(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086092
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】液体吐出装置、及び、プリントヘッド
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240620BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B41J2/01 207
B41J2/14 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201011
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新川 修
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB08
2C056EB39
2C056EB40
2C056FA04
2C057AL13
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】吐出部における吐出状態を正確に判定する。
【解決手段】単位期間において駆動信号により駆動される圧電素子、圧電素子の駆動に応じて体積が変化する圧力室、及び、圧力室の体積の変化に応じて圧力室内の液体を吐出するノズルを具備する吐出部と、圧電素子の電位を検出する検出部と、複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、検出部の検出結果に応じて吐出部における吐出状態を判定する判定部と、を備え、判定部は、一の単位期間に先行する他の単位期間において、圧電素子が前記駆動信号により駆動された場合に、一の単位期間における検出部の検出結果に応じて、第1判定モードにより吐出部における吐出状態を判定し、他の単位期間において、圧電素子が駆動信号により駆動されていない場合に、一の単位期間における検出部の検出結果に応じて、第2判定モードにより吐出部における吐出状態を判定する、ことを特徴とする液体吐出装置。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイミング信号により規定される単位期間において駆動信号により駆動される圧電素子、
内部に液体が充填され前記圧電素子の駆動に応じて体積が変化する圧力室、及び、
前記圧力室の体積の変化に応じて前記圧力室内の液体を吐出するノズル、
を具備する吐出部と、
前記圧電素子の電位を検出する検出部と、
第1判定モード及び第2判定モードを含む複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、
前記検出部の検出結果に応じて前記吐出部における吐出状態を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、
一の単位期間に先行する他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動された場合に、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、
前記第1判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定し、
前記他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動されていない場合に、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、
前記第2判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記一の単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する一の指定信号に基づいて、
前記複数の判定モードの中から、一の判定モードを選択し、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記一の判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記他の単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する他の指定信号に基づいて、
前記複数の判定モードの中から、一の判定モードを選択し、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記一の判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する指定信号により、
前記吐出部を制御する吐出制御部を備え、
前記吐出制御部は、
前記タイミング信号により規定される複数の単位期間において、
前記第1判定モードによる前記吐出部における吐出状態の判定が可能な第1単位期間と、
前記第2判定モードによる前記吐出部における吐出状態の判定が可能な第2単位期間とが存在する場合、
前記第2判定モードによる判定を、前記第1判定モードによる判定よりも優先させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記判定部は、
前記第1判定モードにおいて、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果を示す検出信号の有する特徴量を第1判定基準値と比較し、当該比較結果に基づいて前記吐出部における吐出状態を判定し、
前記第2判定モードにおいて、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果を示す検出信号の有する特徴量を前記第1判定基準値とは異なる第2判定基準値と比較し、当該比較結果に基づいて前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
タイミング信号により規定される単位期間において駆動信号により駆動される圧電素子、
内部に液体が充填され前記圧電素子の駆動に応じて体積が変化する圧力室、及び、
前記圧力室の体積の変化に応じて前記圧力室内の液体を吐出するノズル、
を具備する吐出部と、
前記圧電素子の電位を検出する検出部と、
第1判定モード及び第2判定モードを含む複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、
前記検出部の検出結果に応じて前記吐出部における吐出状態を判定する判定部と、
を備え、
前記判定部は、
一の単位期間に先行する他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動された場合に、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、
前記第1判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定し、
前記他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動されていない場合に、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、
前記第2判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とするプリントヘッド。
【請求項7】
前記判定部は、
前記一の単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する一の指定信号に基づいて、
前記複数の判定モードの中から、一の判定モードを選択し、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記一の判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のプリントヘッド。
【請求項8】
前記判定部は、
前記他の単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する他の指定信号に基づいて、
前記複数の判定モードの中から、一の判定モードを選択し、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記一の判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のプリントヘッド。
【請求項9】
前記単位期間において前記圧電素子に対する前記駆動信号による駆動の有無を指定する指定信号により、
前記吐出部を制御する吐出制御部を備え、
前記吐出制御部は、
前記タイミング信号により規定される複数の単位期間において、
前記第1判定モードによる前記吐出部における吐出状態の判定が可能な第1単位期間と、
前記第2判定モードによる前記吐出部における吐出状態の判定が可能な第2単位期間とが存在する場合、
前記第2判定モードによる判定を、前記第1判定モードによる判定よりも優先させる、
ことを特徴とする、請求項6に記載のプリントヘッド。
【請求項10】
前記判定部は、
前記第1判定モードにおいて、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果を示す検出信号の有する特徴量を第1判定基準値と比較し、当該比較結果に基づいて前記吐出部における吐出状態を判定し、
前記第2判定モードにおいて、
前記一の単位期間における前記検出部の検出結果を示す検出信号の有する特徴量を前記第1判定基準値とは異なる第2判定基準値と比較し、当該比較結果に基づいて前記吐出部における吐出状態を判定する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び、プリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、プリントヘッドが具備する吐出部に設けられた圧電素子を駆動することにより、吐出部に設けられた圧力室に充填されているインク等の液体をノズルから吐出させ、媒体に画像を形成する。しかし、液体吐出装置において、吐出部から液体を正常に吐出できなくなる吐出異常が生じる場合がある。そこで、従来から、吐出部における吐出状態を判定する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、吐出部に設けられた圧電素子の電位の検出結果に基づいて、吐出部における吐出状態を判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年の液体吐出装置では、印刷速度の向上に伴い、吐出部が駆動される間隔が短くなりつつある。このため、吐出部における吐出状態の判定がなされるよりも前の期間における、吐出部の駆動の有無が、当該吐出部における吐出状態に影響を与え、正確な判定ができない場合があった
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、タイミング信号により規定される単位期間において駆動信号により駆動される圧電素子、内部に液体が充填され前記圧電素子の駆動に応じて体積が変化する圧力室、及び、前記圧力室の体積の変化に応じて前記圧力室内の液体を吐出するノズル、を具備する吐出部と、前記圧電素子の電位を検出する検出部と、第1判定モード及び第2判定モードを含む複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、前記検出部の検出結果に応じて前記吐出部における吐出状態を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、一の単位期間に先行する他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動された場合に、前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記第1判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定し、前記他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動されていない場合に、前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記第2判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るプリントヘッドは、タイミング信号により規定される単位期間において駆動信号により駆動される圧電素子、内部に液体が充填され前記圧電素子の駆動に応じて体積が変化する圧力室、及び、前記圧力室の体積の変化に応じて前記圧力室内の液体を吐出するノズル、を具備する吐出部と、前記圧電素子の電位を検出する検出部と、第1判定モード及び第2判定モードを含む複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、前記検出部の検出結果に応じて前記吐出部における吐出状態を判定する判定部と、を備え、前記判定部は、一の単位期間に先行する他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動された場合に、前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記第1判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定し、前記他の単位期間において、前記圧電素子が前記駆動信号により駆動されていない場合に、前記一の単位期間における前記検出部の検出結果に応じて、前記第2判定モードにより前記吐出部における吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】インクジェットプリンター1の概略的な構造の一例を示す斜視図である。
【
図3】吐出部D[m]の構造の一例を説明するための断面図である。
【
図4】記録ヘッド32の概略的な構造の一例を示す説明図である。
【
図5】ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】ヘッドユニット3に供給される信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
【
図8】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
【
図9】検出信号SK[m]の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図10】現在吐出指定信号SG[m]の一例を説明するための説明図である。
【
図11】過去吐出指定信号ST[m]の一例を説明するための説明図である。
【
図12】隣接吐出指定信号SR[m]の一例を説明するための説明図である。
【
図13】指定信号生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図14】印刷指定信号SI0及び指定信号SIの一例を説明するための説明図である。
【
図15】印刷指定信号SI0及び指定信号SIの一例を説明するための説明図である。
【
図16】印刷指定信号SI0及び指定信号SIの一例を説明するための説明図である。
【
図17】変形例1に係る指定信号生成処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図18】変形例5に係るインクジェットプリンター1Bの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙PPに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、液体吐出装置を説明する。
【0010】
<<1.インクジェットプリンターの概要>>
以下、
図1乃至
図4を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例について説明する。
【0011】
図1は、インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0012】
図1に示すように、インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙PPに形成する印刷処理を実行する。
【0013】
図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御ユニット2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成ユニット4と、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する判定ユニット8と、を備える。
なお、本実施形態において、インクジェットプリンター1は「液体吐出装置」の一例であり、インクは「液体」の一例であり、判定ユニット8は「判定部」の一例である。
【0014】
本実施形態では、インクジェットプリンター1が、1または複数のヘッドユニット3と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の駆動信号生成ユニット4と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の判定ユニット8と、を備える場合を想定する。具体的には、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、4個のヘッドユニット3と、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個の駆動信号生成ユニット4と、4個のヘッドユニット3と1対1に対応する4個の判定ユニット8と、を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の便宜上、
図1に示すように、4個のヘッドユニット3のうち一のヘッドユニット3と、4個の駆動信号生成ユニット4のうち一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の駆動信号生成ユニット4と、4個の駆動信号生成ユニット4のうち一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の判定ユニット8と、に着目して説明する。
【0015】
制御ユニット2は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、制御ユニット2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。また、制御ユニット2は、メモリーを含む。メモリーは、RAM、すなわち、Random Access Memory等の揮発性のメモリーと、ROM、すなわち、Read Only Memory、EEPROM、すなわち、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、または、PROM、すなわち、Programmable ROM等の不揮発性メモリーと、の一方または両方を含んで構成される。
【0016】
制御ユニット2は、メモリーに記憶された制御プログラムを実行し、当該制御プログラムに従って動作することで、駆動制御部21、吐出制御部22、判定管理部23、及び、搬送制御部24として機能する。
【0017】
駆動制御部21は、波形指定信号dComを生成する。波形指定信号dComは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。駆動信号Comは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成ユニット4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。
【0018】
吐出制御部22は、指定信号SIを生成する。指定信号SIは、吐出部Dの動作の種類を指定するデジタルの信号である。具体的には、指定信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給して駆動するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0019】
搬送制御部24は、搬送ユニット7を制御するための搬送制御信号MHを生成する。
【0020】
図1に示すように、ヘッドユニット3は、供給回路31と、記録ヘッド32と、検出回路33と、を備える。
【0021】
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧2」を満たす自然数である。なお、以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0022】
供給回路31は、指定信号SIに基づいて、駆動信号Comを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。以下では、駆動信号Comのうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Comを、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。
【0023】
供給回路31は、指定信号SIに基づいて、吐出部D[m]が具備する圧電素子PZ[m]に設けられた上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号VX[m]を、検出回路33に供給するか否かを切り替える。以下では、吐出部D[m]から検出回路33に対して検出電位信号VX[m]が供給される場合、当該吐出部D[m]を、判定対象吐出部DHと称する場合がある。なお、圧電素子PZ[m]及び上部電極Zu[m]については、
図3において後述する。
【0024】
検出回路33は、判定対象吐出部DHとされた吐出部D[m]から供給回路31を介して供給される検出電位信号VX[m]に基づいて、検出信号SK[m]を生成する。具体的には、検出回路33は、例えば、検出電位信号VX[m]を増幅しノイズ成分を除去することで検出信号SK[m]を生成する。なお、本実施形態において、検出回路33は「検出部」の一例である。
【0025】
判定ユニット8は、検出信号SK[m]に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常か否かを判定する。換言すれば、判定ユニット8は、検出信号SK[m]に基づいて、吐出部D[m]において吐出異常が生じていない状態か否かを判定する。そして、判定ユニット8は、当該判定の結果を示す判定情報SH[m]を生成する。ここで、吐出異常とは、吐出部D[m]が具備するノズルNから、インクを正常に吐出できない状態の総称である。例えば、吐出異常とは、吐出部D[m]からインクを吐出できなくなる状態、吐出部D[m]が駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクを吐出する状態、及び、吐出部D[m]が駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度とは異なる速度でインクを吐出する状態、等を含む。
【0026】
以下では、検出信号SK[m]に基づいて吐出部D[m]の吐出状態を判定する処理を、吐出状態判定処理と称する。本実施形態において、判定ユニット8は、複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、吐出状態判定処理を実行する。
【0027】
判定管理部23は、指定信号SIに基づいて、判定ユニット8が実行すべき判定モードを指定するモード指定信号MSを生成する。判定ユニット8は、判定管理部23から供給されたモード指定信号MSにより指定される判定モードにより、吐出状態判定処理を実行する。
【0028】
なお、以下では、吐出部D[m]を判定対象吐出部DHとして駆動して当該吐出部D[m]から検出電位信号VX[m]を検出し、検出された検出電位信号VX[m]に基づいて検出信号SK[m]を生成する処理を、判定対象駆動処理と称する。
【0029】
吐出制御部22は、判定対象駆動処理が実行される場合、指定信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、駆動制御部21は、判定対象駆動処理が実行される場合、波形指定信号dCom等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号を生成する。これにより、制御ユニット2は、判定対象駆動処理において、吐出部D[m]を判定対象吐出部DHとして駆動する。そして、検出回路33は、判定対象駆動処理において、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づいて、検出信号SK[m]を生成する。
【0030】
また、上述のとおり、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する。吐出制御部22は、印刷処理が実行される場合、印刷データImgに基づいて、指定信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、駆動制御部21は、印刷処理が実行される場合、波形指定信号dCom等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号を生成する。また、搬送制御部24は、印刷処理が実行される場合、搬送ユニット7を制御するための搬送制御信号MHを生成する。これにより、制御ユニット2は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙PPの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像が記録用紙PPに形成されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
なお、以下では、印刷処理と判定対象駆動処理とを、吐出部駆動処理と総称する場合がある。
【0031】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
【0032】
図2に示すように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、X1方向に記録用紙PPを搬送しつつ、X1方向に交差するY1方向と、Y1方向の逆方向であるY2方向とに、ヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部D[m]からインクを吐出させることで、記録用紙PP上に、印刷データImgに応じたドットDtを形成する。
【0033】
以下では、X1方向とその逆方向であるX2方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差するY1方向とその逆方向であるY2方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差するZ1方向とその逆方向であるZ2方向とを「Z軸方向」と総称する。本実施形態では、一例として、X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向が、互いに直交する場合を想定して説明する。但し、本発明はこのような態様に限定されるものではない。X軸方向、Y軸方向、及び、Z軸方向は、互いに交差していればよい。なお、本実施形態において、Z1方向は、吐出部D[m]からインクが吐出される方向であることとする。
【0034】
図2に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能であり、4個のヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110と、を備える。
【0035】
本実施形態では、
図2に示すように、キャリッジ110が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの4色のインクと1対1に対応する、4個のインクカートリッジ120を格納している場合を想定する。また、本実施形態では、上述のとおり、インクジェットプリンター1が、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する、4個のヘッドユニット3を備える場合を想定する。各吐出部D[m]は、当該吐出部D[m]が設けられたヘッドユニット3に対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部D[m]は、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ120は、キャリッジ110の外部に設けられてもよい。
【0036】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送ユニット7を備える。搬送ユニット7は、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、キャリッジ110をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76と、記録用紙PPを搬送するための媒体搬送機構73と、キャリッジ110のZ1方向に設けられたプラテン75と、を具備する。このため、搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ搬送機構71により、ヘッドユニット3をキャリッジ110と共にキャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させ、媒体搬送機構73により、プラテン75上の記録用紙PPをX1方向に搬送することで、記録用紙PPのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙PPの全体に対するインクの着弾を可能とする。
【0037】
図3は、吐出部D[m]を含むように記録ヘッド32を切断した、記録ヘッド32の概略的な一部断面図である。
【0038】
図3に示すように、吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティCV[m]と、キャビティCV[m]に連通するノズルN[m]と、振動板321と、を備える。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティCV[m]内のインクをノズルN[m]から吐出させる。キャビティCV[m]は、キャビティプレート324と、ノズルN[m]が形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティCV[m]は、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクカートリッジ120と連通している。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zm[m]と、を有する。下部電極Zd[m]は、所定の電位VBSに設定された給電線Lvと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に供給駆動信号Vin[m]が供給されて、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZ[m]がZ1方向またはZ2方向に変位し、その結果、圧電素子PZ[m]が振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティCV[m]の容積及びキャビティCV[m]内の圧力が変化し、キャビティCV[m]内に充填されたインクがノズルN[m]より吐出される。
なお、本実施形態において、キャビティCV[m]は「圧力室」の一例であり、リザーバ325は「共通液室」の一例である。
【0039】
図4は、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部D[1]~D[M]と、記録ヘッド32に設けられたリザーバ325との概略的な構成の一例を説明するための説明図である。
【0040】
図4に示すように、本実施形態では、記録ヘッド32には、M個の吐出部D[1]~D[M]に対応してM個のキャビティCV[1]~CV[M]が設けられる。なお、
図4においては、説明の都合上、変数mが、「1<m<M」を満たす自然数であることとして説明する。
【0041】
本実施形態では、キャビティCV[m]とキャビティCV[m+1]とが、隔壁WL[m][m+1]を介して互いに隣り合う場合を想定する。また、本実施形態では、キャビティCV[m-1]とキャビティCV[m]とが、隔壁WL[m-1][m]を介して互いに隣り合う場合を想定する。
このため、本実施形態において、吐出部D[m]が駆動信号Comにより駆動された場合、当該駆動に伴う振動が、隔壁WL[m][m+1]を介して吐出部D[m+1]に伝播し、また、当該駆動に伴う振動が、隔壁WL[m-1][m]を介して吐出部D[m-1]にも伝播する。
【0042】
本実施形態において、キャビティCV[m]は、キャビティCV[m]に対応するインク供給口326を介して、リザーバ325に連通する。つまり、本実施形態において、リザーバ325は、M個のキャビティCV[1]~CV[M]に対してインクを供給する。このため、吐出部D[m]が駆動信号Comにより駆動された場合、当該駆動に伴う振動が、リザーバ325を介して、吐出部D[m+1]及び吐出部D[m-1]を含む複数の吐出部Dに伝播する。
【0043】
<<2.ヘッドユニットの概要>>
以下、
図5乃至
図8を参照しつつ、ヘッドユニット3の概要について説明する。
【0044】
図5は、ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
図5に示すように、ヘッドユニット3は、供給回路31と記録ヘッド32と検出回路33とを備える。また、ヘッドユニット3は、駆動信号生成ユニット4から駆動信号Comが供給される配線Lcと、検出電位信号VX[m]を検出回路33に供給するための配線Lsと、を備える。
【0046】
供給回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWc[1]~Wc[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWs[1]~Ws[M]と、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路34と、を備える。
【0047】
接続状態指定回路34は、制御ユニット2から供給される指定信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び、期間指定信号Tsigに基づいて、スイッチWc[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qc[m]と、スイッチWs[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qs[m]と、を生成する。
【0048】
スイッチWc[m]は、接続状態指定信号Qc[m]に基づいて、配線Lcと、圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWc[m]は、接続状態指定信号Qc[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWc[m]がオンする場合、配線Lcに供給される駆動信号Comが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。
スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]に基づいて、配線Lsと、圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWs[m]がオンする場合、吐出部D[m]に設けられた上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号VX[m]が、上部電極Zu[m]から配線Lsを介して検出回路33に供給される。
【0049】
検出回路33は、配線Lsから供給される検出電位信号VX[m]に基づいて、検出電位信号VX[m]の波形に応じた波形を有する検出信号SK[m]を生成する。具体的には、検出回路33は、検出電位信号VX[m]を増幅した信号であって、検出電位信号VX[m]からノイズ成分を除去した信号を生成し、当該生成した信号を、検出信号SK[m]として出力する。
【0050】
インクジェットプリンター1が、印刷処理または判定対象駆動処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1または複数の単位期間TPが設定される。インクジェットプリンター1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理または判定対象駆動処理を含む吐出部駆動処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。
【0051】
図6は、単位期間TPにおいてヘッドユニット3に供給される駆動信号Com等の各種信号の一例を示すタイミングチャートである。
【0052】
図6に示すように、制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として、単位期間TPを規定する。なお、本実施形態において、ラッチ信号LATは「タイミング信号」の一例である。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLCの立ち上がりまでの駆動期間TQ1と、パルスPLCの立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの駆動期間TQ2と、に区分する。
【0053】
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLT1とパルスPLT2とパルスPLT3とパルスPLT4とを有する期間指定信号Tsigを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLT1の立ち上がりまでの制御期間TS1と、パルスPLT1の立ち上がりからパルスPLT2の立ち上がりまでの制御期間TS2と、パルスPLT2の立ち上がりからパルスPLT3の立ち上がりまでの制御期間TS3と、パルスPLT3の立ち上がりからパルスPLT4の立ち上がりまでの制御期間TS4と、パルスPLT4の立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの制御期間TS5と、に区分する。
【0054】
図6に示すように、指定信号SIは、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。個別指定信号Sd[m]は、インクジェットプリンター1が印刷処理または判定対象駆動処理を実行する場合に、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。制御ユニット2は、各単位期間TPに先立って、M個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む指定信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路34に供給する。そして、接続状態指定回路34は、当該単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号Qc[m]及び接続状態指定信号Qs[m]を生成する。
【0055】
なお、本実施形態では、インクジェットプリンター1が印刷処理または判定対象駆動処理を実行する場合に、吐出部D[m]が、インク量ξ1のインクからなる大ドットと、インク量ξ1よりも少ないインク量ξ2のインクからなる小ドットと、のうち、何れかのドットDtを形成可能である場合を想定する。
【0056】
図7及び
図8は、個別指定信号Sd[m]を説明するための説明図である。
【0057】
図7及び
図8に示すように、本実施形態において、個別指定信号Sd[m]は、印刷処理または判定対象駆動処理が実行される単位期間TPにおいて、吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」と、吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」と、吐出部D[m]を非駆動吐出部DP-3として指定する値「3」と、吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-1として指定する値「4」と、吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-2として指定する値「5」との、5個の値のうち、何れか1個の値を示す。
【0058】
ここで、大ドット形成吐出部DP-1とは、単位期間TPにおいて大ドットを形成する吐出部Dである。小ドット形成吐出部DP-2とは、単位期間TPにおいて小ドットを形成する吐出部Dである。非駆動吐出部DP-3とは、単位期間TPにおいて駆動信号Comにより駆動されない吐出部Dである。判定対象吐出部DH-1とは、単位期間TPにおいて吐出状態判定処理の対象となる判定対象吐出部DHのうち、単位期間TPにおいて大ドットを形成する吐出部Dである。判定対象吐出部DH-2とは、単位期間TPにおいて吐出状態判定処理の対象となる判定対象吐出部DHのうち、単位期間TPにおいて小ドットを形成する吐出部Dである。
【0059】
説明を
図6に戻す。
図6に示すように、本実施形態において、駆動信号Comは、駆動期間TQ1に設けられた波形PA1と、駆動期間TQ2に設けられた波形PA2と、を有する。
【0060】
このうち、波形PA1は、駆動期間TQ1のうち制御期間TS1において、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL1、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH1を経て、基準電位V0に戻り、駆動期間TQ1のうち制御期間TS2及び制御期間TS3において、基準電位V0を維持する波形である。波形PA1を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量ξ1に相当するインクが吐出されるように、波形PA1が定められる。
【0061】
また、波形PA2は、駆動期間TQ2のうち制御期間TS3において、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL2、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH2を経て、基準電位V0に戻り、駆動期間TQ2のうち制御期間TS4及び制御期間TS5において、基準電位V0を維持する波形である。波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインク量ξ2に相当するインクが吐出されるように、波形PA2が定められる。
【0062】
なお、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティCV[m]の容積が小さくなる場合を想定する。このため、吐出部D[m]が波形PA1等を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。
【0063】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、個別指定信号Sd[m]により指定された吐出部D[m]の動作について説明する。
【0064】
図7に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」を示す場合、接続状態指定回路34は、接続状態指定信号Qc[m]を、駆動期間TQ1においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が、駆動期間TQ1においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PA1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、大ドットに相当するインク量ξ1のインクを吐出する。
【0065】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」を示す場合、接続状態指定回路34は、接続状態指定信号Qc[m]を、駆動期間TQ2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が、駆動期間TQ2においてオンする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、小ドットに相当するインク量ξ2のインクを吐出する。
【0066】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を非駆動吐出部DP-3として指定する値「3」を示す場合、接続状態指定回路34は、接続状態指定信号Qc[m]及び接続状態指定信号Qs[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]とスイッチWs[m]とが、単位期間TPに亘りオフする。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、駆動信号Comにより駆動されず、インクを吐出しない。
【0067】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-1として指定する値「4」を示す場合、接続状態指定回路34は、接続状態指定信号Qc[m]を、制御期間TS1においてハイレベルに設定し、接続状態指定信号Qs[m]を、制御期間TS2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が、制御期間TS1においてオンし、スイッチWs[m]が、制御期間TS2においてオンする。このため、判定対象吐出部DH-1として指定された吐出部D[m]が、制御期間TS1において、波形PA1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動された結果として、吐出部D[m]に生じる振動が、制御期間TS2において残留する。そして、制御期間TS2において、吐出部D[m]に残留している振動に応じて、吐出部D[m]に設けられた上部電極Zu[m]の電位が変化する。そして、検出回路33は、吐出部D[m]に残留している振動に応じた変化する上部電極Zu[m]の電位を、制御期間TS2においてスイッチWs[m]を介して検出電位信号VX[m]として検出する。
すなわち、制御期間TS2において吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]の波形は、制御期間TS2において吐出部D[m]に残留している振動の波形を示す。そして、制御期間TS2において吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づいて生成される検出信号SK[m]の波形は、制御期間TS2において吐出部D[m]に残留している振動の波形を示す。
【0068】
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-2として指定する値「5」を示す場合、接続状態指定回路34は、接続状態指定信号Qc[m]を、制御期間TS3においてハイレベルに設定し、接続状態指定信号Qs[m]を、制御期間TS4においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が、制御期間TS3においてオンし、スイッチWs[m]が、制御期間TS4においてオンする。このため、判定対象吐出部DH-1として指定された吐出部D[m]が、制御期間TS3において、波形PA2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動された結果として、吐出部D[m]に生じる振動が、制御期間TS4において残留する。そして、制御期間TS4において、吐出部D[m]に残留している振動に応じて、吐出部D[m]に設けられた上部電極Zu[m]の電位が変化する。そして、検出回路33は、吐出部D[m]に残留している振動に応じた変化する上部電極Zu[m]の電位を、制御期間TS4においてスイッチWs[m]を介して検出電位信号VX[m]として検出する。
すなわち、制御期間TS4において吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]の波形は、制御期間TS4において吐出部D[m]に残留している振動の波形を示す。そして、制御期間TS4において吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づいて生成される検出信号SK[m]の波形は、制御期間TS4において吐出部D[m]に残留している振動の波形を示す。
【0069】
なお、以下では、判定対象吐出部DH-1において残留している振動を検出する制御期間TS2と、判定対象吐出部DH-2において残留している振動を検出する制御期間TS4とを、検出期間TSSと総称する。
【0070】
<<3.判定ユニットの概要>>
以下、
図9乃至
図12を参照しつつ、判定ユニット8の概要について説明する。
【0071】
上述のとおり、判定ユニット8は、検出回路33から供給される検出信号SK[m]に基づいて、判定対象吐出部DHとして指定された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する吐出状態判定処理を実行する。
【0072】
図9は、検出回路33が判定ユニット8に供給する検出信号SK[m]の一例を説明するための説明図である。
【0073】
図9に示すように、検出回路33は、検出期間TSSにおいて、検出信号SK[m]を出力する。検出信号SK[m]は、検出期間TSSにおける吐出部D[m]に残留している振動に基づく波形を示す。具体的には、検出信号SK[m]は、最低電位VKLと最高電位VKHの間で減衰する振動を示す。
【0074】
本実施形態において、判定ユニット8は、検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]と初期時間TF[m]とを計測する。
ここで、振幅VM[m]は、検出信号SK[m]の振幅に応じた値である。具体的には、本実施形態において、振幅VM[m]は、最高電位VKHと最低電位VKLとの電位差である。
また、初期時間TF[m]は、検出信号SK[m]の初期位相に応じた値である。具体的には、本実施形態において、初期時間TF[m]は、検出期間TSSの開始時刻から、検出信号SK[m]の電位が所定の基準電位VK0となる時刻までの時間長である。ここで、基準電位VK0は、例えば、検出信号SK[m]の振幅中心となる電位であってもよい。
【0075】
上述のとおり、判定ユニット8は、判定管理部23から供給されるモード指定信号MSに基づく判定モードにより、吐出状態判定処理を実行する。
【0076】
図10乃至
図12は、判定管理部23が判定ユニット8に供給するモード指定信号MSの一例を説明するための説明図である。
【0077】
図10乃至
図12に示すように、モード指定信号MSは、判定対象吐出部DHに対応する現在吐出指定信号SG[m]と、判定対象吐出部DHに対応する過去吐出指定信号ST[m]と、判定対象吐出部DHに対応する隣接吐出指定信号SR[m]と、を含む。
【0078】
図10に示す現在吐出指定信号SG[m]は、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に対応する個別指定信号Sd[m]と同じ値を示す。
【0079】
具体的には、個別指定信号Sd[m]が、吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-1として指定する値「4」を示す場合、現在吐出指定信号SG[m]は値「4」を示す。つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が判定対象吐出部DH-1である場合、現在吐出指定信号SG[m]は値「4」を示す。
【0080】
また、個別指定信号Sd[m]が、吐出部D[m]を判定対象吐出部DH-2として指定する値「5」を示す場合、現在吐出指定信号SG[m]は値「5」を示す。つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が判定対象吐出部DH-2である場合、現在吐出指定信号SG[m]は値「5」を示す。
【0081】
以下では、現在吐出指定信号SG[m]の示す値を、現在吐出指定値αと称する。つまり、本実施形態において、現在吐出指定値αは、「4」または「5」である。
【0082】
図11に示す過去吐出指定信号ST[m]は、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に対応する個別指定信号Sd[m]であって、吐出部D[m]に対して吐出状態判定処理が実行される単位期間TPの直前の単位期間TPにおいて、吐出部D[m]に対して駆動の態様を指定した個別指定信号Sd[m]と同じ値を示す。
【0083】
なお、以下では、印刷処理及び判定対象駆動処理を含む吐出部駆動処理が、K個の連続する単位期間TPにおいて実行される場合を想定する。ここで、値Kは、「K≧2」を満たす自然数である。また、以下では、吐出部駆動処理が実行されるK個の単位期間TPのうち、k番目の単位期間TPを、単位期間TP(k)と称する。ここで、変数kは、「1≦k≦K」を満たす自然数である。また、以下では、単位期間TP(k)における吐出部D[m]を、吐出部D[m][TP(k)]と称し、吐出部D[m][TP(k)]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[m]を、個別指定信号Sd[m][TP(k)]と称し、吐出部D[m][TP(k)]に対応する現在吐出指定信号SG[m]を、現在吐出指定信号SG[m][TP(k)]と称し、吐出部D[m][TP(k)]に対応する過去吐出指定信号ST[m]を、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]と称し、吐出部D[m][TP(k)]に対応する隣接吐出指定信号SR[m]を、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]と称する。
この場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は、単位期間TP(k)の直前の単位期間TP(k-1)において吐出部D[m]の駆動の態様を指定した個別指定信号Sd[m]である、個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]と同じ値を示す。
【0084】
具体的には、個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]が、吐出部D[m][TP(k-1)]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」を示す場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「1」を示す。つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において大ドット形成吐出部DP-1として駆動された場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「1」を示す。
【0085】
また、個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]が、吐出部D[m][TP(k-1)]を小ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」を示す場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「2」を示す。つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において小ドット形成吐出部DP-2として駆動された場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「2」を示す。
【0086】
また、個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]が、吐出部D[m][TP(k-1)]を非駆動吐出部DP-3として指定する値「3」を示す場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「3」を示す。つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において非駆動吐出部DP-3であった場合、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]は値「3」を示す。
【0087】
以下では、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]の示す値を、過去吐出指定値βと称する。つまり、本実施形態において、過去吐出指定値βは、「1」、「2」、または、「3」である。
【0088】
図12に示す隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]の近傍に位置する1または複数の吐出部Dの駆動の態様に基づく値を示す。具体的には、本実施形態において、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に隔壁WL[m][m+1]を介して隣接する吐出部D[m+1][TP(k)]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]と、吐出部D[m][TP(k)]に隔壁WL[m-1][m]を介して隣接する吐出部D[m-1][TP(k)]の駆動の態様を指定する個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]と、に基づく値を示す。
【0089】
より具体的には、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「1」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「1」を示す。
【0090】
また、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示す場合、または、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「2」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「2」を示す。また、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「2」を示す。
【0091】
また、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示す場合、または、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する値「1」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「3」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「3」を示す。また、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「3」を示す。
【0092】
なお、本実施形態において、変数mが「M」の場合、つまり、吐出部D[m+1]が存在しない場合、吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であると看做すこととする。また、本実施形態において、変数mが「1」の場合、つまり、吐出部D[m-1]が存在しない場合、吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3であると看做すこととする。
【0093】
また、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「4」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「4」を示す。
【0094】
また、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示す場合、または、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する値「2」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「5」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「5」を示す。また、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「5」を示す。
【0095】
また、個別指定信号Sd[m+1][TP(k)]が、吐出部D[m+1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示し、且つ、個別指定信号Sd[m-1][TP(k)]が、吐出部D[m-1][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する値「3」を示す場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「6」を示す。
つまり、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]は値「6」を示す。
【0096】
以下では、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す値を、隣接吐出指定値γと称する。つまり、本実施形態において、隣接吐出指定値γは、「1」~「6」のうち何れかの値である。
【0097】
以上のように、本実施形態において、モード指定信号MSは、現在吐出指定値αと、過去吐出指定値βと、隣接吐出指定値γとを示す信号である。そして、判定ユニット8は、モード指定信号MSに基づく判定モードにより、吐出状態判定処理を実行する。
【0098】
以下では、吐出部D[m][TP(k)]に対して実行される吐出状態判定処理の判定モードを、判定モードB[m][TP(k)]と称する。本実施形態において、判定モードB[m][TP(k)]は、複数の現状対応判定モードBGの中から選択された一の現状対応判定モードBGと、複数の過去対応判定モードBTの中から選択された一の過去対応判定モードBTと、複数の隣接対応判定モードBRの中から選択された一の隣接対応判定モードBRと、の組み合わせとして定められる。
【0099】
本実施形態において、複数の現状対応判定モードBGは、大ドット判定モードBG1と、小ドット判定モードBG2と、を含む。
【0100】
ここで、大ドット判定モードBG1は、現在吐出指定信号SG[m][TP(k)]の示す現在吐出指定値αが「4」の場合における、現状対応判定モードBGである。すなわち、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m][TP(k)]が、判定対象吐出部DH-1である場合において、現状対応判定モードBGとして大ドット判定モードBG1が選択される。
【0101】
また、小ドット判定モードBG2は、現在吐出指定信号SG[m][TP(k)]の示す現在吐出指定値αが「5」の場合における、現状対応判定モードBGである。すなわち、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m][TP(k)]が、判定対象吐出部DH-2である場合において、現状対応判定モードBGとして小ドット判定モードBG2が選択される。
【0102】
また、本実施形態において、複数の過去対応判定モードBTは、大ドット判定モードBT1と、小ドット判定モードBT2と、非駆動判定モードBT3と、を含む。
【0103】
ここで、大ドット判定モードBT1は、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]の示す過去吐出指定値βが「1」の場合における、過去対応判定モードBTである。すなわち、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において大ドット形成吐出部DP-1として駆動された場合、過去対応判定モードBTとして大ドット判定モードBT1が選択される。
【0104】
また、小ドット判定モードBT2は、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]の示す過去吐出指定値βが「2」の場合における、過去対応判定モードBTである。すなわち、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において小ドット形成吐出部DP-2として駆動された場合、過去対応判定モードBTとして小ドット判定モードBT2が選択される。
【0105】
また、非駆動判定モードBT3は、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]の示す過去吐出指定値βが「3」の場合における、過去対応判定モードBTである。すなわち、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]が直前の単位期間TP(k-1)において非駆動吐出部DP-3であった場合、過去対応判定モードBTとして非駆動判定モードBT3が選択される。
【0106】
また、本実施形態において、複数の隣接対応判定モードBRは、大ドット判定モードBR1と、大ドット判定モードBR2と、大ドット判定モードBR3と、小ドット判定モードBR4と、小ドット判定モードBR5と、非駆動判定モードBR6と、を含む。
【0107】
ここで、大ドット判定モードBR1は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「1」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接対応判定モードBRとして、大ドット判定モードBR1が選択される。
【0108】
また、大ドット判定モードBR2は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「2」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接対応判定モードBRとして、大ドット判定モードBR2が選択される。また、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接対応判定モードBRとして、大ドット判定モードBR2が選択される。
【0109】
また、大ドット判定モードBR3は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「3」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接対応判定モードBRとして、大ドット判定モードBR3が選択される。また、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1である場合、隣接対応判定モードBRとして、大ドット判定モードBR3が選択される。
【0110】
また、小ドット判定モードBR4は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「4」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接対応判定モードBRとして、小ドット判定モードBR4が選択される。
【0111】
また、小ドット判定モードBR5は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「5」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が小ドット形成吐出部DP-2であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接対応判定モードBRとして、小ドット判定モードBR5が選択される。また、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が小ドット形成吐出部DP-2である場合、隣接対応判定モードBRとして、小ドット判定モードBR5が選択される。
【0112】
また、非駆動判定モードBR6は、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γが「6」である場合における、隣接対応判定モードBRである。すなわち、吐出部D[m]が吐出状態判定処理の対象である判定対象吐出部DHとして選択された場合であって、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が非駆動吐出部DP-3であり、且つ、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が非駆動吐出部DP-3である場合、隣接対応判定モードBRとして、非駆動判定モードBR6が選択される。
【0113】
本実施形態において、判定ユニット8は、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理において、振幅VM[m]が閾値VM-L(α,β,γ)以上であって且つ閾値VM-H(α,β,γ)以下であるという、振幅判定条件を満たし、且つ、初期時間TF[m]が閾値TF-L(α,β,γ)以上であって且つ閾値TF-H(α,β,γ)以下であるという、位相判定条件を満たす場合に、吐出部D[m][TP(k)]における吐出状態が正常である旨を示す判定情報SH[m]を生成する。他方、判定ユニット8は、振幅VM[m]が振幅判定条件を満たさない場合、または、初期時間TF[m]が位相判定条件を満たさない場合に、吐出部D[m][TP(k)]における吐出状態が異常である旨を示す判定情報SH[m]を生成する。
なお、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)は、「0<VM-L(α,β,γ)<VM-H(α,β,γ)」を満たす実数であり、また、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)は、「0<TF-L(α,β,γ)<TF-H(α,β,γ)」を満たす実数である。
【0114】
ここで、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)は、当該吐出状態判定処理に係る判定モードB[m][TP(k)]に応じて定められる。すなわち、本実施形態において、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)は、当該吐出状態判定処理において選択された現状対応判定モードBGと、当該吐出状態判定処理において選択された過去対応判定モードBTと、当該吐出状態判定処理において選択された隣接対応判定モードBRと、に基づいて定められる。換言すれば、本実施形態において、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)は、現在吐出指定信号SG[m][TP(k)]の示す現在吐出指定値αと、過去吐出指定信号ST[m][TP(k)]の示す過去吐出指定値βと、隣接吐出指定信号SR[m][TP(k)]の示す隣接吐出指定値γと、に基づいて定められる。なお、以下では、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)を、「判定閾値」と総称する。
【0115】
なお、吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1または小ドット形成吐出部DP-2として駆動される場合、当該駆動に伴う圧力変動が、隔壁WL[m][m+1]及びリザーバ325を介して、吐出部D[m]に影響を及ぼす、所謂「クロストーク」が生じる。このため、吐出部D[m+1]が大ドット形成吐出部DP-1または小ドット形成吐出部DP-2として駆動される場合、駆動されない場合と比較して、吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づく検出信号SK[m]の振幅VM[m]が大きくなり、また、吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づく検出信号SK[m]の初期時間TF[m]は短くなる。吐出部D[m-1]が大ドット形成吐出部DP-1または小ドット形成吐出部DP-2として駆動される場合も同様である。
よって、本実施形態では、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理において、吐出部D[m]の近傍の吐出部Dが駆動される場合に、吐出部D[m]の近傍の吐出部Dが駆動されない場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。
【0116】
具体的には、本実施形態では、小ドット判定モードBR5の場合に、非駆動判定モードBR6の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。また、本実施形態では、小ドット判定モードBR4の場合に、小ドット判定モードBR5の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。また、本実施形態では、大ドット判定モードBR2の場合に、小ドット判定モードBR4の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。また、本実施形態では、大ドット判定モードBR2の場合に、大ドット判定モードBR3の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。また、本実施形態では、大ドット判定モードBR1の場合に、大ドット判定モードBR2の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められる。
【0117】
なお、吐出部D[m]が形成するドットDtのサイズと、吐出部D[m+1]が形成するドットDtのサイズとが同じサイズである場合、異なるサイズである場合と比較して、吐出部D[m+1]の駆動に伴う圧力変動の吐出部D[m]に及ぼす影響が大きくなる。よって、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理において、吐出部D[m]が形成するドットDtのサイズと、吐出部D[m+1]が形成するドットDtのサイズとが同じサイズである場合、異なるサイズである場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められてもよい。
具体的には、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理であって、現状対応判定モードBGが大ドット判定モードBG1である吐出状態判定処理において、隣接対応判定モードBRが大ドット判定モードBR1の場合に、小ドット判定モードBR4の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められてもよい。また、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理であって、現状対応判定モードBGが大ドット判定モードBG1である吐出状態判定処理において、隣接対応判定モードBRが大ドット判定モードBR3の場合に、小ドット判定モードBR5の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められてもよい。また、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理であって、現状対応判定モードBGが小ドット判定モードBG2である吐出状態判定処理において、隣接対応判定モードBRが小ドット判定モードBR4の場合に、大ドット判定モードBR1の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められてもよい。また、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理であって、現状対応判定モードBGが小ドット判定モードBG2である吐出状態判定処理において、隣接対応判定モードBRが小ドット判定モードBR5の場合に、大ドット判定モードBR3の場合と比較して、閾値VM-L(α,β,γ)及び閾値VM-H(α,β,γ)が大きくなり、且つ、閾値TF-L(α,β,γ)及び閾値TF-H(α,β,γ)が小さくなるように、判定閾値が定められてもよい。
【0118】
<<4.制御ユニットによる指定信号の生成>>
以下、
図13乃至
図16を参照しつつ、制御ユニット2に設けられた吐出制御部22による指定信号SIの生成について説明する。なお、以下では、指定信号SIを生成する処理を、指定信号生成処理と称する。
【0119】
図13は、指定信号生成処理が実行される場合における制御ユニット2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0120】
図13に示すように、指定信号生成処理において、吐出制御部22は、まず、変数kを「1」に設定する(S101)。
【0121】
次に、吐出制御部22は、印刷データImgに基づいて、個別印刷指定信号Sd0[1][TP(k)]~Sd0[M][TP(k)]を含む印刷指定信号SI0[TP(k)]を生成する(S103)。
ここで、印刷指定信号SI0[TP(k)]は、吐出状態判定処理及び判定対象駆動処理が実行されないと仮定した場合に、印刷データImgの示す画像を記録用紙PPに形成するために必要となる、ヘッドユニット3が有するM個の吐出部D[1]~D[M]の単位期間TP(k)における駆動の態様を指定する信号である。
また、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]は、吐出状態判定処理及び判定対象駆動処理が実行されないと仮定した場合に、印刷データImgの示す画像を記録用紙PPに形成するために必要となる、吐出部D[m]の単位期間TP(k)における駆動の態様を指定する信号である。具体的には、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]は、単位期間TP(k)において、吐出部D[m][TP(k)]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」と、吐出部D[m][TP(k)]を小ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」と、吐出部D[m][TP(k)]を非駆動吐出部DP-3として指定する値「3」との、3個の値のうち、何れか1個の値を示す。
【0122】
次に、吐出制御部22は、値kが「k=K」であるか否かを判定する(S105)。
そして、吐出制御部22は、ステップS105における判定の結果が否定の場合、値kに「1」を加えたうえで(S107)、処理をステップS103に進める。吐出制御部22は、ステップS105における判定の結果が肯定の場合、値kに「1」を設定する(S109)。
【0123】
次に、吐出制御部22は、吐出部D[1][TP(k)]~D[M][TP(k)]の中から、1または複数の判定候補吐出部DKを選択する(S111)。ここで、判定候補吐出部DKは、吐出部D[1][TP(k)]~D[M][TP(k)]のうち、判定対象吐出部DHとなり得る吐出部Dである。本実施形態において、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が吐出部D[m][TP(k)]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する場合、当該吐出部D[m][TP(k)]は判定対象吐出部DH-1となり得る。また、本実施形態において、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が吐出部D[m][TP(k)]を小ドット形成吐出部DP-2として指定する場合、当該吐出部D[m][TP(k)]は判定対象吐出部DH-2となり得る。すなわち、本実施形態において、判定候補吐出部DKは、吐出部D[1][TP(k)]~D[M][TP(k)]のうち、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]により大ドット形成吐出部DP-1として指定された吐出部D[m][TP(k)]、及び、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]により小ドット形成吐出部DP-2として指定された吐出部D[m][TP(k)]である。
【0124】
次に、吐出制御部22は、ステップS111において選択した1または複数の判定候補吐出部DKの中から、1個の判定対象吐出部DHを選択する(S113)。
【0125】
具体的には、吐出制御部22は、ステップS113において、1または複数の判定候補吐出部DKのうち、大ドット判定モードBG1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、小ドット判定モードBG2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先して、判定対象吐出部DHとして選択する。
【0126】
ここで、大ドット判定モードBG1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が大ドット形成吐出部DP-1として指定した吐出部D[m][TP(k)]である。また、小ドット判定モードBG2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が小ドット形成吐出部DP-2として指定した吐出部D[m][TP(k)]である。
【0127】
また、吐出制御部22は、ステップS113において、1または複数の判定候補吐出部DKのうち、非駆動判定モードBT3による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、小ドット判定モードBT2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、また、小ドット判定モードBT2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、大ドット判定モードBT1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先して、判定対象吐出部DHとして選択する。
【0128】
ここで、大ドット判定モードBT1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理が実行される直前の単位期間TP(k-1)において、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k-1)]が大ドット形成吐出部DP-1として指定した吐出部D[m]である。また、小ドット判定モードBT2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理が実行される直前の単位期間TP(k-1)において、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k-1)]が小ドット形成吐出部DP-2として指定した吐出部D[m]である。また、非駆動判定モードBT3による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、吐出部D[m][TP(k)]を対象とする吐出状態判定処理が実行される直前の単位期間TP(k-1)において、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k-1)]が非駆動吐出部DP-3として指定した吐出部D[m]である。
【0129】
また、吐出制御部22は、ステップS113において、1または複数の判定候補吐出部DKのうち、非駆動判定モードBR6による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、小ドット判定モードBR5による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、小ドット判定モードBR5による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、小ドット判定モードBR4による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、小ドット判定モードBR5による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、大ドット判定モードBR3による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、小ドット判定モードBR4による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、大ドット判定モードBR2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、大ドット判定モードBR3による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、大ドット判定モードBR2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先し、また、大ドット判定モードBR2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]を、大ドット判定モードBR1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]よりも優先して、判定対象吐出部DHとして選択する。
【0130】
ここで、大ドット判定モードBR1による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定された吐出部D[m]である。
また、大ドット判定モードBR2による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定された吐出部D[m]、または、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定された吐出部D[m]である。
また、大ドット判定モードBR3による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により非駆動吐出部DP-3として指定された吐出部D[m]、または、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により非駆動吐出部DP-3として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により大ドット形成吐出部DP-1として指定された吐出部D[m]である。
また、小ドット判定モードBR4による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定された吐出部D[m]である。
また、小ドット判定モードBR5による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により非駆動吐出部DP-3として指定された吐出部D[m]、または、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により非駆動吐出部DP-3として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により小ドット形成吐出部DP-2として指定された吐出部D[m]である。
また、非駆動判定モードBR6による吐出状態判定処理が可能な吐出部D[m]とは、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]が個別印刷指定信号Sd0[m+1]により非駆動吐出部DP-3として指定され、且つ、当該吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m-1]が個別印刷指定信号Sd0[m-1]により非駆動吐出部DP-3として指定された吐出部D[m]である。
【0131】
次に、吐出制御部22は、ステップS113における判定対象吐出部DHの選択結果に基づいて、ステップS103において生成した印刷指定信号SI0[TP(k)]を更新することで、個別指定信号Sd[1][TP(k)]~Sd[M][TP(k)]を含む指定信号SI[TP(k)]を生成する(S115)。
次に、吐出制御部22は、値kが「k=K」であるか否かを判定する(S117)。
そして、吐出制御部22は、ステップS117における判定の結果が否定の場合、値kに「1」を加えたうえで(S119)、処理をステップS111に進める。他方、吐出制御部22は、ステップS117における判定の結果が肯定の場合、
図13に示す指定信号生成処理を終了させる。
【0132】
図14乃至
図16は、指定信号生成処理において生成される印刷指定信号SI0及び指定信号SIの一例を説明するための説明図である。なお、
図14乃至
図16では、値Mが「6」の場合、すなわち、ヘッドユニット3が吐出部D[1]~D[6]を備える場合を一例として想定する。また、
図14乃至
図16では、値Kが「6」の場合、すなわち、印刷処理及び判定対象駆動処理を含む吐出部駆動処理が、単位期間TP(1)~TP(6)において実行される場合を一例として想定する。
【0133】
まず、吐出制御部22は、ステップS103において、
図14に示すように、各単位期間TP(k)について、個別印刷指定信号Sd0[1][TP(k)]~Sd0[M][TP(k)]を含む印刷指定信号SI0[TP(k)]を生成する。ここで、マークAp1は、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が大ドット形成吐出部DP-1を指定することを示すマークである。また、マークAp2は、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が小ドット形成吐出部DP-2を指定することを示すマークである。なお、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]に、マークAp1及びマークAp2が付されていない場合、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が非駆動吐出部DP-3を指定することを示している。
【0134】
次に、吐出制御部22は、ステップS111において、
図15に示すように、マークAp1またはマークAp2が付された個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]に対応する吐出部D[m][TP(k)]を、判定候補吐出部DKとして選択する。ここで、マークAKは、個別印刷指定信号Sd0[m][TP(k)]が判定候補吐出部DKとして選択される吐出部D[m][TP(k)]に対応することを示すマークである。
【0135】
その後、吐出制御部22は、ステップS113及びS115において、
図16に示すように、各単位期間TP(k)について、1または複数の判定候補吐出部DKの中から1個の判定対象吐出部DHを選択し、当該選択結果に基づいて印刷指定信号SI0を更新することで、個別指定信号Sd[1][TP(k)]~Sd[M][TP(k)]を含む指定信号SI[TP(k)]を生成する。ここで、マークAHは、個別指定信号Sd[m][TP(k)]に対応する吐出部D[m][TP(k)]が判定対象吐出部DHとして選択されたことを示すマークである。
なお、
図16において、マークAHとマークAp1とが付された個別指定信号Sd[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に判定対象吐出部DH-1を指定する。また、マークAHとマークAp2とが付された個別指定信号Sd[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に判定対象吐出部DH-2を指定する。また、マークAKとマークAp1とが付された個別指定信号Sd[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に大ドット形成吐出部DP-1を指定する。また、マークAKとマークAp2とが付された個別指定信号Sd[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に小ドット形成吐出部DP-2を指定する。また、マークAH、マークAK、マークAp1、及び、マークAp2のいずれも付されていない個別指定信号Sd[m][TP(k)]は、吐出部D[m][TP(k)]に非駆動吐出部DP-3を指定する。
【0136】
なお、吐出制御部22は、単位期間TP(1)~TP(K)の中に、過去対応判定モードBTを大ドット判定モードBT1または小ドット判定モードBT2とした判定モードによる、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k1)と、過去対応判定モードBTを非駆動判定モードBT3とした判定モードによる、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k2)と、が存在する場合に、単位期間TP(k2)における吐出状態判定処理を、単位期間TP(k1)における吐出状態判定処理よりも優先するように、1または複数の判定候補吐出部DKの中から判定対象吐出部DHを選択する。ここで、変数k1は、「1≦k1≦K」を満たす自然数であり、変数k2は、「1≦k2≦K」且つ「k2≠k1」を満たす自然数である。
【0137】
また、吐出制御部22は、単位期間TP(1)~TP(K)の中に、隣接対応判定モードBRを非駆動判定モードBR6以外とした判定モードによる、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k1)と、隣接対応判定モードBRを非駆動判定モードBR6とした判定モードによる、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k2)と、が存在する場合に、単位期間TP(k2)における吐出状態判定処理を、単位期間TP(k1)における吐出状態判定処理よりも優先するように、1または複数の判定候補吐出部DKの中から判定対象吐出部DHを選択する。
【0138】
<<5.実施形態の結び>>
以上のように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、ラッチ信号LATにより規定される単位期間TP(k)において駆動信号Comにより駆動される圧電素子PZ[m]、内部にインクが充填され圧電素子PZ[m]の駆動に応じて体積が変化するキャビティCV[m]、及び、キャビティCV[m]の体積の変化に応じてキャビティCV[m]内のインクを吐出するノズルN[m]、を具備する吐出部D[m]と、圧電素子PZ[m]の電位を検出する検出回路33と、複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、検出回路33の検出結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する判定ユニット8と、を備え、判定ユニット8は、単位期間TP(k)に先行する単位期間TP(k-1)において、圧電素子PZ[m]が駆動信号Comにより駆動された場合、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に基づいて、過去対応判定モードBTとして大ドット判定モードBT1を含む判定モードB[m][TP(k)]、または、過去対応判定モードBTとして小ドット判定モードBT2を含む判定モードB[m][TP(k)]により、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、単位期間TP(k)に先行する単位期間TP(k-1)において、圧電素子PZ[m]が駆動信号Comにより駆動されていない場合、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に基づいて、過去対応判定モードBTとして非駆動判定モードBT3を含む判定モードB[m][TP(k)]により、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【0139】
このように、本実施形態によれば、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動の有無に基づいて選択された判定モードにより吐出状態判定処理を実行する。このため、本実施形態によれば、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動が、単位期間TP(k)における吐出部D[m]に及ぼす影響を考慮して、単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動を考慮せずに単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0140】
なお、本実施形態において、単位期間TP(k)は「一の単位期間」の一例であり、単位期間TP(k-1)は「他の単位期間」の一例である。また、以下では、大ドット判定モードBT1を含む判定モードB[m][TP(k)]、及び、小ドット判定モードBT2を含む判定モードB[m][TP(k)]を、過去駆動判定モードBT-Kと総称し、非駆動判定モードBT3を含む判定モードB[m][TP(k)]を、過去非駆動判定モードBT-Hと総称する場合がある。ここで、過去駆動判定モードBT-Kは「第1判定モード」の一例であり、過去非駆動判定モードBT-Hは「第2判定モード」の一例である。
【0141】
また、本実施形態において、判定ユニット8は、単位期間TP(k)において圧電素子PZ[m]に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する個別指定信号Sd[m][TP(k)]に基づいて、複数の判定モードの中から判定モードB[m][TP(k)]を選択し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に基づいて、判定モードB[m][TP(k)]により吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【0142】
このため、本実施形態によれば、単位期間TP(k)における吐出部D[m]の駆動を考慮せずに単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0143】
なお、本実施形態において、個別指定信号Sd[m][TP(k)]は「一の指定信号」の一例である。
【0144】
また、本実施形態において、判定ユニット8は、単位期間TP(k-1)において圧電素子PZ[m]に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]に基づいて、複数の判定モードの中から判定モードB[m][TP(k)]を選択し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に基づいて、判定モードB[m][TP(k)]により吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【0145】
このため、本実施形態によれば、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動を考慮せずに単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0146】
なお、本実施形態において、個別指定信号Sd[m][TP(k-1)]は「他の指定信号」の一例である。
【0147】
また、本実施形態において、単位期間TPにおいて圧電素子PZ[m]に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する指定信号SIにより、吐出部D[m]を制御する吐出制御部22を備え、吐出制御部22は、ラッチ信号LATにより規定されるK個の単位期間TP(1)~TP(K)において、過去駆動判定モードBT-Kにより吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k1)と、過去非駆動判定モードBT-Hにより吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k2)と、が存在する場合に、単位期間TP(k2)における吐出状態判定処理を、単位期間TP(k1)における吐出状態判定処理よりも優先させる、ことを特徴としてもよい。
【0148】
このため、本実施形態によれば、単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する場合に、当該吐出状態判定処理に対して、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動の影響が及ぶ可能性を低減することができる。
【0149】
なお、本実施形態において、単位期間TP(k1)は「第1単位期間」の一例であり、単位期間TP(k2)は「第2単位期間」の一例である。
【0150】
なお、以下では、過去駆動判定モードBT-Kによる吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)の4つの判定閾値を、それぞれ、過去駆動用閾値VM-L11、過去駆動用閾値VM-H11、過去駆動用閾値TF-L11、及び、過去駆動用閾値TF-H11と称する。また、以下では、過去非駆動判定モードBT-Hによる吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)の4つの判定閾値を、それぞれ、過去非駆動用閾値VM-L12、過去非駆動用閾値VM-H12、過去非駆動用閾値TF-L12、及び、過去非駆動用閾値TF-H12と称する。
この場合、本実施形態において、判定ユニット8は、過去駆動判定モードBT-Kにより吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]を、過去駆動用閾値VM-L11及び過去駆動用閾値VM-H11と比較し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する初期時間TF[m]を、過去駆動用閾値TF-L11及び過去駆動用閾値TF-H11と比較し、当該2つの比較結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する。また、本実施形態において、判定ユニット8は、過去非駆動判定モードBT-Hにより吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]を、過去非駆動用閾値VM-L12及び過去非駆動用閾値VM-H12と比較し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する初期時間TF[m]を、過去非駆動用閾値TF-L12及び過去非駆動用閾値TF-H12と比較し、当該2つの比較結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する。ここで、過去駆動用閾値VM-L11及び過去非駆動用閾値VM-L12は互いに異なり、過去駆動用閾値VM-H11及び過去非駆動用閾値VM-H12は互いに異なり、過去駆動用閾値TF-L11及び過去非駆動用閾値TF-L12は互いに異なり、過去駆動用閾値TF-H11及び過去非駆動用閾値TF-H12は互いに異なる。
【0151】
このため、本実施形態によれば、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動の有無にかかわらず同一の判定閾値を用いる態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0152】
なお、本実施形態において、過去駆動用閾値VM-L11、過去駆動用閾値VM-H11、過去駆動用閾値TF-L11、及び、過去駆動用閾値TF-H11の各々は、「第1判定基準値」の一例であり、過去非駆動用閾値VM-L12、過去非駆動用閾値VM-H12、過去非駆動用閾値TF-L12、及び、過去非駆動用閾値TF-H12の各々は、「第2判定基準値」の一例である。
【0153】
なお、以下では、大ドット判定モードBR1を含む判定モードB[m][TP(k)]、大ドット判定モードBR2を含む判定モードB[m][TP(k)]、大ドット判定モードBR3を含む判定モードB[m][TP(k)]、小ドット判定モードBR4を含む判定モードB[m][TP(k)]、及び、小ドット判定モードBR5を含む判定モードB[m][TP(k)]を、隣接駆動判定モードBR-Kと総称し、非駆動判定モードBR6を含む判定モードB[m][TP(k)]を、隣接非駆動判定モードBR-Hと総称する場合がある。ここで、隣接駆動判定モードBR-Kは「第1判定モード」の他の例であり、隣接非駆動判定モードBR-Hは「第2判定モード」の他の例である。
この場合、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、駆動信号Comにより起動される圧電素子PZ[m]、内部にインクが充填され圧電素子PZ[m]の駆動に応じて体積が変化するキャビティCV[m]、及び、キャビティCV[m]の体積の変化に応じてキャビティCV[m]内のインクを吐出するノズルN[m]、を具備する吐出部D[m]、並びに、駆動信号Comにより起動される圧電素子PZ[m+1]、内部にインクが充填され圧電素子PZ[m+1]の駆動に応じて体積が変化するキャビティCV[m+1]、及び、キャビティCV[m+1]の体積の変化に応じてキャビティCV[m+1]内のインクを吐出するノズルN[m+1]、を具備する吐出部D[m+1]、を含むM個の吐出部D[1]~D[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]にインクを供給するリザーバ325と、圧電素子PZ[m]の電位を検出する検出回路33と、複数の判定モードの中から選択された判定モードにより、検出回路33の検出結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する判定ユニット8と、を備え、判定ユニット8は、吐出部D[m+1]が駆動信号Comにより駆動された場合、検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に応じて、隣接駆動判定モードBR-Kにより吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、吐出部D[m+1]が駆動信号Comにより駆動されていない場合、検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]に応じて、隣接非駆動判定モードBR-Hにより吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する、ことを特徴とする。
【0154】
このように、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動が吐出部D[m]に及ぼす影響を考慮して、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動を考慮せずに吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0155】
なお、本実施形態において、吐出部D[m]は「第1吐出部」の一例であり、吐出部D[m+1]は「第2吐出部」の一例であり、圧電素子PZ[m]は「第1圧電素子」の一例であり、圧電素子PZ[m+1]は「第2圧電素子」の一例であり、キャビティCV[m]は「第1圧力室」の一例であり、キャビティCV[m+1]は「第2圧力室」の一例であり、ノズルN[m]は「第1ノズル」の一例であり、ノズルN[m+1]は「第2ノズル」の一例である。
【0156】
また、本実施形態において、吐出部D[m]に設けられたキャビティCV[m]と、吐出部D[m+1]に設けられたキャビティCV[m+1]とは、隔壁WL[m][m+1]を介して互いに隣り合う、ことを特徴としてもよい。
【0157】
この場合、吐出部D[m+1]の駆動に伴い吐出部D[m+1]に生じる振動が、隔壁WL[m][m+1]を介して吐出部D[m]に伝達する。これに対して、本実施形態では、吐出部D[m+1]の駆動を考慮して吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する。このため、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動を考慮せずに吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0158】
また、本実施形態において、判定ユニット8は、圧電素子PZ[m]に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する個別指定信号Sd[m]に基づいて、複数の判定モードの中から、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理に用いる判定モードを選択する、ことを特徴とする。
【0159】
このため、本実施形態によれば、吐出部D[m]の駆動が、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理に及ぼす影響を考慮して、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、吐出部D[m]の駆動が、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理に及ぼす影響を考慮せずに吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0160】
なお、本実施形態において、個別指定信号Sd[m]は「第1指定信号」の一例である。
【0161】
また、本実施形態において、判定ユニット8は、圧電素子PZ[m+1]に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する個別指定信号Sd[m+1]に基づいて、複数の判定モードの中から、吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理に用いる判定モードを選択する、ことを特徴とする。
【0162】
このため、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動が、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理に及ぼす影響を考慮して、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動が、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理に及ぼす影響を考慮せずに吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0163】
なお、本実施形態において、個別指定信号Sd[m+1]は「第2指定信号」の一例である。
【0164】
また、本実施形態において、ラッチ信号LATにより規定されるK個の単位期間TP(1)~TP(K)において、M個の吐出部D[1]~D[M]の各々に対する駆動信号Comによる駆動の有無を指定する指定信号SI[TP(k)]により、M個の吐出部D[1]~D[M]を制御する吐出制御部22を備え、吐出制御部22は、K個の単位期間TP(1)~TP(K)において、隣接駆動判定モードBR-Kにより吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k1)と、隣接非駆動判定モードBR-Hにより吐出部D[m]を対象とした吐出状態判定処理が可能な単位期間TP(k2)と、が存在する場合に、単位期間TP(k2)における吐出状態判定処理を、単位期間TP(k1)における吐出状態判定処理よりも優先させる、ことを特徴としてもよい。
【0165】
このため、本実施形態によれば、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する場合に、当該吐出状態判定処理に対して、吐出部D[m+1]の駆動の影響が及ぶ可能性を低減することが可能となる。
【0166】
なお、以下では、隣接駆動判定モードBR-Kによる吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)の4つの判定閾値を、それぞれ、隣接駆動用閾値VM-L21、隣接駆動用閾値VM-H21、隣接駆動用閾値TF-L21、及び、隣接駆動用閾値TF-H21と称する。また、以下では、隣接非駆動判定モードBR-Hによる吐出状態判定処理において用いられる、閾値VM-L(α,β,γ)、閾値VM-H(α,β,γ)、閾値TF-L(α,β,γ)、及び、閾値TF-H(α,β,γ)の4つの判定閾値を、それぞれ、隣接非駆動用閾値VM-L22、隣接非駆動用閾値VM-H22、隣接非駆動用閾値TF-L22、及び、隣接非駆動用閾値TF-H22と称する。
この場合、本実施形態において、判定ユニット8は、隣接駆動判定モードBR-Kにより吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]を、隣接駆動用閾値VM-L21及び隣接駆動用閾値VM-H21と比較し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する初期時間TF[m]を、隣接駆動用閾値TF-L21及び隣接駆動用閾値TF-H21と比較し、当該2つの比較結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する。また、本実施形態において、判定ユニット8は、隣接非駆動判定モードBR-Hにより吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]を、隣接非駆動用閾値VM-L22及び隣接非駆動用閾値VM-H22と比較し、単位期間TP(k)における検出回路33の検出結果を示す検出信号SK[m]の有する初期時間TF[m]を、隣接非駆動用閾値TF-L22及び隣接非駆動用閾値TF-H22と比較し、当該2つの比較結果に基づいて吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定する。ここで、隣接駆動用閾値VM-L21及び隣接非駆動用閾値VM-L22は互いに異なり、隣接駆動用閾値VM-H21及び隣接非駆動用閾値VM-H22は互いに異なり、隣接駆動用閾値TF-L21及び隣接非駆動用閾値TF-L22は互いに異なり、隣接駆動用閾値TF-H21及び隣接非駆動用閾値TF-H22は互いに異なる。
【0167】
このため、本実施形態によれば、吐出部D[m+1]の駆動の有無にかかわらず同一の判定閾値を用いる態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0168】
なお、本実施形態において、隣接駆動用閾値VM-L21、隣接駆動用閾値VM-H21、隣接駆動用閾値TF-L21、及び、隣接駆動用閾値TF-H21の各々は、「第1判定基準値」の他の例であり、隣接非駆動用閾値VM-L22、隣接非駆動用閾値VM-H22、隣接非駆動用閾値TF-L22、及び、隣接非駆動用閾値TF-H22の各々は、「第2判定基準値」の他の例である。
【0169】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0170】
<<変形例1>>
上述した実施形態では、吐出制御部22が、吐出部駆動処理が実行されるK個の単位期間TP(1)~TP(K)に対応するK個の印刷指定信号SI0[TP(1)]~SI0[TP(K)]を生成した後に、K個の単位期間TP(1)~TP(K)に対応するK個の指定信号SI[TP(k)]~SI[TP(k)]を生成する態様を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、吐出制御部22は、単位期間TP(k)に対応する印刷指定信号SI0[TP(k)]を生成する毎に、指定信号SI[TP(k)]を生成してもよい。
【0171】
図17は、本変形例に係る指定信号生成処理が実行される場合における制御ユニット2の動作の一例を示すフローチャートである。
【0172】
図17に示すように、本変形例に係る指定信号生成処理において、吐出制御部22は、まず、変数kを「1」に設定する(S101)。
次に、吐出制御部22は、印刷データImgに基づいて、個別印刷指定信号Sd0[1][TP(k)]~Sd0[M][TP(k)]を含む印刷指定信号SI0[TP(k)]を生成する(S103)。
次に、吐出制御部22は、吐出部D[1][TP(k)]~D[M][TP(k)]の中から、1または複数の判定候補吐出部DKを選択する(S111)。
次に、吐出制御部22は、ステップS111において選択した1または複数の判定候補吐出部DKの中から、1個の判定対象吐出部DHを選択する(S113)。
次に、吐出制御部22は、ステップS113における判定対象吐出部DHの選択結果に基づいて、ステップS103において生成した印刷指定信号SI0[TP(k)]を更新することで、個別指定信号Sd[1][TP(k)]~Sd[M][TP(k)]を含む指定信号SI[TP(k)]を生成する(S115)。
次に、吐出制御部22は、値kが「k=K」であるか否かを判定する(S117)。
そして、吐出制御部22は、ステップS117における判定の結果が否定の場合、値kに「1」を加えたうえで(S119)、処理をステップS111に進める。他方、吐出制御部22は、ステップS117における判定の結果が肯定の場合、
図17に示す指定信号生成処理を終了させる。
【0173】
なお、本変形例において、吐出制御部22は、ステップS113において、単位期間TP(1)~TP(k)に対応するk個の指定信号SI[TP(1)]~SI[TP(k)]の一部または全部に基づいて、判定対象吐出部DHを選択してもよい。この場合、単位期間TP(k)において吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する場合に、当該吐出状態判定処理に対して、単位期間TP(k-1)における吐出部D[m]の駆動の影響が及ぶ可能性を低減することができる。また、この場合、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する場合に、当該吐出状態判定処理に対して、吐出部D[m+1]の駆動の影響が及ぶ可能性を低減することが可能となる。
【0174】
<<変形例2>>
上述した実施形態及び変形例1では、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]及び吐出部D[m-1]の駆動の態様に基づいて、隣接対応判定モードBRを選択したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、吐出部D[m]に隣り合う吐出部D[m+1]及び吐出部D[m-1]の駆動の態様に加えて、吐出部D[m+1]に隣り合う吐出部D[m+2]の駆動の態様と、吐出部D[m-1]に隣り合う吐出部D[m-2]の駆動の態様と、に基づいて、隣接対応判定モードBRを選択してもよい。
また、例えば、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、吐出部D[m]とは異なる吐出部Dの駆動の態様に基づいて、隣接対応判定モードBRを選択してもよい。
【0175】
すなわち、本変形例において、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を行う場合に、吐出部D[m]を含む所定範囲に位置する複数の吐出部Dの駆動の態様乃至駆動の有無に基づいて、判定モードB[m][TP(k)]を選択してもよい。
【0176】
本変形例によれば、吐出部D[m]とは異なる特定の吐出部Dの駆動に伴い、特定の吐出部Dに生じる振動が、リザーバ325を介して、吐出部D[m]に伝達する場合において、特定の吐出部Dから吐出部D[m]に伝達する振動を考慮して、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行することができる。このため、本実施形態によれば、特定の吐出部Dの駆動を考慮せずに吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行する態様と比較して、吐出状態判定処理において吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を正確に判定することが可能となる。
【0177】
<<変形例3>>
上述した実施形態並びに変形例1及び2において、判定ユニット8は、検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]及び初期時間TF[m]に基づいて、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、判定ユニット8は、検出信号SK[m]の有する振幅VM[m]及び初期時間TF[m]の一方に基づいて、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理を実行してもよい。具体的には、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理において、振幅VM[m]が閾値VM-L(α,β,γ)以上であって且つ閾値VM-H(α,β,γ)以下であるという、振幅判定条件を満たす場合に、吐出部D[m]における吐出状態が正常である旨を示す判定情報SH[m]を生成してもよい。また、判定ユニット8は、吐出部D[m]を対象とする吐出状態判定処理において、初期時間TF[m]が閾値TF-L(α,β,γ)以上であって且つ閾値TF-H(α,β,γ)以下であるという、位相判定条件を満たす場合に、吐出部D[m]における吐出状態が正常である旨を示す判定情報SH[m]を生成してもよい。
【0178】
<<変形例4>>
上述した実施形態及び変形例1乃至3において、判定ユニット8が吐出状態判定処理を実行する場合の判定モードが、現状対応判定モードBGと、過去対応判定モードBTと、隣接対応判定モードBRとの組み合わせである場合を例示して説明したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。判定ユニット8が吐出状態判定処理を実行する場合の判定モードは、過去対応判定モードBTと、隣接対応判定モードBRとの、少なくとも一方を含むものであればよい。具体的には、判定ユニット8は、複数の過去対応判定モードBTの中から選択された一の過去対応判定モードBTにより、吐出状態判定処理を実行してもよい。また、判定ユニット8は、複数の隣接対応判定モードBRの中から選択された一の隣接対応判定モードBRにより、吐出状態判定処理を実行してもよい。
【0179】
<<変形例5>>
上述した実施形態及び変形例1乃至4において、ヘッドユニット3は、供給回路31、記録ヘッド32、及び、検出回路33を含んで構成されたが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。ヘッドユニット3は、供給回路31、記録ヘッド32、及び、検出回路33以外の構成要素を含んで構成されてもよい。例えば、ヘッドユニット3は、供給回路31、記録ヘッド32、及び、検出回路33に加えて、判定ユニット8を含んで構成されてもよい。
【0180】
図18は、本変形例に係るインクジェットプリンター1Bの構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0181】
図18に示すように、インクジェットプリンター1Bは、制御ユニット2Bと、ヘッドユニット3Bと、駆動信号生成ユニット4と、搬送ユニット7と、を備える。
制御ユニット2Bは、吐出制御部22及び判定管理部23を備えない点において、上述した制御ユニット2と相違する。
ヘッドユニット3Bは、吐出制御部22、判定管理部23、及び、判定ユニット8を備える点において、上述したヘッドユニット3と相違する。
【0182】
本変形例によれば、ヘッドユニット3Bが、吐出制御部22、判定管理部23、及び、判定ユニット8を備えるため、新たなインクジェットプリンターを開発する場合に、当該インクジェットプリンターにヘッドユニット3Bを適用することで、容易に吐出状態判定処理を行うことが可能となる。
【0183】
<<変形例6>>
上述した実施形態及び変形例1乃至5では、インクジェットプリンター1が4個のヘッドユニット3を備える場合を想定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、1個以上3個以下のヘッドユニット3を備えるものであってもよいし、また、インクジェットプリンター1は、5個以上のヘッドユニット3を備えるものであってもよい。
【0184】
<<変形例7>>
上述した実施形態及び変形例1乃至6では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3において、複数のノズルNが、記録用紙PPの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0185】
1…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…駆動信号生成ユニット、7…搬送ユニット、8…判定ユニット、21…駆動制御部、22…吐出制御部、23…判定管理部、24…搬送制御部、31…供給回路、32…記録ヘッド、33…検出回路。