1の高所に取り付けられている。また、第二光源22は、第一方向よりも下向きである第二方向へ光を出射する。このため、灯具2は、車両1の高所から、車両1近傍を広く照らすことができる。
【0036】
本実施形態では、第一光源21の数は、第二光源22の数よりも多い。言い換えると、第二方向よりも上向きである第一方向へ光を出射する第一光源21が比較的多い。このため、周囲へより強く注意喚起を促すことができる。
【0037】
第一光源21が光を出射する第一方向は、車両1の水平方向である。このため、車両1周囲の比較的広い範囲へ注意喚起を促すことができる。
【0038】
第二基板24は、第二方向へ光を出射する第二光源22を支持しており、下向きである。この第二基板24は、第一方向へ光を出射する第一光源21を支持する第一基板23と連結されている。したがって本実施形態の灯具2は、二つの基板を連結させ、一方を下向きにするという簡単な構造により、互いに異なる二つの方向へ光を出射することができる。
【0039】
本実施形態のインナーレンズ25は、集光領域25Aと切り欠き部25Bとを有する。第一光学系から出射される光は集光領域25Aで集光されるため、高輝度の光として、周囲への注意喚起をより促すことができる。一方、第二光学系から出射される光は切り欠き部25Bを通過して出射される。このため、レンズなどの光学部材によって集光される場合と比較して、作業者は光を自然に視認しやすい。
【0040】
本実施形態において、第一光学系から出射される光は赤色であり、第二光学系から出射される光は白色である。第一方向に出射される光が比較的目立つ色であるため、第一光学系は、第一方向の周囲に注意喚起をより促すことができる。一方、第二方向に出射される光は比較的明度の高い色であるため、第二光学系は、第二方向の範囲を明るく照らすことができる。
【0041】
本開示によれば、第一光学系は、車両1の走行中、点滅制御される。第一光学系から出射される光が点滅するため、例えば車両1が救急搬送中、周囲に対して注意喚起をより強く促すことができる。また第二光学系は、車両1の停車中、点灯制御される。第二光学系から出射される光が点灯するため、例えば車両1が停車して車両1の周囲で救急処置が行われる場合、車両1近傍を明るく照らすことができる。
【0042】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0043】
上述した実施形態では、車両1は救急車両であったが、これに限定されない。車両1は消防車でもよい。車両1は、高速道路を運営する道路公団が所有する車両でもよく、例えば高速道路パトロールカーや標識車であってもよい。また、上述した実施形態では、インナーレンズ25は赤色に着色され、第一光学系から出射される光は赤色であったが、色は赤色に限定されない。例えば車両1が高速道路パトロールカーや標識車である場合、インナーレンズ25はアンバーに着色され、第一光学系から出射される光はアンバーであってもよい。
【0044】
上述した実施形態では、第一光源21の数は12個で、第二光源22の数は6個であったが、光源の数はこれらに限定されない。また、第一光源21の構成は、第二光源22の構成と同一であったが、互いに異なっていてもよい。例えば、第一光源21は、より高輝度の光を出射する光源であり、第二光源22は、出射する光の拡がり角が大きい光源であってもよい。
【0045】
上述した実施形態では、インナーレンズ25は切り欠き部25Bを有していたが、切り欠き部25Bに代わって他の集光領域を有してもよい。他の集光領域は、無色透明であり、第二光源22を覆うとともに第二光源22から出射された光を集光する。この場合、第二光学系は、集光された、比較的輝度の高い光を、車両1近傍に局所的に出射して明るく照らすことができる。
【符号の説明】
【0046】
1:車両
2:灯具
3:前方警光灯
4:後方警光灯
21:第一光源
22:第二光源
23:第一基板
23A:凹部
24:第二基板
24A:凸部
25:インナーレンズ
25A:集光領域
25B:切り欠き部
26:アウターレンズ
26A:第一出射面
26B:第二出射面
26C:側面
27:ボディ
27A:第一シート
27B:第二シート
28:基台