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特開2024-86101架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086101
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20240620BHJP
   E04D 13/18 20180101ALN20240620BHJP
【FI】
E04D13/00 K ETD
E04D13/18
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201037
(22)【出願日】2022-12-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】522459111
【氏名又は名称】サンスタック エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】522459122
【氏名又は名称】ルーフ アンド ソーラー テクノロジーズ インコーポレイテッド ドゥーイング ビジネス アズ インテグリティ ソーラー マウンツ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100181593
【弁理士】
【氏名又は名称】庄野 寿晃
(72)【発明者】
【氏名】小林 修一
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108LL01
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制することができる架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法を提供する。
【解決手段】架台1のベース10は、屋根の軒と、軒よりも上方に設けられている棟とを有する建造物の屋根面Rに設置される太陽光パネルPを固定するためのものである。ベース10は、ベース本体15と壁部16とを備える。ベース本体15は、屋根面Rに取り付けられると共に、太陽光パネルPを固定するために用いられる固定用溝としての第1溝10aが形成されている。壁部16は、ベース本体15において-X寄りの棟寄りの端部に設けられ、屋根面Rに対して突出して形成されていると共に、ベース本体15に一体的に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の軒と、前記軒よりも上方に設けられている棟とを有する建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記屋根面に取り付けられると共に、前記設置対象を固定するために用いられる固定用溝が形成されているベース本体と、
前記ベース本体において前記棟寄りの端部に設けられ、前記屋根面に対して突出して形成されていると共に、前記ベース本体に一体的に形成されている壁部と、
を備える、架台のベース。
【請求項2】
前記壁部には、前記建造物の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向に対して傾斜する第1傾斜面が形成されている、請求項1に記載の架台のベース。
【請求項3】
前記第1傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されている、請求項2に記載の架台のベース。
【請求項4】
前記壁部には、前記軒棟方向に対して、前記第1傾斜面とは異なる傾斜を有する第2傾斜面が形成されている、請求項2に記載の架台のベース。
【請求項5】
前記第2傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項6】
前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面に対して、90度以上150度以下の範囲内の傾斜角度により形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項7】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、120度である、請求項6に記載の架台のベース。
【請求項8】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、90度である、請求項6に記載の架台のベース。
【請求項9】
前記壁部には、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に設けられ、棟方向に突出する突出面が形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項10】
前記突出面は、曲面に形成されている、請求項9に記載の架台のベース。
【請求項11】
前記ベース本体には、内側に前記固定用溝を形成する一対の側壁部を有し、
前記側壁部の内部には、前記固定用溝から流体が流れることが可能な流路が形成され、
前記側壁部の前記軒側の端部には、前記流路を流れる前記流体を前記側壁部の内部から、前記ベース本体の外部に流す排出口が形成されている、請求項1に記載の架台のベース。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の架台のベースを備える、架台。
【請求項13】
前記固定用溝に対してスライド可能に嵌め込まれているスライド部材と、
前記スライド部材に設置されると共に、前記設置対象を固定するための固定ユニットと、
を備える、請求項12に記載の架台。
【請求項14】
請求項1から11のいずれか一項に記載の架台のベースの製造方法であって、
鋳造により、前記ベース本体と前記壁部とを一体的に形成することを含む、架台のベースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽電池モジュールが設置される設置用金具と水切り板とを有し、建造物の金属屋根に取り付けられる太陽電池モジュール支持構造物が開示されている。特許文献1に記載のものにおいて、水切り板には、設置金具の基底部の外周形状に沿って、金属屋根面から立ち上がるように突出する突設部が形成されている。突設部は、内側に雨水等が進入することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5404354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものでは、水切り板には、雨水進入防止用の部位が形成されているものの、太陽電池モジュール又は設置用金具を固定する部位が形成されていない。このため、太陽電池モジュール又は設置用金具を固定する部品を別途用意しなければならず、製造コストが高くなるおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、製造コストを抑制することができる架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る架台のベースは、
屋根の軒と、前記軒よりも上方に設けられている棟とを有する建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記屋根面に取り付けられると共に、前記設置対象を固定するために用いられる固定用溝が形成されているベース本体と、
前記ベース本体において前記棟寄りの端部に設けられ、前記屋根面に対して突出して形成されていると共に、前記ベース本体に一体的に形成されている壁部と、
を備える。
【0007】
前記壁部には、前記建造物の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向に対して傾斜する第1傾斜面が形成されていてもよい。
【0008】
前記第1傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されていてもよい。
【0009】
前記壁部には、前記軒棟方向に対して、前記第1傾斜面とは異なる傾斜を有する第2傾斜面が形成されていてもよい。
【0010】
前記第2傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されていてもよい。
【0011】
前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面に対して、90度以上150度以下の範囲内の傾斜角度により形成されていてもよい。
【0012】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、120度であってもよい。
【0013】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、90度であってもよい。
【0014】
前記壁部には、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に設けられ、棟方向に突出する突出面が形成されていてもよい。
【0015】
前記突出面は、曲面に形成されていてもよい。
【0016】
前記ベース本体には、内側に前記固定用溝を形成する一対の側壁部を有し、
前記側壁部の内部には、前記固定用溝から流体が流れることが可能な流路が形成され、
前記側壁部の前記軒側の端部には、前記流路を流れる前記流体を前記側壁部の内部から、前記ベース本体の外部に流す排出口が形成されていてもよい。
【0017】
本発明の第2の観点に係る架台は、
本発明の第1の観点に係る架台のベースを備える。
【0018】
前記架台は、
前記固定用溝に対してスライド可能に嵌め込まれているスライド部材と、
前記スライド部材に設置されると共に、前記設置対象を固定するための固定ユニットと、
を備えていてもよい。
【0019】
本発明の第3の観点に係る架台のベースの製造方法は、
本発明の第1の観点に係る架台のベースの製造方法であって、
鋳造により、前記ベース本体と前記壁部とを一体的に形成することを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る架台のベースにおいては、壁部は、ベース本体において棟寄りの端部に設けられ、屋根面に対して突出して形成されていると共に、ベース本体に一体的に形成されている。このため、本発明においては、製造コストを抑制することができる架台のベース、それを備える架台、及び、架台のベースの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態1に係る架台の分解斜視図(その1)である。
図2】実施の形態1に係る架台の側面図である。
図3】実施の形態1に係る架台の分解斜視図(その2)である。
図4】実施の形態1に係る架台の分解断面図(その1)である。
図5A】実施の形態1に係る架台のベースの斜視図(その1)である。
図5B図4のC-C断面を示す斜視図である。
図5C図4のC-C断面図である。
図5D図4のD-D断面図である。
図6図4のA-A断面を示す斜視図である。
図7】実施の形態1に係るベースの平面図である。
図8図4のB-B断面図である。
図9】実施の形態1に係るベースの斜視図(その2)である。
図10】第1傾斜面及び第2傾斜面の傾斜角度を説明するためのベースの平面図である。
図11A】実施の形態1に係るベースの製造方法を説明するための斜視図である。
図11B】実施の形態1に係るベースの製造方法を説明するための断面図である。
図12】実施の形態1に係る架台の分解断面図(その2)である。
図13】実施の形態1に係るベースの効果を説明するための平面図(その1)である。
図14】実施の形態1に係るベースの効果を説明するための断面図(その1)である。
図15】実施の形態1に係るベースの効果を説明するための断面図(その2)である。
図16】実施の形態2に係る架台の分解斜視図である。
図17】実施の形態2に係るベースの斜視図である。
図18】実施の形態2に係るベースの平面図である。
図19】実施の形態2に係るベースの効果を説明するための平面図である。
図20】実施の形態1に係るベースの効果を説明するための平面図(その2)である。
図21】実施の形態3に係るベースの効果を説明するための平面図である。
図22】実施の形態4に係る架台の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について、図を用いて説明する。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0023】
架台1は、図1及び図2に示すように、例えば、建造物の屋根面Rに取り付けられ、XY平面に平行な屋根面Rに設置される設置対象としての太陽光パネルPを支持するために用いられる。なお、本実施の形態1において、架台1が取り付けられる建造物は、屋根の軒と、軒よりも上方に設けられている棟とを有する家屋である。実施の形態1に係る架台1は、ベース10と、スライド金具20と、固定ユニット30とを備える。また、架台1は、図3及び図4に示すように、ベース10、スライド金具20、及び固定ユニット30に加えて、第1の留め具B1と、第2の留め具B2とを備える。
【0024】
ベース10は、固定ユニット30を支持する部材である。ベース10は、例えば、金属より形成されている。具体的には、ベース10は、例えば、金型を用いた鋳造により形成されている。このベース10は、ベース本体15と、壁部16とを備える。
【0025】
ベース本体15は、屋根面Rに取り付けられて用いられる。また、ベース本体15には、太陽光パネルPを固定するために用いられる固定用溝としての第1溝10aが形成されている。このベース本体15は、第1溝10aが設けられている溝形成部分11と、溝形成部分11から+Y方向及び-Y方向に張り出されて形成されている板状のフランジ部分14R、14Lとを有する。
【0026】
溝形成部分11には、第1溝10aがX軸方向と同一の方向である第1方向D1に沿って形成されている。この溝形成部分11は、内側に第1溝10aを形成する一対の側壁部11R、11Lを有する。
【0027】
側壁部11R、11Lには、図4及び図5Aに示すように、第1溝10aから、ベース本体15の-Z側の裏面18に通じる流路17が形成されている。流路17は、雨水などの流体が流れることが可能なものとして形成されている。なお、ベース10は、その裏面18に、例えば、ブチルゴムからなるシート40が貼り付けられて使用される。したがって、流路17を流れる雨水は、下方向(-Z方向)には流出しない。図5A図5B図5C、及び図5Dに示すように、側壁部11R、11Lの軒側(+X側)の端部には、流路17を流れる雨水を側壁部11R、11Lの内部からのベース本体15の外部に流す排出口17aが形成されている。また、側壁部11R、11Lの内部において、スライド規制部13R、13Lの下側(-Z側)には、雨水が流れる内部流路17bが形成されている。なお、図で示したブチルゴムからなるシート40の形状は、例示であり、これに限定されるものではない。また、シート40の素材は、ブチルゴムに限られず、ブチルゴム以外のものであってもよい。
【0028】
また、一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面には、図4及び図5Aに示すように、スライド金具20の一部が嵌まる一対の第2溝12R、12Lが形成されている。
【0029】
第2溝12R、12Lは、第1方向D1(X軸方向)に沿って延びるように形成されている。第2溝12R、12Lには、図3及び図6に示すように、スライド規制部13R、13Lが形成されている。なお、本実施の形態1においては、スライド規制部13R、13Lは、第2溝12R、12Lそれぞれに形成されていることで、2つ形成されている。しかしながら、これに限られない。スライド規制部13R、13Lは、第2溝12R、12Lの一方に形成されていてもよい。
【0030】
スライド規制部13R、13Lは、ベース10に対するスライド金具20の第1方向D1へのスライドを規制するために形成されている。本実施の形態1においては、スライド規制部13R、13Lは、ベース10に対するスライド金具20の+X方向へのスライドを規制する。
【0031】
フランジ部分14R、14Lには、図7に示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-4がZ軸方向に貫通して形成されている。
【0032】
留め具挿入用孔14a-1~14a-4は、屋根面取付け用の留め具50(図2参照)が挿入される円孔である。4つの留め具挿入用孔14a-1~14a-4のうちの留め具挿入用孔14a-3、14a-4は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2よりも、家屋の棟から軒への方向である軒棟方向において軒寄り(下寄り、+X寄り)に設けられている。なお、本実施の形態1において、軒棟方向は、第1方向D1と同一の方向である。
【0033】
留め具挿入用孔14a-1は、図8に示すように、平面視において、留め具挿入用孔14a-2の中心を通過し、Y軸方向に平行な直線L1からずれた位置に形成されている。これにより、留め具挿入用孔14a-1は、留め具挿入用孔14a-2の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-1は、留め具挿入用孔14a-2の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0034】
留め具挿入用孔14a-3、14a-4は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2と同様に、それらの間に第1溝10aが設けられる位置に形成されている。そして、留め具挿入用孔14a-3は、平面視において、留め具挿入用孔14a-4の中心を通過し、Y軸方向及び直線L1に平行な直線L2からずれた位置に形成されている。これにより、留め具挿入用孔14a-3は、留め具挿入用孔14a-4の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-3は、留め具挿入用孔14a-4の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0035】
ベース10には、図7及び図8に示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-4に加えて、留め具挿入用孔14a-5、14a-6が形成されている。
【0036】
留め具挿入用孔14a-5、14a-6は、第1溝10aの底面に、Z軸方向に貫通して形成されている。留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-5よりも、軒棟方向において軒寄り(下寄り、+X寄り)に設けられている。留め具挿入用孔14a-5、14a-6は、それらの孔の中心がY軸方向に平行な直線L3に重なるように形成されている。
【0037】
留め具挿入用孔14a-5は、図8に示すように、留め具挿入用孔14a-1、14a-2の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。より具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-5は、留め具挿入用孔14a-1、14a-2の形成位置よりも軒棟方向において-X寄り(上寄り)にずれた位置に形成されている。
【0038】
留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-3、14a-4の形成位置よりも軒棟方向(X軸方向)にずれた位置に形成される。より具体的には、本実施の形態1においては、留め具挿入用孔14a-6は、留め具挿入用孔14a-3、14a-4の形成位置よりも軒棟方向において+X寄り(下寄り)にずれた位置に形成されている。
【0039】
留め具挿入用孔14a-1~14a-6には、ベース10を建造物の屋根に取り付けるための金属製や木製の留め具が挿入される。しかしながら、留め具挿入用孔14a-1~14a-6に挿入される留め具は、金属製や木製のものに限られない。留め具挿入用孔14a-1~14a-6に挿入される留め具は、金属や木以外の素材から形成されたものであってもよい。
【0040】
また、一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面11a、11bには、図4及び図9に示すように、リブ19が形成されている。リブ19は、側壁部11R、11Lにおける対向面11a、11bを有する部位の剛性を高め、対向面11a、11bを有する部位の座屈を抑制するために形成されている。
【0041】
壁部16は、図9に示すように、ベース本体15において棟寄り(-X寄り)の端部に設けられ、XY平面に対して上方(+Z方向)に突出して形成されている。壁部16は、鋳造により、ベース本体15に一体的に形成されている。壁部16は、例えば、棟側から流れる雨水が、留め具挿入用孔14a-2、14a-4に挿入される留め具にかかることを抑制するために用いられる。この壁部16には、第1傾斜面16-1と第2傾斜面16-2と、突出面16-3とが形成されている。
【0042】
第1傾斜面16-1は、図10に示すように、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。具体的には、留め具挿入用孔14a-5、14a-6の中心を通過する直線L3に対する第1傾斜面16-1の傾斜角度θ1は、60度である。この第1傾斜面16-1は、図9に示すように、棟側から流れる雨水を防止しやすいように、建造物の屋根に平行なXY平面に対して直交する面に形成されている。
【0043】
第2傾斜面16-2は、図10に示すように、第1傾斜面16-1とは別の傾斜面である。第2傾斜面16-2は、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。具体的には、留め具挿入用孔14a-5、14a-6の中心を通過する直線L3に対する第2傾斜面16-2の傾斜角度θ2は、60度である。第2傾斜面16-2と第1傾斜面16-1とは、直線L3を含むXZ平面に対して、面対称に形成されている(θ1=θ2)。この第2傾斜面16-2は、図9に示すように、棟側から流れる雨水を防止しやすいように、建造物の屋根に平行なXY平面に対して直交する面に形成されている。
【0044】
第1傾斜面16-1の傾斜角度θ1が60度であると共に、第2傾斜面16-2の傾斜角度θ2が60度であるため、本実施の形態1においては、第1傾斜面16-1は、第2傾斜面16-2に対して、120度の傾斜角度θにより形成される。
【0045】
突出面16-3は、図9及び図10に示すように、第1傾斜面16-1と第2傾斜面16-2との間に設けられている。突出面16-3は、棟方向(-X方向)に突出して形成されている。突出面16-3は、本実施の形態1においては、曲面に形成されている。この突出面16-3は、棟側から流れる雨水を防止しやすいように、建造物の屋根に平行なXY平面に対して直交する面に形成されている。
【0046】
上述のように構成されているベース10は、図11A及び図11Bに示すように、例えば、少なくとも二つの第1金型Da及び第2金型Dbを上下方向(+Z方向及び-Z方向)に開く鋳造により、ベース本体15と壁部16とを一体的に形成されつつ製造される。しかしながら、これに限らず、ベース本体15と壁部16とを一体的に形成できる製造方法であれば、鋳造以外の製造方法であってもよい。また、ベース10は、鋳造のうちのダイカストにより製造されることが好ましい。しかしながら、これに限られない。ベース10は、ダイカスト以外の砂型や石膏型、樹脂型、ロストワックスなどの鋳造により製造されてもよい。
【0047】
スライド金具20は、図3に示すように、ベース10の第1溝10aに対して第1方向D1にスライド可能に嵌め込まれている。スライド金具20は、ベース10に対して、第1方向D1における任意の位置で取り付けられることにより、第1方向D1における太陽光パネルPの位置決めを行う。スライド金具20は、例えば、金属より形成されており、具体的には、ベース10と同じ素材の金属より形成されている。このスライド金具20には、ネジ孔20aが形成されている。
【0048】
ネジ孔20aは、第1の留め具B1がねじ込まれると共に、内周面が雌ネジ面に形成されている。このネジ孔20aは、Z軸方向に貫通して形成されている。
【0049】
スライド金具20には、図4に示すように、ネジ孔20aに加えて、一対の嵌込部20bが形成されている。
【0050】
嵌込部20bは、ベース10が有する側壁部11R、11Lに形成されている第2溝12R、12Lに嵌まる部分である。嵌込部20bは、そのYZ断面がL字形状に形成されている。
【0051】
固定ユニット30は、図2に示すように、太陽光パネルPを固定する。固定ユニット30は、図3及び図4に示すように、第1の留め具B1によってスライド金具20に設置される。固定ユニット30は、例えば、金属より形成されており、具体的には、ベース10及びスライド金具20と同じ素材の金属より形成されている。固定ユニット30は、受け部材31と、固定ユニット本体32とを有する。
【0052】
受け部材31は、固定ユニット本体32を受ける金具である。受け部材31には、固定ユニット本体32が嵌め込まれる溝31aがY軸方向に沿って形成されている。溝31aの底面には、図4に示すように、第1の留め具B1が挿入される孔31eと、第2の留め具B2が挿入されるネジ孔31fとがZ軸方向に貫通して形成されている。
【0053】
孔31eは、内周面が雌ネジ面に形成されていない孔である。
【0054】
ネジ孔31fは、内周面が雌ネジ面に形成されている孔である。
【0055】
また、受け部材31には、載置面31bと受圧面31cとが形成されている。
【0056】
載置面31bは、図12に示すように、溝31aを内側に形成する一対の側壁部31-1、31-2のうちの一方の側壁部31-1から延設されている延設部31-3(載置部)の上面(+Z側の面)に設けられている。載置面31bには、架台1の設置対象である太陽光パネルPが載置される。また、載置面31bは、概ねXY平面に平行な面から構成され、一部が凹んで形成されている。載置面31bにおいて凹んで形成されている部分は、凹み部31dとして形成されている。
【0057】
受圧面31cは、固定ユニット30に固定される太陽光パネルPの重みを受ける面である。この受圧面31cは、側壁部31-1の-X側の面に形成され、YZ平面に平行な面に形成されている。
【0058】
固定ユニット本体32は、図3に示すように、第2の留め具B2によって、受け部材31に固定される金具である。固定ユニット本体32は、側壁部32-1、32-2と、連結板部32-3、32-4と、延設部32-5、32-6とを有する。
【0059】
側壁部32-1、32-2は、YZ平面に平行な板状に形成されている。側壁部32-1は、受け部材31の側壁部31-1との間に隙間を有しつつ、側壁部31-1に重なって設けられている。側壁部32-2は、受け部材31の側壁部31-2との間に隙間を有しつつ、側壁部31-2に重なって設けられている。
【0060】
連結板部32-3、32-4は、XY平面に平行な板状に形成されている。この連結板部32-3、32-4は、側壁部32-1、32-2を連結する。側壁部32-1、32-2は、2枚の連結板部32-3、32-4によって連結されることにより、固定ユニット本体32の強度を向上させる。連結板部32-4よりも上側(+Z側)に配置されている連結板部32-3と、側壁部32-1、32-2との内側には、Y軸方向に延びる溝が形成される。連結板部32-3には、図4に示すように、第2の留め具B2が挿入される孔が形成されている。同様に、連結板部32-4にも、第2の留め具B2が挿入される孔が形成されている。
【0061】
延設部32-5は、側壁部32-1の上端(+Z側の端部)から延設されている。延設部32-5の下面(-Z側の面)は、載置面31bに対して太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。また、延設部32-5は、その延設方向の長さ(X軸方向の長さ)が、受け部材31の延設部31-3の延設方向の長さ(X軸方向の長さ)よりも短く形成されている。
【0062】
延設部32-6は、側壁部32-2の上端(+Z側の端部)から、延設部32-5の延設方向とは反対の方向に延設されている。延設部32-6の下面(-Z側の面)は、太陽光パネルPを押さえつつ固定する面として機能する。
【0063】
図4に示すように、このように構成されている固定ユニット本体32において、連結板部32-3、32-4のそれぞれには、Z軸方向に貫通する孔32a、32bが形成されている。第1の留め具B1の+Z側の頭部の一部は、図4の矢印A1に示すように、これらの孔32a、32bを通じて外部に露出する。また、孔32a、32bは、第1の留め具B1の頭部がZ軸方向に通過しない大きさに形成されている。
【0064】
第1の留め具B1は、図3及び図4に示すように、例えば、ボルトやネジから構成されている。第1の留め具B1は、軸心回りに回転することでスライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられる。この第1の留め具B1は、第2の留め具B2による受け部材31と固定ユニット本体32との固定を維持しつつ、スライド金具20と固定ユニット30との固定が解除可能に、スライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられている。また、第1の留め具B1は、その下端がベース10の第1溝10a内に突出するように、スライド金具20及び固定ユニット30に取り付けられている。
【0065】
第1の留め具B1には、スライド金具20と固定ユニット30との固定を解除するための工具が嵌まる被嵌込孔B1aが形成されている。第1の留め具B1の被嵌込孔B1aは、固定ユニット本体32に形成されている上述の孔32a、32bを通じて、Z軸方向(第1の留め具B1の軸心方向)に外部に露出する。
【0066】
第2の留め具B2は、例えば、ボルトやネジから構成されている。第2の留め具B2は、軸心回りに回転することで固定ユニット30に取り付けられる。この第2の留め具B2は、その軸心が第1の留め具B1の軸心と平行に設けられている。また、第2の留め具B2は、その下端がベース10の溝形成部分11の外に突出するように固定ユニット30に取り付けられている。
【0067】
以上、説明したように、本実施の形態1に係る架台1のベース10は、図1に示すように、壁部16は、ベース本体15において棟寄り(-X寄り)の端部に設けられ、屋根面Rに対して突出して形成されていると共に、ベース本体15に一体的に形成されている。このため、本実施の形態1では、製造コストを抑制することができる架台1のベース10、それを備える架台1、及び、架台1のベース10の製造方法を提供することができる。
【0068】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10は、ベース本体15において棟寄り(-X寄り)の端部に設けられ、建造物の屋根面Rに対して+Z方向に突出して形成されている壁部16を備える。この壁部16は、図13に示すように、棟側から流れる雨水Wを-Y側及び+Y側の左右に分けつつ軒方向(+X方向)に流すことができる。このため、建造物の屋根面Rを流れる雨水Wが、屋根面Rに対して架台1を取り付ける留め具50にかかることを抑制する。これにより、本実施の形態1に係るベース10は、雨水Wに起因して、留め具50が劣化することを抑制することができる。例えば、留め具50が木製のものである場合には、留め具50の腐敗の進行を抑制することができる。ひいては、本実施の形態1に係るベース10は、雨水Wに起因して、留め具50が劣化することを抑制することができる。結果として、本実施の形態1に係るベース10は、屋根面Rに対する架台1の固定力の低下を抑制することができる。
【0069】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10は、図11A及び図11Bに示すように、ダイカストにより形成されている。このため、本実施の形態1では、ベース10の製造コストを抑制することができる。一般的に、ベース10は、アルミ等の金属の押出し加工や金属プレートのプレス成形によって製造される。このため、本実施の形態1に係るベース10の形状を押出し加工やプレス成形で製造する場合、押出し加工の押出し方向やプレス成形のプレス方向とは異なる方向の突起物を形成するために、切削加工などの2次加工が必要となる場合がある。この場合、ベース10の製造コストが高くなるおそれがある。しかしながら、本実施の形態1では、ダイカストにより形成されているため、ベース10の製造コストを抑制することができる。ひいては、本実施の形態1では、製造コストを抑制することができる架台1のベース10、それを備える架台1、及び、架台1のベース10の製造方法を提供することができる。
【0070】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10は、ダイカストにより形成されている。このため、図13に示すように、本実施の形態1に係る架台1のベース10では、ベース本体15において、留め具50から雨水Wを最も防ぎやすい位置に壁部16を形成することができる。また、本実施の形態1では、屋根面Rに対して+Z方向に突出する形状にベース10を形成することができる。
【0071】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10では、壁部16は、ベース本体15に一体的に形成されている。このため、壁部16は、ベース本体15に強固に形成することができる。これにより、棟側から流れてくる雨水Wが当たることで、雨水Wからの圧力により、ベース本体15から壁部16が外れてしまうことなどを防止することができる。
【0072】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10では、壁部16は、ベース本体15に一体的に形成されている。このため、ベース本体15と壁部16とが別体に形成されていることで、屋根面Rにベース本体15に取り付けてから、ベース本体15に壁部16に取り付ける場合と比べて、本実施の形態1では、施工者の技量に関わらず、屋根面Rに対する所望の位置に壁部16を配置しやすくなる。この結果、実施の形態1では、建造物の屋根面Rに対するベース10の設置の作業効率を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10では、壁部16には、第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とが形成されている。このため、建造物の屋根面Rを流れる雨水Wが、屋根面Rに対して架台1を取り付ける留め具50にかかることを抑制する効果を更に大きくすることができる。
【0074】
また、本実施の形態1に係る架台1のベース10において、側壁部11R、11Lの内部には、図14及び図15に示すように、流路17が形成されている。これにより、ベース10においては、仮に雨水Wが壁部16を乗り越えて、ベース本体15上に進入しても、雨水Wは、流路17を流れる。流路17を流れる雨水Wは、スライド規制部13R、13Lの下側(-Z側)に形成されている内部流路17bを流れてから、排出口17aからベース本体15の外部に排出される。以上より、雨水Wをベース本体15の外部に排出することができる。
【0075】
また、実施の形態1においては、図3に示すように、一対の側壁部11R、11Lのそれぞれの対向面に形成されている第2溝12R、12Lには、スライド規制部13R、13Lが形成されている。このため、図2に示すように、架台1の第1方向D1と屋根面Rの軒棟方向とが一致した状態で、架台1を屋根面Rに取り付けた場合に、図3に示すように、スライド規制部13R、13Lが、ベース10に対するスライド金具20及び固定ユニット30の+X方向へのスライドを規制する。この結果、実施の形態1に係る架台1は、家屋の屋根面Rに対する設置、取外しの作業効率を向上させることができる。
【0076】
また、実施の形態1では、スライド規制部13R、13Lは、第2溝12R、12Lに形成されている。これにより、側壁部11R、11Lの剛性を向上させることができる。そして、側壁部11R、11Lの剛性の向上により、スライド規制部13R、13Lは、ベース10からスライド金具20の脱落を抑制する効果をより高めることができる。さらに、スライド規制部13R、13Lは、スライド金具20から加わる圧縮方向の力に対して、第1溝10aを形成する壁の剛性を向上させる。そして、スライド規制部13R、13Lは、第1溝10aを形成する壁の剛性の向上に伴い、第1溝10aを形成する壁の座屈を抑制することができる。
【0077】
また、実施の形態1に係る架台1においては、図1及び図7に示すように、留め具挿入用孔14a-1~14a-6は、軒棟方向にずれた位置に形成されている。このため、留め具挿入用孔14a-1~14a-6に挿入される全ての屋根面取付け用留め具が、屋根面Rの野地板同士の隙間に刺さってしまうことを回避することができる。これにより、屋根面Rに対するベース10の取付け強度を向上させることができる。
【0078】
実施の形態2.
上記実施の形態1においては、第1傾斜面16-1は、第2傾斜面16-2に対して、120度の傾斜角度θにより形成される。しかしながら、これに限られない。第1傾斜面16-1は、第2傾斜面16-2に対して、120度とは別の傾斜角度θにより形成されていてもよい。以下、第2傾斜面16-2に対する第1傾斜面16-1の傾斜角度が120度とは異なる傾斜角度に形成されている実施の形態2に係る架台2のベース10Bについて、図を用いて説明する。実施の形態1との相違点を主に説明する。説明した相違点以外は、実施の形態1と同一又は同等のものとする。なお、理解を容易にするために、XYZ座標を設定し、適宜参照する。
【0079】
実施の形態2に係る架台2は、図16に示すように、ベース10Bと、スライド金具20と、固定ユニット30とを備える。
【0080】
ベース10Bは、固定ユニット30を支持する部材である。ベース10Bは、例えば、金属より形成されている。具体的には、ベース10Bは、例えば、金型を用いたダイカストにより形成されている。このベース10Bは、図17に示すように、ベース本体15と、壁部16とを備える。
【0081】
ベース本体15は、建造物の屋根に取り付けられて用いられる。また、ベース本体15には、太陽光パネルPを固定するために用いられる固定用溝としての第1溝10aが形成されている。
【0082】
壁部16は、ベース本体15において棟寄り(-X寄り)の端部に設けられ、XY平面に対して上方(+Z方向)に突出して形成されている。壁部16は、ダイカストにより、ベース本体15に一体的に形成されている。壁部16は、例えば、棟側から流れる雨水が、留め具挿入用孔14a-2、14a-4に挿入される留め具にかかることを抑制するために用いられる。この壁部16には、第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とが形成されている。
【0083】
第1傾斜面16-1は、図18に示すように、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。具体的には、留め具挿入用孔14a-5、14a-6の中心を通過する直線L3に対する第1傾斜面16-1の傾斜角度θ1は、45度である。この第1傾斜面16-1は、図17に示すように、建造物の屋根に平行なXY平面に対して直交する面に形成されている。
【0084】
第2傾斜面16-2は、図18に示すように、第1傾斜面16-1とは別の傾斜面である。第2傾斜面16-2は、第1方向D1に対して傾斜して形成されている。具体的には、留め具挿入用孔14a-5、14a-6の中心を通過する直線L3に対する第2傾斜面16-2の傾斜角度θ2は、45度である。第2傾斜面16-2と第1傾斜面16-1とは、直線L3を含むXZ平面に対して、面対称に形成されている。この第2傾斜面16-2は、図17に示すように、建造物の屋根に平行なXY平面に対して直交する面に形成されている。
【0085】
第1傾斜面16-1の傾斜角度θ1が45度であると共に、第2傾斜面16-2の傾斜角度θ2が45度であるため、本実施の形態1においては、第1傾斜面16-1は、第2傾斜面16-2に対して、90度の傾斜角度θにより形成される。
【0086】
突出面16-3は、図17及び図18に示すように、第1傾斜面16-1と第2傾斜面16-2との間に設けられている。突出面16-3は、棟方向(-X方向)に突出して形成されている。突出面16-3は、本実施の形態1においては、曲面に形成されている。
【0087】
上述のように構成されているベース10Bは、例えば、少なくとも二つの金型を上下方向(+Z方向及び-Z方向)に開くダイカストにより、ベース本体15と壁部16とを一体的に形成されつつ製造される。しかしながら、これに限らず、ベース本体15と壁部16とを一体的に形成できる製造方法であれば、ダイカスト以外の製造方法であってもよい。
【0088】
スライド金具20及び固定ユニット30は、実施の形態1のものと同じものである。
【0089】
以上、説明したように、本実施の形態2に係る架台2のベース10Bでは、図18に示すように、第1傾斜面16-1は、第2傾斜面16-2に対して、90度の傾斜角度θにより形成されている。したがって、実施の形態1のものと比べて傾斜角度θ1、θ2が小さいため、図19に示すように、ベース10Bは、雨水Wを軒方向に効率的に流すことができる。このため、壁部16は、建造物の屋根面Rを流れる雨水Wが、屋根面Rに対して架台2を取り付ける留め具50にかかることを抑制する。これにより、本実施の形態2に係るベース10Bは、雨水Wに起因して、留め具50が劣化することを抑制することができる。結果として、本実施の形態2に係るベース10Bは、屋根面Rに対する架台2の固定力の低下を抑制することができる。
【0090】
ただし、実施の形態1のもののように、第1傾斜面16-1が第2傾斜面16-2に対して120度の傾斜角度θにより形成されている場合の方が、図20に示すように、平面視におけるベース本体15の面積を確保できる。このため、作業者の手や工具が壁部16に干渉しないように、壁部16からの留め具挿入用孔14a-1、14a-2、14a-5の形成位置までの距離L4を確保しつつ、ベース本体15の重心Cから留め具挿入用孔14a-1、14a-2、14a-5の形成位置までの距離L5を長くすることができる。距離L5を長くすることで、ベース10の強度を向上させると共に、屋根面Rに対するベース10の固定強度を向上させることができる。
【0091】
また、実施の形態2に係るベース10Bは、壁部16の傾斜角度θ以外は実施の形態1のものと同等の構造を有するため、実施の形態1と同等の効果を奏することができる。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0093】
例えば、本実施の形態1、2では、図13及び図19に示すように、壁部16には、第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とが形成されている。しかしながら、これに限られない。壁部16には、第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とのうちの少なくとも一つが形成されていてもよい。第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とのうちの少なくとも一つが形成されていることで、ベース10、10Bは、雨水Wを軒方向に流すことができる。しかしながら、雨水Wを軒方向に効率的に流す観点からは、壁部16には、第1傾斜面16-1と、第2傾斜面16-2と、突出面16-3とが形成されている方が好ましい。
【0094】
また、本実施の形態1、2では、図10及び図18に示すように、第2傾斜面16-2に対する第1傾斜面16-1の傾斜角度θは、120度又は90度である。しかしながら、これに限られない。図21に示す実施の形態3に係る架台3のベース10Cのように、傾斜角度θは、120度、90度以外の角度であってもよい。ただし、壁部16における雨水進入の抑制効果の観点から、傾斜角度θは、90度以上150度以下の範囲内であることが好ましい。
【0095】
また、本実施の形態1、2では、図10及び図18に示すように、第1傾斜面16-1と第2傾斜面16-2とは、直線L3を含むXZ平面に対して面対称に形成されている(θ1=θ2)。しかしながら、これに限られない。図21に示す実施の形態3に係るベース10Cのように、第1傾斜面16-1と第2傾斜面16-2とは、直線L3を含むXZ平面に対して非対称に形成されていてもよい(θ1≠θ2)。実施の形態3では、傾斜角度θ1は60度、傾斜角度θ2は45度として例示しているが、傾斜角度θ1、θ2はこの角度に限定されるものではない。
【0096】
また、本実施の形態1、2では、図1及び図16に示すように、固定ユニット30は、受け部材31と、固定ユニット本体32とを有する。しかしながら、これに限られない。図22に示す実施の形態4に係る架台4のように、固定ユニット30は、実施の形態1、2のものと異なる形状、構造のものであってもよい。また、ベース10が、太陽光パネルを直接的に固定してもよい。この場合、架台4は、スライド金具20及び固定ユニット30を備えずに、ベース10のみを備える。
【0097】
また、本実施の形態1、2では、架台1、2が支持する設置対象は、太陽光パネルPとして示している。しかしながら、これに限られない。架台1、2が支持する設置対象は、太陽光パネルP以外のものであってもよい。例えば、架台1、2が支持する設置対象は、緑化装置などの屋根上設置物であってもよい。
【0098】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0099】
1,2,3,4:架台、10,10B,10C:ベース、10a:第1溝(固定用溝)、11:溝形成部分、11R,11L:側壁部、11a,11b:対向面、12R,12L:第2溝、13R,13L:スライド規制部、14R,14L:フランジ部分、14a-1,14a-2,14a-3,14a-4,14a-5,14a-6:留め具挿入用孔、15:ベース本体、16:壁部、16-1:第1傾斜面、16-2:第2傾斜面、16-3:突出面、17:流路、17a:排出口、17b:内部流路、18:裏面、19:リブ、20:スライド金具、20a:ネジ孔、20b:嵌込部、30:固定ユニット、31:受け部材、31-1:側壁部、31-2:側壁部、31-3:延設部、31a:溝、31b:載置面、31c:受圧面、31d:凹み部、31e:孔、31f:ネジ孔、32:固定ユニット本体、32-1,32-2:側壁部、32-3,32-4:連結板部、32-5,32-6:延設部、32a,32b:孔、40:シート、50:留め具、B1:第1の留め具、B1a:被嵌込孔、B2:第2の留め具、Da:第1金型、Db:第2金型、P:太陽光パネル(設置対象)、R:屋根面、W:雨水、D1:第1方向、D2:第2方向、A1:矢印、L1,L2,L3:直線、L4,L5:距離、θ,θ1,θ2:傾斜角度、C:重心。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る架台のベースは、
屋根の軒と、前記軒よりも上方に設けられている棟とを有する建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記屋根面に取り付けられると共に、前記設置対象を固定するために用いられる固定用溝が形成されているベース本体と、
前記ベース本体において前記棟寄りの端部に設けられ、前記屋根面に対して突出して形成されていると共に、前記ベース本体に一体的に形成されている壁部と、
を備え
前記ベース本体には、内側に前記固定用溝を形成する一対の側壁部を有し、
前記側壁部の内部には、前記固定用溝から流体が流れることが可能な流路が形成され、
前記側壁部の前記軒側の端部には、前記流路を流れる前記流体を前記側壁部の内部から、前記ベース本体の外部に流す排出口が形成されている
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根の軒と、前記軒よりも上方に設けられている棟とを有する建造物の屋根面に設置される設置対象を固定するための架台のベースであって、
前記屋根面に取り付けられると共に、前記設置対象を固定するために用いられる固定用溝が形成されているベース本体と、
前記ベース本体において前記棟寄りの端部に設けられ、前記屋根面に対して突出して形成されていると共に、前記ベース本体に一体的に形成されている壁部と、
を備え
前記ベース本体には、内側に前記固定用溝を形成する一対の側壁部を有し、
前記側壁部の内部には、前記固定用溝から流体が流れることが可能な流路が形成され、
前記側壁部の前記軒側の端部には、前記流路を流れる前記流体を前記側壁部の内部から、前記ベース本体の外部に流す排出口が形成されている、架台のベース。
【請求項2】
前記壁部には、前記建造物の前記棟から前記軒への方向である軒棟方向に対して傾斜する第1傾斜面が形成されている、請求項1に記載の架台のベース。
【請求項3】
前記第1傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されている、請求項2に記載の架台のベース。
【請求項4】
前記壁部には、前記軒棟方向に対して、前記第1傾斜面とは異なる傾斜を有する第2傾斜面が形成されている、請求項2に記載の架台のベース。
【請求項5】
前記第2傾斜面は、前記屋根面に対して直交する面に形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項6】
前記第1傾斜面は、前記第2傾斜面に対して、90度以上150度以下の範囲内の傾斜角度により形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項7】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、120度である、請求項6に記載の架台のベース。
【請求項8】
前記第2傾斜面に対する前記第1傾斜面の前記傾斜角度は、90度である、請求項6に記載の架台のベース。
【請求項9】
前記壁部には、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間に設けられ、棟方向に突出する突出面が形成されている、請求項4に記載の架台のベース。
【請求項10】
前記突出面は、曲面に形成されている、請求項9に記載の架台のベース。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の架台のベースを備える、架台。
【請求項12】
前記固定用溝に対してスライド可能に嵌め込まれているスライド部材と、
前記スライド部材に設置されると共に、前記設置対象を固定するための固定ユニットと、
を備える、請求項11に記載の架台。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の架台のベースの製造方法であって、
鋳造により、前記ベース本体と前記壁部とを一体的に形成することを含む、架台のベースの製造方法。