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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086103
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】水質測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/404 20060101AFI20240620BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01N27/404 341B
G01N27/416 341G
G01N27/416 346
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201039
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木全 勇太
(72)【発明者】
【氏名】三原 俊哉
(57)【要約】
【課題】センサ装置に用いる内部液の交換の手間を省く。
【解決手段】水質測定システム100は、内部液35を収容する収容部33と、内部液35に浸される第1電極31と、第1電極とは別の第2電極と、を有するセンサ装置30を備える。更に、水質測定システム100は、排出部50と、供給部60と、制御部70と、を備える。制御部70は、予め定められた交換条件が成立した場合に、排出部50を制御して収容部33内の内部液35を排出させ、供給部60を制御して補充用内部液を収容部33に供給させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部液を収容する収容部と、前記内部液に浸される第1電極と、前記第1電極とは別の第2電極と、を有し、測定対象液に含まれる特定物質の濃度に応じた電圧を前記第1電極と前記第2電極との間に生じさせるセンサ装置と、
前記収容部内の前記内部液を排出させる排出部と、
前記収容部に補充用内部液を供給する供給部と、
前記排出部及び前記供給部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、予め定められた交換条件が成立した場合に、前記排出部を制御して前記収容部内の前記内部液を排出させ、前記供給部を制御して前記補充用内部液を前記収容部に供給させる
水質測定システム。
【請求項2】
前記センサ装置は、前記測定対象液が流れる流路内に配置され、
更に、前記流路に標準液を供給する標準液供給部を備え、
前記制御部は、予め定められた診断条件が成立するごとに、前記標準液供給部を制御して前記流路に前記標準液を供給させ、前記センサ装置による検出値と、予め定められた参照値とに基づいて前記交換条件が成立したか否かを判定する
請求項1に記載の水質測定システム。
【請求項3】
前記制御部は、予め定められた交換時間が経過するごとに、又は予め定められた交換時刻になるごとに前記交換条件が成立したと判定する
請求項1に記載の水質測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水質測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、隔膜式センサが開示されている。この隔膜式センサは、試料溶液中の特定物質を透過させる隔膜を有し、当該隔膜を透過した特定物質を、内部液に浸した作用極及び対極間に流れる電流に基づいて検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-87418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記隔膜式センサの内部液は、使用によって劣化するため、交換が必要となる。このため、上記隔膜式センサは、内部液の交換の手間がかかる。この課題は、内部液を用いる別の種類のセンサ装置においても生じる。
【0005】
本開示は、センサ装置に用いる内部液の交換の手間を省くことが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔1〕内部液を収容する収容部と、前記内部液に浸される第1電極と、前記第1電極とは別の第2電極と、を有し、測定対象液に含まれる特定物質の濃度に応じた電圧を前記第1電極と前記第2電極との間に生じさせるセンサ装置と、
前記収容部内の前記内部液を排出させる排出部と、
前記収容部に補充用内部液を供給する供給部と、
前記排出部及び前記供給部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、予め定められた交換条件が成立した場合に、前記排出部を制御して前記収容部内の前記内部液を排出させ、前記供給部を制御して前記補充用内部液を前記収容部に供給させる
水質測定システム。
【0007】
上記水質測定システムは、交換条件が成立した場合に、内部液を自動的に交換する。したがって、上記水質測定システムは、センサ装置に用いる内部液の交換の手間を省くことができる。
【0008】
〔2〕前記センサ装置は、前記測定対象液が流れる流路内に配置され、
更に、前記流路に標準液を供給する標準液供給部を備え、
前記制御部は、予め定められた診断条件が成立するごとに、前記標準液供給部を制御して前記流路に前記標準液を供給させ、前記センサ装置による検出値と、予め定められた参照値とに基づいて前記交換条件が成立したか否かを判定する
〔1〕に記載の水質測定システム。
【0009】
上記水質測定システムは、診断条件が成立するごとに、流路に標準液を流し、このときのセンサ装置による検出値に基づいて交換条件の成否を判定することができる。このため、上記水質測定システムは、より適切なタイミングで収容部内の内部液を交換しやすい。
【0010】
〔3〕前記制御部は、予め定められた交換時間が経過するごとに、又は予め定められた交換時刻になるごとに前記交換条件が成立したと判定する
〔1〕に記載の水質測定システム。
【0011】
上記水質測定システムは、収容部内の内部液を定期的に交換することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、センサ装置に用いる内部液の交換の手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1実施形態の水質測定システムを概略的に示す構成図である。
図2図2は、第1実施形態における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、第2実施形態における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、第3実施形態における制御部の処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、第4実施形態のセンサ装置を概略的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
1-1.水質測定システム100の構成
図1には、第1実施形態の水質測定システム100が開示されている。水質測定システム100は、流路10と、第1切替弁11と、第2切替弁12と、流路用ポンプ13と、を備える。
【0015】
流路10には、測定対象液Lが流れる。流路10は、測定対象液Lを循環させる循環流路として機能する。
【0016】
第1切替弁11は、流路10に設けられる。第1切替弁11は、図1に示す例では、三方弁である。第1切替弁11は、測定対象液Lを流路10内に取り込む状態と、流路10内の液体を循環させるための状態と、に切り替わる。
【0017】
第2切替弁12は、流路10に設けられる。第2切替弁12は、図1に示す例では、三方弁である。第2切替弁12は、流路10内の液体を排出する状態と、流路10内の液体を循環させるための状態と、に切り替わる。第1切替弁11及び第2切替弁12が流路10内の液体を循環させるための状態であるときに、流路10が循環流路として機能する。
【0018】
流路用ポンプ13は、流路10に設けられる。流路用ポンプ13は、循環流路を構成する流路10内で液体を循環させるように動作する。
【0019】
水質測定システム100は、センサ装置30を備える。センサ装置30は、本実施形態では、隔膜式センサである。センサ装置30は、公知の隔膜式イオンセンサとして構成されている。センサ装置30は、pH電極31と、参照電極32と、収容部33と、隔膜34と、電解液35と、電位差計36と、を有する。pH電極31は、第1電極の一例に相当する。参照電極32は、第2電極の一例に相当する。電解液35は、内部液の一例に相当する。
【0020】
センサ装置30は、流路10内の測定対象液Lに浸される。センサ装置30は、測定対象液Lに含まれる特定物質の濃度に応じた電圧をpH電極31と参照電極32との間に生じさせ、当該電圧を検出値として出力する。特定物質は、本実施形態では、アンモニア(NH)である。
【0021】
pH電極31および参照電極32は、電解液35に浸されている。収容部33には、電解液35が収容されている。収容部33の下端には、隔膜34が設けられている。電位差計36は、pH電極31および参照電極32に電気的に接続されている。pH電極31は、電解液35のpHに応じた電極電位(起電力)を発生させる。電位差計36は、pH電極31の電極電位と参照電極32の電極電位との差を測定し、測定結果(電解液35のpHに基づく検出値)として後述する制御部70に出力する。このように、センサ装置30は、測定対象液L中のアンモニア(NH)を隔膜34を通過させて電解液35に溶け込ませ、アンモニア(NH)のイオン化に応じて変化する電解液35のpHに基づく検出値を出力する。
【0022】
流路10内に取り込まれた測定対象液Lには、解離アンモニア(NH +)が含まれている。測定対象液LのpHが目標値(例えば12)まで高められることで、測定対象液L内の解離アンモニア(NH +)が非解離アンモニア(NH)に変化する。水質測定システム100は、調整剤供給部90と、pHセンサ95と、を備える。調整剤供給部90は、流路10内にpH調整剤(例えば、NaOHなどの塩基)を供給する。pHセンサ95は、流路10内を流れる液体のpHに応じた検出値を出力する。調整剤供給部90は、流路10内の液体のpHが目標値に到達するまでpH調整剤を流路10内に供給することで、測定対象液L内の解離アンモニア(NH +)を非解離アンモニア(NH)に変化させる。非解離アンモニア(NH)は、隔膜34を通過して電解液35と反応し、水酸化物イオンを生じさせる。この水酸化物イオンが電解液35のpHを変化させ、そのpHに応じた電圧がpH電極31と参照電極32との間に生じる。つまり、測定対象液Lに含まれるアンモニア(NH)の濃度に応じた電圧が、pH電極31と参照電極32との間に生じる。
【0023】
調整剤供給部90は、pH調整剤を貯留する調整剤タンク91と、調整剤タンク91に接続される調整剤配管92と、調整剤配管92に設けられる調整剤供給用ポンプ93と、を有する。調整剤供給部90は、調整剤供給用ポンプ93を作動させることで、調整剤タンク91内のpH調整剤を流路10内に供給する調整剤供給動作を行う。調整剤供給部90は、流路10の一部を構成する滴下槽94内にpH調整剤を供給することで、流路10内にpH調整剤を供給する。
【0024】
流路10は、第1管部41によって構成される第1流路41Aと、第2管部42によって構成される第2流路42Aと、水槽部43によって構成される第3流路43Aと、を含む。水槽部43は、第1管部41と第2管部42の間に設けられ、第1管部41と第2管部42に接続される。水槽部43内の水位は、第1流路41A及び第2流路42Aの水位(より具体的には、第1流路41A及び第2流路42Aにおける第3流路43Aとの接続部分での推移)よりも高い位置とされる。センサ装置30は、収容部33の底(より具体的には、隔膜34)が水槽部43内の液体に浸されるように配置される。
【0025】
センサ装置30が流路10内に配置される構成では、流路10内での流れの圧力によって、測定対象液Lが電解液35内に入り込み、電解液35を汚染することが懸念される。また、電解液35は、使用によって劣化が進行する。劣化した電解液35は、交換される必要がある。以下では、電解液35を交換する構成について説明する。
【0026】
なお、収容部33の底(より具体的には、隔膜34)は、水槽部43との接続部分における第1管部41及び第2管部42の内部空間の上端よりも高い位置に配置される。これにより、第1流路41Aと第2流路42Aとの間で流れる液体の圧力が、隔膜34にかかりにくくなっている。
【0027】
1-2.電解液35を交換する構成
水質測定システム100は、収容部33内の電解液35を排出させる排出部50と、収容部33に補充用電解液を供給する供給部60と、排出部50及び供給部60を制御する制御部70と、を備える。
【0028】
排出部50は、収容部33内の電解液35が排出される排出タンク51と、排出タンク51に接続される排出配管52と、排出配管52に設けられる排出用ポンプ53と、を有する。排出配管52は、収容部33内に挿通されている。排出部50は、排出用ポンプ53を作動させることで、収容部33内の電解液35を排出タンク51に排出する排出動作を行う。
【0029】
供給部60は、補充用電解液を貯留する供給タンク61と、供給タンク61に接続される供給配管62と、供給配管62に設けられる供給用ポンプ63と、を有する。供給配管62は、収容部33内に挿通されている。供給部60は、供給用ポンプ63を作動させることで、供給タンク61内の補充用電解液を収容部33内に供給する供給動作を行う。
【0030】
制御部70は、例えばMCU(Micro Controller Unit)などの集積回路を含んで構成される。制御部70は、CPUなどの情報処理部、ROMやRAMなどの記憶部を含む。
【0031】
制御部70は、排出部50に排出動作を行わせることで、収容部33内の電解液35を排出タンク51に排出させる。制御部70は、供給部60に供給動作を行わせることで、供給タンク61内の補充用電解液を収容部33内に供給させる。
【0032】
更に、水質測定システム100は、流路10内に標準液を供給する標準液供給部80を備える。標準液は、解離アンモニア(NH +)の濃度が所定値に調整された液体である。標準液供給部80は、標準液を貯留する標準液タンク81と、標準液タンク81に接続される標準液配管82と、標準液配管82に設けられる標準液用ポンプ83と、を有する。標準液供給部80は、標準液用ポンプ83を作動させることで、標準液タンク81内の標準液を流路10内に供給する標準液供給動作を行う。標準液供給部80は、流路10の一部を構成する添加槽84内に標準液を供給することで、流路10内に標準液を供給する。
【0033】
制御部70は、標準液供給部80に標準液供給動作を行わせることで、標準液タンク81内の標準液を流路10に供給させる。
【0034】
制御部70は、予め定められた診断条件が成立するごとに、標準液供給部80を制御して流路10に標準液を供給させ、センサ装置30による検出値と、予め定められた参照値とに基づいて交換条件が成立したか否かを判定する。診断条件は、予め定められた診断時間が経過したことであってもよいし、予め定められた診断時刻になったことであってもよいし、水質の測定を所定回数行ったことであってもよいし、別の条件であってもよい。参照値は、標準液における解離アンモニア(NH +)の濃度を基準に設定された値であり、予め制御部70に記憶されている。
【0035】
制御部70は、例えばセンサ装置30による標準液の検出値に基づく値が参照値を超えている場合に交換条件が成立したと判定する。検出値に基づく値は、検出値そのものであってもよいし、検出値を補正した値であってもよい。参照値は、許容範囲の上限値であってもよいし、許容範囲の下限値であってもよいし、上限値及び下限値の両方であってもよい。「参照値を超えている」とは、上限値の参照値に対しては上限値を上回っていることであり、下限値の参照値に対しては下限値を下回っていることである。
【0036】
制御部70は、交換条件が成立した場合に、排出部50を制御して収容部33内の電解液35を排出させ、供給部60を制御して補充用電解液を収容部33に供給させる。
【0037】
1-3.水質を測定する動作の例
制御部70は、測定開始条件が成立した場合に、流路用ポンプ13を作動させつつ、第1切替弁11の状態を切り替えて、流路10内に測定対象液Lを取り込む。測定開始条件は、所定の測定開始操作が行われたことであってもよいし、別の条件であってもよい。制御部70は、流路10内に測定対象液Lを取り込んだ後、測定対象液Lを流路10内で循環させるように第1切替弁11の状態を切り替える。制御部70は、調整剤供給部90を制御して流路10内にpH調整剤を供給させつつ、pHセンサ95による検出値に基づき前記測定対象液LのpHが目標値に到達したか否かを判定する処理を繰り返す。制御部70は、pHが目標値に到達したと判定した場合に、センサ装置30の検出値を取得する。その後、制御部70は、第2切替弁12の状態を切り替えて、流路10内の測定対象液Lを流路10から排出させる。
【0038】
1-4.電解液35を交換する動作の例
制御部70は、例えば起動時に図2に示す処理を開始する。制御部70は、ステップS101にて、上述した診断条件が成立したか否かを判定する。制御部70は、診断条件が成立していないと判定した場合(ステップS101にてNoの場合)、診断条件が成立するまで、ステップS101の処理を繰り返す。
【0039】
制御部70は、診断条件が成立したと判定した場合(ステップS101にてYesの場合)、ステップS102にて、水質の測定中であるか否かを判定する。水質の測定中とは、例えば、上記「1-3.水質を測定する動作の例」で説明した測定対象液Lの取り込みから排出までの期間のことである。制御部70は、水質の測定中であると判定した場合(ステップS102にてYesの場合)、水質の測定が終了するまで、ステップS102の処理を繰り返す。
【0040】
制御部70は、水質の測定中でないと判定した場合(ステップS102にてNoの場合)、ステップS103にて、標準液供給部80に標準液供給動作を行わせて流路10内に標準液を供給させる。制御部70は、流路用ポンプ13を作動させ、標準液を流路10内で循環させる。また、制御部70は、調整剤供給部90を制御して流路10内にpH調整剤を供給させて、標準液のpHを目標値に到達させる。より具体的には、制御部70は、調整剤供給部90を制御して流路10内にpH調整剤を供給させつつ、pHセンサ95の検出値を特定する。そして、制御部70は、標準液のpHが目標値に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合に、調整剤供給部90による調整剤供給動作を停止させる。
【0041】
制御部70は、標準液のpHを調整した後、ステップS104にて、センサ装置30からの信号に基づき、センサ装置30の検出値を特定する。制御部70は、ステップS105にて、検出値が上述した参照値を超えているか否かを判定する。
【0042】
制御部70は、検出値が参照値を超えていると判定した場合(ステップS105にてYesの場合)、ステップS106にて、排出部50に排出動作を行わせて収容部33内の電解液35を排出させる。制御部70は、収容部33内の電解液35を排出させた後、ステップS107にて、供給部60に供給動作を行わせて補充用電解液を収容部33に供給させる。これにより、収容部33内の電解液35が補充用電解液に交換される。
【0043】
収容部33内の電解液35の排出が完了したか否かの判定は、特に限定されない。例えば、制御部70は、経過時間に基づいて判定してもよいし、収容部33内の水位を検出してその水位に基づいて判定してもよい。
【0044】
制御部70は、ステップS108にて、第2切替弁の状態を切り替えて、標準液を流路10から排出させる。その後、制御部70は、ステップS101の処理に戻る。
【0045】
制御部70は、検出値が参照値を超えていないと判定した場合(ステップS105にてNoの場合)、ステップS108にて、第2切替弁の状態を切り替えて、標準液を流路10から排出させる。その後、制御部70は、ステップS101の処理に戻る。
【0046】
1-5.効果の例
水質測定システム100は、交換条件が成立した場合に、電解液35を自動的に交換する。したがって、水質測定システム100は、センサ装置30に用いる電解液35の交換の手間を省くことができる。
【0047】
水質測定システム100は、診断条件が成立するごとに、流路10に標準液を流し、このときのセンサ装置30による検出値に基づいて交換条件の成否を判定することができる。このため、水質測定システム100は、より適切なタイミングで収容部33内の電解液35を交換しやすい。
【0048】
2.第2実施形態
電解液を交換する交換条件は、第1実施形態の構成に限らない。第2実施形態では、他の交換条件について説明する。なお、第2実施形態の水質測定システムは、図1に示す構成と同じである。このため、第2実施形態では、図1を参照して説明する。
【0049】
第2実施形態では、制御部70は、予め定められた交換時間が経過するごとに、交換条件が成立したと判定する。交換時間は、任意に設定可能とされる。
【0050】
制御部70は、例えば起動時に図3に示す処理を開始する。制御部70は、ステップS201にて、タイマの作動を開始し、ステップS202にて、交換時間が経過したか否かを判定する。制御部70は、交換時間が経過していないと判定した場合(ステップS201にてNoの場合)、交換時間が経過するまでステップS202の処理を繰り返す。
【0051】
制御部70は、交換時間が経過したと判定した場合(ステップS202にてYesの場合)、ステップS203にて、水質の測定中であるか否かを判定する。制御部70は、水質の測定中であると判定した場合(ステップS203にてYesの場合)、水質の測定が終了するまで、ステップS203の処理を繰り返す。
【0052】
制御部70は、水質の測定中でないと判定した場合(ステップS203にてNoの場合)、ステップS204にて、排出部50に排出動作を行わせて収容部33内の電解液35を排出させる。制御部70は、収容部33内の電解液35を排出させた後、ステップS205にて、供給部60に供給動作を行わせて補充用電解液を収容部33に供給させる。これにより、収容部33内の電解液35が補充用電解液に交換される。
【0053】
制御部70は、収容部33内の電解液35を交換した後(ステップS205の後)、ステップS201の処理に戻る。つまり、制御部70は、交換時間が成立するごとに交換条件が成立したと判定し、収容部33内の電解液35を交換する。
【0054】
以上のように、第2実施形態の水質測定システムは、収容部内の電解液を定期的に交換することができる。
【0055】
3.第3実施形態
第3実施形態では、第2の他の交換条件について説明する。なお、第3実施形態の水質測定システムは、図1に示す構成と同じである。このため、第3実施形態では、図1を参照して説明する。
【0056】
第3実施形態では、制御部70は、予め定められた交換時刻になるごとに、交換条件が成立したと判定する。交換時刻は、任意に設定可能とされる。
【0057】
制御部70は、例えば起動時に図4に示す処理を開始する。制御部70は、ステップS301にて、交換時刻になったか否かを判定する。制御部70は、交換時刻になっていないと判定した場合(ステップS301にてNoの場合)、交換時刻が経過するまでステップS301の処理を繰り返す。
【0058】
制御部70は、交換時刻になったと判定した場合(ステップS301にてYesの場合)、ステップS302にて、水質の測定中であるか否かを判定する。制御部70は、水質の測定中であると判定した場合(ステップS302にてYesの場合)、水質の測定が終了するまで、ステップS302の処理を繰り返す。
【0059】
制御部70は、水質の測定中でないと判定した場合(ステップS302にてNoの場合)、ステップS303にて、排出部50に排出動作を行わせて収容部33内の電解液35を排出させる。制御部70は、収容部33内の電解液35を排出させた後、ステップS304にて、供給部60に供給動作を行わせて補充用電解液を収容部33に供給させる。これにより、収容部33内の電解液35が補充用電解液に交換される。
【0060】
制御部70は、収容部33内の電解液35を交換した後(ステップS304の後)、ステップS301の処理に戻る。つまり、制御部70は、交換時刻になるごとに交換条件が成立したと判定し、収容部33内の電解液35を交換する。
【0061】
以上のように、第3実施形態の水質測定システムは、収容部内の電解液を定期的に交換することができる。
【0062】
4.第4実施形態
センサ装置は、隔膜式センサに限らない。第4実施形態では、他のセンサ装置の例について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成について同じ符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0063】
図5には、センサ装置430が示されている。センサ装置430は、ガラス膜を用いたセンサであり、例えば公知のガラス膜型センサとして構成される。センサ装置430は、内部電極431と、比較電極432と、第1収容部433と、ガラス膜434と、第2収容部435と、液絡部436と、第1内部液437と、第2内部液438と、電位差計439と、を有する。内部電極431は、第1電極の一例に相当する。比較電極432は、第2電極の一例に相当する。第1内部液437は、内部液の一例に相当する。
【0064】
センサ装置430は、流路10内の測定対象液Lに浸される。センサ装置430は、測定対象液Lに含まれる特定物質の濃度に応じた電圧を内部電極431と比較電極432との間に生じさせ、当該電圧を検出値として出力する。特定物質は、本実施形態では、水素イオンである。
【0065】
第1収容部433内には、第1内部液437が収容されている。内部電極431は、第1内部液437に浸されている。第1収容部433の下端には、ガラス膜434が設けられている。第2収容部435内には、第2内部液438が収容されている。比較電極432は、第2内部液438に浸されている。第2収容部435の下端には、液絡部436が設けられている。ガラス膜434及び液絡部436は、測定対象液Lに浸されている。
【0066】
ガラス膜434の内側と外側には、第1内部液437と測定対象液LとのpHの差に比例した電位差が生じる。ガラス膜434の内側に生じた電位は、内部電極431で測定され、ガラス膜434の外側に生じた電位は、比較電極432で測定される。電位差計439は、内部電極431の電極電位と比較電極432の電極電位との差を測定し、測定結果を検出値として制御部70に出力する。これにより、センサ装置430は、測定対象液LのpHに応じた電圧を検出値として制御部70に出力する。
【0067】
上述した第1実施形態で説明した水質測定システム100は、第4実施形態のセンサ装置430の第1内部液437の交換に適用することもできる。この場合、標準液は、pHの値が所定値に調整された液体である。また、参照値は、標準液のpHを基準に設定された値であり、予め制御部70に記憶されている。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わされてもよい。
【0069】
上記第4実施形態では、第1内部液が交換対象の内部液に相当する例について説明したが、第2内部液が交換対象の内部液であってもよいし、第1内部液及び第2内部液の両方が交換対象の内部液であってもよい。
【0070】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
10…流路
30…センサ装置
31…pH電極(第1電極)
32…参照電極(第2電極)
33…収容部
35…電解液(内部液)
50…排出部
60…供給部
70…制御部
80…標準液供給部
100…水質測定システム
430…センサ装置
431…内部電極(第1電極)
432…比較電極(第2電極)
433…第1収容部(収容部)
437…第1内部液(内部液)
L…測定対象液
図1
図2
図3
図4
図5